LRTKレフィクシア株式会社

出来形体積計測で法肩・法尻を取り違えない5つの判定ポイント

出来形体積計測で法肩・法尻の判定が重要な理由

造成工事や盛土、切土、法面整形などで出来形体積計測を行う場合、計測機器の精度だけでなく、どこからどこまでを計算対象とするかという境界設定が結果を大きく左右します。その中でも特に注意したいのが、法肩と法尻の取り違えです。

法肩は、一般に法面の上端側で平坦部や緩い勾配の面から法面へ移る境界として扱われます。一方の法尻は、法面の下端側で法面から地盤面や小段、構造物周辺などへ移る境界です。ただし、実際の施工現場では設計形状どおりに明瞭な折れ線が現れるとは限りません。法肩付近が丸みを帯びていたり、法尻に排水溝や盛土のすり付け部があったりすると、点群を平面表示しただけでは境界が分かりにくくなります。

出来形体積計測では、法肩や法尻の位置を数十センチ違えて設定しただけでも、そのずれが長い法面全体に連続すると計算対象面積に差が生じます。さらに、高低差の大きな場所では、境界位置のわずかな違いが体積差として積み重なる可能性があります。そのため、計測点が高密度であっても、境界線の決め方が担当者ごとに異なれば、同じ現場のデータから異なる体積が算出されることがあります。

重要なのは、法肩・法尻を単なる見た目の線として探さないことです。設計図面、断面形状、標高、勾配変化、周辺地形、施工範囲を組み合わせ、「なぜこの位置を境界と判断したのか」を説明できる状態にする必要があります。

特に複数回の出来形体積計測を比較する場合、初回は法肩の内側、次回は法肩の外側を境界にすると、実際には土量が変わっていない場所まで差分として計算されることがあります。施工前、施工途中、完成時を比較する運用では、計測方法以上に境界条件を固定することが大切です。

ここからは、法肩・法尻を取り違えず、出来形体積計測の再現性を高めるために確認したい5つの判定ポイントを解説します。

判定ポイント1 設計図面と横断形状から位置関係を確認する

法肩・法尻を判定するときの出発点は、現地の見た目ではなく、設計上どのような横断形状が予定されているかを把握することです。

法面がある工事では、平面図だけを見ても法肩と法尻の違いを把握しにくいことがあります。平面図では両者が近接した線として表現される場合があり、特に緩勾配の法面や曲線区間では、どちらの線が上端側なのかを直感だけで判断すると取り違えにつながります。

そこで確認したいのが横断図や縦断図です。横断方向に地形を切って見ると、高い側から低い側へどのように勾配が変化しているかを確認できます。上部の平坦面や施工面から法面へ下がり始める箇所が法肩側であり、法面から下部の平坦面などへ移る位置が法尻側だという基本的な関係を整理できます。

ただし、図面に記載された線をそのまま現地点群へ重ねれば終わりではありません。施工後の出来形は、設計形状に対して細かな不陸や丸みを持つことがあります。また、施工途中で小段や排水施設が追加されている場合、単純な一本の斜面ではなく複数の勾配変化が存在することもあります。

出来形体積計測では、設計図面を「答え」として使うだけではなく、現地点群を読み解くための基準として使うことが重要です。設計上の法肩位置と法尻位置を確認したうえで、点群の断面形状がどのように対応しているかを照合します。

例えば、盛土法面であれば、天端の設計幅、法面勾配、法尻までの高低差などを確認しておくと、点群上で境界候補を見つけやすくなります。法面勾配と高さが分かれば、おおよその水平距離も推測できるため、極端に離れた位置を法肩や法尻として選択していないかをチェックできます。

現場では、法尻付近に側溝や排水施設が配置されているケースもあります。この場合、法尻と側溝の縁を混同しないことが重要です。排水施設は施工上の構造物境界であり、法面そのものの勾配変化位置とは一致しない場合があります。図面と現地断面を確認し、どの線を出来形体積計測の対象境界として扱うかを事前に決めておく必要があります。

また、切土法面では高い地山側が法肩となり、低い施工面側が法尻となるため、盛土だけを経験している担当者が感覚的に判断すると位置関係を混同することがあります。「画面の上側が法肩」「道路側が法尻」といった固定的な覚え方ではなく、法面の上端と下端という立体的な関係で確認することが大切です。

