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切土材の転用率から不足土と残土を求める5つの土量計算手順

切土材の転用率を使う土量計算の基本

造成工事や道路工事などでは、現場で発生した切土材を盛土材料として再利用することがあります。切土材を現場内で有効に転用できれば、外部から搬入する土を減らし、現場外へ搬出する土も抑えやすくなります。ただし、設計図から求めた切土量の全量を、そのまま盛土へ使用できるとは限りません。

切土範囲からは、盛土材料に適した土だけでなく、表土、高含水の土、有機物を含む土、粒径の大きな岩塊、異物が混入した土などが発生する可能性があります。一般盛土には使えるものの、路床や構造物周辺には使いにくい材料もあります。さらに、品質上は利用可能でも、切土の発生時期と盛土の施工時期が合わなければ、工程上は転用できない場合があります。

本記事では、発生する切土量のうち、計画している盛土や埋戻しなどへ利用できると見込む割合を「転用率」と呼びます。転用率の定義や対象範囲は工事ごとに異なり得るため、実務では設計図書、数量計算書、施工計画書、発注者との協議内容などを優先して確認します。

たとえば、地山状態の切土量が10000立方メートルで、同じ地山状態を基準とする転用率が70パーセントであれば、材料区分上の転用可能量は7000立方メートルです。

転用可能量=切土量×転用率

ただし、この式だけで不足土や残土を確定することはできません。切土量が掘削前の地山状態で算出され、盛土量が締固め後の完成体積で示されている場合、両者は体積状態が異なるからです。

土量は、地山の土量、掘削後のほぐした土量、締固め後の土量に分けて扱います。地山から掘削してほぐした状態になると、一般には空隙が増えて体積が大きくなります。ほぐした土を締め固めると、ほぐし状態と比べて体積は小さくなるのが通常です。ただし、締固め後の体積が元の地山体積より必ず小さくなるとは限らず、土質や岩質、破砕状態、施工条件によって地山体積との比は異なります。

また、転用率は材料として利用できる割合を示す管理上の数値であり、掘削や締固めによる体積変化を示す土量変化率とは別のものです。転用率と土量変化率を一つにまとめて扱うと、どの段階で数量が増減したのか分からなくなり、二重補正や補正漏れにつながります。

実務で不足土と残土を求めるときは、切土量と盛土量の基準をそろえ、材料の適否を整理し、転用可能量を算出した後に、必要盛土量と比較します。さらに、施工中の実測結果を反映して計算を更新することが重要です。

ここからは、切土材の転用率から不足土と残土を求める流れを、5つの手順に分けて説明します。

手順1 切土量と盛土量の計算条件をそろえる

最初に行うのは、切土量と盛土量の対象範囲、基準面、体積状態を確認し、比較できる条件へそろえる作業です。数量計算書に切土量と盛土量が記載されていても、算出条件が異なれば、単純な差し引きでは正しい土量収支になりません。

まず、どこからどこまでを切土・盛土計算の対象としているかを確認します。造成区域全体の数量なのか、道路本体だけの数量なのか、仮設道路、調整池、排水施設、構造物基礎などを含んでいるのかによって、切土量と盛土量は変わります。

切土側では、現況地形面と計画面の差から算出した数量だけでなく、表土剥ぎ取り、基礎掘削、地盤改良に伴う置換掘削などが含まれている場合があります。これらの土が一般盛土へ使用できない場合は、転用計算の対象から分けなければなりません。

盛土側でも、造成盛土、路体、路床、構造物背面の埋戻し、擁壁周辺の裏込めなどでは、求められる材料条件が異なります。全盛土量を一つの数量として扱うと、一般盛土には使える土を、より厳しい材料条件が設定された箇所にも使用できるものとして計算してしまう可能性があります。

次に確認するのが体積状態です。地山の土量を基準に、ほぐした土量との比を土量変化率L、締固め後の土量との比を土量変化率Cとして扱う方法があります。

L=ほぐした土量÷地山の土量

C=締固め後の土量÷地山の土量

切土量が地山状態、盛土量が締固め後の状態で示されている場合、切土材から得られる締固め後の体積を求めて盛土量と比較できます。

締固め後の転用可能量=地山状態の切土量×転用率×C

ここで用いるCは、締固め後の土量を地山の土量で割った比です。土質や岩質、含水状態、施工方法、設計条件などによって異なるため、無条件に一つの固定値を使うのは適切ではありません。適用する基準、設計条件、土質試験、試験施工、類似工事の実績などを確認して設定します。

