LRTKレフィクシア株式会社

切土部の湧水処理で増える掘削量を見込む6つの確認項目

切土部の湧水処理で掘削量が増える理由

切土工事では、設計図に示された地形や計画高を基準に掘削量を算出します。しかし、実際の現場で湧水が発生すると、設計断面どおりに掘削するだけでは施工を継続できない場合があります。水を集めるための排水溝や集水ますを設けたり、水によって軟弱化した地盤を除去したりすることで、当初想定していた切土量より実際の掘削量が増えるためです。

湧水処理による追加掘削は、完成後の構造物として残る部分だけではありません。施工中だけ使用する仮排水路、排水ポンプの設置場所、配管を通す溝、作業員が安全に点検するための余裕幅なども掘削量に影響します。また、湧水によって法面が不安定になった場合には、勾配を緩くしたり、小段を追加したりするために、計画断面の外側まで掘削することがあります。

こうした追加分を事前に見込まず、当初設計の切土量だけで土量収支を計画すると、搬出車両の不足、仮置き場の容量超過、埋戻し材の不足、工程の遅延といった問題につながります。現場から搬出する土量が増えれば、処分先や運搬経路の再調整も必要です。反対に、追加掘削土を盛土材として再利用する計画であれば、含水状態や土質を確認し、利用可能な土と利用しにくい土を分けて管理しなければなりません。

切土・盛土の体積計算では、単に掘削前後の地表面を比較するだけでなく、なぜ掘削量が増えたのかを原因別に整理することが重要です。湧水処理に伴う追加掘削を明確にするには、湧水の位置、排水施設の形状、地盤の軟弱化範囲、仮設設備の配置、法面変更の有無、時間による湧水量の変化を順番に確認する必要があります。

なお、湧水処理の方法や追加掘削の範囲は、地質、地下水位、周辺構造物、施工深さ、現場条件によって異なります。現場判断だけで大きく掘削範囲を変更するのではなく、設計図書、施工計画、現場の管理基準を確認し、必要に応じて発注者、設計担当者、地盤に関する技術者などと協議することが大切です。

確認項目1 湧水の発生位置と流入範囲を確認する

最初に確認したいのは、湧水がどこから発生し、どの範囲に流れ込んでいるかです。切土面の一部から点状に水が出ている場合と、地層の境界に沿って広い範囲から浸み出している場合では、必要な排水方法と追加掘削量が大きく異なります。

湧水の発生位置は、切土法面、床付け面、地層の境界、岩盤の割れ目、既設排水施設の周辺などに分けて記録します。床付け面から湧水している場合は、作業面に水が広がりやすく、掘削機械の走行性や地盤支持力に影響します。法面から湧水している場合は、表面侵食や土砂流出だけでなく、法面内部の水圧上昇による不安定化にも注意が必要です。

湧水の流入範囲を把握するときは、水が見えている部分だけを対象にしないことが重要です。表面に水が現れていなくても、地盤内部に水分が多く含まれ、掘削や重機走行によって急に軟弱化することがあります。湧水点の周辺に変色、細粒分の流出、ぬかるみ、局所的な沈下などがないかを確認し、処理が必要な範囲を平面的かつ立体的に捉えます。

追加掘削量を計算するには、湧水点の位置を座標や測点で記録し、湧水の影響範囲を平面図上に表します。現場で簡易的に記録する場合でも、法尻からの距離、施工基準点からの方向、標高、掘削段階などを残しておくと、後から体積を算出しやすくなります。

湧水の影響範囲が不整形な場合は、単純な縦、横、深さの掛け算では誤差が大きくなります。複数の断面を設定して平均断面法で求める方法や、掘削前後の三次元計測結果から差分を求める方法が適しています。特に、湧水点を中心としてすり鉢状に掘り下げた場合や、地層に沿って細長く追い掘りした場合は、直方体として計算すると過大計上になりやすいため注意が必要です。

湧水位置の記録では、日付と気象条件も重要です。前日までの降雨による一時的な浸透水なのか、常時流入する地下水なのかによって、施工期間中に必要となる掘削範囲が変わります。一度の観察だけで判断せず、掘削の進行に合わせて湧水点と流入範囲を更新することで、土量計算の精度を高められます。

確認項目2 排水溝と集水ますの追加掘削量を確認する

湧水処理では、水を作業面から安全に排除するため、排水溝や集水ますを設けることがあります。これらは計画切土断面より深く、または外側に掘削される場合があり、追加掘削量として把握する必要があります。

排水溝の体積は、基本的には断面積と延長から求められます。例えば、底幅、深さ、法勾配が一定であれば、その断面積に施工延長を掛けることで概算できます。ただし、実際の排水溝は始点から集水ますに向かって勾配を設けるため、深さが一定とは限りません。始点と終点で深さが異なる場合は、両端の断面積を平均し、延長を掛ける平均断面法で計算すると実態に近づきます。

