LRTKレフィクシア株式会社

締固め前後の出来形体積計測で沈下量を把握する4つの比較法

締固め前後の出来形体積計測で何を比較するのか

盛土、路体、路床、造成地などの土工では、材料を巻き出した直後の施工面と、締固めを行った後の施工面で高さや形状が変化します。施工管理を担当していると、締固めによってどの程度表面が下がったのか、施工区画全体ではどれだけ体積が変化したのか、場所によって沈下量に偏りがないかを把握したい場面があります。

こうした確認に利用できるのが、締固め前後の出来形体積計測です。締固め前と締固め後の施工面を同じ位置基準で計測し、その差を比較することで、点、線、面、体積という複数の視点から施工状態の変化を整理できます。

ただし、ここで注意したいのは、締固め前後の体積差がそのまま沈下量になるわけではないことです。沈下量は一般に高さ方向の変化として捉える量ですが、体積差は施工範囲全体に生じた三次元的な変化です。また、締固め中に土が横へ移動した場合や、途中で材料を追加した場合、余盛を削り取った場合には、締固めそのものとは別の土量変化が含まれます。

そのため、出来形体積計測によって沈下を確認するときは、単純に締固め前体積から締固め後体積を差し引くだけでは不十分です。同じ平面位置での高さ差を見る方法、縦断や横断で施工面の形状変化を見る方法、三次元面同士を重ねる方法、そして体積差を共通面積で整理する方法を使い分けることが重要です。

特に実務では、「全体としてどれだけ変わったか」と「どこが変わったか」を分けて考えると整理しやすくなります。体積差は全体傾向を把握するのに便利ですが、局所的な沈下の大きさまでは分かりません。反対に一点だけの高さ差では、その場所の変化は分かっても施工区画全体の傾向は把握しにくくなります。

この記事では、締固め前後の出来形体積計測を施工管理へ活用するために、4つの比較法を順番に整理します。測定値だけで判断するのではなく、比較条件、施工履歴、材料の移動、計測範囲なども含めて確認することがポイントです。

比較前にそろえたい計測条件

締固め前後を正しく比較するには、計測そのものより先に比較条件をそろえる必要があります。条件が違う二つのデータを精密に計算しても、その差に施工以外の要因が含まれていれば、沈下量を正しく解釈できません。

最初に確認したいのは座標の基準です。締固め前と締固め後のデータが同じ平面位置に配置されていることが必要です。同じ場所を計測していても、座標系や現場基準の設定が異なれば、二つの施工面は正確に重なりません。わずかな平面方向のずれでも、勾配のある施工面では高さ差として現れる場合があります。

高さ基準も重要です。締固め前と締固め後で異なる標高基準を使用していれば、面全体が一様に高くなったり低くなったりしたように見えます。その状態で平均沈下量や体積差を求めても、実際の締固めによる変化とは区別できません。計測開始前に既知の基準点などを確認し、前後のデータが同じ高さ基準で扱われているかを確かめます。

次に固定したいのが比較範囲です。締固め前は施工ヤード全体、締固め後は完成した盛土の外周だけというように対象範囲が変わると、体積差には範囲の違いが含まれます。前後比較では、実際の施工面外周とは別に「比較用の共通範囲」を決めておくと安定します。

計測状態の定義もそろえます。「締固め前」といっても、材料を搬入しただけの状態、巻出しが終わった状態、整形後の状態では表面形状が異なります。締固めによる変化を見たいのであれば、巻出しと所定の整形が終わり、転圧を開始する直前を締固め前として統一すると比較しやすくなります。

締固め後についても同様です。転圧終了直後を計測するのか、最終整形後を計測するのかを決めます。締固め後に余盛を削った場合、その削り取り量まで体積減少に含まれてしまいます。どの施工状態を比較しているのかを記録しておくことが必要です。

計測密度やデータ処理方法もできるだけ統一します。締固め前だけ細かく計測し、締固め後は粗いデータにすると、表面モデルを生成したときの形状が変わることがあります。欠測部分をどのように扱ったか、異常点をどの程度除去したかといった処理条件も、比較結果へ影響します。

