出来形ヒートマップの作り方で点群密度が重要な理由
出来形ヒートマップは、3次元設計データなどの基準と現地で取得した出来形データとの差を色分けし、施工面の高低や偏りを面的に把握しやすくする表現です。国土交通省のICT施工に関する学習資料でも、出来形評価用データを作成し、計測値と設計値の差をヒートマップで可視化する流れが示されています。([国土交通省 QSR][1])
ただし、ヒートマップの色だけを見て施工状態を判断するのは適切ではありません。結果の前提になるのは、使用した3次元設計データ、計測データの精度、点群の分布、不要点処理、比較方向、評価条件などです。国土交通省の現行要領では、工種や3次元計測技術に応じて測定精度や点群の計測密度などの条件が定められており、必要な条件は一律ではありません。([国土交通省][2])
点群密度は、対象範囲に実測点がどのように分布しているかを見るための重要な確認項目です。同じ総点数でも、一部だけ極端に密で別の場所が疎であれば、施工範囲全体を同じ確からしさで捉えているとは限りません。計測機器と対象面の位置関係、遮蔽物、計測経路、表面状態、計測方法などによって、点の取得状況に差が生じることがあります。
ここで注意したいのは、「点が少ない場所では必ず補間して出来形面を作る」というわけではないことです。正式な面的出来形管理では、取得した実測点群から不要点を除外し、必要な点密度に整理した出来形評価用データと3次元設計データを用いて評価する方法があります。一方、解析や可視化の目的によっては、点群からTINなどの面を生成して比較する処理もあります。どちらを使うかは、適用する要領、工種、計測技術、使用するソフトウェア、管理目的に合わせて確認する必要があります。([国土交通省][2])
したがって、点群密度ムラを「見た目が均一になるまで点を増やす作業」と考えるのは避けるべきです。必要なのは、評価対象範囲に対して要求される計測品質が確保され、欠測や異常点の影響を把握した状態で差分を評価できるようにすることです。
この記事では、「出来形 ヒートマップ 作り方」や「差分の作り方」を調べている実務担当者に向けて、点群密度のムラや欠測を確認しながら、ヒートマップを安全に作成・解釈する流れを6つの手順で整理します。
出来形ヒートマップの差分はどのように作るのか
出来形ヒートマップの基本は、比較基準となる3次元設計データと、現地で取得した出来形データとの差を算出し、その差を色で表すことです。国土交通省のICT施工資料でも、点群処理によって出来形評価用データを作成し、計測値と設計値の差をヒートマップで確認する考え方が示されています。([国土交通省 QSR][1])
一般的な作業では、まず施工対象に対応する3次元設計データを用意します。次に、現地で取得した点群から人、車両、資材、草木、仮設物など、出来形評価に不要な点を除外します。正式な出来形管理に使用する場合は、適用する要領で求められる測定精度、点群密度、評価方法などを確認し、それに対応した出来形評価用データを作成します。工種や計測技術によって要求条件が異なるため、特定の点密度や処理方法をすべての現場に当てはめることはできません。([国土交通省][2])
差分の意味も確認しておく必要があります。対象によっては鉛直方向の標高較差を扱う場合があり、別の方法では設計面に対する離れを扱う場合があります。傾斜の大きい法面などでは、比較方向によって同じ出来形でも差分値の意味が変わり得ます。そのため、ヒートマップを見る前に、何を基準に、どの方向の差を、どの単位で表示しているかを明確にします。
また、設計データと出来形データの座標系、高さ基準、単位、対象範囲が一致していることも欠かせません。全体がほぼ一定量だけ高い、低い、横にずれているといった結果が出た場合は、施工状態だけでなく、座標系や高さ基準、変換条件、設計データの版なども確認します。
可視化のために点群からTINなどの面を作成するソフトウェアもあります。ただし、面生成や補間を使った結果と、実測点を基にした出来形評価用データは同じものではありません。補間部を含む表示を正式な出来形評価に使えるかどうかは、適用する要領と処理方法を確認して判断する必要があります。
