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BIM/CIMで地元協議資料を短時間で作る4つの工夫

BIM/CIMは、設計や施工の検討だけでなく、地元協議の資料作成にも活用しやすい考え方です。地元協議では、専門的な図面や数量だけでなく、工事によって生活環境や通行、景観、土地利用にどのような影響があるのかを、関係者が短時間で理解できる形に整理する必要があります。そこで役立つのが、3次元モデルや周辺条件、施工ステップ、確認位置を組み合わせて説明しやすくするBIM/CIMです。

一方で、BIM/CIMを使えば自動的に分かりやすい資料ができるわけではありません。モデルが詳細すぎると見る側が迷い、説明範囲が広すぎると協議の論点がぼやけます。大切なのは、地元協議で確認されやすいポイントを先に整理し、BIM/CIMモデルから必要な情報だけを取り出して、伝わる資料へ短時間で変換することです。

この記事では、BIM/CIMで地元協議資料を短時間で作るための4つの工夫を、実務担当者向けに解説します。

協議の目的から見せる範囲を先に絞る

地元協議資料を短時間で作るために、最初に行いたいことは、BIM/CIMモデルをどこまで見せるかを決めることです。BIM/CIMモデルには、地形、構造物、道路、仮設、施工ヤード、地下埋設物、周辺建物、既設施設など、多くの情報を重ねることがあります。しかし、協議資料として見せる場合、情報量が多いほど分かりやすくなるとは限りません。

地元協議で求められるのは、設計全体の技術的な正確さをすべて説明することではなく、関係者が気にしている影響範囲や変更点を具体的に理解できることです。たとえば、道路工事であれば、通行止めや片側交互通行の範囲、歩行者動線、出入口への影響、工事車両の進入経路、騒音や振動が想定される作業位置などが関心事になりやすいです。河川、砂防、造成、橋梁、上下水道などの工事でも、生活道路、農地、宅地、排水、用水、通学路、商店へのアクセスなど、地元側が確認したい内容は工種や地域条件によって異なります。

そのため、BIM/CIMで資料を作る前に、協議の目的を一文で整理しておくことが重要です。たとえば、「工事中の通行経路を説明する資料」「完成後の見え方を説明する資料」「仮設ヤードの使用範囲を説明する資料」「排水経路の変更を説明する資料」のように、資料の目的を絞ると、モデルから切り出す範囲も決めやすくなります。目的が曖昧なまま作り始めると、全体モデルの見栄えを整える作業に時間を取られ、本来説明すべき箇所が目立たない資料になってしまいます。

BIM/CIMでは、視点の設定も大きなポイントです。技術者が確認しやすい上空からの俯瞰表示と、地元の人が理解しやすい生活目線の表示は、必ずしも同じではありません。協議資料では、平面図に近い俯瞰視点で全体位置を示したうえで、道路利用者や歩行者、隣接地所有者の目線に近い視点を組み合わせると理解されやすくなります。特に、民家、店舗、学校、農地、駐車場、出入口、バス停など、生活や事業に直結する対象物がある場合は、単に工事範囲を示すだけでなく、その場所から見て何が変わるのかを示すことが大切です。

資料作成を短時間で進めるには、BIM/CIMモデルをそのまま資料化しようとしないことも重要です。モデル上では必要な属性や部材が多くても、協議資料では不要な情報を非表示にしたほうが伝わりやすい場合があります。たとえば、構造物の細かな部材名、施工管理用の補助線、専門的な寸法、内部構造、詳細な属性情報などは、協議の目的によっては表示しなくても問題ありません。むしろ、重要な説明対象を強調するためには、周辺情報を整理して、見せる情報と隠す情報を分ける必要があります。

このとき、最初から完璧な見た目を目指すよりも、協議で使う画面や図の型を決めておくと効率的です。たとえば、最初の図では全体位置、次の図では対象区間、次の図では影響範囲、最後に確認事項という流れを固定しておくと、工事内容が変わっても資料の骨格を再利用できます。地元協議は一度で終わらず、説明会、個別協議、関係機関との調整、施工前周知など、複数回の資料作成が必要になることがあります。そのたびに構成から考えていると時間がかかるため、BIM/CIMから切り出す標準的な視点をあらかじめ用意しておくと、資料作成のスピードが上がります。

