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切土部の風化岩を土砂・硬岩へ区分する6つの体積算定基準

切土部の風化岩を区分する目的

切土工事では、同じ岩種が連続しているように見えても、地表に近い部分と深部とで風化の程度が大きく異なることがあります。上部は土砂状に崩れ、通常の掘削機で比較的掘りやすい一方、深部では岩塊の一体性が高まり、リッピングやブレーカなどの破砕作業を検討しなければならない場合があります。この違いを総切土量だけで一括管理すると、施工方法、機械編成、工程、運搬計画、盛土への流用計画が現地条件と合わなくなるおそれがあります。

切土・盛土の体積計算で重要なのは、現況地形面と計画面の差から総掘削量を求めるだけではありません。総切土量の内訳として、土砂、岩塊・玉石、軟岩、中硬岩、硬岩など、設計図書で採用されている区分ごとの範囲と体積を説明できる状態にする必要があります。風化岩は地質学的な呼称であり、それだけで施工数量上の区分が自動的に決まるわけではありません。見た目が岩でも土砂状に分離する場合がある一方、変色していても岩塊として強く残る場合があります。

国土交通省の積算資料には、軟岩、中硬岩、硬岩などの区分に対し、岩種だけでなく風化変色や新鮮さなどを組み合わせた岩質判定の考え方が示されています。したがって、色だけ、岩種名だけ、使用機械だけを根拠に区分するのではなく、採用する仕様書の定義と現地状態を対応させることが基本です。国土交通省+1

この記事では、切土部の風化岩を土砂側と硬岩側へ適切に整理するための考え方を、6つの体積算定基準として解説します。ここでいう土砂側と硬岩側は、必ず二つだけに分けるという意味ではありません。設計図書に軟岩Ⅰ、軟岩Ⅱ、中硬岩、硬岩などの区分がある場合は、その段階的な分類を優先します。

風化岩を二者択一で扱わない考え方

風化岩の判定で避けたいのは、調査の早い段階で「土砂か硬岩か」の二者択一に固定することです。自然地山の風化は、地表から深部へ一様に変化するとは限りません。節理、断層、地下水の通り道、岩脈、地形の凹凸などにより、深部へ土砂状の風化部が入り込むこともあれば、地表近くに比較的新鮮な岩塊が残ることもあります。

単純に「地表から一定深さまでは土砂、それより下は硬岩」と設定すると、実際の境界形状を反映できない可能性があります。特に尾根部、谷部、断層破砕帯、湧水部では、風化深度や岩盤状態が周辺と異なることがあります。深さだけで区切るのではなく、縦断方向と横断方向の両方で境界の変化を確認する必要があります。

実務では、最初に工事で必要な数量区分を明確にします。設計数量が土砂、軟岩、硬岩の三分類であれば、現地観察と調査結果もその三分類へ対応させます。さらに細かい区分が定められている場合は、その名称と定義をそのまま使用します。反対に、契約上は土砂と岩の二分類であっても、現場管理用には土砂状風化部、軟質岩部、硬質岩部などの中間情報を残しておくと、後から数量根拠を説明しやすくなります。

地質学的な岩種名と施工上の土質区分は一致しない場合があります。同じ岩種でも、風化、亀裂、固結状態、含水状態によって掘削時の挙動が異なります。分類名を決める際は、岩石の成因だけでなく、現場で観察できる状態と設計図書の定義を結び付けることが重要です。

基準1 設計図書と工事の土質区分を最優先する

第1の基準は、一般的な解説よりも、対象工事の設計図書、特記仕様書、数量計算書、土質区分表、積算条件を優先することです。土砂、軟岩、中硬岩、硬岩という名称が同じでも、発注機関、工種、積算体系によって適用区分や細分方法が異なる場合があります。現場独自の判断で区分名を置き換えると、施工記録と契約数量が対応しなくなり、出来高確認や設計変更の説明が難しくなります。

まず確認するのは、数量がどの状態で計上されているかです。切土数量が地山体積なのか、掘削後のほぐした体積なのか、運搬数量や盛土流用量まで含むのかを区別します。次に、土質区分ごとの範囲が平面図、地質縦断図、横断図、ボーリング柱状図、数量計算書のどこに示されているかを整理します。資料間で境界位置や区分名称が一致しない場合は、施工前に採用資料と優先順位を確認します。

国土交通省の数量算出要領では、長さ、面積、断面積などの計算方法として数学公式、平均面積法、CADソフトなどを用いる考え方が示されています。ただし、計算手法が高精度でも、入力する土質境界の定義が揃っていなければ区分別数量は安定しません。国土交通省構造物総合評価システム