出来形ヒートマップは、単に色を付ける作業ではありません。比較可能な設計データと出来形データを準備し、差分の定義と評価条件をそろえ、その結果を色で見やすく表現する工程です。点群密度の確認は、この比較の前提を整えるための品質確認として位置付けると分かりやすくなります。
手順1|設計面と出来形点群の基準をそろえる
最初の手順は、3次元設計データと出来形点群を同じ基準で比較できる状態にすることです。点群密度を確認する前にこの条件がずれていると、ヒートマップ全体に系統的な差が現れ、点群密度の問題と施工形状の問題を切り分けにくくなります。
まず、平面位置の基準を確認します。設計データと出来形データで座標系、原点、座標変換の条件などが異なれば、そのまま比較できません。道路端部、法肩、構造物周辺、勾配変化部などでは、わずかな平面位置のずれでも高さ差として見えやすい場合があります。
次に、高さ基準を確認します。設計データで扱う標高と、計測データに付与された高さが同じ基準で処理されているかを確かめます。ヒートマップ全体がほぼ同じ量だけ高い、または低い場合は、施工面全体の仕上がりだけでなく、高さ基準や変換処理の設定も確認対象になります。
単位も確認します。設計データ、点群データ、出来形評価用データを複数のソフトウェアで扱う場合は、長さや高さの単位が一致しているかをチェックします。また、設計変更がある現場では、実際に施工した内容に対応する最新版の3次元設計データを比較基準としているかを確認します。
比較範囲もそろえます。施工対象外の地盤、既設構造物、仮設物、周辺道路などまで含めてヒートマップ化すると、確認したい施工面以外の差が大量に表示されます。対象範囲を明確に切り分けることで、点群密度や欠測の確認もしやすくなります。
基準を確認した後は、現地で位置が明確な箇所や確認可能な特徴点を使い、設計データと出来形点群の重なりを平面と断面の両方で確認します。ここで系統的なずれが見つかった場合は、密度調整や差分計算に進む前に原因を解消します。
正式な出来形管理では、使用する3次元計測技術に応じて精度確認などの要件が設定されています。現場独自の見た目の一致だけで合否を判断せず、対象工事に適用される最新の要領や発注条件を確認することが必要です。([国土交通省][3])
手順2|点群密度のムラと欠測範囲を確認する
基準をそろえたら、次に出来形点群の分布を確認します。ここではいきなり差分を計算するのではなく、評価対象範囲に点がどのように存在しているか、欠測がないか、極端に密な場所と疎な場所がないかを見ます。
点群を上面や斜め方向から表示し、帯状に点が薄い場所、施工範囲の端で点が途切れている場所、構造物の背後などで完全に点がない場所を探します。可能であれば、一定範囲ごとの点数やメッシュごとの点の有無など、数値でも確認すると、見た目だけでは分かりにくい密度ムラを把握しやすくなります。
点が取得されにくい理由は、計測方法によって異なります。レーザーや画像を用いる方式では、対象面が遮蔽物の裏側に入ったり、視線や照射条件が不利になったりすることで欠測が生じる場合があります。移動しながら計測する方式では、経路、対象までの距離、向き、速度などが取得状況に影響することがあります。したがって、密度ムラを見つけたら、単に点数だけでなく、どのような計測条件でその場所を取得したかも振り返ります。
点が全くない欠測範囲と、点はあるものの密度が低い範囲は分けて考えます。特に広い欠測を周囲の点から推定して可視化した場合、その内部は実測した形状とは限りません。見た目上は面がつながっていても、実際に計測した情報が不足している可能性があります。
また、点群の総点数が多いことだけを品質の根拠にしないことが重要です。正式な出来形管理では、工種や計測技術に応じた点群の計測密度などが定められています。必要な密度は一律ではないため、対象工事に適用される基準を確認し、その条件を満たしているかを評価します。
この段階で密度が不足している場所や欠測範囲を把握しておけば、ヒートマップ上の色の変化を施工差と即断せず、計測品質の影響も含めて判断しやすくなります。
