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十二条点検で防火区画の不備を防ぐ4つの確認ポイント

十二条点検で防火区画を確認する意味

「十二条点検」と呼ばれることの多い建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、建築物の使用開始後も適法な状態を確保するため、対象となる建築物や設備について定期的な調査・検査を行い、その結果を特定行政庁へ報告します。対象には建築物のほか、一定の建築設備、防火設備、昇降機等があり、国が一律に定める対象に加えて、地域の実情に応じて特定行政庁が対象を指定する場合があります。

防火区画は、火災が発生した際に火炎などが建物内へ急速に拡大することを抑え、避難安全や延焼拡大防止を図るうえで重要な建築上の仕組みです。しかし、完成時に適切につくられていても、その後の設備更新、間仕切り変更、通信配線の増設、配管工事、テナント改修などによって状態が変化することがあります。

そのため十二条点検の実務では、単に「区画を構成する壁があるか」「防火扉が付いているか」と確認するだけでは十分ではありません。どこが本来の防火区画なのかを図面で把握し、その区画が現在も必要な状態で維持されているか、貫通部や開口部に不適切な変更が生じていないかを現況と照合することが重要です。

特に注意したいのは、目につきやすい廊下や扉だけを確認して点検を終えてしまうことです。防火区画は壁の見える部分だけを見れば状態を把握できるとは限りません。天井裏、設備シャフト、床貫通部、ケーブルラック周辺など、通常の利用時には見えにくい場所にも確認すべき部分があります。

また、建物の用途、規模、構造、既存図面、改修履歴などによって確認すべき箇所は異なります。この記事で紹介する4つの確認ポイントは、防火区画を見るときの実務的な整理方法です。実際の法定調査や検査では、対象建築物に適用される法令、告示、特定行政庁の取扱い、設計図書などを確認し、必要な資格を持つ専門家が判断することが前提となります。

防火区画と防火設備を混同しない

防火区画を点検するときに最初に整理しておきたいのが、「防火区画」と「防火設備」は同じものではないという点です。

防火区画は、建物内を所定の性能を持つ壁や床などによって区切り、火災の拡大を抑えるための構成です。建物の条件によって面積区画、竪穴区画、異種用途に関係する区画などが設けられることがあります。一方、防火扉や防火シャッターなどは、防火区画等の開口部に設けられ、必要な防火性能を確保するための防火設備として機能します。

つまり、防火扉だけが正常に見えても、その横の区画壁に未処理の貫通部が残っていれば、防火区画全体として確認が必要になります。反対に、壁や床に目立った異常がなくても、防火設備の閉鎖を棚や荷物が妨げていれば、本来期待される機能を十分に発揮できない可能性があります。

十二条点検では、このように建築物の定期調査と防火設備の定期検査などで扱う範囲を整理して考える必要があります。2025年7月1日施行の定期報告関係告示の見直しでは、特定建築物定期調査と設備側の検査との重複整理も行われました。また、特定建築物定期調査の調査結果表に添付する各階平面図に防火区画を明示し、建築設備や防火設備の検査で活用しやすくする見直しも行われています。

したがって実務担当者は、「防火区画を見る担当だから扉は関係ない」「防火設備を検査するから壁の位置は知らなくてもよい」と分けすぎないことが大切です。調査・検査ごとの法定範囲を守りつつ、図面や過去の結果を関係者間で共有し、建物全体として不整合がないかを把握すると見落としを減らしやすくなります。

確認ポイント1 図面と現況の防火区画位置を照合する

防火区画の不備を防ぐ最初のポイントは、現場を見る前後に図面と現況を照合することです。

建物内を歩いて壁や扉を確認するだけでは、その場所が法令上または設計上どの区画を構成しているのか分からない場合があります。見た目が同じ壁でも、防火区画を構成する壁と一般の間仕切りでは役割が異なります。そのため、各階平面図、竣工図、改修図、設備図、過去の定期調査結果などをできる範囲で準備し、防火区画の位置を把握してから現況を見ることが基本です。

現場では、図面に記載された壁の位置と現在の壁が一致しているかを確認します。テナント入替えやレイアウト変更の多い建物では、竣工当初とは間仕切りが大きく変わっていることがあります。図面上には壁があるのに現場では撤去されている、逆に新しい壁が追加されているといった状態があれば、その変更経緯を確認する必要があります。

