盛土量を算出するときは、現況地盤面と計画地盤面の間に生じる空間を、そのまま土で満たすと仮定して体積を求めることがあります。しかし、計画範囲の中に基礎、擁壁、管路、ボックス状の構造物、集水ます、地下設備などが設置される場合、その構造物や土以外の材料が占める空間には一般盛土材が入りません。材料所要量を把握する目的では、土だけで計算した盛土体積から、構造物と盛土領域が実際に重なる体積を適切に控除する必要があります。
この控除を行わないと、盛土材の発注量、搬入台数、施工日数、仮置き場の規模などを過大に見積もる可能性があります。一方で、構造物の全体積を機械的に差し引くと、現況地盤より下に埋まる部分や、計画面より上に突出する部分、内部に土を充填する部分まで控除してしまい、盛土量を過小に算定するおそれがあります。
ただし、実際の設計数量や契約数量は、物理的な材料所要量と必ずしも同じではありません。適用する数量算出要領や発注者基準によっては、盛土中の小規模な建造物を盛土数量から控除しない扱いがあります。国土交通省の数量算出要領では、盛土中で現地盤線以上の断面積が1.0平方メートル未満の建造物などを、原則として控除しなくてよい対象に挙げています。したがって、最初に計算目的と適用基準を確認し、材料計画用の正味土量と、積算・出来高用の数量を混同しないことが重要です。国土交通省地図情報提供システム
重要なのは、構造物の体積そのものではなく、盛土として計上した領域と構造物が実際に重なる部分を把握したうえで、その重複体積を適用基準に従って控除するかどうかを判断することです。本記事では、「切土 盛土 体積 計算」で検索する実務担当者に向けて、構造物の占有体積を盛土量から控除するときの考え方、計算手順、重複や控除漏れを防ぐ確認方法を解説します。
構造物の占有体積を控除する必要性
盛土量の基本的な考え方は、計画面が現況地盤面より高い範囲について、両者の間の体積を求めることです。単純な造成地で、対象範囲の全てが土で構成されるなら、この体積を盛土量として扱えます。
実際の工事では、盛土範囲の中にさまざまな構造物が設置されます。たとえば、擁壁の底版や竪壁、建物の基礎、排水管、暗渠、集水ます、地下タンク、共同溝、ボックス状の横断構造物などです。これらが計画地盤面より下に存在すると、その部分には一般盛土材を投入できません。
土だけで満たすと仮定した総盛土体積をVg、盛土領域内にある構造物や別材料のうち控除対象となる体積をVsとすれば、材料計画上の正味盛土量Vnは、概念的にはVn=Vg-Vsで表せます。ただし、この式で差し引くVsは構造物全体の体積とは限りません。物理的な控除候補となるのは、盛土領域と構造物が重なる体積であり、積算上の控除量はさらに適用する数量算出要領で確認します。
たとえば、高さ2メートルのコンクリート基礎があり、そのうち1.2メートルが現況地盤より下、残り0.8メートルが盛土領域内にある場合、材料所要量の計算で控除候補となるのは原則として0.8メートル分に対応する体積です。地下部分まで控除すると、もともと盛土として計上していない空間を差し引くことになります。
反対に、構造物の周囲を掘削して設置し、掘削した空間の一部を土で埋め戻す場合は、構造物控除だけでなく、床掘り、基礎材、埋戻し材、造成盛土の境界を整理する必要があります。数量計算の目的によっては、盛土、埋戻し、基礎材、構造物を別々の工種として集計しなければなりません。
また、小規模な管や支柱などは、物理的には土が入らない空間を持っていても、積算上は控除しない扱いになる場合があります。逆に、発注者独自の基準や設計図書で控除が明示されている場合は、その条件を優先します。正確な切土・盛土体積計算には、単純な引き算だけでなく、どの空間を何の材料で満たすのか、何の目的で数量を求めるのかを施工断面に沿って分類する作業が欠かせません。
計算ポイント1 盛土領域と構造物の重複範囲を確定する
最初の計算ポイントは、盛土領域と構造物の重複範囲を明確にすることです。構造物の外形寸法が分かっていても、その全体が盛土量の控除対象になるとは限りません。現況地盤面、計画地盤面、構造物の上端と下端を同じ断面上で比較し、盛土として計上した空間に構造物がどれだけ入っているかを確認します。