手順3|不要点を除去して比較に使う出来形データを整える
点群密度と欠測を確認したら、出来形評価に不要な点を整理します。現場で取得した点群には、施工面だけでなく、人、車両、建設機械、資材、草木、仮設物、既設構造物などが含まれることがあります。国土交通省のICT施工に関する教材でも、点群処理ソフトウェアによって出来形と関係のない不要点を除外して評価用データを作成する流れが示されています。([国土交通省CGR][4])
たとえば路盤の出来形を確認したいのに資材の点群が残っていれば、その位置が局所的に高い差として現れる可能性があります。施工面から離れた浮遊点が残っている場合も、表示や面生成の方法によっては不自然な突起や差分の原因になります。
ただし、不要点処理は「見た目が滑らかになるまで点を消す作業」ではありません。処理を強くしすぎると、本来評価したい施工面の凹凸まで除去する可能性があります。何を不要点とするかを明確にし、元の実測点を必要以上に加工しないことが大切です。
点群が非常に高密度な場合、評価やデータ量調整のために点群密度を整理する処理が行われることがあります。現行の出来形管理要領でも、取得した実在点を用いて出来形評価に必要な点群密度へ変更する考え方が示されています。ここで重要なのは、実測点の選択や密度調整と、実測されていない位置を補間で新たに作ることを区別することです。([国土交通省][2])
解析ソフトによっては、可視化や断面作成、数量算出などのためにTINなどの面を生成することがあります。その場合は、どの程度離れた点を結ぶ設定なのか、欠測部をまたいで面が張られていないか、端部が不自然に延長されていないかを確認します。
施工対象範囲の外側は適切に除外します。設計面だけが存在して出来形点群がほとんどない領域まで比較対象に含めると、端部に意味のない差分が出る場合があります。
処理条件は記録しておきます。不要点除去、密度調整、範囲切り出し、面生成などの条件を残しておけば、再計測後や別工区のデータと比較するときに、見え方の違いが施工状態によるものか処理条件によるものかを検討しやすくなります。
手順4|密度が不足した場所を追加計測する
点群密度の不足や欠測が確認され、評価に必要な情報が足りない場合は、追加計測を検討します。後処理で見た目を埋めるのではなく、必要な場所を実測し直すことで、不確実な範囲を減らせます。
追加計測では、最初の計測と同じ経路をそのまま繰り返すだけでなく、なぜ点が不足したのかを考えます。構造物や段差の裏側が死角になったのであれば、反対側や異なる角度から対象面が取得できる位置を選びます。長い施工区間で経路間に薄い帯ができているなら、その間を補う経路を設定します。
移動しながら取得する方式では、対象面までの距離や移動速度が大きく変わると、点の分布や画像の重なり方などに差が出る場合があります。密度不足が生じた範囲では、使用する計測機器やアプリの推奨条件を確認し、対象面を安定して取得できる距離や速度で再計測します。
追加計測後は、新旧データを単純に重ねて終わりにしません。両者の位置や高さが整合しているかを確認します。位置ずれがある状態でデータを統合すると、同じ施工面が二重に見えたり、厚みのある点群になったりして、差分の解釈が難しくなる場合があります。
施工中であれば、対象面が次工程で覆われる前に再計測できる可能性があります。完成後に下層が見えなくなる工種では、施工段階ごとの計測と確認を組み込むことで、後から確認できない箇所の記録を残しやすくなります。
最初のヒートマップを完成判定ではなく、追加確認が必要な範囲を探す一次チェックとして利用する方法もあります。異常な差が出た場所について、点群密度、元点群、断面、現地を確認し、必要な場所だけ追加計測すれば、再計測範囲を絞り込みやすくなります。
なお、正式な出来形管理に用いる場合は、追加計測を含めたデータが適用要領の測定精度や点群密度などの条件を満たすかを確認します。必要な条件は工種や計測技術ごとに異なります。([国土交通省][3])
手順5|同じ条件で差分を計算してヒートマップ化する