締固め前後の比較では、差を求める計算そのものは難しくありません。むしろ、その計算へ入れる二つのデータを同じ条件にそろえる工程が重要です。

比較法1 同一点の高さ差で沈下量を確認する

一つ目は、締固め前後で同じ平面位置の標高を比較する方法です。沈下量を直接的に理解しやすく、局所的な変化を確認するのに向いています。

考え方は単純です。同じ平面位置における締固め前の高さと締固め後の高さを比較します。締固め後の施工面が低くなっていれば、その位置では下方向への変化が生じたと判断できます。

例えば施工範囲を一定間隔の格子に分け、各格子位置について締固め前後の高さを取得すると、位置ごとの高さ変化を記録できます。中央部、端部、法肩付近、構造物際などで値を比較すれば、施工面全体が均一に変化しているのか、特定部分だけ変化が大きいのかを把握しやすくなります。

この比較法の利点は、場所を特定しやすいことです。体積差として「施工区画全体で何立方メートル変わった」と分かっても、その変化がどこで起きたかは分かりません。同一点の高さ差なら、再確認する場所を座標や測点と結び付けられます。

一方で、一点の値を過大評価しないことも重要です。締固め前の施工面には土塊、わだち、局所的な盛り上がりなどが残っていることがあります。締固め後にはそれらが平滑化されるため、偶然高い土塊があった一点だけを比較すると、大きな沈下が生じたように見える可能性があります。

点群など面的な計測データを使える場合は、単一点だけではなく周囲の一定範囲を含めて代表的な高さを比較する方法も考えられます。どの処理を採用する場合でも、前後で同じルールを使うことが重要です。

さらに、比較点の分布にも注意します。中央部だけに測点が集中している状態で平均値を求めても、施工面全体を代表する値とは言いにくくなります。沈下分布を確認したい場合は、比較範囲を均等にカバーするように測点や格子位置を設定します。

同一点比較は、締固め前後の高さ変化を見る基本的な方法です。ただし、一点ごとの高さ差だけでは全体の体積変化を説明できないため、後述する面比較や体積比較と組み合わせることで実務的な価値が高まります。

比較法2 縦断・横断の断面差で沈下形状を確認する

二つ目は、締固め前と締固め後の三次元データから同じ測線の縦断面または横断面を作成し、二つの断面形状を重ねて比較する方法です。

同一点比較が点の変化を見る方法であるのに対し、断面比較では一つの線に沿って施工面がどのように変化したかを確認できます。沈下が均等なのか、中央部だけ大きいのか、片側だけ高さが残っているのかといった形状の変化を把握しやすい方法です。

例えば盛土の横断方向に同じ測線を設定し、締固め前後の断面を重ねます。中央部が全体的に下がっている一方、端部では高さ変化が小さい場合、断面を見ることでその違いを確認できます。逆に、一部だけ急激に低くなっていれば、局所的なわだち、材料状態、施工履歴などを再確認するきっかけになります。

縦断方向で比較すると、施工延長方向の連続性を確認できます。一定区間だけ沈下が大きい、施工区画の境界付近だけ段差が残っているといった変化がある場合、平面上の数字だけよりも断面で見た方が理解しやすくなります。

断面比較では、必ず同じ測線を使う必要があります。締固め前後で横断を切る位置が数十センチずれただけでも、勾配や表面凹凸の影響によって形状が変わります。三次元データから断面を作成する場合は、測線の始点、終点、方向、抽出幅などを保存し、締固め後にも同じ条件を再利用できるようにします。

また、締固めによって土が横方向へ移動した場合にも注意が必要です。例えば締固め前より法肩が外側へ動いた場合、断面では中央部の高さが下がる一方で外側の土量が増えることがあります。この変化をすべて「沈下」と表現すると実態とずれるため、高さ方向の変化と横方向への形状変化を分けて観察します。

断面比較は、点群や三次元データに慣れていない関係者へ説明するときにも便利です。施工前後の二本の断面線を同じ基準で見ることで、どこが下がり、どこに形状変化が生じたかを共有しやすくなります。

一方、断面と断面の間に存在する変化は直接確認できません。測線から外れた場所で局所的な沈下が生じても、設定した断面に現れない場合があります。そのため、重要区画では複数断面を設定するか、次の三次元面差と組み合わせることが効果的です。

比較法3 3次元面の差分で沈下分布を確認する

三つ目は、締固め前後に計測したデータからそれぞれ施工面を作成し、同じ平面位置で二つの面の高さ差を求める方法です。施工範囲全体の変化を面的に捉えられるため、出来形体積計測と相性のよい比較法です。

