掘削残土の付着分を補正する必要性
掘削残土を車両で運搬すると、積み込んだ土のすべてが一度の荷下ろしで排出されるとは限りません。高含水の粘性土や細粒分の多い土では、荷台の底面、前面、側面、隅部などに土が残り、積載時の数量と搬出先で実際に排出された数量との間に差が生じることがあります。
付着は土質だけで決まるものではありません。含水状態、掘削による練り返し、荷台内面の摩耗やへこみ、積載から荷下ろしまでの時間、走行振動、荷下ろし角度、清掃頻度などでも変わります。砂質土であっても細粒分と水分が多ければ付着することがあり、表土では根や有機物が絡んで塊状に残る場合があります。
切土・盛土の体積計算では、設計断面や施工前後の測量から求めた切土量と、車両重量、荷台容量、運搬台数などから求めた数量を比較することがあります。ただし、測量で求める切土量は地山状態、荷台内の土はほぐし状態、完成した盛土は締固め後の状態であることが多く、同じ立方メートルでも意味が異なります。付着補正を行う前に、比較する数量の状態をそろえる必要があります。
一便当たりの付着分が小さくても、運搬回数が多ければ日次集計や工区集計へ影響します。一方で、前便から残った土が次便の荷下ろし時に排出されることもあります。そのため、各便の残留量を機械的に全便分控除すると、累計数量を過小に算定するおそれがあります。
まず明確にすべきなのは、何を運搬土量として管理するかです。車両へ新たに積み込んだ量、現場から車両で持ち出した量、搬出先で実際に排出した量、受入先が計量した量、盛土へ利用できた量は同一ではありません。契約数量、出来高数量、場内管理数量のどれを求めるかによって、採用する測定方法と補正の扱いが変わります。
荷台内部の残留土と、タイヤや車体外面へ付着した泥も区別します。荷台内部の残留土は、荷下ろし量や次便の積載可能量へ影響します。車体外面の泥は、道路汚損防止や洗浄管理の対象となることが多く、運搬土量へ一律に加算できるものではありません。数量へ含める範囲は、施工計画書、数量算出条件、受入条件などで事前に定義します。
付着補正は、掘削量と運搬量の差を合わせるための任意の調整値ではありません。荷台やバケットへ実際に残った土、車両から実際に排出された質量、対象土の密度や含水比など、確認できる測定値を基礎に設定します。
運搬土量を計算する前に区別すべき土量状態
土量は、地山、ほぐし、締固め後という状態で体積が変わります。国土交通省の積算資料でも、地山の土量、ほぐした土量、締固め後の土量を区分し、地山を基準とする変化率で換算する考え方が示されています。したがって、車両記録と切土・盛土の体積計算を照合するときは、単位が同じ立方メートルであっても状態を確認しなければなりません。([国土交通省][1])
地山土量は、掘削前の自然な状態にある土の体積です。設計断面や施工前後の地形差から求める切土量は、契約図書や数量算出条件によって異なるものの、地山状態を基準とすることが一般的です。
ほぐし土量は、掘削によって土の構造が崩れ、空隙が増えた状態の体積です。荷台へ積み込んだ土や仮置き土山は、主としてほぐし状態として扱います。ただし、掘削直後、バケット内、荷台内、荷下ろし後の土山では、落下、振動、締まり方が異なるため、同じほぐし土でも密度が完全に同じとは限りません。
積載時運搬量は、車両へ新たに積み込んだ土の質量または体積です。荷下ろし完了量は、搬出先でその便に実際に排出された量です。荷台に土が残れば両者は一致しませんが、前便の残留土が排出されると、その便の排出量が新規積込量を上回る場合もあります。
締固め後土量は、盛土として敷きならし、所定の施工方法で締め固めた後の体積です。運搬時のほぐし土量を、そのまま完成後の盛土体積とみなすことはできません。国土交通省の資料でも、締固めを伴う数量は締固め後の状態として扱う例が示されています。([国土交通省][2])
数量名称には状態を付けて記録すると整理しやすくなります。例えば、地山換算切土量、積載時湿潤質量、積載時ほぐし体積、荷下ろし排出質量、荷台残留質量、締固め後盛土量のように区分します。単に運搬量や土量とだけ記録すると、後から異なる状態の数値を比較してしまうおそれがあります。