点群を整理したら、3次元設計データと出来形評価用データなどを用いて差分を計算し、ヒートマップとして可視化します。この工程では、同じ工事内で比較するデータの条件をできるだけ統一することが重要です。
最初に、比較対象となる3次元設計データの版を確定します。設計変更がある現場で古いデータを使えば、施工が変更後の設計どおりでも差分として表示される可能性があります。ファイル名だけでなく、更新日や対象工区なども含めて版管理します。
次に、差分の定義を確認します。鉛直方向の高さ差を表示しているのか、設計面からの離れを扱っているのかなど、使用するソフトウェアと管理方法に応じて確認します。担当者間でこの定義が共有されていないと、同じ色を見ても意味の捉え方が変わるおそれがあります。
国土交通省のICT施工資料では、計測値と設計値の差をヒートマップで視覚化する流れが示されています。一方で、正式な評価に必要なデータ構成や点群密度、測定精度などは対象工種や計測技術によって異なるため、ヒートマップ画像だけで要領適合を判断することはできません。([qsr.mlit.go.jp][1])
色分けでは、差分値と凡例を必ずセットで確認します。赤は高い、青は低いといった配色がよく使われますが、色そのものに普遍的な意味があるわけではありません。使用するソフトウェアや設定によって配色や閾値は変えられるため、色だけを切り出して共有しないようにします。
工区間、施工前後、手直し前後などを比較するときは、同じ差分範囲と色分け条件を使える場合はそろえます。表示条件が異なると、施工状態が同じでも見た目の強さが変わり、比較を誤りやすくなります。
点群密度の低い範囲、欠測範囲、補間を含む可視化範囲が分かっている場合は、その情報もヒートマップと一緒に確認します。赤や青が表示されたからといって、その場所が必ず施工誤差であるとは限りません。計測不足、不要点、端部処理、位置ずれ、設計データの版違いなども候補になります。
最後に、色だけでなく差分値そのものと広がりを確認します。局所的な一点の差と、一定の幅をもって連続する差では意味が異なります。ヒートマップは候補箇所を面的に見つける道具として使い、詳細判断は元データや断面と組み合わせます。
手順6|断面と現地確認で差分の原因を切り分ける
ヒートマップが完成したら、差が大きい場所や色の変化が不自然な場所を断面と現地で確認します。ここまで行うことで、施工形状による差と、点群密度やノイズ、処理条件による見かけ上の差を切り分けやすくなります。
たとえばヒートマップ上で帯状に高い範囲が見つかった場合、その位置で断面を作成し、3次元設計データと元の出来形点群を重ねて確認します。実測点が連続して設計より高いのか、一部の点だけが飛び出しているのかで、次に取るべき対応は変わります。
点群密度が低い場所では、可視化用に生成した面だけを見ると滑らかに見える場合があります。そこで、面だけでなく元点群も表示し、どこに実測点が存在しているかを確認します。補間や面生成を使用している場合は、実測部分と推定された部分を意識して判断します。
現地を確認できる場合は、ヒートマップ上の位置を特定し、施工面の状態と照合します。目視だけでは判断しにくい場合は、必要に応じて再計測や別の計測方法を組み合わせます。
差分の形にも注目します。一点だけ大きく外れている場合は、ノイズや一時的な物体の混入などを疑います。一方、一定の幅を持って連続する差が複数の実測点で確認できる場合は、施工面の形状を詳しく確認する必要性が高くなります。
さらに、点群密度の境界とヒートマップの色の境界が一致していないかを確認します。計測経路や取得条件が変わった位置を境に差分傾向が変化している場合は、施工状態だけでなく計測条件の影響も検討します。
出来形ヒートマップは、一枚の色付き画像だけで最終判断を完結させるものではありません。設計データ、出来形評価用データ、元点群、断面、現地状況を行き来しながら確認することで、差分の原因をより安全に切り分けられます。
点群密度ムラが出来形ヒートマップに与える影響