設計時の地質境界は、限られた調査点から推定されていることがあります。そのため、施工中に現れた風化状態が設計と異なる可能性はあります。しかし、差異が見つかった時点で担当者が独自に数量区分を変更するのではなく、位置、標高、延長、厚さ、岩質、掘削状況を記録し、契約図書で定められた確認や協議の手順に沿って扱うことが重要です。

数量算定を始める前には、区分名称、判定の担当、確認時期、記録様式、境界の測量方法、計算範囲、端数処理、体積計算方法を運用ルールとして整理します。これにより、測量担当、施工担当、現場代理人、発注者側の確認者が同じ前提で数量を確認できます。

基準2 風化程度・固結度・亀裂状態を総合判定する

第2の基準は、風化程度、固結度、亀裂状態、岩塊の分離性などを組み合わせて判定することです。切土面の色調変化は有効な手掛かりですが、色だけで土砂や硬岩を決めることはできません。酸化による褐色化が進んでいても硬さを保つ岩があり、外見上の変色が小さくても微細な亀裂が発達して容易に崩れる岩があります。

観察では、手で崩れるか、指圧や軽い打撃で細片化するか、強い打撃を必要とするか、割れた後に土砂状となるか、角張った岩塊として残るかを確認します。同時に、亀裂の間隔、開口、充填物、連続性、方向を見ます。亀裂が密に発達していると、岩石自体が比較的硬くても地山全体として分離しやすくなることがあります。一方、亀裂が少なく密着していれば、表面に風化変色があっても硬い挙動を示すことがあります。

公的な岩質判定資料の一例では、風化変色の程度、新鮮部の残り方、岩種の性質などを組み合わせて区分を考える形式が採られています。これは、単一の観察項目を絶対基準とするのではなく、複数の特徴を照合する必要があることを示しています。具体的な区分は、対象工事で採用する共通仕様書や積算基準に合わせます。国土交通省+1

判定の再現性を高めるには、観察項目を文章で残します。「風化岩」「硬い」「軟らかい」とだけ記録するのではなく、「褐色化が進み、手で細片化する」「軽打で亀裂に沿って分離する」「打撃後も大きな岩塊として残る」「亀裂面に粘土状物質が充填される」のように、第三者が状態を想像できる表現にします。

写真にはスケールを入れ、近景だけでなく境界の連続性が分かる遠景も撮影します。岩質境界を線で示した写真、測点や標高が分かる写真、接写写真を一組にすると、後から数量モデルへ反映しやすくなります。

また、露出した岩盤は乾湿の繰り返しや吸水により状態が変化する場合があります。観察日、掘削からの経過時間、天候、湧水の有無を記録し、掘削前の地山状態と露出後の変化を混同しないようにします。数量区分は契約上の判定時点と基準に従い、法面の長期安定性や保護工の検討は別の安全上の課題として整理します。

基準3 掘削抵抗と破砕方法を施工中に確認する

第3の基準は、実際の掘削抵抗と必要な破砕方法を施工中に確認することです。事前調査で風化岩と推定されていても、現場での掘削挙動は機械規格、爪や刃先の状態、掘削方向、亀裂の向き、含水状態、作業面の広さなどによって変わります。そのため、「この機械で掘れたから土砂」「ブレーカを使ったから硬岩」と単純に判定するのではなく、地山状態を補足する施工記録として利用します。

記録する内容は、通常のバケット掘削で連続的に掘れるか、刃先が滑って食い込まないか、岩塊が亀裂に沿って剥離するか、リッピングや打撃破砕が必要か、破砕後にどのような粒径や岩塊形状となるか、掘削速度が大きく変わった位置はどこかといった事項です。切羽位置と機械の反応を対応させれば、地質境界を横断方向だけでなく縦断方向にも追跡できます。

一方で、施工方法は契約上の土質区分と必ずしも一対一ではありません。狭い作業場所では比較的軟らかい地山でも小型機械しか使えず、掘削に時間がかかる場合があります。反対に、亀裂が発達した岩盤は大型機械で剥がしやすいことがあります。時間当たり施工量や使用機械だけを判定根拠にすると、現場条件の影響を土質差と誤認する可能性があります。

国土交通省の積算資料でも、軟岩と硬岩の施工方法について、機械掘削の可否、破砕片除去、集積押土などの施工条件を分けて扱う例が示されています。岩質区分と施工方法を同じ情報として混在させず、「何を掘ったか」と「どのように掘ったか」を別項目で記録することが大切です。国土交通省香港事務所