反対に、締固め後の必要盛土量を地山状態の必要量へ換算し、地山切土量と比較する方法もあります。

地山換算の必要盛土量=締固め後の必要盛土量÷C

運搬時のほぐし土量まで求める場合は、地山換算量にLを掛けます。

ほぐし状態の必要量=締固め後の必要盛土量×L÷C

どの方法を用いる場合でも、計算書の中で体積状態を明記し、途中で基準が入れ替わらないようにします。切土材と搬入材で土質が異なる場合は、同じLやCを共用せず、それぞれの条件に応じた係数を使います。

設計数量に既に土量変化の補正が含まれている場合にも注意が必要です。盛土数量が必要地山土量へ換算済みであるにもかかわらず、さらにCで補正すると二重補正になります。数量の名称だけで判断せず、算出式、注記、適用基準を確認することが重要です。

この手順では、少なくとも切土総量、転用計算へ含める切土量、転用対象外の切土量、用途別の盛土必要量を分けます。すべての数量に、対象範囲、土質区分、体積状態を対応させておくと、後の計算過程を確認しやすくなります。

手順2 切土材を土質と用途別に分類する

次の手順では、切土材を土質、状態、利用予定の用途に応じて分類します。現場全体に一つの転用率を設定する方法は簡単ですが、切土範囲に複数の土質が分布する場合は、実際の転用量とのずれが大きくなる可能性があります。

切土材には、砂質土、粘性土、礫質土、岩質材料、表土などが含まれます。同じ土質区分であっても、細粒分の割合、含水状態、粒径、風化の程度、有機物や異物の混入状況によって利用可能性が変わります。

地質調査資料や土質試験結果がある場合は、切土範囲との位置関係を確認します。ただし、限られた調査地点だけで敷地全体の土質を断定することはできません。施工段階では、実際に露出した地盤の状態や掘削した材料を確認し、必要に応じて分類を更新します。

表土は、植物の根や有機物を含むことが多いため、構造的な盛土材料から除外する場合があります。一方で、緑地や法面の植生基盤として再利用できる可能性があります。そのため、表土は転用不可として一括処理するのではなく、一般盛土への転用量と緑化用途への利用量を分けて管理すると、実際の残土量を把握しやすくなります。

高含水の粘性土は、掘削直後の状態では運搬、敷きならし、締固めが難しい場合があります。乾燥や含水調整によって利用できる可能性があっても、天候、仮置き場所、工程、処理能力によって実現できる数量が変わります。改良や乾燥を前提とする場合は、理論上処理できる量ではなく、施工期間内に現実的に処理できる量を考慮します。

岩質材料は、破砕や粒径調整を行うことで盛土に利用できる場合があります。ただし、最大粒径、施工層厚、締固め機械、空隙の発生などを考慮しなければなりません。岩が発生するという理由だけで全量を転用可能とせず、実際に使用可能な粒径へ加工できる割合と、盛土側の受入条件を確認します。

切土材の分類は、利用先の用途とも対応させます。一般盛土へ使える土、路体へ使える土、路床や構造物周辺など所定の条件を満たした場合に使える土、仮設用途に限って使える土、現場内では使用しない土というように整理します。

材料の割当順序も重要です。品質のよい切土材を、材料条件の緩い盛土へ先に使用すると、後から材料条件の厳しい範囲で搬入土が必要になることがあります。用途の広い良質土は、残りの盛土工程を見ながら配分する必要があります。

分類した切土材は、平面上の切土範囲や掘削深さと関連付けます。どの区域からどの程度の材料が発生するかを整理できれば、土質別の転用率を設定しやすくなります。また、実際の掘削順序と組み合わせることで、いつ利用可能な材料が発生するかも把握できます。

手順3 転用率から利用可能な土量を求める

切土材の分類ができたら、区分ごとに転用率を設定し、盛土へ利用できる土量を算出します。転用率には、材料品質だけを反映する方法と、工程上の制約まで含める方法があります。どちらを採用する場合でも、転用率に含めた条件を明確にすることが大切です。