重量から体積へ換算するときは、湿潤質量、乾燥質量、湿潤密度、乾燥密度の組合せをそろえます。湿潤質量には水分が含まれるため、湿潤体積を求める場合は、その状態を代表する湿潤密度を用います。乾燥密度を用いて地山量や締固め後量へ換算する場合は、含水比から乾燥質量を求めたうえで計算します。
また、積算上の標準的な土量変化率と、現場で実測した密度や体積は目的が異なります。契約数量や出来高数量では、契約図書、発注者の基準、承認された施工計画に従います。現場管理用に独自の付着率を設定しても、それがそのまま支払数量や受入数量になるとは限りません。
補正方法1 荷下ろし前後の重量差から残留土量を求める
重量計測が可能な場合は、体積を直接推定する前に質量収支を整理すると、付着の影響を把握しやすくなります。車両総重量を、積載前、積載後、荷下ろし後の三時点で測定します。
積載前の車両総重量をW0、積載後をW1、荷下ろし後をW2とします。このとき、新たに積み込んだ湿潤質量はW1からW0を差し引いた値です。その便で実際に排出した湿潤質量はW1からW2を差し引いた値です。
W2からW0を差し引いた値は、積載前から荷下ろし後までに荷台へ残った量の純増分です。積載前の荷台が清掃済みで、開始時残留量がゼロと確認できる場合は、この純増分をその便の終了時残留質量とみなせます。しかし、積載前から前便の残留土がある場合、W2からW0を差し引いた値は荷台内の総残留質量ではありません。前便の残留土が今回排出されれば、値が小さくなったり負になったりすることもあります。
例えば、積載前重量が10,500キログラム、積載後重量が18,500キログラム、荷下ろし後重量が10,740キログラムで、積載前の荷台が清掃済みだったとします。新規積込質量は8,000キログラム、実排出質量は7,760キログラム、終了時残留質量は240キログラムです。新規積込質量に対する終了時残留率は3パーセントとなります。
この計算では、三回の計量条件を可能な範囲でそろえます。運転者、同乗者、燃料、車載工具、養生材、荷台内の水、車体外面の泥などが変化すると、重量差へ混入します。燃料消費や付着水の排出が無視できない運搬条件では、その影響を記録し、必要に応じて補正します。
車両登録情報の重量を毎回の積載前重量として固定使用する方法には注意が必要です。通常の運行状態では、燃料や車載品などにより実重量が異なります。現場で使用する状態の空車重量を実測し、さらに残留土を含む場合は、その時点の積載前重量を測定するほうが整理しやすくなります。
累計の搬出質量を求める場合は、各便の排出質量であるW1マイナスW2を合計する方法が明確です。積載前後の差だけを合計する場合は、開始時残留量、終了時残留量、途中清掃で回収した土、現場へ戻した土などを別途収支へ入れます。
計量器の最小表示、測定誤差、設置条件も確認します。残留土の想定質量が計量器の分解能に近い場合、一便だけの差では判断しにくくなります。複数便を試験し、平均値とばらつきを確認することが重要です。
補正方法2 含水比と湿潤密度を用いて体積へ換算する
重量差で求めた付着土を体積へ換算するには、どの状態の体積を求めるかを決め、その状態を代表する密度を使用します。湿潤質量を湿潤密度で割れば、その密度条件に対応する湿潤体積を求められます。
例えば、荷台残留土の湿潤質量が240キログラムで、残留土を代表する湿潤密度が1立方メートル当たり1,600キログラムであれば、残留体積は0.15立方メートルです。ただし、荷台底面で押し固められた残留土と、荷台上部のほぐれた積載土では密度が異なる場合があります。積載土と残留土へ同じ密度を用いるのは、同等と確認できる場合に限ります。
積載土の湿潤質量が8,000キログラムで、積載状態を代表する湿潤密度が1立方メートル当たり1,600キログラムであれば、積載時ほぐし体積は5.0立方メートルです。一方、荷下ろし後の排出体積を求める場合は、排出された土の状態を代表する密度を用いるのが基本です。積載状態と排出状態の密度が同じと仮定できる場合に限り、積載体積から残留体積を差し引く計算が成り立ちます。
