盛土の体積計算で地盤改良後の置換面が重要な理由
盛土の体積を計算するときは、計画地盤と施工前地盤の高低差だけを求めればよいとは限りません。軟弱地盤対策などにより、掘削、地盤改良、置換、埋戻しを行う現場では、どの面から上を盛土として扱うかによって数量の意味が変わります。
本稿では、地盤改良や不良土の除去などを行った後、次の材料を施工する際の下端となる面を便宜上「置換面」と呼びます。ただし、この呼称はすべての工事で共通に定義されているとは限りません。図面や数量計算書では、掘削底面、置換底面、改良天端、置換完了面、盛土施工基面などが別々の面として示されることがあります。
したがって、名称だけで面を決めるのではなく、その面がどの施工段階を表し、上側と下側にどの材料や工種が配置されるのかを確認する必要があります。契約数量を算出する場合は、契約図書、適用する数量算出要領、設計変更に関する指示や協議結果を優先します。材料手配や土収支を目的とする場合も、契約数量とは別の管理数量であることを明確にしておくことが重要です。
置換面を誤って設定すると、置換土を通常の盛土に重ねて計上したり、掘削後に生じた空間を計算から外したりするおそれがあります。また、設計面と施工後に計測した面を混在させると、設計数量、施工管理数量、出来形数量のどれを示す値なのかが不明確になります。
盛土の幾何学的な完成体積は、原則として上側の面と下側の面で囲まれた空間として捉えられます。盛土完成面を上側、地盤改良後の施工基面を下側とする場合は、その二つの面の標高差を対象範囲内で積み上げて体積を求めます。ただし、途中に路体、路床、砕石、構造物など別の数量区分がある場合は、区分ごとに面を分けなければなりません。
置換面より下に施工する材料が、置換工、埋戻し、改良土、路体盛土などのどれに該当するかは、工事ごとの設計条件で異なります。同じ材料を用いる場合でも、品質管理や積算上の区分が異なることがあります。一般論だけで一つの工種に決めず、採用する基準と設計図書に合わせて整理します。
地盤改良後の置換面を確認することは、盛土量の算出だけでなく、材料手配、運搬計画、施工区画の管理、変更数量の説明にも関係します。以下では、盛土の体積計算方法を組み立てる際に確認したい六つの要点を解説します。
確認1 置換面が示す施工上の境界を明確にする
最初に確認するのは、図面や数量計算書に示された置換面が、具体的にどの施工段階の面を表すかです。そのためには、面の名称だけでなく、施工順序と材料区分を対応させます。
地盤改良を伴う工事では、施工前地盤、不良土を除去した後の掘削底面、改良体の天端、置換材料の施工後面、通常の盛土を開始する施工基面など、複数の境界面が生じます。これらを同じ面として扱うと、数量区分に重複や空白が発生します。
例えば、一定深さまで掘削した後に処理土を施工する計画では、掘削底面と処理土の天端は別の面です。掘削底面から処理土天端までを地盤改良または置換に関する数量として扱い、処理土天端から次の計画面までを盛土として扱うことがあります。ただし、この区分は一例であり、実際には設計図書に示された工種と数量区分を確認しなければなりません。
原位置土を掘削せずに改良する工法では、改良前後で地表面の高さが大きく変わらない場合があります。一方で、施工に伴う隆起、沈下、整形、不陸調整などにより、設計上の改良天端と施工後の実測面が一致しないこともあります。どちらを計算に使うかは、設計数量、施工計画、出来形確認などの目的によって分けて考えます。
置換面を確認するときは、平面図だけでなく、縦断図、横断図、標準断面図、地盤改良詳細図、施工計画書、数量総括表などを照合します。ある図面の「改良天端」と別の図面の「盛土施工基面」が、名称の印象だけで同じ面だと判断するのは避けます。
高さが明示されていない場合は、周囲の計画高、改良厚、掘削深さ、置換厚から暫定的に面を組み立てられることがあります。ただし、推定した面をそのまま契約数量や確定数量に用いるのではなく、仮定した条件を記録し、必要な確認や協議を経て扱いを決めることが安全です。
また、「置換」という語が、土を除去して別材料に入れ替える施工そのものを示す場合と、数量項目の名称として使われる場合があります。実際の施工内容と数量区分が一致しているとは限らないため、材料名、施工方法、品質管理項目、上端面、下端面を一組として整理します。
