盛土の締固め度と必要体積の基本関係
盛土工事では、設計図から算出した完成形の体積と、現場へ搬入する土の体積がそのまま一致するとは限りません。土は、掘削前の地山状態、掘削によって空隙が増えたほぐし状態、敷きならして転圧した締固め状態で体積が変わるためです。
切土と盛土の体積計算を行うときは、数量がどの状態を基準としているかを確認します。設計完成形状から求める盛土量は、通常、締固め後の体積として扱います。一方、切土量は掘削前の地山体積、運搬量はほぐし土体積または湿潤質量として管理されることがあります。契約図書や数量算出条件によって扱いが異なる場合があるため、名称だけで判断しないことが大切です。
締固め度は、現場で締め固めた土の乾燥密度が、所定の締固め試験などで得た基準最大乾燥密度に対してどの程度であるかを示す指標です。締固め度が高くなるほど、目標乾燥密度も高くなります。同じ完成体積を、目標乾燥密度にちょうど達する条件で施工すると仮定した理論計算では、目標締固め度が高いほど必要な乾燥土質量は増えます。
たとえば、完成盛土体積が1,000m3であっても、目標締固め度が90%の場合と95%の場合では必要乾燥土質量が異なります。ただし、締固め度95%だから、ほぐし土100m3が締固め後に95m3になるという意味ではありません。締固め度は乾燥密度の比であり、体積換算には最大乾燥密度、地山乾燥密度、ほぐし土乾燥密度などが必要です。
盛土の必要体積を換算するときは、体積同士を直接比較するのではなく、途中で乾燥土質量へ変換すると整理しやすくなります。土の状態によって体積や湿潤質量は変わっても、土の流出、選別、異物混入、他用途への転用などがない理想条件では、乾燥土質量は保存されると考えられるためです。
基本的な流れは、完成盛土体積と目標乾燥密度から必要乾燥土質量を求め、その乾燥土質量を地山乾燥密度やほぐし土乾燥密度で割り戻す方法です。この考え方を使えば、締固め度が異なる場合でも、必要な地山体積、採取体積、搬入体積を同じ基準で比較できます。
ただし、最大乾燥密度、地山乾燥密度、ほぐし土乾燥密度、土量変化率は、土質、粒度、含水状態、試験方法、施工条件によって変わります。記事中の数値は計算方法を説明するための例であり、実工事では設計図書、適用する施工管理基準、土質試験結果、試験施工、現場測定結果を確認して使用します。
計算基準1 最大乾燥密度と締固め度から目標乾燥密度を求める
最初の計算基準は、最大乾燥密度と目標締固め度から、完成盛土で基準とする目標乾燥密度を求めることです。締固め度をDc、現場乾燥密度をρd、最大乾燥密度をρdmaxとすると、関係は次のように表せます。
締固め度Dc=現場乾燥密度ρd÷最大乾燥密度ρdmax×100
この式を目標乾燥密度ρdtについて変形すると、次のようになります。
目標乾燥密度ρdt=最大乾燥密度ρdmax×目標締固め度Dc÷100
最大乾燥密度が1.80t/m3で、目標締固め度が90%の場合、目標乾燥密度は1.62t/m3です。
1.80×0.90=1.62t/m3
同じ最大乾燥密度で目標締固め度が95%の場合、目標乾燥密度は1.71t/m3です。
1.80×0.95=1.71t/m3
この条件では、完成盛土1m3当たりの必要乾燥土質量に0.09tの差が生じます。完成体積が1,000m3であれば、理論上の必要乾燥土質量の差は90tです。
最大乾燥密度は、すべての土に共通する固定値ではありません。砂質土、粘性土、礫質土などでは締固め特性が異なります。同じ切土区域から発生した材料でも、深さや地層によって粒度や含水状態が変化することがあります。
複数の土質を盛土へ使用する場合は、材料区分ごとに試験結果と適用範囲を確認し、必要に応じて基準最大乾燥密度を個別に設定します。異なる材料を一つの平均値で扱うと、材料ごとの密度差が見えにくくなり、必要量や締固め度の評価を誤る可能性があります。