含水状態が変わる現場では、乾燥質量を基準に比較すると、水分増減の影響を分けやすくなります。含水比を小数でwとすると、乾燥質量は湿潤質量を1プラスwで割って求めます。含水比25パーセントは0.25として扱います。
湿潤質量10,000キログラム、含水比25パーセントであれば、乾燥質量は10,000を1.25で割った8,000キログラムです。湿潤質量の差だけを見れば、降雨や地下水による水分増加を土粒子量の増加と誤認することがあります。乾燥質量へ換算すれば、土粒子量を同じ基準で比較しやすくなります。
乾燥質量から地山体積を求める場合は、対象土層の地山乾燥密度を用います。締固め後の盛土体積を求める場合は、実測した締固め後乾燥密度や、承認された管理基準に対応する値を用います。異なる状態の密度を混用しないことが重要です。
含水比や密度の試料は、実際の運搬土を代表するように採取します。掘削面の一部だけを測定して荷台全体へ適用すると、複数土層が混ざる便では誤差が大きくなることがあります。採取位置、掘削深度、時刻、天候、対象便、試料番号を関連付けます。
湿潤密度を固定値として長期間使用する方法にも注意が必要です。降雨、地下水、土層変更、改良処理、運搬時間などで密度が変わるため、条件が大きく変化したときは再測定します。
補正方法3 荷台内の付着面積と平均厚さから算定する
車両重量を測定できない場合は、荷台内の付着範囲と厚さから残留体積を推定できます。基本式は、付着面積に、その面へ直角方向の平均付着厚を掛ける方法です。
荷台底面の付着面積が8平方メートル、平均付着厚が0.02メートルであれば、底面の付着体積は0.16立方メートルです。側面や前面にも付着している場合は、各面を分けて算定し、重複しないように合計します。
実際の付着厚は均一ではありません。荷台前方、隅部、底面の継ぎ目では厚くなり、後方や中央部では薄くなることがあります。荷台全体を一つの平均厚で計算せず、前方、中間、後方、左右、底面、側面などへ区画し、各区画の面積と平均厚を求めます。
平均厚は、厚い部分だけでなく、薄い部分や付着していない部分も含めて面積加重で求めます。目立つ塊の厚さを荷台全面へ適用すると過大評価になります。反対に、付着範囲を荷台全面とみなせば、付着していない部分まで計上することになります。
厚さの測定方法は毎回そろえます。測定棒を差し込む方法、荷台内面が見えるまで小区画を除去して段差を測る方法、清掃済みの基準面との差を測る方法などがあります。側面では、鉛直方向の高さではなく、原則として荷台面に対する厚さを測ります。
安全上、荷台内部への立入りは安易に行いません。可能な範囲で外部からの撮影、測定治具、非接触計測などを優先します。やむを得ず立ち入る場合は、車両の停止、キー管理、荷台の不意な作動防止、必要な機械的支持、昇降設備、監視者配置など、事業者が定める安全手順に従います。荷台を上げた状態の下や、可動するおそれがある状態で測定してはいけません。
荷下ろし後と清掃後を同じ方向から撮影し、区画図と測点番号を対応させると、算定根拠を残しやすくなります。画像から付着面積を求める場合は、遠近による変形や死角を考慮し、基準寸法が分かるように記録します。
付着厚から求めた残留体積に湿潤密度を掛ければ、推定残留質量を求められます。重量差による残留質量と大きく異なる場合は、付着範囲、平均厚、密度、荷台内の水、車体外面の泥などを再確認します。
この方法は計量設備がない現場でも利用できますが、測定者によるばらつきが生じやすい方法です。区画方法、測点数、撮影方向、厚さの定義、計算様式をあらかじめ決め、代表車両で繰り返し確認します。
補正方法4 代表車両の試験運搬から残留率を設定する
全車両の全便を詳細測定できない場合は、代表車両で試験運搬を行い、一定条件下の残留率や一便当たり実排出量を設定できます。ただし、付着率に全国一律の値があるわけではなく、試験結果の適用範囲を明確にする必要があります。
試験運搬では、積載前荷台の状態、積載前重量、積載後重量、荷下ろし後重量、荷台内の残留状況、清掃後重量、土質、含水状態、天候、運搬時間、荷下ろし方法などを記録します。重量計測ができない場合は、積載高さ、付着面積、平均付着厚などを測定します。