締固め前の面と締固め後の面を同じ座標上で重ねれば、施工範囲内の各位置について高さ差を求められます。施工面の中央、端部、走行帯、構造物周辺などを個別に測るだけではなく、計測した範囲全体を比較対象にできる点が大きな特徴です。

この方法を使うと、平均値だけでは見えない沈下の偏りを把握しやすくなります。例えば施工範囲全体の平均沈下相当量が小さくても、ある一帯だけ変化が大きく、別の一帯ではほとんど変化していない場合があります。体積の総量だけを見ると両者が平均化されますが、面差なら位置ごとの違いを確認できます。

面差を施工管理へ利用する場合は、比較する面の品質をそろえることが重要です。締固め前の点密度が高く、締固め後だけ粗い場合、面生成の補間結果に違いが生じます。また、片方に大きな欠測がある場合、その部分を自動的に埋めて面を作ると、実測していない形状が差分計算に含まれる可能性があります。

施工面以外の点も除外する必要があります。計測時に施工機械、作業者、仮設物、資材などが含まれていると、その形状が面に入って大きな差となることがあります。締固め前後のどちらでも、比較対象となる地表面を適切に抽出してから面を作ります。

表面の細かな凹凸をどう扱うかも結果へ影響します。締固め前は粗い土塊が残り、締固め後は平滑になることが多いため、非常に細かな単位で面差を取ると、締固めによる全体的な沈下より表面凹凸の差が目立つ場合があります。

そのようなときは、施工目的に応じて一定範囲ごとの代表値を確認すると、全体傾向が理解しやすくなります。ただし、過度に大きな区画で平均化すると局所的な変化が見えなくなるため、必要な確認精度に合わせて設定します。

三次元面差の大きな利点は、「どこが変わったのか」を広い施工範囲で確認できることです。体積差だけでは総量しか分からず、一点比較だけでは測定した場所しか分かりません。面差を中心にして、気になる場所を同一点比較や断面比較で詳しく確認すると効率的です。

比較法4 体積差から平均沈下相当量を確認する

四つ目は、締固め前後の出来形体積を同じ範囲で算出し、その差を比較する方法です。施工区画全体の変化を一つの数値にまとめやすいため、層ごとの施工記録や複数区画の比較に利用しやすい方法です。

締固め前と締固め後で共通の外周と基準面を設定し、それぞれの体積を計算します。締固め前より締固め後の体積が小さければ、比較領域内で体積が減少したことになります。

ここで重要なのは、体積差をそのまま「沈下量」と表現しないことです。沈下量は高さ方向の長さとして扱うのに対し、体積差は立体的な量です。施工面積が広くなれば、同じ平均的な高さ変化でも体積差は大きくなります。

そこで、締固め前後で比較する平面範囲が同じ場合には、体積減少量を共通比較面積で割ることで、施工範囲全体の平均的な高さ変化に相当する値を整理できます。ここでは「平均沈下相当量」として扱うと意味を区別しやすくなります。

例えば、同じ施工区画について複数層を継続的に計測すれば、各層で体積がどの程度変化し、平均的な高さ変化がどの程度だったかを比較できます。同じ材料や施工条件を想定している区画の傾向を振り返る材料になります。

ただし、体積差から平均沈下相当量を求めるには前提があります。締固め前後の間に材料を追加していないこと、土を搬出していないこと、余盛を削っていないこと、比較外周を変更していないことなどを確認する必要があります。

例えば締固め途中に不足部分へ材料を追加した場合、追加した土量によって締固め後の体積が増えます。実際には施工面が沈下していても、体積差が小さく見える可能性があります。逆に、締固め後に余盛を削れば、締固めによる沈下以上に体積が減ったように見えます。

土が横方向へ移動する場合にも注意します。共通比較範囲の外へ土が押し出された場合、その土量は体積減少として計算されますが、すべてが鉛直方向の沈下によるものではありません。面差や断面差と組み合わせれば、中央部の高さ低下と端部の横方向変化を分けて確認しやすくなります。

体積差は非常に分かりやすい代表値ですが、原因を説明する情報は少ないという特徴があります。そのため、体積差を入口として全体傾向を確認し、三次元面差や断面差で内訳を確認する使い方が適しています。

