切土発生土を再利用率別に集計する理由
切土工事で発生する土は、掘削した全量をそのまま盛土材料へ利用できるとは限りません。切土部の中には、盛土に適した土、含水状態を調整すれば使える土、用途を限定すれば使える土、異物や有機物を含むため利用が難しい土などが混在していることがあります。そのため、切土体積と盛土体積が同程度であっても、実際の工事では盛土材が不足したり、想定以上の残土が発生したりします。
切土量が10,000立方メートル、盛土量も10,000立方メートルであれば、数量上は土量が均衡しているように見えます。しかし、発生土のうち直接再利用できる割合が60%であれば、利用可能な地山相当量は6,000立方メートルです。残る4,000立方メートルについては、土質改良後に利用するのか、仮設用途へ回すのか、場外搬出するのかを決めなければなりません。
さらに、切土量と盛土量は同じ状態の体積とは限りません。切土の設計数量は掘削前の地山状態、運搬量は掘削後のほぐし状態、完成した盛土量は締固め状態で扱われることがあります。これらを区別せずに比較すると、再利用できる土量を過大または過小に見積もる原因になります。
再利用率別の集計は、発生土を単純に使える土と使えない土へ二分する作業ではありません。切土区画、土質、利用先、体積状態、施工時期、改良の有無などを整理し、それぞれの条件に応じて配分する作業です。適切に集計できれば、借土量、残土搬出量、仮置き場容量、運搬回数、改良対象量を早い段階で予測できます。
また、再利用率を施工途中で更新することも重要です。事前調査で設定した割合は、限られた調査地点や資料を基にした予測値である場合があります。実際に掘削すると、想定していた地層境界や含水状態と異なることがあるため、発生土の実績を反映して残工事の予測を修正する必要があります。
集計前にそろえる体積と土量の基準
発生土を再利用率別に配分する前に、何の状態を基準に体積を集計するかを決めます。主に使用するのは、地山状態の体積、ほぐし状態の体積、締固め状態の体積です。同じ土であっても、掘削や締固めによって体積が変化するため、状態の異なる数字を直接足し引きしてはいけません。
地山状態の体積は、掘削前の地盤に存在していた状態の土量です。現況地形と計画地形を比較する方法、横断面積から平均断面法で求める方法、格子状に標高差を集計する方法などにより算出します。切土部の発生土量を整理するときは、地山体積を基準にすると区画間の比較がしやすくなります。
ほぐし状態の体積は、掘削によって土粒子の配列が乱れ、空隙が増えた状態の土量です。ダンプトラックによる運搬量、仮置き場に積み上げた土量、選別設備へ投入する土量などは、ほぐし状態で扱うことが多くなります。一般に地山状態より体積が増える傾向がありますが、その程度は土質や掘削方法によって異なります。
締固め状態の体積は、土を敷きならし、所定の方法で締め固めた後の体積です。設計された盛土形状の体積や完成出来形と比較する場合は、締固め状態へ換算した量を使います。地山体積で求めた再利用可能量を、そのまま完成盛土の必要量と比較することは避けなければなりません。
集計表では、基準となる状態を明記します。例えば、切土区画ごとの発生土量と再利用率は地山状態で管理し、運搬計画用にほぐし量を併記し、盛土への配分量は締固め後体積でも表示する方法があります。このように同じ土について複数の状態を併記すると、施工管理、運搬管理、出来形管理の間で数字を照合しやすくなります。
再利用率そのものが何を示すかも決めておく必要があります。土質上の適合割合だけを表すのか、選別時のロスや異物除去量まで含めた実利用割合なのかによって、計算結果が変わります。土質適合率と施工上の利用率を分けて設定する場合は、同じ減少要因を二重に掛けないよう注意します。
集計方法1 切土区画別に発生土量を整理する