また、地元協議資料では、専門用語を減らす工夫も欠かせません。BIM/CIMのモデル内では、線形、縦断、横断、属性、干渉、施工ステップ、仮設構造などの言葉が使われますが、地元説明ではそのまま伝わらないことがあります。資料上では、「現在の道路」「工事中に通れる道」「一時的に使えない範囲」「完成後の形」「車両が出入りする場所」など、生活に近い言葉へ置き換えると、説明時間を短縮しやすくなります。説明者が口頭で補足しなければならない資料は、その分だけ協議の負担が増えます。図を見ただけで大まかな意味が伝わるように、表示名や注記を調整することが大切です。

BIM/CIMを使う利点の一つは、協議相手に合わせて見せる範囲を変えやすいことです。自治会向け、隣接地所有者向け、店舗向け、学校関係者向け、農業関係者向けなど、相手によって関心のある場所は変わります。1つのモデルから複数の説明図を作れるようにしておけば、共通資料を土台にしながら、相手ごとに必要な範囲だけを追加できます。これにより、毎回ゼロから資料を作る必要が少なくなり、協議準備の時間を減らしやすくなります。

ただし、見せる範囲を絞るときには、都合のよい部分だけを切り取っているように見えない配慮も必要です。影響範囲を説明する資料では、工事箇所だけでなく、迂回路、仮設出入口、周辺施設、隣接する生活道路など、判断に必要な周辺条件を含める必要があります。説明に関係しない情報を省くことと、判断に必要な情報を隠すことは違います。BIM/CIMで短時間に資料化する場合ほど、この線引きを意識することが信頼性につながります。

現況と計画を同じ視点で比較できる形にする

地元協議では、「今と何が変わるのか」が重要な確認事項になります。BIM/CIMで資料を作る際も、完成後のモデルだけを見せるのではなく、現況と計画を同じ視点で比較できるようにすることが大切です。現況図、計画図、完成イメージが別々の角度や縮尺で示されていると、見る側は頭の中で位置を合わせなければなりません。この負担が大きいと、説明に時間がかかり、誤解も生まれやすくなります。

短時間で伝わる資料にするには、現況と計画の視点、縮尺、方位、表示範囲をそろえることが基本です。BIM/CIMモデル上で現況地形や既設構造物、計画構造物を重ねて管理している場合は、同じ画角で表示を切り替えた図を用意すると、変更点を説明しやすくなります。たとえば、現況の道路幅、計画後の道路幅、歩道の位置、側溝の位置、法面の形状、擁壁の高さ、排水施設の位置などを、同じ方向から比較できれば、図面に慣れていない人でも変化を追いやすくなります。

比較資料を作るときは、変更される部分と変わらない部分を分けて見せると効果的です。地元協議では、すべてが変わるように見えると不安につながることがあります。一方で、変わらない施設や動線を明示すると、影響の範囲を落ち着いて確認できます。たとえば、既存の出入口は残るのか、通学路はどこを通るのか、排水先は変わるのか、農道や生活道路の幅員はどうなるのかなど、関心のある点について、変更ありと変更なしを分けて表現することで、協議の論点を整理しやすくなります。

BIM/CIMの比較図では、色や透過表示を使った表現が有効です。ただし、色だけに頼ると、印刷時や白黒資料、見え方の違いによって伝わりにくくなることがあります。そのため、色分けに加えて、注記や矢印、範囲枠、短い説明文を組み合わせると安全です。たとえば、「既設のまま使用する範囲」「一時的に通行方法が変わる範囲」「完成後に新しく整備される範囲」のように、意味が分かる言葉で整理すると、協議相手が資料を持ち帰った後にも内容を確認しやすくなります。

地元協議資料では、断面の比較も有効です。平面図だけでは、道路の高さ、法面の勾配、擁壁の高さ、盛土や切土の規模、宅地や農地との高低差が伝わりにくい場合があります。BIM/CIMモデルから代表的な断面を切り出し、現況と計画を重ねて示すと、地形の変化や構造物の見え方を説明しやすくなります。特に、隣接地との境界付近、出入口付近、水路や側溝付近、法面や擁壁の近くでは、高さの説明が協議の重要な論点になりやすいです。

ただし、断面図を使う場合も、専門的な図面のまま出すのではなく、見る人が自分の場所と結び付けられるように工夫する必要があります。「住宅側」「道路側」「水路側」「農地側」などの方向を明記し、どの位置で切った断面なのかを平面図と対応させると、理解しやすくなります。BIM/CIMであれば、平面上の位置と断面を関連づけて説明しやすいため、資料内で同じ番号や同じ名称を使って整理すると、説明の流れがスムーズになります。

