仮舗装撤去後の残差確認に出来形ヒートマップ差分が役立つ理由
道路工事や埋設工事、造成工事などでは、本施工までの期間に交通や施工動線を確保するため、仮舗装を設ける場面があります。その後、本復旧や次工程へ進む際には仮舗装を撤去しますが、撤去したからといって施工面が必ず均一な状態になるとは限りません。舗装材や路盤材の一部が局所的に残っていたり、反対に撤去作業で必要以上に掘り下げられていたりすると、次工程の厚さや高さ管理に影響する可能性があります。
こうした微妙な高低差を現地で目視するだけでは、広い範囲を均一に評価することが難しい場合があります。特に数センチ程度の凹凸が緩やかに広がっていると、作業員が立った位置や見る方向によって印象が変わりやすく、残差の範囲を定量的に共有しにくくなります。そこで活用しやすいのが、設計面や基準面と計測した出来形点群との差を面的に表す出来形ヒートマップです。
出来形ヒートマップでは、計測した高さが基準面より高い部分と低い部分を色の違いとして確認できます。仮舗装撤去後に使用すれば、撤去材が残っている可能性のある高い領域や、撤去し過ぎた可能性のある低い領域を面的に探しやすくなります。ただし、ヒートマップに色が付いていること自体が施工不良を意味するわけではありません。基準面の設定、座標系、高さ基準、点群処理、グリッド条件などによっても差分の表示は変わるためです。
そのため実務では、「赤いから盛り残し」「青いから掘り過ぎ」と単純に判断するのではなく、差分を作る条件を統一したうえで、色の連続性や周辺形状、施工範囲、現地状況を組み合わせて確認する必要があります。出来形ヒートマップは合否を自動的に決める道具ではなく、確認すべき場所を絞り込み、面的な傾向を把握するための補助資料として使うと効果的です。
仮舗装撤去後は、その後に路盤整正、舗装復旧、構造物施工などが続くことも多いため、残差を早い段階で把握できれば手戻りの防止にもつながります。次工程を始めた後に高さ不足や余盛りが判明すると、再掘削や追加調整が必要になることがあります。撤去直後の状態を点群として残し、差分ヒートマップで確認しておけば、どこを重点的に再確認するべきかを関係者間で共有しやすくなります。
出来形ヒートマップの差分を作る基本手順
出来形ヒートマップの作り方を考えるときは、最初に「何と何を比較するのか」を明確にする必要があります。仮舗装撤去後の残差を確認する場合、一般的には撤去後にあるべき基準面と、実際に計測した撤去後の出来形点群を比較します。基準面には設計面を使う場合もあれば、次工程で必要となる路盤面や掘削面を基準として設定する場合もあります。
まず、比較対象となる設計データや基準面の座標系、高さ基準、単位を確認します。次に、撤去後の対象範囲を点群計測します。このとき、車両、作業員、資材、重機、仮設物など、施工面そのものではない対象が点群に混ざると、後の差分計算に影響することがあります。可能であれば計測時点で対象面を見通せる状態にし、不要な物体が少ない条件で記録することが重要です。
取得した点群は必要に応じて不要点を整理し、比較対象範囲を抽出します。その後、設計面または基準面との差を計算します。差分の符号は処理方法によって意味が変わる可能性があるため、「プラスが基準より高いのか」「マイナスが基準より低いのか」を作業前に統一しておくことが重要です。符号の意味を担当者ごとに逆に理解していると、撤去不足と掘り過ぎを取り違える原因になります。
次に、差分値をグリッドなどの一定範囲に集約し、色分けします。細かいグリッドでは小さな凹凸を捉えやすくなりますが、点群のノイズや局所的な異常値も目立ちやすくなります。反対に大きなグリッドでは全体傾向を把握しやすい一方、小さな残差が平均化されて見えにくくなることがあります。したがって、確認したい残差の大きさ、施工範囲、点密度などに合わせて条件を決める必要があります。
完成したヒートマップでは、色だけを見るのではなく、平面形状や施工境界、構造物位置、撤去範囲などと重ねて確認します。異常に見える領域が見つかった場合は、その場所の点群そのものや断面形状を確認すると、単純な表示上の特徴なのか、実際の施工面の高低差なのかを判断しやすくなります。