盛土体積を求める前に、少なくとも盛土の下端として採用する面、その面より下の数量区分、その面より上の材料区分を明確にします。この定義が曖昧なままでは、計算式が正しくても、算出値が何を表すのか説明できません。
確認2 計算に使用する地盤データの時点をそろえる
盛土体積を計算するときは、使用する地盤データの取得時点と施工状態を確認します。施工前、掘削後、地盤改良後、置換完了後では、同じ場所でも面の高さと形状が異なります。
注意したいのは、平面範囲には地盤改良後のデータを用いながら、一部の高さに施工前の現況値を混ぜることです。異なる時点の点を一つの面に組み込むと、実際には存在しなかった地形が作られ、体積差の原因になります。
例えば、施工前の標高が50.00メートル、地盤改良や整形後の施工基面が49.50メートル、上側の計画面が51.00メートルであるとします。施工基面から計画面までの幾何学的な厚さは1.50メートルです。一方、施工前地盤と計画面の標高差は1.00メートルです。
この二つは用途が異なります。地盤改良後に実際に満たす空間を求めるなら、施工基面から上側の面までの1.50メートルが基礎になります。施工前地盤と完成面の正味の標高差だけを見るなら1.00メートルですが、これは施工基面より下に生じた空間を含む搬入材料量と同じではありません。
このため、盛土の体積計算方法は、数量の目的と基準時点をセットで定める必要があります。現況地盤、設計上の改良天端、設計置換面、実測した置換完了面のどれを下端面としたかを、計算書の冒頭に記載します。
設計段階では、設計図から作成した面を用いることがあります。材料手配では、設計数量とは別に、土量変化、施工条件、在庫や搬入単位などを考慮した管理数量を作ることがあります。出来形や変更数量では、適用する要領と契約図書に従い、測量結果を使う範囲と扱いを決めます。
実測面を使えば常に妥当な数量になるわけではありません。計測点が不足している場所、重機の走行跡が残る場所、水たまりや軟弱部がある場所では、表面形状が計測方法や計測時期の影響を受けます。測定対象が施工直後の不陸を含む面なのか、整形後の管理面なのかも記録します。
地盤改良後に敷砂、砕石、保護層などを施工している場合は、どの層の天端を測ったのかを確認します。厚さ0.05メートルの層が2,000平方メートルに広がれば、単純な面積と厚さの積は100立方メートルになります。薄い層でも面積が広ければ、下端面の選択が数量に影響します。
計測データには、取得日、対象施工区画、施工状態、測定方法、使用した基準点を記録します。複数日に分けて施工した場合は、施工済み範囲と未施工範囲、各日の測定範囲、重複部分を区別します。
計算に使用する点が、同じ施工段階と同じ高さ基準を表しているかを確かめることが、二つ目の重要な確認事項です。
確認3 置換面の平面範囲と端部形状を正しく設定する
置換面の高さが正しくても、平面範囲を誤れば体積は正しく求められません。特に、地盤改良範囲の端部、盛土法尻付近、構造物周辺、段差部では、設計範囲と実施工範囲が一致しないことがあります。
地盤改良の範囲には、構造物や道路の直下だけでなく、設計上の余幅や施工上必要な範囲が含まれる場合があります。一方、盛土の範囲は、法面、路肩、小段、構造物との取合いまで広がることがあります。改良範囲と盛土範囲は必ずしも同じではありません。
改良範囲の内側では地盤改良後の面を下端とし、外側では施工前地盤や別の施工基面を下端とする場合、境界線で計算面が切り替わります。この切替線を設定せずに改良後の面を外側へ延長すると、改良していない範囲まで深い下端面が作られ、盛土量を過大に算出するおそれがあります。
反対に、改良範囲を図面より狭く設定すると、実際に掘削または置換した余幅部分が計算から抜ける可能性があります。契約数量では設計範囲、施工管理では施工区画、変更数量では確認済みの変更範囲というように、目的に応じた境界の根拠を明確にします。
端部の形状にも注意が必要です。地盤改良や置換の端部が、平面上の境界線で鉛直に切り替わるとは限りません。掘削法面、段切り、すり付け、施工余幅などがある場合は、境界が傾斜面または段状になります。
例えば、鉛直1に対して水平1の勾配ですり付ける計画なら、平面上の線だけでなく、その線から立ち上がる傾斜面を表現します。端部を鉛直面とみなすと、すり付け部分の体積差が生じます。実際の勾配は設計図書に従い、例示した勾配を一般値として用いないことが重要です。
