境界確定の申請を出した後に行われる立会いは、書類上で整理した境界案を、現地の状況と関係者の認識に照らして確認する重要な工程です。申請書類をそろえていても、立会い当日に現地の状況を説明できなかったり、関係者との認識にずれが残ったりすると、その後の協議、図面修正、確認書類の整理に時間がかかることがあります。
特に道路、水路、河川、公共用地などが関係する官民境界の確認では、現地の構造物、既存の境界標、過去の測量成果、利用状況、申請範囲、隣接地や対向地を含む関係者の確認状況などが複合的に見られます。自治体や管理者によって申請様式、必要書類、立会いの進め方は異なるため、個別案件では申請先の案内や要領を確認することが前提になります。
この記事では、「境界確定 申請」で情報を探している実務担当者向けに、境界確定申請後の立会いで確認されやすいポイントを6つに分けて解説します。主に道路や水路など公共用地との境界確定申請を想定しつつ、隣接土地所有者との確認が必要になる場面も含めて整理します。
立会いの目的と申請範囲が共有されているか
境界確定申請後の立会いで最初に重要になるのは、今回の立会いが何を確認するためのものなのかを、関係者全員が同じ理解で共有できているかという点です。境界確定といっても、道路や水路など公共用地との境界を確認するものなのか、開発、売買、建築、分筆、寄附、用途廃止などの前提として行うものなのかによって、確認の焦点は変わります。
申請者側の担当者は、立会いの場で、どこからどこまでを確認したいのか、どの資料を根拠に境界案を整理しているのか、今回の立会いで確認したい範囲はどこかを説明できるようにしておく必要があります。境界確定の立会いでは、現地にいる全員が同じ場所を見ていても、頭の中で想定している範囲が異なることがあります。ある人は道路との境界だけを確認するつもりで来ている一方、別の人は隣地との折れ点まで含めて確認するものだと考えている場合があります。この認識のずれを放置すると、後になって、そこまでは確認していない、その点は合意したつもりではない、という問題につながりやすくなります。
そのため、立会いの冒頭では、申請地の位置、対象となる境界線、関係する土地、既存資料の概要を簡潔に説明することが大切です。現地でいきなり細かな点を確認し始めるのではなく、まず全体像を共有してから各境界点の確認に入ることで、関係者の理解がそろいやすくなります。
また、申請範囲が図面上では明確に見えていても、現地では高低差、塀、フェンス、側溝、植栽、舗装、既存建物などによって、境界線の位置が直感的に分かりにくいことがあります。現地で説明する際は、図面上の線だけでなく、実際の目印と結びつけて説明することが重要です。たとえば、道路端、側溝の外側、既設杭の位置、塀の控え、構造物の角など、現地で確認できる対象物と境界案との関係を丁寧に示すことで、立会い参加者が理解しやすくなります。
ただし、現地の目標物がそのまま境界を示すとは限りません。古い塀や側溝、舗装の端部は、施工時の都合や管理上の理由で境界とずれている場合があります。そのため、この塀が境界です、と断定するのではなく、この塀の位置と資料上の境界案との関係を確認します、といった説明が望ましいです。境界確定の立会いでは、見た目の分かりやすさだけで判断せず、資料と現地の両方を照らし合わせながら確認する姿勢が求められます。
申請範囲の共有では、どの境界点が今回の確認対象で、どの部分は参考情報にとどまるのかを区別することも大切です。特に道路との境界確定では、道路管理者や関係部署が確認する範囲と、隣接地所有者が関心を持つ範囲が必ずしも一致しないことがあります。申請者側がこの違いを整理せずに説明すると、立会いの場で話題が広がりすぎ、確認すべき点があいまいになることがあります。
立会いを円滑に進めるためには、事前に申請図面、案内図、公図、地積測量図、過去の境界確認資料、道路台帳や関連図面などを確認し、現地で説明する順序を決めておくことが有効です。説明の順序が整理されていれば、関係者が多い場合でも確認が進めやすくなります。境界確定申請後の立会いは、資料を持参するだけでなく、資料の内容を現地で伝えられる状態にしておくことが重要です。
既存の境界標や現地目標物の位置が確認できるか