一つの土質区分だけを扱う場合は、次の式で求めます。

転用可能量=切土量×転用率

切土量が8000立方メートル、転用率が75パーセントで、両方とも地山状態を基準としている場合、転用可能量は6000立方メートルです。

複数の土質がある場合は、区分ごとの積を求めてから合計します。

全転用可能量=Σ(各土質区分の切土量×各土質区分の転用率)

たとえば、砂質土が5000立方メートル、粘性土が3000立方メートル、表土が2000立方メートル発生するとします。砂質土の転用率を90パーセント、粘性土を50パーセント、表土の一般盛土への転用率を0パーセントとした場合、砂質土の転用可能量は4500立方メートル、粘性土は1500立方メートル、表土は0立方メートルとなり、合計は6000立方メートルです。

切土総量10000立方メートルに対する加重平均の転用率は60パーセントですが、計算書には平均値だけでなく、各土質の切土量、転用率、転用可能量を残します。掘削後に特定の土質の転用率が変わったとき、全体への影響を再計算しやすくなるためです。

転用率を決める際には、品質上利用できる割合と、工程上実際に利用できる割合を区別します。品質上は使用可能な土でも、盛土を施工する時期より後に発生する場合は、直接転用できません。仮置き場所を確保できれば後から利用できますが、仮置き容量や保管中の品質維持が課題になります。

品質上の転用率が80パーセントで、品質上利用可能と判定した土のうち工程上利用できる割合を90パーセントと定義した場合、両者を掛け合わせて実用上の転用率を72パーセントとすることができます。

実用転用率=品質上の転用率×工程上の利用率

この掛け算が成り立つのは、工程上の利用率の分母を、品質上利用可能な土量として設定した場合です。品質上の割合と工程上の割合が別々の母数で算定されている場合は、そのまま掛けず、数量へ戻して整理します。

一方で、品質上の利用可能量を先に算出し、その中から工程上利用できない数量を別途差し引く方法もあります。どちらの方法でも計算できますが、同じ工程上の損失を転用率と控除量の両方に入れないよう注意します。

転用率は、計画転用率、管理転用率、実績転用率に分けて扱うと管理しやすくなります。計画転用率は設計や施工計画の段階で設定する割合です。管理転用率は、施工中の土質確認や実績を踏まえて更新する割合です。実績転用率は、実際に発生した対象切土量と、実際に転用した対象切土量から求めます。

実績転用率=実際に転用した対象切土量÷実際に発生した対象切土量

この式の分子と分母は、同じ対象範囲、同じ材料区分、同じ体積状態でそろえます。締固め後の盛土量を分子にし、地山状態の切土量を分母にすると、転用率と土量変化率が混ざるため、そのままでは実績転用率になりません。

設計時の転用率を工事完了まで固定すると、実際の土質が想定と異なった場合に不足土や残土の判明が遅れます。施工中に実績転用率を確認し、残りの切土範囲へ適用する管理転用率を見直すことが重要です。

また、転用可能量を盛土必要量と比較する前に、体積状態をそろえます。地山状態で求めた転用可能量を締固め後の量へ換算する場合は、次のように計算します。

締固め後の転用可能量=地山状態の転用可能量×C

この換算を行うことで、締固め後の設計盛土量と比較できるようになります。

手順4 不足土量と残土量を算出する

転用可能量を求めたら、必要盛土量と比較して不足土量を算出します。両方が同じ用途区分、同じ体積状態であることを確認したうえで、次の式を用います。

不足土量=最大値(0、必要盛土量-割当可能な転用量)

必要盛土量が8000立方メートルで、同じ体積状態へ換算した割当可能な転用量が6200立方メートルであれば、不足土量は1800立方メートルです。転用量が必要盛土量を上回る場合、不足土量は負の値ではなく0として扱い、超過分は余剰量として別に整理します。

全盛土量と全転用可能量の総量が均衡していても、用途別の材料が不足することがあります。一般盛土に利用できる粘性土が余っていても、路床に求められる条件を満たす材料がなければ、路床用の材料は不足します。そのため、不足土量は盛土用途別に計算します。

一般盛土の不足土量=最大値(0、一般盛土の必要量-一般盛土へ割り当てられる転用量)

路体の不足土量=最大値(0、路体の必要量-路体へ割り当てられる転用量)