段差が複数ある場合は、各段の高さ、幅、延長、切替位置を確認します。横断図に段差が示されていても、平面上の位置が十分に示されていない場合があります。そのときは、測点間をどのように接続したかを計算条件として残します。
道路や造成地では、測点ごとに改良幅が変化することがあります。全幅改良から片側改良へ切り替わる場所や、改良幅が徐々に消える場所に代表断面だけを長く適用すると、変化区間を適切に表現できません。幅、勾配、段差、切盛境が変わる位置には、必要に応じて断面や形状変化線を追加します。
構造物周辺では、基礎、擁壁、排水構造物、管路、集水桝などが盛土対象空間内に存在するかを確認します。構造物が占有する空間は、幾何学的には盛土材料が入らない部分ですが、数量算出で控除する範囲や最小寸法は、適用する基準や契約条件によって異なります。
したがって、小さな構造物を独自判断で一律に控除したり、反対にすべてを含めたりするのではなく、数量算出条件に従います。控除した場合は、どの構造物をどの面から差し引いたかを記録し、別の計算で重ねて控除しないようにします。
平面境界には、設計図による境界、施工記録による境界、測量点から推定した境界など、根拠の種類を付けておくと見直しが容易です。置換面の数量では、中央部の高さだけでなく、周長の長い端部や範囲の切替部が誤差の原因になりやすいため、境界条件を丁寧に確認します。
確認4 高さ基準と補間方法を統一する
盛土体積は、上側の面と下側の面の高さ差を対象範囲全体で積み上げて求めます。そのため、わずかな高さのずれでも、面積が広い現場では大きな体積差になります。
まず、両方の面が同じ高さ基準と座標系に基づいているかを確認します。別々の基準点から求めた高さを補正せずに混在させると、面全体に一定のずれが生じることがあります。座標系が同じでも、高さの基準、ジオイド高の扱い、ローカル座標への変換条件が異なる場合があるため、データ作成条件まで確認します。
仮に面積5,000平方メートルの範囲で、下端面を実際より0.03メートル低く設定すれば、単純な面積と高さ差の積では約150立方メートルの差になります。数センチメートルのずれでも、広い現場では無視しにくい数量差になります。
単位にも注意します。平面座標をメートル、高さをミリメートルで管理したデータや、異なる単位の図面を取り込む場合は、変換設定を確認します。符号、桁、基準高の入力ミスも、断面表示や既知点との照合で早めに発見します。
次に、測定点の間をどのように補間するかを決めます。計測値は離散的な点ですが、体積計算には連続した面が必要です。補間方法が異なれば、同じ点群を用いても体積が変わることがあります。
置換面が設計上の水平面であれば、一定標高の平面として扱える場合があります。しかし、排水勾配、縦断勾配、横断勾配、段差、すり付けがある場合は、単一の水平面では表現できません。
三角形網で面を作る場合は、点の結び方に注意します。段差の上側と下側を無条件につなぐと、本来は不連続な段差が緩い斜面として補間されます。このような場所では、法肩、法尻、段差線、構造物外周、置換範囲端部などを形状変化線として設定し、意図しない補間を防ぎます。
格子を用いる方法では、格子寸法と境界格子の扱いを記録します。格子が粗いと局所的な形状が平均化され、細かすぎると計測誤差や小さな不陸を過度に反映する場合があります。格子寸法は、地形の複雑さ、計測密度、求める数量の用途に合わせます。
横断面を用いる平均断面法では、断面間距離と区間内の形状変化を確認します。区間途中で改良幅、勾配、段差、構造物との取合いが変わる場合は、その変化位置に断面を追加するなどして、二つの断面だけでは表せない形状を補います。
施工後の実測面を使う場合は、局所的な突起やくぼみをそのまま反映するか、管理上の代表面として処理するかを先に決めます。設計数量との比較なら設計条件との整合が重要であり、材料手配なら実際に埋める不陸をどこまで見込むかが重要です。目的の異なる面を同じ名称で保存しないようにします。
補間方法を変更したときは、変更前後の体積差を確認します。三角形網、格子、断面補間などの方法が違えば、完全に同じ値になるとは限りません。採用した方法、格子寸法、形状変化線、断面位置を記録することで、計算結果を再現しやすくなります。
