締切撤去後の埋戻し土が土量管理で抜けやすい理由
河川、排水路、水路、橋梁下部工、そのほか地下構造物の施工では、施工箇所への水や土砂の流入を抑えるために仮設の締切を設けることがあります。締切の形式は現場条件によってさまざまで、仮設盛土によって施工範囲を囲う場合もあれば、矢板などの仮設材を使って施工空間を確保する場合もあります。
こうした工事で土量管理を難しくするのが、構造物本体が完成した後です。仮設として設けた締切を撤去すると、施工条件によってはその場所に掘削部や復旧が必要な範囲が残り、周囲の計画形状に戻すための埋戻しが必要になります。しかし施工計画の初期段階では、本体構造物の床掘り、基礎材、埋戻し、盛土などに意識が向きやすく、締切撤去後に必要になる土量が管理上の拾いから漏れることがあります。
現場で土量管理を行うときに重要なのは、「締切に使った土量」と「締切撤去後に必要となる埋戻し土量」を管理上は区分して捉えることです。締切に使用した土を撤去し、その一部を再び埋戻しに利用する場合であっても、施工上の移動量と完成形として必要な数量は同じとは限りません。
ただし、契約数量、出来形数量、積算上の数量区分は、工事ごとの設計図書、数量算出要領、特記仕様書などで定められる考え方が優先されます。現場独自の土量収支管理と、発注者へ提出する数量を同じ扱いにせず、どの基準の数量を管理しているのかを明確にしておくことが大切です。
さらに、締切を撤去した後の地形は、設計時に想定した単純な形状にならないことがあります。施工中の床掘り、流水による洗掘、重機の走行、仮設材の撤去、法面の崩れなどによって、実際に復旧する空間が変化する可能性があるためです。そのため、図面上の締切寸法だけを使って埋戻し土を見込むと、実施工で必要となる量との間に差が生じる場合があります。
締切撤去後の埋戻し土を実施工量として把握するには、完成形だけを見るのではなく、撤去した時点でどのような空間が残っているかを確認し、その形状と復旧後の計画形状との差を整理する方法が有効です。ただし、この形状差がそのまま契約数量になるとは限らないため、数量算定の目的を分けて考える必要があります。
ここでは、現場で土量管理を行う実務担当者が締切撤去後の埋戻し土を見落とさないために、確認しておきたい5つのポイントを整理します。
ポイント1 撤去前ではなく撤去後に残る空間を数量範囲にする
最初のポイントは、実施工に必要な埋戻し量を把握するとき、締切そのものの形状だけではなく、締切を撤去した後に残る空間を数量算定の対象として確認することです。
例えば土を盛って締切を構築している場合、施工前には締切盛土の断面があります。しかし締切を撤去すると、その土を単純に取り除くだけではなく、周囲の河床や地盤、法面などを計画形状に復旧する作業が必要になる場合があります。このとき必要となる埋戻し量は、最初に締切へ投入した土量と必ずしも一致しません。
施工期間中に締切内側を床掘りしていれば、撤去時には当初地盤より深い空間が存在していることがあります。また、本体構造物の施工に必要な作業幅を確保するため、設計断面より広い範囲まで掘削していることもあります。そうした余掘り部分を最終的に埋め戻す必要があるなら、その範囲も実施工の土量管理に含めて確認します。
反対に、本体構造物が完成したことによって、締切施工前には土であった部分がコンクリートなどの構造物に置き換わることもあります。この部分まで元の地形に戻す前提で計算すると、埋戻し土量を過大に拾ってしまいます。
したがって、実施工量を把握する考え方の一つは、「復旧後の計画形状」と「締切撤去後に残る現況形状」との差を確認することです。どの面を基準に差分を取るか、どこまでを復旧対象とするかは、設計図書や施工計画と整合させて決めます。
断面管理であれば、撤去後断面と復旧計画断面を同じ測点位置で比較します。各断面の不足面積を求め、隣接する断面間の距離を使って体積を算出します。形状変化が比較的緩やかで、当該工事の数量算出方法として認められている場合には、隣り合う断面積をA1、A2、断面間距離をLとして、両断面積の平均に距離を乗じる平均断面法で体積を整理できます。