底幅が0.5メートル、平均深さが0.4メートル、延長が30メートルの長方形断面の排水溝であれば、概算体積は0.5×0.4×30で6立方メートルです。しかし、側壁に勾配を設ける場合や、崩れを防ぐために上部を広げる場合は、底幅だけで計算してはいけません。上幅と底幅の平均に深さを掛けて断面積を求め、施工延長に乗じます。

集水ますは、排水ポンプを設置し、水を一時的に集めるために作られる掘削部です。平面寸法と深さだけでなく、作業員がポンプを設置、交換、清掃するための余裕幅を含めて計算する必要があります。例えば、使用する容器や設備自体が小さくても、周囲の地盤が崩れやすければ、法面をつけて大きく掘削することがあります。この場合は、底面寸法ではなく、掘削上端を含む実際の形状から体積を求めます。

排水溝と集水ますが接続する部分では、掘削範囲が重なります。それぞれを別々に計算して単純に合計すると、重複部分を二重計上する可能性があります。平面図や三次元形状で重なりを確認し、集水ますの体積から排水溝との重複分を控除するなど、計算範囲を明確にします。

また、湧水が多い現場では、一度設けた排水溝が土砂で埋まり、再掘削が必要になることがあります。再掘削で発生した土砂量を、新たな地山掘削として扱うのか、排水施設の維持管理として扱うのかは、工事の契約条件や数量算定方法によって異なります。実際に土砂を搬出していても、すべてが追加の切土数量として認められるとは限りません。施工前に数量区分を確認し、掘削、清掃、浚渫、運搬などの作業を混同しないことが重要です。

恒久的な排水施設として残る掘削と、施工中だけ使用する仮排水施設の掘削も分けて整理します。完成形状に含まれる排水溝は設計切土量に含まれていることがありますが、仮設の集水ますや仮排水路は含まれていない可能性があります。設計図面の断面と実施工形状を照合し、追加分だけを抽出することが、正確な切土体積計算の基本です。

確認項目3 軟弱化した地盤の除去範囲を確認する

湧水が床付け面や施工基面に広がると、土が練り返され、設計上必要な支持力や締固め条件を確保できなくなることがあります。このような場合、軟弱化した土を取り除き、良質な材料や砕石などに置き換える処理が行われます。除去した土の体積は、当初計画より増えた掘削量として把握する必要があります。

軟弱化した範囲は、目視だけで一律に決めるのではなく、土質、含水状態、沈み込み、施工機械の走行状況、現場で定められた確認方法などを基に判断します。表面だけがぬかるんでいるように見えても、下層まで乱れている場合があります。一方で、表面に水があっても地盤自体の状態は保たれており、排水と乾燥によって使用できる場合もあります。

除去範囲を測る際は、平面積と平均除去深さを記録します。除去深さがほぼ一定であれば、平面積に平均深さを掛けて概算できます。しかし、軟弱層の厚さが場所によって異なる場合は、範囲を複数の区画に分け、それぞれの平均深さを用いる方が正確です。

例えば、影響範囲が80平方メートルあり、平均除去深さが0.25メートルであれば、追加掘削量は概算で20立方メートルです。ただし、除去範囲の周囲をなだらかにすり付けるために掘削している場合は、単純な平面積と最大深さの掛け算では過大になります。掘削前後の断面を複数箇所で測り、断面積の差から体積を求める方法が適しています。

軟弱土の除去量と置換材の投入量は、同じ値になるとは限りません。掘削面の凹凸、材料の締固め、地盤への食い込み、排水層の追加などによって差が生じます。また、掘削した地山状態の体積と、運搬車両に積み込んだほぐれた状態の体積も異なります。切土量を管理するときは、地山状態の体積、ほぐした状態の体積、締め固めた状態の体積を混同しないよう、どの状態の数量を扱っているか明示します。

湧水によって軟弱化した土は、盛土材としてそのまま利用できないことがあります。含水状態が高すぎる材料を無理に盛土へ転用すると、締固め不足や沈下の原因になります。追加掘削土を切盛バランスに組み込む場合は、体積だけでなく、土質と含水状態も記録することが重要です。

なお、軟弱化した地盤をどの深さまで除去するかは、構造物の重要度や施工基面の要求性能によって変わります。現場担当者が数量調整だけを目的として範囲を決めるのではなく、必要な性能を確認したうえで、承認された範囲を計測対象とします。

確認項目4 ポンプや配管の設置スペースを確認する

湧水を排出するためのポンプや配管を設置する際は、設備そのものの寸法だけでなく、施工と維持管理に必要なスペースを確保します。そのため、集水ますの拡幅、配管溝の掘削、設備周辺の作業床造成などによって、切土量が増えることがあります。