最大乾燥密度を求めた試験条件と、現場の締固め度を評価する条件との整合も必要です。試料の最大粒径、調整方法、締固めエネルギーなどが異なれば、得られる最大乾燥密度も変わり得ます。大きな礫を含む材料や性状が変化しやすい材料では、設計図書や適用基準に従い、補正方法や試験施工による基準値の設定を検討します。
現場で測定した値が湿潤密度である場合は、そのまま締固め度の計算に使用せず、含水比を用いて乾燥密度へ換算します。
乾燥密度ρd=湿潤密度ρt÷(1+含水比w)
含水比が15%の場合、式には0.15を代入します。百分率の15をそのまま入力すると誤った結果になるため、計算表では百分率表示と小数入力を明確に分けます。
湿潤密度が1.95t/m3、含水比が15%であれば、乾燥密度は約1.696t/m3です。
1.95÷1.15=約1.696t/m3
最大乾燥密度が1.80t/m3であれば、途中で1.70へ丸めずに計算した締固め度は約94.2%です。
(1.95÷1.15)÷1.80×100=約94.2%
計算途中で値を丸めると、締固め度の表示が変わることがあります。判定に用いる計算では必要な桁数を保持し、最終表示の段階で所定の方法により丸めます。
目標締固め度は、盛土の用途や部位、適用する設計・施工基準によって異なります。道路の路体、路床、構造物背面、造成盛土などで同じ数値が一律に適用されるわけではありません。90%や95%は計算例として用い、実工事では設計図書と施工管理条件を優先します。
締固め度別の必要量を比較するときは、同じ材料と同じ基準最大乾燥密度を用いることが重要です。異なる最大乾燥密度を使った90%と95%を単純に比較すると、土質差と締固め度差が混在します。材料が異なる場合は、それぞれの目標乾燥密度を求めたうえで、必要乾燥土質量を比較します。
計算基準2 乾燥土質量を基準に完成盛土体積を換算する
二つ目の計算基準は、乾燥土質量を共通の基準として体積を換算することです。完成盛土体積をV、目標乾燥密度をρdtとすると、必要乾燥土質量Mdは次の式で求められます。
必要乾燥土質量Md=完成盛土体積V×目標乾燥密度ρdt
完成盛土体積が1,000m3、目標乾燥密度が1.62t/m3であれば、必要乾燥土質量は1,620tです。
1,000×1.62=1,620t
同じ完成盛土体積で目標乾燥密度が1.71t/m3であれば、必要乾燥土質量は1,710tです。
1,000×1.71=1,710t
このように、完成形状が同じでも、目標乾燥密度が高くなると理論上必要な乾燥土質量は増加します。設計体積だけを見て材料を確保すると、想定した密度条件によっては不足が生じる可能性があります。
必要乾燥土質量から地山体積を求める場合、地山乾燥密度をρdnとすると、必要地山体積Vnは次の式です。
必要地山体積Vn=必要乾燥土質量Md÷地山乾燥密度ρdn
必要乾燥土質量が1,710t、地山乾燥密度が1.55t/m3であれば、必要地山体積は約1,103m3です。
1,710÷1.55=約1,103m3
完成盛土体積は1,000m3ですが、指定した密度条件で必要乾燥土質量を確保するには、理論上約1,103m3の地山土量が必要となります。ここでは施工ロスや不適材の除外をまだ見込んでいません。
使用できる乾燥土質量が先に決まっている場合は、完成可能な盛土体積を逆算できます。
完成可能体積Vc=利用可能乾燥土質量Md÷目標乾燥密度ρdt
利用可能乾燥土質量が1,620tの場合、目標乾燥密度1.62t/m3では1,000m3の盛土を施工できる計算です。
1,620÷1.62=1,000m3
同じ乾燥土質量を目標乾燥密度1.71t/m3で施工する場合、完成可能体積は約947m3です。
1,620÷1.71=約947m3
利用可能な乾燥土質量が一定であれば、設定する目標乾燥密度が高いほど、理論上完成できる体積は小さくなります。目標締固め度や使用材料が変更された場合は、完成体積と必要材料量を再計算します。