ただし、締切の端部、構造物との取り合い、法面変化部などでは断面形状が急に変わります。その場合、測点間隔を広く取りすぎると実際の形状を十分に表現できません。締切中央部では大きな変化がなくても、端部だけで必要量が増えていることがあるため、形状の変化点に断面を追加することが重要です。
現場で数量を拾う際には、「締切の長さ×幅×高さ」のような単純な直方体計算だけで終わらせないことが大切です。締切撤去後にどこが空間として残り、どこまでを復旧するのかを最初に決めることで、その後の数量計算が整理しやすくなります。
また、施工途中で埋戻しを進める場合には、最終撤去時だけを確認しても全量を把握できないことがあります。締切を部分撤去しながら順次復旧する施工では、区間ごとに撤去前、撤去後、埋戻し後の状態を整理し、それぞれの数量範囲を明確にしておく必要があります。
土量管理では、「何立方メートルあるか」を計算する前に、「どこからどこまでを計算するか」を決める作業が重要です。締切撤去後埋戻し土でも、この数量範囲の設定が最初の確認事項になります。
ポイント2 平面だけでなく高さと断面変化を押さえる
二つ目のポイントは、埋戻し範囲を平面的な面積だけで判断せず、高さ方向の変化を確認することです。
締切は施工区間に沿って一定の高さや幅になっているとは限りません。河床や地盤に縦断勾配があれば、締切の基部高さも区間によって変わります。構造物付近では床掘りが深くなり、締切端部では既設地盤へ徐々にすり付いていくこともあります。
平面図だけを見ると同じ幅の埋戻し範囲に見えても、実際の必要土量は高さによって変わります。特に注意したいのが、床掘り底面、河床、法面、構造物際が重なる場所です。平面的な範囲が小さくても深さが大きければ、無視できない数量になる可能性があります。
現場で土量管理をするときには、平面位置、標高、断面形状を一組として扱うことが重要です。
例えば締切延長を複数の測点に分け、各測点で撤去後の地盤高と計画復旧高を確認します。中央部だけでなく、締切の始点、終点、構造物との接続部、床掘り深さが変わる位置、法勾配が変化する位置などを重点的に押さえます。
高さ管理でもう一つ注意したいのが、基準となる高さの統一です。設計図面の計画高と現場測量の高さが異なる基準で扱われていれば、そのままでは正しい差分比較ができません。設計データ、施工測量、点群などを重ねて数量比較する場合は、平面座標だけでなく高さの基準も対応していることを確認します。
また、施工中に河床や地盤が変化する現場では、施工前の測量成果をそのまま撤去後地盤とみなさないことも大切です。締切設置から撤去までの間に、流水や降雨による洗掘、堆積、重機走行などによって地形が変わる可能性があります。
締切内側の排水を行っている現場では、湧水や排水の影響で局所的に地盤が乱れることもあります。反対に、施工中に土砂が堆積して当初より地盤が高くなっている部分があれば、その場所の埋戻し量は少なくなる可能性があります。
そのため、実際に施工する埋戻し量を把握する目的では、可能であれば撤去後の現況地形を確認することが有効です。ただし、発注者に提出する出来形数量や契約数量の算定面を撤去後地形へ置き換えてよいかどうかは別問題であり、設計図書や適用する数量算出基準を確認する必要があります。
現場条件によって撤去直後の測量が難しい場合でも、締切撤去工程と数量確認工程を事前に結び付けておくと対応しやすくなります。撤去してすぐ埋め戻してしまった後に、撤去後の高さを測っていなかったと気付いても、その形状を正確に再現することは困難です。
施工手順書や日々の作業計画の段階で、必要な数量確認を終えてから埋戻しへ移る確認点を設定しておくことは、数量根拠を残す方法の一つです。ただし、工程上の停止点や確認方法は発注者との協議事項や施工計画に従って設定します。
ポイント3 仮設材や既設構造物との境界を分けて考える
三つ目のポイントは、埋戻し対象となる土の空間と、仮設材や構造物が占める空間を混同しないことです。