確認5 地盤改良、置換土、盛土の重複計上を防ぐ
盛土の体積計算で起こりやすい問題の一つが、異なる工種間の重複計上です。地盤改良、置換、埋戻し、路体盛土、路床盛土などを別々に計算する場合は、各工種の上端面と下端面が連続しているかを確認します。
例えば、掘削底面から置換完了面までを置換材料として計上したうえで、掘削底面から盛土完成面までを通常盛土として計上すると、置換部分が二重に含まれます。
区分方法の一例として、掘削底面から置換完了面までを置換、置換完了面から路床下面までを路体盛土、路床下面から路床上面までを路床盛土または路床材料として分ける考え方があります。ただし、これは一般的な整理例にすぎません。実際の上端面、下端面、材料区分は、設計図書と適用基準に合わせます。
各工種を別々に算出するときは、下側工種の上端面と上側工種の下端面が同じ面になっているかを確認します。両者の間に空間があれば数量漏れとなり、重なっていれば二重計上になります。端部で区分線がずれている場合も、部分的な重複や欠落が生じます。
数量区分は、最下層から順に立体的な層として整理すると確認しやすくなります。どの平面範囲で、どの面からどの面までを、どの材料または工種で満たすのかを文章で明示します。
施工前地盤より下を掘削し、別材料で埋める場合、その埋戻しや置換は、完成後に施工前地盤より下に位置していても、施工する材料量には含まれます。一方、施工前地盤より上の盛土だけを分析する目的なら、地盤下の置換部分を別数量にすることがあります。
同じ現場でも、契約数量、施工用の搬入計画、材料発注、土収支では必要な数量の定義が異なります。名称だけを「盛土量」に統一せず、設計盛土、置換材料、締固め後土量、ほぐし土量など、状態と用途を区別します。
土収支では、幾何学的な完成体積と土の状態による体積変化を分けて考えます。掘削前の地山、掘削してほぐした状態、敷き均して締め固めた状態では体積が同じとは限りません。完成体積を運搬車両の公称積載容積で単純に割るだけでは、必要台数の適切な見積りにならない場合があります。
土量変化率は、土質、含水状態、施工方法などの影響を受けます。契約や積算で指定された値、適用基準の標準値、試験結果、施工実績など、採用根拠を明確にします。幾何学的体積に施工ロスや予備量を加える場合は、それを契約数量と混同せず、施工管理上の見込みとして別に示します。
地盤改良材の添加量、改良体の設計体積、処理土の完成体積も同じ意味ではありません。改良材の使用量を、改良体の体積や盛土の完成体積へ無条件に読み替えないようにします。
構造物控除にも重複確認が必要です。上下面差分から構造物体積を控除した後、別の集計でも同じ構造物を差し引くと、必要土量を過小に算出します。各計算項目について、上端面、下端面、平面範囲、材料区分、控除対象を対応させます。
計算結果が前回から大きく増減した場合は、面積や平均厚だけでなく、置換範囲、構造物控除、下端面の切替、土量変化率の適用範囲が変わっていないかを確認します。
確認6 断面法と三次元計算を使って結果を検算する
盛土体積の計算結果は、一つの方法だけで機械的に確定させず、別の見方で妥当性を確認します。地盤改良後の置換面は、段差、範囲変化、端部のすり付けを含みやすく、入力条件の誤りが大きな数量差につながるためです。
代表的な方法には、平均断面法、格子や点の高さ差を用いる方法、三角形網などの面同士から体積差を求める方法があります。どの方法を採用できるかは、適用する数量算出要領、設計図の構成、データの密度、地形の複雑さによって異なります。
平均断面法では、隣接する二つの断面積を平均し、断面間距離を掛けて区間体積を求めます。断面積をA1、A2、断面間距離をLとすると、区間体積Vは、V=(A1+A2)÷2×Lで表されます。
この式は区間内の断面変化を平均的に扱う近似です。道路や堤防のような線状の土工で使いやすく、断面形状を目視で確認できる利点があります。一方、区間途中で幅、勾配、段差、構造物との取合いが急に変わる場合は、変化位置に断面を追加しないと形状を十分に表せません。
格子や点高を用いる方法では、各区画の面積と上下面の高さ差を使って体積を積み上げます。全体傾向を確認しやすい反面、境界部の部分面積、格子寸法、標高差の求め方によって結果が変わる場合があります。採用した計算条件を記録します。
