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地籍調査で境界付近に街路樹がある時の確認事項4つ

地籍調査の現場では、道路と民有地の境界付近に街路樹が植えられていることがあります。街路樹は道路景観や歩行環境を構成する分かりやすい現況物ですが、土地の境界を確認する場面では注意が必要です。樹木の幹、植樹ます、植樹帯、縁石などが一直線に並んでいると、それらが道路と民有地を分ける境界であるように見えることがあります。しかし、街路樹や道路施設の位置と土地の筆界が常に一致しているとは限りません。

特に長期間経過した道路では、街路樹の成長による幹の肥大や根上がり、歩道舗装の補修、縁石の更新、植樹帯の改修、道路拡幅などによって、現在見えている形状と過去の土地境界との関係が分かりにくくなっている場合があります。そのため、現況だけを見て境界位置を判断するのではなく、既存の境界標、測量成果、道路関係資料、周辺土地の状況などを組み合わせて確認することが重要です。

また、地籍調査では現地に存在する構造物や樹木の位置を測れば境界が自動的に決まるわけではありません。街路樹の位置は現況を把握するための有力な情報になりますが、境界確認の根拠としてどのように扱うかは、その街路樹や周辺施設が設置された経緯、既存資料との整合、関係者による確認などを踏まえて慎重に判断する必要があります。

この記事では、「地籍調査」で情報を探している自治体担当者、測量担当者、現地調査担当者などを想定し、境界付近に街路樹がある場合に確認しておきたい事項を4つに整理します。現地立会の前に何を見るべきか、街路樹周辺でどのような誤認が起こりやすいか、記録をどのように残すと後工程で活用しやすいかまで詳しく解説します。

確認事項1 街路樹そのものを境界の基準にしない

地籍調査で境界付近に街路樹がある場合、最初に意識したいのは、街路樹の幹や根元をそのまま土地境界の基準として扱わないことです。街路樹は現地で非常に目立つため、道路と宅地を分ける目印のように見えます。しかし、樹木は境界標として設置されるものではなく、時間の経過とともに大きさや形状が変わります。

植栽された直後は細かった幹も、年月とともに直径が大きくなります。仮に植栽時点で幹の中心が境界から一定距離離れていたとしても、成長後は幹の外周が境界付近まで達していることがあります。現在の幹の端を基準にしてしまうと、植栽当初とは異なる位置を基準として認識することになりかねません。

さらに、街路樹は植え替えられる場合があります。老木化、倒木リスク、道路改良、植栽計画の変更などにより、以前とは異なる位置に新しい樹木が植えられている可能性があります。現在の街路樹の位置が数十年前から変わっていないとは限らないため、樹木の位置だけから土地境界を推定するのは適切ではありません。

同様に、街路樹を囲む植樹ますの外周にも注意が必要です。歩道に四角形や円形の植樹ますが整然と配置されていると、その外周線を道路境界と考えてしまうことがあります。しかし、植樹ますは樹木の生育空間や道路施設として設けられたものであり、その形状と土地境界が一致している保証はありません。

植樹帯についても同じです。道路側から車道、歩道、植樹帯、民有地という順番で並んでいる場合、植樹帯の外側が境界であるように見えることがあります。しかし、土地境界より道路側に余裕を持って植樹帯が設けられている場合もあります。反対に、過去の道路改良や用地取得などの経緯が複雑な場所では、現況だけでは境界との位置関係を判断しにくい場合があります。

したがって、街路樹は「境界そのもの」ではなく、「調査時点に存在する現況物」として扱うことが基本です。街路樹の幹、植樹ます、縁石、歩道端、側溝、塀などの位置を観察し、そのうえで既存の境界標や測量成果と照合していきます。

特に重要なのが、街路樹の列と境界線を同一視しないことです。街路樹が等間隔で一直線に並んでいると、その線形には強い視覚的な説得力があります。しかし、植栽計画上の基準線と土地境界線は目的が異なります。道路景観や維持管理を考慮して樹木が配置されている場合、土地境界から一定距離離した位置に植栽されている可能性があります。

現場では、街路樹だけでなく、その前後に存在する境界標の位置も確認します。街路樹の左右に境界標が確認できる場合、それらを結ぶ線と街路樹との位置関係を把握することで、街路樹が境界より道路側にあるのか、境界に非常に近いのかを判断する材料になります。

