LRTKレフィクシア株式会社

出来形ヒートマップの差分作り方と平均化処理の5注意点

出来形ヒートマップの差分を作る基本的な考え方

出来形ヒートマップは、施工後などに取得した三次元計測データと設計上の形状との差を、位置ごとの色分けによって面的に確認しやすくする表現です。広い施工範囲を点群だけで見ても、設計面より高い場所と低い場所を直感的に把握することは難しいため、設計面と出来形側のデータを対応させて較差を求め、その値を色へ置き換えて表示します。

高さ方向の差を扱う場合、例えば出来形側の高さから設計高さを差し引く定義であれば、正の値は設計より高い方向、負の値は低い方向を意味します。ただし、差分の符号や較差の算出方法は処理環境や管理方法によって異なることがあるため、表示前に正負の定義を確認しなければなりません。また、対象工種によっては単純な鉛直方向の高さ差ではなく、別の較差を用いる場合があります。したがって、すべての出来形ヒートマップを単純な高さの引き算だけで説明しないことが大切です。

ここで特に区別したいのが、正式な出来形管理に用いる評価用データと、施工状態を自主的に分析するために行う平均化や平滑化です。公共工事などで適用要領に基づいて出来形を管理する場合には、適用される要領や設計図書に従って出来形評価用データを作成し、所定の方法で設計データとの較差を算出して評価する必要があります。任意に周辺点を平均して差を小さくしたデータを、正式な評価用データの代わりに使用できるという意味ではありません。国土交通省の出来形管理要領は令和8年3月にも改定されているため、実工事では適用中の要領を確認することが前提です。国土交通省

一方、自主管理やデータ確認の段階では、元点群を残したまま周囲の複数点から代表値を求め、細かなばらつきを整理した補助的なヒートマップを作ることがあります。本記事でいう平均化処理は主としてこのような補助解析を想定しています。正式な出来形判定に使用する評価データそのものを都合よく滑らかにする処理ではない点を最初に押さえておくことが重要です。

点群は多数の三次元座標で構成されていますが、すべての場所に同じ間隔で点が存在するとは限りません。計測方法、対象物までの距離、遮蔽物、表面状態、計測経路などによって密度やばらつきが変わります。そのため、自主管理用の解析では一定範囲の点から代表値を作る場合がありますが、その処理条件によってヒートマップの見え方も変化します。

差分ヒートマップを利用するときは、最終的な色分け図だけでなく、設計データ、元の計測点群、出来形評価に使用するデータ、補助解析として加工したデータを区別して管理することが大切です。どの段階で数値が変化したのかを追える状態にしておけば、不自然な差分が施工によるものなのか、計測によるものなのか、データ処理によるものなのかを切り分けやすくなります。

差分作成前に設計面と出来形データの基準をそろえる

平均化処理を考える前に、設計面と出来形データを正しく比較できる状態へそろえる必要があります。位置や高さの基準が一致していないデータを平均化しても、その不整合は解消されません。むしろ、見た目が滑らかになることで基準のずれに気付きにくくなる可能性があります。

最初に確認したいのは平面位置です。設計データと出来形データが同じ座標系、同じ座標基準で扱われているかを確認します。平面的にずれていれば、同じ地点を比較しているつもりでも異なる位置の設計高さと出来形高さを比べることになります。

縦断勾配や横断勾配がある施工面では、平面方向の位置ずれが高さ方向の差として現れることがあります。例えば横断勾配のある面で出来形データが横方向にずれていれば、実際の施工面が設計形状に近くても、帯状の較差が発生する場合があります。このような差を平均化によって小さく見せても、根本原因である位置不整合は解決しません。

高さについても同様です。設計データと出来形データが同じ高さ基準で扱われているかを確認します。対象面の広い範囲でほぼ一定量だけ高い側または低い側へ偏っている場合には、施工状態だけでなく、高さ基準、変換方法、基準点との整合なども確認対象になります。

単位の確認も欠かせません。設計データと点群データで長さや高さの単位が一致している必要があります。また、X、Y、Zの扱い、座標軸の向き、データ変換時の設定なども確認します。こうした基本条件に問題がある状態で平均化範囲を調整しても、正しい差分にはなりません。