一回だけの結果を補正係数として採用すると、積み方や荷下ろし方の偶然差を含む可能性があります。複数便で試験し、平均値だけでなく最大値、最小値、ばらつき、異常便の理由も確認します。
車両の荷台形状が異なる場合は区分します。同じ公称容量でも、底面形状、側面勾配、内面の摩耗、継ぎ目、荷下ろし方式などで付着傾向が変わります。荷台容量だけを基準に一括せず、形状と状態が近い車両を同じ区分とします。
残留率は、重量基準と体積基準を混同しないようにします。重量基準残留率は、残留湿潤質量を新規積込湿潤質量で割った値です。体積基準残留率は、同じ体積状態へ換算した残留体積を積載体積で割った値です。残留土が押し固められ、積載土と密度が異なる場合、二つの率は一致しません。
代表試験から一便当たりの実排出量を設定することもできます。例えば、公称荷台容量が6立方メートルでも、実測した平均積載体積が5.4立方メートル、同じ基準状態へ換算した平均残留体積が0.15立方メートルであれば、平均実排出量は5.25立方メートルです。
この計算では、公称容量に残留率だけを掛けないことが重要です。実際にどの程度積載しているかを示す実積載率と、積載した土のうちどの程度がその便で残るかを示す残留率は別の要素です。
試験結果には、対象工区、土層、車両番号、積込機械、運搬距離、運搬時間、天候、含水状態、荷台清掃方法などを記録します。土層が変わったとき、連続降雨後、車両を変更したとき、荷台清掃頻度を変更したときは、係数の再確認を検討します。
係数を変更する場合は、変更日と適用開始便を明確にします。過去の便へ新しい係数を遡って適用する必要があるかは、測定結果と数量管理ルールに基づいて判断し、理由を記録します。
補正方法5 バケット付着による積込量の減少を補正する
掘削残土は車両荷台だけでなく、掘削機械や積込機械のバケットにも付着します。バケット回数から積込量を推定している場合、付着による有効容量の低下は、推定値を過大にする要因になります。
ただし、バケットの公称容量をそのまま一回当たり実積込量として使用することはできません。バケット容量には平積みと山積みの区別があり、実際の積込量は充填率、すくい方、山積み形状、こぼれ、土の密度、付着状態などで変わります。
例えば、公称容量1立方メートルのバケットを6回使用したからといって、実積込量が必ず6立方メートルになるわけではありません。試験計量や荷台内の実測によって、一回当たりの平均新規積込量が0.9立方メートルと確認された場合は、6回で5.4立方メートルと整理できます。この0.9立方メートルは、付着だけでなく充填率やこぼれも含む実測結果として扱います。
付着だけの影響を分けたい場合は、清掃直後と一定時間作業後で、同じ土、同じ積み方、同じオペレーター条件をそろえて比較します。バケット内部の付着範囲と厚さを測る方法や、一回当たりの積込質量を複数回測定する方法があります。
バケット内の付着土は、作業中に一部が剥がれて荷台へ入る場合があります。そのため、ある時点の付着体積を全便の運搬量から単純控除すると、累計で二重控除になることがあります。バケット補正の目的は、積込回数から推定する一回当たりの新規積込量を実態へ近づけることです。
車両重量で積載量を管理している場合、バケット付着や充填率の影響は最終的な車両重量へ反映されます。このとき、車両重量による実積載量へ、さらにバケット容量補正を重ねて適用すると二重補正になります。
一方、車両重量を測れず、バケット回数だけで集計する場合は、定期的な実容量確認が必要です。代表車両への試験積込、仮置き土山の体積、搬出先の計量結果などと照合し、一回当たり換算値を更新します。
土質が乾燥砂質土から高含水粘性土へ変わると、付着や充填状態が変化する場合があります。土層の切替え、降雨、バケット清掃、機械変更などを記録し、同じ換算値を無条件で使い続けないようにします。
補正方法6 三次元計測で掘削量と搬出量の収支を確認する
車両重量や残留率を測定しても、工区全体の数量差がすべて付着によるとは限りません。場内流用、仮置き、分別、こぼれ、洗浄回収、計測範囲の違い、密度の設定誤りなども土量収支へ影響します。