ただし、周辺の境界標を結んだ線上に必ず対象地点の境界が存在すると決めつけることも避ける必要があります。土地境界には折れ点や曲がりが存在する場合があります。周囲が直線的に見えるからといって推定だけで処理せず、対象地点の既存成果や関係資料を確認することが大切です。

地籍調査の現場では、現況から仮説を立て、資料や測量結果で検証するという考え方が有効です。「街路樹がここにあるから境界はここ」と考えるのではなく、「街路樹はここにあり、周辺の境界標や資料との関係はどうなっているか」と考えることで、現況物に引っ張られた判断を避けやすくなります。

確認事項2 道路区域や植樹帯と土地境界の関係を資料で確認する

2つ目の確認事項は、道路区域や植樹帯、歩道などと土地境界の関係を、利用可能な資料から確認することです。街路樹周辺では、現場の見た目が明瞭であるほど資料確認を省略したくなりますが、むしろ現況が分かりやすく見える場所ほど思い込みに注意する必要があります。

地籍調査を実施する際には、対象土地に関する既存資料を収集し、現地の状況と照合します。利用できる資料の種類や内容は地域や対象道路によって異なりますが、過去の測量成果、道路関係図面、用地関係資料、地積測量図などが参考になる場合があります。

ここで大切なのは、それぞれの資料が何を目的として作成されたものかを確認することです。すべての図面が土地境界を高い精度で示しているわけではありません。道路施設の配置を把握するための図面、植栽管理を目的とした図面、土地に関する測量成果では、記載されている線や点が持つ意味が異なります。

たとえば、図面上に街路樹の位置が描かれていたとしても、その記号が樹木のおおよその配置を示しているだけであれば、土地境界との距離を精密に判断する根拠として使用するのは適切ではありません。一方、測量成果として座標管理された境界点が存在する場合は、現地での確認に利用できる重要な情報となります。

資料の作成年代も確認したいポイントです。道路は長い期間にわたって使用されるため、複数回の改良工事が行われていることがあります。歩道拡幅、交差点改良、排水設備の更新、舗装の全面更新、植樹帯の再整備などによって、道路施設の位置が変わっていることがあります。

そのため、古い資料と現在の現況が一致しないからといって、すぐに土地境界が変化したと考えるべきではありません。境界は変わっていなくても、道路施設だけが更新されている可能性があります。

たとえば、古い図面では歩道端から境界まで一定の空間が存在していたものの、後年の改修で歩道舗装が境界付近まで広げられている場合があります。現在の舗装端だけを見ると、その位置が土地境界のように見えるかもしれませんが、資料を確認すると境界は別の位置にあることが分かる可能性があります。

逆に、道路用地の取得や土地の分筆などが過去に行われている場合は、古い土地境界を現在の境界としてそのまま扱うことはできません。どの年代の資料が現在の土地関係を反映しているのかを確認する必要があります。

実務では、現地立会の前に資料を時系列で整理しておくと確認しやすくなります。対象地について、古い状態、道路整備後の状態、現在の状態という流れを把握すると、街路樹や縁石がいつ設置されたものなのかを検討しやすくなります。

さらに、道路側だけでなく民有地側の資料も重要です。宅地側に塀、フェンス、擁壁、門柱などがある場合、それらが土地境界に沿って設置されたものなのか、境界から控えて施工されたものなのかを確認できる資料が残っていることがあります。

現地では「塀があるからここが境界」「道路の縁石があるからここが境界」と考えやすいものですが、構造物は施工上の都合で境界から離して設けられることがあります。そのため、街路樹、縁石、塀など複数の現況物がほぼ同じ線上に並んでいても、それだけで境界線と断定しないことが重要です。

地籍調査において資料確認の目的は、現地を見なくても境界を決めることではありません。資料と現況を相互に確認し、一方だけでは分からない情報を補うことにあります。現場で街路樹付近に不自然な曲がりや構造物のずれを見つけた場合、資料に戻って道路改良履歴や境界点の配置を再確認することで、その理由が見えてくることがあります。

確認事項3 根上がりや道路補修による現況変化を確認する

3つ目の確認事項は、街路樹の成長による根上がりや、道路施設の補修によって現況が変化していないかを確認することです。街路樹周辺では、現在の構造物の位置が設置当初から維持されているとは限りません。