重要なのは、ヒートマップ作成を一度きりの処理として考えないことです。グリッド条件、表示範囲、不要点除去などを変更した結果、異常に見える領域が大きく変化する場合は、表示条件への依存性が高い可能性があります。複数条件で比較しながら、安定して現れる残差を優先的に確認する方法が実務では有効です。
項目1 比較する設計面と出来形点群の基準をそろえる
仮舗装撤去後の残差を差分で拾ううえで、最も基本的で重要なのが基準の統一です。ヒートマップは二つのデータの差を表示するため、両者の座標や高さ基準が一致していなければ、施工面そのものに問題がなくても全体に偏った差が表示されます。
例えば設計面と出来形点群の高さ基準に一定量のずれがあると、対象範囲全体が一方向の色で表示されることがあります。この状態で局所的な残差を探そうとしても、本来確認したい数センチ程度の高低差が基準ずれに埋もれてしまう可能性があります。逆に基準ずれを施工残差と誤認すれば、不要な再施工につながるおそれがあります。
まず確認したいのは、設計データと現地計測データが同じ座標系で扱われているかという点です。平面位置だけでなく高さの扱いもそろえる必要があります。現場独自の基準高さを使用している場合や、途中工程で基準点の扱いを変更している場合は、その履歴も確認します。
既知点を利用できる場合は、ヒートマップを作る前に既知点周辺の座標や高さが適切に再現されているかを確認すると効果的です。対象面全体で同じ方向にずれが現れている場合は、局所施工の問題よりも基準条件を疑うべき場合があります。特に仮舗装撤去後は地表面の状態が大きく変わるため、撤去前の計測データをそのまま基準にしてよいかも確認が必要です。
また、比較面そのものが適切かという点も見落とせません。仮舗装を撤去した後の完成形が、必ずしも最終舗装面ではないからです。次工程で路盤材や舗装材を施工する場合は、その工程に対応した設計高さを基準にしなければなりません。最終完成面との差を計算すると、必要な舗装厚さまで残差として表示され、画面全体に大きな差が現れることがあります。
したがって「どの工程時点の面を評価しているのか」を明確にすることが重要です。撤去完了面なのか、路盤仕上げ面なのか、最終舗装面なのかを区別し、その工程に対応した設計面を比較対象にします。工程と基準面が一致して初めて、ヒートマップ上の残差を施工状態として意味のある形で評価できます。
項目2 仮舗装の撤去範囲と比較対象範囲を一致させる
差分ヒートマップで残差を探す際には、比較する範囲の設定も重要です。仮舗装撤去範囲と、ヒートマップを作成する範囲が一致していないと、撤去対象ではない部分まで差分として表示され、異常箇所が多く見えることがあります。
道路工事では、仮舗装の端部が必ずしも単純な直線になっているとは限りません。既設舗装との取り合い、マンホールや桝、側溝、縁石、埋設構造物などを避けながら施工されている場合、撤去境界が複雑な形状になることがあります。こうした場所では、撤去対象面と既設面が隣接しているため、同一の比較条件で一括処理すると境界付近に大きな色変化が生じることがあります。
まず、施工記録や現地状況から実際の撤去範囲を把握し、その範囲をヒートマップの評価領域として設定します。仮舗装が残る部分や既設構造物の天端などは、必要に応じて評価対象から分離します。全点群を一括で処理するよりも、施工目的が異なる面を分けて扱った方が残差を読み取りやすくなります。
特に注意したいのが撤去端部です。舗装切断位置や掘削境界では、点群の中に垂直面や斜面が含まれることがあります。設計上の水平面と単純に比較すると、境界部だけ極端な差分として表示される可能性があります。この色変化を撤去不足と判断するのではなく、境界形状に由来するものかどうかを確認する必要があります。
また、撤去範囲が施工途中で変更された場合には、当初図面だけで評価しないことも重要です。現地の実際の撤去線が計画と異なっていれば、計画範囲をそのまま評価領域として使うことで不自然な差が現れます。施工記録や現地写真、計測時の状況などを照合し、実際に評価すべき範囲を整理します。
出来形ヒートマップは広い範囲を一目で確認できることが利点ですが、広く表示するほど異なる条件の面が混在しやすくなります。全体図で傾向を把握した後、撤去範囲だけを切り出したヒートマップで詳しく確認する方法も有効です。評価範囲を明確にすることで、本当に確認したい残差を周辺の色変化から分離しやすくなります。