立会いで確認される代表的なポイントが、既存の境界標や現地目標物の位置です。境界標には、コンクリート杭、金属標、鋲、刻み、石杭、プラスチック杭などさまざまな種類があります。現地に境界標が残っている場合、その位置が申請図面や過去の資料とどの程度整合しているかが確認されます。
境界標が見つかると、確認作業が進みやすくなることがありますが、境界標が存在するからといって、直ちにその位置が現在確認すべき境界であると判断できるわけではありません。古い境界標は、過去の工事、舗装、側溝改修、塀の設置、造成、土砂の移動などによって、傾いたり、動いたり、周囲の状況と合わなくなったりしている可能性があります。また、境界を示すために設置されたものではなく、工事や測量の仮点、管理用の目印である場合もあります。
そのため、立会いでは境界標の有無だけでなく、その境界標がどの資料に基づくものか、周囲の土地利用や構造物と矛盾しないか、過去の測量成果と整合するかが確認されます。担当者は、現地で見つかった境界標を一つひとつ確認し、図面上の点名や座標、距離、方向との関係を説明できるようにしておくことが望ましいです。
境界標が見つからない場合でも、確認作業が直ちに進められないとは限りません。側溝、擁壁、塀、道路端、既存建物、電柱、排水施設、法面の肩や尻、舗装の切れ目など、現地の目標物が境界案の検討材料になることがあります。ただし、これらの目標物は境界そのものではなく、境界を検討するための参考要素として扱う必要があります。特に古い市街地や道路沿いの土地では、現況利用と筆界や管理境界が一致しないこともあるため、見た目だけで判断しないことが重要です。
立会い前には、境界標の探索をできる範囲で済ませておくと当日の混乱を減らせます。草木や土砂に覆われている場合は、事前に確認しやすい状態にしておくことが望ましいですが、他人の土地や公共施設に影響する作業は勝手に行わず、必要に応じて管理者や所有者の了承を得る必要があります。現地を整える際も、境界標を動かしたり、周囲を削りすぎたりしないよう注意が必要です。
また、立会い当日は、境界標の位置を参加者全員が確認できるようにすることが大切です。担当者だけが図面を見て判断するのではなく、現地で、この点を確認しています、と明示しながら説明することで、関係者の納得を得やすくなります。境界点が小さな鋲や刻みで示されている場合、現地で見落とされやすいため、説明時には一時的な目印を用いるなど、視認性を高める工夫も有効です。
既存の境界標が複数ある場合は、どの点を境界案の根拠として扱うのか、どの点は参考にとどめるのかを慎重に整理する必要があります。古い資料と現地標が一致する場合は説明しやすくなりますが、資料同士や現地標同士にずれがある場合は、立会いの場で即断せず、持ち帰って再検討する判断も必要です。境界確定申請後の立会いでは、確認できた事実と、まだ判断が必要な事項を分けて扱うことが、後日のトラブル防止につながります。
道路や水路など公共用地との取り合いに不自然な点がないか
境界確定申請では、道路や水路などの公共用地との取り合いが大きな確認ポイントになります。特に官民境界の確認では、道路の幅員、側溝や縁石の位置、舗装範囲、法面、擁壁、水路敷、既存の管理区域などが、申請地との境界案にどのように関係しているかを現地で確認します。
道路との境界では、見た目の道路端と管理上の境界が一致しているとは限りません。舗装が民地側に広がっている場合や、側溝が道路区域内にある場合、反対に民地側の工作物が道路区域に近接している場合など、現地の利用状況だけでは判断しにくいケースがあります。立会いでは、道路管理者や関係者が、道路台帳、過去の境界確認資料、現地構造物、利用状況などを踏まえて、境界案に不自然な点がないかを確認することがあります。
水路が関係する場合も注意が必要です。水路は現況の水が流れている部分だけでなく、管理上の水路敷や過去の改修履歴が関係することがあります。蓋がされて暗渠のように見える場合や、周囲が舗装されて水路の位置が分かりにくい場合でも、資料上は公共用地として扱われていることがあります。現地で水路の位置が分かりにくい場合は、資料と現地の構造を丁寧に照合し、関係部署の確認を受けながら進めることが重要です。
公共用地との取り合いで特に気をつけたいのは、現地の工作物が境界判断に与える影響です。塀、門柱、擁壁、階段、排水管、看板基礎、植栽帯などが境界付近にある場合、それらが境界付近にどのように位置しているのか、過去から存在していたものなのか、申請に伴って別途協議が必要なのかが問題になることがあります。立会いでは、境界線そのものだけでなく、境界周辺の構造物や利用状況も確認されることが多いです。
