LRTKレフィクシア株式会社

落石防護網と建築限界|たるみや突出を防ぐ4つの点検

鉄道沿線や軌道に近接する斜面では、落石による被害を防ぐために落石防護網が設置されます。落石防護網は、斜面表面から石が剥離したときに、その移動を抑えたり、斜面下部まで誘導したりする重要な設備です。しかし、網そのものが健全であっても、網面のたるみ、固定部の緩み、捕捉した石や土砂の堆積などによって軌道側へ張り出すと、建築限界に影響する可能性があります。

特に注意したいのは、設置時には十分な離隔が確保されていても、経年変化によって網の位置が変わることです。落石防護網は柔軟な構造であり、斜面の変形、積雪、倒木、つる植物、落石の衝突、固定金具の緩みなど、さまざまな要因によって形状が変化します。網の一部が軌道側へ膨らんだ場合、図面上の設置位置だけでは現在の建築限界との関係を判断できません。

そのため、落石防護網の点検では、破れや腐食だけを見るのではなく、軌道中心やレール面を基準として、網面、支柱、ワイヤロープ、固定金具、捕捉物がどこまで張り出しているかを確認することが重要です。本記事では、落石防護網のたるみや突出による建築限界不足を防ぐために、実務で押さえたい4つの点検を解説します。

落石防護網と建築限界を同時に確認する理由

建築限界とは、列車を安全に運行するために、軌道周辺へ構造物や設備を侵入させないよう設定される空間上の境界です。実際の確認では、路線、車両、曲線条件、軌道構造、管理者の規程などによって扱いが異なるため、対象区間に適用される図面や基準を確認する必要があります。

落石防護網は、一般的な柱や壁とは異なり、形状が変化しやすい設備です。設計図に記載された位置が変わっていなくても、網面だけがたるみ、局所的に軌道側へ張り出す場合があります。また、上部から落下した石が網の内側にたまると、その荷重によって網全体が押し出されることもあります。

支柱やワイヤロープが変形していなくても、網面の一部だけが膨らむことがあります。反対に、網面に目立った異常がなくても、支柱の傾きやアンカーの浮きによって防護網全体が軌道側へ移動している場合もあります。したがって、見た目だけで安全性を判断するのではなく、建築限界との最小離隔がどこにあるかを測定によって把握する必要があります。

もう一つの問題は、落石防護網が斜面に沿って長く設置されることです。全体を遠方から見ると直線状に見えても、局所的な凹凸やたるみが存在する可能性があります。建築限界との離隔は、平均的な位置ではなく、最も軌道側へ突出した点で評価する必要があります。延長の長い設備ほど、一定間隔で測るだけでは局所的な突出を見落とすおそれがあります。

建築限界の確認と防護網の健全度確認を別々に行うと、網は破れていないため健全と判断された一方で、実際には網面が建築限界に近づいているという状況が生じかねません。落石防護網を点検するときは、材料の劣化、固定状態、捕捉機能に加えて、軌道側への変位という視点を組み込むことが重要です。

点検1 網面のたるみと軌道側への張り出しを確認する

最初に確認したいのは、網面そのもののたるみです。落石防護網は斜面に密着させる形式や、斜面から一定の間隔を持たせる形式などがあり、構造によって正常な網面形状は異なります。そのため、単に網が斜面から離れていることだけを異常とせず、設計時の形状や過去の点検記録と比較して変化を判断します。

網面のたるみは、上部固定部の緩み、ワイヤロープの伸び、網の自重、積雪荷重、落石の衝突などによって発生します。広い範囲で均等にたるむ場合もあれば、網の継ぎ目や固定金具の周辺だけが局所的に垂れ下がる場合もあります。建築限界への影響を確認する際は、斜面側から見た変形だけでなく、軌道方向から見た張り出しも確認します。

目視点検では、網面の輪郭が周辺と比べて不自然に膨らんでいないかを確認します。朝夕の斜光や照明の当て方によって影が生じると、わずかな凹凸を把握しやすくなる場合があります。ただし、目視だけでは軌道中心からの距離を定量的に判断できません。建築限界に近い区間や、過去に変状が確認された区間では、位置を測定して記録する必要があります。