材料が複数ある場合は、材料別に乾燥土質量を集計します。材料Aと材料Bで地山乾燥密度が異なるなら、それぞれの地山体積へ個別の乾燥密度を掛けて乾燥土質量を求め、その合計を盛土側の必要乾燥土質量と比較します。
平均乾燥密度を用いる場合は、密度だけの単純平均ではなく、対象となる体積または質量に基づいて計算します。地山乾燥密度1.40t/m3の材料が少量、1.70t/m3の材料が大量にある場合、二つの密度を単純に足して2で割った値では、全体の乾燥土質量を正しく表せません。
また、工区ごとに小数点以下を早い段階で丸めると、工区数が多いほど差が積み重なります。計算途中では必要な精度を保持し、最終的な数量表示や発注単位に合わせて丸める方法が適切です。
計算基準3 地山土量・ほぐし土量・締固め土量を区別する
三つ目の計算基準は、地山土量、ほぐし土量、締固め土量を明確に区別することです。同じ土でも、測定する時点と状態によって体積が異なります。
地山土量は、掘削前の自然な状態にある土の体積です。現況地盤面と計画掘削面との差から求める切土体積は、通常、地山状態の体積として整理されます。
ほぐし土量は、掘削によって土の構造が乱れた後の体積です。運搬車両へ積み込まれた土や仮置き場に積まれた土は、ほぐし状態として扱うことがあります。ただし、積載量の管理が質量基準の場合もあるため、体積か質量かを記録上明確にします。
締固め土量は、盛土材料を敷きならし、所定の方法で転圧した後の体積です。設計完成形状から求める盛土体積は、一般に締固め後の形状を基準とします。
乾燥土質量が保存される理想条件では、三つの状態は次の関係で表せます。
地山体積Vn×地山乾燥密度ρdn=ほぐし体積Vl×ほぐし土乾燥密度ρdl=締固め後体積Vc×締固め後乾燥密度ρdc
地山体積から締固め後体積を求める式は次のとおりです。
締固め後体積Vc=地山体積Vn×地山乾燥密度ρdn÷締固め後乾燥密度ρdc
地山体積が1,000m3、地山乾燥密度が1.55t/m3、締固め後乾燥密度が1.71t/m3の場合、締固め後体積は約906m3です。
1,000×1.55÷1.71=約906m3
この条件では、切土1,000m3を損失なく全量利用できると仮定しても、完成盛土体積は約906m3です。切土体積と盛土体積を1対1で差し引くと、理論上約94m3の差を見落とします。
同じ材料のほぐし土乾燥密度を1.30t/m3とすると、地山1,000m3から得られるほぐし土体積は約1,192m3です。
1,000×1.55÷1.30=約1,192m3
この例では、地山で1,000m3だった土が、ほぐし状態で約1,192m3となり、締固め後には約906m3となります。運搬計画では、ほぐし土体積、積載容積、湿潤質量、車両の積載条件などを用います。一方、完成出来高は締固め後の形状で確認するため、同じ欄へ混在させないようにします。
土量変化率を使って簡略化する方法もあります。地山体積に対するほぐし体積の比をほぐし係数と定義するなら、前述の例では約1.192です。地山体積に対する締固め後体積の比を締固め側の係数と定義するなら約0.906です。
係数を使うときは、分母と分子を必ず明記します。土量変化率1.2とだけ記録しても、地山からほぐしへの比なのか、締固め土からほぐし土への比なのか判断できません。
たとえば、地山1m3がほぐし後に1.20m3、締固め後に0.90m3となる場合、ほぐし土から締固め土への体積比は0.90÷1.20=0.75です。地山基準の係数と、ほぐし土基準の係数は異なります。
土量変化率は、土質、掘削方法、運搬方法、含水状態、転圧条件、混合や選別の有無によって変わります。計画段階では設計図書、標準値、類似工事、試験結果を参照できますが、施工開始後は実績との照合が必要です。
砂質土、粘性土、礫質土、不適材などを一つの係数でまとめると、数量差が大きくなる場合があります。材料区分ごとに地山体積、乾燥密度、利用可能率、ほぐし係数を整理すると、切土と盛土の収支を追跡しやすくなります。
計算基準4 含水比と湿潤質量を分けて必要量を計算する