そこで、掘削前後の地形や仮置き土を三次元計測し、車両記録から求めた運搬量と照合します。三次元計測は荷台ごとの残留土を直接測る方法ではなく、付着補正を含む数量が工区全体で妥当かを検証する方法です。
掘削前の現況面と掘削後の出来形面を、同じ座標系、同じ高さ基準、同じ対象範囲で比較すれば、範囲内の体積差を求められます。計算結果を車両のほぐし体積と比較する場合は、地山、ほぐし、締固め後という状態をそろえます。
仮置き場では、土を置く前の基準面を取得しておくことが重要です。堆積後の土山表面だけを計測しても、元地盤面が不明なら体積の根拠が弱くなります。基準面と土山表面の差から、仮置き体積を求めます。
工区の収支では、掘削した地山量、積載した土、搬出先へ排出した土、場内流用した土、仮置きした土、荷台やバケットに残った土、洗浄や清掃で回収した土、分別して別管理した異物などを整理します。
比較範囲が一致していないと、施工していない範囲や他工区の土まで含むことがあります。法肩、法尻、構造物周辺、工区境界、仮設道路などの境界を共通化します。
重機、車両、資材、仮設物、水たまり、植生などが点群へ含まれると体積へ影響します。計測時に移動できない場合は位置を記録し、データ処理時に除外範囲を明確にします。
土山の裏側や法尻に欠測がある状態で自動補間すると、実際と異なる面が作られる可能性があります。複数方向から計測し、欠測範囲が体積へ与える影響を確認します。水面や反射しにくい面、植生が密な場所では、取得できている対象面を確認します。
三次元計測は、工事終了時だけでなく、土層変更、降雨後、補正係数の変更、仮置き場移動などの節目で行うと、数量差が生じた期間を絞り込みやすくなります。
日々の速報値は車両記録、工区単位の累計確認は三次元計測というように役割を分けると、付着だけに原因を求めず、土量収支全体を確認できます。
付着補正を切土・盛土の体積計算へ反映する手順
付着補正を体積計算へ反映するときは、最初に数量管理の目的を決めます。掘削出来高、現場からの新規積出量、搬出先への実排出量、受入先の計量値、盛土利用量では採用する数量が異なります。
掘削出来高は、設計断面や掘削前後の地形差を基準に求めます。荷台へ付着した土があっても、掘削済みの地山量そのものが増減するわけではありません。付着分は、掘削後の土が運搬過程のどこに存在するかを整理する数量です。
積載時運搬量は、車両へ新たに載せた質量または体積です。重量管理では、積載後重量から積載直前重量を差し引きます。積載直前の荷台に前便残留土があっても、その状態を含む実測重量を基準にすれば、新たに積み込んだ質量を求められます。
搬出先への実排出量は、積載後重量から荷下ろし後重量を差し引く方法が明確です。新規積込量から残留率を控除する方法は、代表試験の適用条件が合い、前便残留土の持越しを適切に処理できる場合に用います。
盛土への再利用量は、荷下ろししたほぐし土量を、そのまま完成後の盛土量へ置き換えません。含水比、乾燥質量、分別ロス、改良処理、締固め後密度などを考慮し、契約上または管理上の基準状態へ換算します。
実務手順としては、対象工区と数量の状態を定義し、土質と含水状態を区分します。次に、重量差、付着厚、代表試験、三次元計測のうち、必要な方法を選びます。その後、元データを保存したまま補正計算を行い、補正後数量を別欄で管理します。
一定期間ごとに、車両記録、仮置き量、場内流用量、掘削前後の測量結果を照合します。差が大きい場合は、付着率だけを変更せず、密度、含水比、空車重量、計量器、積載率、測量範囲、仮置き、分別、清掃回収などを確認します。
契約数量や出来高へ採用する場合は、発注者の数量算出基準、契約図書、施工計画書、協議結果を優先します。現場管理用の補正係数を、承認なしに契約数量へ置き換えないようにします。
付着分を含む運搬土量の計算例
ここでは、積載前の荷台が清掃済みで、三回の計量条件が同じという仮定で計算します。実工事では、計量器の精度、受入条件、契約上の基準、密度試験結果を確認します。
積載前重量W0を10,500キログラム、積載後重量W1を18,500キログラム、荷下ろし後重量W2を10,740キログラムとします。