測定では、網面の代表点だけでなく、最も軌道側へ張り出している点を探します。一定間隔で機械的に測るだけでは、測点と測点の間にある局所的な膨らみを見落とす可能性があります。まず網面全体を観察し、変状が疑われる箇所を抽出したうえで、突出部を追加測定する方法が有効です。

網の下端も重要な確認箇所です。下端部は落石や土砂が集まりやすく、固定状態が悪化すると軌道側へめくれ上がる場合があります。草刈りや排水作業の際に網端部が動かされ、そのまま適切な位置へ戻されていないことも考えられます。地表面に近い部分は植生に隠れやすいため、必要に応じて周辺を整理し、網端部と固定金具の状態を確認します。

網面に破れがある場合は、破れた部分から石や金網の端部が突出していないかも確認します。切断された線材の先端やめくれた網が軌道側へ向いていると、網全体の位置に余裕があっても局所的な突出物となる可能性があります。網面の位置だけでなく、線材の端部、継ぎ目、結束部を含めた最外縁を確認することが大切です。

点検時には、たるみの量だけで異常度を決めないことも重要です。建築限界から十分に離れた位置にある小さなたるみと、建築限界に近接する場所で発生した同程度のたるみでは、対応の優先度が異なります。変状量と残存離隔を分けて記録し、両方の情報から補修の必要性を判断します。

点検2 支柱・アンカー・ワイヤロープの変位を確認する

落石防護網の位置を維持する支柱、アンカー、ワイヤロープに変位が生じると、広い範囲の網面が軌道側へ移動する可能性があります。網だけを見ていると原因を特定しにくいため、支持構造を一体として確認します。

支柱では、傾き、曲がり、根元の浮き、基礎周辺の亀裂、地盤の沈下などを確認します。斜面上の支柱は、落石の衝突だけでなく、表層崩壊、凍結融解、雨水による洗掘、倒木の接触などでも変位します。支柱が軌道側へ傾いている場合、その先端だけでなく、取り付けられているワイヤロープや網面も同時に移動している可能性があります。

支柱の傾きを目視で判断するときは、斜面自体が傾いているため錯覚が起こりやすい点に注意します。周辺の樹木や別の支柱を基準にすると、基準側も傾いている可能性があります。重要箇所では、支柱の上端と下端の位置を測り、過去の記録や設計時の位置と比較すると変化を把握しやすくなります。

アンカーでは、頭部の浮き、抜け出し、周辺地盤の緩み、腐食、固定金具の変形を確認します。アンカーが完全に抜けていなくても、わずかな移動によってワイヤロープの張力が低下し、網面のたるみにつながることがあります。地表に露出している部分だけで内部の状態を断定することはできないため、異常が疑われる場合は管理者の手順に従って詳細確認を行います。

アンカー周辺に土砂流出や亀裂がある場合は、固定部だけでなく斜面全体の変状を疑う必要があります。局所的な補修で網の位置を戻しても、斜面の移動が続いていれば再び変形する可能性があります。アンカーの変位を確認したときは、周辺地盤の沈下、湧水、落石跡、表面の段差なども合わせて記録します。

ワイヤロープでは、緩み、伸び、腐食、素線切れ、接続金具のずれを確認します。ワイヤロープが緩むと網面が垂れ下がり、風や列車通過時の空気の流れによって揺れやすくなることがあります。静止状態では建築限界の外側にあっても、動揺時に位置が変わる可能性があるため、揺れが見られる箇所は注意して評価します。

網とワイヤロープを固定する金具の向きも確認対象です。金具が回転したり、ボルトの余長が軌道側を向いたりすると、構造全体の位置に変化がなくても突出部が生じます。交換や補修の後に金具の向きが変わることもあるため、施工直後の確認と定期点検の両方が必要です。

支持構造の点検では、個々の部材を別々に見るだけでは不十分です。一つのアンカーの緩みがワイヤロープのたるみを生み、網面の張り出しにつながるように、変状は連鎖します。網面の異常を見つけた場合は、その周辺の支柱、アンカー、ワイヤロープをたどり、原因となる変状がないか確認します。

点検3 捕捉した落石・土砂・植生による膨らみを確認する

落石防護網が石を捕捉している状態は、設備が機能した結果でもあります。しかし、捕捉物を長期間放置すると網に荷重がかかり、たるみや張り出しが進行する可能性があります。建築限界との離隔を維持するためには、網の材料だけでなく、網の内側や下端部にたまった物体を確認することが必要です。