1つ目の集計方法は、切土範囲を複数の区画へ分け、それぞれの発生土量を算出する方法です。切土部全体へ一律の再利用率を掛けるよりも、土質や施工条件の違いを反映しやすくなります。
区画の分け方には、測点間、施工工区、掘削段階、標高帯、地層境界、運搬先、施工時期などがあります。道路工事では測点ごと、造成工事では街区や施工ブロックごと、構造物の掘削では掘削段階や深度ごとに分ける方法が考えられます。
例えば、切土部をA、B、Cの3区画へ分け、A区画の地山体積が3,000立方メートル、B区画が4,000立方メートル、C区画が3,000立方メートルだったとします。現地調査の結果、A区画は比較的良好な土が多く再利用率80%、B区画は含水状態に課題があり再利用率50%、C区画は混入物が多く再利用率20%と設定します。
この場合、A区画の再利用可能量は2,400立方メートル、B区画は2,000立方メートル、C区画は600立方メートルです。合計すると5,000立方メートルとなり、切土部全体の再利用率は結果として50%になります。
全体10,000立方メートルへ50%を掛けても合計値は同じですが、区画別に集計することで、利用可能土がどこから発生するかを把握できます。また、施工中にB区画の土質が想定より良好であると判明した場合は、B区画だけを修正できるため、残土量や借土量の予測を更新しやすくなります。
区画を設定するときは、境界の重複と欠落を防ぎます。隣接する区画の境界線がずれていると、同じ範囲を二重に計上したり、集計されない範囲が生じたりします。座標を持つ区画線を使用し、現況面、設計面、施工済み範囲、未施工範囲を同じ基準で管理することが大切です。
区画ごとに記録する情報には、区画名、位置、対象面積、掘削前標高、計画標高、切土体積、土質区分、再利用率、計測日などがあります。掘削開始後は、実際の土質や掘削範囲が計画と異なる場合があるため、必要に応じて区画を分割し直します。
切土区画別の集計は、7つの方法の基礎になります。最初の区画分けが粗すぎると、後から土質別、用途別、工程別に分けようとしても、どの範囲から発生した土かを追跡できません。施工管理に必要な精度と更新作業の負担を考慮し、適切な区画単位を設定します。
集計方法2 土質区分別に再利用率を設定する
2つ目の方法は、発生土を土質や状態で分類し、区分ごとに再利用率を設定する方法です。切土区画が同じでも、深度や地層によって土の性状が異なることがあります。そのため、位置だけでなく材料としての利用条件を考慮して集計します。
土質区分を設定するときは、土の名称だけで判断しません。粒径構成、含水状態、締固めやすさ、強度、異物、有機物、岩片の大きさなどを確認します。盛土の使用部位によって必要な性能が異なるため、ある部位では利用できる土が、別の部位では使用しにくいこともあります。
実務上は、直接利用可能土、含水調整後利用土、改良後利用土、限定用途利用土、利用困難土などに分類すると管理しやすくなります。ただし、区分名だけを作るのではなく、どのような状態なら各区分へ入れるのかを決めておく必要があります。
例えば、良質土が4,000立方メートルあり、再利用率を90%とすると、再利用可能量は3,600立方メートルです。含水調整が必要な土が3,000立方メートルあり、調整後の再利用率を60%とすれば1,800立方メートルになります。用途限定土が2,000立方メートルで再利用率30%なら600立方メートルです。残る利用困難土が1,000立方メートルで再利用率0%であれば、全体の再利用可能量は6,000立方メートルになります。
この計算で注意したいのは、再利用率90%や60%の意味です。土質上利用可能と判断される割合なのか、掘削、選別、運搬、施工時の損失まで見込んだ最終割合なのかを明確にします。適合する土の割合だけを示す場合は、選別で除去する異物や施工中のロスを別に考慮する必要があります。