施工中の判定では、境界部を一度に掘り切らず、一定延長または一定標高ごとに確認できる運用が有効です。掘削面に区分境界が現れたら、測点、座標、標高、切土面上の位置を取得し、写真と観察記録をひも付けます。境界が波打っている場合やレンズ状の硬質部がある場合は、代表断面だけで処理せず、形状の変化点を追加して測ります。

地質確認は安全な施工手順の中で行います。不安定な切羽へ接近したり、重機の旋回範囲内で観察したりせず、掘削停止、立入管理、浮石確認など、現場で定めた安全措置を優先します。

基準4 ボーリング・コア・試験結果で深度方向を補う

第4の基準は、地表観察だけで判断せず、ボーリング、コア観察、原位置試験、室内試験などで深度方向の情報を補うことです。施工前の切土面は地中にあるため、地表踏査だけでは土砂状風化部の厚さや硬質岩盤上面の形状を十分に把握できない場合があります。調査孔の位置と計画切土面を重ね、どの深度で風化度や岩盤状態が変わると推定されているかを整理します。

ボーリング柱状図では、岩種名だけでなく、風化の記載、コアの形状、割れ方、採取状態、亀裂面の変色や充填、地下水の状況を確認します。コアが短い細片として採取された場合でも、掘削時の破損が影響している可能性があるため、直ちに地山全体が土砂状であるとは判断できません。反対に、コアが棒状に採取されても、切土面では節理方向に沿って分離しやすい場合があります。

調査結果を体積算定へ使うときは、一つの調査孔で確認した境界深度を広範囲へ水平に延ばさないことが重要です。尾根部、谷部、斜面肩、断層付近では風化深度が変化しやすいため、地形と地質構造を考慮して補間します。複数の調査孔がある場合は、縦断図と横断図の両方で境界を結び、解釈に矛盾がないか確認します。

風化岩や変質岩のような軟岩では、硬岩を主対象とする分類の考え方をそのまま適用しにくい場合があることが土木研究所資料でも指摘されています。したがって、一つの試験値だけで施工数量区分を確定せず、地質記載、コア状態、強度、亀裂、施工時の挙動を相互に照合する方法が安全です。土木研究所

試験値を使う場合も、境界値を機械的に適用しないようにします。試料の含水状態、亀裂の有無、採取方向、試験片の品質によって結果が変わるためです。試験は判定を客観化する材料ですが、実際の数量区分は工事の仕様と地山全体の状態を踏まえて決定します。

施工開始後は、事前の推定境界と実際に露出した境界を比較します。差があれば、ボーリング間の補間、局所的な風化帯、地質構造の解釈などを見直します。この比較を後続区間へ反映すれば、土質別体積の予測精度を段階的に高められます。

基準5 区分境界を三次元面として連続的に設定する

第5の基準は、土砂と岩、軟岩と硬岩の境界を一本の線ではなく、連続する境界面として扱うことです。切土量は現況地形面と計画面の間の体積ですが、土質別体積を求めるには、その内部にある土質境界を設定しなければなりません。総切土量が正しくても、内部境界が不適切であれば、土砂量と岩量の配分は適切になりません。

平均断面法を使う場合は、各測点の横断図に土砂、軟岩、硬質岩などの境界を描き、それぞれの断面積を求めます。隣接する断面間の体積は、同一区分の両端断面積を用いて平均断面法で算定できます。

V=(A1+A2)÷2×L

ここでVは区間体積、A1とA2は隣接断面における同一区分の面積、Lは断面間距離です。この式は断面間で形状が緩やかに変化する近似であるため、境界が急変する箇所、谷地形、断層、岩脈、レンズ状岩体がある箇所では追加断面を設けます。断面間隔が粗いままだと、局所的な土砂状部や硬質部が平均化されすぎる可能性があります。

三次元モデルを使う場合は、現況地形面、計画切土面、土質境界面を別の面として管理します。土砂体積、軟岩体積、硬岩体積を、同じ外周、同じ基準面、同じ座標系で分割計算します。境界面が計画面より下へ抜けたり、現況面より上へ飛び出したりしないよう、適用範囲を切りそろえます。

同一範囲かつ同一の体積状態で計算した場合、区分別体積の合計は総切土体積と整合する必要があります。

総切土体積=土砂体積+軟岩体積+中硬岩体積+硬岩体積

実際の工事で使わない区分は省略します。未区分領域や除外領域がある場合は別欄で管理し、単純に上式へ当てはめません。小数処理による差を超える不一致がある場合は、境界面の欠落、重複、隙間、計算外周の不一致を確認します。