捕捉した落石は、一つ一つが小さく見えても、複数が集まると大きな荷重になります。網の背面にあるため軌道側から見えにくく、外観上は網面が少し膨らんでいるだけに見える場合があります。斜面側から安全に確認できる場合は、石の大きさ、数量、位置、網へのかかり方を確認します。立ち入りが危険な場合は、離れた位置からの観察や測定など、安全を優先した方法を選びます。

土砂の堆積も見落としやすい要因です。降雨によって細粒分が網の下端へ流れ込み、時間をかけて堆積すると、網が徐々に押し出されます。落石のような明確な衝突痕がないため、変化が緩やかに進みやすく、過去の写真や測定値との比較が重要になります。

網の下端に土砂がたまると、排水経路が塞がれる場合があります。排水が滞ると地盤が軟弱化し、固定部の変位や斜面表面の崩れにつながる可能性があります。したがって、土砂の量だけでなく、水の流れ、排水溝の詰まり、湧水の位置、洗掘の有無も確認します。

植生も網面を変形させる要因になります。つる植物が網に絡みつくと、葉や枝の重さに加え、風を受ける面積が増えます。小さな枝が網目を通って軌道側へ伸びることもあります。枯れた植物であっても、網に絡んだまま残ると水分や雪を保持し、荷重を増加させる可能性があります。

樹木の成長によって幹や根が網を押すこともあります。設置当初は細かった樹木が年月とともに太くなり、網やワイヤロープを持ち上げたり、支柱へ接触したりする場合があります。植物の除去には斜面安定や環境面の検討が必要になることがあるため、現場判断だけで切除せず、管理者の方針に従って対応します。

倒木や折れ枝が防護網へ寄りかかっている場合は、見た目以上の荷重がかかっている可能性があります。無理に動かすと捕捉していた石が落下したり、網が急に変形したりする危険があります。除去作業を行う場合は、落下方向、作業員の退避位置、列車運行への影響などを事前に検討しなければなりません。

捕捉物の点検では、現在の建築限界との離隔に加えて、今後さらに変形する可能性も考えます。降雨が続く時期や積雪期の前に、すでに余裕が小さくなっている箇所を把握しておけば、変状が進む前に対応できます。捕捉物がある箇所は位置を記録し、除去前後で網面の位置がどの程度変わったかを確認することも有効です。

点検4 測定結果を座標と写真で記録する

落石防護網のたるみや突出は、目視だけでは変化量を比較しにくいため、測定結果を継続的に記録することが重要です。記録では、単に「たるみあり」と書くのではなく、どの位置が、どの方向へ、どの程度変位しているかを後から確認できる状態にします。

まず、測定対象を識別できるようにします。支柱番号、アンカー番号、網の区画、距離標、測点名など、現場で共通して使える識別情報を決めます。識別方法が点検ごとに変わると、前回と同じ場所を比較できません。長い防護網では、起点側と終点側の向きも統一して記録します。

位置の記録では、平面位置だけでなく高さも重要です。同じ水平位置でも、網の下端、中央部、上端では建築限界との関係が異なります。突出部の高さをレール面などの基準から記録しておくと、建築限界図との照合がしやすくなります。

写真は、全景、変状箇所、固定部、測定状況が分かるように撮影します。近接写真だけでは場所が分からなくなるため、周辺の支柱番号や構造物を含めた写真も残します。また、毎回できるだけ同じ方向、同じ高さから撮影すると、網面の膨らみや支柱の傾きを比較しやすくなります。

写真に測定値を後から対応させるため、写真番号と測点番号を記録します。撮影時刻や測定時刻が大きくずれると、補修や除去作業の前後関係が分からなくなることがあります。作業の順序を含めて記録し、どの状態を測った値なのかを明確にします。

座標測定を行う場合は、使用する座標系、高さの基準、測定方法を統一します。異なる基準で取得した座標をそのまま比較すると、実際の変位ではない差が生じる可能性があります。点検前に基準点や既知点を確認し、測定後にも整合性を確認します。

測定精度についても記録が必要です。落石防護網は金属部材や斜面、樹木に囲まれていることが多く、測位や視通の条件が安定しない場合があります。取得した値を無条件に正しいと扱わず、測定状態、再測定結果、既知点との比較などから使用可能か判断します。