完成後の見え方を説明する場合は、過度に美化された表現を避けることも大切です。協議資料は広告資料ではなく、合意形成や理解促進のための資料です。植栽や舗装、照明、周辺景観などを見せる場合でも、設計条件として確定していないものを確定したように表現すると、後で認識違いにつながる可能性があります。BIM/CIMのモデル表現は分かりやすい反面、見る側に「この通りにできる」と受け取られやすい面があります。未確定の内容は、検討中、イメージ、想定範囲などの表現を使い、断定しすぎないことが重要です。

比較資料を短時間で作るには、現況モデルの整え方も影響します。現況地形や既設構造物の位置が曖昧なままだと、計画との重ね合わせに手間がかかります。協議でよく使う道路中心線、境界付近、出入口、建物、電柱、側溝、水路、マンホール、標識、バス停などは、あらかじめ確認しやすい形で整理しておくと、資料作成時に迷いません。特に、現地写真や測位情報とBIM/CIMモデルを対応させておくと、現況説明の説得力が増します。

地元協議では、「図面上は分かるが、現地のどこなのか分からない」という反応が起こりやすいです。これを避けるには、BIM/CIMから作成した図に、現地で目印になる情報を入れることが有効です。交差点、橋、建物、河川、用水路、道路名、施設名、出入口、既設構造物など、現地で見れば分かる要素を入れることで、モデルと現場を結び付けやすくなります。地元の人にとっては、測点や構造物番号よりも、普段使っている目印のほうが分かりやすい場合があります。

また、協議資料の比較表現では、1枚に詰め込みすぎないことも大切です。現況、計画、施工中、完成後、影響範囲、迂回路、仮設ヤードをすべて1枚に重ねると、情報が多すぎて読み取りづらくなります。短時間で作るという目的からすると、枚数を減らしたくなりますが、1枚の情報量が多すぎると説明時間がかえって長くなることがあります。全体図で位置を示し、比較図で変更点を示し、詳細図で懸念箇所を示すという役割分担をすると、資料全体が読みやすくなります。

BIM/CIMを使った比較資料では、協議後の修正にも備える必要があります。地元からの意見によって、仮設位置、通行経路、施工時間帯、出入口の扱い、排水方法などが見直されることがあります。そのたびに図を作り直すのではなく、表示レイヤーや視点、注記の付け方を整理しておけば、変更部分だけを差し替えやすくなります。協議資料を短時間で作るということは、初回資料だけでなく、次回説明用の更新資料も短時間で作れる状態にしておくことです。

施工中の影響を時間軸で説明できるようにする

地元協議で特に質問が多くなりやすいのは、完成後の形よりも、工事中に何が起こるのかです。工事がいつ始まり、どの範囲で作業し、どの道路が通りにくくなり、車両はどこを通り、歩行者はどこを歩くのか。こうした施工中の影響は、平面図だけでは伝わりにくく、口頭説明に頼ると聞く人によって受け取り方が変わります。BIM/CIMを使うなら、施工中の状態を時間軸で整理し、段階ごとに見える化することが大切です。

施工ステップを資料化するときは、工程表の細かな日付をすべて説明するよりも、地元への影響が変わるタイミングで区切ると分かりやすくなります。たとえば、準備工、仮設設置、既設撤去、本体施工、舗装復旧、片付けという施工上の区切りがあっても、地元にとって重要なのは、通行方法が変わる時期、騒音や振動が出やすい時期、工事車両が増える時期、出入口の利用方法が変わる時期などです。BIM/CIMで段階表示を作る場合も、協議相手の生活への影響を基準に区切ると、説明の効果が高まります。

施工中の資料では、仮設物の見せ方が重要です。仮囲い、仮設道路、作業ヤード、資材置場、重機作業範囲、交通誘導位置、歩行者通路、仮排水、仮橋、仮設階段などは、完成形の図面には残らない場合があります。しかし、地元協議ではむしろこれらの一時的な要素が大きな関心事になります。BIM/CIMモデルに仮設条件を反映し、施工段階ごとに表示を切り替えられるようにしておくと、資料作成の手戻りを減らせます。