締切工では、土だけで構成する場合だけでなく、さまざまな仮設材を組み合わせることがあります。さらに、本体構造物、既設護岸、基礎、配管、根固め部などが埋戻し範囲と接していることもあります。
このような現場で単純に外周形状だけを計算すると、本来は構造物が存在している体積まで埋戻し土として計上してしまうことがあります。
例えば、本体構造物の側面から既設地盤までの空間を埋め戻す場合、実施工上の土量として確認するのは、構造物外面と撤去後地盤の間のうち、土砂や指定材料で埋める範囲です。本体構造物の体積は土量には含めません。基礎コンクリート、置換材、排水層など、別工種として施工される材料がある場合も、それぞれを区分して整理します。
仮設材を引き抜く場合にも注意が必要です。仮設材そのものの体積と、引抜き後に地盤へ生じる影響範囲を同じものとして考えることはできません。引抜き後にどの程度の充填や復旧が必要になるかは、施工方法、地盤条件、設計条件などによって異なるため、設計図書や施工計画で定められた方法に従って扱う必要があります。
また、締切に使用していた土を撤去して再利用する場合、「撤去土」と「埋戻し土」を帳簿上で一つにまとめない方が管理しやすくなります。
撤去した土が一定の体積であっても、その全量が埋戻し材として使用できるとは限りません。使用可否は、設計図書で求められる材料条件、土質、含水状態、異物混入の有無、必要な品質確認などに左右されます。別用途へ回す土や場外へ搬出する土が生じる場合もあれば、締切撤去土だけでは足りず、別の場所から埋戻し材を運び込む場合もあります。
このため、現場で土量管理を行う際には、締切撤去による発生量、再利用可能量、埋戻し必要量、不足する搬入量を別々に整理すると収支を追いやすくなります。
数字上では埋戻し必要量と撤去土量が同程度でも、実際の施工では必ずしも収支が一致しません。材料条件や施工条件を確認せずに「撤去した土をそのまま戻せば足りる」と判断すると、施工途中で不足や品質上の不適合が判明する可能性があります。
特に構造物周辺の埋戻しでは、施工条件によって使用する材料や締固め方法が指定されている場合があります。どの土でも自由に戻せるとは限らないため、設計図書や施工計画で材料区分を確認したうえで土量収支を組み立てる必要があります。
土量管理表でも、一つの「埋戻し」という項目だけでまとめるより、どの区間で、どの材料を、どこへ使用したかを追える形にしておくと、月末数量や完成時数量の照合がしやすくなります。
ポイント4 埋戻し土の調達量と締固め後数量を混同しない
四つ目のポイントは、完成形として必要な埋戻し体積と、実際に運搬・投入する土量を同じ数字として扱わないことです。
土は掘削、運搬、敷均し、締固めといった施工過程で状態が変わります。地山状態、ほぐした状態、締め固めた状態では体積が異なるため、土量収支ではどの状態を基準にした数量なのかを明確にする必要があります。
締切撤去後の空間を測って「埋戻す体積が500立方メートル程度ある」と把握できたとしても、それだけで搬入する土量が500立方メートルになるとは限りません。形状差から得た体積、積算や契約上の数量、ダンプ等で扱うほぐした土量を区別して整理する必要があります。
また、形状差から求めた埋戻し体積を、どの数量区分として扱うかは工種や適用基準によって異なります。埋戻し締固めを締固め後の土量として扱う基準もありますが、すべての土工数量が同じ状態基準で計上されるわけではありません。対象工事の数量算出要領や設計図書を確認し、「地山土量」「ほぐし土量」「締固め後の土量」のどれを示す数字なのかを揃えることが重要です。
土量変化率についても、現場判断で任意の係数を当てるのではなく、積算や契約数量では適用する基準に定められた考え方を優先します。一方、実際の搬入計画や仮置き計画では、土質、含水状態、施工方法、締固め条件、試験結果、施工実績なども確認し、設計上の換算と実施工上の収支を分けて管理すると安全です。
締切に使用した土を再利用する場合も同様です。撤去時に把握した土量を、そのまま締固め後の埋戻し量として扱うと収支が合わないことがあります。