比較対象の範囲も整理します。既設構造物、施工対象外の地盤、資材、車両、植生などが出来形面へ混在すると、本来比較すべき施工面とは異なる高さが入り込みます。まず設計面と元点群を重ね、明らかな位置ずれや対象外データがないことを確認してから、その後の処理へ進むことが重要です。

点群から比較用の出来形面を作る流れ

出来形点群は多数の点によって施工面を表しています。一方、設計側はTINなどの連続した面で表現されることがあります。差分を求めるには、計測した点をどのような評価用データとして扱い、設計面とどのように対応させるかを決めなければなりません。

正式な面管理では、適用する出来形管理要領に従って計測点群から不要点を除去し、必要な密度などを満たす出来形評価用データを作成し、その各評価点と三次元設計データとの較差を求める考え方が基本になります。国土交通省の解説でも、面管理では出来形評価用データと三次元設計データの各ポイントの離れを算出し、出来形管理図表へ整理する流れが示されています。国土交通省 物流情報提供システム+1

これとは別に、自主管理や原因分析のため、元点群を格子状に区切って各範囲の代表値を作ったり、点群から補助的な面を作ったりする方法があります。代表値として平均値を利用する方法もありますが、それは一つの解析方法であり、あらゆる出来形管理に共通する必須手順ではありません。

一定範囲内の点を平均する場合、細かな計測ばらつきを弱められる反面、異なる形状が同じ計算範囲に入ると、本来存在しない中間的な高さが作られます。段差の上側と下側をまとめて平均すれば、どちらの実面にもない高さになる可能性があります。

点群からTINなどの面を作る場合にも注意が必要です。点と点の間には補間された面が作られるため、点が存在しない場所まで実測したように解釈しないことが重要です。特に欠測範囲を大きくまたぐ面が形成されると、元の計測情報以上に連続した施工面に見える場合があります。

不要点の除去についても、何でも滑らかにすることを目的にしてはいけません。施工面上の一時的な物体や明らかな計測異常は整理対象になり得ますが、実際の施工面に存在する盛り上がりやくぼみまで削除すれば、本来確認すべき出来形を失います。

元点群は処理後データと分けて保存しておくことが大切です。後から不自然な差分が見つかったとき、元データへ戻れなければ、実際の施工形状と加工処理の影響を区別しにくくなります。

平均化処理を行う目的とヒートマップへの影響

点群には施工面の形状だけでなく、計測時の細かなばらつきや表面の微小な凹凸も含まれます。自主管理用の解析で非常に細かな単位まで色分けすると、小さな色の斑点が多数現れ、広い範囲での傾向を把握しにくくなることがあります。

そのような場合に、周辺の複数点から代表値を求める補助処理を行うと、細かな変動を抑えて全体傾向を見やすくできます。本記事では便宜上、このような局所的な代表値化を平均化処理と呼びます。

ただし、ここでいう平均化と、正式な出来形管理図表に示される管理項目としての平均値は区別する必要があります。国土交通省の面管理の解説では、出来形管理図表の平均値は出来形評価用データ各点について算出した較差を集計する管理項目として扱われています。これは周囲の点を先に平均して局所形状を滑らかにする処理とは別の概念です。国土交通省 物流情報提供システム+1

補助的な平均化の利点は、点単位の細かな変動を弱めながら、広い範囲での高低傾向を読みやすくできることです。一方で、高い点と低い点を一つの範囲に含めれば互いに打ち消し合い、局所的な差が小さくなる場合があります。

したがって、平均化後のヒートマップが滑らかになったことを、出来形そのものが改善したことと混同してはいけません。変化したのは施工面ではなく、解析に使う代表値や表示結果です。

平均化条件を決めるときは、何を見たいのかを先に決めます。広い範囲に続く緩やかな傾向を探したいのか、局所的な盛り上がりやくぼみを探したいのかで必要な空間分解能は変わります。また、平均化だけでなく、間引き、グリッド化、補間、面生成などの処理が重なっていないかも確認する必要があります。

注意点1|平均化する範囲を広げすぎない

平均化処理で最初に確認したいのは、一つの代表値を求めるためにどこまでの点を含めるかです。範囲を広げるほど多くの点を利用でき、細かな変動は小さくなりやすい一方、実際の施工面に存在する局所的な高低差まで弱くなります。