ただし、境界確定の立会いは、必ずしもすべての越境問題や占用関係をその場で解決する場ではありません。境界を確認した結果、別途協議が必要な事項が見つかることもあります。たとえば、工作物の一部が公共用地側にかかっている可能性がある場合、境界確定とは別に管理者との協議、是正方針の確認、占用手続きの要否確認などが必要になることがあります。担当者は、境界確認とその他の行政手続きが混同されないよう、どこまでが今回の立会いで確認する事項なのかを整理しておくことが大切です。
道路や水路との境界では、反対側の境界や周辺の既存確定線との整合も見られることがあります。申請地だけを見ると自然に見える境界案でも、道路全体の幅員や周辺の境界確定状況と比べると不整合が見つかることがあります。周辺で過去に境界確定が行われている場合は、その成果と今回の境界案がどのようにつながるかを確認しておくと、立会い時の説明がしやすくなります。
また、公共用地との立会いでは、関係者が複数になることがあります。道路管理、水路管理、財産管理、地籍や測量に関する担当など、自治体や案件によって確認する部署が異なる場合があります。申請者側は、誰が何を確認しているのかを把握し、指摘事項を正確に記録する必要があります。複数の担当者から意見が出た場合は、その場で結論が出た事項と、持ち帰り確認となった事項を分けて整理することが、後日の図面修正や追加資料提出を円滑にします。
隣接地所有者や関係者の認識にずれがないか
境界確定申請後の立会いでは、隣接地所有者や関係者の認識確認も大きな意味を持ちます。境界は申請者だけで決められるものではなく、隣接する土地や公共用地との関係の中で確認されるものです。そのため、現地に関係者が集まる立会いでは、図面や測量結果だけでなく、各関係者が境界についてどのように理解しているかも確認されます。
隣接地所有者が境界の位置について以前から認識している場合、その認識が現地のどの位置に基づいているのかを確認することが重要です。たとえば、昔からこの塀までが自分の土地だと思っていた、この杭を境界として聞いている、道路側の側溝までが民地だと考えていた、といった説明が出ることがあります。これらの発言は、境界を決める唯一の根拠になるわけではありませんが、過去の利用状況や関係者の認識を把握する手がかりになります。
一方で、関係者の記憶や認識は、資料と一致しないこともあります。長年の利用状況によって、見た目の管理線と資料上の境界が混同されている場合もあります。担当者は、関係者の話を否定するのではなく、現地の状況、過去資料、測量結果を踏まえて丁寧に説明する姿勢が求められます。境界確定の立会いでは、専門的な内容を扱うため、説明が一方的になると不信感につながることがあります。図面上の線や数値を示すだけでなく、現地の目印と対応させながら説明することが大切です。
関係者の認識にずれがある場合、その場で無理に結論を出そうとしないことも重要です。立会いの場では、参加者の人数、時間、資料の制約があり、十分な検討ができないことがあります。疑義が出た場合は、どの点について意見が分かれているのか、追加で確認すべき資料は何か、再測量や図面修正が必要かを整理し、持ち帰り事項として記録することが望ましいです。あいまいなまま、おおむね問題ない、と進めてしまうと、後日の承諾段階で問題が再燃する可能性があります。
また、立会いに参加する人が土地所有者本人ではなく、代理人、親族、管理会社、法人担当者などである場合は、権限や確認範囲にも注意が必要です。立会いで現地を確認しても、正式な承諾や署名・押印等に必要な権限が別途確認されることがあります。特に共有地、相続未了地、法人所有地、管理者が複数いる土地では、誰の確認が必要なのかを事前に整理しておくことが大切です。
隣接地所有者への説明では、境界確定がどのような目的で行われるのかも伝える必要があります。申請者側の都合だけを前面に出すと、相手方が不安を感じることがあります。たとえば、建築や売買、分筆、開発などの予定がある場合でも、境界確認そのものは土地の位置関係を明確にする手続きであり、相手の土地を一方的に変更するものではないことを丁寧に説明することが重要です。