実務では、少なくとも「撤去した土」「仮置きしている土」「再利用した土」「新たに搬入した土」「完成形として埋め戻した数量」という流れを意識します。
この流れが整理されていれば、埋戻し途中で残土が多い場合にも原因を考えやすくなります。必要量を過大に見積もっていたのか、撤去土量が想定より多かったのか、別区間から土が移動してきたのか、あるいは数量の状態基準が混在していたのかを確認できます。
逆に、埋戻しの途中で土が不足した場合も、原因を切り分けやすくなります。撤去後形状が想定より深かった、床掘り範囲が広かった、再利用可能量が少なかった、土量換算の前提が実施工と合っていなかった、といった要因を一つずつ確認できます。
土量管理で重要なのは、一つの数量を正しい数字にすることだけではありません。数量がどこから発生し、どこへ移動し、どの状態で管理されているのかをつなげることです。
締切撤去後埋戻し土についても、完成形の必要量だけを計算するのではなく、実際の土の動きまで一連の収支として管理すると、現場での発注量や搬入計画を立てやすくなります。
ポイント5 撤去前後の測量と写真を同じ基準で残す
五つ目のポイントは、数量を後から説明できる記録を残しておくことです。
締切撤去後の埋戻しは、完成後には見えなくなる部分が多いため、施工が進んでから数量根拠を確認しようとしても難しい場合があります。埋戻しが完了して河床や地盤が復旧されれば、撤去直後にどの程度の空間が存在していたかを現場で直接確認することはできません。
そのため、締切撤去工程そのものを土量管理の記録タイミングとして考えることが有効です。
施工前、締切設置後、本体施工後、締切撤去後、埋戻し完了後など、数量確認に必要な複数の状態を、比較できる座標基準と高さ基準で記録できれば、施工前後の変化を追いやすくなります。
すべての段階で詳細な測量が必要とは限りません。対象工事で求められる管理基準や提出資料を確認したうえで、少なくとも数量算定や施工記録に使う状態については比較可能なデータを残します。
特に実施工量の把握で重要なのが撤去後です。撤去後地形がわかれば、計画完成形との差から復旧に必要な体積を検討できます。埋戻し完了後の形状まで取得すれば、復旧範囲が計画形状に沿っているかを確認する材料にもなります。
写真も数量管理を補完する重要な記録です。ただし、写真だけを残しても寸法や高さを正確に把握できるとは限りません。
撮影する際には、どの測点付近なのか、どちらの方向を向いているのか、何を確認するための写真なのかが後から分かるように整理します。構造物との取り合い、締切端部、深く掘れている部分、局所的な洗掘部など、数量に影響しそうな箇所を重点的に記録すると有効です。
測量データと写真を同じ区間名や測点名で管理しておけば、数量確認時に「この断面がなぜ大きいのか」という疑問が出たときに現場状況を確認しやすくなります。
一方、記録時期がずれていると比較が難しくなります。撤去後測量の前に一部の埋戻しを始めてしまったり、写真撮影時と測量時で地形が変化していたりすると、同じ状態を記録した資料として扱いにくくなります。
そのため、現場の作業工程に「数量確認のための記録」を組み込むことが重要です。締切撤去が完了したら、必要な測量と写真記録を行い、施工計画で定めた確認を経て埋戻しへ進む流れにしておくと、記録漏れを防ぎやすくなります。
数量管理のための記録は、施工工程と切り離して考えるよりも、工程の一区切りとして設定する方が運用しやすくなります。
現場で土量管理するための数量照合フロー
締切撤去後埋戻し土を安定して管理するには、個別の計算方法だけでなく、施工前から完成までの確認順序を決めておくことが重要です。
まず施工前には、設計図面と施工計画から締切範囲を確認します。この段階では、締切の延長や高さだけでなく、本体構造物の床掘り範囲、作業幅、既設構造物との取り合い、最終的な復旧形状まで確認します。
ここで「締切撤去後にどこを埋め戻すのか」を数量管理図などに明示しておくと、その後の確認が容易になります。あわせて、契約数量の算定範囲と現場独自の実施工量管理範囲が同じかどうかも確認しておくと、後の照合で混乱しにくくなります。