路床の不足土量=最大値(0、路床の必要量-路床へ割り当てられる転用量)

用途別に算出した不足量を合計すると、搬入が必要になる材料の量を把握しやすくなります。ただし、異なる用途の不足量を同じ材料で補えるとは限りません。搬入計画では、必要な品質区分も併せて整理します。

残土量は、切土総量から実際に現場内で使用する切土量と、数量が具体的に確認できるその他の有効利用量を差し引いて求めます。すべてを地山状態など同じ体積状態へ換算してから計算します。

残土量=切土総量-現場内で実際に使用する切土量-確定したその他の有効利用量

その他の有効利用量には、表土の緑化利用、仮設盛土への利用、別工区への移動、地形整正への利用などが考えられます。ただし、利用先や数量が確定していない段階で全量を有効利用として差し引くと、残土を過小に見積もる可能性があります。

残土は、品質上利用できるものの使い切れない余剰土と、計画している用途には利用しない土に分けると管理しやすくなります。

転用可能材の余剰量=最大値(0、転用可能量-同じ体積状態へ換算した必要盛土量)

計画用途への転用対象外量=切土総量-転用可能量

現場内のその他用途へ利用せず、工区外への有効利用も見込まない場合は、両者を同じ体積状態へそろえたうえで合計し、残土見込量を求められます。

残土見込量=転用可能材の余剰量+計画用途への転用対象外量

たとえば、地山切土量が10000立方メートル、地山状態の転用可能量が7000立方メートル、必要盛土量を地山状態へ換算した量が6000立方メートルであるとします。転用可能材の余剰量は1000立方メートル、計画用途への転用対象外量は3000立方メートルです。ほかの有効利用を見込まない場合、地山状態の残土見込量は4000立方メートルです。

残土を運搬する計画では、地山状態の体積をほぐし状態へ換算します。

運搬対象となるほぐし土量=地山状態の残土量×L

地山状態で4000立方メートルの残土が、L=1.20の条件であれば、運搬時のほぐし土量は4800立方メートル相当です。仮置き場の容量や運搬計画を検討する際には、地山状態の残土量だけを使わないようにします。

不足土についても同様です。締固め後に1000立方メートル不足し、搬入材料についてLとCが設定されている場合、搬入時のほぐし土量は次の関係で求められます。

搬入時のほぐし土量=締固め後の不足土量×L÷C

搬入材料の土質が現場発生土と異なる場合は、現場発生土のLやCではなく、搬入材料に対応する値を用います。

手順5 施工実績に合わせて土量収支を更新する

設計段階で求めた不足土量と残土量は、施工開始後も定期的に更新する必要があります。切土材の転用率は、実際の土質、含水状態、施工順序、天候などによって変化するためです。

施工中に管理する主な数量は、実切土量、実転用量、盛土施工量、搬入量、搬出量、仮置き量です。これらを工区別、期間別、材料区分別に整理すると、土量収支の変化を把握しやすくなります。

一定期間の土量収支は、すべての数量を同じ体積状態へ換算したうえで、概念的に次の関係で確認できます。

期首仮置き量+当期切土発生量+当期搬入量=当期現場内使用量+当期搬出量+期末仮置き量+その他の確定利用量

直接転用した土を当期現場内使用量として計上する場合、同じ土を仮置き払出量や盛土施工量として重複計上しないようにします。工区間移動についても、移動元の払出しと移動先の受入れを記録しつつ、現場全体の新規発生量としては数えません。

左右の数量に大きな差が生じる場合は、計測時期の違い、体積状態の混在、移動土の重複計上、記録漏れ、計測範囲の違いなどを確認します。土量計測には測定条件による差が生じることがありますが、差を直ちに材料損失や施工誤差と決めつけず、原因を確認できる状態にしておくことが重要です。

転用率は、累計だけでなく、一定期間ごとにも確認します。工事開始からの累計転用率が70パーセントでも、直近の掘削範囲に限ると50パーセントまで低下していることがあります。残りの切土範囲も同じ地質条件であれば、当初計画より不足土が増える可能性があります。

残り工事の転用可能量は、次の式で予測できます。

残り転用可能量=残り切土予定量×更新後の転用率

完成時の予測不足土量は、残り盛土必要量、現在利用できる仮置き量、残り転用可能量を同じ体積状態へそろえたうえで求めます。

完成時の予測不足土量=最大値(0、残り盛土必要量-現在の利用可能仮置き量-残り転用可能量)