項目3 局所的な盛り残しと掘り過ぎを周囲との連続性で読む
仮舗装撤去後のヒートマップでは、基準面より高い場所と低い場所の両方を確認します。高い部分には舗装材や路盤材の撤去残り、付着物、局所的な盛り残しなどが含まれる可能性があります。一方で低い部分には撤去時の掘り過ぎ、下地の欠損、局所的な沈み込みなどが含まれる可能性があります。
ただし、一つのグリッドだけが周囲と異なる色になっているからといって、すぐに施工残差と判断するのは適切ではありません。点群には計測ノイズや一時的な遮蔽物の影響が含まれることがあり、単独の異常値が色として強調される場合があります。重要なのは、差分がある程度の面積を持って連続しているかを確認することです。
例えば高い差分が数メートルにわたって帯状に連続している場合、仮舗装の撤去境界や施工機械の通過位置との関係を確認します。撤去機械の作業幅に近い形状で残っていれば、施工条件との関連が考えられます。一方、点状に孤立した極端な値だけが存在する場合は、まず不要点やノイズを疑った方がよいことがあります。
低い領域についても同様です。局所的な掘り過ぎがある場合、その中心だけでなく周囲に向けて高さがどのように変化しているかを見ると、実際のくぼみなのか単なる異常点なのかを判断しやすくなります。断面を確認すると、面としてなだらかに低くなっているのか、一点だけ急激に落ち込んでいるのかが分かります。
色の境界にも注目します。差分が滑らかに変化している場合は実際の地形や施工面の傾向を表している可能性があります。一方、グリッド単位で色が細かく入れ替わる場合は、点密度不足や表面の粗さ、ノイズなどが影響していることがあります。
また、仮舗装撤去後の面には重機の走行跡やバケットの作業跡が残ることがあります。これらも高さ差としてヒートマップに現れますが、すべてを同じ重要度で補修する必要があるとは限りません。次工程の施工厚、整正工程の有無、要求される仕上がり条件などを考慮し、どの程度の残差を管理対象とするかを決めることが重要です。
残差を読む際には、数値、面積、形状、連続性の四つを組み合わせて考えると整理しやすくなります。最大差だけを追いかけるのではなく、その差がどの範囲にどのような形で存在しているのかを確認することで、施工上意味のある残差を見つけやすくなります。
項目4 段差や構造物際の色変化を施工残差と分けて確認する
仮舗装撤去後のヒートマップで特に色が大きく変わりやすいのが、既設舗装との段差、縁石、側溝、マンホール、桝、壁際などの境界部です。こうした場所では異なる高さの面が近接しているため、点群の集約方法によっては本来別々に扱うべき面が一つのグリッドに混ざることがあります。
例えば水平な撤去面のすぐ横に縁石の垂直面がある場合、グリッド内に撤去面と縁石面の点が同時に入ることがあります。平均値などで高さを集約すると、実際には存在しない中間高さが算出され、境界に帯状の差分が表示されることがあります。この表示をそのまま施工残差と判断すると、正常な構造物際まで異常箇所として扱うことになります。
同様にマンホールの蓋や桝の天端は、周辺の撤去面とは設計高さが異なる場合があります。ヒートマップ上で強い色が出ていても、その色が設計上必要な高さ差を示しているだけなら問題ではありません。構造物ごとに比較対象面を分けるか、評価対象外としてマスクするなどの整理が必要です。
舗装切断面も注意が必要です。仮舗装の撤去境界では切断面がほぼ垂直になることがあり、そこを点群計測すると複数高さの点が密集します。水平面を評価する目的であれば、垂直面の点を除外することでヒートマップが安定する場合があります。
構造物際では点群の取得条件も変化しやすくなります。死角が生じたり、反射条件が変わったりすることで、面中央部より点密度が低下することがあります。点が少ない領域を補間してヒートマップを作ると、実測していない位置まで色が連続しているように見える場合があります。したがって、色だけでなく点群の存在範囲も併せて確認することが重要です。
残差らしい色が境界部に集中している場合は、まず施工ミスを疑うのではなく、境界形状とデータ処理条件を確認します。一方、構造物から一定距離離れた平坦部にも同じ色が連続している場合は、実際の高低差である可能性が高まります。