土質区分は事前調査だけで確定させないことも重要です。事前の調査地点は限られており、その間の地層変化を完全に把握できない場合があります。掘削面が現れた段階で、土の色、粒径、粘り、含水状態、混入物などを確認し、当初区分との違いを記録します。
また、降雨や仮置き期間によって土の状態が変わることがあります。掘削時には直接利用可能だった土が、長期間の仮置きによって含水状態が変化し、調整を必要とする場合もあります。そのため、土質区分と保管状態を分けて記録し、使用直前にも利用条件を確認します。
集計方法3 利用先の品質条件別に優先配分する
3つ目の方法は、再利用可能な発生土を盛土や埋戻しの利用先ごとに配分する方法です。利用可能量が盛土必要量を上回っていても、各部位の品質条件に適合する材料が不足することがあります。
盛土の利用先には、路体、路床、造成盛土、法面部、構造物周辺の埋戻し、仮設道路、施工ヤードなどがあります。各部位で必要となる締固め後体積と、使用できる土質区分を整理します。
配分の基本は、使用可能な土が限定される部位から先に材料を確保することです。幅広い用途に利用できる良質土を、品質条件が比較的緩やかな仮設用途へ先に使ってしまうと、後で品質要求の高い部位に使用する材料が不足する可能性があります。
例えば、締固め後体積で路床に1,500立方メートル、路体に3,000立方メートル、法面部に1,000立方メートル、仮設道路に500立方メートルが必要だとします。一方、良質土から得られる締固め後体積が2,000立方メートル、中程度の土が3,000立方メートル、用途限定土が1,000立方メートルあるとします。
この場合、良質土のうち1,500立方メートルを路床へ配分し、残る500立方メートルを路体へ配分します。中程度の土は路体へ2,500立方メートル、法面部へ500立方メートルを配分できます。用途限定土は、適用条件を確認したうえで法面部の残り500立方メートルと仮設道路500立方メートルへ配分する方法が考えられます。
用途別配分を行うことで、単純な総量比較では見えない不足を発見できます。全体の再利用可能量が6,000立方メートル、全体の盛土必要量も6,000立方メートルであっても、路床に使用できる土が1,000立方メートルしかなければ、品質条件を満たす材料が500立方メートル不足します。
不足が判明した場合は、他区画の良質土を優先的に確保する、条件を満たす土を別に搬入する、利用可能な範囲で土質を調整するなどの対策を検討します。どの対策を採用する場合でも、設計条件や品質管理上の確認が必要です。
配分済みの量は、他の用途へ重複して割り当てないようにします。各土質区分について、利用可能量から配分量を差し引き、未配分残量を表示すると重複を防ぎやすくなります。配分先を変更した場合は、変更前の用途から数量を戻したうえで、新しい用途へ割り当てます。
集計方法4 地山量とほぐし量と締固め量を換算する
4つ目の方法は、再利用可能量を地山状態、ほぐし状態、締固め状態へ換算して集計する方法です。切土量、運搬量、仮置き量、完成盛土量は、それぞれ異なる状態で管理されるため、目的に応じた換算が必要です。
地山体積をV、再利用率をRとすると、再利用対象となる地山相当量はVにRを掛けて求めます。再利用率が70%であれば、Rは0.70として計算します。地山体積が2,000立方メートルの場合、再利用対象地山量は1,400立方メートルです。
この1,400立方メートルを運搬計画へ使用する場合は、ほぐし状態へ換算します。計画上のほぐし換算係数を1.20とする場合、ほぐし土量は1,680立方メートルです。この量を基に、運搬車両の積載条件や実績を考慮して必要台数を検討します。
一方、完成盛土へ利用できる量を確認する場合は、締固め後の状態へ換算します。地山状態から締固め後体積への換算係数を0.90とする計画条件であれば、1,400立方メートルの地山相当量から見込める締固め後体積は1,260立方メートルです。