例えば周囲より高い小さな範囲がある場合、その幅より十分小さな範囲で代表値を求めれば高さの特徴は残りやすくなります。しかし周囲の設計面に近い部分まで一緒に平均すると、中間的な値になります。その結果、ヒートマップでは本来確認したい高い場所の色が弱くなる可能性があります。

また、局所的な差が周囲へ薄く広がって見える場合もあります。本来は狭い範囲だけの高低差だったのに、周囲を含めて計算することで広く緩やかな差として表示されれば、位置や影響範囲を読み違える原因になります。

反対に平均化範囲を小さくしすぎれば、計測上の微小なばらつきがそのまま表れやすくなります。重要なのは大きくするか小さくするかではなく、確認したい形状の大きさに対して処理範囲が適切かという点です。

現場ごとに点群密度、施工面の性質、確認目的は異なります。別の工事で使用した設定値を理由なく流用せず、元点群と平均化後の結果を照合しながら決めることが重要です。

注意点2|段差や法肩などの変化点をまたいで平均化しない

平均化で特に注意が必要なのは、形状が急に変化する場所です。法肩、法尻、道路端部、構造物との取り合い、側溝周辺、縁端部、段差、勾配変化点などでは、隣り合う位置でも高さが大きく変化します。

このような変化点をまたいで平均すると、本来存在しない中間高さが作られる可能性があります。水平面と斜面の接続部で両側の点を一緒に平均すれば、代表値は両者の中間へ移動します。その値をどちらか一方の面の高さとして扱えば、処理によって人工的な差分を発生させることがあります。

逆に、実際に存在する段差を平均化によって丸めてしまうこともあります。ヒートマップ上で問題が小さく見えても、元点群には急な形状変化が残っている可能性があります。

変化点付近に細長い帯状の差分が現れた場合は、施工状態だけでなく、設計面と出来形面の境界位置、計測点の分布、面生成方法、平均化条件を確認します。

補助解析を行う場合は、水平面と斜面など形状の異なる領域を分けたり、変化点付近では平均化範囲を小さくしたりする方法が考えられます。ただし、正式な出来形評価では適用要領に定められた対象範囲や除外条件などを優先し、任意設定へ置き換えないことが前提です。

変化点はヒートマップだけでは原因を判断しにくいため、断面表示を併用すると有効です。設計形状と元点群を横から確認すれば、実際の折れ点がずれているのか、加工した面だけが丸められているのかを切り分けやすくなります。

注意点3|点群密度の違いを平均化だけで補わない

出来形点群の密度は、施工範囲全体で完全に均一になるとは限りません。計測位置、対象までの距離、遮蔽物、面の傾き、使用する計測技術などによって、点が多い場所と少ない場所が生じます。

補助的な平均化では一定範囲内の点を使うため、点群密度が結果に影響します。点が密な範囲では多数の点から代表値を求められる一方、点が少ない場所では少数の点しか利用できません。同じ大きさの範囲を設定していても、代表値の安定性や意味が同じとは限りません。

ここで避けたいのが、密度不足を平均化範囲の拡大だけで解決しようとすることです。範囲を広げれば利用できる点数は増えますが、その場所から離れた点まで混ざります。その結果、その地点固有の形状ではなく周囲の平均的な形状を表示してしまう可能性があります。

端部や急な変化点では特に注意が必要です。点が不足している側を補うために範囲を広げると、別の面に属する点まで入り、境界が不鮮明になる場合があります。

点が存在しない欠測範囲についても、周辺から推定した値と実測値を同じものとして扱ってはいけません。補間によって表示を埋めることはできますが、実際にその地点を計測したという意味にはなりません。

正式な出来形管理で必要な計測密度や評価条件が定められている場合は、それらを満たすことが前提です。自主管理でも、重要な場所の情報が不足しているのであれば、平均化で見た目を整える前に追加計測の必要性を検討することが適切です。

注意点4|外れ値を含んだまま平均値を計算しない

平均値は計算に含める大きな値や小さな値の影響を受けます。施工面ではない点や計測上の異常点を含んだまま補助的な平均化を行えば、代表高さが実際の施工面からずれる可能性があります。