樹木の根は成長に伴って周囲へ広がります。歩道など限られた空間に植えられた街路樹では、根が舗装の下へ伸び、舗装面を持ち上げることがあります。これによって舗装が盛り上がったり、縁石が傾いたり、植樹ますが変形したりすることがあります。

境界付近の道路施設が根によって動いている場合、その現在位置を境界として扱うと誤認につながる可能性があります。たとえば、道路に沿ってほぼ一直線だった縁石が、一本の街路樹の周囲だけ民有地側へ膨らんでいる場合、その変化が土地境界の折れなのか、樹木の根による縁石の変形なのかを見極める必要があります。

ここで、周囲が直線だから対象部分も必ず直線になると判断してはいけません。実際の土地境界に折れ点が設けられている可能性もあります。したがって、現地形状の不自然さを発見した場合には、前後の境界点や既存測量成果を確認し、その位置が本来どのような線形であるのかを検討します。

歩道舗装の補修履歴も重要です。街路樹の根上がりが発生すると、安全確保のため部分的な舗装補修が行われることがあります。このとき、補修範囲の形状や舗装端が以前の状態と変わることがあります。新旧の舗装材の境目が明確な場合、その線が何らかの土地境界のように見えてしまうことがありますが、単なる工事範囲の境である可能性があります。

縁石についても、損傷した部分だけ交換されていることがあります。新しい縁石と古い縁石の接続部が境界点のように見えたり、交換時の施工誤差によって前後とわずかに位置が違っていたりする場合があります。構造物の角や継ぎ目があるからといって、それが境界点とは限りません。

街路樹周辺では、土砂や落ち葉の堆積にも注意が必要です。植樹ますから流出した土や落ち葉が歩道端に堆積すると、本来の舗装端や境界標が見えにくくなることがあります。数センチ程度の堆積でも、小さな金属標や鋲は容易に隠れてしまいます。

現場で境界標が見つからない場合、「街路樹の根でなくなった」「舗装工事で撤去された」とすぐに判断するのではなく、既存資料に記載された位置と周囲の状況を照合することが重要です。近接する境界点や構造物との距離関係から、標識が存在する可能性がある範囲を絞り込める場合があります。

ただし、街路樹周辺を確認するために無断で掘削したり、根を切断したりすることは避ける必要があります。街路樹や道路施設の管理に影響する可能性がある作業については、必要に応じて道路管理者などと調整したうえで対応することが重要です。

また、境界標が確認できた場合でも、その状態を観察します。街路樹の根の影響で周囲の舗装や土が持ち上がっている場合、標識が傾いている可能性があります。境界標らしきものが存在するという事実だけでなく、既存の座標や周辺境界点との整合を確認することが重要です。

街路樹のある地籍調査現場では、「現況物が動いている可能性」を常に考慮する必要があります。樹木は成長し、道路施設は補修されます。そのため、現在見える構造物を固定的な基準と考えるのではなく、調査時点の状態として記録し、既存成果との関係を検証していく姿勢が求められます。

確認事項4 境界標と街路樹の位置関係を座標と写真で記録する

4つ目の確認事項は、境界標そのものだけでなく、街路樹や周辺施設との位置関係を座標や写真で記録することです。地籍調査では測量によって境界点などの位置を記録しますが、将来の再確認を考えると、数値だけでは現場の状況を十分に把握できないことがあります。

たとえば、境界点の座標が残されていても、その場所が街路樹の根元なのか、植樹ますの外側なのか、縁石の近くなのかは座標値だけでは直感的に分かりません。調査時点の周辺状況を写真として残しておけば、後から現地を確認するときに位置関係を理解しやすくなります。

写真を撮影する場合は、境界標だけを大きく写した近接写真だけでなく、街路樹や道路、民有地側の構造物まで含めた全景も残しておくことが有効です。近接写真では標識の種類や状態を確認しやすく、全景写真では周囲との位置関係を確認できます。

たとえば、街路樹、植樹ます、縁石、境界標、民有地側の塀が一緒に確認できる写真があれば、調査時点でそれぞれがどのような位置関係にあったかを把握できます。将来街路樹が植え替えられたり、歩道が改修されたりした場合にも、過去の現況を確認する手掛かりになります。