つまり、同じ土が地山相当量では1,400立方メートル、ほぐし状態では1,680立方メートル、締固め後では1,260立方メートルとして表されます。これらの数字を区別しなければ、仮置き場容量や盛土材の不足量を誤って計算することになります。
換算係数を使用するときは、どの状態からどの状態へ変換する値なのかを明記します。地山からほぐし状態への係数、ほぐし状態から締固め状態への係数、地山から締固め状態への係数は、それぞれ意味が異なります。別の基準で設定された係数を混在させてはいけません。
また、土質ごとに体積変化の傾向が異なるため、切土部全体へ一つの係数を使用すると誤差が大きくなる場合があります。良質土、粘性の高い土、岩片を含む土など、管理上必要な区分ごとに条件を設定します。
計画に用いる係数は、工事条件に応じた資料や試験、過去の施工記録などを踏まえて決めます。施工開始後は、実測した切土体積、運搬記録、仮置き体積、盛土出来形を比較し、当初の換算条件が実態と大きく異なっていないかを確認します。
集計方法5 直接利用と改良利用を分けて集計する
5つ目の方法は、掘削後にそのまま盛土へ利用する量と、何らかの調整や改良を行った後に利用する量を分ける方法です。両方を同じ再利用量としてまとめると、施工に必要な作業、設備、期間、仮置き容量を把握しにくくなります。
直接利用量は、掘削した発生土を必要な確認や選別の後、比較的短い工程で盛土部へ運び、使用できる量です。切土と盛土を近接した工程で進められれば、仮置きや二重運搬を減らせる可能性があります。
改良利用量は、含水状態の調整、異物の除去、粒度の調整、他材料との混合など、一定の処理を行った後に利用する量です。処理方法や適用の可否は、土の状態、使用部位、設計条件、品質確認の結果を踏まえて判断します。
例えば、切土発生土が地山体積で8,000立方メートルあり、直接利用率が50%、改良後利用率が20%、用途限定利用率が10%、利用困難率が20%だとします。この場合、直接利用量は4,000立方メートル、改良後利用量は1,600立方メートル、用途限定利用量は800立方メートル、利用困難量は1,600立方メートルです。
再利用率の合計が100%になるよう分類しておけば、発生土全体の配分状況を確認できます。ただし、未判定土がある場合は、未判定率を別に設けます。無理にいずれかの区分へ入れると、確定していない再利用量が計画上の確定量として扱われてしまいます。
改良利用量を集計するときは、処理前量と処理後に使用できる量を分けます。処理対象が1,600立方メートルであっても、異物除去や選別により、全量を盛土へ利用できるとは限りません。処理対象量に改良後の利用見込み率を掛け、実際に使用できる量を算出します。
また、改良作業には処理能力の上限があります。改良対象量が多くても、工程内に処理できなければ、盛土施工に間に合いません。改良対象量、日当たりの処理可能量、必要日数、保管容量を工程と照合します。
直接利用と改良利用を分けることで、盛土材として利用できる総量だけでなく、すぐに使える量と準備が必要な量を把握できます。これにより、盛土工程の遅延や、改良前の土が仮置き場に滞留する状況を予測しやすくなります。
集計方法6 発生時期と使用時期を工程別に集計する
6つ目の方法は、切土発生土の数量を工事全体の合計だけで管理せず、発生時期と使用時期に分けて集計する方法です。全工期では切土量と盛土量が均衡していても、施工順序が合わなければ、特定の時期に材料不足や仮置き場不足が発生します。
盛土施工が先行し、利用可能な切土が後から発生する工程では、工事全体の再利用可能量が十分でも、盛土着手時点では材料がありません。この場合は、切土工程を前倒しできるか、盛土工程を調整できるか、一時的に別の材料を確保する必要があるかを検討します。