三次元の面同士を比較する方法は、不規則な置換範囲や複雑な端部を表現しやすい方法です。ただし、計算結果が自動表示されても、入力面が正しいとは限りません。面の欠落、不要な延長、異常点、上下関係の逆転、意図しない三角形接続を断面表示で確認します。
三次元計算を行った場合でも、対象面積と平均厚による概算を確認します。体積を対象面積で割れば、対象範囲内の平均厚を求められます。平均厚が図面や現場状況から想定される範囲とかけ離れていれば、平面境界、高さ基準、下端面の選択を見直します。
例えば、対象面積が3,000平方メートルで体積が6,000立方メートルなら、単純な平均厚は2.00メートルです。図面上の厚さが多くの範囲で0.50メートルから1.20メートル程度であるのに平均厚が2.00メートルとなる場合は、深い置換部分を通常盛土に含めていないか、範囲外まで面を延長していないかを確認します。
反対に、広い範囲で上下面差が約1.00メートルあるのに平均厚が0.30メートルしかない場合は、対象範囲の欠落、境界ポリゴンの誤り、上下の面の取り違えなどを疑います。
横断図による検算では、代表測点だけでなく、改良幅が変わる位置、段差、構造物周辺、法面との取合い、施工区画の境界を確認します。平面表示だけでは分かりにくい面の逆転や不自然な傾斜を見つけやすくなります。
上側の面より下側の面が高い場所は、その区間で盛土厚が負になる状態です。計算ソフトによっては、正負を相殺して差引体積だけを表示する場合があります。盛土と切土を分けて把握する必要があるときは、正の体積、負の体積、差引値を区別します。
設計数量と実測面による数量を比較する場合は、面積差、高さ差、端部形状差、構造物控除差、計算方法差に分けて理由を確認します。異なる方法で完全に同じ値になるとは限りません。差が生じたときに、地形と計算条件から説明できるかが重要です。
盛土の体積計算方法を実務で組み立てる手順
実務では、最初から詳細な三次元計算を始めるのではなく、数量の目的と対象範囲を整理してから段階的に進めると、手戻りを減らせます。
最初に、求める数量が設計盛土量、施工用の搬入計画量、出来形に関する数量、置換材料量、土収支用数量のどれに当たるかを明確にします。目的が異なれば、使用する下端面、数量区分、土量変化の扱いも変わります。
次に、上端面と下端面を決めます。上端面は、盛土完成面、路床面、施工段階面などから目的に合う面を選びます。下端面は、施工前地盤、掘削底面、改良天端、置換完了面などから選びます。
上端面と下端面を決めたら、計算対象の平面境界を設定します。盛土法尻、改良範囲、施工区画、構造物外周、材料区分の境界などを確認します。対象範囲の一部で面が欠けていないか、不要な場所まで面が延長されていないかを平面と断面の両方で確認します。
次に、形状変化線を設定します。法肩、法尻、段差、道路中心線、路肩、構造物外周、改良範囲端部など、勾配や高さが変化する場所を面作成に反映します。
その後、計算に使用する高さデータを点検します。重複点、異常値、単位違い、基準点の相違、施工前後データの混在、測定範囲の重複がないかを確認します。
面を作成したら、平面表示だけでなく、縦断方向と横断方向の断面を確認します。置換面が不自然に波打っていないか、段差が斜面として補間されていないか、上側の面と交差していないかを見ます。
体積計算を実行した後は、対象面積、最大厚、最小厚、平均厚を確認します。最大厚や最小厚が想定を超えている場合は、局所的な異常点、境界線の誤り、基準面の取り違えを疑います。
概算による検算も行います。代表的な平均厚に対象面積を掛け、詳細計算結果と大きく異ならないかを確認します。線状構造物であれば、主要な横断面を用いた平均断面法で傾向を確認する方法もあります。
最後に、置換、埋戻し、路体盛土、路床盛土などの数量を重ね合わせ、工種間に重複や空白がないかを確認します。掘削数量との関係も確認すると、掘削後に生じた空間がどの材料で満たされる計画かを把握しやすくなります。
施工途中で計算する場合は、施工済み範囲と未施工範囲を分けます。全体の設計面に対し、一部だけ実測面を置き換えると時点が混在することがあります。施工区画ごとに条件をそろえて計算し、必要に応じて最後に集計します。
降雨後や重機走行後に置換面を測定した場合は、沈下、わだち、泥濘、材料の偏りなど、表面状態を記録します。計測密度は一律に増やすだけでなく、端部、段差、構造物周辺など形状が変わる場所で重点的に確保します。