新規積込湿潤質量は、W1マイナスW0で8,000キログラムです。実排出湿潤質量は、W1マイナスW2で7,760キログラムです。積載前が清掃済みであれば、終了時残留湿潤質量はW2マイナスW0で240キログラムです。
質量基準の終了時残留率は、240を8,000で割った3パーセントです。この3パーセントは、この便、この車両、この土質、この荷下ろし条件に対する値であり、別条件へそのまま適用できるとは限りません。
積載土と排出土を代表する湿潤密度がともに1立方メートル当たり1,600キログラムで、同じ体積状態として扱えると確認できる場合、積載時体積は5.0立方メートル、実排出体積は4.85立方メートル、残留体積は0.15立方メートルです。
残留土が荷台底面で押し固められ、密度が積載土と異なる場合は、積載体積から残留体積を単純に差し引かず、質量基準で収支を整理したうえで、各対象状態の密度を用いて別々に換算します。
同じ条件で20便運搬し、各便についてW1マイナスW2を測定できた場合は、その合計が実排出湿潤質量です。便ごとの残留率を一律控除した後、さらに終了時残留量を控除すると、二重控除になる可能性があります。
積載前後の差だけを20便分合計する場合、開始時の荷台が清掃済みで、途中清掃や別場所への排出がなく、終了時残留質量が300キログラムであれば、累計実排出質量は新規積込質量合計から300キログラムを差し引いて整理できます。
開始時に残留土がある場合は、開始時残留質量を加え、終了時残留質量を差し引きます。途中で清掃して回収した土、現場へ戻した土、別の処分先へ移した土がある場合は、それぞれの行先へ分けて収支へ入れます。
地山体積へ換算する例として、新規積込湿潤質量8,000キログラム、含水比25パーセントであれば、乾燥質量は6,400キログラムです。対象土層の地山乾燥密度が1立方メートル当たり1,600キログラムであれば、地山換算体積は4.0立方メートルです。
同じ便でも、積載時ほぐし体積5.0立方メートルと地山換算体積4.0立方メートルが存在します。これは計算矛盾ではなく、体積状態が異なるためです。計算書には、数値だけでなく状態と使用密度を明記します。
土質や天候によって補正値を変える考え方
付着率は現場全体で一定ではありません。土質、含水比、練り返し、気温、荷台状態、運搬時間、荷下ろし方法などで変わります。条件の異なる範囲へ同じ係数を適用すると、補正後数量が実態から離れる可能性があります。
粘性土は荷台へ付着しやすい傾向がありますが、粘性土という名称だけで一律の率を決めることはできません。粒度、塑性、含水比、地下水、掘削方法などにより状態が異なります。
砂質土でも、細粒分と水分が多ければ残留することがあります。礫質土では大きな面状付着が少なくても、細粒土が隅部や継ぎ目へ詰まることがあります。表土では根や有機物が絡み、塊として残る場合があります。
降雨後は、土の含水量だけでなく、荷台内面の濡れ、掘削土の軟化、練り返しが付着へ影響します。晴天と雨天という名称だけで係数を変えるのではなく、含水比、残留量、密度などの測定結果で区分します。
高温や乾燥が続くと、付着土が乾いて固着し、その上へ新しい土が重なることがあります。見かけ上の一便当たり残留率が低くても、荷台の有効容量が徐々に減る場合があるため、清掃前後の状態を確認します。
運搬時間が長いと、振動による締まり、水分移動、乾燥などで荷台内の状態が変わることがあります。短距離試験の係数を長距離運搬へ用いる場合は、適用性を確認します。
係数は、土層や工区の切替え、降雨後、地下水の影響が現れた時点、車両形式変更、荷台補修、清掃方法変更などで見直します。区分を細かくしすぎると管理が複雑になるため、数量へ大きく影響する条件を優先します。
運搬台数による土量管理で注意したい点
運搬台数に一台当たり数量を掛ける方法は、日々の速報管理に便利です。しかし、荷台の公称容量と実積載量は同じとは限りません。
公称荷台容量が6立方メートルで10便運搬した場合、単純計算では60立方メートルです。しかし、積載高さ、山積み形状、空隙、前便残留土、積込機械、土質などにより実積載量は変わります。
代表試験で平均実積載量が5.4立方メートルと確認され、同じ基準状態の平均残留量が0.15立方メートルであれば、一便当たり平均実排出量は5.25立方メートルです。10便では52.5立方メートルとなります。