点群には、施工面上の一時的な資材、車両、植生、周囲の構造物などが含まれることがあります。それらを施工面の高さとして扱えば、設計面との比較結果にも影響します。

例えば周囲の施工面に近い点の中へ一つだけ大きく高い点が混ざっている場合、その点は平均値を高い方向へ動かします。平均化によって異常点が完全に消えるのではなく、その影響が計算範囲へ広がることがある点に注意が必要です。

ただし、周囲から異なる点をすべて外れ値と判断して削除するのも適切ではありません。本当に施工面に局所的なくぼみや盛り上がりがあれば、それも周囲とは異なる高さを持ちます。本来確認したい施工形状を異常点として除去してしまえば、差分ヒートマップの意味が薄れます。

外れ値を判断するときは、高さ差だけでなく空間的な連続性を確認します。一点だけ孤立しているのか、複数の近接点が同じ形状を示しているのか、現地の対象物と対応しているのかなどを見ます。

また、正式な出来形管理における異常値の扱いは、任意の判断だけで決めず、適用する要領や管理基準に従う必要があります。補助解析の外れ値除去と正式な評価データの棄却を同じ操作として扱わないことが重要です。

注意点5|平均化前後の差分を比較して変化を確認する

補助的な平均化条件を設定した後は、処理後のヒートマップだけを見て採用するのではなく、元点群から得た結果や処理前の結果と比較します。平均化によって何が弱まり、何が残ったのかを把握するためです。

平均化前には細かな色ムラが多く、処理後にはそれらが減ることがあります。細かな計測ばらつきを確認しやすい形に整理できたのであれば目的に合っています。しかし、確認したい局所的な高低差まで消えているのであれば、処理が強すぎる可能性があります。

比較では最大値や最小値だけでなく、差分の形状や広がり方も確認します。処理前は狭い範囲に集中していた差が、処理後に広く薄い差へ変わっている場合は、周囲との平均によって影響範囲が変わっている可能性があります。

一方、処理の強さを変えても同じ場所に連続的な差が残るのであれば、元データや施工面そのものに由来する可能性を検討する材料になります。ただし、それだけで施工不良などを確定することはできません。位置基準、点群密度、計測状態、設計形状なども合わせて確認します。

平均化前後を比較するときは、色分け条件を同じにすることも重要です。表示ごとに最小値と最大値へ自動的に色を割り当てる設定では、数値が変化したのか、色の尺度だけが変化したのか判断しにくくなります。

グリッドサイズと平均化範囲を混同しない

出来形ヒートマップでは、グリッドやメッシュの大きさと、補助的な平均化に使用する範囲の両方が結果へ影響することがあります。しかし、この二つは同じ意味ではありません。

グリッドサイズは、データをどの空間単位で整理または表示するかに関係します。一方、平均化範囲は一つの代表値を作る際、周囲のどこまでの点を計算へ含めるかという解析条件です。

細かなグリッドで表示していても、各値が広い範囲の点から平均されていれば、実際に保持している空間的な情報は細かくない場合があります。画面上のマス目が細かいことと、元の局所形状を細かく捉えていることは必ずしも同じではありません。

逆に平均化範囲が小さくても、その前段階で点群を大きく間引いていたり、粗いメッシュへ変換していたりすれば、すでに細かな情報が失われていることがあります。

点群間引き、密度調整、グリッド化、平均化、平滑化、補間、TIN生成は、それぞれ目的や処理内容が異なります。複数の処理を重ねると、一つ一つは弱い処理でも最終的には局所形状が大きく滑らかになる可能性があります。

また、正式な出来形管理で用いるメッシュや出来形評価用データの条件と、自主管理用の表示グリッドを混同しないことも重要です。正式評価では適用する要領に従い、補助解析は元の正式評価データを変更しない別データとして管理すると整理しやすくなります。

差分の正負とヒートマップの色分け条件を固定する

出来形ヒートマップは較差を色へ置き換えて表示するため、色の設定によって見え方が大きく変わります。平均化条件を比較する場合には、差分の定義と色分け条件をそろえておくことが重要です。

まず正負の意味を確認します。出来形高さから設計高さを引く定義なら正は高い方向、負は低い方向になりますが、別の定義を使用すれば逆になる場合があります。また、工種や評価方法によって対象とする較差の方向そのものが異なることがあります。