盛土領域は、平面的な施工区域だけでは決まりません。高さ方向では、現況地盤面より上、計画地盤面より下の空間が対象です。したがって、平面図だけで控除範囲を判断すると、構造物の地下部分や計画面より上に突出する部分を誤って含める可能性があります。
計算前には、現況地盤面、計画地盤面、構造物外形の三つを重ねた縦断面または横断面を作成します。構造物の底面が現況地盤より下にある場合は、現況地盤面で構造物を切り、上側だけを物理的な重複範囲として扱います。構造物の上端が計画面を超える場合は、計画面より下の部分だけを対象にします。
現況地盤高をZg、計画地盤高をZp、構造物下端高をZb、構造物上端高をZtとします。このとき、盛土領域内に入る構造物の高さhは、水平な断面として単純化できる位置では、h=min(Zt、Zp)-max(Zb、Zg)で求められます。計算結果がゼロ以下になる場合、その位置では構造物と盛土領域が重なっていないため、物理的な控除候補は発生しません。
ただし、現況地盤面や計画地盤面に勾配がある場合、重複高さは構造物の位置によって変化します。構造物の片側では1メートル重なり、反対側では0.4メートルしか重ならないこともあります。このような場合に、代表点の高さだけを使って直方体として控除すると誤差が大きくなります。
地盤面が傾斜している場合は、構造物を複数区画に分割する、両端の重複断面積から平均断面法で求める、または三次元形状同士の重複体積を算出する方法が有効です。構造物が長いほど、途中の地盤変化や計画勾配の影響も確認する必要があります。
また、盛土範囲の境界付近に構造物がある場合は、構造物の一部だけが集計区域に入ることがあります。道路本線と施工ヤード、宅地区画と道路区画、工区境界などで数量を分けるときは、構造物を区域境界で分割し、各区域に含まれる重複体積を個別に計上します。
重複範囲を求めた後は、適用基準上の控除対象かを判定します。小規模構造物を控除しない規定がある場合、物理的な重複体積が存在しても、設計数量では控除量をゼロとして扱うことがあります。計算書には、重複体積と積算上の控除体積を別欄で残すと、材料計画と契約数量の差を説明しやすくなります。
計算ポイント2 構造物を形状別に分割して体積を求める
二つ目のポイントは、構造物を計算しやすい基本形状に分割することです。構造物の外形が単純な直方体であれば、長さ、幅、高さを掛けて体積を求められます。しかし、実際の基礎や擁壁は、底版、立上り、張出し、段差、テーパーなどを含むことが多く、一つの直方体として扱うと正確な重複体積になりません。
基本的な分割形状には、直方体、三角柱、台形柱、円柱、円すい台などがあります。複雑な構造物でも、これらの形状へ分けて体積を合計すれば、手計算や表計算でも管理しやすくなります。
たとえば、逆T形の擁壁であれば、底版、竪壁、前側の張出し、後側の張出しを区別します。竪壁に勾配が付いている場合は、一定断面の直方体ではなく台形柱として計算します。底版上に盛土が載る構造であれば、底版自体の重複部分は控除候補になりますが、底版上部の埋戻し空間は盛土または裏込め材として別に計上します。
構造物を分割するときは、分割部分同士が重ならないように注意します。底版と竪壁を別々に計算する場合、竪壁の高さを底版上面から測れば重複しません。一方、竪壁の高さを底版下面から測り、底版体積も別に加えると、底版厚の範囲を二重計上することになります。
段差のある基礎では、最大外形を使った直方体から欠損部分を差し引く方法もあります。ただし、控除計算の途中で加算と減算が混在すると照査が難しくなるため、可能であれば実際に存在する部分を基本形状へ分け、それぞれを加算する方法が分かりやすいでしょう。
円形の基礎や管路では、直径と半径の取り違えに注意が必要です。円柱体積は、円周率×半径の二乗×長さで求めます。直径をそのまま半径として二乗すると、本来の四倍の値になります。管路が勾配を持つ場合、平面上の延長ではなく、必要に応じて管中心線に沿った実延長を使用します。
