LRTKレフィクシア株式会社

十二条点検で屋上ハト小屋周りの防水切れを確認する5項目

建物の屋上には、配管やダクトなどを屋内から屋外へ立ち上げるための設備スペースとして、いわゆる「ハト小屋」が設けられていることがあります。建築分野で使われるハト小屋は鳥を飼育する小屋という意味ではなく、屋根を貫通する配管などをまとめて納めるために屋上へ設ける小規模な上屋を指すのが一般的です。

ハト小屋周辺は、屋上防水の中でも注意して確認したい場所です。屋上平場から垂直面へ防水層が立ち上がるだけでなく、配管、ダクト、支持金物、開口部など複数の部材が集中しやすいためです。さらに、設備の更新や増設に伴って後から配管が追加されることもあり、竣工時とは防水の取り合いが変わっている場合があります。

一般に「十二条点検」と呼ばれる建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、対象となる建築物について、外壁や屋上、避難施設などの劣化や損傷を調査し、その結果を報告します。ただし、対象建築物や報告時期、具体的な取扱いは建物の用途や規模、所在地を管轄する特定行政庁の指定などによって異なる場合があります。また、「ハト小屋周りの防水切れ」という名称が独立した全国一律の調査項目として設けられているとは限りません。

そのため実務では、ハト小屋だけを単独の設備として見るのではなく、屋上面、立上り、笠木、排水部分、屋上設備や支持部分など、適用される調査項目との関係を確認しながら状態を把握することが重要です。法定の定期調査を実施する際は、最新の法令、告示、自治体の案内、対象建築物に適用される調査方法や判定基準を確認する必要があります。

本記事では、十二条点検に関わる実務担当者が屋上ハト小屋周辺を確認するときに、防水切れやその兆候を見逃しにくくするための5つの項目を中心に、確認の考え方と記録方法を解説します。

十二条点検で屋上ハト小屋周りを確認する基本的な考え方

屋上ハト小屋周辺を確認するときに最も避けたいのは、目についた一部分だけを見て点検を終えてしまうことです。ハト小屋周辺には水平面、垂直面、入隅、出隅、設備貫通部、金物、排水経路などが集中しています。防水の連続性を確認するには、これらを一つのまとまりとして見る必要があります。

例えば、ハト小屋の正面側に目立った異常がなくても、背面側の狭い場所で防水端部が開いている場合があります。配管が密集している面では奥まで見えにくく、設備支持材の下に防水の擦れや浮きが隠れていることも考えられます。歩きやすい側だけを確認して「異常なし」とするのではなく、安全に確認できる範囲で四周を見ることが基本になります。

確認前には、可能であれば屋上平面図や設備図、過去の定期調査報告書、修繕履歴、防水改修履歴などを確認します。図面にハト小屋が複数記載されている場合は、現場のどの上屋に対応するのかを整理しておくと、点検記録を残しやすくなります。

特に重要なのが、竣工時の図面と現在の設備配置が一致しているかという点です。建物は使用開始後も設備改修が行われます。空調設備の更新、通信設備の増設、配管の引き直しなどによって、ハト小屋周辺へ新しい設備が設置されることがあります。

後から追加された設備がある場合、防水層との取り合いがどのように処理されたかが重要になります。固定のために新しい支持部が設けられている、既存の開口部から新しい配管が通されている、防水材が部分的に補修されているといった変化があれば、周辺を重点的に確認します。

また、防水の種類によって劣化の表れ方は異なります。表面がシート状になっている防水と、塗膜状の防水、保護層のある防水では、確認できる外観も異なります。したがって、「ひび割れがあるから直ちに漏水する」「変色があるから防水層が破断している」といった単純な判断は避け、確認した現象を事実として整理する姿勢が大切です。

十二条点検として正式にどのような調査を行い、どのように判定するかについては、対象建築物に適用される最新の制度や調査方法に従います。建物管理者が行う日常的な屋上確認と、資格者が実施する法定の定期調査を混同しないことも重要です。

確認項目1 ハト小屋根元の防水立上りと端末を確認する

ハト小屋周辺で最初に確認したい場所が、屋上平場とハト小屋壁面が接する根元です。平場の防水層が壁面へ立ち上がる場所は、防水面の向きが水平から垂直へ変化するため、注意して見たい取り合いの一つです。