完成時の予測残土量は、現在の残土見込みに、残り切土予定量から残り転用予定量と確定した有効利用予定量を差し引いた数量を加えて求めます。用途別の材料条件が異なる場合は、総量だけでなく材料区分別に更新します。

更新時には、転用率が変化した原因も記録します。想定より高含水の土が多かったのか、岩塊が多かったのか、降雨で一時的に施工できなかったのか、仮置き場所が不足したのかによって、今後の対応が異なります。

含水状態が原因であれば、仮置き場の排水、被覆、土の反転、施工時期の調整などにより、転用できる可能性があります。粒径が原因であれば、破砕や選別を施工期間内に実施できるかを確認します。施工順序が原因であれば、切土と盛土の工程を組み替えることで直接転用量を増やせる場合があります。

転用率を変更するときは、対象範囲、変更前後の数値、変更理由、適用時点を記録します。単に計算表の数値を上書きすると、後から不足土や残土が変化した理由を追えなくなります。

転用率と土量変化率を混同しないための考え方

切土材の土量計算では、転用率、土量変化率L、土量変化率Cなど、複数の割合が使われます。これらを混同すると、不足土と残土の計算結果が大きくずれる可能性があります。

転用率は、本記事では発生した切土材のうち、計画している盛土などへ利用できる材料の割合を指します。材料品質、用途、工程などの条件によって決まります。

一方、土量変化率は、地山、ほぐし、締固め後という体積状態の違いを表します。

L=ほぐした土量÷地山の土量

C=締固め後の土量÷地山の土量

ほぐし状態から締固め後の状態へ換算する場合は、基準となる体積状態を確認して換算します。地山から締固め後へはCを掛け、締固め後から地山へはCで割ります。締固め後からほぐし状態へ換算する場合はLをCで割った比を用います。

土砂ではCが1未満となる条件が多く見られますが、岩質材料などではCが1を超える設定となる場合があります。そのため、「締め固めれば地山状態より必ず体積が小さくなる」と一律に扱うのは適切ではありません。使用する係数は、対象土質と適用基準を確認して決めます。

たとえば、地山状態の切土量が10000立方メートル、転用率が70パーセントである場合、材料区分上の転用可能量は地山状態で7000立方メートルです。この材料についてC=0.90と仮定すれば、締固め後の体積は6300立方メートルです。

地山状態の転用可能量=10000立方メートル×0.70=7000立方メートル

締固め後の転用可能量=7000立方メートル×0.90=6300立方メートル

この計算では、転用率による材料の選別と、Cによる体積状態の換算を別々に表しています。転用率70パーセントの中に体積変化まで含めている場合に、さらにCを掛けると二重補正になります。

そのため、計算表には各係数の意味を記載します。転用率は材料適否だけを示すのか、施工ロスや工程上の利用不能分まで含むのかを決めます。LとCについては、どの体積状態を分子と分母にしているかを明確にします。

また、残土量を求めるときには、どの状態の体積で表しているかを示します。地山状態の残土量と、運搬時のほぐし土量は同じ数値ではありません。盛土不足量も、完成後の締固め体積と搬入時のほぐし体積を分けて扱います。

数量の名称に体積状態を含めると、取り違えを防ぎやすくなります。たとえば、地山切土量、地山転用可能量、締固め後転用量、地山残土量、ほぐし残土量、締固め後不足土量、搬入時ほぐし土量というように表現します。

工区別と時期別に転用計画を管理する方法

現場全体の切土量と盛土量が均衡していても、工区別や時期別に見ると、不足土と残土が発生する場合があります。土量計算では完成時の総量だけでなく、切土材がいつ発生し、いつ使用されるかを確認する必要があります。

盛土工事が先行し、転用可能な切土材が後半に発生する工程では、完成時の総量が均衡していても、工事前半に使用する材料が不足します。後半に切土材が余れば、搬入土と残土の両方が発生することになります。

このような状況を把握するため、工区ごとに切土発生量、盛土必要量、転用率、発生時期、使用時期を整理します。切土材を掘削後すぐに盛土へ運ぶ直接転用と、いったん仮置きしてから使用する間接転用を分けて計画します。