点群密度のムラは、差分結果の解釈に影響します。とくに密度が低い範囲では、対象面の細かな形状を十分に捉えられていない可能性があります。点が少ないこと自体が直ちに誤差を意味するわけではありませんが、必要な計測密度を満たしているか、欠測がないかを確認する必要があります。
解析や可視化のために点群から面を生成する場合、点の少ない範囲では離れた点同士を結ぶことで局所的な凹凸が表現されにくくなることがあります。また、少数の異常点が残っている場合は、その点が面形状に大きく影響する場合があります。
端部も注意が必要です。施工範囲の中央は十分に取得できていても、外周部では視線や計測経路の関係で点が少なくなることがあります。面生成や外挿の設定によっては、端部だけ不自然な差が見える場合があるため、元点群と比較範囲を確認します。
一方、正式な出来形評価では、単に高密度であることよりも、適用される要領で求められる精度と計測密度を満たし、適切に整理された評価用データであることが重要です。国土交通省の資料でも、工種や3次元計測技術ごとに要求される測定精度や計測密度が整理されています。
そのため、「色が変わったので点群を見る」のではなく、「点群の取得状況と評価条件を確認したうえで色を見る」という順番にすると、誤判定を減らしやすくなります。
工区ごとに計測方法や処理条件が異なる場合も注意します。ある工区だけ高密度に計測し、別工区は最低限の密度で計測している場合、可視化した細部の見え方が異なる可能性があります。継続的に比較するなら、適用基準を満たすことを前提に、可能な範囲で計測条件と処理手順を標準化します。
点群密度をそろえるために計測時に意識したいこと
点群密度ムラを後処理だけで解消しようとすると限界があります。重要なのは、現場での計測段階から対象範囲を漏れなく取得できるように計画することです。
まず、計測前に対象範囲と障害物を確認します。どの位置から対象面が見えるか、どこに死角ができるか、端部や段差部をどの経路で取るかを考えます。長い施工区間では、経路間隔が極端に変わらないようにすると、取得状況の偏りを抑えやすくなります。
次に、構造物や資材の背後など、遮蔽物による欠測を意識します。一方向からの計測で死角が残る場合は、別方向から補完します。ただし、異なる位置から取得したデータを統合する場合は、位置や高さの整合も確認します。
対象面までの距離が大きく変化する場合は、使用する計測技術の有効範囲と推奨条件を確認します。計測方式によって距離の影響は異なるため、「何メートル以内なら必ずよい」と一律に決めるのではなく、機器仕様と現場条件に基づいて設定します。
移動しながら計測する場合は、速度を極端に変えないようにします。画像を用いる方式では画像の重なり、LiDARなどを用いる方式では対象の見え方や取得範囲など、方式ごとの条件を守ることが重要です。
計測直後に点群を確認できる運用も有効です。現場を離れる前に、中央部、端部、構造物周辺、勾配変化部などを確認し、欠測があればその場で追加計測を検討します。
なお、正式な出来形管理では、現場で均一に見えることだけを目標にせず、対象工事の要領が求める測定精度と計測密度を満たすことが前提です。国土交通省の資料では、モバイル端末を用いた3次元計測を含め、計測技術ごとの適用範囲や留意事項も整理されています。
補間だけで点群密度ムラを隠さない
点群を可視化する過程では、点の間を結んでTINなどの面を作成したり、表示上の空隙を補ったりする処理が使われることがあります。適切な用途では有効ですが、欠測を補間だけで解決したと考えるのは危険です。
補間された位置は、その場所を直接計測した実在点とは限りません。周囲の点から形状を推定している場合、欠測内部に実際の凹凸や段差があっても、それが表示されない可能性があります。
平坦で連続した面の小さな空隙を可視化上つなぐ場合と、勾配変化部や構造物周辺の広い欠測をまたいで面を作る場合では、結果の確からしさが異なります。どこまで補間を許容できるかは、対象形状、管理目的、必要精度、使用するソフトウェア、適用要領などを踏まえて判断します。
正式な出来形評価では、取得した実在点を基に評価用データを作成する考え方が示されているため、補間で生成した点や面を実測点と同じものとして扱わないことが重要です。([国土交通省][2])