境界面を作る根拠点には、ボーリング境界、露頭観察点、施工中の切羽確認点、試掘結果などを使います。根拠の少ない場所を滑らかに補間しすぎると、見た目は整っていても説明可能性が低いモデルになります。推定範囲は推定であることを図面や属性情報に残し、施工時に更新できるようにします。

基準6 地山体積と施工数量の集計条件を統一する

第6の基準は、地山体積、ほぐした体積、締固め後の体積を混同せず、集計条件を統一することです。切土の設計数量は地山状態で扱うことが多く、運搬計画では掘削後のほぐした状態、盛土計画では締固め後の状態を扱います。同じ立方メートル表記でも、状態が異なれば同じ体積ではありません。

国土交通省の積算資料では、土量を地山、ほぐした状態、締固め後の三つに区分し、Lをほぐした土量と地山土量の比、Cを締固め後の土量と地山土量の比として扱っています。また、施工土量を原則として地山土量で表示し、必要に応じて換算係数を用いる考え方が示されています。国土交通省+1

地山体積をV0、ほぐし率をLとすると、ほぐした体積VLは次のように表せます。

VL=V0×L

地山体積をV0、締固め率をCとすると、締固め後の体積VCは次のように表せます。

VC=V0×C

この式を逆に使う場合は、基準にする体積状態を確認します。例えば、締固め後の必要盛土量から必要地山量を求める場合は、条件が同じであればV0=VC÷Cとなります。ほぐした体積から地山体積へ戻す場合はV0=VL÷Lです。

使用するLとCは、対象工事の積算基準、設計条件、材料区分に合わせます。一般的な値を出典なしで流用すると、運搬台数、仮置き場容量、盛土材の必要量がずれるおそれがあります。風化岩をどの区分へ対応させるかによって、適用する変化率が異なる場合もあるため、区分判定と土量換算を別々に確定します。

数量表では、「土質区分」「体積状態」「算定範囲」「算定方法」「算定日」を分けて記載します。硬岩の地山体積と、破砕後の岩砕運搬量を同じ欄に足し合わせてはいけません。盛土へ流用する場合も、掘削した風化岩の全量が使用できるとは限らないため、粒度、強度、含水状態、最大粒径、異物混入、施工仕様への適合性などを確認します。

切土材料の収支は、土砂、岩、選別対象、場内流用、仮置き、場外搬出などの行き先を分けて管理します。地山数量から運搬数量へ換算し、さらに盛土の締固め後数量へ換算するため、各数量がどの段階を示すかを明確にします。

切土・盛土の体積計算へ反映する方法

風化岩の区分を体積計算へ反映する作業は、総切土量の算定、内部境界の設定、区分別体積の計算、体積状態の換算、材料収支の確認という順で進めると整理しやすくなります。最初から運搬台数や盛土量だけを求めると、地山体積との対応が分からなくなることがあります。

総切土量は、現況地形面と計画造成面の差から求めます。平均断面法、格子法、三角形網による面比較、ソリッドモデルなど、採用する方法は設計図書と現場条件に合わせます。重要なのは、同じ計算範囲、同じ座標系、同じ高さ基準を使うことです。現況地形の外周と計画面の外周が一致していない場合は、境界部に意図しない体積が発生する可能性があります。

次に、総切土領域の内部へ土質境界を設定します。土砂状風化部の下面、軟岩と硬岩の境界などをモデル化し、各領域を重複なく分割します。平均断面法の場合は、各横断面で区分別面積を求め、同一区分どうしをつないで体積化します。三次元計算の場合は、境界面で総切土モデルを分割し、それぞれの体積を取得します。

区分別体積を求めたら、総切土体積との合計照合を行います。さらに、表土剥ぎ、構造物の床掘り、法面整形、余掘り、埋戻しなどが別数量として扱われる工事では、同じ領域を二重に計上していないか確認します。掘削と床掘りの区分は、対象工事の数量算出要領と設計図書に従います。

盛土へ流用する場合は、区分別地山体積から、材料として使用できる範囲を整理し、必要に応じて土量変化率を反映します。土砂状風化部、粒径調整が必要な岩砕、場外搬出する不適合材を分けます。材料の利用可否や歩留まりは、材料試験、試験施工、施工仕様などに基づいて設定し、一律の割合を根拠なく適用しないようにします。