直接転用は、仮置きや積み替えを減らしやすい方法ですが、切土と盛土の施工時期を合わせる必要があります。間接転用では工程の自由度が高まる一方、仮置き場所、排水、材料区分、再積込みなどの管理が必要です。

仮置き場の容量は、単純な平面面積だけでは決まりません。積み上げ高さ、法面形状、周囲の排水、安全な離隔、搬入出路、土質ごとの分離スペースを考慮します。地山状態の土量ではなく、仮置き時のほぐし状態の体積で容量を確認することも重要です。

異なる土質を一つの仮置き場で混ぜると、利用先を限定しにくくなります。良質土と高含水土が混ざれば、全体が利用しにくくなる場合があります。切土材は発生場所や土質に応じて区分し、仮置き位置と予定用途を対応させます。

工区間で切土材を移動する場合は、送り出す工区と受け入れる工区の両方で同じ数量を新規発生量として計上しないようにします。移動した土は既に計上済みの切土材です。移動元では仮置き量や保有量を減らし、移動先では受入量を増やします。

一つの切土材を複数の盛土用途へ重複して割り当てることにも注意が必要です。計画表では、どの切土区分からどの程度を、どの盛土工区へ使うかを明確にします。

時期別の土量収支を作成すると、搬入や搬出を開始する時期も判断しやすくなります。計画初期の予測だけで良質土を搬出すると、後半に盛土材が不足する可能性があります。反対に、利用の見込みが低い材料を長期間保管すると、作業場所を圧迫します。

残りの切土量、盛土量、仮置き量、転用率を定期的に更新し、最終的な不足土と残土を予測することが重要です。

切土量10000立方メートルを使った計算例

ここでは、地山状態の切土量10000立方メートルから不足土と残土を求める例を示します。実際の転用率やL、Cは土質や施工条件、適用基準で異なるため、以下の数値は計算の流れを理解するための仮定です。

切土量の内訳を、一般土7000立方メートル、高含水土2000立方メートル、表土1000立方メートルとします。一般土の転用率を85パーセント、高含水土を30パーセント、表土の一般盛土への転用率を0パーセントとします。

一般土の転用可能量は次のとおりです。

7000立方メートル×0.85=5950立方メートル

高含水土の転用可能量は次のとおりです。

2000立方メートル×0.30=600立方メートル

表土は一般盛土へ利用しない計画のため、一般盛土への転用可能量は0立方メートルです。

地山状態を基準とした転用可能量の合計は6550立方メートルです。

次に、この転用対象土についてC=0.90と仮定します。

6550立方メートル×0.90=5895立方メートル

締固め後の必要盛土量を6500立方メートルとすると、不足土量は次のようになります。

6500立方メートル-5895立方メートル=605立方メートル

この605立方メートルは、締固め後の完成体積を基準とした不足土量です。搬入時の必要量を求める場合は、搬入材料に対応するLとCを用いて換算します。

次に、残土見込量を地山状態で求めます。切土総量10000立方メートルから、地山状態の転用可能量6550立方メートルを差し引くと、一般盛土へ転用しない土は3450立方メートルです。

10000立方メートル-6550立方メートル=3450立方メートル

内訳は、一般土の未転用分1050立方メートル、高含水土の未転用分1400立方メートル、表土1000立方メートルです。

表土1000立方メートルのうち400立方メートルを緑化用として現場内で確実に利用できる場合、現場外への搬出などを検討する地山状態の残土見込量は次のようになります。

3450立方メートル-400立方メートル=3050立方メートル

この例では、締固め後の盛土量が605立方メートル不足する一方で、地山状態の残土見込量が3050立方メートル発生します。残土があるにもかかわらず不足土が生じるのは、切土材の品質や用途が、必要とする盛土材料の条件と一致していないためです。

地山状態の残土3050立方メートルを掘削したとき、L=1.20と仮定すると、運搬対象のほぐし土量は3660立方メートルです。

3050立方メートル×1.20=3660立方メートル

運搬計画や仮置き容量を検討する際は、地山状態の3050立方メートルではなく、ほぐし状態の3660立方メートル相当を基準にします。

さらに、高含水土の一部を乾燥または調整して転用できるようになり、転用率が30パーセントから50パーセントへ上がった場合を考えます。高含水土の地山転用可能量は1000立方メートルとなり、当初より400立方メートル増えます。