構造物の寸法は、設計図の外形寸法を用いるのが基本です。ただし、均し材、基礎砕石、型枠余裕、施工上の掘削幅などは、構造物本体の体積とは区別しなければなりません。盛土から控除する対象が構造物本体なのか、一般盛土材以外の材料で置換される範囲全体なのかは、材料計画、積算、出来高管理などの目的に合わせて決めます。
計算ポイント3 中空部や充填部を区別して実体積を算出する
三つ目のポイントは、構造物の外形体積、構造材料の実体積、盛土材が入らない占有空間を区別することです。ボックス状の構造物、管路、マンホール状の構造物、地下槽などは内部が空洞になっています。外形寸法だけで体積を求め、その全てをコンクリートや鋼材の材料体積として扱うと、構造物材料量は過大になります。
ただし、盛土量から何を控除するかという観点では、内部空間の扱いに注意が必要です。内部が空洞であり、その空間に土が入らない構造であれば、一般盛土材が占められない範囲は外形で囲まれた空間です。そのため、物理的な盛土材所要量を求める目的では、外形体積を控除候補とする考え方が適切な場合があります。
一方、コンクリートや鋼材など構造物材料の実体積を求める場合は、外形体積から内空体積を差し引きます。同じ構造物でも、盛土控除候補と構造物材料量では計算対象が異なることになります。
たとえば、外幅2メートル、外高2メートル、延長10メートルのボックス状構造物が盛土内に完全に収まる場合、一般盛土材が入らない外形空間は40立方メートルです。内空が幅1.5メートル、高さ1.5メートルであれば、内空体積は22.5立方メートルですが、この内空にも通常は盛土材を充填しません。したがって、材料所要量の計算では、外形体積の40立方メートルを控除候補とします。ただし、設計数量で実際に控除する値は、適用する数量算出要領と元の盛土モデルの作り方を確認して決定します。
構造物内部を流動化処理土、モルタル、発泡材、現地発生土などで充填する設計であれば、充填される材料の種類に応じて数量を分けます。内部を現地発生土で埋めるなら、その充填土を造成盛土量に含めるのか、別工種の埋戻しとして計上するのかを統一しなければなりません。
管路についても同様です。管の材料体積は外径で求めた円柱体積から内径で求めた円柱体積を差し引きますが、一般盛土材が入らない空間は、通常は外径を基準とした円柱体積です。内径部分は空洞であっても、その場所に盛土材を詰めるわけではないためです。ただし、小口径管などは積算基準上で控除しない場合があるため、外径体積を求めたことと、数量から実際に差し引くことを分けて判断します。
さらに、構造物の周囲に基礎材、裏込め材、保護砂などを施工する場合は、一般盛土材以外の材料で置き換わる範囲も材料所要量から除外されます。この場合は、構造物外形だけでなく、材料区分ごとの施工断面を作成し、一般盛土、基礎材、保護材、埋戻し材を分離して集計します。
重要なのは、「空洞だから控除しない」「材料が存在する部分だけ控除する」と一律に判断しないことです。求めたい数量が、一般盛土材の必要量なのか、構造材料の実体積なのか、発注数量なのかによって、使用する体積と控除ルールが変わります。
計算ポイント4 基礎や埋設物の高さ基準を統一する
四つ目のポイントは、全ての高さを共通の基準で管理することです。構造物の占有体積を盛土量から控除するときは、現況地盤高、計画地盤高、床付け高、基礎下面高、構造物上面高など、多くの高さ情報を扱います。これらの基準が混在すると、控除範囲を正しく判定できません。
設計図には、標高で記載された高さ、計画面からの深さ、構造物天端からの寸法などが混在している場合があります。計算時には、全てを同一の標高基準へ変換するか、基準面からの相対高さへ統一します。
たとえば、計画地盤高が100.00メートル、基礎下面が計画地盤から2.00メートル下、基礎上面が計画地盤から0.50メートル下であれば、基礎下面高は98.00メートル、基礎上面高は99.50メートルです。現況地盤高が99.00メートルなら、盛土領域内に入る基礎部分は99.00メートルから99.50メートルまでの0.50メートル分です。