まず、平場から立上りまで防水が連続しているかを目視します。裂け、剥がれ、浮き、膨れ、しわ、亀裂、端部のめくれなどがないかを確認します。表面の状態だけでは下地まで判断できない場合もあるため、無理に原因を決めつけず、どのような外観変化があるかを記録します。

特に入隅は重点的に確認します。ハト小屋の壁面と屋上面が交わる位置に沿って線状の亀裂が生じていないか、防水材が引っ張られたような状態になっていないか、補修材との境界が開いていないかを見ます。

角部も重要です。ハト小屋の四隅では防水材が複雑に納まっている場合があり、平坦な部分より状態を確認しにくくなります。一方向から見るだけでは陰になることがあるため、可能であれば角度を変えて確認します。

立上りの上端も忘れてはいけません。防水端部が金物などで押さえられている場合は、押さえ部分の変形や浮き、固定状態、周辺のシール状材料の割れや剥離などを確認します。防水層そのものに大きな裂けがなくても、端末処理に不具合が生じている場合があります。

また、防水立上りの高さや周辺設備との関係も見ておきたいポイントです。物品や設備が防水立上りへ接触している場合、継続的な接触によって表面が擦れたり、局所的に荷重が加わったりすることがあります。

根元付近に補修跡がある場合は、補修したこと自体を異常と判断するのではなく、現在の状態を確認します。補修材の外周が浮いていないか、既存防水と補修材の境界に新しい亀裂が生じていないか、補修した範囲の外側へ変色や浮きが広がっていないかを見ます。

過去の報告書や修繕記録が残っていれば、以前と同じ場所で変化が再発していないかを比較します。前回より亀裂が長くなっているように見える場合でも、撮影距離や角度が異なると単純比較できないため、可能な範囲で同じ方向から撮影した写真を用いると判断しやすくなります。

ハト小屋の背面側は特に注意が必要です。配管やダクトが集まっていたり、壁と設備の隙間が狭かったりすると、根元を直接確認できないことがあります。このような場合は無理に身体を入れて確認するのではなく、確認できなかった範囲を記録し、必要に応じて安全な確認方法を検討します。

確認項目2 配管やダクトなどの貫通部と取り合いを確認する

ハト小屋は配管などを屋上へ導く目的で設けられることが多いため、設備との取り合いは重要な確認箇所です。建築部分と設備部分の境界には異なる材料が集まり、経年変化や設備の振動、温度変化などの影響が表れやすい場合があります。

ハト小屋の側面から配管が出ている場合は、配管の周囲を可能な範囲で一周確認します。正面から見える上側だけではなく、下側や左右、背面側に隙間、シール状材料の割れ、剥離、変形などがないかを見ます。

配管が複数本まとめて通っている場合は、配管同士の隙間も確認しにくくなります。奥側にある取り合い部は光が届きにくく、正面から写真を撮っただけでは状態を確認できないことがあります。そのため、撮影方向を変えたり、安全に可能な範囲で目線の高さを変えたりして確認します。

金属製の水切りやカバーが設けられている場合は、その端部や継ぎ目にも注目します。金物が浮いていないか、変形していないか、接合部分が開いていないか、腐食が進んでいないかを見ます。外側へ雨水を排出するための部材が変形すると、水の流れ方が変わる可能性があります。

配管やダクトの支持状態も確認します。支持材が緩んで設備が動きやすくなっている場合、その動きが取り合い部へ影響することがあります。配管そのものの専門的な機能点検とは分けて考える必要がありますが、建築側との接触や防水への影響が見られないかという視点は有効です。

屋上面に配管支持材が置かれている場合は、支持材の周囲も見ます。支持材が直接防水面へ接触している、保護材がずれている、支持材の角が防水面へ食い込んでいるように見える場合などは、周辺の防水状態を丁寧に確認します。

後施工された配管は特に確認しておきたい部分です。既存のハト小屋に配管が追加された場合、壁面や天端の一部へ新しい貫通部が設けられていることがあります。元の図面に存在しない配管が確認できた場合は、設置時期や施工履歴が分かる資料がないか確認すると、点検結果を整理しやすくなります。

このとき重要なのは、異常の兆候と漏水原因の確定を分けることです。取り合い部のシール状材料に亀裂があったとしても、その箇所が実際の雨水侵入位置であるかは外観だけでは判断できない場合があります。逆に、室内側に漏水跡があっても、水が建物内部を移動して別の場所から現れている可能性があります。