四つ目の計算基準は、含水比、湿潤質量、乾燥土質量を分けて管理することです。盛土材料には水分が含まれるため、運搬時に計量した湿潤質量をそのまま乾燥土質量として扱うことはできません。
含水比は、乾燥土質量に対する水の質量の割合です。
含水比w=水の質量Mw÷乾燥土質量Md×100
乾燥土質量Mdと含水比wから湿潤土質量Mtを求める式は次のとおりです。計算式に入れる含水比は小数で表します。
湿潤土質量Mt=乾燥土質量Md×(1+含水比w)
必要乾燥土質量が1,000t、含水比が15%であれば、湿潤土質量は1,150tです。
1,000×1.15=1,150t
同じ乾燥土質量でも、含水比が25%であれば湿潤土質量は1,250tです。
1,000×1.25=1,250t
雨天後に運搬土の湿潤質量が増えても、乾燥土質量まで増えたとは限りません。水分が増えただけなら、盛土を構成する土粒子の乾燥質量は変わらないためです。運搬記録を質量で管理する場合は、適切な頻度で含水比を確認し、乾燥土質量へ換算します。
湿潤土質量から乾燥土質量を求める式は次のとおりです。
乾燥土質量Md=湿潤土質量Mt÷(1+含水比w)
湿潤土質量が1,150t、含水比が15%の場合、乾燥土質量は1,000tです。
1,150÷1.15=1,000t
現場の含水状態を締固めに適した範囲へ近づけるため、加水が必要になることがあります。乾燥土質量が一定で、初期含水比と目標含水比が既知なら、理論上の追加水量は次の式で概算できます。
必要加水質量Mw=乾燥土質量Md×(目標含水比wt-初期含水比wi)
乾燥土質量が1,000t、初期含水比が10%、目標含水比が14%であれば、理論上の加水質量は40tです。
1,000×(0.14-0.10)=40t
水の密度を約1t/m3として概算すれば約40m3に相当します。ただし、実際の散水では蒸発、飛散、表面流出、材料内の水分分布、施工中の天候などが影響します。理論量だけで散水量を固定せず、現場の含水状態を確認しながら調整します。
材料の含水比が高すぎる場合、転圧回数を増やすだけでは所定の乾燥密度へ到達しにくいことがあります。敷きならして乾燥を促す方法、材料をかき混ぜてばっ気する方法、含水比の低い材料と混合する方法などを検討しますが、採用できる方法は土質、工程、環境条件、設計図書に応じて判断します。
湿潤密度が高いからといって、乾燥密度も高いとは限りません。湿潤密度2.00t/m3、含水比20%の場合、乾燥密度は約1.67t/m3です。
2.00÷1.20=約1.67t/m3
一方、湿潤密度1.95t/m3、含水比12%の場合、乾燥密度は約1.74t/m3です。
1.95÷1.12=約1.74t/m3
湿潤密度だけを比較すると前者の方が高いものの、乾燥密度は後者の方が高くなります。締固め度を評価するときは、湿潤密度と含水比から乾燥密度を求め、適用する基準最大乾燥密度と比較します。
体積計算書では、完成体積、地山体積、ほぐし体積、湿潤質量、乾燥土質量、含水比を別項目として記録します。搬入量とだけ記載すると、体積か質量か、地山かほぐしか、乾燥か湿潤かを後から判別できなくなるためです。
計算基準5 施工ロスと材料利用率を反映する
五つ目の計算基準は、理論上の必要量に施工ロスや材料利用率を反映することです。乾燥密度から求めた必要量は、材料が失われず、対象土がすべて完成盛土へ使用される理想条件の値です。
実工事では、切土から発生した土の全量を盛土へ利用できるとは限りません。表土、有機物や異物を多く含む材料、設計条件に適合しない材料、含水状態の調整が困難な材料などは、盛土材料として使用できない場合があります。
運搬中の付着やこぼれ、仮置き中の混入や流出、法面整形時の切り直し、仮設道路や埋戻しへの転用などによっても、完成盛土へ入る乾燥土質量は変わります。これらを一つの材料利用率へまとめる場合は、率の定義と対象範囲を明確にします。
