仮設防音壁基礎の掘削量を現場で体積計算する意味
仮設防音壁は、建設工事や解体工事などで発生する騒音の影響を抑えるため、工事期間中に設置される設備です。防音パネルを支持するための支柱や基礎にはさまざまな形式があり、現場条件によっては独立基礎を施工するための掘削が必要になります。このとき実務担当者を悩ませやすいのが、掘削量をどのように把握するかという問題です。
図面上で基礎の幅、長さ、深さが決まっていれば、単純な直方体として幅×長さ×深さを計算できます。しかし、実際の現場で掘削された形は必ずしも直方体にはなりません。地盤面に高低差があったり、掘削側面に勾配が付いたり、作業スペースを確保するために基礎寸法より広く掘ったりするからです。埋設物や既設構造物を避けるために掘削形状が部分的に変わることもあります。
そのため、「現場で体積計算」を行う場合には、設計上の理論数量と、実際に掘削した数量を分けて考える必要があります。計画数量を確認したいのであれば設計形状から計算し、実績数量を確認したいのであれば現況地盤と掘削後の地盤を計測して比較するという考え方が基本になります。
特に仮設防音壁のように同じような独立基礎が一定間隔で連続する工事では、一つ一つの基礎で数値が少しずつ違っても、全体では無視できない差になることがあります。例えば地盤の起伏によって掘削深さが変わった場合や、狭い場所だけ余掘りが増えた場合などです。図面寸法だけから全数を一律計算すると、実際の掘削量との違いが大きくなる可能性があります。
現場で体積を計算できれば、掘削の進捗確認、残土搬出計画、施工数量の整理、予定数量との差異確認などに利用できます。ただし、体積計算で得られた値をそのまま契約数量や出来高数量として採用できるとは限りません。正式な数量の扱いについては、契約条件、施工計画、発注者の基準、現場で定められた計測方法などを確認する必要があります。
重要なのは、単に計算式へ数字を入力することではありません。どの面とどの面の間を体積として求めているのかを明確にすることです。この考え方を押さえるだけでも、仮設防音壁基礎の掘削量を大きく外すリスクを減らせます。
仮設防音壁基礎で掘削量が計画値からずれる理由
仮設防音壁基礎の掘削量が計画値と一致しない大きな理由は、設計形状と施工形状が同じとは限らないためです。図面上では基礎コンクリートの寸法が示されていても、それがそのまま掘削形状を意味するわけではありません。
実際の掘削では、型枠作業や基礎周囲の作業空間を確保するため、基礎外形より外側まで掘ることがあります。地盤の状態によっては鉛直に近い側面を維持できず、施工上必要な勾配を持たせる場合もあります。掘削深さについても、基礎下面だけでなく、砕石などの基礎下部の施工範囲を考慮しなければならない場合があります。
また、現況地盤そのものが水平とは限りません。施工前の地表面が傾斜している場所に同じ高さの基礎を設置すると、山側と谷側で掘削深さが異なります。一つの平均深さだけで計算すると、実際の掘削形状を十分に表現できません。
施工中の余掘りも差の原因になります。バックホウなどで掘削する場合、地盤条件やオペレーターの作業方法によって、計画線より数センチから数十センチ程度広くなることがあります。ただし、余掘り量は現場条件によって異なるため、一律の値を想定するより、実際の形状を計測して確認する方が確実です。
さらに注意したいのが、掘削土量と運搬する土量の違いです。地山状態で存在していた土を掘り起こすと、その後の状態によって見掛けの体積が変化することがあります。したがって、地盤形状の差分から求めた掘削体積と、ダンプなどで搬出する数量を単純に同じものとして扱うと、数量管理を誤る原因になります。
仮設防音壁基礎の掘削量を外さないためには、最初から「図面寸法だけで決める」のではなく、「施工前の地盤」「実際に掘った面」「数量として採用する範囲」という三つを区別することが重要です。
手順1 基礎形式と掘削範囲を先に確定する
最初の手順は、何を体積計算の対象にするのかを明確にすることです。ここが曖昧なまま計測を始めると、精密なデータを取得しても正しい数量にはつながりません。
まず確認するのは、防音壁を支持する基礎の形式です。独立したコンクリート基礎なのか、連続した基礎なのか、支柱周辺だけを掘削する形なのかによって、体積計算の対象範囲が変わります。基礎本体の寸法だけでなく、その下に施工する層や周囲の作業余裕をどこまで掘削数量として扱うかも確認しておきます。