ここで基礎全高1.50メートルを控除すると、現況地盤より下の1.00メートル分まで盛土量から差し引くことになります。基礎の外形体積が正しくても、高さ方向の重複判定が誤っていれば、正味盛土量は正しくなりません。
構造物が長い場合は、始点と終点で地盤高が異なることがあります。管路やボックス状構造物では、構造物自体にも縦断勾配が付くため、盛土領域との重複高さが延長方向に変化します。この場合、構造物全体に一つの平均地盤高を適用するのではなく、測点ごとに重複断面積を求めて区間体積を計算します。
現況地盤面が不規則な場合は、構造物の四隅や中心線上の高さを確認し、必要に応じて区画を細分化します。局所的なくぼみや盛り上がりを無視すると、構造物が盛土内に入る割合を誤る可能性があります。
高さ基準の統一では、単位にも注意します。図面寸法がミリメートル、測量成果がメートルの場合、変換漏れがあると体積が大きくずれます。体積計算へ入力する前に、水平寸法と高さ寸法を原則として同じ単位へ統一します。
また、施工基面と完成面を混同しないことも重要です。舗装、表層、路盤、床版などが計画地盤面より上または下にある場合、どの面までを盛土として計上しているかを確認します。盛土計画面が路床面なのか、仕上がり面なのかによって、構造物との重複範囲が変わります。
計算ポイント5 掘削量と埋戻し量を盛土量から分離する
五つ目のポイントは、構造物設置のための掘削と、設置後の埋戻しを、造成盛土とは分けて考えることです。構造物が盛土範囲にある場合でも、施工順序によっては、一度盛土した後に掘削して構造物を設置することがあります。また、先に構造物を施工してから周囲を盛り立てることもあります。
完成形の体積だけを比較すれば、最終的な土の占有量は求められます。しかし、施工数量や土砂運搬量を管理する場合は、途中の掘削、仮置き、再利用、埋戻しまで考慮しなければなりません。
造成前に構造物を設置し、その周囲を盛土する場合は、完成形の盛土領域から構造物外形や他材料の範囲を控除する方法で整理しやすくなります。これに対して、盛土完成後に床掘りを行う場合は、当初の盛土量、構造物設置のための掘削量、構造物体積、基礎材、埋戻し量を別々に計算します。
床掘り量をVe、床掘り空間内にある構造物外形体積をVs、基礎材など土以外の材料体積をVmとすると、単純化した埋戻し可能空間Vrは、Vr=Ve-Vs-Vmで表せます。ただし、掘削法面、支保工、段掘り、複数材料の境界がある場合は、床掘り形状と構造物外形の差を断面または三次元形状で求める必要があります。また、図面に埋戻し線が指定されている場合は、その範囲を優先します。
この埋戻し量を造成盛土量へそのまま加えるかどうかは、工事数量の区分によって異なります。造成盛土と構造物周囲の埋戻しでは、使用材料、締固め方法、施工幅、品質管理基準が異なることがあります。そのため、体積としては土であっても、数量表では別項目として管理することが一般的です。
発生土を埋戻しへ再利用する場合も、体積の状態をそろえる必要があります。地山状態の掘削土量、ほぐした状態の運搬土量、締固め後の埋戻し量は、同じ土でも体積が一致しないことがあります。盛土量から構造物体積を控除しただけでは、必要な搬入量や運搬台数を直接求められない点に注意が必要です。
また、構造物の施工に伴う余掘り幅を、完成形の盛土控除へ含めないようにします。余掘り部分は施工中には空間となりますが、完成時には埋戻されるため、最終的な盛土材または埋戻し材の占有範囲です。構造物外形と床掘り外形を混同すると、余掘り空間まで恒久的に控除し、必要土量を過小に算定する可能性があります。
計算ポイント6 施工段階別に控除量を管理する
六つ目のポイントは、施工段階に応じて控除量を管理することです。造成工事では、全ての構造物が同じ時期に完成するとは限りません。先行して設置する構造物、盛土途中で設置する構造物、盛土完成後に掘削して設置する構造物が混在することがあります。