反対に、切土が先行し、盛土の使用時期が遅い場合は、発生土を仮置きします。仮置き量はほぐし状態で増加するため、地山体積だけを基に仮置き場の容量を判断すると、必要面積を不足させるおそれがあります。
工程別集計では、週、月、施工段階などの期間を設定します。各期間について、切土発生量、直接使用量、改良対象量、仮置き搬入量、仮置き搬出量、場外搬出量、盛土必要量を記録します。
仮置き場の残量は、前期間の残量に当期間の搬入量を加え、当期間の使用量と場外搬出量を差し引いて求めます。この計算を期間ごとに続けることで、最大仮置き量がいつ発生するかを確認できます。
例えば、最初の月にほぐし状態で3,000立方メートルの発生土があり、そのうち1,000立方メートルを直接使用し、500立方メートルを搬出した場合、仮置き残量は1,500立方メートルです。次の月に2,000立方メートルが新たに発生し、仮置き場から800立方メートルを盛土へ使用した場合、他の搬出がなければ残量は2,700立方メートルになります。
このように期間別に計算すれば、工事全体の余剰土量だけでなく、仮置き場に一時的に集まる最大量を把握できます。仮置き可能量を超える場合は、工程変更、直接運搬の増加、別の仮置き場所の確保などを検討します。
工程別集計では、二重運搬も把握できます。切土部から仮置き場へ運び、後から盛土部へ再運搬する場合、発生土は一度しか再利用されませんが、運搬作業は二回行われます。土量収支と運搬量を分けて記録すると、運搬計画の見落としを防げます。
集計方法7 実績値で再利用率と残量を更新する
7つ目の方法は、当初設定した再利用率を固定せず、施工実績に基づいて更新する方法です。計画時の再利用率は予測値であり、実際の掘削量、土質、選別結果、盛土使用量が判明すれば、残工事の見込みを修正できます。
実績再利用率を計算するときは、分子と分母の体積状態をそろえます。地山体積を分母とするなら、再利用した量も地山相当量へ換算します。地山切土量を分母にし、締固め後の盛土出来形をそのまま分子にすると、状態が異なるため正しい再利用率になりません。
例えば、A区画の計画切土量が2,500立方メートル、計画再利用率が80%だったとします。施工後の計測で実切土量が2,600立方メートルとなり、実際に再利用した量を地山相当に換算すると1,950立方メートルだった場合、実績再利用率は75%です。
残る区画がA区画と同じ地層や施工条件であれば、計画再利用率80%を継続するよりも、実績75%を参考に予測を更新した方が現場の状況に近くなります。ただし、差が生じた原因が一時的な降雨や選別設備の停止である場合は、残る全区画へ同じ率を適用することが適切とは限りません。
再利用率を更新するときは、数値だけでなく変更理由を記録します。土質境界の違い、含水状態、異物混入、仮置き期間、改良処理能力、盛土工程の変更などを確認します。原因が特定できれば、同じ条件の範囲だけを修正できます。
更新後は、残切土量に最新の再利用率を掛け、今後発生する利用可能量を再計算します。既に発生した実績量と残工事の予測量を合算し、完成までに必要となる借土量、搬出量、仮置き量を見直します。
当初計画値、前回予測値、最新予測値、実績値は、別々に保存します。最新値だけを上書きすると、なぜ土量計画が変化したのかを後から確認できません。更新日、対象区画、変更前後の再利用率、変更理由を残すことで、施工会議や数量協議でも説明しやすくなります。
再利用率別の土量収支を作成する手順
再利用率別の土量収支は、7つの集計方法を順番に組み合わせて作成します。まず、施工前の現況地形と設計地形から、切土区画ごとの地山体積を求めます。計算対象範囲、区画境界、除外範囲を明確にし、重複や欠落がないことを確認します。
次に、各切土区画を土質と利用条件によって分類します。直接利用可能土、改良後利用土、用途限定土、利用困難土、未判定土などへ分け、それぞれの再利用率を設定します。