例えば基礎本体が一定寸法であっても、実際の掘削範囲は基礎外周から外側へ広がることがあります。この部分を考えず基礎コンクリートの体積だけを掘削量とみなすと、実際の数量との差が出やすくなります。
現場で実績数量を求めたい場合は、「施工前地表面から掘削後地盤面までの間」を対象とすると整理しやすくなります。ただし、途中で砕石などを施工してから計測すると、本来の掘削底面が見えなくなります。したがって、どの施工段階で計測するのかも作業前に決めておく必要があります。
また、防音壁基礎が複数並ぶ場合には、一つの大きな範囲として計算するのか、基礎ごとに個別計算するのかを決めます。施工管理では、基礎番号などと対応させて個別に数量を持たせた方が、異常値を発見しやすくなります。一方で搬出量など全体数量を確認する場合には、複数箇所をまとめた集計も必要になります。
掘削範囲の外周を決めるときには、計測データの端部にも注意します。対象範囲をぎりぎりで切ると、掘削側面の一部が欠けたり、施工前後のデータ範囲が一致しなかったりすることがあります。必要な範囲より少し広く現場を取得しておき、その後の処理で対象範囲を切り出す方が扱いやすくなります。
この段階では体積を計算することより、「何を数量とするか」を確定することの方が重要です。対象範囲が確定すれば、次に施工前の地盤を基準面として記録します。
手順2 掘削前の現況地盤を計測して基準面を作る
実際の掘削量を求める場合、掘削後だけを計測しても体積は分かりません。比較対象となる掘削前の地盤が必要です。そのため、施工前の現況地盤を計測して基準面を作ることが重要になります。
最も避けたいのは、掘削後になってから施工前データが必要だったことに気付くケースです。掘削前の地盤は施工が始まると失われるため、後から完全に復元することは困難です。施工計画の段階で、掘削前計測を作業フローへ組み込んでおく必要があります。
現況地盤を計測するときには、対象となる基礎位置だけでなく、その周辺も含めて取得します。基礎外周の地表面が残っていれば、掘削前後のデータを確認するときの手掛かりになります。また、地盤が傾斜している場合には、周辺を含めて取得することで施工前の面形状をより適切に表現できます。
現場で体積計算を行う場合、基準面を単純な水平面に置き換えないことも大切です。例えば道路沿いや造成途中の敷地では、地盤が一方向へ傾いていることがあります。施工前地盤を平均標高だけで水平面として扱うと、山側では掘削量を過大評価し、谷側では過小評価する可能性があります。
そこで有効なのが、複数点の測量や点群計測によって現況面そのものを記録する方法です。十分な密度で地表形状を取得して面データを作れば、局所的な勾配や凹凸を含めた基準面を作成できます。
ただし、データ量が多ければ自動的に正確になるわけではありません。雑草、資材、仮設物、車両などが地表面として含まれていると、それらが体積差として計算される可能性があります。計測前に不要物をできるだけ移動させるか、データ処理時に不要な点を除外する必要があります。
座標や高さの基準も重要です。施工前と施工後を比較するのであれば、両方を同じ座標系、同じ高さ基準で扱わなければなりません。別々の基準で取得したデータをそのまま比較すると、地盤全体が上下または水平方向へずれ、そのずれが体積差として計算されるおそれがあります。
可能であれば、施工前後で確認できる既知点や動かない構造物を確保しておくと、後から位置関係を検証しやすくなります。現場で数値が想定以上に大きくなったとき、「本当に掘り過ぎたのか」「データ全体がずれているのか」を切り分ける材料になります。
施工前計測は、体積計算の基準を作る工程です。このデータの品質が悪ければ、後工程でどれだけ細かく計算しても信頼できる掘削量にはなりません。
手順3 掘削後の形状を同じ基準で計測する
施工前の地盤を記録したら、実際に掘削した後の形状を計測します。ここで重要なのは、施工前と同じ基準で取得することです。
掘削後は、底面だけでなく側面まで含めて形状を捉えます。体積は底面の深さだけで決まるものではありません。上端から底部に向かって掘削幅が狭くなる場合や、部分的に余掘りが発生している場合には、側面の形状が数量へ影響します。