出来形体積計測の前に図面と断面形状を照合する工程を入れておけば、担当者が変わっても同じ考え方で境界を設定しやすくなります。

判定ポイント2 勾配が変化する折れ点を断面で確認する

法肩・法尻を点群から判断するとき、最も有効な方法の一つが断面表示による勾配変化の確認です。

点群を上から見た平面表示では、法面の傾斜そのものが視覚的に把握しにくい場合があります。色分け表示を利用していても、緩やかな法面や複雑な地形では、境界線を正確に読み取れないことがあります。

そこで、法面を横切る方向に断面を作成します。断面上では、上部の平坦または緩勾配の面から斜面へ移る箇所、斜面から下部の面へ移る箇所が形状の変化として確認しやすくなります。

法肩は必ずしも鋭角な折れ点ではありません。バックホウなどで整形された法面では、上端部がわずかに丸められ、数十センチ程度の範囲で徐々に勾配が変化することがあります。このような場所で一点だけを見て境界を決めると、担当者ごとに法肩位置が異なる可能性があります。

その場合は、勾配が連続的に変化する範囲のどこを境界として扱うかを事前に統一します。例えば、設計形状との対応を確認しながら、法面として連続する主要な傾斜面と上部面の交点に近い位置を採用するなど、現場内で共通の考え方を持つことが重要です。

法尻についても同様です。法面下端が地盤へ滑らかにつながっている場合、点群上では折れ点が不明瞭になります。また、法尻付近に施工機械の走行跡や盛り上がった土砂が残っていると、本来の地形変化とは異なる小さな凹凸が生じます。それを法尻と誤認すると、体積計算範囲が不自然に広がったり狭くなったりします。

断面を確認するときは、一か所だけで判断しないことも重要です。法面は延長方向に形状が変化するため、始点付近、中央付近、終点付近など複数の断面で確認します。曲線部やすり付け部では、さらに短い間隔で断面を見る必要がある場合があります。

複数断面で法肩・法尻候補を確認すると、ある断面だけに存在する局所的な凹凸と、法面全体に連続する本来の境界を区別しやすくなります。

例えば、点群上で法肩に見える折れ点が一断面にしか現れず、隣の断面では消えている場合、それはタイヤ跡や局所的な盛土、草木などによる形状かもしれません。一方、延長方向へほぼ連続して同じ位置関係で勾配が変化していれば、法肩または法尻である可能性が高まります。

出来形体積計測では、境界線を平面的に引く前に、断面で高さ方向の根拠を確認することが重要です。平面と断面を往復しながら境界線を作成すると、見た目だけに依存した取り違えを減らせます。

判定ポイント3 平面形状だけでなく標高差を合わせて判断する

法肩・法尻を取り違えないためには、線の形だけでなく標高を確認する必要があります。

平面表示では、法肩と法尻がほぼ平行に延びるケースが多くあります。造成地の直線法面では、二本の境界候補が並んで見えるため、どちらが法肩なのかを形状だけで判断するのは難しいことがあります。特に背景図や設計線を重ねていない点群だけを見る場合、上下関係を意識せずに線を選択すると取り違えが発生しやすくなります。

基本的には、同じ法面を挟む二つの境界を比較した場合、高い側が法肩、低い側が法尻になります。ただし、現場全体が傾斜している場合には単純な絶対標高だけで判断できません。法面の上端側と下端側という局所的な位置関係を確認する必要があります。

例えば、道路が縦断方向に下っている場所では、法肩の下流側標高が、上流側の法尻標高より低くなることもあります。そのため、「標高が高い線はすべて法肩」という判断では不十分です。同一横断位置で法面を挟んだ標高差を確認することが大切です。

標高表示を利用すると、平面だけでは分かりにくい境界を確認しやすくなります。一定間隔で法肩候補と法尻候補の高さを確認し、設計上想定される高低差や法面勾配と大きく矛盾していないかを見ます。

出来形体積計測では、水平位置だけでなく高さの扱いも体積に直接影響します。法肩と法尻を逆に設定したまま面を作成すると、本来の法面とは異なる三次元形状を基準として計算してしまう可能性があります。境界線が平面的にはきれいに見えていても、高さ方向の関係が誤っていれば正しい計算条件とはいえません。