工事車両の動線も、地元協議資料では丁寧に扱いたい内容です。大型車両がどの道路を通るのか、住宅地や通学路を通るのか、交差点で待機が発生するのか、搬入出の時間帯はどうなるのかといった点は、地元の不安につながりやすいです。BIM/CIMの平面表示や鳥瞰表示を使って、進入経路、退出経路、待機場所、転回位置、誘導員の配置予定を整理すると、説明が具体的になります。ただし、実際の運用は交通管理者や現場条件との調整が必要になるため、未確定の内容を確定事項のように書かない配慮も必要です。

歩行者や自転車の動線は、車両動線以上に分かりやすさが求められます。地元協議では、高齢者、子ども、通学者、通勤者、買い物客など、さまざまな利用者がいます。BIM/CIMで施工中の歩行者ルートを示す場合は、単に線を引くだけでなく、現況の歩道、仮歩道、横断位置、段差、幅員、見通し、夜間の安全確保など、確認すべき要素を整理しておくと説明しやすくなります。特に、学校や公共施設、病院、店舗の近くでは、歩行者動線の変更が協議の中心になることがあります。

施工中の影響を説明する資料では、音や振動、粉じん、照明など、モデルに直接表しにくい情報も扱う必要があります。BIM/CIMは形状や位置の説明に強い一方で、環境影響の程度をそのまま正確に表すものではありません。そのため、作業位置、作業内容、想定される配慮事項を組み合わせて説明することが現実的です。たとえば、騒音が発生しやすい作業の範囲を示し、作業時間帯や周知方法、現地での確認方法を合わせて記載すると、モデルだけでは伝わらない配慮が見えます。

時間軸の資料を短時間で作るには、施工段階ごとのテンプレートを決めておくことが有効です。各段階で必ず示す項目を、作業範囲、通行方法、歩行者動線、車両動線、仮設物、注意点のように固定しておくと、資料の抜け漏れを減らせます。BIM/CIMモデルから段階ごとの表示を切り出し、同じ位置に同じ種類の注記を入れるようにすれば、資料を読む側も前後の変化を追いやすくなります。毎回デザインを変えるより、同じ構成で段階だけが変わる資料のほうが、協議では使いやすいです。

また、施工中の説明では、通常時と変更時を分けて示すことも大切です。たとえば、通常は片側通行できるが、一部の作業時だけ一時的に通行規制が必要になる場合があります。このような条件を一枚の図にまとめると、工事期間中ずっと通れないように誤解されることがあります。BIM/CIMの段階表示を使い、通常時、規制時、切替時を分けて示すと、過度な不安や誤解を減らせます。

地元協議では、期間の表現にも注意が必要です。施工予定は天候、現場条件、関係機関協議、資材手配などによって変わることがあります。資料では、確定している日付と、今後調整が必要な予定を分けて書くことが安全です。BIM/CIMの工程表現と組み合わせる場合も、年月日を細かく入れすぎると、変更時に資料修正の手間が増えます。協議段階では、上旬、中旬、下旬、前半、後半、一定期間など、実務上の説明に適した粒度を選び、必要に応じて更新できるようにしておくと扱いやすくなります。

施工中の影響を短時間で資料化するうえで、現場写真との組み合わせも効果的です。BIM/CIMのモデルだけでは、地元の人が見慣れている景色と結び付かないことがあります。そこで、現地写真にBIM/CIMから切り出した説明図を添えたり、写真上の目印とモデル上の位置を対応させたりすると、理解が早まります。特に、出入口、交差点、狭い道路、歩道の切替箇所、仮設ヤードの入口などは、写真とモデルを組み合わせると説明しやすくなります。

ただし、写真を使う場合は、個人情報や車両番号、表札、通行人などが写り込む可能性があります。協議資料として外部に配布する場合は、必要に応じてぼかしなどの処理を行い、説明に不要な情報を載せないようにする必要があります。BIM/CIM資料の作成時間を短縮するには、撮影時点で「協議資料に使う写真」として意識し、対象物、方向、位置情報、撮影日を整理しておくことが重要です。あとから写真を探し直す時間は、資料作成の大きなロスになります。

施工段階を説明する資料は、合意形成だけでなく、施工前の周知や現場内教育にも再利用できます。地元協議向けに分かりやすく整理された図は、現場作業員や協力会社に対しても、通行者への配慮や作業範囲の確認に役立ちます。BIM/CIMを協議資料だけのために使うのではなく、現場運用にもつながる資料として整えておくと、作成したデータの価値が高まります。