突出部が複数ある場合は、最も軌道側の一点だけを残すのではなく、周辺の形状が分かるように複数点を測ります。一点だけでは、局所的な線材の突出なのか、網面全体の膨らみなのかを判断しにくいためです。変状の範囲を把握できれば、補修方法や必要な作業範囲も検討しやすくなります。

補修や捕捉物の除去を行った後は、完了写真だけでなく、同じ基準で再測定します。網面が見た目上戻っていても、支柱や固定部に変位が残っている場合があります。対応前と対応後の位置を比較し、建築限界との離隔が確保されていることを確認します。

建築限界を確認するときの基準位置を統一する

落石防護網と建築限界の離隔を正しく評価するには、どこを基準に測るかを統一する必要があります。測定者によって基準位置が異なると、同じ防護網を測っても異なる結果になります。

軌道側の基準には、軌道中心、レール頭頂面、左右レールの位置などが用いられますが、どの基準を採用するかは対象区間の管理方法や図面に合わせます。現場で測りやすい場所を独自の基準にするのではなく、建築限界図と対応できる基準を使用することが重要です。

軌道中心は、現地で見た目だけから推定しないようにします。左右レールの位置から求める場合も、測定断面や軌間の取り方を統一します。レールの摩耗、継ぎ目、分岐器周辺などでは単純に中心を決めにくいことがあるため、管理者が保有する線形情報や測量成果を確認します。

高さ方向も同様です。地面から網までの高さを測っても、建築限界との比較には直接使えない場合があります。地盤面は降雨や保守作業によって変化するため、レール面や管理された標高を基準にするほうが継続比較に適しています。

落石防護網側では、網面の中心ではなく、軌道側へ最も突出している部分を測ります。金網の線材、結束金具、ワイヤロープ、ボルト、捕捉物、枝などを含め、列車側に最も近い点を確認します。網面から飛び出した短い線材などは見落としやすいため、近接確認も必要です。

測定断面の位置も記録します。軌道中心に直角な断面で評価するのか、最短距離を測るのかによって数値の意味が異なります。曲線や斜面では測定方向を誤りやすいため、平面図上で断面方向を確認し、記録に残します。

建築限界図と現地測定値を照合するときは、単位、座標、縮尺、適用区間を確認します。似た名称の図面であっても、改良前の状態や別区間の条件を示している可能性があります。使用した図面の版や確認日を記録し、後から根拠を追えるようにします。

曲線区間やカント区間で注意したい考え方

曲線区間では、直線区間と同じ考え方で単純に水平距離だけを測ると、建築限界との関係を適切に評価できない場合があります。車両の偏りや軌道の傾きなどが考慮された建築限界が設定されることがあるため、対象区間に適用される基準を確認します。

カントが設定された区間では、左右のレールに高低差があります。地面に対して鉛直方向と、軌道面を基準とした方向が一致しないため、測定値をどの座標系で整理するかが重要になります。現地で水平距離と高さを測っただけでは、建築限界図上の位置へ正しく変換できないことがあります。

また、曲線区間では落石防護網と軌道中心の距離が短い範囲で変化する場合があります。一定間隔の測点だけでは、曲線の内側へ最も近づく位置を捉えられない可能性があります。網面の張り出しと軌道線形の両方を確認し、離隔が最小になる断面を探します。

曲線の始点や終点付近では、線形やカントが移り変わるため、単一の断面条件を長い区間へ適用しないようにします。建築限界の形状や位置が区間によって変化する場合は、測点ごとに適用条件を整理します。

落石防護網が曲線に沿って設置されている場合、支柱間を直線で結んだワイヤロープが軌道側へ近づくこともあります。支柱位置だけに離隔があっても、支柱間中央部の網やロープが最も近くなる可能性があります。支柱位置と支間中央の両方を確認し、局所的なたるみがあれば追加測定します。

曲線区間の確認は、平面図だけでなく横断面図と組み合わせることが重要です。平面上では離れて見える防護網が、高さ方向では建築限界の張り出した部分に近接している可能性があります。三次元的な位置関係を整理し、平面距離だけで安全と判断しないようにします。

季節変化を考慮した点検時期の決め方

落石防護網の状態は年間を通して一定ではありません。積雪、降雨、凍結融解、植物の成長、台風や強風などによって、網面や支持構造にかかる荷重が変化します。そのため、定期点検だけでなく、変状が発生しやすい時期を考慮した確認が必要です。

