切土・盛土の体積計算では、設計面だけでなく、計算の基準となる現況地盤面の品質が結果を大きく左右します。現況測量で取得した点群や標高データに雪、草、低木、落ち葉、伐採材などが含まれていると、本来の地盤より高い面が生成されることがあります。この状態で計画面と比較すると、一般には切土量が過大、盛土量が過小になる方向へ影響し、切土と盛土の境界もずれる可能性があります。ただし、影響の方向と大きさは現況面と計画面の位置関係によって異なります。
特に積雪地、休耕地、造成前の空き地、河川敷、法面、山間部では、地表面が雪や植生で覆われていることが珍しくありません。見た目には連続した地形データができていても、その面が土の表面を表しているとは限らない点に注意が必要です。
一方で、雪や植生に該当する点を無条件に削除すると、必要な地形変化まで失われる可能性があります。除去後に生じた空白を機械的に補間すれば、実際には存在する水路、法肩、法尻、段差、盛土端部などを平坦化してしまうこともあります。重要なのは、不要な点を消すことだけではなく、現況地盤として採用できる点を選び、地形の特徴を保ちながら地盤面を再構成することです。
この記事では、切土 盛土 体積 計算に取り組む測量、設計、施工、出来形管理の実務担当者に向けて、雪や植生による土量誤差を減らす5つの処理を解説します。現地確認から点群処理、欠測部の補完、体積計算前の照合まで、実務で押さえたい考え方を順に整理します。
現況地盤の誤差が切土・盛土の体積計算に与える影響
切土・盛土の体積計算は、基本的に現況地盤面と計画面の高低差を対象範囲内で積み上げる作業です。現況地盤が計画面より高い部分は切土、低い部分は盛土として扱われます。そのため、現況地盤面に含まれる数センチから数十センチの高さのずれでも、広い面積に及ぶと体積では無視できない差になることがあります。
例えば、造成区域の現況地盤が積雪によって一様に高く取得されている場合、雪の厚さまで地盤として扱われます。計画面との比較では切土量が過大になったり、盛土量が過小になったりする可能性があり、実際の地盤を基準にした計算結果と一致しません。反対に、雪や植生の除去時に現況地盤面を必要以上に低くすると、切土量の過小評価や盛土量の過大評価につながります。
植生も同様です。短い草であっても、密生している場所では測定点が地表まで届かず、草の上部や中間部を捉える場合があります。低木、笹、つる植物、刈草の集積、落ち葉などがある場所では、取得点の高さがさらに不均一になります。植生の種類や密度が場所ごとに違うため、区域全体から一定の高さを差し引く処理では対応しにくい点も問題です。
雪と植生が同時に存在する現場では、地盤面の推定がより難しくなります。雪の上に草が出ている場所、吹きだまりが生じている場所、除雪された通路、日当たりによって融雪が進んだ場所が混在するためです。単純に一定の高さを差し引くだけでは、地盤の起伏を適切に再現できません。
また、現況地盤面の誤差は、体積の総量だけでなく、切土と盛土の分布にも影響します。実際には盛土が必要な地点が切土として表示されたり、切土と盛土の境界線がずれたりすると、施工計画、重機の配置、場内運搬、搬出入の検討にも影響が及びます。切土量と盛土量を相殺した差引量が近く見えても、両者を別々に集計すると大きな差が隠れている場合があります。
雪や植生を処理する目的は、見栄えのよい点群を作ることではありません。体積計算の基準として説明できる現況地盤面を作ることが目的です。そのためには、測量前の現場確認、取得データの分類、欠測部の補完、現地照合を一連の工程として管理する必要があります。
処理1 測量前に雪と植生の分布を確認する
最初の処理は、測量を始める前に雪と植生の状態を確認し、どの範囲で地盤を直接取得できるかを整理することです。点群を取得してから全面的な補正が必要だと判明するよりも、現地で障害物の分布を把握しておくほうが、後工程の判断がしやすくなります。
積雪地では、積雪深が区域内で一定とは限りません。風の影響を受ける開けた場所では雪が薄く、法尻、構造物の背面、樹木の周辺、凹地では吹きだまりが生じることがあります。日当たりのよい斜面と日陰の斜面でも融雪の進み方が異なります。現地確認では、単に積雪ありと記録するのではなく、積雪範囲、露出地盤、吹きだまり、除雪済み範囲、融雪水の滞留箇所などを区別しておくことが大切です。