区画別地山体積に再利用率を掛け、再利用対象の地山相当量を計算します。その後、運搬や仮置きに必要なほぐし土量と、盛土へ利用できる締固め後体積へ換算します。
続いて、盛土部を品質条件や用途ごとに分け、必要となる締固め後体積を整理します。品質要求が高く、使用可能な材料が限定される部位から、適合する発生土を優先的に配分します。
各土質区分では、配分前の利用可能量、各用途への配分量、未配分残量を確認します。配分量の合計が利用可能量を超えていないかを確認し、同じ土が複数用途へ重複して割り当てられていないかを点検します。
次に、切土発生時期と盛土使用時期を工程上で照合します。直接利用できない期間がある場合は、仮置き量と二重運搬量を算出します。改良後に利用する土については、改良対象量、処理能力、必要期間も確認します。
計画時点で確定していない量は、確定利用量と分けて表示します。未判定土や条件付き利用土をすべて確定量として扱わず、利用できなかった場合の不足量も確認しておきます。
施工開始後は、実測切土量、実際の再利用量、搬出量、仮置き残量、盛土出来形を反映して土量収支を更新します。残工事については、最新の実績再利用率と地層状況を踏まえて予測し、借土や残土処分の計画へ反映します。
再利用率の設定で起こりやすい計算ミス
再利用率別集計で起こりやすいミスの一つは、地山体積、ほぐし体積、締固め後体積を混在させることです。地山状態で計算した発生土量と、締固め後の盛土必要量を換算せずに比較すると、利用可能量の判断を誤ります。
再利用率を掛ける基準が区画ごとに異なることも問題です。ある区画では地山体積に対して率を設定し、別の区画では選別後のほぐし土量に対して率を設定すると、合計値の意味がそろいません。集計表では、再利用率を適用する基準状態を統一します。
再利用率と施工ロスを重複して計上するミスにも注意します。再利用率の中に異物除去や選別ロスを含めているにもかかわらず、計算後に同じロス率を再び差し引くと、利用可能量を過小に見積もります。逆に、再利用率が土質適合率だけを示す場合は、実際の選別ロスなどを別途考慮する必要があります。
発生土を複数の用途へ重複配分することもあります。良質土2,000立方メートルを路床へ全量配分した後、別の集計で同じ2,000立方メートルを路体へも計上すると、実際の量を超えて再利用したことになります。配分後の残量を管理し、残量が負の値にならないようにします。
仮置き土を新たな発生土として再計上するミスもあります。切土部から仮置き場へ搬入した時点と、仮置き場から盛土部へ搬出した時点を両方とも発生量として加えると、同じ土を二重に計上します。仮置き搬入は在庫の増加、仮置き搬出は在庫の減少として扱います。
累計値と期間値の混同にも注意が必要です。施工前地形と各時点の地形を比較して得た切土量は、施工開始からの累計値です。この累計値を月ごとの発生量として合計すると、過大な数量になります。期間量を求める場合は、前回計測時の地形と今回の地形を比較します。
切土の対象範囲と盛土の対象範囲が一致していないケースもあります。切土量に表土、構造物掘削、排水溝掘削などを含めている一方、再利用先には本体盛土だけを計上していると、用途不明の余剰土が生じます。表土復旧、埋戻し、仮設用途などの量を分けて整理します。
端数処理の時期も統一します。区画ごとに小数点以下を丸めてから合計する方法と、すべてを合計してから丸める方法では、区画数が多いほど差が生じる可能性があります。計算途中は必要な桁数を保持し、報告数量を作成する段階で所定の方法により丸めます。
点群計測で切土量と仮置き量を確認する方法
再利用率別の集計を正しく行うには、基礎となる切土体積を継続的に把握する必要があります。点群計測を利用すると、切土部や仮置き土の表面形状を面的に取得し、施工前後の地形差から体積を算出できます。
切土部では、施工前の現況地形を基準データとして保存します。施工途中に同じ座標基準で地形を計測し、施工前地形と比較すれば、計測時点までの累計切土量を確認できます。前回計測時の地形と比較すれば、その期間に掘削した量を求められます。