増加した400立方メートルについてもC=0.90とすると、締固め後に利用できる体積は360立方メートル増えます。不足土は605立方メートルから245立方メートルまで減少します。

同時に、ほかの有効利用条件が変わらなければ、地山状態の残土見込量は400立方メートル減少し、3050立方メートルから2650立方メートルになります。このように、転用率の変更は不足土と残土の両方へ影響します。転用率を見直した場合は、不足量だけでなく、搬出予定量、仮置き量、施工工程もまとめて更新することが重要です。

不足土と残土が同時に発生する理由

切土量が盛土量を上回っている現場でも、不足土が発生する場合があります。反対に、盛土量が多い現場でも、利用できない切土材が残土になることがあります。これは、土量の総量だけでは材料の品質や用途、発生時期を表せないためです。

代表的な原因は、切土材と盛土用途の品質条件が一致しないことです。一般盛土に使える土が大量にあっても、構造物周辺や路床などに必要な条件を満たす材料が不足すれば、条件を満たす材料を別に確保する必要があります。同時に、使い切れない一般土は残土として残ります。

表土が多い場合も、不足土と残土が同時に発生しやすくなります。表土を一般盛土へ利用しない計画であれば、切土量には含まれていても、盛土材料として不足を補えません。緑化用途などで使い切れない表土は残土見込みになります。

含水状態も影響します。切土材の土質自体は利用可能でも、降雨によって含水状態が変わると、予定していた時期に施工できない場合があります。後から乾燥して使用できるとしても、先行する盛土工事には別の材料が必要となる可能性があります。

施工時期の不一致も大きな要因です。盛土が先行し、良質な切土材が後から発生する工程では、前半に搬入土が必要です。後半に発生した切土材を使用する場所が残っていなければ、品質上は利用可能でも余剰になります。

仮置き場所が不足している場合も同様です。後から利用できる切土材であっても、保管場所を確保できなければ搬出を検討することになります。その後に盛土材が不足すれば、搬入が必要になります。

土質別、用途別、時期別に収支を整理せず、切土総量と盛土総量だけを比較すると、このような不一致を把握できません。不足土と残土を減らすには、良質な切土材を適切な用途へ優先的に割り当て、切土と盛土の工程を調整し、必要な仮置き能力を確保することが大切です。

土量計算の精度を左右する現場確認のポイント

切土材の転用計算は、図面や設計数量だけで完結するものではありません。実際の地形、土質、施工状況を確認し、計算条件を更新することで精度を高めやすくなります。

最初に確認したいのは、現況地形データの範囲と取得時期です。伐採、伐根、表土剥ぎ取り、既設構造物の撤去などが行われた後の地形を、工事前の現況として使用すると、切土量や盛土量にずれが生じる可能性があります。

現況面と計画面の境界も確認します。施工区域外まで計算範囲に含めたり、工区境界で重複集計したりすると、切土量や盛土量が過大になります。反対に、島状に残る切土範囲や局部的な盛土範囲を除外すると、数量が不足します。

構造物の体積を控除しているかどうかも重要です。計画地盤面までを一律に盛土として計算した後、基礎、地下構造物、排水施設などが占める体積を控除する場合があります。一方で、構造物周辺の埋戻し数量が別途必要になることもあります。控除と追加の条件を整理し、重複や漏れを防ぎます。

切土材の品質確認では、土質名だけでなく、含水状態、粒径、異物、有機物、風化状態などを確認します。設計時の土質区分と実際の掘削材料が一致しない場合は、転用率を見直します。

仮置き土については、搬入量と搬出量の記録だけでなく、現在の形状や体積も確認します。仮置き中の締まり、降雨、材料の混合などにより、帳簿上の数量と形状から求めた体積に差が生じることがあります。

施工済みの盛土量を確認するときは、単に施工面の高さだけでなく、計測範囲と基準面をそろえます。前回計測面と今回計測面の差を求める場合も、共通範囲と除外対象を明確にします。

計測結果には、取得日、対象工区、座標系、標高基準、計算範囲、使用した比較面、体積状態を記録します。同じ現場でも条件が異なるデータを比較すると、実際には存在しない差が土量として算出される可能性があります。