また、小段を含む法面にも注意が必要です。長い法面の途中に小段がある場合、勾配変化位置が複数存在します。上段法面の法尻と小段外側、下段法面の法肩などが近接して存在するため、平面だけではどの線がどの役割なのか分かりにくくなります。

この場合も、各線の標高と断面位置を組み合わせて確認します。上段から下段へ順番に形状を追い、小段を挟んでどこから次の法面が始まっているかを整理することで、境界の意味を取り違えにくくなります。

点群データを扱う際には、座標系や高さ基準の確認も重要です。異なる時期の計測データを比較する場合、同じ基準で位置と高さが管理されていなければ、法肩・法尻の照合そのものが難しくなります。施工前後や複数日の出来形体積計測を比較する場合は、境界判定に入る前に座標と高さの整合を確認しておくことが必要です。

法肩・法尻の判定は、二次元の線を選ぶ作業ではなく、三次元地形の上下関係を読み取る作業だと考えると判断しやすくなります。

判定ポイント4 点群の欠測や草木による見かけの境界を疑う

出来形体積計測で法肩・法尻を判定するとき、点群に表示されている形状が必ずしも地表そのものとは限らないことにも注意が必要です。

現場では、草木、資材、車両、建設機械、仮設物、土のうなどが計測範囲に含まれることがあります。これらを地形として扱うと、本来存在しない段差や勾配変化が点群に形成され、法肩や法尻のように見える場合があります。

例えば法尻付近に草が密生していると、地面より高い位置に点が取得されます。断面で見ると、法面下端に小さな盛り上がりがあるように見えるため、その外側を法尻として判断してしまうことがあります。しかし実際には、草木を除いた地盤面との交点が法尻となる可能性があります。

反対に、法肩付近が草木や資材で隠れていると、必要な地表点が取得できず、点群が途切れることがあります。欠測部分の端を法肩と判断すると、本来の境界より内側または外側に線を設定することになります。

レーザー計測や写真を利用した三次元計測では、対象物の見え方や計測位置によって取得できる点の分布が変化します。法面は傾斜しているため、計測方向によっては法肩の裏側や法尻周辺が見えにくくなることがあります。急勾配の法面ほど、上からの計測だけでは下部に点が不足しやすく、下からの計測だけでは上端付近が確認しにくい場合があります。

このような欠測がある状態で自動的に面を生成すると、離れた点同士がつながり、本来とは異なる面が作られる可能性があります。画面上では滑らかな地形に見えても、その部分に実測点が十分存在するとは限りません。

出来形体積計測では、法肩・法尻候補だけを見るのではなく、その周囲にどの程度点が存在しているかを確認することが大切です。点群密度が急に低下している場所、広い空白が存在する場所、周囲と不自然に高さが違う点が集まっている場所では、境界判断を慎重に行います。

また、法面表面に残った重機の跡や土砂の小さな堆積も、断面形状を乱す要因になります。一つの断面だけでは、その凹凸が法面本来の形なのか局所的な施工跡なのか判断できないことがあります。そのため、法面延長方向に少し位置をずらした複数断面を比較し、形状が連続しているかを確認します。

不要点の除去を行う場合も、境界付近の点を削除しすぎないよう注意が必要です。法肩や法尻付近はもともと勾配が変化するため、周囲と高さの傾向が異なります。単純に周囲から外れた点として除去すると、本来必要な境界点まで失う可能性があります。

点群処理では、きれいに見えるデータを作ることより、地表形状を適切に残すことが重要です。法肩・法尻周辺では特に、削除前後の形状を比較しながら処理することが求められます。

現地で追加計測が可能な場合は、判断しにくい境界を無理に推定せず、別方向から補足計測する方法も有効です。法肩側、法尻側、斜め方向など複数の位置から対象を捉えることで、死角を減らしやすくなります。

出来形体積計測の精度は、点数の多さだけで決まるわけではありません。必要な位置に地表を表す点が存在し、その点がどの地形を示しているのかを適切に判断できることが重要です。

判定ポイント5 計測範囲と体積計算の境界を同じ基準で固定する

法肩・法尻を正しく判定できても、出来形体積計測のたびに境界線を引き直していると、比較結果に不要な差が生じます。

出来形体積計測では、計測データそのものだけでなく、体積を計算する範囲を統一することが重要です。施工前と施工後で境界線が異なれば、地形変化と計算範囲の変化が同時に結果へ反映されるため、純粋な施工土量を比較しにくくなります。