完成形だけを対象にした設計数量では、最終的な盛土体積と構造物の占有関係を整理します。しかし、月別の施工計画、搬入計画、出来高管理では、各時点で実際に投入する土量と移動する土量を把握する必要があります。
たとえば、第1段階で盛土を中間高さまで施工し、第2段階で管路を設置し、第3段階で最終高さまで盛土する場合を考えます。この場合、第1段階では管路より下の盛土量を計上し、第2段階では床掘り、基礎材、管路、埋戻しを計上し、第3段階では管路上部の盛土量を計上します。
最終完成時の正味盛土量だけを各段階に割り振ると、床掘りによる一時的な土砂移動や再利用量が見えなくなります。施工管理では、完成形数量、契約上の数量、施工過程の取扱土量を別の集計軸として持つことが重要です。
構造物台帳には、構造物名称、設置区間、平面範囲、下端高、上端高、外形体積、盛土領域との物理的な重複体積、積算上の控除体積、施工時期、計上工種などを記録します。構造物ごとに一意の管理番号を設定すれば、設計変更や施工範囲の変更があったときも追跡しやすくなります。
工区を分割して数量を管理する場合は、構造物が複数工区にまたがっていないかを確認します。一つの構造物を工区ごとに分割して控除した後、全体集計でも再び控除すると二重控除になります。反対に、全体数量でのみ控除し、工区別数量では控除しないと、各工区の盛土量が過大になる可能性があります。
施工段階別の管理では、計画値、実績値、残数量を同じ基準で比較することが大切です。計画値が締固め後体積で、実績値が搬入車両の荷台容量であれば、単純比較はできません。構造物の控除量についても、完成形の占有体積なのか、適用基準に基づく設計控除量なのか、当該期間に施工した構造物の体積なのかを明示します。
構造物別に確認したい控除の考え方
構造物の種類によって、盛土量から控除する候補範囲は異なります。基礎では、フーチングや地中梁のうち盛土領域と重なる部分を把握します。現況地盤より下に施工される部分は、造成盛土として計上していなければ物理的な控除対象にはなりません。
擁壁では、底版、竪壁、控え壁などの構造体に加え、裏込め材や排水層の区分を確認します。裏込め材を造成盛土とは別の材料として計上する場合、その範囲は一般盛土材の所要量から除外します。ただし、底版上や竪壁背面に施工する土を、全て構造物体積として控除しないよう注意が必要です。
管路では、一般盛土材が入らない物理的な範囲として外径を基準に体積を求める方法があります。ただし、管周囲に保護砂や基礎材を設ける場合は、その施工断面全体を材料別に分けます。管の内空を土で満たさない限り、内空部分も一般盛土材の占有空間にはなりません。一方で、小口径管や小規模構造物は数量算出要領上で控除しない場合があるため、径や断面積だけで機械的に差し引かないことが重要です。
ボックス状構造物では、外形と盛土領域の重複体積を求め、周囲や上部の埋戻しを別に算定します。翼壁や張出し部がある場合は、本体だけでなく付属部分も重複範囲に含めます。斜角が付く構造物では、平面上の投影長と実際の構造物延長を混同しないことが重要です。
集水ますや点検用のますでは、外形が段付きになっていることがあります。上部と下部で幅が異なる場合、最大外形を全高に掛けるのではなく、段ごとに分けて計算します。接続管がます本体へ入り込む部分は、本体体積と管体積を単純に合算すると重複するため、接合部の扱いを決めます。
地下槽では、外形全体が盛土領域に入るか、現況地盤より下に設置されるかを確認します。上部に点検口や突出部がある場合、計画面を超える部分は物理的な盛土控除候補に含めません。周囲に流動化処理土などを充填する場合は、一般盛土量とは別に集計します。
建物基礎では、独立基礎、連続基礎、地中梁、床下空間などの組み合わせが複雑になります。基礎の外形だけでなく、建物内側の床下に土を入れるのか、空間を残すのかによって材料所要量が変わります。構造図だけで判断せず、造成計画、基礎伏図、断面図、外構図を照合する必要があります。
どの構造物でも、最終判断は適用する数量算出要領、特記仕様書、設計図書、発注者との協議条件に従います。材料手配のために求めた占有体積を、そのまま設計変更や出来高の数量へ転用しないことが安全です。