可能であれば、現況測量は雪がない時期や植生が少ない時期に実施します。ただし、工期や設計工程の都合により、適した時期を選べない場合もあります。その場合は、地盤が露出している地点を確認点として測定し、積雪部や繁茂部を処理する際の基準にします。
植生については、高さだけでなく密度と種類を確認します。まばらな短草であれば地盤点を取得できる可能性がありますが、密生した草地や低木では、地盤まで測定できる点が限られます。笹、つる植物、倒伏した草、刈草、枝葉の堆積などは、点群上で地盤と見分けにくい形状を作る場合があります。
使用する計測方法も確認事項です。写真測量は画像に写った表面を再構成するため、植生や雪に覆われた地盤を直接取得できるとは限りません。レーザ計測では植生の隙間から地盤に届く点を得られる場合がありますが、植生の密度、照射条件、計測位置などによって地盤点の取得状況が変わります。連続した積雪に覆われた範囲では、通常の写真測量やレーザ計測だけで積雪下の地盤標高を直接確定することは困難です。
現地確認では、法肩、法尻、道路端、水路縁、畦畔、擁壁際、構造物周辺など、体積計算に影響する地形変化も確認します。これらの場所を雪や植生と一緒に除去してしまうと、地形の境界が不明瞭になります。特に法面では、法肩と法尻の位置がずれると断面形状や体積が変化するため、境界位置の確認が重要です。
測量前に草刈りや除雪を行える場合は、作業範囲と目的を明確にします。区域全体の完全な除去が難しくても、地形の変化点、代表断面、標高確認点の周辺だけを露出させる方法があります。ただし、除雪時に地盤を削ったり、重機の走行で地面を変形させたりすると、除去作業そのものが現況地盤を変えてしまいます。草刈りでも、刈草を残したまま計測すれば、その堆積面を取得する可能性があります。
除去作業後の状態を現況として扱うのか、作業前から存在していた土の表面を推定するのかも整理しておかなければなりません。契約上の基準日や数量算出の目的が定められている場合は、その条件との整合を確認します。
確認結果は、平面図や現場写真と対応させて記録します。積雪区域、植生区域、直接地盤を測定できた区域、補完が必要な区域を分けておくと、後の点群分類で判断根拠を持たせられます。現場全体を一つの条件で処理せず、表面状態に応じて区域を分けることが、土量誤差を減らす出発点です。
処理2 雪面と地盤面を区別して不要点を除去する
雪のある現場で取得した点群には、雪面、露出地盤、構造物、車両、資材、人、植生などの点が混在します。体積計算に用いる現況地盤面を作るには、まず雪面に該当する点を特定し、地盤点から分離する必要があります。
雪面は滑らかに見えることがありますが、その下の地盤形状と一致しているとは限りません。雪は凹部を埋め、段差を丸め、風によって堆積位置を変えます。水路や小規模なくぼみが雪で覆われると、点群上では平坦な面に見える場合があります。その雪面を現況地盤として採用すると、地形の細部が失われ、計算の基準面が実際の土の表面より高くなる可能性があります。
雪点の判定では、色や明るさだけに頼らないことが重要です。日陰、汚れた雪、融雪部、表面に土砂が付着した雪などは、画像上で地盤と似た色になることがあります。反対に、湿った地面や明るい砕石が雪に近く見える場合もあります。高さの連続性、周辺地形との関係、現場写真、積雪深の確認結果などを組み合わせて判断します。
露出地盤と積雪部の境界では、点群の高さが急に変わることがあります。ただし、その段差が雪の厚さによるものか、本来の地形変化によるものかを見分けなければなりません。道路端、側溝、法尻など、もともと段差が存在する場所では、周辺断面や現地記録を照合して判断します。
一定の積雪深を全面から差し引く処理は、対象区域の雪厚がほぼ均一であり、現地測定によってその条件を確認できている場合に限って検討します。実際には吹きだまりや融雪差があるため、一律補正では局所的な過補正と補正不足が同時に生じる可能性があります。積雪条件が異なる区域を分け、露出地盤や確認点を基準に処理するほうが妥当性を説明しやすくなります。