防火扉や防火シャッターについても位置を照合します。図面では区画線上に防火設備があるにもかかわらず、現況では開口部の形状が変わっている場合や、改修によって設備周辺の納まりが変更されている場合があります。こうした箇所は、見た目だけから適否を断定せず、設計図書や改修記録を確認することが重要です。

また、平面図だけでは上下方向の区画を把握しにくいことがあります。吹抜け、階段、昇降路、設備シャフトなどでは、どの階からどの階まで空間が連続しているのかを確認する必要があります。各階を別々の点として見るのではなく、建物を立体的に捉えることで竪穴部分の見落としを減らせます。

2025年7月1日施行の定期報告制度の見直しでは、特定建築物定期調査の調査結果表に添付する各階平面図へ防火区画を明示することとされました。防火区画の位置情報を建築設備定期検査や防火設備定期検査でも活用しやすくする趣旨が示されているため、点検前の図面確認と関係者間での情報共有は重要です。

確認ポイント2 壁・床・天井裏の区画連続性と貫通部を確認する

2つ目のポイントは、防火区画を構成する壁や床が必要な範囲で維持されているかを見ることです。

点検時に壁面を正面から見ただけでは異常がなくても、天井裏へ配線や配管を通すための貫通部が設けられていることがあります。設備工事では、電気配線、通信配線、給排水管、空調配管、ダクトなどを壁や床に通す必要が生じます。その施工後に必要な処理が行われているかは、防火区画の状態を確認するときの重要な視点です。

特に増設工事では、小さな貫通が積み重なりやすくなります。最初の施工時には整理されていても、数年後に追加された配線が別の穴から通され、その周囲に隙間が残っている場合があります。さらに、使用しなくなったケーブルや配管を撤去したあと、開口だけが残ることもあります。

このような箇所は、穴が小さいから問題ないと現場判断だけで決めないことが大切です。防火区画を貫通する部分については、対象となる壁や床の仕様、貫通物の種類、使用される材料や工法などによって必要な処理が異なる場合があります。仕上げ材が塗られているだけでは内部の施工状態まで分からないこともあるため、疑義があるときは施工記録や仕様資料まで遡って確認します。

天井裏については、壁が天井面で止まっているように見える場合にも注意します。一般の間仕切りと防火区画を構成する壁では必要な構成や納まりが異なる場合があるため、単にボードが見えるかどうかだけで適否を判断することはできません。防火区画線と壁の立上がり、上部の取り合いなどを図面と照合することが必要です。

床についても同じです。上階から見れば処理されているように見えても、下面側から確認すると損傷や納まりの違いが把握できる場合があります。安全かつ確認可能な範囲では複数方向から状態を確認し、片側だけの見た目で断定しないことが見落とし防止につながります。

確認ポイント3 防火扉・防火シャッター周辺の閉鎖を妨げる要因を見る

3つ目のポイントは、防火区画の開口部に設けられた防火扉や防火シャッターについて、閉鎖を妨げる要因がないかという視点です。

実際の建物では、防火設備そのものに大きな破損がなくても、周囲の使われ方によって閉鎖を妨げられている場合があります。廊下に置かれた荷物、什器、台車、掲示物などが扉の動く範囲へ入り込んでいないかを確認します。防火シャッターの場合も、降下位置の直下に物品が置かれていないか、周囲の改修によって閉鎖の妨げとなり得る状況が生じていないかなどを見ることが重要です。

常時使用されている通路では、「少しの時間だけ置く」「作業中だけ置く」という運用が日常化し、その状態が固定化することがあります。点検当日だけ片付けられていても、普段の管理状態によっては火災時の閉鎖を妨げる可能性があります。必要に応じて施設管理者から日常の使い方を聞き取ることも有効です。

防火扉では、常時閉鎖した状態で使用するものについて、不適切に開放状態で固定されていないか、戸当たりや物品が閉鎖を妨げていないかを確認する視点が重要です。ただし、設備の具体的な作動検査や法定の判定については、対象となる防火設備の定期検査として確認する項目があります。建築物の調査と防火設備の検査の範囲を混同せず、必要に応じて検査結果を相互参照することが大切です。