平均断面法で控除体積を扱う方法
道路や長い造成区間では、横断面ごとに盛土断面積を求め、隣接断面の平均面積に距離を掛ける平均断面法が用いられます。構造物が区間内に存在し、適用基準上も控除する場合は、盛土断面積から構造物の重複断面積を差し引いた正味断面積を使う方法があります。
測点1の盛土断面積をA1、測点2の盛土断面積をA2、両測点間距離をLとすると、区間の盛土体積Vは、V=(A1+A2)÷2×Lで求められます。
測点1における構造物との重複断面積をS1、測点2における重複断面積をS2とすれば、正味盛土断面積はA1-S1とA2-S2です。控除を適用する区間の正味盛土体積Vnは、Vn={(A1-S1)+(A2-S2)}÷2×Lとなります。
ただし、適用基準により当該構造物を控除しない場合は、積算上のS1、S2をゼロとして扱います。材料所要量の確認では物理的な重複断面積を残し、積算計算では控除規定に応じた断面積を使用すると、目的の違いを明確にできます。
構造物が区間の途中から始まる場合、構造物の開始位置に追加断面を設けます。たとえば、測点間距離が20メートルで、構造物が中間の8メートル地点から始まる場合、20メートル区間をそのまま平均すると、構造物が存在しない区間にも控除が広がってしまいます。
構造物の開始点、終了点、断面形状が変わる位置、地盤との交差状態が変わる位置には、補助断面を設けるのが安全です。特に、構造物が計画面へ出入りする位置では、重複断面積がゼロから増加したり、途中でゼロになったりします。
管路が道路方向に平行で、断面形状が一定の場合でも、地盤高や計画高が変化すると盛土領域内に入る割合が変わります。全区間で外径断面積を一律に控除するのではなく、各断面で円形のうち盛土領域に入る部分を確認します。
平均断面法は計算過程を説明しやすい一方、断面間で形状が急変する場所では誤差が生じやすくなります。構造物の端部や段差部では断面間隔を狭くし、実際の形状変化を反映させることが重要です。国土交通省の数量算出要領でも、体積は数学公式または平均断面法で算出し、CADソフトによる結果は適宜確認したうえで適用する考え方が示されています。国土交通省地図情報提供システム
三次元データで重複体積を求める方法
三次元データを利用できる場合は、現況地盤面、計画面、構造物モデルを同じ座標上に配置し、盛土領域と構造物の重複体積を求める方法があります。複雑な形状、傾斜地、構造物が多い造成地では、断面計算よりも形状を把握しやすくなります。
まず、現況地盤面と計画面から盛土領域を作成します。計画面が現況地盤面より高い部分だけを抽出し、上下を閉じた立体として扱える状態にします。次に、構造物の外形を立体化し、盛土領域との共通部分を抽出します。この共通部分の体積が、物理的な控除候補になります。
三次元計算では、モデルが閉じた立体になっていることが重要です。面の欠落、重複面、自己交差、法線方向の不整合などがあると、体積を正しく計算できないことがあります。見た目では閉じているように見えても、わずかな隙間があると立体として認識されない場合があります。
座標系や単位も統一します。現況地盤がメートル単位、構造物がミリメートル単位のまま読み込まれると、長さが千倍となり、体積はさらに大きく誤ります。平面位置が合っていても、高さの基準が異なれば、重複体積は正しく求められません。
また、設計モデルには施工上の余裕や仮設形状が含まれることがあります。盛土量から恒久的に控除する候補は、完成時に一般盛土材が存在しない範囲です。仮設の掘削形状をそのまま構造物控除へ使うと過大控除になります。
三次元計算で得た体積は、代表断面や概算式でも照査します。たとえば、ほぼ直方体の構造物なら、長さ×幅×平均重複高さで概算し、三次元計算結果と大きく異ならないか確認します。複雑な処理を行った結果ほど、単純な別手法による確認が有効です。