立会いで関係者の合意形成を円滑にするには、事前連絡も欠かせません。立会い日時、集合場所、確認する内容、持参してほしい資料、当日の所要時間の目安などをあらかじめ伝えておくことで、相手方も準備しやすくなります。突然専門的な図面を示されても判断が難しいため、可能であれば事前に概要を共有し、疑問点を整理してもらうことが望ましいです。
境界確定申請後の立会いは、測量成果を確認する場であると同時に、関係者間の認識をそろえる場でもあります。現地で出た意見や疑問を丁寧に扱い、後日の手続きに残さないよう整理することが、実務担当者に求められる大切な役割です。
測量図面と現地状況の整合が取れているか
境界確定申請後の立会いでは、測量図面と現地状況の整合確認が中心的な作業になります。申請時に提出した図面や資料があっても、現地で確認した結果、図面上の境界案、既存構造物、地形、道路幅員、隣接地の利用状況などにずれが見つかることがあります。そのため、立会い前には図面を作成して終わりではなく、現地で説明できる精度まで内容を把握しておく必要があります。
図面と現地を照合する際には、境界点の位置だけでなく、点と点を結ぶ境界線の通り方も確認されます。境界点が正しく見えても、その間の線が塀、側溝、擁壁、建物、法面などとどのような関係にあるかによって、関係者の理解が変わることがあります。特に境界線が直線ではなく折れを含む場合や、道路端に沿って複数の点が設定されている場合は、それぞれの点の意味を説明できるようにしておくことが重要です。
測量図面には、距離、方位、面積、座標、隣接地番、道路や水路の表示、既存境界標の種類、構造物の位置などが記載されることがあります。立会いでは、これらの情報が現地で確認できる内容と矛盾していないかを見られます。たとえば、図面上では境界線が側溝の外側に沿っているのに、現地では側溝の形状が途中で変わっている場合、その変化点をどう扱うのかが確認事項になります。古い図面をもとにしている場合は、現地の改修や造成によって形状が変わっていることもあるため注意が必要です。
図面と現地にずれがある場合、まずはずれの原因を整理することが大切です。測量時の観測誤差、過去資料の精度、地形や構造物の変化、境界標の移動、図面作成時の記載誤り、資料の読み違いなど、さまざまな原因が考えられます。立会いの場で原因を断定できない場合は、追加測量や資料確認を行い、必要に応じて図面を修正する流れになります。
また、図面の表現が関係者にとって分かりやすいかも重要です。専門的な図面は、測量や登記に詳しくない参加者には読み取りにくいことがあります。境界点の番号、寸法線、現況線、申請範囲、既存構造物などが混在していると、どの線が境界案なのか分からなくなることがあります。立会いで使用する資料は、正式な図面とは別に、説明用として見やすい資料を用意しておくと、参加者の理解を助けられます。ただし、説明用資料と正式な申請図面の内容が食い違わないように注意が必要です。
現地確認では、高低差も見落としやすいポイントです。平面図上では隣り合って見える土地でも、現地では擁壁や法面によって高さが大きく異なることがあります。境界線が上段にあるのか、下段にあるのか、擁壁のどの位置と関係するのかによって、維持管理や工作物の扱いにも影響することがあります。特に道路沿いの擁壁や水路沿いの法面では、境界位置の確認とあわせて構造物の所有や管理の問題が話題になることがあります。
測量図面と現地状況の整合を確認するうえでは、写真記録も有効です。立会い当日に確認した境界標、構造物、関係者が指摘した箇所、追加確認が必要な場所などを写真で残しておくことで、後日の図面修正や説明に役立ちます。写真は撮影位置や方向が分からないと後で使いにくくなるため、撮影時にはどの点を写しているのか、どの方向から撮影しているのかを記録しておくことが望ましいです。
立会いでは、その場で関係者から、この図面の線はどこを示しているのか、この寸法は現地のどこからどこまでか、この杭がない場合はどう判断するのか、といった質問を受けることがあります。担当者は、すべてを即答する必要はありませんが、分かることと確認が必要なことを分けて説明することが大切です。曖昧な回答を避け、必要な確認は持ち帰ることで、手続き全体の信頼性を保てます。
立会い後の修正事項と記録の残し方が明確か
境界確定申請後の立会いは、現地で確認して終わりではありません。むしろ実務上は、立会い後にどのような修正や追加対応が必要になるかを整理することが非常に重要です。立会いで境界案に問題がないと確認された場合でも、図面の表記修正、写真整理、関係者への説明資料作成、承諾書類や協議書類の準備など、後続作業が発生することがあります。