出来形ヒートマップを正しく読むには、色の意味を施工形状と結び付ける必要があります。境界部を別領域として扱い、平坦部とは異なる視点で確認することで、本当に補修や再確認が必要な残差を見つけやすくなります。
項目5 ヒートマップ上の残差を現地で再確認する
出来形ヒートマップで残差候補を抽出した後は、現地での再確認が重要です。ヒートマップは広範囲を面的に確認するための有効な資料ですが、その表示だけで最終判断を完結させるものではありません。
まず、ヒートマップで高い差分や低い差分がまとまっている場所を特定します。その位置を現地で確認し、表面状態、撤去材の残り、段差、掘削跡、構造物との関係などを観察します。必要であれば対象地点を再計測し、最初の点群と同じ傾向が再現されるかを確認します。
再計測で同様の差が確認できれば、実際の施工面に由来する可能性が高まります。一方、再計測で差が消える場合は、最初の計測時に一時的な物体やノイズが含まれていた可能性があります。この確認を行うことで、不要な手直しを減らすことができます。
現地確認では、ヒートマップ上の一点だけを見るのではなく、周囲も含めて確認します。例えば低い領域がある場合、その場所だけを埋め戻すべきなのか、周囲を含めて整正するべきなのかは、勾配や次工程の施工条件によって変わります。面的な差分と現地の連続性を照合することが重要です。
また、残差を確認した位置を記録しておくと、再施工後の比較が容易になります。手直し前の点群、手直し後の点群、基準面を同じ条件で比較すれば、残差がどの程度改善したかを確認できます。作業前後で表示条件を変えてしまうと改善量を比較しにくくなるため、差分計算や色分けの条件をそろえることが望まれます。
現場では「色が変わったから修正する」という運用ではなく、「ヒートマップで候補を抽出し、数値と現地を確認したうえで施工判断を行う」という流れにすると、データを過信しにくくなります。出来形ヒートマップの役割を位置確認と優先順位付けに置くことで、現場作業との連携が取りやすくなります。
仮舗装撤去前後の点群を直接比較するときの注意点
設計面との差だけでなく、仮舗装撤去前と撤去後の点群を比較したいケースもあります。撤去前後の差分を取れば、どの位置でどの程度高さが変化したのかを面的に確認できるため、撤去作業の範囲や変化量を把握する資料として利用できます。
ただし、撤去前後の点群差分と、設計面に対する出来形差分は目的が異なります。撤去前後差分で分かるのは、主として二つの計測時点の変化量です。それだけでは撤去後の面が設計高さに合っているかどうかを直接判断できません。
例えば撤去前から局所的に高かった場所を一定量撤去した場合、前後差分では均一な撤去に見えても、撤去後にまだ基準面より高い可能性があります。反対に撤去量が周囲より多く見えていても、撤去後の高さが設計面に合っていれば問題がない場合もあります。
したがって、施工管理で残差を確認する場合は、撤去前後差分と設計差分を使い分けることが重要です。前後差分では作業によってどこが変化したかを把握し、設計差分では撤去後の面が目標面に対してどの位置にあるかを確認します。
また、二時期の点群を比較する場合は、位置合わせの精度が重要です。わずかな水平ずれがあるだけでも、段差や構造物際では大きな高さ差として現れることがあります。平坦部では影響が小さく見えても、縁石や切断面では色が強く出るため、既知点などを利用して位置関係を確認します。
計測条件も可能な範囲でそろえます。対象範囲、点密度、不要点除去方法、グリッドサイズなどが大きく異なると、実際の施工変化とは別の差が生じることがあります。同じ場所を同じルールで比較することが、前後差分を有効に使う基本です。
グリッドサイズと色分け条件で残差の見え方は変わる
出来形ヒートマップの作り方で実務上大きな影響を持つのが、グリッドサイズと色分け条件です。同じ点群と同じ設計面を使用しても、この二つを変更すれば画面上の印象は大きく変わります。
グリッドを細かくすると、小さな凹凸を詳細に表示できます。仮舗装の撤去残りが小さな塊として点在している場合には見つけやすくなります。しかし、点密度に対してグリッドが細か過ぎると、点の存在しないセルが増えたり、一点の異常値の影響が大きくなったりします。その結果、細かな色の斑点が多数発生し、施工面の傾向を読み取りにくくなることがあります。