国土交通省のBIM/CIMモデル作成要領でも、盛土の部位や構造物ごとに数量を集計できるよう属性を付与し、平均断面法と同様の断面を基にサーフェスを作成する考え方が示されています。三次元モデルを使う場合も、数量区分と計算条件を明示し、モデルが自動的に正解を保証するわけではない点に注意が必要です。国土交通省
現況測量を更新した場合は、構造物の重複体積も再計算する必要があります。現況地盤面が変われば、構造物のうち盛土領域へ入る高さも変わるためです。設計変更で構造物位置や寸法が変わった場合も、旧モデルが集計に残っていないかを確認します。
さらに、三次元モデルで算出した物理的な重複体積と、数量算出要領に基づく控除体積は別に管理します。小規模構造物を控除しない規定がある場合、ブーリアン演算で重複体積が算出されても、積算数量では差し引かないことがあります。
計算例で見る盛土量と構造物控除量
ここでは、単純化した例で計算の流れを確認します。造成範囲の総盛土体積が、現況地盤面と計画面の比較によって1,500立方メートルと算出されたとします。この範囲内に、長さ12メートル、幅3メートル、高さ2メートルのボックス状構造物を設置します。ここでは、元の盛土体積に構造物の穴が反映されておらず、適用基準上も当該構造物を控除する条件と仮定します。
構造物の下端高は98.50メートル、上端高は100.50メートルです。構造物位置の現況地盤高は99.20メートル、計画地盤高は101.00メートルとします。
盛土領域と構造物が重なる下端は、構造物下端高98.50メートルと現況地盤高99.20メートルのうち高い方なので99.20メートルです。重なる上端は、構造物上端高100.50メートルと計画地盤高101.00メートルのうち低い方なので100.50メートルです。
したがって、重複高さは100.50-99.20=1.30メートルです。構造物と盛土領域の重複体積は、12×3×1.30=46.8立方メートルとなります。
この例では、構造物全体の外形体積は12×3×2=72立方メートルですが、そのうち現況地盤より下にある0.70メートル分は、当初の総盛土体積に含まれていません。そのため、72立方メートル全てを控除するのではなく、盛土領域内の46.8立方メートルだけを控除します。
一般盛土材の正味量は、1,500-46.8=1,453.2立方メートルです。
さらに、構造物側面の両側に、延長12メートル、片側幅0.40メートル、平均高さ1.00メートルの保護材を施工し、その範囲が全て盛土領域内にあるとします。保護材の体積は、12×0.40×1.00×2=9.6立方メートルです。
この保護材は構造物外形と平面的にも立体的にも重ならない側方部分として計算します。構造物体積と保護材体積が重なる形状であれば、重複部分を二重に差し引かないよう、材料境界を修正しなければなりません。
保護材9.6立方メートルが全て一般盛土材から置き換わる条件であれば、一般盛土材の正味量は、1,500-46.8-9.6=1,443.6立方メートルです。ただし、数量表では構造物控除46.8立方メートルと保護材置換9.6立方メートルを別項目として残す方が、後から確認しやすくなります。
この計算例は、材料所要量と控除計算の流れを示すための単純化した例です。実際の設計数量では、構造物の断面積、適用する非控除規定、構造物端部の形状、地盤勾配、材料区分、丸め方法を確認します。小規模構造物を控除しない基準が適用される場合は、物理的な占有体積を把握していても、積算上の盛土数量からは差し引かないことがあります。
控除漏れと二重控除を防ぐ照査方法
盛土量から構造物体積を控除する計算では、控除漏れと二重控除の両方が発生します。控除漏れは、控除すべき構造物を盛土量に含めたままにする誤りです。二重控除は、盛土断面積や三次元モデルから既に構造物を除外しているのに、集計後の体積から再び構造物体積を差し引く誤りです。
最初に確認したいのは、元の盛土体積がどの形状から作成されたかです。計画面に構造物の穴があらかじめ設定されている場合、計算された盛土体積は既に構造物範囲を除外している可能性があります。その状態で別途控除すると二重控除になります。