ただし、この換算値は試験条件の範囲で使用します。前便残留土が次便で排出される影響、日末の最終残留量、定期清掃で回収した土を確認し、累計数量を調整します。
車両ごとに荷台形状や容量が異なる場合は、車両区分ごとに一便当たり数量を設定します。同じ公称容量でも内面状態や清掃頻度が異なる場合があるため、車両番号を記録します。
積込担当者による差もあります。見た目の積載高さが同じでも、盛り方や空隙が異なることがあります。積載方法を可能な範囲で統一し、定期的に重量または体積を確認します。
台数換算は、車両の許容条件を超える積載を前提にしてはいけません。車両諸元、関係法令、現場の運行ルールに従い、体積だけでなく重量も確認します。
最終数量では、台数記録だけに依存せず、重量記録、受入記録、掘削前後の測量結果、仮置き量などと照合します。
付着補正で起こりやすい計算ミス
最も注意したいのは、同じ残留土を複数回差し引く二重控除です。便ごとに残留率を控除し、さらに工事終了時の残留量を全量控除すると、同じ土を重ねて差し引く可能性があります。
反対に、固定した空車重量を使い続けると、前便の残留土を次便の新規積込量へ重複して含める場合があります。積載直前重量を測るか、残留量の推移を継続管理します。
W2マイナスW0を常に総残留質量とみなすことも誤りです。この差が総残留質量になるのは、積載前残留量がゼロまたは既知で、他の重量条件が変わらない場合です。
湿潤質量を乾燥密度で割ることも誤差の原因です。湿潤体積には湿潤密度を使用します。乾燥密度を使う場合は、先に含水比から乾燥質量を求めます。
積載土と荷台残留土へ同じ密度を無条件で用いることにも注意します。残留土は圧密や水分移動により、ほぐれた積載土と密度が異なる場合があります。
荷台の公称容量から残留率だけを控除する計算も過大評価につながります。公称容量まで実際に積めていない場合があるため、実積載率と残留率を分けます。
バケット回数の補正と車両重量の補正を同時に重ねると、同じ積込不足を二重に補正する場合があります。どの測定値を主数量とするかを決めます。
地山土量、ほぐし土量、締固め後土量を同じ状態として比較することも避けます。状態をそろえる換算を行い、使用した密度または土量変化率を記録します。
掘削量と車両量の差をすべて付着分とする方法も適切ではありません。仮置き、場内流用、分別、こぼれ、測量範囲、含水変化、計量誤差などを確認します。
小数点の丸めは最終段階で行います。一便ごとに早い段階で丸めてから多数合計すると、元データを合計した値との差が大きくなる場合があります。
補正係数の根拠を施工記録として残す方法
付着補正を数量管理へ使用する場合は、係数の数値だけでなく、どの条件で得た値かを記録します。係数だけを残しても、別工区や別土層へ適用できるか判断できません。
記録には、測定日、時刻、天候、工区、掘削深度、土質、含水状態、車両番号、荷台形状、積込機械、積込回数、積載前重量、積載後重量、荷下ろし後重量、清掃後重量などを含めます。
付着厚を測定した場合は、荷台区画、測点、各厚さ、付着面積、面積加重平均厚、算定体積を残します。荷下ろし後と清掃後の写真を同じ方向から撮影し、車両番号と便番号へ関連付けます。
含水比や密度を測定した場合は、試料採取位置、対象土層、対象便、測定方法、測定値を記録します。試料番号だけでなく、どの計算へ使用したかを追跡できるようにします。
補正係数を変更した場合は、変更理由、変更日、適用開始便を明確にします。降雨、土層変更、車両変更、荷台補修、清掃方法変更など、見直しの契機も残します。
元データを補正後数量で上書きしません。積載前後重量、実排出重量、使用密度、含水比、補正式、補正係数、補正後数量を分けて保存します。後から係数を再検討するときに再計算できる状態が必要です。
日次では車両台数や重量を集計し、一定期間ごとに掘削面、仮置き場、場内流用量と照合します。差が生じた場合は、原因と対応を記録し、係数だけを帳尻合わせで変更しないようにします。
LRTK Phoneを活用した土量計測と記録管理