点検記録には「漏水原因」と断定して書くのではなく、「配管周囲の充填部分に開きが見られる」「金属カバーの継ぎ目に変形が見られる」といった観察事実を残すと、後の詳細調査へつなげやすくなります。

確認項目3 ハト小屋の壁面・天端・笠木周辺を確認する

根元と設備貫通部を確認したら、次はハト小屋本体を下から上へ見ていきます。防水切れというと足元だけに目が向きがちですが、雨水は上部から壁面を伝って根元へ到達することもあります。

壁面では、ひび割れ、欠損、仕上げ材の浮きや剥離、変色などがないかを確認します。仕上げの種類によって見え方は異なるため、色の違いだけを根拠に不具合を断定するのではなく、周囲との違いや分布を記録します。

ひび割れがある場合には、どこからどこへ続いているのかを見ることが重要です。天端付近から下方向へ伸びているのか、開口部の角から斜めに伸びているのか、根元付近だけに集中しているのかによって、追加で確認すべき場所が変わります。

壁面の局所的な変色にも目を向けます。雨の流れた跡のような線状の汚れがある場合は、その上部に水が集中する原因がないかを確認します。ただし、汚れがあるだけで内部への水の侵入を確定できるものではありません。

ハト小屋上部に笠木が設けられている場合は、笠木の変形、継ぎ目、端部、固定部分などを確認します。笠木が浮いているように見える、継ぎ目が開いている、固定部分の周囲に腐食が見られる場合には、周辺まで状態を確認します。

笠木から壁面へ水が回り込んだ形跡がないかを見ることも有効です。壁面上部だけに変色が集中している場合は、天端との関係を確認します。笠木そのものが健全に見えても、接合部や端部に劣化がある場合があるため、一方向からだけで判断しないことが大切です。

ハト小屋上面が防水された小さな屋根状になっている場合には、その上面も確認対象になります。安全に確認できる場合は、防水材の浮き、裂け、膨れ、端部の剥がれ、滞水跡、堆積物などがないかを見ます。

ただし、高い位置にあるハト小屋の天端を確認するために、不安定な場所へ乗ったり、設備を足掛かりにしたりしてはいけません。十二条点検では状態を確認することが目的であって、点検者自身が危険な行動を取ることは避ける必要があります。直接確認できない場合は、その旨を記録し、必要に応じて適切な方法を検討します。

点検扉やガラリなどが壁面にある場合は、その周囲も確認します。開口部では壁面と枠、金物、シール状材料など複数の材料が接するため、周囲に亀裂や隙間がないかを見ます。

ハト小屋内部を確認できる構造であっても、立入りの可否や安全条件を事前に確認することが必要です。設備が稼働している場合もあるため、建築点検だけの判断で不用意に開放したり設備へ接触したりせず、施設管理者や設備担当者との調整を行います。

確認項目4 ハト小屋周囲の排水状態と滞水跡を確認する

4つ目の確認項目は排水です。防水材の外観に大きな異常がなくても、ハト小屋周囲で雨水が滞留しやすい状態になっていると、周辺防水への負担が続く可能性があります。

最初に確認したいのは、水がどちらへ流れる屋上なのかという点です。ハト小屋から排水口までのおおまかな位置関係を確認し、排水経路を遮る設備や物品がないかを見ます。

ハト小屋の根元に泥、砂、落ち葉などがたまっている場合は注意します。堆積物そのものが直ちに防水不良を意味するわけではありませんが、防水面を覆って状態を確認しにくくしたり、水の流れを妨げたりすることがあります。

特に確認したいのが、ハト小屋の背面や設備との狭い隙間です。人が通らない場所には落ち葉やごみが残りやすく、排水状態の変化に気づきにくいことがあります。

点検日が晴れていて水たまりがなくても、滞水の痕跡を確認できる場合があります。泥や汚れが輪状に残っている、局所的に藻のような付着がある、周囲と比べて表面の汚れ方が異なるなどの状態は、過去の水たまりを考える手掛かりになります。

ただし、汚れだけを見て排水不良と断定するのは避けます。設備からの排水や清掃時の水など、雨以外の原因で濡れる場所もあるためです。屋上勾配、排水口の位置、周辺設備の使用状況と合わせて確認します。

排水口周辺では、ごみの堆積やストレーナー周辺の詰まりだけでなく、排水口と防水層の取り合いにも目を向けます。ハト小屋が排水口に近い場合は、ハト小屋根元から排水口までの間に防水の浮きや補修跡がないかを連続して見ると状態を把握しやすくなります。