計算根拠を残して設計変更や出来形確認に備える
盛土の体積計算では、結果の数値だけでなく、どの条件で算出したかを残すことが重要です。工事の進行に伴い、地盤条件、改良範囲、置換深さ、構造物の位置などが変更される場合があります。
計算記録には、使用した図面の名称と版、測定日、対象施工区画、上端面、下端面、平面境界、控除対象、補間方法、採用した数量区分を記載します。
設計面を使ったのか、施工後の実測面を使ったのかも明確にします。同じ「置換面」という名称でも、設計値、施工管理用の面、出来形確認用の面では意味が異なります。ファイル名と計算書の記載を対応させます。
施工中に地盤条件が想定と異なり、置換深さが変わった場合は、変更前後の面を別々に保存します。最新面だけを残すと、数量が増減した範囲と理由を後から説明しにくくなります。
改良範囲が追加された場合も、追加範囲を既存範囲と分けて算出できるようにします。全体を作り直した数量だけでは、変更差分の根拠が不明確になるためです。
計算範囲の境界は、座標、測点、施工区画名などで再現できる形にします。画面上で一時的に囲っただけでは、別の担当者が同じ条件を再現できない場合があります。
測量データを修正した場合は、元データと修正後データを区別して保存します。異常点の除外、高さ補正、座標変換、平滑化などを行った場合は、処理内容と理由を記録します。
数量計算では、端数処理の時点も統一します。区間ごとに丸めてから合計する場合と、合計後に丸める場合では結果がわずかに異なります。適用する基準や計算書のルールに従います。
設計数量と実測面による数量を比較するときは、できる限り平面範囲、上端面、下端面、控除条件、計算方法をそろえます。設計側が平均断面法、実測側が三次元面差分の場合は、施工差だけでなく計算方法の差も含まれることがあります。
方法をそろえられない場合は、代表区間で双方の方法を試し、計算方法による差の傾向を確認します。数量差をすべて施工差とみなさないことが重要です。
関係者との確認では、三次元表示だけでなく、平面範囲と代表断面を併せて示します。どの面からどの面までを、どの工種として計算したかを断面上で説明できるようにします。
地盤改良後の施工基面や置換完了面は、次の工程で覆われると再計測が難しくなります。必要な時点で測定し、施工区画、日付、写真、基準点、測定データを対応させて保存します。
改良完了後、置換完了後、盛土施工途中、完成時などの節目で記録しておけば、層ごとの厚さや数量を説明しやすくなります。ただし、測定頻度や管理方法は、適用する施工管理基準、監督職員との協議、現場条件に合わせて決めます。
まとめ
盛土の体積計算方法で地盤改良後の置換面を扱う際は、計算式より先に、面の意味と数量区分を明確にする必要があります。
第一に、便宜上「置換面」と呼ぶ面が、掘削底面、改良天端、置換完了面、盛土施工基面のどれを示すかを確認します。第二に、施工前、掘削後、改良後、置換後など、計算に使用するデータの時点をそろえます。
第三に、地盤改良範囲の平面境界、余幅、端部のすり付け、段差、構造物周辺を正しく設定します。第四に、高さ基準、座標系、測定単位、形状変化線、測定点間の補間方法を統一します。
第五に、地盤改良、置換、埋戻し、路体盛土、路床盛土などの上下面を整理し、重複計上と数量漏れを防ぎます。第六に、一つの自動計算結果だけに依存せず、平均厚、概算体積、代表断面、必要に応じた別方法で妥当性を確認します。
盛土体積の基本は、上側の面と下側の面で囲まれた空間を求めることです。ただし、地盤改良を伴う現場では、どの面を下側に採用するかによって、算出値が示す工種と用途が変わります。
設計数量、契約数量、材料手配数量、施工管理数量、土収支数量を混同せず、それぞれの目的に合った基準面と数量区分を選ぶことが大切です。完成後の幾何学的体積と、地山、ほぐし、締固め後など状態の異なる土量も分けて扱います。
置換面は次工程で覆われることが多いため、必要な時点で計測し、施工区画や日付とともに記録します。上端面、下端面、対象範囲、補間条件、控除条件、計算方法を残しておけば、設計変更や出来形確認で数量の根拠を説明しやすくなります。
最終的な数量の採否は、現場ごとの設計図書、契約条件、適用する数量算出要領、施工管理基準、関係者との確認結果に基づいて判断してください。