積雪地域では、網に雪が付着すると大きな荷重がかかる場合があります。雪が解けた後に網面のたるみが残ったり、支柱やアンカーが変位したりすることもあります。積雪前の状態を記録しておけば、融雪後の点検で変化を比較できます。

斜面上部に雪庇が形成される場所では、雪の落下によって網が衝撃を受ける可能性があります。また、雪が網の下端部に集まり、融雪水が地盤へ集中すると、アンカー周辺の地盤が緩むことも考えられます。積雪量だけでなく、水の流れや地盤状態も確認します。

梅雨や集中豪雨の後は、落石や土砂移動が発生しやすくなります。大きな落石が確認されなくても、細かな土砂が網の背面にたまり、徐々に張り出す場合があります。強い雨の後は、網面、下端部、排水経路、アンカー周辺を重点的に確認します。

植物が成長する時期には、つる植物や枝が網へ絡みやすくなります。春先には問題がなかった場所でも、夏には網面が覆われ、変状が見えにくくなることがあります。植生が密になる前の点検と、成長後の確認を組み合わせると状態を把握しやすくなります。

台風や強風の後は、倒木や折れ枝の接触、網面の振動による固定金具の緩みなどがないか確認します。外観上の変化が小さくても、ワイヤロープや結束部に負担がかかっている可能性があります。異常気象後の臨時点検では、通常の巡視よりも確認範囲を広げることが重要です。

季節ごとの点検結果は、同じ条件の記録同士で比較します。積雪中の測定値と無積雪期の測定値では、網面にかかる荷重が異なります。測定日だけでなく、天候、積雪、降雨履歴、植生状態なども記録すると、変位の原因を分析しやすくなります。

点検結果から補修の優先順位を決める方法

点検で複数の変状が見つかった場合は、変形量の大きさだけで補修順を決めるのではなく、建築限界との残存離隔、変状の進行性、落石の発生状況、支持構造の状態などを総合的に評価します。

建築限界に近接している箇所は、小さな変位でも優先度が高くなります。現在は限界の外側にあっても、降雨や捕捉物の増加によってさらに張り出す可能性がある場合は、早期対応を検討します。残存離隔が小さい箇所では、点検頻度を増やし、変化を短い間隔で確認する方法もあります。

支柱やアンカーに明確な変位がある場合は、網面だけを引き戻す補修では不十分な可能性があります。支持構造の安定性を確認し、必要に応じて斜面や基礎を含めた対策を検討します。原因を残したまま表面だけを整えると、再びたるみが発生するおそれがあります。

捕捉した石や土砂が原因で網が膨らんでいる場合は、除去によって位置が戻る可能性があります。ただし、除去作業中に石が軌道側へ落下する危険があるため、運行条件や防護方法を含む作業計画が必要です。捕捉物を取り除いた後は、網や固定部に残留変形がないか再確認します。

線材の破断や金具の突出は、変状範囲が小さくても局所的な危険につながる可能性があります。網面全体の離隔に余裕がある場合でも、突出した部材の先端位置を測り、必要な処置を行います。

補修の優先順位を説明できるよう、判断根拠を記録することも重要です。「異常あり」だけでは、なぜ先に対応したのか、なぜ経過観察としたのかを後から確認できません。残存離隔、変位量、進行状況、原因、周辺条件を整理し、管理者の基準に沿って対応方針を決めます。

安全に現地測定を行うための準備

落石防護網の点検は、列車が通過する軌道付近と、不安定な斜面の両方に近接する作業です。測定精度を高めることよりも、まず作業員と列車の安全を確保する必要があります。

現地へ入る前に、列車運行、作業可能時間、立ち入り範囲、退避場所、連絡方法を確認します。軌道内や軌道に近接する範囲で作業する場合は、管理者が定める手続きと安全体制に従います。測定のために無理な姿勢を取ったり、建築限界側へ身体や機材を出したりしないよう、測定位置を事前に計画します。

斜面側から点検する場合は、落石、滑落、倒木、蜂や野生動物などの危険も考慮します。網に捕捉された石は安定しているように見えても、触れたことで動く可能性があります。点検中に網を引っ張ったり、捕捉物を動かしたりせず、異常がある場合は安全な作業計画を立てて別途対応します。