次に、同じ差分値を同じ色で表示する条件にします。平均化前後で自動的に色の最大値と最小値が再設定されれば、同じ色が異なる差分量を意味することがあります。

例えば処理前に大きな局所差があり、その値に合わせて色尺度が設定されていたとします。平均化によって最大差が小さくなった後、自動表示が新しい最大値へ合わせて再調整されれば、数値は小さくなっているのに同じような強い色へ見える場合があります。

したがって比較用のヒートマップでは、同一の数値境界と凡例を用いることが基本です。正式な出来形管理図を作成する場合は、適用する管理基準や帳票作成条件に従って表示し、自主管理の独自色分けと混在させないようにします。

平均値だけでなく断面表示でも出来形を確認する

ヒートマップは施工面全体の傾向を平面的に確認するのに適していますが、高さ方向の形状をすべて説明できるわけではありません。平均化などの補助処理を行った場合には、気になる場所を断面でも確認することが有効です。

断面表示では、設計面と出来形データの位置関係を横から確認できます。ヒートマップ上で高い側の差が連続する場所を断面で見ると、面全体が高いのか、局所的な突出があるのかを切り分けやすくなります。

平均化が強い場合には、元点群で確認できる小さな段差が、処理後のデータでは緩やかな形へ変わっていることがあります。ヒートマップだけではその変化が分かりにくくても、元点群、補助処理後のデータ、設計面を同じ断面で重ねれば違いを把握しやすくなります。

断面を確認する候補としては、色が急に変わる場所、細長い帯状の差がある場所、局所的な異色が集中する場所、法肩や法尻、端部、構造物との取り合いなどがあります。

一方向だけでなく必要に応じて縦断方向と横断方向の両方を見ることも有効です。一方向では緩やかな変化でも、直交方向では局所的な段差として現れる場合があります。

平均化で消えやすい局所的な高低差を見落とさない

平均化処理で見落としやすいのは、周囲と比べて範囲の小さい盛り上がりやくぼみです。周辺の点と混ぜて一つの代表値を求めるため、局所的な形状ほど周囲の値に引っ張られやすくなります。

広い範囲が設計面に近く、一部だけ高い場合、その高い範囲より平均化範囲が大きいと、周囲の点が多数入り代表値は設計値側へ近づきます。局所的なくぼみでも同様です。

平均化後の代表値が設計値に近いことは、その範囲内のすべての点が設計値に近いという意味ではありません。高い点と低い点が混在していても、平均した結果だけを見ればゼロ付近になる場合があります。

そのため、局所形状が重要な施工箇所では、平均化した補助ヒートマップだけで状態を判断しないことが重要です。元点群や正式な出来形評価用データ、断面、必要に応じた現地確認を組み合わせます。

補助解析の条件を決める際には、最低限残したい形状の大きさを意識すると分かりやすくなります。その形状よりはるかに広い範囲を平均すれば、検出したい差そのものが弱くなる可能性があります。

再計測が必要な範囲をヒートマップから切り分ける

ヒートマップを確認すると、処理条件を少し変えるだけで差分が大きく変わる場所や、周囲と比べて不自然に値が途切れる場所が見つかることがあります。その場合、表示を滑らかにする前に元の計測データが十分かどうかを確認します。

周囲には十分な点があるのに一部だけデータが少ない場合、遮蔽物や計測経路などによる欠測の可能性があります。少数の点だけで代表値が決まっていれば、一つの点が結果へ強く影響します。

平均化範囲を広げれば見た目として連続した色にすることはできますが、その地点を新たに計測したことにはなりません。周囲のデータを利用して推定した範囲と実測した範囲を区別することが重要です。

法肩、端部、側溝周辺、構造物との取り合いなど、施工上重要でありながら点が取得しにくい場所では特に注意します。確認目的に対して情報が不足しているのであれば、可能な範囲で追加計測を検討します。

再計測の必要性は点数だけで決めるものではありません。広い範囲の傾向把握には十分でも、数十センチ規模の局所形状を確認するには不足する場合があります。確認したい対象の大きさと必要な精度、適用する管理基準を踏まえて判断します。