例えば、初回計測では法肩を境界として計算し、二回目では法肩から50センチ外側まで含めたとします。法肩外側の地盤に変化がなくても、二回目だけ計算対象面積が増えるため、体積差に影響する可能性があります。

法尻でも同様です。施工途中で排水溝や仮設通路が追加され、見た目の地形が変わったからといって、その都度体積計算の境界を変更すると、施工量とは別の変化が結果へ混在します。

そのため、時系列比較を行う場合は、最初に体積計算範囲を決め、その境界を保存して次回以降も同じ範囲を使う方法が有効です。

ただし、実際の施工範囲そのものが変更された場合には、無理に同じ境界を使い続けるのではなく、変更理由を記録したうえで管理単位を分ける必要があります。重要なのは、境界が変わったことを把握できる状態にしておくことです。

法肩・法尻を体積計算の境界にする場合は、どの時点の境界を基準とするかも明確にします。設計上の境界を固定する方法、施工前地形から設定した境界を固定する方法、完成形の計画線を基準とする方法など、目的によって適切な考え方は変わります。

例えば、施工前後の土量差を確認したい場合、施工によって法肩や法尻そのものが移動する工事では、施工前の法肩と完成後の法肩が同じ位置とは限りません。この場合、単純に各時点の法肩線で体積範囲を切ると、比較する面積が変わります。

そのため、工区境界や施工計画上の固定範囲など、時点に左右されない外周を体積計算範囲として設定し、その内部で施工前面と施工後面を比較する方法も検討できます。

一方、完成した法面そのものの体積や出来形を管理したい場合は、設計上の法肩・法尻との対応が重要になります。このように、何を確認するための出来形体積計測なのかによって、境界線の役割を整理する必要があります。

境界線には名称や作成日、対象工区などを付けて管理すると、別の境界を誤って使用するリスクを減らせます。「境界1」「線A」のような意味の分かりにくい名称ではなく、どの範囲を示すのか後から確認できる情報を残すことが大切です。

複数班で計測や解析を担当する場合は、各担当者が個別に法肩・法尻を判断して境界を作成するのではなく、共通の境界データを利用する運用が有効です。計測者が違っても体積計算範囲が共通であれば、結果の比較性を保ちやすくなります。

出来形体積計測では、「どこまで計測したか」と「どこまで計算したか」は別の情報です。計測範囲は境界より広めに確保し、その中から共通の計算範囲を切り出す考え方にすると、境界付近の点不足にも対応しやすくなります。

法肩・法尻を現地で取り違えやすい代表的な場面

法肩・法尻は教科書的な断面であれば分かりやすいものの、実際の現場では判断しにくいケースが少なくありません。

代表的なのが、法肩や法尻が丸められている法面です。土工では施工機械による整形によって、設計図のような鋭い折れ点にならず、緩やかな曲面としてつながることがあります。この場合、境界を一点に決めること自体が難しいため、設計断面との対応や隣接断面との連続性を確認する必要があります。

次に注意したいのが、小段を持つ法面です。小段には上段法面の法尻と下段法面の法肩が存在するため、境界の種類が増えます。平面表示だけで確認すると、複数の線が近接して見え、どの線を体積計算に使うべきか混乱しやすくなります。

法尻に側溝がある現場も注意が必要です。法面から側溝へつながる位置、側溝の上端、側溝の底など複数の形状変化が存在するため、最も目立つ線を法尻として選んでしまうことがあります。設計図面で法面と構造物の取り合いを確認し、体積計算上どこまでを土工範囲に含めるのかを整理しておくことが重要です。

盛土と既存地盤のすり付け部も判断が難しい場所です。施工範囲の端部では、明確な法尻を作らず、既存地盤へ徐々に勾配を変えながら接続する場合があります。どこからが法面で、どこからが既存地盤なのかが曖昧になるため、設計上の施工範囲と照合する必要があります。

法面と工事用道路が接する場所も同様です。走行によるわだちや路肩の盛り上がりがあると、その凹凸を法肩・法尻と誤認する可能性があります。局所的な形状ではなく、法面延長方向へ連続する地形変化を確認することが重要です。