ただし、街路樹は将来変化する可能性があるため、「街路樹から何センチ」といった情報だけに依存するのは避けた方がよいでしょう。位置情報を記録する場合は、正式な境界点と現況参考点を明確に区別し、それぞれの意味が後から分かるように管理することが重要です。

街路樹の位置を測定する場合も、何を測ったのかを明確にしておきます。幹の中心を測ったのか、道路側の幹表面なのか、植樹ますの角なのかによって座標は異なります。「街路樹」という点名だけでは測定対象が分からなくなるため、記録時のルールを統一しておくことが有効です。

同じように、縁石についても上端、外側、内側など複数の測定位置が考えられます。現況参考点を取得する場合には、どの部分を記録した座標なのかを明確にしておくことで、別の担当者がデータを使用するときの誤解を防げます。

重要なのは、境界点と参考点の役割を混同しないことです。街路樹や縁石を高精度に測量したとしても、その座標が自動的に土地境界を意味するわけではありません。境界点として確認された位置と、現況説明のために測った位置は区分して管理する必要があります。

地籍調査では担当者だけでなく、後工程の担当者や将来データを利用する人が記録を見る可能性があります。現場を見た本人であれば「この点は街路樹横の参考点」と理解できますが、情報が残っていなければ第三者には分かりません。座標、点名、属性、写真、現場メモなどを関連付けることで、データの意味を維持しやすくなります。

街路樹で境界標が見えにくい場合の確認方法

街路樹が境界付近にある現場では、境界標が樹木や植栽、土砂などによって見えにくくなっていることがあります。特に長期間経過した道路では、街路樹の根元に土が堆積したり、低木が繁茂したりして、かつて確認できた標識が目視できなくなる場合があります。

このような場合には、まず既存資料から境界標の位置を確認します。境界点の座標や周辺点との距離関係が分かれば、現地で探索すべき範囲をある程度絞り込むことができます。

前後の境界標が確認できる場合には、その位置関係も参考になります。ただし、単純に二つの境界点を直線で結び、その線上に対象の境界標が存在すると決めつけるのは避ける必要があります。対象土地の境界線が途中で折れている可能性があるため、図面や既存成果で線形を確認することが重要です。

また、街路樹周辺の舗装面に金属鋲などが見つかった場合も、それが境界標であるかどうかを慎重に確認します。道路上には測量作業、工事施工、埋設施設の管理などを目的としてさまざまな標識が設置されることがあります。金属鋲があるという理由だけで境界点と判断することはできません。

既存成果に記載された座標と一致するか、周辺境界点との位置関係が整合するかなどを確認し、その標識の意味を判断する必要があります。

境界標が街路樹の根元に埋もれている可能性が高い場合でも、無断で根元を掘削することは避けます。街路樹は道路施設の一部として管理されている場合があり、根を傷つければ樹木の健全性や安全性に影響する可能性があります。必要な作業がある場合は、管理者との調整を踏まえて進めることが重要です。

境界標を確認できなかった場合は、その事実も記録しておくことが大切です。「確認できなかった」という情報と、「存在しない」という判断は同じではありません。街路樹、舗装、植栽などのため目視できなかったのか、資料上の位置を確認したものの標識がなかったのかを区別して記録すると、その後の検討に役立ちます。

街路樹周辺の現地立会で確認したいポイント

地籍調査で道路と民有地の境界を確認するときには、関係者による現地確認が重要な場面になります。街路樹がある場所では、関係者が「この木の横が境界だった」「昔から植樹帯の端を境として使っていた」と説明することも考えられます。

こうした情報は現地の経緯を理解する手掛かりになりますが、それだけで境界位置を確定的に判断するのは避ける必要があります。関係者の認識と既存資料、境界標、周辺構造物などを照合することが大切です。

立会前には、対象となる境界点がどこにあると考えられるか、どの資料を根拠として確認するのか、現地でどの構造物を見る必要があるのかを整理しておくと進行がスムーズになります。

現場で初めて大量の資料を確認するのではなく、街路樹、縁石、塀、側溝、既存境界標などの位置関係を事前に把握しておけば、関係者に対して確認したいポイントを具体的に示すことができます。

たとえば、既存成果上では境界点が街路樹より道路側に存在しているにもかかわらず、土地所有者が街路樹の宅地側を境界として認識している場合、その認識の違いをその場で明確にできます。そして、過去の道路改良や塀の施工時期など、追加で確認すべき情報を整理できます。