不自然な差が見つかったときは、座標と高さの基準、元点群、対象外点、密度、面生成、平均化、補間、設計形状の順に原因を切り分けます。それでも判断に必要な情報が不足している場合に再計測を検討すると、処理による見かけの改善と実測情報の追加を混同せずに済みます。

平均化処理の条件を記録して再現できるようにする

出来形ヒートマップは施工中や施工後に繰り返し作成することがあります。追加計測後や工区ごとの結果を比較するとき、処理条件を記録していなければ、見え方の違いが施工状態によるものなのか設定変更によるものなのか判断しにくくなります。

特に補助的な平均化は、完成した画像だけを見てもどの範囲の点が一つの値へまとめられたか分かりません。前回より滑らかに見える場合でも、施工状態が変化したのではなく平均化を強くしただけということがあります。

記録する内容としては、元点群の範囲、不要点を整理した条件、密度調整や間引きの有無、グリッド条件、平均化範囲、代表値の算出方法、補間や面生成の条件、差分の定義、色分け条件などがあります。正式な出来形評価に使用したデータと、自主管理のために加工したデータは明確に区別して保存します。

平均化条件を変更した場合には、数値だけでなく理由も残しておくと有効です。点群密度が異なるため変更したのか、確認したい形状の大きさが変わったのかなどが分かれば、後から結果を比較しやすくなります。

複数の担当者が扱う場合も、担当者ごとに感覚だけで条件を変更しないことが大切です。基本条件と変更手順を共有し、元データへ戻れる状態を保つことで再現性が高まります。

まとめ|出来形ヒートマップは差分と平均化条件をセットで管理する

出来形ヒートマップの差分を作るときは、設計面と出来形データを単純に引き算するだけでなく、比較前の基準やデータ処理を確認することが重要です。平面位置、高さ基準、単位、比較範囲などが一致していなければ、施工状態とは異なる差分が発生する可能性があります。

さらに重要なのは、正式な出来形管理に使用する評価用データと、自主管理のための平均化や平滑化を区別することです。適用要領に基づく出来形管理では、その要領で定められた評価用データの作成方法や較差算出方法、管理基準に従います。任意の局所平均化によって正式な評価値を都合よく変更するものではありません。

一方、施工面の傾向を読みやすくする補助解析として平均化を使用する場合には、平均化する範囲を広げすぎないこと、法肩や段差などの変化点をまたがないこと、密度不足を平均化だけで埋めないこと、外れ値と実際の局所形状を区別すること、平均化前後を同じ表示条件で比較することが重要です。

また、正式な出来形管理図表における平均値と、周辺点をまとめる平均化処理を混同しないことも欠かせません。前者は出来形評価用データから算出される管理項目として扱われ、後者は本記事で説明した補助的なデータ処理です。

グリッド化、点群の密度調整、間引き、平均化、補間、面生成もそれぞれ異なる処理です。複数の処理が重なると局所的な高低差が想定以上に弱まる可能性があるため、どの段階で何を行ったかを記録します。

ヒートマップで気になる場所を見つけたら、色だけで結論を出さず、数値、断面、元点群を確認します。データが不足している場所では無理に補間や平均化で埋めるのではなく、確認目的に応じて追加計測も検討します。

平均化の目的は、施工面を良く見せることではありません。元の計測情報を保持したうえで、確認したい傾向を読み取りやすくする補助処理として使うことが基本です。元データ、正式な出来形評価用データ、補助解析データを区別し、処理前後を追跡できる状態にしておくことで、見た目だけに左右されにくい出来形確認につながります。

現地で三次元点群や位置情報を取得し、施工中の確認材料を早い段階でそろえる方法の一つとして、LRTK Phoneを活用する選択肢もあります。LRTK Phoneでは点群取得や位置情報を扱う機能が案内されていますが、取得したデータを正式な出来形管理に使用する場合には、対象工種に適用される要領、要求精度、計測方法などを別途確認する必要があります。LRTK Phone公式製品情報

出来形ヒートマップを実務で活用するときは、差分の作り方だけでなく、その差分がどのデータから、どの条件で作られたものなのかまで管理することが重要です。正式評価と補助解析を分け、元データへ戻って確認できる状態を保つことで、平均化処理を安全かつ有効に活用しやすくなります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る