また、施工途中では完成形の法肩・法尻がまだ形成されていない場合があります。掘削途中や盛土途中の斜面を完成法面と同じ考え方で扱うと、各時点で境界位置が大きく変わります。施工途中の土量管理では、完成形の法肩・法尻だけに頼らず、工区境界や固定した計算範囲を使うことも検討する必要があります。

出来形体積計測で判定条件を統一する実務手順

法肩・法尻の取り違えを防ぐには、個人の経験だけに頼らず、毎回同じ順番で確認する運用を作ることが効果的です。

まず、計測前に対象工区と出来形体積計測の目的を明確にします。施工前後の土量差を確認するのか、完成法面の出来形を確認するのか、途中工程の進捗量を管理するのかによって、必要な境界の考え方が異なるためです。

次に、設計図面で法面の向き、法肩、法尻、小段、排水施設、施工境界などを確認します。この段階で、どの線を体積計算範囲として使う予定なのかを整理しておけば、現地で不要な迷いが減ります。

現地計測では、法肩・法尻だけを狙って最低限の範囲を取得するのではなく、境界の外側まである程度含めてデータを取得します。境界ぎりぎりまでしか点がなければ、後から位置を修正したくても確認材料が不足します。

データ取得後は、まず全体形状を確認し、欠測や不要物の影響を把握します。その後、法面を横切る複数の断面を作成し、上部面、斜面、下部面の位置関係を確認します。

法肩・法尻候補が決まったら、平面上で延長方向へつながりを確認します。ある一点だけ形状が飛び出している場合は、その点に境界線を合わせるのではなく、前後の形状との連続性を確認します。

さらに、設計位置との大きなずれがないかを確認します。ここで重要なのは、設計線と一致しないから直ちに計測データが誤っていると判断しないことです。出来形には施工差があるため、現況を確認したうえで、設計との差が施工結果なのか境界判定の誤りなのかを切り分けます。

境界を確定したら、その線を保存し、次回の出来形体積計測でも再利用できる状態にします。施工時期や工区が異なる場合も、比較するデータ同士で同じ境界が使われているかを確認します。

最後に、算出された体積だけを確認するのではなく、使用した範囲と地形面を画面上で確認します。体積値がもっともらしく見えていても、法肩・法尻の外側まで含まれていれば、本来の管理対象とは異なる結果になります。

この一連の確認を定型化すると、経験の浅い担当者でも法肩・法尻の判定根拠を追いやすくなり、担当者交代時のばらつきも抑えやすくなります。

法肩・法尻の判定精度を高める点群確認の考え方

出来形体積計測では、高密度な点群を取得すれば自動的に正しい体積が求められるわけではありません。点群は現場形状を確認するための材料であり、どの点を地盤として採用し、どの範囲を計算するかは別途判断する必要があります。

法肩・法尻周辺では、まず点群を極端に間引きすぎないことが重要です。勾配変化を確認したい場所の点を大幅に減らすと、本来の折れ形状が滑らかになり、境界位置が分かりにくくなる可能性があります。

一方で、極端に細かな凹凸をすべて境界として追う必要もありません。出来形の地表には石や施工跡などの細かな凹凸が含まれます。法肩・法尻は、そのような局所的変化ではなく、法面全体の主要な勾配が切り替わる位置として判断することが重要です。

三次元表示、平面表示、断面表示を使い分けることも有効です。三次元表示は法面全体の向きや周辺状況を確認するのに適していますが、細かな境界位置の判断には視点による錯覚が生じることがあります。平面表示は境界線の連続性を確認しやすい一方、高低関係が分かりにくいことがあります。断面表示は勾配変化を確認しやすいため、これらを相互に確認すると判断の偏りを減らせます。

また、体積計算後には差分分布を確認する考え方も重要です。施工前後を比較した際に、法肩や法尻に沿って細長い差分が連続している場合、実際の施工変化ではなく境界や位置合わせの違いが影響している可能性があります。

例えば、法肩の外側に沿って一定幅の盛土量が表示される場合、施工によって本当にその部分が盛られたのか、二時期の計算範囲が異なっているのかを確認します。法尻側でも同様に、延長方向へ規則的な差が続く場合は境界条件を再確認する価値があります。