必要乾燥土質量をMd、材料利用率をηとすると、確保すべき乾燥土質量Mpは次の式で求められます。
確保すべき乾燥土質量Mp=必要乾燥土質量Md÷材料利用率η
必要乾燥土質量が1,710t、材料利用率が95%であれば、確保すべき乾燥土質量は1,800tです。
1,710÷0.95=1,800t
この例では、理論必要量より90t多く確保します。ただし、材料利用率95%は説明用の仮定です。実際の率は、土質調査、選別条件、施工方法、仮置き条件、過去実績、契約上の数量区分を踏まえて設定します。
必要乾燥土質量を利用率で補正し、地山乾燥密度で割れば、確保すべき地山体積を求められます。
確保すべき地山体積=必要乾燥土質量÷材料利用率÷地山乾燥密度
必要乾燥土質量が1,710t、材料利用率が0.95、地山乾燥密度が1.50t/m3の場合、確保すべき地山体積は1,200m3です。
1,710÷0.95÷1.50=1,200m3
材料損失を見込まない理論値は1,140m3ですが、利用率を考慮すると60m3多く確保する計算です。
施工ロスとは別に、完成形状の体積計算で見落としやすい部分があります。法面、小段、段切り、構造物周辺、排水構造物、既設地盤との境界などが設計面へ適切に反映されていなければ、基礎となる完成盛土体積が誤ります。
盛土範囲内に構造物や管路がある場合は、設計図書や数量算出条件に従って占有体積の控除を判断します。小規模な構造物を一律に控除するとは限らないため、独自判断で計算条件を変えないことが重要です。
表土、路床材、排水層、基礎材など、一般盛土とは異なる材料で施工する部分も区分します。完成形状全体を一種類の盛土材で満たすものとして計算すると、一般盛土材の必要量を過大または過小に見積もる可能性があります。
施工時の敷きならし厚さと締固め後の一層仕上がり厚さも区別します。転圧前の厚さをそのまま完成出来高として集計せず、完成体積は締固め後の形状を基準に確認します。
出来形を満たすことと、締固め品質を満たすことは別の確認事項です。設計形状どおりでも密度不足なら、想定した乾燥土質量が配置されていない可能性があります。反対に締固め度を満たしていても、標高や法面位置が設計と異なれば、完成形状を満たしていません。
必要量を管理するときは、形状による出来形体積と、密度試験などによる締固め品質を組み合わせて確認します。ただし、局所的な密度試験結果を工区全体へ機械的に拡張せず、材料区分、施工層、測定頻度、ばらつきを考慮します。
締固め度別に必要体積を比較する計算例
ここでは、完成盛土体積が同じ場合に、目標締固め度の違いによって必要地山体積と必要ほぐし土体積がどのように変わるかを計算します。
条件は、完成盛土体積2,000m3、最大乾燥密度1.80t/m3、地山乾燥密度1.50t/m3、ほぐし土乾燥密度1.25t/m3とします。すべて説明用の仮定であり、材料の損失や選別は見込んでいません。
目標締固め度90%の場合、目標乾燥密度は次のとおりです。
1.80×0.90=1.62t/m3
完成盛土体積2,000m3に必要な乾燥土質量は次のとおりです。
2,000×1.62=3,240t
必要地山体積は次のとおりです。
3,240÷1.50=2,160m3
必要ほぐし土体積は次のとおりです。
3,240÷1.25=2,592m3
次に、目標締固め度95%の場合を計算します。目標乾燥密度は次のとおりです。
1.80×0.95=1.71t/m3
必要乾燥土質量は次のとおりです。
2,000×1.71=3,420t
必要地山体積は次のとおりです。
3,420÷1.50=2,280m3
必要ほぐし土体積は次のとおりです。
3,420÷1.25=2,736m3
この条件では、締固め度を90%から95%へ変更すると、必要乾燥土質量は180t、必要地山体積は120m3、必要ほぐし土体積は144m3増加します。