2025年7月1日施行の見直しでは、それまで特定建築物定期調査で扱われていた各階の主要な常閉防火扉に関する一定の確認項目が、防火設備定期検査で実施されるよう整理されました。防火設備定期検査の対象となる各階の主要な常閉防火扉については、避難経路に設けられたもの、吹抜きに面して設けられたもの、日常の通行が多く開閉作動の頻度が高いものなどが原則として示されています。

実務では、制度上どの調査・検査で扱う項目なのかを確認したうえで、現場の状態を横断的に把握することが重要です。扉だけ、壁だけと個別に見るのではなく、「この区画が必要な状態に維持されているか」という視点で確認すると異常を発見しやすくなります。

確認ポイント4 改修・用途変更・設備工事による後施工を確認する

4つ目のポイントは、建物完成後に行われた工事の履歴を確認することです。

防火区画の不備は、経年劣化だけで発生するとは限りません。テナント改修、空調設備更新、通信設備追加、電気設備更新、用途変更などの後施工によって、それまで維持されていた区画に変化が生じることがあります。

例えば、別室へ新しい配線を通すために壁へ穴を開けた場合、その壁が一般の間仕切りだと思われて施工されている可能性があります。しかし実際には防火区画を構成する壁だったというケースも考えられます。現場作業者が区画線を把握できていない場合も考えられるため、設備工事の前に関係図面を確認できる管理体制を整えることが重要です。

空調更新でも注意が必要です。新しいダクトや配管ルートを確保するため、既存の壁や床を貫通することがあります。どこを通したのか、施工後にどのような処理をしたのかが記録されていなければ、数年後の十二条点検で判断に時間がかかります。

また、店舗や事務所のレイアウト変更では、区画周辺に天井や壁を追加することで、既存防火設備の周囲が見えにくくなることがあります。点検口がなくなったり、設備シャフトへのアクセスが難しくなったりすれば、定期的な確認にも影響します。

過去の工事記録が残っている場合は、点検前に改修箇所を抽出しておくと効率的です。工事年月、施工範囲、変更した配線や配管のルート、壁や床の貫通位置などを把握し、その場所を重点的に現場確認します。

工事記録が十分に残っていない場合には、現況から増設された可能性のある部分を探します。既存部分と仕上げが異なる場所、新しい配線が集中している場所、使用されていない貫通穴、壁面の補修跡などは確認の手掛かりになります。

防火区画の不備を見落としやすい場所

防火区画の不備は、人が普段通る廊下の中央よりも、設備が集中している場所や見えにくい場所で発見されることがあります。

代表的なのが天井裏です。室内から見ると壁が連続しているようでも、天井裏で多数の配線や配管が貫通していることがあります。点検口から確認できる範囲が限られている場合には、図面上の区画線と点検口の位置を事前に照合しておくと確認箇所を整理しやすくなります。

設備シャフトも重要です。縦方向に複数階を貫く空間では、各階の床や壁との取り合い部分に設備配管が集中します。ひとつのシャフト内に給排水、電気、通信など複数設備が混在している建物では、更新時期も異なるため、施工履歴を追いにくいことがあります。

バックヤードや機械室周辺も見落としやすい場所です。利用者が日常的に立ち入らない一方、設備更新が繰り返されていることがあるため、改修履歴と現況を組み合わせて確認する必要があります。

倉庫では、棚や荷物によって壁面や防火扉が見えにくくなることがあります。点検時には無理に荷物を移動するのではなく、管理者と調整して安全に確認できる状態を整えることが必要です。

このように、防火区画を見る場合は「目につく設備を確認する」だけではなく、「見えにくい区画線をどう確認するか」という計画が重要になります。

ケーブル・配管貫通部を確認するときの考え方

防火区画を貫通するケーブルや配管は、設備更新が多い建物ほど確認箇所が増えやすくなります。

ケーブル貫通部を見る際には、まず防火区画線を横切っているかを確認します。すべての壁貫通部を同じ扱いにするのではなく、どの壁や床が防火区画を構成しているのかを明確にしてから確認すると効率的です。

次に、貫通部周辺に目立つ隙間、欠損、脱落などがないかを確認します。ただし、外観だけを見て材料の適否や必要性能を断定するのは避けます。見た目が似た材料でも仕様が異なる可能性があるため、施工記録や図面、仕様資料との照合が必要になる場合があります。