特に深い掘削や狭い基礎穴では、上からだけ計測すると側面や隅部が見えにくくなることがあります。死角が多いまま面を作ると、計測できていない部分が補間され、実際とは異なる形状になる可能性があります。そのため、計測方法に応じて複数方向から取得し、必要な範囲をできるだけ欠損なく記録します。
底面についても確認が必要です。掘削直後の地盤が泥水で覆われていたり、崩れた土が残っていたりすると、本来の掘削底を正しく取得できません。数量確認を目的とするのであれば、現場の安全を優先したうえで、計測可能な状態になってから取得することが重要です。
また、掘削完了後すぐに次工程へ進む現場では、計測のタイミングを逃しやすくなります。砕石を敷いた後や基礎コンクリートを打設した後では、元の掘削形状を直接確認できません。施工前と同様、掘削完了時の計測を工程に組み込んでおくことで、記録漏れを防ぎやすくなります。
施工前後のデータを比較するときには、共通して残っている地盤や構造物を確認します。掘削していない周辺部分で高さが一致しているかを見ることで、データ同士の位置関係を確認できます。周辺の未掘削部分まで全体的に高さが違っている場合は、実際の掘削量ではなく位置合わせや高さ基準に問題がある可能性があります。
現場での体積計算では、「計測できたから計算する」のではなく、「施工前後が比較可能な状態で計測できているか」を確認することが重要です。比較条件がそろったところで、初めて体積計算へ進みます。
手順4 掘削前後の面を比較して体積を計算する
施工前と施工後の面がそろったら、二つの面の間にある空間を体積として求めます。これが実際の掘削形状に基づく体積計算の基本です。
考え方は単純で、施工前地盤の高さと掘削後地盤の高さとの差を対象範囲内で積み上げます。面的なデータを一定間隔の格子などで処理する場合は、それぞれの位置で高さ差を求め、その差と水平面積を掛け合わせながら全体を集計することで体積を算出できます。
例えば、ある位置で施工前地盤より掘削後面が低ければ、その部分は掘削された空間として計算できます。ただし、対象範囲外の地盤まで含めたり、掘削とは無関係な盛土部分を含めたりすると、求めたい数量とは異なる結果になります。計算前に対象範囲を適切に切り出す必要があります。
ここで特に注意したいのが、計算面の作り方です。点群などの離散的なデータから面を作る場合、点のない場所をどのように補間するかによって結果が変わる可能性があります。掘削穴の隅角部や急な側面は形状変化が大きいため、粗い設定で処理すると角が丸められ、本来の体積との差が生じることがあります。
反対に、必要以上に細かな設定にしても、元の計測データの精度や密度を超える情報が得られるわけではありません。現場で求める数量精度、基礎の大きさ、掘削面の複雑さなどに合わせて処理条件を決める必要があります。
計算後は、いきなり合計体積だけを見るのではなく、掘削深さの分布も確認します。ほぼ同じ寸法の独立基礎が並んでいるのに、一箇所だけ体積が極端に大きい場合は、その基礎だけ余掘りが大きかった可能性があります。一方、すべての基礎で同程度に数値が大きいのであれば、計画時の掘削範囲の想定や計算条件を再確認する必要があります。
簡易的な幾何計算との照合も有効です。例えば、おおむね直方体に近い基礎穴であれば、平均的な幅、長さ、深さから概算体積を求め、面的な計算結果と比較します。完全一致する必要はありませんが、桁が違う、想定の倍近いなど大きな差がある場合には、範囲設定や高さ基準を見直すきっかけになります。
体積計算は自動化しやすい工程ですが、計算された数字が正しいかを判断するのは現場条件を理解している担当者です。結果を一つの数字だけで受け取らず、どこでどの程度掘削されているのかまで確認することで、数量の信頼性を高められます。
手順5 計算結果を施工条件と照合して確定する
最後の手順は、計算した体積をそのまま確定値とせず、施工条件と照合することです。現場で体積計算を行う際には、この確認工程が非常に重要です。
まず、計画数量と実測数量を比較します。実測が計画より多い場合には、その理由を考えます。作業余裕が広かったのか、法面が必要だったのか、地盤高が想定と違ったのか、障害物を避けるために掘削形状を変更したのかなど、施工記録と合わせて確認します。