付着補正の根拠を整理するには、車両重量や含水比だけでなく、掘削範囲、仮置き場所、土層の変化位置、計測時期を座標と結び付けることが有効です。
荷台の付着写真だけでは、撮影日時、車両番号、掘削工区、土質が分からず、どの補正係数の根拠か判断しにくい場合があります。便番号や車両記録と写真を関連付け、位置と時刻を含む管理単位を決めます。
LRTK Phoneは、対応するスマートフォンと組み合わせてGNSS測位や点群計測に利用でき、LRTKクラウドでは座標、距離、面積、体積の計測やデータ共有が案内されています。利用できる機能、対応端末、測位条件、契約構成は現行仕様を確認したうえで使用します。([Lefixea Irtk][3])
掘削前の現況面と掘削後の出来形面を同じ座標基準で取得できれば、対象範囲の体積差を確認できます。車両記録から求めた運搬量と照合することで、付着補正を含む土量収支の妥当性を検討できます。
仮置き場では、搬入前の基準面を先に計測します。土山形成後の表面と比較すれば、仮置き体積を把握しやすくなります。基準面が取得できていない場合は、推定面の作り方と不確かさを記録します。
土層が変化した位置を座標で記録しておけば、どの範囲へどの密度や付着率を適用したか説明しやすくなります。降雨後に係数を見直した場合も、対象工区、測定位置、適用期間を関連付けられます。
取得したデータをLRTKクラウドで整理し、必要に応じてLRTK点群CADで点群や体積差を確認する運用を組み合わせると、車両記録だけでは分かりにくい工区全体の数量差を検討できます。ただし、製品機能だけで数量の正当性が自動的に保証されるわけではありません。
計測時は、上空視界、周囲の構造物、樹木、法面、重機、反射条件、欠測範囲などを確認します。測位状態が不安定な場所では、既知点や標定点との整合確認、再測定、別手法との照合を行い、目的に必要な精度を確保します。
三次元計測だけで荷台ごとの付着土を完全に算定することはできません。車両単位の残留量は重量差や付着厚で確認し、三次元計測は掘削範囲、仮置き量、工区全体の収支確認に用います。
車両記録、土質試験、掘削前後の地形、仮置き土量を同じ管理単位で保存すれば、補正係数の根拠を説明しやすくなります。切土・盛土の体積計算と運搬土量を結び付ける補助手段として、LRTK Phoneを活用できます。
まとめ
掘削残土の付着分は、車両へ新たに積み込んだ量と、搬出先でその便に実際に排出した量との差を生じさせます。特に高含水の粘性土、細粒分の多い土、雨天後に練り返された土などでは、荷台やバケットへ残留する場合があります。
補正方法には、三時点の車両重量から新規積込量と実排出量を求める方法、含水比と密度から基準状態の体積へ換算する方法、付着面積と平均厚から残留体積を推定する方法、代表車両の試験運搬から係数を設定する方法、バケットの実積込量を確認する方法、三次元計測で工区全体の収支を照合する方法があります。
重量管理では、積載後重量から荷下ろし後重量を差し引くと、その便の実排出湿潤質量を直接求められます。荷下ろし後重量と積載前重量の差は、積載前の残留量がゼロまたは既知でなければ総残留質量とはいえません。
体積換算では、地山、ほぐし、積載、排出、締固め後の状態を区別します。湿潤質量には湿潤密度、乾燥質量には対応する乾燥密度を用い、異なる状態の体積をそのまま加減しないようにします。
毎便の残留率と工事終了時の最終残留量を重ねて控除すると、二重控除になることがあります。開始時残留量、終了時残留量、途中清掃、回収土、場内流用、仮置きを含めて質量収支を整理します。
補正係数は、数量差を合わせるために任意設定するものではありません。土質、含水比、車両形式、荷台状態、天候、運搬条件を記録し、実測結果に基づいて適用範囲を定めます。
日々の数量は車両重量や運搬台数で管理し、一定期間ごとに掘削前後の地形や仮置き土を計測して照合すると、付着補正の妥当性を確認しやすくなります。
LRTK Phoneによる位置情報や点群計測を車両記録、土質試験、仮置き記録と結び付ければ、切土・盛土の体積計算と運搬土量の関係を整理しやすくなります。最終的な数量の採用は、現場の実測結果に加え、契約図書、数量算出基準、承認された管理方法に従って判断します。