後施工された設備基礎が水みちを変えていることもあります。以前は排水口へ直接流れていた経路に新しい基礎や支持材が設置されると、水が迂回するようになる場合があります。その結果、ハト小屋の角や立上り付近へ水が集まりやすくなる可能性があります。

配管やケーブル類の配置も確認します。低い位置を横断する配管の周囲へ落ち葉が引っ掛かり、その上流側で水が滞留している場合があります。防水層だけを見ていると設備配置による排水への影響を見落としやすいため、少し離れた位置から屋上全体の流れを見ることが重要です。

排水状態の記録では、「水たまりあり」だけで終わらせず、ハト小屋のどの面にあるのか、排水口との位置関係はどうか、周辺に堆積物や設備があるかを合わせて残すと、その後の原因確認や清掃、補修計画に役立ちます。

確認項目5 補修跡と後施工設備による防水への影響を確認する

5つ目は、過去の補修と建物使用後に追加された設備の影響です。ハト小屋周辺は設備工事が行われやすいため、竣工後の変化を意識して確認する必要があります。

まず、防水面に色や質感の異なる部分がないかを見ます。部分的に防水材が重ねられている、シール状材料が追加されている、立上りの一部分だけ仕上げが新しいといった場所は、過去に補修された可能性があります。

補修跡があること自体を不具合と考える必要はありません。重要なのは補修後の状態です。補修材の端部に浮きがないか、既存防水との境界に亀裂がないか、補修した部分の外側へ新たな変化が広がっていないかを確認します。

可能であれば補修時期や補修理由も確認します。過去の漏水に対する補修だったのか、予防保全として施工したのか、設備改修に伴って防水を復旧したのかによって、記録の意味が変わります。

設備の更新履歴も重要です。ハト小屋周辺に竣工図にはない配管やケーブル、支持金物がある場合、その施工によって既存防水に影響が出ていないかを見ます。

特に、設備支持部が防水面へ接触している場所は注意します。支持材の下に保護材がある場合は、ずれていないかを確認します。金属製の脚や部材が直接防水面へ触れているように見える場合は、周辺に擦れや押し跡、傷などがないかを確認します。

設備保守の作業動線も防水へ影響する場合があります。ハト小屋の扉や点検口へ向かう経路では、同じ場所が繰り返し踏まれることがあります。防水表面の摩耗や保護材のずれがないかを確認するとともに、工具や交換部品を置いた跡が残っていないかも見ます。

屋上に仮置きされた資材にも注意が必要です。ハト小屋の壁へ物品が立て掛けられている、防水面に重量物が長期間置かれているといった状態では、その接触部分が確認できません。施設管理上移動できるものかどうかを確認し、必要であれば管理者と調整します。

増設された配管の貫通部では、周囲を表面的に材料で覆っているだけに見える場合もあります。ただし、外観だけで施工方法の適否を判断することは難しいため、必要に応じて施工記録や改修図面を確認します。

十二条点検の実務では、現場で「なぜこうなったのか」を想像することは役立ちますが、推測だけを事実として記録しないことが重要です。「設備増設が原因で防水が切れた」と断定するのではなく、「追加配管と思われる箇所の周囲に防水材の開きが確認された」など、現場で確認できた状態を中心に整理します。

ハト小屋周りの防水切れを見落とさない点検手順

ハト小屋周辺は確認対象が多いため、見る順番を決めておくと見落としを減らしやすくなります。

屋上へ出たら、最初からハト小屋へ近づくのではなく、まず屋上全体の配置を把握します。ハト小屋が何か所あるのか、排水口はどこにあるのか、大型設備や配管がどのように配置されているのかを確認します。

次に図面と現況を照合します。図面に記載されたハト小屋と現場の位置関係を確認し、同じ形状のものが複数ある場合は番号や位置によって識別できるようにします。例えば「北側」「南東側」といった位置情報を補助的に使うと整理しやすくなります。

その後、少し離れた位置からハト小屋全体を観察します。この段階では細かな亀裂を探すより、壁面全体の変色、周囲の水たまり、設備配置、補修跡など大きな特徴を把握します。

近づいたら、根元を一周するように確認します。まず平場と立上りの境界を見て、次に入隅と角部、立上り上端を確認します。一面だけで終わらせず、安全に確認できる範囲で四面を見ることが大切です。