複数のケーブルが束になっている場所では、後からケーブルを追加した部分に注意します。既存処理を一部取り外してケーブルを通した形跡がある場合や、追加部分だけ処理方法が異なって見える場合には、施工履歴や仕様を確認するきっかけとします。

配管の場合は、配管本体だけでなく、保温材や周辺の納まりにも注意します。貫通部を一方向からしか確認できない場合は、確認できた方向を記録しておくと、後日の再調査で反対側を確認しやすくなります。

重要なのは、「穴があるから不適合」「材料が見えるから適合」と即断しないことです。現場で把握できる事実と、設計資料や仕様によって確認すべき事項を分けて記録すると、資格者や専門家による判断につなげやすくなります。

天井裏・シャフト・床下で注意したい点

天井裏や設備シャフトなどの点検では、防火区画の確認以前に安全な作業環境を確保する必要があります。

点検口の位置が高い場合や、内部に安全な足場がない場合には、無理に進入して確認しないことが重要です。照明が不足している場所、設備が密集している場所、高温になる場所などもあります。管理者と調整し、必要に応じて適切な作業体制を確保して確認します。

天井裏では区画壁の上端部分と設備貫通部に注目します。点検口から離れた位置について、無理に体を入れて確認しようとすると転落や天井破損などにつながるおそれがあります。確認できなかった場所は「異常なし」と扱うのではなく、確認できなかった範囲として記録することが重要です。

設備シャフトでは複数階を連続して確認すると位置関係を把握しやすくなります。同じ配管が上下階へ続いている場合でも、階ごとに貫通部の施工状態が異なることがあります。ある階が適切に見えるからといって、他の階も同じ状態とは限りません。

床下や二重床内でも同様です。増設配線が隣接区画へ通っている場合があります。すべてを開放して確認することが現実的でない場合は、適用される調査方法を踏まえつつ、図面や工事履歴を利用して確認箇所を整理することが有効です。

防火扉と常閉防火扉の扱いを整理する

防火区画を確認するときには、防火扉の種類や日常の使用状態にも注意する必要があります。

常時閉鎖した状態で使用する防火扉と、通常は開放され、火災時の感知器等との連動によって閉鎖する防火設備では、仕組みや確認すべき事項が異なります。特に常閉防火扉は日常の通行で開閉されることがあるため、使い勝手を理由に不適切な方法で開放固定されていないかという管理面の確認も重要です。

制度上の取扱いについては、2025年7月1日施行の見直しによって、各階の主要な常閉防火扉に関する一定の検査項目が防火設備定期検査で実施されるよう整理されました。国の参考資料では、各階の主要な常閉防火扉として、原則として避難経路に設けられたもの、吹抜きに面して設けられたもの、日常の通行が多く開閉作動の頻度が高いものが示されています。

この変更があるため、過去の点検方法をそのまま踏襲するだけでは現在の制度と一致しない可能性があります。点検を計画する際には、最新の調査結果表や検査結果表、特定行政庁の取扱いを確認し、建築物の定期調査と防火設備の定期検査で重複や抜けが生じないようにします。

また、法定検査とは別に、施設管理者が日常管理として扉の周囲に物を置かない、不適切に固定しない、異常を発見したら記録するといった運用を行うことも重要です。十二条点検の当日だけ状態を確認するのではなく、日常管理の情報を点検へつなげることで異常の原因を把握しやすくなります。

防火シャッター周辺で確認したいこと

防火シャッターについても、設備単体だけではなく周囲の状況を見ることが重要です。

シャッターが降下する部分に荷物や什器が置かれていると、閉鎖を妨げる可能性があります。倉庫、店舗バックヤード、搬入口周辺などでは物品が一時的に置かれやすいため、点検時の状態だけでなく、必要に応じて通常の運用も確認しておくとよいでしょう。

床面の変更にも注意します。改修によって床がかさ上げされたり、新しい仕上げ材が施工されたりした場合、防火設備周辺の条件が以前と変化している可能性があります。設備の具体的な適否については検査基準による判断が必要ですが、改修履歴を確認するきっかけとして現場の変化を記録できます。

天井付近では、看板、照明、配線などが追加されている場合があります。シャッター周辺へ新しい設備を設置した形跡がある場合には、防火設備との位置関係を確認します。

シャッター本体の作動や危害防止に関係する装置などについては、対象となる防火設備の定期検査として確認する事項があります。特定建築物の定期調査と防火設備定期検査の範囲を整理し、必要な検査結果を相互に確認できるようにしておくことが重要です。