反対にグリッドを大きくすると、細かなノイズが平均化され、全体傾向を把握しやすくなります。ただし、局所的な盛り残しや小さなくぼみも平均化されるため、確認したい残差が見えなくなる可能性があります。
そのため、最初から一つのグリッドサイズに固定するのではなく、全体確認用と詳細確認用を分ける方法が考えられます。まず比較的大きな単位で全体傾向を見て、異常が集中する範囲だけ細かい条件で再表示すれば、効率よく確認できます。
色分けの上下限にも注意が必要です。表示範囲を狭くすると、小さな差でも強い色で表示されます。広い範囲に設定すると、大きな残差は分かりやすくなる一方、小さな差は目立たなくなります。したがって、色の強さと施工上の重要度を直接結び付けないことが大切です。
また、異なる時点のヒートマップを比較する場合は、色分け条件を統一する必要があります。手直し前と手直し後で色の範囲が異なると、見た目では改善しているように見えても、実際には表示条件が変わっただけということがあります。
出来形ヒートマップを記録や協議に使用する場合は、グリッドサイズ、差分範囲、色分け条件などを残しておくと再現性を確保しやすくなります。同じ条件で再計算できるようにすることで、担当者が変わっても結果を比較しやすくなります。
点群のノイズや不要点を残差と誤認しないための確認
点群には施工面以外の情報が入り込むことがあります。仮舗装撤去直後の現場では、砕石の山、撤去片、工具、仮設材、車両、作業員などが対象範囲に存在する可能性があります。これらが点群に残った状態で設計面との差を計算すると、大きな差分として表示される場合があります。
特に撤去片は実際の施工面に接して存在するため、単純な高さ条件だけでは除去しにくいことがあります。高い領域が孤立している場合は、その位置の元点群を確認し、施工面そのものを表す点なのか、表面上に置かれた物体なのかを見分ける必要があります。
低い異常値についても注意します。計測条件によっては一部の点が実際の面より低く取得されることがあります。一点だけ極端に低い値が存在し、それが周囲の点と連続していない場合は、施工面のくぼみとは限りません。
不要点除去を強く行い過ぎることにも注意が必要です。本当に存在する局所的な盛り残しを異常値として削除してしまうと、ヒートマップ上から重要な残差が消える可能性があります。したがって、自動処理だけに依存せず、削除前後の点群を比較することが大切です。
また、点密度が極端に少ない場所では補間結果を実測値と同じように扱わないことも重要です。点のない範囲を周囲の値から推定して表示している場合、ヒートマップ上では連続した色面に見えても、その内部を直接計測していない可能性があります。
残差候補を抽出したら、点群密度、元点群、断面、現地状況を組み合わせて確認します。複数の確認方法で同じ傾向が得られる場所ほど、実際に施工面の残差である可能性を検討しやすくなります。
残差の大きさだけでなく広がりと方向を見る
出来形ヒートマップを見るとき、最大差の数値に目が向きがちですが、実務では残差の広がり方も重要です。同じ最大差でも、一点だけに発生している場合と、数平方メートルにわたって連続している場合では施工への影響が異なります。
例えば基準面よりわずかに高い領域が広範囲に連続していれば、次工程で必要となる材料厚や仕上がり高さとの関係を確認する必要があります。局所的な高点よりも、面として広く高い方が施工量に影響する場合があります。
反対に、局所的な深いくぼみは面積が小さくても注意が必要なことがあります。次工程で均一な締固めや厚さ管理を行う場合、局所的な低部に材料が集中することで仕上がり条件が変わる可能性があるためです。
方向性にも注目すると施工原因を考えやすくなります。例えば残差が重機の走行方向と同じ向きに帯状に続いている場合、作業方法との関連を検討できます。撤去境界に沿って連続する場合は、端部処理や切断位置との関係を確認できます。
ただし、ヒートマップだけで原因を断定することは避けるべきです。同じ形状でも複数の要因が考えられるため、施工記録や現地状況と照合します。ヒートマップは原因を自動判定するものではなく、原因を調べるための手掛かりとして使います。
全体を見る、拡大して見る、断面を見るという複数の視点を組み合わせると、残差の特徴を理解しやすくなります。平面ヒートマップだけでは緩やかな高低差の形状を把握しにくい場合もあるため、必要に応じて縦断・横断方向の高さ変化も確認します。