民有地側に古い塀や擁壁がある場合には、それらの設置時期を確認することも参考になります。現在の所有者が土地を取得する以前から存在する構造物であれば、なぜその位置に設置されたのか分からない場合もあります。

反対に、比較的新しい構造物で、施工時に測量を行った記録がある場合には、その資料が位置関係を確認するための手掛かりになる可能性があります。

道路側についても、街路樹の植え替えや歩道改修などの履歴が分かれば、現況施設がいつ形成されたのかを把握しやすくなります。現在の街路樹が古く見えても、周囲の植樹ますだけ後から更新されているケースも考えられます。

立会時には、その場で境界位置を確認することだけでなく、「どの資料とどの現況を確認したか」を記録することも重要です。後日疑問が生じた場合に、判断に至った経緯を追えるようにしておくと、調査成果の説明性を高められます。

街路樹付近でGNSS測位を行う際の注意点

地籍調査や現況確認でGNSSを利用する場合、街路樹周辺では測位環境にも注意が必要です。GNSS測位は衛星からの信号を利用するため、上空が開けた場所ほど良好な観測条件を確保しやすくなります。

街路樹の樹冠が大きく広がっている場所では、枝や葉によって衛星信号の受信環境が悪くなる場合があります。さらに道路沿いに建物、擁壁、電柱などが存在すると、衛星を見通せる方向が限られたり、反射した信号の影響を受けたりする可能性があります。

そのため、RTKによる測位で固定した解が得られた場合でも、その結果だけで無条件に十分な観測と判断するのではなく、使用する機器が示す測位状態や精度指標などを確認しながら運用することが重要です。

特に境界点が街路樹の幹のすぐ近くにある場合、アンテナを境界点の真上に設置すると樹冠の影響を強く受けることがあります。現場条件によっては、別の測量方法との組み合わせや、周辺の観測可能な位置を利用した測量を検討する必要があります。

また、一度取得した座標だけに依存せず、時間を置いて再度確認したり、周辺の既知点を観測して整合を確認したりすることも有効です。既知点で期待される位置との差が大きい場合には、対象境界点の観測結果についても慎重に確認する必要があります。

街路樹が連続する道路では、一地点だけではなく道路全体の観測環境を把握しておくことも重要です。ある街路樹の下では良好に測位できても、別の地点では建物と樹木によって上空が狭くなっている可能性があります。

測位可能かどうかを現場到着後に初めて判断するのではなく、調査計画の段階で道路幅、建物、樹木などの状況を把握し、必要な観測手段を準備しておくと作業を進めやすくなります。

スマートフォンと組み合わせたRTK-GNSS機器など、携帯性の高い測位手段を使用すると、街路樹や境界標、道路施設などの現況位置を現場で記録しやすくなります。ただし、どのような機器を使用する場合でも、取得された座標だけによって土地境界が法的に確定するわけではありません。

地籍調査として求められる方法や精度管理については、実施する業務に適用される基準や仕様に従い、現場条件に応じた測量方法を選択する必要があります。

地籍調査後を見据えた記録管理の考え方

街路樹付近の地籍調査では、調査が完了した時点だけでなく、その後の利用まで考えて記録を整理することが重要です。街路樹や道路施設は、土地そのものより短い周期で変化することがあります。

街路樹は伐採、植え替え、剪定などによって外観が変わります。歩道も舗装更新やバリアフリー化などによって形状が変化する可能性があります。現在は境界点を探すための非常に分かりやすい目印であっても、将来同じ状態が残っているとは限りません。

そのため、現況写真を残すだけでなく、座標や地点番号などと関連付けて管理しておくことが有効です。写真だけが大量に保存されている状態では、数年後にどの地点を撮影したものなのか判別できないことがあります。

たとえば、写真に対応する地点番号を記録し、境界標、街路樹、縁石などの位置を関連付けておけば、後日担当者が変わった場合でも調査時の状況を理解しやすくなります。

現況点を取得する場合も、境界点と同じ扱いにしないよう注意が必要です。境界点、補助点、街路樹、縁石、塀などについて属性を明確に分けておけば、データを表示した際に何を意味する点なのか判断しやすくなります。

3次元点群を利用して現況を記録する方法も考えられます。街路樹、歩道、縁石、塀などを面的に記録しておけば、特定の点だけを写真で残す場合より周囲との関係を確認しやすくなります。