反対に、計画面が造成後の連続面として作られ、構造物を無視している場合は、物理的な重複体積を求める必要があります。そのうえで、適用基準に従って控除するかどうかを決めます。計算結果だけを見るのではなく、元データの作成条件と数量算出条件を確認します。
次に、構造物一覧と控除一覧を照合します。設計図にある全構造物について、控除対象、非控除規定の対象、対象外、別工種で処理済みのいずれかを記録します。対象外とした構造物については、現況地盤より下にある、計画面より上にある、盛土区域外にある、適用基準で控除しないなどの理由を残します。
平面図では、構造物の配置と盛土区域を重ね、区域外の構造物を誤って控除していないか確認します。縦断面や横断面では、高さ方向の重複を確認します。平面と断面の両方で重なって初めて、物理的な控除候補となります。
概算照査では、控除率を見る方法もあります。盛土量が1,000立方メートルで、小規模な管路が数本あるだけなのに控除量が300立方メートルとなっていれば、寸法単位、延長、直径、半径、数量区分の入力を疑うべきです。ただし、適正な控除率は工事条件によって異なるため、率だけで正誤を断定することはできません。
構造物ごとの体積を外形寸法で概算し、詳細計算結果と比較することも有効です。詳細値が概算値を上回る場合は、構造物の重複計上や、余掘り範囲の混入を確認します。詳細値が極端に小さい場合は、高さ基準、区域境界、非控除規定の設定を確認します。
設計変更時には、旧構造物の削除、新構造物の追加、寸法変更、位置変更を区別します。旧モデルと新モデルが同時に残ると、二つの構造物を控除する可能性があります。変更前後の差分を確認し、集計対象の版を明示します。
最終的な計算書には、総盛土体積、物理的な構造物重複体積、適用基準による非控除体積、実際の構造物控除体積、他材料による置換体積、正味盛土体積を分けて示します。差し引き後の数値だけを残すと、どの構造物を何立方メートル控除したのか、なぜ控除しなかったのかを追跡できません。
丸め処理も最後に統一します。構造物ごとの体積を整数へ丸めてから合計する方法と、小数を保持して合計後に丸める方法では結果が異なることがあります。設計数量、発注数量、施工管理値のそれぞれで採用する桁数を決め、途中計算では必要な精度を保持します。
まとめ
構造物の占有体積を盛土量から控除するときは、構造物の全体積を単純に差し引くのではなく、盛土として計上した領域と構造物が重なる部分を最初に求めることが基本です。
まず、現況地盤面と計画面の間にある盛土領域を確定し、構造物の下端高と上端高を同じ高さ基準で比較します。次に、構造物を直方体、台形柱、円柱などの基本形状へ分割し、段差や張出しを含めて重複体積を算出します。
中空構造物では、一般盛土材が入らない外形空間と、構造材料そのものの実体積を区別しなければなりません。管路やボックス状構造物の内部が空洞であっても、そこに盛土材が入らないのであれば、材料所要量の計算では外形を基準にする場合があります。
ただし、物理的な占有体積がそのまま設計数量の控除量になるとは限りません。適用する数量算出要領によっては、盛土中の小規模な建造物を控除しない規定があります。材料計画用の正味土量、積算用の数量、出来高管理用の数量を分け、発注者基準と設計図書を優先することが重要です。
また、構造物設置に伴う床掘り、基礎材、保護材、埋戻しは、造成盛土と混在させず、材料区分や工種ごとに集計します。施工順序によっては、完成形の正味盛土量と、実際に搬入・掘削・再利用する土量が一致しません。
計算後は、元の盛土体積に構造物範囲が既に反映されていないかを確認し、二重控除を防ぎます。構造物一覧、平面図、断面図、数量計算書を照合し、物理的な重複体積、積算上の控除可否、対象範囲、計算根拠を追跡できる状態にしておくことが大切です。
現場で取得した地形データと計画面を比較し、構造物の位置を同じ座標上で確認できれば、複雑な盛土範囲でも重複箇所を把握しやすくなります。計測から土量確認までの作業を効率化したい場合は、LRTK Phoneの対応機能、計測条件、出力形式を確認したうえで、現場計測と体積計算の運用方法を検討してください。