図面と現況が一致しないときの進め方

十二条点検では、図面と現況が完全に一致しない建物もあります。特に供用期間が長く、何度も改修されている建物では不一致が生じている場合があります。

この場合、図面と違うという理由だけで直ちに不適合と断定するのではなく、変更された時期や工事内容を調べます。確認申請等の手続きに関係する工事だったのか、設備更新による変更だったのか、施工図や竣工記録が残っているのかなどを整理します。

最初に行いたいのは、不一致箇所を位置情報とともに記録することです。「3階廊下付近」のような広い表現だけでは、後で図面と照合しにくくなります。柱番号、室名、扉番号、設備番号など、建物内で場所を特定できる情報を併記します。

次に、現況写真を残します。壁全体が分かる写真と、不一致部分を確認できる近接写真を組み合わせると後日の確認が容易です。配管やケーブルの貫通部であれば、どの方向へ続いているか分かる構図も役立ちます。

さらに、過去の改修図面や工事記録を確認します。現場で問題に見えた部分でも、適切な設計と施工によって変更されている場合があります。反対に、記録がなく施工方法も確認できない場合には、追加確認が必要になることがあります。

不一致そのものを問題と決めつけるのではなく、「図面上の状態」「現況」「変更履歴」「確認できた資料」を分けて整理することが重要です。

指摘を断定しすぎず記録する方法

防火区画の点検記録では、現場で分からないことを無理に断定しないことも大切です。

例えば、貫通部に充填材が見えていても、外観だけで必要な仕様を満たしているか判断できない場合があります。そのような状況で「適合している」と断定すると、後から施工資料を確認した際に判断が変わる可能性があります。

反対に、見慣れない材料だからという理由だけで「不適合」と決めることも避けます。現場では、確認できた事実を具体的に記録し、必要な資料確認や資格者・専門家の判断につなげる方が適切です。

記録では、「貫通部周囲に隙間が確認された」「施工仕様を示す資料を現場では確認できなかった」「図面上の区画線と現況壁位置に相違がある」など、観察結果と未確認事項を分けて記述します。

こうした書き方にすると、建物管理者、調査者、設備担当者、施工担当者の間で認識を共有しやすくなります。また、同じ箇所を次回確認するときにも、何が未確認だったのかを追跡できます。

十二条点検は単に異常を探すだけでなく、建物の状態を継続的に把握する機会でもあります。判断根拠が追える記録を残すことが、次回点検の品質向上につながります。

写真記録で再確認しやすい状態をつくる

防火区画の点検では、写真が重要な記録になります。しかし、異常部分だけを大きく写した写真では、後から場所が分からなくなることがあります。

撮影するときは、まず周辺位置が分かる写真を残し、その後に対象部分へ近づいて撮影すると整理しやすくなります。同じ貫通部でも、室内全体、壁面、貫通部分というように位置関係が追える写真があれば、担当者が変わっても再確認しやすくなります。

天井裏では特に位置情報が分かりにくくなります。同じような配線や配管が多数並んでいるため、点検口番号や柱位置、近くの設備番号などと写真を結び付けておくことが重要です。

写真のファイル名や記録番号にも統一ルールを設けます。棟名、階、区画、撮影箇所、撮影日などを関連付けておけば、翌年度や次回周期の点検で比較しやすくなります。

写真は「撮ったこと」自体が目的ではありません。後日、別の担当者が見たときに同じ場所へ行けること、以前の状態と比較できること、補修後に改善されたか確認できることが重要です。

複数棟・複数階の防火区画を管理するコツ

大規模施設では、防火区画の確認箇所が非常に多くなることがあります。病院、商業施設、事務所、宿泊施設、複合用途建物などでは、棟や階ごとに設備構成や改修履歴が異なる場合があります。

このような建物では、点検時に発見した異常を文章と写真だけで管理すると、次回の再確認が難しくなります。同じような廊下や設備室が多いため、「以前撮影した場所がどこだったか分からない」という状態になりやすいためです。

管理では、各階平面図と現場記録を対応させることが重要です。防火区画線、扉位置、シャフト位置、貫通部、過去の指摘箇所などを位置単位で整理しておくと、毎回ゼロから探す必要がありません。