点群計測を切土材の転用管理へ活用する方法

切土・盛土の体積計算では、施工前後の地形を点群として取得し、面の差から土量を算出する方法を活用できます。切土面、盛土面、仮置き土の形状を定期的に記録すると、設計数量だけでは把握しにくい施工中の変化を確認しやすくなります。

切土量を確認する場合は、掘削前の地形面と掘削後の地形面を比較します。盛土量を確認する場合は、盛土前の基盤面と施工後の表面を比較します。仮置き土では、仮置き前の地盤面と土の表面との差から体積を求めます。

点群から直接分かるのは、主に位置、形状、標高、体積などです。算出した切土量の全量が転用可能であるとは判断できません。土質、含水状態、異物の混入、材料用途などは、現場確認や試験結果と組み合わせて判断します。

点群を使う際には、座標系と標高基準を統一します。異なる基準のデータを重ねると、面全体に高さのずれが生じ、そのずれが大きな切土量や盛土量として計算される可能性があります。

計測範囲も毎回そろえる必要があります。前回は工区全体を計測し、今回は一部だけを計測した場合、単純な差分では正しい期間土量を求められません。比較対象となる共通範囲を設定します。

建設機械、資材、仮設物、植生などが点群に含まれている場合は、土の表面として扱わないように確認します。仮置き土の上に機械や資材が置かれていると、その形状まで土量へ含まれる可能性があります。

定期的に点群を取得すれば、設計切土量と実切土量の差、計画盛土量と施工済み盛土量の差、仮置き量の変化を確認できます。これらを運搬記録や転用記録と照合することで、転用率の低下、計上漏れ、重複集計などを見つけやすくなります。

たとえば、設計上は切土が5000立方メートル進んでいる予定でも、点群差分では4000立方メートルしか掘削されていない場合、転用量が少ない原因は転用率ではなく、切土の進捗にある可能性があります。反対に、実切土量は計画どおりでも、盛土への使用量が少なければ、材料品質や工程上の問題を確認します。

LRTK Phoneには、位置や高さの記録、点群の取得、体積確認などに利用できる機能があります。切土範囲、盛土範囲、仮置き場の計測結果に、取得日時、工区、比較面、土質確認結果を関連付ければ、数量が増減した理由を追跡しやすくなります。

ただし、点群による土量を契約数量、出来形管理、検査資料などへ使用する場合は、適用される要領、要求精度、標定点や検証点の扱い、計測範囲、データ処理方法を個別に確認します。機器やソフトウェアを使用しただけで、すべての工事に共通して成果物の要件を満たすと判断することはできません。

まとめ

切土材の転用率から不足土と残土を求めるには、最初に切土量と盛土量の計算条件をそろえる必要があります。対象範囲、基準面、体積状態が異なる数値をそのまま比較すると、正しい土量収支になりません。

次に、切土材を土質、含水状態、粒径、用途などに応じて分類します。現場全体へ一つの転用率を設定するのではなく、材料区分ごとに転用可能量を求めることで、実際の施工条件に近い計算ができます。

転用可能量は、切土量に転用率を掛けて求めます。ただし、転用率は材料として利用できる割合であり、掘削や締固めによる体積変化とは異なります。地山、ほぐし、締固め後の体積を区別し、LとCの定義を確認したうえで同じ基準へ換算します。

不足土量は、必要盛土量から割当可能な転用量を差し引き、負の値になる場合は0として扱います。残土量は、切土総量から現場内で実際に使用する量と、確定した有効利用量を差し引いて算出します。各数量は同じ体積状態へそろえなければなりません。

材料品質や施工時期が一致しなければ、同じ現場で不足土と残土が同時に発生することもあります。総量だけでなく、用途別、土質別、工区別、時期別に収支を整理することが重要です。

施工開始後は、実切土量、実転用量、盛土施工量、搬入量、搬出量、仮置き量を確認し、転用率と完成時の予測数量を更新します。設計時の転用率を固定せず、実際の土質や工程に合わせて見直すことが、工事後半の急な不足や大量の残土を防ぐポイントです。

さらに、切土面、盛土面、仮置き土を点群として計測し、設計数量や運搬記録と照合すれば、土量収支の変化を早期に把握しやすくなります。LRTK Phoneによる位置情報、点群、体積の記録も、適用条件と精度確認を行ったうえで、継続的な土量管理へ活用する選択肢になります。

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