積雪深を測定した地点についても、その値が周辺一帯を代表するとは限りません。積雪深の測定位置、測定時刻、測り方、地盤へ到達したことを確認した方法を記録し、適用範囲を限定します。雪を突き通して測る場合は、落ち葉や軟弱な表土まで貫入していないかにも注意が必要です。
雪面の点を削除した後は、空白になった範囲を直ちに自動補間しないことも重要です。雪に覆われていた範囲では、地盤形状を直接取得できていません。補間結果は測定値ではなく推定値であるため、推定に使える周辺点の配置や地形条件を確認する必要があります。
過去の現況データを利用する場合は、取得時期と地形変化の有無を確認します。掘削、盛土、浸食、堆積、車両走行、除雪作業などが行われていれば、過去データを現在の地盤としてそのまま利用できません。利用する場合も、変化していないと判断できる範囲に限定し、今回取得した確認点と位置および高さを照合します。
雪点の除去では、地盤より高い点だけを消せばよいとは限りません。融雪水によるぬかるみ、凍上、圧雪車両のわだちなど、測量時の地表状態自体が通常時と異なる可能性があります。何を現況地盤として採用するかは、体積計算の目的、測量時点、契約上の基準日、施工前後の状態を踏まえて決めます。
処理3 植生点を分類して地表面の候補点を抽出する
植生の処理では、取得した点群を地盤候補点と非地盤点に分類します。草木の上部にある点を除去し、植生の隙間から取得できた点のうち、地表面を構成すると判断できる点を抽出する考え方が基本です。ただし、区域内の最低点を無条件に地盤とみなす方法では、溝、水面付近の異常点、反射不良、解析誤差などを誤って採用する可能性があります。
植生の状態は場所ごとに異なります。短草地では地盤点が比較的多く含まれる一方、背の高い草や低木が密生した場所では、取得点の大部分が葉や枝に当たることがあります。点密度が高く見えても、地盤点が十分に存在するとは限りません。点の総数ではなく、地表面を連続して構成できる地盤候補点がどの程度あるかを確認します。
自動分類では、周囲より高い点、局所的に突出した点、周辺面の傾きに対して不自然な点などを非地盤として分ける方法があります。しかし、急斜面、法肩、法尻、盛土端部、段切り、畦畔などでは、本来の地形変化が植生と誤判定されることがあります。平坦地向けの条件を急斜面へ一律に適用すると、地形の角が削られ、なだらかな面に置き換わる可能性があります。
反対に、分類条件を緩くしすぎると、低い草や倒伏した植生が地盤点として残ります。植生が面状に密生していると、点群上で連続した地表のように見えるため、平面表示だけでは誤りに気づきにくくなります。複数方向の断面を表示し、地盤候補点の上方に植生点が層状に分布していないか、採用面が点群の上側へ引き上げられていないかを確認します。
樹木の根元や低木の周辺では、枝葉だけでなく幹や根株も非地盤点として扱う場合があります。ただし、伐根後のくぼみや根株周辺の盛り上がりをどの時点の現況として扱うかは、工事条件によって異なります。伐採前の測量結果から伐採後の地盤を推定する場合と、伐採・伐根後に再測量する場合では、算出対象となる体積の定義が変わります。
落ち葉や刈草が厚く堆積している場所も注意が必要です。これらは樹木のような明確な突出点にならず、地表に沿った層として取得されることがあります。広い範囲に堆積していると、自動処理だけで判別することは難しくなります。代表地点で堆積状況を確認し、必要に応じて地盤を露出させた確認点を追加します。
植生点の分類では、対象区域を平坦地、緩斜面、急斜面、法面、構造物周辺などに分け、地形に応じて処理条件を変える方法が有効です。同じ点群でも、地形変化が少ない範囲では一定の自動分類を適用し、法肩や法尻などの重要箇所では手動確認を増やすといった運用が考えられます。
分類後は、地盤候補点だけで作成した面を確認します。植生除去前後の標高差を表示すると、どの範囲がどの程度変化したかを把握できます。周囲と比べて極端な補正が生じている場所では、地盤点の不足、誤分類、異常点の混入を疑います。
重要なのは、自動分類の結果をそのまま完成データとみなさないことです。分類処理は確認対象を絞り込むための手段であり、最終的に現況地盤として採用できるかどうかは、断面、現場写真、確認点、地形の連続性などを用いて判断します。