最終的な土量収支では、切土地山量、ほぐし後運搬量、盛土締固め後量を別々に示します。単位がすべて立方メートルでも、体積状態が異なれば直接比較できません。数量表の見出しに状態を明記し、計算式には使用した変化率と適用区分を残します。

漸移帯と混在部を過大・過小計上しない方法

風化岩の境界は、実際には明瞭な一枚の面ではなく、土砂状部から軟質部、硬質部へ徐々に変化する漸移帯になることがあります。また、土砂状部の中に硬い岩塊が残る部分や、硬岩の中に粘土化した亀裂帯が入る部分もあります。このような混在部をすべて土砂またはすべて硬岩へ寄せると、数量が一方向に偏る可能性があります。

対策として、工事で管理できる最小区分を決めます。薄い互層や小さな岩塊を一つずつ三次元化しても、測量精度や施工単位より細かければ実用性が低くなります。反対に、広い範囲を一括処理すると、施工や数量へ影響する硬質部を見落とすおそれがあります。区分単位は、設計図書、施工機械の作業単位、測量可能な大きさ、数量への影響を考慮して設定します。

混在部の判定では、面積や体積の優勢だけでなく、硬質部の連続性、厚さ、位置、掘削への影響を記録します。ただし、「施工を支配する」という理由だけで区分を変更すると主観的になりやすいため、事前に定めた判定ルールへ当てはめ、必要な確認手続を行います。

漸移帯を中間区分として計上できる工事では、軟岩などの区分を活用します。契約上二分類しかない場合は、どの状態を境に振り分けるかを施工前または境界確認時に整理し、判定条件を記録します。施工後に数量結果へ合わせて境界を動かすのではなく、地山が確認できる時点で根拠を残すことが重要です。

数量への影響が小さい孤立岩塊については、個別計上の要否を運用ルールで決めます。総切土量に対する割合が小さくても、工程や破砕作業に大きく影響する硬質帯は、体積だけでなく位置図や写真を残します。

施工前・施工中・施工後の記録管理

風化岩の数量は、施工段階が進むほど確認が難しくなります。施工前は地中に隠れており、施工中は境界が見えるものの、掘削が進むと失われます。施工後には完成法面や施工記録から推定することになるため、確認すべき情報を段階ごとに決めておきます。

施工前は、地質縦断図、横断図、ボーリング、露頭、設計数量を同じ平面図や三次元座標上で照合します。推定境界と調査根拠点を区別し、施工時に重点確認する範囲を示します。総切土量と区分別予定数量の合計も照合し、設計段階から計算漏れがないか確認します。

施工中は、岩質境界が露出した時点で位置と標高を測ります。写真は境界の全景、近景、スケール入りの状態写真をそろえます。測点名、掘削日、天候、使用機械、観察内容、暫定判定区分を同じ記録にまとめると、後から写真だけが残って場所が分からなくなる事態を防げます。

設計との差異がある場合は、境界が失われる前に、対象工事で定められた確認や協議を行います。必要な範囲を残して別区間を進めるなど、工程への影響を抑える方法も検討できますが、現場の安全と契約上の手順を優先します。

施工後は、実測した境界点から三次元面または横断図を更新し、最終数量を計算します。設計数量、変更数量、実績数量を混在させず、版番号と計算日を付けます。計算条件を変更した場合は、境界面、外周、断面間隔、端数処理のどこを変更したかを記録します。

切土材料を盛土へ流用した場合は、掘削側の区分と盛土側の受入記録を対応させます。どの区間から発生した材料を、どの盛土区画へ使用したかを追跡できれば、材料品質の確認や施工記録の説明に役立ちます。

よくある算定ミスと防止策

よくあるミスの一つは、風化境界を全区間で同じ標高または同じ深さに設定することです。風化境界は地形、亀裂、地下水などの影響を受けるため、単純な水平面で近似すると尾根部と谷部で数量の偏りが生じる可能性があります。防止するには、縦断方向と横断方向の両方で境界を確認し、形状変化点に根拠点を追加します。

二つ目は、現況地形の測量時期と岩質境界の測量時期が異なるのに、同じ施工段階のモデルとして扱うことです。すでに掘削した後の地形を掘削前の現況面として使うと、切土量が欠落します。各測量データに取得日と施工段階を付け、掘削前、掘削途中、完成時を区別します。

三つ目は、土質別体積の合計を総切土量と照合しないことです。境界面の重複や隙間があると、区分別体積の合計が総切土量を超えたり不足したりします。計算後は同じ外周、同じ基準面、同じ体積状態で合計を照合し、許容する丸め差も決めます。