締固め度の差は5ポイントですが、必要量が90%時の値に対して一律5%増えるわけではありません。今回の条件では、目標乾燥密度の比は1.71÷1.62であり、約1.0556です。そのため、乾燥土質量と各状態の必要体積は約5.56%増えます。百分率のポイント差と、数量の増加率を混同しないことが重要です。
次に、利用できる地山体積が2,160m3に限られている場合を考えます。地山乾燥密度が1.50t/m3であれば、利用可能乾燥土質量は3,240tです。
2,160×1.50=3,240t
目標乾燥密度1.62t/m3の場合、完成可能体積は2,000m3です。
3,240÷1.62=2,000m3
目標乾燥密度1.71t/m3の場合、完成可能体積は約1,895m3です。
3,240÷1.71=約1,895m3
設計上必要な完成盛土体積が2,000m3であれば、完成体積換算で約105m3不足します。不足する乾燥土質量は180tです。
2,000×1.71-3,240=180t
追加材料の地山乾燥密度が1.50t/m3であれば、材料損失を見込まない追加地山体積は120m3です。
180÷1.50=120m3
追加材料の利用率を95%と見込む場合、確保すべき追加地山体積は約126m3です。
120÷0.95=約126m3
このように、完成体積、目標乾燥密度、供給側の乾燥密度、材料利用率の順に計算すると、不足量の根拠を明確にできます。
切土を盛土へ流用する場合の土量収支
同じ工事内で切土を盛土へ流用する場合、切土体積と盛土体積を直接差し引かないようにします。切土体積は地山状態、盛土体積は締固め後状態として算出されることが多く、基準状態が異なるためです。
最初に、現況地盤面と計画面との差から切土の地山体積を求めます。切土区域に複数の土質がある場合は、材料区分ごとに体積を集計します。
次に、各材料が盛土へ利用できるかを判定します。表土、不適材、異物を含む材料、要求品質に適合しない材料、含水調整が困難な材料などは、切土量に含まれていても全量利用できるとは限りません。
利用可能な地山体積へ地山乾燥密度を掛け、利用可能乾燥土質量を求めます。
利用可能乾燥土質量=利用可能地山体積×地山乾燥密度
材料Aの利用可能地山体積が1,000m3、地山乾燥密度が1.50t/m3であれば、利用可能乾燥土質量は1,500tです。
材料Bの利用可能地山体積が500m3、地山乾燥密度が1.60t/m3であれば、利用可能乾燥土質量は800tです。
合計乾燥土質量は2,300tです。
盛土側では、完成体積へ目標乾燥密度を掛けて必要乾燥土質量を求めます。
必要乾燥土質量=完成盛土体積×目標乾燥密度
完成盛土体積が1,400m3、目標乾燥密度が1.65t/m3であれば、必要乾燥土質量は2,310tです。
1,400×1.65=2,310t
この条件では、利用可能乾燥土質量2,300tに対して必要乾燥土質量が2,310tであるため、理論上10t不足します。
切土側の材料利用率を95%とすると、完成盛土へ利用できる乾燥土質量は2,185tです。
2,300×0.95=2,185t
必要乾燥土質量との差は125tです。
2,310-2,185=125t
追加材料の地山乾燥密度が1.50t/m3で、追加材料側の利用率をまだ見込まない場合、追加地山体積は約83m3です。
125÷1.50=約83m3
追加材料にも選別や施工ロスを見込むなら、その材料に対応した利用率でさらに補正します。
土量収支では、余剰や不足をどの状態で表示するかも明確にします。追加掘削量として示すなら地山体積、運搬量として示すならほぐし体積または湿潤質量、完成不足量として示すなら締固め後体積へ換算します。
複数の盛土部へ切土材料を配分する場合は、粒度、強度、塑性、含水状態、締固め特性、施工性などと各部位の要求品質を照合します。最大乾燥密度だけで材料の適否を決めないことが重要です。
施工時期のずれも土量配分へ影響します。切土の発生が盛土より早ければ仮置きが必要となり、切土の発生が遅ければ一時的な外部調達が必要になる場合があります。仮置き中に含水比や材料区分が変化した場合は、当初の利用率や試験結果をそのまま使えるか確認します。