処理4 除去後の欠測部を地形に合わせて補完する
雪点や植生点を除去すると、点群に空白や点密度の低い範囲が生じます。面的な体積計算には対象範囲を表す現況地盤面が必要ですが、欠測部を単純に埋めればよいわけではありません。補完によって作られた面は推定結果であり、補完方法によって土量が変化する可能性があります。
比較的小さな欠測部で、周辺地盤が平坦または一定勾配で連続している場合は、周囲の地盤点から面を補間できることがあります。一方、欠測範囲が広い場合や、内部に水路、段差、法肩、法尻、盛土端部が存在する場合は、周辺点だけでは実際の地形を再現できません。
例えば、水路が雪や草で完全に覆われていると、両側の地盤点を結ぶ補間面によって水路が埋められます。その結果、水路部分が地盤として扱われ、切土・盛土の体積計算に誤差が生じます。同様に、法肩をまたいで補間すると、上段と下段の間が緩い斜面として結ばれ、本来の法面形状が変わることがあります。
このような地形変化を保つには、地形の境界を示すブレークラインなどを設定し、その線をまたいで不自然な面が作られないようにします。道路端、水路縁、法肩、法尻、構造物際、擁壁天端、盛土端部などは、地盤面を構成するうえで重要な境界です。現地で測定できる場合は、境界線上の点を追加取得しておくと補完の信頼性を高められます。
ただし、境界線を設定しても、その内部の高さが自動的に正しく決まるわけではありません。欠測部の幅、周囲の勾配、地形の成因、既存図面や過去データの信頼性を確認し、補完できる範囲と追加測量が必要な範囲を分けます。
欠測部が大きい場合は、追加測量を優先して検討します。雪が解けた後、草刈り後、植生が少ない時期などに再測量できれば、推定範囲を減らせます。工程上すべての区域を再測量できない場合でも、地形変化が大きい場所や土量への影響が大きい場所を選んで追加測定する方法があります。
追加測量データを既存点群へ統合するときは、座標参照系、標高の基準、使用基準点、単位、観測時期を確認します。位置や高さの基準が異なるデータをそのまま結合すると、雪や植生を除去した効果よりも大きな段差が生じる可能性があります。共通の確認点で平面位置と高さを照合し、必要な変換や調整を行ってから統合します。
補完方法を選ぶ際は、最終的な体積計算方法も考慮します。格子状の標高差を積み上げる場合は、格子間隔に対して欠測範囲がどの程度あるかを確認します。三角形の面で地形を表現する場合は、欠測部をまたぐ細長い三角形や過大な三角形が作られていないかを確認します。断面法を用いる場合は、各測点の横断形状に欠測部の推定がどう反映されているかを確認します。
補完後の地盤面は、陰影や色分けだけでなく、縦断面と横断面でも確認します。平面表示では自然に見える面でも、断面で見ると急な落ち込み、盛り上がり、不自然な直線、過度な平滑化が見つかることがあります。補完前の地盤候補点も同時に表示し、推定面が実測点からどの程度離れているかを確認します。
欠測部を補完した範囲は、実測点だけで構成した範囲と区別できるようにします。成果として一つの現況地盤面を提出する場合でも、どこが実測で、どこが推定かを内部記録として残しておけば、再測量や設計変更時に再検討しやすくなります。
処理5 現地確認点と断面で現況地盤面を検証する
雪と植生の除去、地盤点の分類、欠測部の補完が終わったら、作成した現況地盤面を検証します。処理後の面が滑らかで見やすいことは、正確さの証明にはなりません。確認点や現地の地形情報と比較し、体積計算の基準として妥当かを判断します。
確認点は、地盤が露出しており、位置を明確に再確認できる場所に設けます。平坦部だけに集中させず、法肩、法尻、傾斜変化点、区域境界、道路端、水路周辺などにも配置します。雪や植生が厚かった範囲では、処理後の推定面を確認できる地点を優先します。
検証に用いる点は、可能であれば地盤面の作成に直接使用した点とは分けます。同じ点を面の作成と検証の両方に使うと、その点で一致するのは当然であり、未計測範囲の補完や分類条件の妥当性を十分に評価できないためです。