四つ目は、地山体積と運搬体積を同じ数量として扱うことです。切土、運搬、盛土の各段階で体積状態を明示し、対象工事の条件に合う変化率を使って換算します。

五つ目は、掘削機械の種類だけで土質区分を決めることです。機械規格、施工空間、オペレーターの作業方法、亀裂方向などでも施工性は変わります。機械条件を記録しつつ、風化、固結、亀裂、分離性と合わせて判定します。

六つ目は、写真が近景だけで位置関係を復元できないことです。岩肌の接写だけでは数量境界の根拠として使いにくくなります。法面全体、測点表示、座標や標高、スケール、境界線を一組として残します。

七つ目は、設計変更の前後で計算範囲や端数処理が変わっていることです。数量差が地質境界の変更によるものか、計算条件の違いによるものか分からなくなります。比較時は同じ外周、同じ基準面、同じ計算方法を使い、条件変更による差と境界変更による差を分けて確認します。

LRTK Phoneを使った現場確認

風化岩の区分は、観察内容と位置情報を一体で残すほど、体積算定へ反映しやすくなります。LRTK Phoneで切土面の確認点を測位し、位置情報を持つ写真や測点データとして記録すれば、どの測点、どの標高、どの切土面で岩質が変化したかを整理しやすくなります。LRTKの公式情報では、高精度測位、位置情報付き写真、座標付き点群の取得や共有に対応する機能が案内されています。Lefixea Inc.+1

現場では、岩質境界の折れ点、境界が上下する位置、硬質な岩脈の端部、土砂状風化帯の広がりなどを測ります。すべての境界を同じ間隔で細かく追うのではなく、形状が変化する点を優先して取得します。取得した点を平面図や横断図へ反映し、設計時の推定境界と比較します。

写真を撮る際は、測位点と写真の対象を一致させます。測点を取得した位置と撮影対象が離れている場合は、どの位置を示す写真なのか分かるメモを残します。境界全景、近景、スケール入り写真を撮り、観察メモに風化状態、亀裂、分離性、使用機械、掘削時の反応を記録します。

衛星測位を利用する機器は、上空視界、周辺構造物、斜面形状、補正情報の受信状態などによって測位条件が変わります。切土法面の直下や谷部では測位品質が低下する場合があるため、アプリや機器が示す測位状態を確認し、必要に応じて既知点との照合や別の測量方法で補完します。

LRTK Phoneで取得した点群から現況面を作る場合は、植生、重機、仮置き土、浮石など、対象とする地山面ではない点を確認して処理します。岩質境界は点群だけから自動的に確定するものではないため、現場で判定した境界点と観察記録を明示し、地質判断と測量処理を分けて管理します。

この運用により、現場観察、位置情報、写真、三次元モデル、区分別体積を一つの流れでつなげやすくなります。ただし、最終的な土質区分と契約数量は、設計図書、現地確認、必要な協議や承認に基づいて決定し、測量機器の出力だけで自動確定しないことが大切です。

まとめ

切土部の風化岩を土砂・硬岩へ区分する際は、見た目や掘削機械だけで判断せず、設計図書の区分、風化程度、固結度、亀裂状態、掘削抵抗、調査結果、境界形状を総合して判定します。実際の工事で軟岩Ⅰ、軟岩Ⅱ、中硬岩などの区分が定められている場合は、土砂と硬岩の二分類へ無理にまとめず、契約上の分類を使用します。

6つの体積算定基準は、設計図書を最優先すること、地山状態を複数の観察項目で判定すること、施工時の掘削挙動を補助情報として残すこと、ボーリングや試験で深度方向を補うこと、境界を連続面として設定すること、地山・ほぐし・締固め後の数量を区別することです。

体積計算では、まず総切土量を確定し、その内部を土質境界で分割します。区分別体積の合計が、同じ範囲と体積状態で求めた総切土量と整合するかを確認し、運搬や盛土へ換算する段階で適切な変化率を適用します。漸移帯や混在部は、工事で管理できる最小単位と事前に整理した判定条件に基づいて処理します。

最も重要なのは、境界が見えている施工中に、位置、標高、写真、観察内容、施工状況を残すことです。掘削後に失われた地山状態を数量表だけから復元するのは困難です。LRTK Phoneなどの測位・記録手段を活用しながら、地質判断の根拠と体積計算の条件を一貫して管理することが、過大計上と過小計上の両方を防ぐ近道です。

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