測定機器を設置する場所は、列車通過時の風圧や振動、斜面からの落下物の影響を受けにくい位置とします。三脚や標尺などが転倒して軌道側へ入らないよう、設置状態を確認します。機器や工具には落下防止措置を行い、作業終了後は置き忘れがないか確認します。

測定前には、必要な測点と写真の撮影方向を整理します。現地で考えながら長時間滞在すると、危険にさらされる時間が増えます。図面上で測定候補を決め、現場では異常箇所を追加する方法にすると、効率的に点検できます。

作業員間で、どの変状を見つけたら作業を中止するかも共有します。新たな落石、斜面からの異音、網の急な変形、支柱の不安定化などが確認された場合は、測定を続けず安全な場所へ退避します。異常時の連絡先と報告手順を事前に明確にしておくことが重要です。

LRTK Phoneを活用した現場記録の効率化

落石防護網の点検では、測定値、座標、写真、支柱番号、変状内容など、多くの情報を現場で対応付ける必要があります。紙の野帳と写真を別々に管理すると、事務所へ戻った後に、どの写真がどの測点を示しているのか分からなくなることがあります。

現場の位置情報と写真を一体的に記録できれば、変状箇所を地図上で整理しやすくなります。特に延長の長い落石防護網では、支柱番号だけでなく位置情報を残すことで、次回点検時に同じ場所を探しやすくなります。

LRTK Phoneを活用する場合は、網面の突出部、支柱の上端と下端、アンカー周辺、捕捉物の位置など、点検目的に応じた測点を決めて記録します。ただし、斜面、樹木、金属製の網、周辺構造物などの影響によって測定条件が変化する場合があるため、取得した値は現場状況と合わせて確認する必要があります。

重要な箇所では、一度の測定値だけで判断せず、再測定や既知点との照合を行います。位置情報を利用できない環境や、要求される精度を確保できない条件では、別の測定方法を組み合わせます。機器の種類にかかわらず、使用目的に対して必要な精度が得られているかを確認することが基本です。

点検時に写真と位置をひも付けておけば、前回写真との比較や補修箇所の共有がしやすくなります。現場担当者、設計担当者、補修担当者の間で同じ位置を確認できれば、口頭説明だけに頼らず、変状の範囲を伝えられます。

補修後も同じ測点を測定し、対応前後の位置を比較することで、網面がどの程度戻ったかを確認できます。定期点検の記録を蓄積すれば、変位が一度に発生したのか、少しずつ進行しているのかを把握する材料になります。

落石防護網の建築限界確認では、測定すること自体が目的ではありません。測定値を図面や写真と結び付け、異常箇所の発見、補修判断、経過観察へつなげることが重要です。現場の記録作業を整理したい場合は、LRTK Phoneを用いた位置情報付き点検記録の活用を検討するとよいでしょう。

まとめ

落石防護網は、落石から軌道や周辺設備を守る重要な施設ですが、網面のたるみや支持構造の変位によって、設備自体が建築限界へ近づく可能性があります。設置時の図面だけでは現在の状態を判断できないため、現地で最も軌道側へ突出している位置を確認することが必要です。

点検では、第一に網面のたるみと局所的な張り出しを確認します。第二に支柱、アンカー、ワイヤロープの傾きや緩みを確認し、防護網全体が移動していないかを見ます。第三に捕捉した落石、土砂、植生、倒木などが網を押し出していないかを確認します。第四に測定位置、座標、高さ、写真、測定条件を記録し、過去の状態と比較できるようにします。

建築限界との照合では、軌道中心やレール面などの基準を統一し、対象区間に適用される図面や管理基準を確認します。曲線やカントのある区間では、単純な水平距離だけで判断せず、平面と高さの両方から位置関係を整理することが重要です。

また、落石防護網は降雨、積雪、植物の成長、強風などによって状態が変わります。定期点検に加え、豪雨、融雪、台風などの後に重点確認を行い、変状の進行を早期に把握することが求められます。

長い区間に設置された防護網を継続的に管理するには、毎回同じ場所を同じ基準で測り、写真と位置情報を対応付ける仕組みが役立ちます。現場での測定と記録を効率化し、補修前後の変化を分かりやすく管理したい場合は、LRTK Phoneの活用を検討してみてください。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る