設計面と施工途中の地形を比較すると、残りの切土量や掘り過ぎの可能性も確認できます。施工済み区画と未施工区画を分けて集計すれば、実績量と残工事予測を同じ土量収支へ反映できます。
仮置き場では、土山の外周と表面形状を計測し、基準面との差から体積を求めます。仮置き土はほぐし状態であるため、切土部の地山体積や盛土部の締固め体積と直接比較してはいけません。所定の換算条件により、同じ状態へそろえて照合します。
点群計測を用いる場合も、取得した点をそのまま体積計算へ使用できるとは限りません。施工車両、資材、植生、人、仮設設備など、土の表面ではない点を除外する必要があります。水たまりや急な法面、構造物の陰などでは欠測が生じる場合があるため、計測範囲を現地で確認します。
異なる時期の点群を比較するときは、座標系と高さ基準を統一します。位置合わせにずれがあると、実際には変化していない場所にも標高差が発生し、体積計算へ影響します。既知点や変化していない構造物周辺を確認し、データ間に不自然なずれがないか点検します。
切土量の計測結果は、運搬記録、仮置き量、場外搬出量、盛土出来形と照合します。計測体積と運搬量に差がある場合は、地山とほぐし状態の違い、計測期間、区画境界、積載量の仮定、仮置き残量などを確認します。
LRTK Phoneを活用すると、切土部、仮置き場、盛土部を共通の座標基準で計測し、区画ごとの位置情報と体積を関連付けやすくなります。土質が変化した境界や、異物が多く確認された範囲なども座標付きで記録しておけば、再利用率を適用する範囲を後から確認できます。
施工前、施工途中、施工後のデータを区別して保存することで、切土発生量、仮置き残量、盛土出来形の変化を追跡できます。再利用率を土質確認だけで判断するのではなく、実際に発生した体積や使用した量と結び付けることで、残工事の予測精度を高められます。
まとめ
切土部の発生土を再利用率別に配分するには、切土体積へ一律の割合を掛けるだけでは不十分です。切土区画、土質、利用先、体積状態、改良の有無、施工時期、実績値を分けて集計する必要があります。
最初に、切土範囲を施工条件や地層に応じて区画分けし、地山状態の切土体積を算出します。次に、各区画の発生土を直接利用可能土、改良後利用土、用途限定土、利用困難土、未判定土などへ分類し、それぞれの再利用率を設定します。
再利用可能量は、地山状態だけでなく、運搬に必要なほぐし状態と、盛土完成後の締固め状態へ換算します。どの状態の体積を扱っているかを明確にし、異なる状態の数字を直接合計しないことが重要です。
利用先への配分では、品質条件が厳しく、使用可能な材料が限られる部位から優先的に土を確保します。総量が均衡していても、特定用途に適合する土が不足することがあるため、用途別の必要量と土質別の供給量を照合します。
直接利用量と改良後利用量は分けて管理します。改良対象量をすべて利用可能量として扱わず、処理後に実際に使用できる割合や、工程内に処理できる能力を確認します。
工期全体の合計だけでなく、発生時期と使用時期も集計します。切土と盛土の時期が合わなければ、仮置きや二重運搬、先行する材料確保が必要になります。期間ごとの仮置き残量を算出し、最大保管量が仮置き場の容量を超えないか確認します。
施工開始後は、計画再利用率を固定せず、実測切土量、実際の利用量、場外搬出量、仮置き残量、盛土出来形を基に更新します。変更した理由と適用範囲を記録し、残る切土部の再利用可能量や借土量を見直します。
LRTK Phoneを用いて切土部、仮置き場、盛土部を同じ座標基準で計測すれば、区画ごとの発生量と土の移動を記録しやすくなります。点群による体積計算と再利用率別の集計を組み合わせることで、計画値だけに依存せず、現場の進捗と実測結果に基づいた土量管理へつなげられます。