実測が計画より少ない場合も同様です。単純に施工が効率的だったとは限りません。計測範囲が不足していたり、掘削側面が欠測していたり、施工前後の面が正しく重なっていなかったりする可能性があります。
次に、基礎寸法との整合性を確認します。掘削穴が基礎本体より小さいという結果になっている場合には、計算範囲や計測データに問題がないかを確認する必要があります。逆に必要以上に大きい場合には、現場写真や施工記録と照合し、実際に余掘りが発生していたのかを判断します。
複数基礎を施工している場合には、平均値だけでなく個別値を見ることも重要です。全体数量が予定と近くても、一部の基礎で過大な余掘りが発生し、別の基礎で小さくなって相殺されている可能性があります。施工改善を目的とするのであれば、基礎ごとの体積を確認した方が有効です。
さらに、正式な数量として使用する場合には、現場独自の体積計算結果だけで判断せず、契約条件や数量算出方法との整合を確認します。計測技術によって得た三次元データは現場管理に有効ですが、どの方法による値を正式数量とするかは工事ごとの条件によって異なります。
この最終確認まで行えば、「計算した数字」と「施工数量として説明できる数字」の差を小さくできます。仮設防音壁基礎は一箇所あたりの掘削量が比較的小さくても、設置延長が長く基礎数が増えるほど累積差が大きくなります。だからこそ、施工途中から同じ方法で継続的に管理することが効果的です。
法面や余掘りを含む掘削形状をどう扱うか
仮設防音壁基礎の掘削量を計算するとき、実務上の大きな論点になるのが法面と余掘りです。基礎本体が直方体でも、掘削穴は直方体とは限りません。
側面を傾斜させて掘削した場合、上端の掘削面積は底面より大きくなります。この形状を基礎底面積×掘削深さだけで計算すると、側面部分の土量が十分に反映されません。単純形状であれば幾何学的に計算できますが、地盤高や勾配が場所によって変わると計算は複雑になります。
現場計測による体積計算の利点は、このような不規則な形状を実測面として扱えることです。上端の広がり、局所的な崩れ、底面の凹凸などを含む面を取得できれば、理想形状だけでは表現できない掘削量を把握できます。
ただし、掘削後の面に崩れた土が残っている場合は、その土が掘削形状の一部として計測されます。本来掘削した空間より体積が小さく計算される可能性があるため、何を「掘削後面」とするかを明確にしておく必要があります。
余掘りについても同じです。施工上必要な余掘りと、計画を超えて発生した余分な掘削を数量上どう扱うかは、体積計算そのものとは別の問題です。計測では実際の形状を把握し、その後に計画形状との差を比較するという二段階で考えると整理しやすくなります。
実際に掘った量を知りたい場合は施工前後差分を使い、計画からどれだけ外れたかを知りたい場合は計画掘削面と実測面を比較します。この二つを混同しないことが、現場で体積計算を正しく使うポイントです。
複数の独立基礎をまとめて計算するときの注意点
仮設防音壁では、一定の間隔で多数の基礎を施工することがあります。このような場合、基礎ごとの掘削量をすべて手計算すると管理負担が大きくなります。
効率化するには、施工前後の地盤をまとまった範囲で計測し、その後に基礎単位で計算範囲を分ける方法が考えられます。これにより一度の計測で複数基礎を記録しながら、数量は個別に管理できます。
ただし、全体を一つの範囲で単純に体積計算すると、基礎と基礎の間にある地盤変化まで数量へ含まれる可能性があります。例えば重機走行によるわずかな地盤変形、仮置き土、資材の存在などです。そのため、求めたいのが各基礎の掘削量であれば、基礎ごとの対象範囲を設定した方が結果を解釈しやすくなります。
基礎番号と計測データを対応させることも重要です。「北側から1番、2番」といった曖昧な管理では、後日どのデータがどの基礎だったのか分からなくなる場合があります。図面上の基礎番号、測点、施工日などと関連付けて記録すると、再確認が必要になったときに追跡しやすくなります。
基礎ごとの数値を並べると、施工品質の傾向も見えてきます。例えば初期に施工した基礎だけ掘削量が大きく、その後減少しているのであれば、施工方法の改善が数量へ表れている可能性があります。特定の地盤区間だけ体積が大きいのであれば、地盤条件や施工スペースに原因があるかもしれません。