また、指摘箇所の状態を時系列で残します。初回確認、追加調査、補修前、補修後、次回点検という流れが追えるようにしておけば、対応漏れを減らしやすくなります。

2025年7月1日施行の制度見直しでは、特定建築物定期調査の調査結果表に添付する各階平面図へ防火区画を明示し、建築設備定期検査や防火設備定期検査での活用を促進することとされました。この点からも、位置情報を共有できる図面管理は重要です。

LRTK Phoneを点検記録の整理に活用する

十二条点検における防火区画の確認では、現場で発見した状態を正確に記録し、後から同じ場所を特定できるようにすることが重要です。

屋外や位置情報を利用しやすい場所を含む建物管理では、LRTK Phoneを活用し、現場記録と位置の関係を整理する方法も考えられます。建物周囲の点検箇所や外部から確認する設備位置などを記録しておけば、複数棟を管理する現場で位置関係を整理しやすくなります。

ただし、防火区画は建物内部や天井裏など衛星測位を利用しにくい場所が多いため、屋外と同じ方法ですべての位置を直接測位できるわけではありません。室内では平面図、階、部屋番号、柱位置、設備番号、撮影順序などと組み合わせて管理することが重要です。

例えば、建物外周や棟の基準となる位置をLRTK Phoneで記録し、そこから各階平面図や写真管理へつなげることで、現場情報の整理を補助できます。屋上設備、外壁周辺、建物間の位置関係など、屋外で位置情報を取得しやすい場所では活用を検討しやすくなります。

重要なのは、デジタル機器を使うこと自体を目的にしないことです。十二条点検で必要なのは、対象箇所を確実に確認し、その状態と判断根拠を追跡できる記録を残すことです。LRTK Phoneは、その位置記録や写真整理を支援する手段として活用します。

また、LRTK Phoneによる記録が法定の調査・検査や資格者による判断そのものを代替するわけではありません。法定の定期報告では、対象となる建築物や設備に応じて、法令に基づく資格者による調査・検査が必要です。最新の告示や特定行政庁の取扱いを確認して実施する必要があります。

点検結果を紙の記録だけで終わらせず、位置、写真、図面、過去履歴を関連付けることで、次回の点検や補修確認に使える情報へ変えることができます。防火区画のように同じ場所を継続して確認する必要がある項目では、記録を蓄積する仕組みが点検品質の安定につながります。

まとめ

十二条点検で防火区画の不備を防ぐためには、防火扉や防火シャッターだけを見るのではなく、防火区画全体を図面と現況の両方から確認することが重要です。

1つ目のポイントは、図面上の防火区画と現況を照合することです。防火区画の位置を把握しないまま現場を見ると、一般の間仕切りと区画を構成する壁を区別しにくくなります。

2つ目は、壁や床の状態と貫通部を確認することです。特に天井裏、設備シャフト、ケーブルや配管の貫通部では、完成後の工事によって状態が変わっている可能性があります。

3つ目は、防火扉や防火シャッター周辺に閉鎖を妨げる物品や改変がないかを見ることです。設備本体の検査項目と建築物側の調査範囲を整理しながら、区画全体として状態を把握する必要があります。

4つ目は、改修、用途変更、設備更新などの後施工を確認することです。現在の状態だけを見るのではなく、いつ、どこで、どのような工事が行われたのかを追うことで、見落としやすい変化を把握しやすくなります。

また、2025年7月1日には定期報告関係告示の見直しが施行され、特定建築物定期調査の調査結果表に添付する各階平面図への防火区画の明示や、各階の主要な常閉防火扉に関する一定の確認項目を防火設備定期検査で実施する整理などが行われました。過去の点検方法だけを前提にせず、最新の調査・検査様式や特定行政庁の取扱いを確認することが重要です。

防火区画の確認では、異常を見つけることと同じくらい、どこで何を確認したのかを再現できる記録が重要です。図面、写真、改修履歴、位置情報を整理し、次回点検や補修確認へ引き継げる状態をつくることで、建物管理を継続的に改善できます。

屋外を含む点検箇所の位置管理や写真記録を効率化したい場合には、LRTK Phoneを現場記録の仕組みに組み込み、点検結果を後から追跡しやすい情報として蓄積する方法も検討できます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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