立会い後にまず行うべきことは、当日の確認結果を正確に記録することです。どの境界点を確認したのか、どの関係者が参加したのか、どの点について了承が得られたのか、どの点が保留になったのか、追加で確認すべき資料は何かを整理します。記憶に頼って後日まとめようとすると、発言内容や指摘箇所があいまいになりやすいため、当日またはできるだけ早い段階で記録を作成することが望ましいです。
記録を残す際には、単に立会い済みと書くだけでは不十分です。境界点ごとの確認状況、現地での指摘内容、関係者の意見、担当部署からの要望、修正が必要な図面箇所などを具体的に残しておくことで、後日の対応漏れを防げます。特に複数の関係者が参加した立会いでは、誰がどの内容を確認したのかが後で問題になることがあります。正式な様式や提出書類の扱いは申請先によって異なるため、必要な記録方法は事前に確認しておくことが大切です。
図面修正が必要になった場合は、修正内容と修正理由を明確にしておく必要があります。たとえば、境界点の位置を微修正するのか、現況線の表示を直すのか、隣接地番の表記を修正するのか、構造物の描き込みを追加するのかによって、対応の意味が変わります。図面の見た目だけを整えるのではなく、立会いで確認された内容を正確に反映することが重要です。
また、立会い後に新たな疑問が出ることもあります。現地では問題がないように見えても、事務所に戻って資料を照合すると、過去の境界確認線とのつながりや面積計算、隣接地との整合に再確認が必要になる場合があります。そのような場合は、早めに関係者や申請先へ確認し、必要に応じて追加資料の提出や再説明を行うことが望ましいです。問題を先送りにすると、承諾書類の段階や最終確認の段階で手戻りが大きくなる可能性があります。
立会い後の記録では、写真の整理も大切です。撮影した写真を単に保存するだけでなく、境界点名、撮影方向、確認内容、撮影日を分かるように整理しておくと、後日の説明資料として使いやすくなります。特に、境界標が小さい場合や現地の形状が複雑な場合は、写真だけを見ても場所が分からないことがあります。図面上の点名と写真を対応させることで、関係者への説明や社内共有がしやすくなります。
立会い後の対応で見落とされやすいのが、関係者への共有です。立会いに参加した人だけでなく、社内の担当者、発注者、設計者、施工担当者、土地所有者、代理人など、後続業務に関わる人がいる場合は、確認結果を分かりやすく共有する必要があります。境界確定の結果は、建築計画、外構計画、道路協議、造成計画、売買契約、分筆登記などに影響することがあります。そのため、立会い結果を関係者が誤解したまま次の工程へ進まないよう注意が必要です。
最終的には、立会いで確認された内容が、境界確定図や申請先所定の確認書類に適切に反映されているかを確認します。立会いの現地確認と、最終的な書類の内容がずれていると、後日説明が難しくなります。実務担当者は、現地、図面、記録、承諾書類の内容を一連の流れとして管理し、途中で情報が分断されないようにすることが求められます。
境界確定申請後の立会いを円滑に進めるための準備
境界確定申請後の立会いを円滑に進めるには、当日の対応だけでなく、事前準備の質が大きく影響します。立会いは現地で行われるため、その場で資料不足や説明不足が明らかになると、参加者全員の時間を使ってしまいます。特に公共用地や複数の隣接地が関係する案件では、事前にどれだけ論点を整理しておけるかが、立会いの進行を左右します。
事前準備では、まず申請書類と現地状況を再確認します。申請時に提出した図面、案内図、公図、地積測量図、登記事項に関する資料、過去の境界確認資料、道路や水路に関する資料などを確認し、現地で説明すべきポイントを整理します。書類をそろえた段階では気づかなかった矛盾が、立会い前の現地確認で見つかることもあります。たとえば、図面上の境界点付近に新しい構造物が設置されている、境界標が見当たらない、草木で確認しにくい、既存資料と現地の道路形状が違うといったケースです。