4つの比較法を組み合わせる実務的な進め方

実際の現場では、4つの比較法をすべて別々に行うより、役割を決めて順番に確認すると効率的です。

最初は三次元面差で施工範囲全体を確認します。締固め前後の面を重ね、どの場所で高さ変化が大きいか、変化が小さい場所はどこかを把握します。これによって局所的な異常候補を絞り込めます。

次に、面差で気になった場所について同一点の高さ差を確認します。位置を特定して数値を確認することで、面的な表示だけでは判断しにくい具体的な変化量を整理できます。

施工面の形状そのものが変化している場所では、縦断または横断を作成します。例えば中央部と端部で差がある場合、横断面を比較すれば、どの位置から変化の傾向が変わっているかを確認できます。

最後に施工区画全体の体積差を計算し、必要に応じて平均沈下相当量としてまとめます。この数値を施工日、施工層、材料区分などと一緒に管理すれば、複数区画の傾向比較にも利用できます。

この順番の利点は、「総量」と「位置」をつなげられることです。体積が減少したという事実だけで終わらず、どの位置で、どのような形状で変化した結果、その体積差になったのかを追跡できます。

逆に、体積差だけを毎回記録していると、ある施工日の数値が大きかったときに原因を振り返れません。元の点群や面差、施工履歴と関連付けて保存しておけば、後から再検討しやすくなります。

締固め前後の出来形体積計測で誤差を生みやすい要因

締固め前後の比較で数値に差が出ても、すべてが実際の施工変化とは限りません。計測やデータ処理による差を施工による沈下と誤認しないことが重要です。

代表的なのが高さ基準のずれです。前後のデータ全体でほぼ同じ量だけ高さ差が出ている場合、実際の施工面全体が均一に沈下した可能性だけでなく、高さ基準の設定差も疑う必要があります。基準点などで計測結果を照合し、基準そのものが動いていないかを確認します。

平面位置のずれもあります。施工面に勾配がある場合、平面的に少しずれただけで異なる高さを比較することになります。特に法面や傾斜部では影響が大きくなるため、座標の整合を確認してから差分計算を行います。

欠測も大きな要因です。施工機械の陰や法肩付近などを十分に計測できていない場合、面を作成するときに周囲の点から推定された形状が入ることがあります。締固め前後で欠測位置が違えば、それだけで面差や体積差が生じる可能性があります。

計測対象外の物体も注意が必要です。資材、車両、人、仮設物などが点群へ入った状態で表面を生成すると、本来の施工面ではない高さが使われます。締固め前後とも、地表を表すデータになっているか確認します。

表面の水たまりや軟弱部など、状態が時間で変化する場所もあります。降雨直後と乾燥後を比較すれば、締固め以外の変化が含まれる可能性があります。計測日時や天候も記録し、数値に疑問があるときに施工状況を振り返れる状態にしておくことが重要です。

比較範囲と基準面を固定して体積差を安定させる

出来形体積計測で最もトラブルになりやすいのが、前後で計算領域が変わるケースです。

締固め前は材料を巻き出した範囲全体を外周として体積を計算し、締固め後は締め固められた完成面の外周を使った場合、二つの外周形状は一致しないことがあります。すると、算出された体積差には締固めによる変化だけでなく、比較面積の違いも含まれます。

これを避けるためには、施工前に比較区画を決め、その外周を締固め前後で共通して使用する方法が有効です。施工後に見た目の形状から毎回外周を作り直すのではなく、座標で固定した共通範囲を使います。

基準面についても同じです。前後の体積を異なる基準面から計算すると、体積そのものを単純比較できません。体積差を確認するときは、同じ基準面に対して二つの施工面の体積を計算する必要があります。

より直接的には、締固め前の施工面と締固め後の施工面をそのまま比較し、両面に挟まれた体積を算出する考え方もあります。この場合でも、比較外周が一致していることが前提になります。

特に法肩や法尻など外周形状が変化しやすい場所は、体積比較用範囲と施工出来形の実外周を区別すると管理しやすくなります。出来形としては実際の完成形状を確認し、締固め前後比較では固定された共通範囲を使うという整理です。