施工が始まったら、当初地盤と実際の掘削範囲との差を確認します。設計断面どおりに施工していても、現場では施工性や安全確保のために形状が変化することがあります。その変化が最終的な埋戻し量へ影響するなら、変更内容を記録します。設計変更や数量変更の扱いが必要な場合は、工事の契約手続きや発注者との協議に従います。
本体構造物の施工後は、本体が占める範囲を確認します。構造物周辺に別材料による埋戻しがある場合は、通常の土砂埋戻しと区分します。
次に締切撤去工程へ入ったら、実施工量を把握するために撤去後地形を確認します。この時点は埋戻し前の形状を残せる重要なタイミングです。平面範囲だけでなく高さも取得し、可能であれば断面や三次元形状として残します。
撤去後地形と復旧計画形状との差から、現場で必要となる埋戻し体積を検討します。断面による計算では、形状変化の大きい場所に測点を追加します。三次元データを使用する場合でも、計算範囲の境界を明確にすることが必要です。
ソフトウェアで体積が自動算出されたとしても、範囲設定や基準面が誤っていれば、目的に合う土量にはなりません。締切外側の地盤まで含めていないか、本体構造物を土量として扱っていないか、復旧対象外の範囲を含めていないか、基準高さが一致しているかを確認します。
算出した実施工上の必要量は、再利用可能な撤去土量と照合します。再利用だけで不足する場合は搬入量を計画し、余る場合は別用途への利用や残土処理を施工計画や関係基準に沿って整理します。
埋戻し施工中は、搬入実績だけで進捗を判断しないことも大切です。何台運んだかという記録と、どの高さまで埋戻しが完了したかという施工状況の両方を確認します。
搬入数量と形状から把握した数量に差があった場合は、土の状態の違いだけで説明しようとせず、埋戻し範囲、地盤形状、材料区分、計測時期、土量変化率の扱いなどを含めて原因を確認します。
最後に埋戻し完了後の形状を確認し、計画復旧形状との整合を確認します。これによって、施工前の見込み数量、撤去後の実施工向け算定数量、実際の搬入・再利用実績などを比較できます。
ただし、これらの数字は必ずしも同じ状態基準や契約上の意味を持つわけではありません。比較表では「設計数量」「撤去後形状差」「締固め後数量」「ほぐし土の搬入量」など、数量の意味を明示しておくことが重要です。
LRTK Phoneを使って撤去後の形状を記録する考え方
締切撤去後のように短時間で地形が変わる場所では、現場の状態を三次元的に残しておくことが土量管理に役立つ場合があります。
LRTK Phoneを活用する場合も、重要なのは単に現場を計測することではなく、どの状態をどの基準で記録するかを事前に決めることです。LRTK Phoneでは絶対座標付き点群を取得し、クラウド上で座標、距離、面積、体積などを計測できるため、撤去後地形を面的に記録して後から確認する用途に活用できます。
まず、締切撤去後から埋戻し開始までの間に、対象地表が露出し、安全に計測できる状態で形状を取得できるよう、施工工程と計測工程を合わせます。埋戻しが始まってから撤去後形状を取得しようとしても、すでに一部が隠れてしまえば本来の空間を把握できません。
一方、締切撤去によって直ちに湛水する場所や、水面下の地形を把握する必要がある場所では、スマートフォンのカメラやLiDARによる地表点群だけで必要形状を直接取得できるとは限りません。対象が露出しているうちに取得する、別の測量方法を併用するなど、現場条件に合った計測方法を選ぶ必要があります。
取得する範囲についても、必要な場所だけを狭く切り取るのではなく、構造物や既設地盤など位置関係を判断できる周辺部分まで含めておくと、後の照合が行いやすくなります。
三次元形状を使って土量差を求める場合は、撤去後地形と計画復旧面を対応する位置・高さの基準で扱うことが前提です。座標や高さの基準が異なるデータをそのまま比較すると、実際には存在しない差が土量として表れる可能性があります。