次に、当日の説明順序を決めておくことが重要です。現地で参加者が集まると、さまざまな質問や意見が出るため、説明の流れが崩れやすくなります。申請地全体の位置を説明し、確認対象の境界線を示し、主要な境界点を順番に確認し、疑義がある箇所を整理するという流れをあらかじめ想定しておくと、当日の進行が安定します。関係者が多い場合は、最初に全体説明を行い、その後に個別の境界点を確認する進め方が分かりやすいです。
現地で使う資料は、正式な提出書類だけでなく、説明しやすさも考慮して準備します。図面の縮尺が小さすぎると、現地で細部を確認しにくくなります。反対に、拡大しすぎると全体の位置関係が分かりにくくなります。全体を確認する資料と、境界点付近を確認する資料を分けて用意すると、説明がしやすくなります。ただし、複数の資料を用いる場合は、境界線や点名の表示が一致していることを確認しておく必要があります。
立会い当日は、現地環境にも注意が必要です。境界点が道路際や水路際にある場合、通行車両や歩行者への配慮が必要になることがあります。足元が悪い場所、法面、段差、ぬかるみ、狭い路肩などでは、安全に確認できるように進行することが大切です。境界確認に集中するあまり、安全確認が不十分になると、立会い自体に支障が出る可能性があります。
また、天候や視認性も実務上のポイントです。雨天時には図面が濡れたり、境界標や鋲が見えにくくなったりすることがあります。草木が繁茂している時期は、境界付近の確認に時間がかかることもあります。すべての条件を完全に整えることは難しいですが、現地の状態を事前に見ておくことで、当日の説明方法や必要な準備を考えやすくなります。
関係者への事前案内も欠かせません。立会いの日時、集合場所、確認する内容、必要に応じて持参してほしい資料、連絡先などを明確に伝えておくことで、当日の行き違いを防げます。集合場所が分かりにくい場合や、申請地が広い場合は、どの地点に集まるのかを具体的に案内することが大切です。関係者が遅れたり、別の場所で待っていたりすると、立会い時間が短くなり、確認が不十分になることがあります。
さらに、立会い後の流れも事前に想定しておくと、当日の説明がしやすくなります。現地確認後に図面修正があるのか、承諾書類のやり取りがあるのか、申請先から追加確認が入る可能性があるのかを、関係者に必要な範囲で説明できるようにしておくと、不安や誤解を減らせます。境界確定は一度の立会いだけで完結しないこともあるため、次に何を行うのかを明確にすることが重要です。
実務担当者にとって、境界確定申請後の立会いは、測量、資料確認、関係者調整、行政対応、記録管理が重なる業務です。個々の確認事項を場当たり的に処理するのではなく、申請から立会い、修正、承諾、確定までを一つの流れとして管理することで、手戻りを減らしやすくなります。
まとめ
境界確定申請後の立会いでは、申請範囲の共有、既存境界標の確認、公共用地との取り合い、隣接地所有者や関係者の認識、測量図面と現地状況の整合、立会い後の修正事項と記録管理が重要な確認ポイントになります。これらはそれぞれ独立した作業のように見えますが、実際には密接につながっています。現地で確認した内容が図面に反映され、関係者の理解につながり、最終的な境界確定の手続きへ進んでいくためです。
立会いを円滑に進めるためには、申請書類をそろえるだけでは不十分です。事前に現地を確認し、資料と現況の関係を整理し、説明の順序を考え、関係者への案内を行い、当日の記録方法まで準備しておく必要があります。特に道路や水路などの公共用地が関係する案件では、現地の見た目だけで判断せず、管理資料や過去の経緯と照らし合わせながら慎重に進めることが大切です。
また、立会いの場では、分かることと持ち帰って確認すべきことを明確に分ける姿勢が求められます。境界に関する判断は、後の土地利用や工事、売買、登記、管理に影響することがあるため、曖昧なまま進めると後日のトラブルにつながる可能性があります。現地で出た意見や疑問を正確に記録し、必要に応じて図面や資料を修正しながら、関係者が納得できる形で手続きを進めることが重要です。
境界確定申請後の立会いでは、現地の状況を正確に把握し、関係者に分かりやすく共有するための記録が欠かせません。境界点、既存標、道路や水路との取り合い、構造物の位置、写真記録を現場で効率よく整理できれば、立会い後の図面確認や関係者説明も進めやすくなります。特定の製品名や方法に依存せず、申請先の要領に合った記録方法を整え、現地確認、図面、写真、メモを後から照合できる状態で管理することが、境界確定申請後の立会い業務を確実に進めるうえで重要です。