反対に、可視化用の面を細かく分断しすぎると全体傾向を把握しにくくなる場合もあります。そのため、表示用の面と正式な評価用データを区別し、目的ごとに適切な処理を行います。
「面がきれいにつながっているからデータ品質が高い」とは限りません。ヒートマップを作る際は、実際に点が取得できている範囲、欠測範囲、補間や面生成を行った範囲を把握しておくことが大切です。
ヒートマップの色分け条件を固定して比較する
出来形ヒートマップは色で全体傾向を把握しやすい反面、表示条件によって印象が大きく変わります。複数のヒートマップを比較するときは、差分の定義と色分け条件をそろえます。
たとえば同じ差分値でも、一方では強い色、もう一方では中間色として表示されれば、画像だけを見た人は施工状態が異なると受け取る可能性があります。
工区間、施工前後、手直し前後などを比較する場合は、同じ差分範囲、色分けの閾値、表示方向を使える場合は統一します。これにより、見た目の変化を施工面の変化として読み取りやすくなります。
凡例は省略しません。どの色がどの差分範囲を表すのか、プラスとマイナスの向きはどう定義されているのかを確認できる状態で共有します。赤や青などの色名だけで高低を決めつけないことが重要です。
また、正式な出来形管理では、ヒートマップの表示だけでなく、適用要領に基づく評価項目や規格値を確認する必要があります。ヒートマップは分布を視覚化する手段であり、色そのものが普遍的な合否基準になるわけではありません。([国土交通省 QSR][5])
施工途中に出来形ヒートマップを使うメリット
出来形ヒートマップは、完成後の記録だけでなく、施工途中の確認にも利用できます。点群密度のムラや欠測を早く発見するという観点では、次工程へ進む前に確認する運用が有効です。
施工途中で点群を取得し、差分を可視化すれば、点群不足や不自然な差がある場所を早い段階で確認できます。密度が不足している場合は追加計測を検討でき、施工面の高低傾向が疑われる場合は、次工程前に断面や現地で確認できます。
完成後に異常を見つけても、上層材料や構造物によって対象面が覆われていると、直接再確認できない場合があります。工程ごとに計測データを残しておけば、どの段階で差が現れたかを振り返る材料になります。
盛土を複数層で施工する場合や、路盤から舗装へ進む場合など、後工程で下層が見えなくなる現場では、施工段階ごとの3次元記録を残す価値があります。ただし、施工途中の社内確認用ヒートマップと、発注者への正式な出来形成果を同じものとして扱えるとは限りません。正式な管理では対象工事の要領や発注条件を確認します。
施工途中で利用する場合も、一度のヒートマップだけで結論を出さず、異常候補を見つけ、点群密度を確認し、必要なら追加計測し、再び差分を確認する流れにすると実務で使いやすくなります。
出来形ヒートマップ作成を現場の標準手順にする
出来形ヒートマップを継続して活用するには、担当者ごとの経験だけに依存しない運用が重要です。計測者によって経路が大きく異なり、点群処理担当者によって不要点処理や面生成条件が変わり、ヒートマップ作成者によって色分け条件が変わると、工区や施工時期をまたいだ比較が難しくなります。
そこで、計測からヒートマップ確認までの基本手順を現場内で共通化します。計測対象範囲、使用する3次元設計データの版、計測経路の考え方、点群密度と欠測の確認方法、不要点の扱い、追加計測の判断、差分の定義、色分け条件、断面確認箇所などを整理します。
重要なのは、すべての数値設定を現場共通で固定することではありません。工種や計測技術ごとに求められる測定精度や点群密度が異なるため、適用要領に合わせて条件を設定する必要があります。国土交通省の現行資料でも、3次元計測技術ごとに適用工種や要求精度が整理されています。
条件を変更した場合は、その内容を記録します。後からヒートマップの違いを確認するときに、施工状態の変化なのか、計測条件や処理条件の変更なのかを判断しやすくなります。
また、ヒートマップ画像だけを残すのではなく、元の点群、出来形評価用データ、比較した3次元設計データ、処理条件との関係を追える状態にしておくことが有効です。画像だけでは、点群密度や欠測、不要点処理の内容を後から検証しにくいためです。