計測時期をそろえて締固め以外の変化を混ぜない

締固め前後の計測結果を正しく比較するためには、いつ計測したかも重要です。

締固め前の計測後に別の材料を追加し、その後に締固めた場合、締固め後との差には材料追加の影響が含まれます。締固め後にブルドーザーなどで表面を大きく整形した場合には、その移動量も含まれます。

したがって、締固めそのものによる施工面の変化を確認したい場合は、締固め前計測から締固め後計測までの間に別の土量変更作業をできるだけ挟まないことが理想です。

現場の工程上それが難しい場合は、何が行われたかを記録します。材料を追加した位置、削り取りを行った範囲、別工程の車両が走行した場所などを残しておけば、後から体積差を解釈しやすくなります。

計測のタイミングは現場で統一しておくと効果的です。例えば「巻出しと整形完了後を締固め前」「所定の締固め作業終了直後を締固め後」といったように状態を定義します。

単にファイル名へ「前」「後」と付けるだけでは、担当者によって意味が変わる可能性があります。施工状態まで定義しておけば、複数人で計測してもデータを比較しやすくなります。

沈下量と締固め品質を同じ意味で扱わない

締固め前後の高さ差が大きければ締固めが良好で、小さければ締固め不足という単純な判断はできません。

締固めによる表面高さの変化は、材料の種類、含水状態、巻出し厚、初期の密度、施工面の状態、施工方法など多くの条件によって変わります。そのため、沈下量だけから締固め品質を断定することは避ける必要があります。

同じ材料を使っているように見えても、締固め前の状態が異なれば高さ変化は変わります。緩く巻き出された施工面と、施工機械の走行ですでにある程度締まった施工面では、その後の高さ変化が同じになるとは限りません。

出来形体積計測で把握できるのは、基本的に施工面の幾何学的な変化です。必要な品質管理については、その工事で適用される施工管理方法や試験、設計図書などに従って確認する必要があります。

ただし、沈下量の分布は施工を振り返る材料として有効です。同じ施工条件を想定した隣接区画で一方だけ極端に変化が異なる場合には、施工履歴や材料状態を確認するきっかけになります。

つまり、締固め前後の出来形体積計測は品質管理を置き換えるものではなく、施工状態を可視化する補助的な情報として使うことが重要です。

層ごとの比較記録を施工改善に活用する

締固め前後の計測は、一度だけ実施するより、層ごとに同じルールで継続すると価値が高まります。

例えば一層目、二層目、三層目で締固め前後の平均沈下相当量を記録し、同時に面差の分布も保存します。施工条件が近い層を比較することで、施工の安定性を振り返る材料になります。

ある層だけ平均的な高さ変化が大きい場合には、その日の巻出し状態、材料、天候、施工機械の走行などを確認します。逆に平均値は同じでも、一方の層だけ沈下分布のばらつきが大きければ、施工面内の均一性という別の視点から確認できます。

体積差だけでは、このばらつきは見えません。だからこそ、層ごとの記録には体積差だけでなく、面差や代表断面などを関連付けておくことが有効です。

施工条件の記録も合わせて残します。締固め前後のデータだけが残っていても、どの材料を使ったか、どの施工区画か、いつ施工したかが分からなければ、後で比較しにくくなります。

継続的に記録すると、施工途中で異常な傾向を見つけやすくなります。完成後に出来形を確認して初めて問題に気付くのではなく、各施工層の段階で変化を把握することで、次層の施工前に確認できる可能性が高まります。

出来形管理の合否判定と施工途中の比較を分ける

締固め前後の比較結果は、出来形管理に役立つ情報ですが、それ自体が出来形の合否基準になるとは限りません。

出来形の合否は、その工事で適用される設計図書、施工管理基準、規格値などに基づいて判断します。締固め前後で何センチ下がったかという値は、施工プロセスを把握するための情報として整理するのが基本です。

例えば締固め前後の平均沈下相当量が過去の層と異なっていたとしても、それだけで出来形不良とは判断できません。完成した施工面が必要な設計形状や管理条件を満たしているかは、別途確認する必要があります。

反対に、完成時の出来形が基準内であっても、施工途中の比較から局所的な変化や施工の偏りが見つかる場合があります。この情報は次工程や次の施工区画を改善するために活用できます。

この二つを分けることで、出来形体積計測の役割が明確になります。完成形を確認する計測と、施工途中の変化を把握する計測を同じデータから行う場合でも、評価目的を混同しないことが重要です。