確認点と現況地盤面の高さを比較するときは、個々の差だけでなく、区域全体の傾向を見ます。多くの確認点で同じ方向の差がある場合は、標高基準、座標変換、分類条件、積雪深の設定などに系統的な問題がないかを確認します。局所的に大きな差がある場合は、植生の残存、異常点、補間の飛び越し、地形境界の欠落などを疑います。
許容できる差を一律の数値で決めるのは適切ではありません。必要な精度は、測量の目的、対象面積、土量算出の用途、使用機器、発注者の仕様、適用する測量・施工管理要領などによって異なります。着手前に要求精度と検証方法を確認し、その条件に基づいて合否を判断します。
断面確認では、雪や植生を除去する前の点群、抽出した地盤候補点、補完後の現況地盤面を重ねて表示します。複数の方向から断面を切ることで、特定方向だけでは見えなかった段差や過度な平滑化を発見しやすくなります。法面では縦断方向だけでなく、法肩から法尻へ向かう横断方向でも確認します。
体積への影響を確認するため、処理前の面と処理後の面の差分を計算する方法もあります。差分が積雪区域や植生区域と対応しているかを確認し、無関係な場所まで大きく変化していないかを調べます。極端な差が集中する場所は、点の誤分類や補完条件の不整合を再確認します。
さらに、処理条件を少し変えて体積を再計算し、結果がどの程度変動するかを確認すると、推定部分の影響を把握できます。ただし、複数結果の平均を取れば正しい値になるわけではありません。条件変更による差は不確かさを把握する材料として扱い、採用値は現地資料と整合する条件から決めます。
最終確認では、現況地盤面の対象範囲、除外範囲、補完範囲、計画面との重なりも確認します。地盤面の品質が良くても、計算境界がずれていたり、構造物や対象外区域が含まれていたりすれば、土量計算は正しくなりません。
切土・盛土の体積計算方法を現場条件に合わせる
現況地盤面を検証した後は、現場条件と成果の目的に合う体積計算方法を選びます。代表的な方法には、格子法、三角網を用いた面間計算、平均断面法などがあります。どの方法でも、現況地盤面と計画面の基準、計算範囲、切土と盛土の符号を統一することが前提です。
格子法では、各格子で現況地盤面と計画面の高さの差を求め、格子面積を掛けて体積を集計します。格子間隔が大きすぎると、細い水路、急な法面、局所的な凹凸が平均化される可能性があります。反対に、点群の品質に対して過度に細かい格子を設定すると、測定ノイズや補間の影響を詳細な地形として計算へ取り込むことがあります。
三角網による面間計算では、不規則な地形や境界線を表現しやすい一方、三角形の結び方によって地形面が変わります。長い三角形が水路や法肩をまたいでいないか、計算範囲外まで面が生成されていないかを確認します。雪や植生の除去後に点が少ない範囲では、三角形が過大になりやすいため注意が必要です。
平均断面法では、隣接する断面の切土面積または盛土面積と断面間距離から体積を求めます。地形や計画形状が断面間で大きく変化する場所では、断面間隔が粗いと変化を十分に表現できません。法肩の屈曲、谷地形、工区境界などでは、必要に応じて断面を追加します。
切土と盛土は、差引量だけでなく別々に集計します。同じ区域内で切土と盛土が混在する場合、両者を早い段階で相殺すると、必要な掘削量や盛土量が見えなくなります。さらに、表土、岩、改良対象土、構造物掘削などを分ける必要がある場合は、土量区分と計算範囲を先に定義します。
点群から求める幾何学的な現地体積と、運搬・施工計画で用いるほぐし土量や締固め後の土量は同じではありません。土の体積変化を考慮する場合は、現地盤の幾何学的体積と換算後の管理数量を分け、適用した係数と根拠を明示します。雪や植生の補正量を土量変化率と混同しないことも重要です。
比較計算を繰り返す場合は、基準面、計算境界、格子間隔または三角網条件をそろえます。処理前後で計算条件まで変えると、雪や植生の除去による差と計算方法による差を区別できなくなります。
雪や植生の処理履歴を残して再計算に備える
現況地盤面は、処理後の完成データだけを保存しても、後から妥当性を確認できません。元の点群、除去した点、採用した地盤点、補完した面を区別して残し、どの処理によって地盤面が作られたかを追跡できるようにします。