現場標準としては、「計測したらヒートマップを作る」で終わらせず、「基準確認、点群品質確認、不要点処理、必要な追加計測、差分作成、断面・現地確認」という一連の流れを共有することがポイントです。
LRTK Phoneで計測から出来形確認まで効率化する
出来形ヒートマップを施工中の確認に取り入れるには、計測後すぐに点群の状態を確認できる運用が役立ちます。LRTK Phoneの公式情報では、現場で絶対座標付きの点群を取得でき、クラウド上で座標、距離、面積、体積などの計測を行えることが案内されています。また、LRTK関連の公式情報では、設計データと計測点群を比較して差分をヒートマップとして扱う機能が紹介されています。([Lefixea Irtk][6])
点群密度ムラへの対応では、計測後に点群を確認し、不足範囲があれば現場にいる間に追加計測を検討できることが有効です。国土交通省関東地方整備局の活用手引きでも、モバイル端末を用いた3次元計測について、取得した点群を計測対象と重ねてリアルタイムに確認できる方式が紹介されています。
一方で、LRTK Phoneを使えば、どの工種でも自動的に正式な出来形管理が完結する、と断定するのは適切ではありません。国土交通省の資料では、3次元計測技術ごとに適用工種、測定精度、点群密度などの条件が整理されています。正式な成果として使用する場合は、対象工事に適用される最新の要領、発注者の条件、使用する計測方法の性能確認などを照合する必要があります。
また、ヒートマップだけで出来形の良否を自動的に決めるものでもありません。3次元設計データの版、座標と高さの基準、点群密度、不要点、差分の定義、規格値、現地状況などを確認したうえで判断します。
重要なのは、機器を導入すること自体ではなく、計測、点群確認、必要な追加計測、差分作成、断面確認、現地照合までを短いサイクルで回せるようにすることです。出来形ヒートマップを日常的な施工確認に使いたい場合は、LRTK Phoneをその一連の運用に組み込む方法を検討できます。
まとめ
出来形ヒートマップの作り方では、3次元設計データと出来形データとの差を計算して色分けする工程に注目しがちですが、結果を正しく読むには元の点群品質と評価条件の確認が欠かせません。
最初に設計データと出来形点群の座標系、高さ基準、単位、対象範囲をそろえます。次に、点群密度と欠測範囲を確認し、不要点を除去します。必要な場所は追加計測し、適用する要領や管理方法に合わせた出来形評価用データを整えたうえで差分を算出します。国土交通省のICT施工資料でも、点群処理によって評価用データを作り、計測値と設計値の差をヒートマップで可視化する流れが示されています。([qsr.mlit.go.jp][1])
元本文で注意が必要だったのは、点群が少ない場所では必ず面生成や補間を行い、その面を設計面と比較するかのように読める点です。実際には、正式な面的出来形管理で実測点を基に出来形評価用データを作成する方法があり、TINなどの面生成は用途やソフトウェアによって使われる処理です。補間や面生成を使う場合は、実測点と推定部分を区別して扱う必要があります。([国土交通省][2])
また、必要な点群密度や測定精度はすべての工種・計測方法で同じではありません。対象工事に適用される最新要領や発注条件を確認し、その条件に合わせて計測とデータ処理を行うことが重要です。([国土交通省][3])
ヒートマップ上に大きな差が見つかった場合も、色だけで施工不良と決めつけず、元点群、点群密度、欠測、断面、設計データの版、現地状態を確認します。施工途中からこの流れを繰り返せば、再計測や確認が必要な場所を早い段階で絞り込みやすくなります。
出来形ヒートマップは、単なる色付きの成果図ではなく、設計と実測の差を面的に把握するための情報です。点群密度を意識した計測から差分確認までを一つの工程として整えたい場合は、LRTK Phoneを使った現場計測と出来形確認の運用も選択肢として検討できます。([Lefixea Irtk][6])