出来形ヒートマップ作り方を現場で標準化する
出来形ヒートマップは一度作れば終わりではなく、複数の施工箇所や工程で継続して利用すると価値が高まります。そのためには、担当者ごとに作り方が変わらないよう、基本条件を標準化しておくことが重要です。
まず、比較に使用する基準面を明確にします。仮舗装撤去後であれば、どの工程の設計面を使用するのかを決めます。次に、座標系、高さ基準、差分の符号、評価範囲、グリッドサイズ、色分け範囲などを共通ルールとして整理します。
計測時のルールもそろえます。どのタイミングで取得するか、対象面の障害物をどの程度除去するか、どの範囲を計測するかを決めておけば、複数地点の結果を比較しやすくなります。撤去直後と整正後など複数段階で計測する場合は、工程名や日時を記録し、データを取り違えないようにします。
ヒートマップを保存するときは、画像だけではなく元となった点群や条件も関連付けて管理すると、後から確認しやすくなります。色分け画像だけでは、どのような設定で作成されたのか分からなくなることがあるためです。
また、現地確認の結果もヒートマップと結び付けておくと有効です。「高い差分が表示されたが撤去片だった」「低い領域を再計測して実際のくぼみを確認した」など、判断結果を蓄積すると、次回以降の読み方を改善できます。
標準化の目的は、すべての現場を一律の数値で判断することではありません。工種や施工条件に応じて設定を変える必要はありますが、どの条件を変えたのかを明確にすることが重要です。共通部分を決め、変更部分を記録することで、再現性のある出来形管理につながります。
現場で点群を取得してから事務所で処理する運用だけでなく、計測から確認までの時間を短縮できれば、残差を発見した時点で手直しにつなげやすくなります。施工が次工程へ進む前に確認できれば、戻り作業を抑えやすくなります。
まとめ 仮舗装撤去後は差分と現地確認を組み合わせる
仮舗装撤去後の残差を確認するとき、出来形ヒートマップは目視だけでは分かりにくい高低差を面的に把握する手段として活用できます。基準面より高い領域から撤去残りの候補を探し、低い領域から掘り過ぎや局所的なくぼみの候補を探すことで、現地確認の対象を絞り込みやすくなります。
ただし、ヒートマップに表示された色をそのまま施工状態と判断することは避ける必要があります。設計面と点群の座標・高さ基準が一致していなければ、対象範囲全体に見かけ上の差が生じます。撤去対象外の既設舗装や構造物を同時に評価すれば、境界部に大きな色変化が現れることがあります。グリッドサイズや色分け条件によっても見え方は変わります。
そのため、仮舗装撤去後の残差を拾うときは、比較基準をそろえること、撤去範囲と評価範囲を一致させること、差分の連続性を見ること、構造物際の表示を分けて考えること、最後に現地で再確認することが重要です。
また、最大差だけに注目せず、差がどの程度の面積で、どの方向に、どのような形状で続いているかを見ることで、施工上意味のある残差を判断しやすくなります。点状の異常値と面的な残差を区別し、必要に応じて元点群や断面まで戻って確認することが、誤判定を減らすポイントです。
撤去前後の点群を比較すれば施工による変化量を確認でき、設計面との差を取れば撤去後の仕上がり位置を確認できます。それぞれの差分が示す意味を混同せず、目的に応じて使い分けることが大切です。
出来形ヒートマップの作り方を現場で標準化し、計測条件、基準面、グリッド、色分け条件を記録しておけば、手直し前後や複数施工区間を同じ視点で比較しやすくなります。ヒートマップを単なる色付きの成果物ではなく、施工面を確認し、次の行動を決めるための情報として運用することが重要です。
さらに、現場で計測したデータを早い段階で確認できれば、仮舗装撤去後から次工程へ移るまでの短い時間でも残差をチェックしやすくなります。計測、位置確認、記録、共有を一連の流れとして扱える環境を整えることで、現場と事務所の情報差も小さくできます。
仮舗装撤去後のように施工状態が短期間で変化する工程では、必要な場所を必要なタイミングで計測し、差分を確認できる運用が重要です。こうした現場計測からデータ活用までをより身近な作業として取り入れたい場合は、LRTK Phoneを活用した計測・記録の方法も確認してみてください。