また、点群などの三次元データが取得できても、それだけで数量範囲が決まるわけではありません。締切端部をどこに設定するか、構造物外面をどこまで除外するか、既設地盤との境界をどこに置くかは、設計図書や施工条件を確認して判断する必要があります。
三次元データの利点は、面的に記録しておけば後から任意位置の断面を確認しやすいことです。現場であらかじめ決めた数断面だけを測量する方法では、数量確認後に別位置の断面を見たくなっても記録が残っていない場合があります。形状を面的に記録していれば、局所的な深掘れや端部形状を後から確認する材料にできます。
ただし、点群の位置精度や形状精度は、測位環境、対象物、スキャン方法、基準点や標定点による確認状況などの影響を受けます。衛星測位が不安定な場所や遮蔽の多い場所では、既知点との照合などにより、数量計算へ使える状態かを確認することが重要です。
写真記録と組み合わせることも有効です。数量差が大きかった場所について、三次元形状だけでなく現場写真も残しておけば、洗掘なのか、床掘り範囲の拡大なのか、構造物との取り合いなのかを判断する材料が増えます。
ただし、デジタル計測を導入しても、従来の数量管理の考え方が不要になるわけではありません。
どの範囲を土量として扱うのか、何の状態と何の状態を比較するのか、土の状態をどのように換算するのか、契約数量と現場管理数量をどう区別するのかという基本整理は必要です。計測機器は、その判断に必要な現場形状を残し、数量確認を効率化するための手段として使うことが重要です。
締切撤去後埋戻しのように施工後には見えなくなる部分では、現場形状を記録できるタイミングが限られています。LRTK Phoneなどを活用し、計測可能な条件で撤去直後の地形と位置情報を残す運用を組み込んでおけば、数量算定だけでなく、施工後の説明資料を整理する際にも活用しやすくなります。
まとめ
現場で土量管理を行う際、締切撤去後の埋戻し土は、施工条件によって数量差が生じやすく、管理上の拾い漏れに注意したい部分です。
見落としを防ぐためには、最初に締切そのものの土量と撤去後埋戻し土を管理上分けて考える必要があります。実施工量の把握では、締切設置時の形状だけでなく、撤去後に残った空間と復旧計画形状との差を確認することが有効です。ただし、その差分を契約数量や出来形数量として採用できるかは、設計図書や適用する数量算出基準を確認しなければなりません。
一つ目のポイントは、撤去後に残る空間を数量範囲として明確にすることです。二つ目は、平面範囲だけでなく高さや断面変化まで確認することです。三つ目は、本体構造物や仮設材、別材料の施工範囲と土砂埋戻しを分けることです。四つ目は、締固め後の数量、地山土量、ほぐし土量、撤去、仮置き、再利用、搬入といった実際の土の状態と移動を混同しないことです。五つ目は、撤去後から埋戻し前という限られたタイミングで測量と写真を残し、後から数量根拠を確認できるようにすることです。
これらを一連の流れとして管理すると、単に埋戻し体積を計算するだけでなく、締切撤去土をどれだけ再利用できるか、どの程度の搬入が必要か、完成時にどの数量区分で整理するかまで追いやすくなります。
特に重要なのは、埋めてしまう前に必要な記録を残すことです。締切撤去後の地形は、埋戻しが始まれば確認できなくなります。月末や完成時に数量根拠を整理しようとしても、撤去直後の記録がなければ推定に頼らざるを得ない場合があります。
そのため、締切撤去を単なる仮設撤去工程として扱うのではなく、必要に応じて土量管理上の計測ポイントとして施工計画へ組み込むことが有効です。
現場の形状を三次元で記録し、撤去後地形と復旧計画面の差を確認できるようにすれば、複雑な端部や構造物周辺でも数量を整理しやすくなります。ただし、三次元計測結果を数量根拠として使用する際は、計測条件、座標・高さ基準、適用する出来形管理や数量算出のルールを確認したうえで利用します。
締切撤去後の土量を含め、床掘り、埋戻し、盛土などの現場数量を位置情報と三次元形状に結び付けて管理したい場合は、LRTK Phoneの紹介ページで現場計測から点群・体積計測までの活用方法を確認すると、実際の運用をイメージしやすくなります。