ただし、点群で非常に細かな形状を取得できたとしても、点群に写っている道路施設の端がそのまま土地境界になるわけではありません。3次元データは調査時点の現況を残すための資料であり、境界を確認する根拠とは区別して扱う必要があります。

一方、確認済みの境界点座標と現況点群を関連付けて管理できれば、「境界に対して街路樹がどちら側にあったか」「縁石と境界の間隔がどの程度だったか」といった情報を視覚的に把握しやすくなります。

将来の道路工事や土地利用の検討時にも、調査当時の現況を把握できる情報が残っていれば確認作業の助けになります。地籍調査で重要なのは精度の高い測量成果を作成することだけではなく、成果が何を示しているのかを後から正しく理解できる状態にしておくことです。

その意味でも、現場記録は「たくさん残すこと」より「意味が分かる形で残すこと」が重要です。撮影地点や対象が不明な写真、測定対象が分からない座標を大量に保存しても、将来的な利用価値は低くなります。

街路樹がある現場では、樹木という分かりやすい対象があるからこそ、「境界点」「街路樹」「植樹ます」「縁石」「塀」といった対象を明確に分類して記録すると、調査成果の説明性を高めることができます。

まとめ

地籍調査で境界付近に街路樹がある場合は、街路樹を単なる目印として見るだけではなく、土地境界との関係を慎重に整理する必要があります。

1つ目の確認事項は、街路樹そのものを境界の基準としないことです。街路樹の幹は成長し、植え替えられる可能性もあります。植樹ますや植樹帯も道路施設として設けられたものであり、その外周が土地境界と一致するとは限りません。

2つ目は、道路区域や植樹帯と土地境界の関係を資料で確認することです。既存の測量成果、道路関係資料などを確認し、図面の作成年代や作成目的にも注意しながら現地と照合します。道路施設が変わっているからといって土地境界まで変わっているとは限らず、反対に過去の土地取得などによって古い資料をそのまま使用できない場合もあります。

3つ目は、根上がりや道路補修による現況変化を確認することです。街路樹の根によって舗装や縁石が変形している場合、現在の道路施設の形状をそのまま土地境界とみなすことはできません。周辺の境界点や既存成果と照合し、変形なのか本来の境界形状なのかを慎重に確認することが必要です。

4つ目は、境界標と街路樹の位置関係を座標や写真で記録することです。街路樹や道路施設は将来変化する可能性がありますが、調査時点の現況を説明する情報としては有効です。境界点と現況参考点を区別し、写真や属性情報を関連付けて残しておけば、将来的な再確認にも活用しやすくなります。

また、街路樹周辺では境界標が土や根によって見えにくくなっている場合があります。確認できないから存在しないと判断するのではなく、既存成果や周囲の境界点を利用して位置を検討することが重要です。必要な確認のためであっても、街路樹の根元を無断で掘削したり、根を傷つけたりするのは避け、道路管理上の調整が必要な作業については適切な手順を踏みます。

GNSSを使用する場合には、街路樹の樹冠や周辺建物によって衛星信号の受信条件が悪くなる可能性にも注意が必要です。測位結果を取得できたかどうかだけでなく、観測状態や既知点との整合を確認し、必要に応じて再観測や別の測量方法を組み合わせることが重要です。

地籍調査の実務では、街路樹、縁石、舗装端、塀など、現地で目立つ物ほど境界の基準として認識しやすくなります。しかし、現況物はあくまで境界を検討するための情報の一つです。既存資料、境界標、測量成果、現地立会で得られる情報を総合的に確認することで、思い込みによる誤認を防ぎやすくなります。

さらに、調査時点の現況を座標や写真、点群などで整理しておけば、後から街路樹が植え替えられたり道路施設が更新されたりした場合にも、当時の位置関係を確認しやすくなります。重要なのは、現況データそのものを境界とみなすことではなく、確認された境界情報と現況記録を明確に区分しながら関連付けて残すことです。

地籍調査の現場で、境界点の位置確認と周辺状況の記録を効率よく行いたい場合は、持ち運びやすい測位環境を活用する方法もあります。境界付近の位置情報、現況写真、3次元データなどを現場で扱い、後工程でも確認しやすい記録へつなげたい場合には、LRTK Phoneを活用した現場計測・記録の方法も確認してみてください。

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