現地確認と資料更新をつなげて手戻りを減らす

BIM/CIMで地元協議資料を短時間で作るためには、モデル作成や図の見せ方だけでなく、現地確認とのつなぎ方も重要です。協議資料の作成で時間がかかる原因の一つは、資料を作り始めてから現地条件の不足に気づくことです。出入口の位置が不明確、既設構造物の高さが分からない、側溝の流向が確認できていない、通学路の実際の使われ方が分からない、仮設ヤード周辺の見通しが分からないといった状態では、資料の修正が何度も発生します。

これを避けるには、BIM/CIMモデルから協議で使う視点を先に想定し、その視点で不足する現地情報を確認しておくことが有効です。たとえば、地元協議で道路の切替を説明するなら、現地で撮影しておくべき場所は、交差点、出入口、歩道、横断箇所、見通しの悪い曲線部、駐車場の入口などです。排水の変更を説明するなら、側溝、水路、集水桝、流末、農地との関係、雨天時に水が集まりやすい場所などを確認しておく必要があります。協議資料の構成を先に決めることで、現地確認の目的も明確になります。

現地確認では、位置情報の扱いも大切です。写真を撮るだけでは、あとからモデル上のどこを撮ったのか分からなくなることがあります。特に、似たような景色が続く道路や水路、法面、造成地では、写真だけで場所を判断するのが難しくなります。撮影位置、撮影方向、対象物の名称、確認日を整理しておくと、BIM/CIMモデルに写真やメモを結び付けやすくなります。これにより、資料作成時に現地写真を探す時間や、再確認のために現場へ戻る手間を減らせます。

BIM/CIMと現地確認をつなげるときは、座標や基準点の確認も欠かせません。協議資料では、数センチ単位の施工管理精度を説明する場面ばかりではありませんが、道路、境界、構造物、出入口、排水施設などの位置関係がずれていると、説明の信頼性に影響します。現況図や地図、測量成果、モデル、写真の位置が一致しているかを早い段階で確認しておくことが重要です。特に、古い図面や異なる座標系のデータを重ねる場合は、見た目には合っているようでも、現地と差が出る可能性があります。

資料更新のルールを決めておくことも、短時間化には欠かせません。地元協議では、説明後に要望や確認事項が出ることがあります。たとえば、仮設道路の位置を少し変えてほしい、工事車両の進入時間を調整してほしい、出入口付近の安全対策を追加してほしい、排水経路をもう一度確認してほしいといった内容です。これらを反映する際、どの図を更新するのか、どの注記を変えるのか、変更前の資料をどのように残すのかが決まっていないと、資料管理が混乱します。

BIM/CIMを活用する場合は、モデルそのもの、切り出し図、説明用資料、協議記録を分けて管理すると扱いやすくなります。モデルを更新したのに資料の図が古いままになっている、協議で説明した内容と次回資料の表現が変わっている、変更履歴が分からないといった状態は、信頼を損ねる原因になります。短時間で資料を作るためには、単に作成作業を速くするだけでなく、どの情報が最新なのかを迷わない仕組みが必要です。

協議資料の更新では、変更点を目立たせる工夫も重要です。前回資料からどこが変わったのかが分からないと、協議相手はすべてを見直す必要があります。BIM/CIMから更新図を作る場合は、変更した範囲、変更理由、前回からの違いを短く添えると、確認時間を短縮できます。たとえば、「仮設歩行者通路の位置を道路反対側へ変更」「工事車両の進入経路を生活道路から主要道路側へ変更」「出入口前の作業範囲を縮小」のように、実務上の意味が分かる表現で示すと、協議が進めやすくなります。

現地確認と資料更新をつなげるうえでは、関係者間の情報共有も大切です。設計担当、施工担当、発注者、地元対応担当、交通規制担当、安全担当など、それぞれが異なる資料を見ていると、説明内容に差が出ることがあります。BIM/CIMを共通の土台として使い、協議資料に反映する情報を一本化しておくと、説明の食い違いを減らせます。特に、地元からの質問に対してその場で回答できない場合でも、どのモデルや資料を確認すればよいかが決まっていれば、後日の回答が早くなります。

また、地元協議資料では、現地の呼び名や地域で使われている名称を取り入れると、説明が伝わりやすくなります。BIM/CIMモデル内の正式な構造物名や管理番号だけでは、地元の人にとって分かりにくい場合があります。普段使われている橋、坂道、交差点、用水、集会所、通学路などの名称が分かる場合は、資料上で分かりやすく併記するとよいです。ただし、正式名称と通称が混在すると混乱することもあるため、資料内で表記を統一することが必要です。