計画段階の土量収支は、施工開始後の実績に合わせて更新します。切土出来形、盛土出来形、搬出入記録、仮置き残量、密度試験、含水比試験を照合し、残りの不足や余剰を早期に把握します。
盛土体積の計算で起こりやすい間違い
最も起こりやすい間違いは、締固め度を体積の縮小率として直接使用することです。締固め度95%は、転圧前の体積が一律に95%になるという意味ではありません。締固め度は現場乾燥密度と基準最大乾燥密度の比であり、体積変化を求めるには各状態の乾燥密度または定義が明確な土量変化率が必要です。
次に注意したいのが、切土体積と盛土体積をそのまま差し引くことです。切土1,000m3があっても、完成盛土1,000m3を施工できるとは限りません。乾燥土質量へ換算したうえで比較します。
湿潤質量と乾燥土質量の混同も数量差の原因です。雨天後に運搬質量が増えても、増加分が水であれば乾燥土質量は増えていません。質量記録を土量収支へ使う場合は、含水比の測定方法と代表性を確認します。
最大乾燥密度をすべての材料へ一律に適用することも避けます。材料が変われば締固め特性も変わり得ます。材料区分ごとの試験結果、試料調整、最大粒径、適用範囲を確認します。
設計盛土体積の算出範囲が不正確であれば、密度換算を正しく行っても最終数量は一致しません。現況地盤と計画面の境界、法面、小段、段切り、構造物の扱いを確認します。
三次元データから体積を求める場合は、植生、重機、資材、仮置き土などが地盤面へ含まれていないかを確認します。これらを地盤として処理すると、現況面が実際より高くなり、必要盛土量が少なく算出される場合があります。
計測方式によっては、水面、影の強い部分、反射しにくい面、障害物の背後などで欠測が生じます。欠測範囲を不自然に低い地盤として補間すると、盛土量が過大になる可能性があります。補間方法、除去対象、計算境界、点群処理条件を記録します。
現況データと設計データの座標系、標高基準、単位が異なる場合も、大きな体積差が生じます。施工面積10,000m2で平均標高差が0.05mあれば、単純計算で体積差は500m3です。
10,000×0.05=500m3
体積計算の前に、水平位置、標高基準、単位、対象範囲、時点を照合します。
敷きならし厚さを完成厚さとして集計する間違いにも注意します。転圧前の層厚を完成体積へ使用すると、過大な数量になる可能性があります。反対に、施工基面へのなじみ込み、段切り、軟弱部の処理、沈下などを計画上考慮しないと、材料不足が生じる場合があります。ただし、これらの扱いは設計条件や数量算出ルールに従います。
密度をt/m3、質量をkgで扱う場合は、単位換算を誤ると1,000倍の差が生じます。体積、密度、質量、含水比の単位を計算表へ明記します。
小数点以下の丸め方も統一します。今回修正した例のように、乾燥密度を途中で丸めてから締固め度を計算すると、最終値が変わることがあります。計算途中は必要な桁数を保持し、最終表示で丸めます。
施工中に必要体積を更新する方法
盛土の必要量は、着工前に一度計算して終わりではありません。実際の土質、含水状態、締固め結果、材料利用率、施工ロスが計画時の想定と異なる場合があるため、施工中に更新します。
一定期間または一定施工量ごとに、施工済み出来形体積、現場乾燥密度、切土出来形、搬入量、搬出量、仮置き残量、含水比、材料利用状況を整理します。
施工済み部分の乾燥土質量は、施工済み出来形体積と、その範囲を代表すると判断した現場乾燥密度から概算できます。
施工済み乾燥土質量=施工済み出来形体積×現場乾燥密度
施工済み出来形体積が500m3、代表乾燥密度が1.68t/m3であれば、概算乾燥土質量は840tです。
500×1.68=840t
ただし、現場密度試験は測定地点付近の状態を示すものであり、一地点の値が施工範囲全体を完全に代表するとは限りません。材料区分、施工層、転圧条件、測定位置、試験数、ばらつきを考慮して代表値を設定します。