現場で再現できる計測手順を整える

締固め前後の比較を日常的な施工管理へ組み込むには、誰が担当しても同じ条件で計測できる手順を整えることが重要です。

最初に施工区画と層番号を決めます。データ名称にも同じ情報を入れ、締固め前後のデータが確実に対になるようにします。似た名称のファイルが増えると、誤って別の層を比較するリスクがあります。

次に比較外周を設定します。この外周は締固め前後で変更せず、座標など再現できる情報として保存します。

締固め前は、巻出しと必要な整形が完了した時点で計測します。計測後は欠測範囲を確認し、必要なら締固め開始前に追加計測します。一度締固めを開始すると、締固め前の状態を再現することはできません。

締固め後は、あらかじめ定めた施工状態になった時点で計測します。途中で材料追加や削り取りが入った場合には、その内容を記録します。

その後、締固め前後のデータを同じ座標と高さ基準で重ねます。最初に全体の三次元面差を確認し、異常に大きな差が面全体へ一様に出ている場合は、施工による沈下を判断する前に基準のずれを疑います。

面差が妥当と確認できたら、施工上気になる位置で同一点高さ差や断面差を確認します。最後に同じ比較外周と基準条件を用いて体積差を求め、必要に応じて平均沈下相当量として施工記録へまとめます。

計測した元データは、加工済みの結果だけに置き換えず保存しておくことが重要です。後から処理条件を確認したり、別の範囲で再計算したりするときに元データが必要になります。

比較結果には施工区画、層番号、計測日時、締固め前後の区分、比較外周、基準面、施工状態などを関連付けます。数値だけではなく、その数値がどの条件で得られたものかを残すことが、長期的なデータ活用につながります。

現場で位置情報を伴う計測や記録を効率化したい場合には、LRTK Phoneを活用して施工位置と記録を結び付ける方法も考えられます。締固め前後の計測地点や施工区画を位置情報と合わせて整理すれば、後から同じ場所のデータを追いやすくなります。重要なのは機器だけに頼ることではなく、現場で採用する座標、高さ、施工区画、比較条件を統一して運用することです。

まとめ

締固め前後の出来形体積計測で沈下量を把握するには、一つの数値だけを見るのではなく、目的に応じて複数の比較法を組み合わせることが重要です。

同一点の高さ差を比較すれば、特定位置の沈下方向の変化を確認できます。縦断や横断を比較すれば、施工面がどのような形状で変化したかを線として確認できます。三次元面の差分を利用すれば、施工範囲全体の沈下分布や局所的な偏りを把握できます。そして締固め前後の体積差を共通面積と合わせて整理すれば、施工区画全体の平均沈下相当量として傾向を確認できます。

この4つの比較法の中で、どれか一つだけを正解と考える必要はありません。全体を見る体積差、位置を見る面差、形状を見る断面差、局所値を見る同一点比較というように役割を分けることで、施工状態をより具体的に理解できます。

一方で、比較結果を信頼できるものにするには、座標系、高さ基準、比較外周、基準面、計測時期、施工状態を締固め前後でそろえる必要があります。材料追加や削り取り、横方向への土の移動があれば、体積差には締固め以外の変化も含まれます。体積差が出たというだけで、それをすべて鉛直方向の沈下と判断しないことが大切です。

また、沈下量が大きいほど締固め品質が高いという単純な関係でもありません。出来形体積計測は施工面の幾何学的な変化を把握する手段であり、品質の合否については工事で適用される設計図書や施工管理条件に基づいて別途確認する必要があります。

締固め前後の計測を層ごとに継続すれば、完成後だけでは分からない施工途中の変化を記録できます。各層の体積差、平均沈下相当量、面差の分布、代表断面などを施工履歴と関連付けておけば、数値に違いが生じたときにも原因を振り返りやすくなります。

出来形体積計測を単なる完成時の数量確認として終わらせず、締固め前後の施工プロセスを比較するために活用することがポイントです。現場で計測した位置と施工記録を継続的に結び付けたい場合には、LRTK Phoneを活用した位置情報付きの記録も選択肢になります。施工区画、層、計測時期、比較条件を統一してデータを残すことで、出来形の確認だけでなく、次の施工を改善するための情報として活用しやすくなります。

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