根元の次は設備貫通部へ視線を移します。配管やダクトの取り合い、カバー、金物、支持材などを確認し、建築部分との境界に異常がないかを見ます。

続いて壁面から上部を確認します。壁面のひび割れや仕上げ材の状態、開口部、笠木、天端などを確認し、雨水が上部から流れてきた形跡がないかを見ます。

最後に再び足元へ視線を戻し、排水経路を追います。ハト小屋の周囲から排水口まで、水の流れを妨げるものがないか、滞水跡がないかを確認します。

このように、全景、根元、設備取り合い、上部、排水の順に確認すると、一つの小さな亀裂だけに意識が集中するのを防ぎやすくなります。

また、点検の途中で異常を発見しても、その場ですぐ一点だけを詳しく調べ続けるのではなく、まず同じハト小屋の周囲を一通り確認する方法も有効です。同じ原因や同じ施工時期に関連する異常が複数箇所に表れている可能性があるためです。

確認できない場所を明確にすることも重要です。大型設備の裏側、狭い配管間、高所の天端など、目視できない部分がある場合は「異常なし」と扱わず、未確認範囲として記録します。

十二条点検は安全確保を前提に行う必要があります。屋上端部、高所、濡れた防水面、設備が密集する場所などでは転落や転倒、設備への接触に注意します。点検のために防水層や設備へ損傷を与えることがないよう、作業動線そのものにも配慮が必要です。

防水切れを写真で記録するときのポイント

屋上ハト小屋周りの状態は、文章だけでは位置関係を伝えにくいため、写真記録が重要になります。ただし、亀裂の接写だけを大量に残しても、後から場所を特定できなければ実務上使いにくくなります。

基本は、全景から近接へ段階的に記録することです。まずハト小屋全体と周辺設備が写る写真を残し、次に対象となる面を撮影し、最後に防水切れや亀裂などの異常箇所を近接で記録します。

例えば東面根元の防水に異常がある場合、最初の写真で屋上内のどのハト小屋かを示し、次の写真で東面全体を撮り、最後に異常部分を拡大します。この流れで記録しておけば、補修担当者が写真を見たときに現場位置を理解しやすくなります。

同じ形状のハト小屋が複数ある場合は、識別方法をあらかじめ決めます。図面上の番号がある場合はその番号を使用し、番号がない場合は方角や周囲の設備との位置関係を記録します。

撮影方向も重要です。「北から南方向を撮影」「ハト小屋東面」のように方向を残しておけば、次回点検時に同じ角度から比較しやすくなります。

防水切れの範囲を記録するときには、周囲との関係が分かるようにします。近接写真だけでは亀裂が数センチなのか長く連続しているのか分かりにくいため、少し離れた写真も併用します。

写真の明るさにも注意します。ハト小屋の背面や配管の奥は影になりやすく、暗い写真では亀裂や剥離を確認できません。撮影方法を工夫し、安全な範囲で異常が判別できる写真を残します。

補修前後を比較できるようにすることも有効です。同じ位置、同じ方向の写真を継続的に残せば、再発の有無や周辺への広がりを追いやすくなります。

位置情報を利用できる現場では、写真と地点情報を関連付ける方法もあります。ただし、屋上では周囲の壁面や大型設備などによって衛星測位の状態が変化することがあるため、位置情報だけに依存するのは避けます。

位置情報を利用する場合でも、ハト小屋番号、方角、図面上の位置、写真などを組み合わせます。現場ごとに記録方法を統一しておけば、定期点検の結果を修繕担当者へ引き継ぐ際にも活用しやすくなります。

異常を確認した後に注意したい判断と対応

ハト小屋根元の防水に裂けや開きが見つかった場合、最初に行うべきことは、確認した現象を正確に記録することです。

防水材に裂けがあることと、実際に室内へ雨漏りしていることは同じ意味ではありません。外観上の異常だけで漏水経路を確定できない場合もあります。したがって、確認した時点では「立上り防水に裂けが見られる」「端末部分に開きが見られる」など、観察した事実を中心に記録します。

室内側に漏水跡がある場合も、屋上の異常箇所との位置関係を確認します。ただし、屋根から侵入した水が下地や躯体内を移動し、侵入位置とは異なる場所に現れることも考えられます。屋上の亀裂と室内の染みが近いという理由だけで原因を断定するのは避けます。