単純な合計値を求めるだけでなく、基礎単位で数量を残すことによって、体積計算を施工改善にも利用できるようになります。
土量と搬出量を同じ数字として扱わない
「現場で体積計算」と検索する実務担当者の中には、残土搬出量を把握する目的で計算したい人も多いでしょう。しかし、地盤形状の差分から求めた掘削量と、運搬時の土量をそのまま同じ数字として扱うのは適切ではありません。
施工前後の地盤差から求める体積は、基本的にはその場所から失われた空間の体積を表します。一方、掘削した土はほぐされた状態になり、土質や含水状態などによって見掛けの体積が変化する場合があります。
また、掘削した土のすべてを場外搬出するとは限りません。現場内で埋戻しへ利用する場合や、一時仮置きする場合もあります。逆に泥や水を含んで運搬条件が変わることもあります。
したがって、掘削量を計算した後、それをそのまま運搬台数に置き換えるのではなく、現場で採用している土量換算や施工計画に従って整理する必要があります。
体積計算の数字が何を表しているのかを明確にしておけば、施工担当、土工担当、搬出担当などの間で数量の認識がずれるのを防ぎやすくなります。「掘削した地山の体積」「仮置きされた土の体積」「搬出数量」は目的が異なるため、それぞれを区別して管理することが重要です。
現場で体積計算を外しやすい代表的な原因
仮設防音壁基礎で体積計算を大きく外す原因の多くは、計算式そのものではなく、入力する形状や基準の違いにあります。
特に多いのが、施工前の地盤を水平だと仮定してしまうケースです。見た目には平坦な場所でも、実際には緩やかな縦断勾配や横断勾配が付いていることがあります。長い防音壁沿いに多くの基礎を配置する場合、この小さな勾配が各基礎の掘削深さへ影響します。
次に注意したいのが、基礎寸法と掘削寸法の混同です。設計図に記載された基礎幅をそのまま掘削幅として計算すると、作業空間や法面を含む実際の掘削量を過小評価しやすくなります。
施工前後で異なる高さ基準を使用することも大きな誤差要因です。例えば数センチの高さずれでも、対象面積が広がれば体積差として積み重なります。複数の基礎をまとめて計算すると、その影響はさらに大きくなります。
不要物を含んだ計測も問題になります。施工前に置かれていた資材、掘削後に穴の中へ落ちた土、計測時に写り込んだ重機などが面データへ含まれると、本来の地盤形状とは異なる結果になります。
対象範囲の設定ミスも見逃せません。掘削穴より狭い範囲で切り出せば体積を過小評価し、必要以上に広い範囲を含めれば周辺の地盤変化まで計算される可能性があります。
そして最も注意したいのは、計算結果が表示された時点で正しいと判断してしまうことです。数値が出ることと、その数値が正しいことは別です。必ず概算値、現場写真、掘削寸法、周辺地盤などと照合し、現実的な数量かを確認する必要があります。
仮設防音壁基礎の掘削量を施工中に管理する方法
体積計算は施工完了後の数量確認だけでなく、施工中の管理にも使えます。むしろ基礎数が多い現場では、施工途中から確認した方が数量のずれを早く発見できます。
例えば最初の数基を施工した段階で、計画掘削量と実測掘削量を比較します。実測値が継続して計画を大きく上回っている場合は、そのまま全数施工する前に原因を確認できます。
原因が作業余裕の取り過ぎであれば施工方法を見直せる可能性があります。地盤条件によって必要な掘削範囲が増えているのであれば、残りの基礎についても数量増加を予測できます。図面と現況地盤の差が原因であれば、施工前計測から残りの基礎の掘削量を再検討することもできます。
施工途中で基礎ごとの体積を記録すると、累積数量も把握しやすくなります。全体の半分を施工した段階で、計画数量に対してどの程度進んでいるかを数量面から確認できます。
また、計測データと現場写真を対応させておくと、後から数値の理由を説明しやすくなります。一箇所だけ掘削量が大きかった場合でも、その位置に既設物があった、地盤が崩れた、施工スペース確保のため形状を変更したなどの状況を記録しておけば、単なる計算ミスなのか実際の施工差なのかを判断できます。
このように、体積計算を完成数量の集計だけに使わず、日々の施工確認へ組み込むことで、数量管理を事後処理から施工管理へ変えられます。