資料作成の効率を上げるには、協議後に出た質問を次回資料の改善に活かすことも重要です。何度も質問される内容は、資料上で十分に伝わっていない可能性があります。たとえば、「工事中に家の前を車で通れるのか」「夜間も作業するのか」「雨水はどこへ流れるのか」「歩行者はどこを通るのか」といった質問が繰り返される場合は、BIM/CIMの図にその情報をあらかじめ入れておくと、次回以降の説明時間を短縮できます。協議資料は一度作って終わりではなく、質問を受けて育てていくものと考えると、実務に合った資料になります。

現地確認を効率化するには、携帯端末で写真、位置、メモをまとめて残す運用も有効です。BIM/CIMモデルと連携する前提で、現地で確認した場所を記録しておけば、事務所に戻ってから資料へ反映しやすくなります。特に、地元協議では細かな場所の説明が多いため、位置の曖昧な写真よりも、座標や撮影方向が整理された写真のほうが活用しやすいです。現場で得た情報をその日のうちに整理できれば、資料作成の手戻りを減らしやすくなります。

BIM/CIMで地元協議資料を作る作業は、モデル作成、図化、文章作成、現地確認、関係者調整が重なります。どこか一つだけを効率化しても、全体の時間短縮にはつながりにくいです。現地で確認した情報をモデルや資料に戻し、協議で出た意見を次の更新に反映し、更新した内容を関係者で共有する。この流れを整えることで、BIM/CIMは単なる見栄えのよい資料作成ツールではなく、地元協議を進めるための実務基盤になります。

まとめ

BIM/CIMで地元協議資料を短時間で作るには、モデルを詳しく作ることだけに注力するのではなく、協議で何を伝えるべきかを先に整理することが大切です。地元協議では、技術的な完成度だけでなく、生活への影響、通行の変化、工事中の安全、完成後の見え方、現地との対応関係が重視されます。BIM/CIMは、これらを視覚的に説明しやすい手法ですが、情報を詰め込みすぎると、かえって分かりにくくなることがあります。

1つ目の工夫は、協議の目的から見せる範囲を絞ることです。全体モデルをそのまま出すのではなく、通行、出入口、排水、仮設、景観など、協議の論点に合わせて必要な情報だけを切り出すことで、資料作成も説明も短時間化できます。見る人の立場に合わせた視点を用意し、専門用語を生活に近い言葉へ置き換えることも重要です。

2つ目の工夫は、現況と計画を同じ視点で比較することです。今と何が変わるのかを分かりやすくするためには、縮尺、方位、表示範囲、視点をそろえ、変更点と変わらない点を整理する必要があります。平面だけでなく断面や現地写真を組み合わせることで、高さや見え方、隣接地との関係も説明しやすくなります。

3つ目の工夫は、施工中の影響を時間軸で説明することです。地元の関心は、完成形だけでなく、工事中に道路や歩道、出入口、周辺環境がどう変わるかに向かいます。BIM/CIMで施工段階を分け、作業範囲、車両動線、歩行者動線、仮設物、注意点を整理しておけば、口頭説明に頼りすぎない資料になります。

4つ目の工夫は、現地確認と資料更新をつなげることです。協議資料の手戻りは、現地情報の不足や変更履歴の不明確さから起こりやすいです。写真、位置情報、確認メモをBIM/CIMモデルや資料と結び付け、協議後の変更点を管理できるようにしておくことで、次回資料の作成時間を短縮できます。

BIM/CIMによる地元協議資料づくりは、単に3次元モデルを見せる作業ではありません。地元の人が知りたいことを、現地の場所、工事の時期、生活への影響と結び付けて説明する作業です。だからこそ、モデルの見せ方、比較の仕方、時間軸の整理、現地確認の記録を一体で考える必要があります。

特に、協議資料の精度とスピードを両立するには、現場で確認した位置情報をいかに早く資料へ反映できるかが重要です。現地写真、座標確認、撮影方向、確認メモをまとめて整理し、BIM/CIM資料に必要な位置情報として扱えるようにしておけば、協議前の準備や協議後の修正が進めやすくなります。現地確認から資料作成までの流れを軽くしたい場合は、携帯端末を活用した位置確認や記録の仕組みを取り入れることも有効です。

現場を3Dで残して、あとから測る。
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