残りの完成盛土体積へ目標乾燥密度を掛け、今後必要な乾燥土質量を求めます。その値と、切土予定地や仮置き場に残る利用可能乾燥土質量を比較します。
不足が予想される場合は、追加材料の確保、材料配分の変更、仮置き運用の見直し、設計条件の確認を早めに進めます。終盤で不足が判明すると、調達や運搬が工程へ影響する可能性があります。
施工実績から土量変化率を更新する方法もあります。一定期間に実際に使用した地山体積と完成した盛土体積が分かる場合、次の式で実績換算係数を算出できます。
実績換算係数=完成盛土体積÷使用地山体積
使用地山体積が1,000m3、完成盛土体積が920m3であれば、実績換算係数は0.92です。
920÷1,000=0.92
ただし、使用地山体積の一部が仮置き場に残っている場合、他用途へ転用された場合、搬出された場合、材料が混合された場合は補正が必要です。単純な体積比だけで係数を決めると、材料収支を誤る可能性があります。
三次元計測を使用する場合は、施工前後の面の差から期間中の盛土体積を算出できます。定期的に計測すれば、工区全体の進捗だけでなく、部分的な盛り過ぎや不足も把握しやすくなります。
時期の異なるデータを比較するときは、同じ座標系、標高基準、対象範囲、計測方法、点群処理条件を使用します。条件が異なると、施工量ではなくデータ処理の差が体積差として表れることがあります。
搬入記録だけで出来高を判断しないことも重要です。搬入済みの土には、まだ締め固められていない材料、仮置き中の材料、施工区域外へ移動した材料が含まれる場合があります。出来形計測と照合し、搬入量、使用量、残量を分けて管理します。
計画値と実績値の差が大きい場合は、締固め度だけを原因と考えず、現況地盤、設計面、計測範囲、乾燥密度、含水比、土量変化率、材料利用率、転用量を順番に確認します。広い範囲では平均高さの小さな誤差でも大きな体積差になるため、標高基準と境界位置を定期的に確認します。
まとめ
盛土の締固め度別に必要体積を換算するには、締固め度を体積へ直接掛けるのではなく、乾燥密度と乾燥土質量を基準に計算します。
最初に、最大乾燥密度と目標締固め度から目標乾燥密度を求めます。次に、完成盛土体積へ目標乾燥密度を掛け、必要乾燥土質量を算出します。
求めた乾燥土質量を地山乾燥密度で割れば必要地山体積、ほぐし土乾燥密度で割れば必要ほぐし土体積を求められます。これにより、地山、運搬、完成盛土という異なる状態の土量を一貫した基準で比較できます。
同じ完成盛土体積を目標乾燥密度にちょうど達する条件で施工すると仮定した場合、目標締固め度が高いほど必要乾燥土質量は増えます。利用できる乾燥土質量が一定なら、目標乾燥密度が高いほど完成可能体積は小さくなります。
切土を盛土へ流用するときは、切土体積と盛土体積を直接差し引かず、双方を乾燥土質量へ換算します。土質ごとに乾燥密度や利用可能率が異なる場合は、材料区分別に計算してから合計します。
含水比の変化にも注意が必要です。湿潤質量が増えていても、乾燥土質量が増えているとは限りません。運搬質量を土量管理へ使う場合は、含水比を用いて乾燥土質量へ換算します。
理論上の必要量を施工計画へ反映する際は、材料利用率、施工ロス、構造物の扱い、材料区分、敷きならし厚さと仕上がり厚さの違いを確認します。
施工開始後は、切土出来形、盛土出来形、現場乾燥密度、搬出入量、仮置き残量を定期的に比較し、土量変化率や材料利用率を更新します。着工前の数値を固定せず、施工実績を反映することで、材料不足や余剰を早めに把握できます。
現場の盛土体積を継続的に管理するには、同じ座標系と標高基準で施工面を計測し、設計面や過去の計測面との差を比較できる環境が有効です。盛土の進捗確認や体積計算を効率化する方法の一つとして、LRTK Phoneによる三次元計測と土量管理を検討できます。計測結果を正式な出来形管理や数量確認へ使用する場合は、適用する要領、要求精度、計測範囲、処理条件を確認して運用します。