異常を見つけたら、その周囲へ確認範囲を広げます。例えば入隅に防水切れがあれば、同じ面の立上り全体、隣接する角、上端、壁面上部、排水状態まで確認します。一点だけを補修対象として捉える前に、関連する異常がないかを見ることが大切です。

応急処置と恒久補修も区別する必要があります。表面へ材料を追加することで一時的に状態を改善できる場合があっても、既存防水の種類、下地の状態、雨水の侵入経路によって適切な補修方法は異なります。

現場の判断だけで安易に材料を塗り重ねると、後から下地を確認しにくくなることもあります。補修が必要な場合は、対象となる防水仕様や既存の状態を確認したうえで適切な方法を検討します。

法定の定期調査でどのような判定とするかについては、最新の調査基準や対象建築物に適用される取扱いに基づき、資格者が判断します。建物管理者や施設担当者が日常点検で発見した状態を、そのまま法定調査の判定に置き換えないことが重要です。

また、異常箇所が直ちに危険性を伴うような状態である場合には、単なる記録で終わらせず、施設管理者や関係者へ速やかに情報共有することが必要です。例えば部材の落下が懸念される状態や、周囲の設備支持部に著しい損傷が見られる場合などは、通常の防水劣化とは分けて安全面から対応を検討します。

一方で、目視だけでは判断できないものを過度に断定しないことも大切です。点検結果は「確認できた事実」「確認できなかった範囲」「追加確認が必要な事項」を分けて整理すると、次の担当者が判断しやすくなります。

まとめ

十二条点検に関連して屋上ハト小屋周辺を確認するときは、ハト小屋の根元だけを見るのではなく、防水、設備、壁面、天端、排水を連続した一つの範囲として確認することが重要です。

1つ目の確認ポイントは、ハト小屋根元の防水立上りと端末です。屋上平場から壁面へ切り替わる入隅、角部、立上り上端などを確認し、裂け、浮き、剥離、亀裂、端部の開きなどがないかを見ます。

2つ目は、配管やダクトなどの設備との取り合いです。配管周囲の処理、カバー、金物、設備支持材などを確認し、異なる材料が接する場所に異常がないかを把握します。後から追加された設備がある場合は、既存防水への影響も確認します。

3つ目は、ハト小屋本体の壁面、天端、笠木です。根元だけが健全でも、上部の接合部や開口部から雨水が回り込む可能性があります。壁面のひび割れや変色、笠木の変形、上面の防水状態などを、安全に確認できる範囲で見ていきます。

4つ目は排水状態です。ハト小屋周辺の滞水跡、堆積物、排水口までの水みち、後施工設備による排水への影響を確認します。点検時に水がなくても、汚れや堆積物などから過去の滞水を推測できる場合があります。

5つ目は補修跡と設備増設による変化です。過去に補修した場所では既存防水との境界を確認し、追加された設備では支持部や貫通部周辺の防水状態を見ます。補修跡があること自体を問題とするのではなく、現在も健全な状態が保たれているかを確認することがポイントです。

点検では、異常を見つけることだけでなく、その位置と範囲を再現できるように記録することも重要です。ハト小屋全体、対象面、異常部分という順に写真を残し、方角や図面上の位置と組み合わせることで、後日の補修や次回点検につなげやすくなります。

また、「防水切れがある」という観察結果と「ここから雨漏りしている」という原因判断は分けて考える必要があります。外観だけで判断できないものは断定せず、必要に応じて詳細調査へつなげることが、点検記録の信頼性を高めます。

十二条点検の具体的な対象や調査方法、判定は建物の用途や規模、所在地、適用される最新の法令や特定行政庁の取扱いなどによって確認が必要です。現場では、法定調査の要求事項を確認したうえで、ハト小屋周辺を屋上防水の弱点になりやすい取り合いの一つとして丁寧に見ることが大切です。

屋上にハト小屋や設備基礎が多数ある建物では、写真だけで「どのハト小屋の、どの面に異常があったのか」を管理するのが難しくなることがあります。そのような場合には、図面上の管理番号や方角に加えて、現場の位置情報と写真を関連付けて整理する方法も有効です。

LRTK Phoneのような現場向けの位置情報活用手段を用いれば、測位環境に注意しながら、屋上で確認した地点と写真を関連付けて記録する運用も検討できます。位置情報だけを唯一の根拠にせず、図面、ハト小屋番号、撮影方向、写真などを組み合わせることで、十二条点検後の補修指示や経年変化の確認に使いやすい記録へつなげられます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る