現場計測から体積計算までを効率化する考え方
従来、現場で掘削量を求める場合には、幅、長さ、深さを測定して形状を単純化し、電卓や表計算などで体積を求める方法が一般的です。この方法は形状が単純であれば十分実用的ですが、掘削面が不規則になるほど測定箇所が増え、計算も複雑になります。
仮設防音壁基礎のように独立した掘削箇所が多数ある場合には、現場計測から三次元データを作り、施工前後の面を比較して体積を求める方法が有効です。地盤の傾斜や余掘りを面として捉えられるため、単純な幅×長さ×深さだけでは表現しにくい形状も扱いやすくなります。
効率化で重要なのは、計測作業と数量計算を別々の仕事として考えないことです。施工前に現況を記録し、そのデータを施工後にも同じ基準で利用できるようにしておけば、比較作業がスムーズになります。
また、計測したデータをその場で確認できれば、取り漏れにも気付きやすくなります。事務所へ戻ってから側面のデータが不足していることに気付いても、すでに砕石敷設や基礎施工が進んでいれば再計測できません。現場で取得範囲を確認し、必要であればその場で追加計測する運用が有効です。
一方で、三次元計測を使えば自動的に正しい数量になるわけではありません。計測前後の位置基準、対象範囲、不要点、欠測、面の作り方などを確認する必要があります。体積計算の自動化は、判断を不要にするものではなく、反復的な測定と計算作業を減らすために使うものと考えるとよいでしょう。
現場で使える計測環境を整えることも重要です。大型の測量機器を毎回準備する方法だけでなく、持ち運びやすい端末で必要なタイミングに計測できれば、掘削完了直後など短い時間でも記録しやすくなります。
例えばLRTK Phoneのような現場向けの計測手段を利用し、位置情報を持った計測データを取得して体積確認へつなげる運用であれば、仮設防音壁基礎のように施工箇所が連続する現場でも、計測から数量確認までの流れを組み立てやすくなります。
重要なのは機器を使うこと自体ではなく、施工前計測、掘削後計測、体積算出、結果確認という一連の流れを標準化することです。同じ方法で繰り返し記録できれば、担当者が変わっても数量を比較しやすくなり、施工実績の蓄積にもつながります。
まとめ 仮設防音壁基礎の掘削量は前後の面をそろえて管理する
仮設防音壁基礎の掘削量を現場で正確に把握するには、単純に基礎寸法から体積を計算するだけでは不十分な場合があります。基礎本体と実際の掘削形状は異なることがあり、地盤勾配、作業余裕、法面、余掘り、既設物などによって現場の掘削量は変化します。
掘削量を外さないための基本は、最初に体積計算の対象範囲を決め、掘削前の現況地盤を記録し、掘削後の形状を同じ基準で取得することです。その二つの面を比較して体積を計算し、最後に計画数量や施工記録と照合することで、数値の妥当性を確認できます。
特に重要なのは、施工前の計測です。掘削前地盤は工事が進めば失われます。後から必要になっても完全には再現できないため、体積管理を行う可能性がある現場では、掘削前の記録を工程へ組み込んでおくことが有効です。
また、計算された合計値だけを見るのではなく、基礎ごとの数量や掘削深さの分布を見ることで、余掘りが集中している場所や計画との差が大きい場所を発見できます。多数の基礎を施工する仮設防音壁では、一箇所ごとの差は小さくても、全体では大きな数量差になる可能性があります。
体積計算から得られる掘削量と、実際の残土搬出量も区別する必要があります。計測によって求めた掘削空間の体積が、そのまま運搬数量になるとは限りません。何のための体積なのかを明確にして管理することが、数量の取り違えを防ぐポイントです。
現場で体積計算を活用する目的は、単に最後の数字を出すことではありません。施工中に数量を確認し、想定との差を早く発見し、その後の施工へ反映することにあります。施工前後の地盤を継続して記録できれば、体積計算は出来高確認だけでなく、施工方法の改善や数量説明の根拠づくりにも活用できます。
仮設防音壁基礎のように小規模な掘削を何度も繰り返す現場ほど、毎回同じ手順で計測できる仕組みが効果を発揮します。現場で計測し、その場でデータを確認しながら体積管理までつなげたい場合は、LRTK Phoneを活用した現場計測の方法も確認してみてください。