体積の合計値だけでは、このような問題を見つけにくいことがあります。同じ100立方メートルの差でも、法面全体で均等に変化した結果と、境界を一部取り違えた結果では意味が異なります。そのため、出来形体積計測では数値と三次元形状をセットで確認することが大切です。

法肩・法尻を正しく管理して出来形体積計測の再現性を高める

出来形体積計測を継続的な現場管理に利用する場合、一回の測定精度だけでなく、何度測っても同じ考え方で結果を比較できることが重要です。

法肩・法尻の判断ルールが担当者ごとに異なると、計測機器や解析方法が同じでも結果に差が生じます。特に施工途中の出来高管理では、毎週、毎月など複数回の計測を行うことがあります。そのたびに境界を判断し直す運用では、実際の施工量と境界設定による差を分離しにくくなります。

そのため、初回の計測時に法肩・法尻の判定条件を整理し、後から確認できる状態で残しておくことが重要です。境界線そのものに加え、どの図面を基準にしたか、どの断面で確認したか、どの範囲を計算対象としたかといった情報があると、次回の解析でも同じ条件を再現しやすくなります。

施工途中で法面形状が変わる場合には、完成法面の境界と途中工程の計算境界を分けて管理する方法もあります。すべてを「法肩」「法尻」という名称だけで管理すると、異なる目的の線を混同しやすくなるためです。

また、現地で法肩・法尻の判断が難しい場合、計測担当者だけで結論を出さず、施工担当者や設計情報と照合することも大切です。点群上では分かりにくい地形でも、施工順序や設計意図が分かれば、どの位置が法面境界に相当するか判断しやすくなります。

近年は、現場で取得した三次元データをその場で確認しながら計測を進める方法も利用しやすくなっています。計測後に事務所へ戻ってから欠測に気付くのではなく、現地で法肩・法尻付近の取得状況を確認できれば、不足部分を追加で計測しやすくなります。

こうした運用では、携帯しやすい計測環境を活用することで、法面周辺を移動しながら必要な箇所を確認できます。法肩側からだけでなく法尻側からも状態を確認し、境界周辺のデータを十分に取得しておけば、後工程での判断材料を増やせます。

出来形体積計測の効率化というと、計測時間や解析時間の短縮に注目しがちですが、境界を間違えて再計測や再計算が発生すれば、全体の作業時間は増えてしまいます。最初の段階で法肩・法尻を確認し、必要な範囲を確実に取得することが結果的に手戻りの抑制につながります。

まとめ

出来形体積計測で法肩・法尻を取り違えないためには、画面上で目立つ線を感覚的に選ぶのではなく、設計形状と三次元地形の両方から境界を確認することが重要です。

最初に設計図面と横断形状を確認し、法面の上端側と下端側の位置関係を整理します。次に、点群を横断方向に切って勾配変化を確認し、法肩と法尻に相当する位置を探します。さらに、平面位置だけではなく標高を確認し、法面を挟んだ上下関係に矛盾がないかをチェックします。

点群に草木や資材、建設機械、欠測などが含まれている場合には、見かけ上の段差を法肩・法尻と誤認しないことも重要です。複数断面を比較し、延長方向に連続する地形変化なのか、局所的な凹凸なのかを切り分けます。

そして、出来形体積計測を時系列で比較する場合は、一度決めた計算境界をできるだけ共通化し、施工前後で異なる範囲を比較しないよう管理します。境界を変更する必要がある場合は、変更理由や対象範囲を残しておくと、後から体積差の原因を確認しやすくなります。

法肩・法尻の判定は、出来形体積計測の前処理に見える小さな作業ですが、計算対象範囲を決める重要な工程です。高密度な三次元データを取得しても、境界がずれていれば結果の比較性は低下します。設計、断面、標高、点群状態、計算範囲という複数の視点から確認し、現場内で同じルールを使うことが、再現性の高い体積管理につながります。

現場で法肩や法尻の位置を確認しながら三次元データを取得し、計測後の手戻りを減らしたい場合には、携帯しやすい計測環境を整えることも一つの方法です。LRTK Phoneを活用し、必要な場所で位置情報や三次元データを確認できる運用を検討すると、法面を含む出来形体積計測を現場から効率よく進めやすくなります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る