記録には、測量日、積雪や植生の状態、計測方法、使用した基準点、座標参照系、標高基準、計算対象範囲を含めます。草刈りや除雪を実施した場合は、その日時、範囲、方法、地盤への影響の有無も記録します。
点群処理については、自動分類の条件、手動で修正した範囲、異常点の判断基準、積雪深を適用した区域、補完に使用した周辺点や境界線を残します。ソフトウェアの設定名称だけでは、別の環境で同じ処理を再現できない場合があります。距離、勾配、高さ差、近傍範囲など、判断に関係した実際の条件も記録することが大切です。
補完範囲には識別情報を持たせ、実測範囲と推定範囲を後から確認できるようにします。追加測量を行った場合は、最初の点群と追加点群を分けて保存し、統合時に行った座標確認や調整の内容も残します。
体積計算では、採用した現況地盤面と計画面の版、計算日、計算境界、使用した方法、格子間隔または三角網条件、切土量と盛土量の集計方法を記録します。設計変更後に再計算するときは、現況地盤面まで変更したのか、計画面だけを更新したのかが分かるように版を管理します。
処理前後の差分図、代表断面、現場写真、確認点との比較結果を残すと、第三者への説明がしやすくなります。数値だけでなく、なぜその点を除去し、なぜその面を採用したかを説明できる記録が、再計算や協議時の混乱を防ぎます。
土量誤差を防ぐための実務上の注意点
雪や植生の影響を完全に除去できない現場では、推定値を実測値と同じ確実性で扱わないことが重要です。補完範囲が広く、現地確認点も不足している場合は、その条件を成果の注記や協議資料に明示します。追加測量が必要かどうかは、推定範囲の大きさだけでなく、土量への感度や施工判断への影響を踏まえて検討します。
測量時期を変えて再計測すると、雪や植生だけでなく、降雨、融雪、浸食、車両走行、施工などによって地形そのものが変化している場合があります。異なる時期のデータを比較するときは、表面被覆の差と実際の地形変化を分けて考えます。
水面やぬかるみも、雪や植生と同様に地盤面を正しく取得できない原因になります。水路や水たまりでは、水面の点や不安定な反射点を地盤として採用しないようにし、必要に応じて別の方法で底面や境界を確認します。
構造物、資材、重機、仮設物などの非地盤点も同じ工程で確認します。雪と植生だけを除去しても、敷鉄板、土のう、仮囲い、伐採材などが残っていれば、現況地盤面や計算境界に影響します。一方、既設舗装や岩盤など、計算目的によって現況面として採用すべき対象まで除去しないようにします。
現場で確認点を取得するときは、安全を優先します。積雪下の側溝、法肩、軟弱部、急斜面などでは、地盤確認のために無理に立ち入ると事故につながるおそれがあります。危険箇所では遠隔計測、別方向からの観測、融雪後の再測量などを検討し、安全計画に従って作業します。
最終的には、発注図書、測量仕様、施工管理要領、社内基準など、対象業務に適用される条件を確認します。必要な点密度、精度、検証点の扱い、成果形式は業務ごとに異なるため、一般的な処理手順だけで適合を判断しないことが重要です。
まとめ
雪や植生を含む点群から切土・盛土の体積を計算すると、本来の地盤より高い現況面が作られ、一般には切土量の過大評価や盛土量の過小評価、切土・盛土境界のずれが生じる可能性があります。一方、不要点を強く除去しすぎると、現況面を低く作り、反対方向の誤差を招きます。
土量誤差を減らすには、測量前に積雪や植生の分布を確認し、雪面と地盤面を区別し、植生点を地形条件に応じて分類することが基本です。除去後の欠測部は、周囲の点を機械的につなぐのではなく、水路、法肩、法尻、段差などの地形境界を保ちながら補完します。
処理後の地盤面は、確認点、現場写真、複数方向の断面、処理前後の差分を用いて検証します。要求精度は業務の目的や適用基準によって異なるため、固定的な数値ではなく、対象業務の条件に照らして判断する必要があります。
切土 盛土 体積 計算の信頼性を高めるうえで重要なのは、点群をきれいに見せることではありません。実測範囲と推定範囲を区別し、採用した地盤面の根拠と処理履歴を説明できる状態にすることです。現地確認、点群分類、補完、検証、計算条件の統一を一連の工程として管理することで、雪や植生による土量誤差を抑え、再計算や設計変更にも対応しやすい現況地盤データを整備できます。