ポンプ設置部では、水を集める容量に加え、吸込み口が土砂で閉塞しにくい深さ、設備を安定して置くための底面、清掃や交換を行うための作業余裕が必要です。掘削深さが深くなる場合は、側壁の崩壊を防ぐために法勾配や土留めを検討する必要があり、掘削上端の範囲が広がります。

配管溝については、配管の外径だけで幅を決めると、接続、固定、点検、撤去が難しくなります。実際の掘削幅は、配管径、継手部の寸法、埋戻し方法、作業スペース、周辺地盤の安定性などによって決まります。複数本の配管を並べる場合や、途中に曲がりがある場合は、直線部分より広い掘削範囲が必要になることがあります。

また、ポンプでくみ上げた水を排出先まで導くため、切土区域の外側に配管を通すことがあります。地表に仮置きできれば掘削は不要ですが、重機の走行経路を横断する場合や、勾配を確保する必要がある場合は、地中に埋設することがあります。この配管溝が当初の施工範囲に含まれているかを確認し、含まれていなければ追加掘削として記録します。

設備設置部の掘削量を計算するときは、設備のカタログ寸法ではなく、現場で実際に掘削した上端、底面、深さを測ることが重要です。特に、側壁に勾配がある場合は、底面積に深さを掛けるだけでは体積を過小評価します。上面積と底面積が異なる掘削形状では、複数断面を測定するか、三次元形状として計算します。

湧水量が増え、施工途中でポンプの台数や能力を変更すると、設置場所を追加することがあります。最初の集水ますを拡張したのか、別の場所に新設したのかを記録し、既存掘削との重なりを確認します。拡張前後の全体体積をそれぞれ計算し、その差を追加分とすることで、同じ範囲を繰り返し計上するミスを防げます。

ポンプや配管は仮設設備であることが多いため、その設置に伴う掘削が切土数量として扱われるかどうかは、工事の数量区分によって異なります。体積を計測することと、契約上の数量として計上できることは別の問題です。現場では実掘削量を記録しつつ、積算や出来高管理では定められた区分に従って整理します。

確認項目5 法面の安定確保に必要な掘削を確認する

切土法面から湧水が発生すると、土の強度低下、表面侵食、細粒分の流出、局所的な崩落などが起こる可能性があります。そのため、当初の法勾配を変更したり、小段を広げたり、排水施設を追加したりすることで、設計断面より掘削量が増えることがあります。

法面勾配を緩くすると、法肩側の掘削範囲が外側へ広がります。例えば、同じ法高でも急な勾配から緩い勾配へ変更すれば、水平距離が長くなり、断面積が増えます。追加掘削量は、変更前の断面と変更後の断面の差を求め、それを施工延長方向に展開して計算します。

ただし、法面は全区間で同じ高さとは限りません。道路や造成地の切土では、地形に合わせて法高が連続的に変わります。代表断面だけを全延長に適用すると、実際の追加量と大きくずれる可能性があります。測点ごとに変更前後の断面積を算出し、隣り合う断面積の平均に測点間距離を掛けて体積を求める方法が有効です。

小段を追加する場合も、追加掘削量を確認します。小段は法面途中に設ける水平または緩勾配の部分で、排水や点検、法面の安定確保に利用されます。当初設計にない小段を追加すれば、その奥行き分だけ法面が後退し、切土量が増えます。小段の幅、延長、高さ、接続部の形状を測り、変更前後の断面差として計算します。

法面の湧水を集めるため、法面途中に水平排水溝や縦排水溝を設けることもあります。これらの溝は小さく見えますが、長い法面全体に施工すると一定の土量になります。法面表面に沿った延長ではなく、体積計算に使用する実際の掘削断面と施工延長を整理し、他の法面掘削と重ならないようにします。

湧水箇所だけを局所的に掘り直す場合は、掘削範囲が不規則になります。崩落土を取り除いた後、安定した地盤まで追い込むと、当初想定より奥行きが増えることがあります。このような形状を直方体で近似すると誤差が大きいため、掘削前後の法面を複数方向から計測し、表面差分として算出する方法が適しています。

法面変更は安全性に関係するため、土量だけを見て判断してはいけません。湧水の原因、地層の傾斜、割れ目、地下水の流れ、法面高さ、周辺施設への影響などを確認し、承認された形状を施工します。掘削量の算定では、施工上必要だった範囲と、崩れや掘り過ぎによって生じた範囲を区別して記録することが重要です。

確認項目6 湧水量の変動と施工段階ごとの差を確認する

湧水量は常に一定とは限りません。降雨後に急増する場合、掘削深さが地下水位に近づいた段階で増える場合、特定の地層を掘り抜いた時点で流入する場合などがあります。そのため、着工前や掘削初期の状況だけで追加掘削量を見込むと、施工後半に数量が不足することがあります。

施工段階ごとに、湧水位置、流量の変化、排水方法、追加した設備、掘削範囲を記録します。例えば、一次掘削では表面排水溝だけで対応できても、二次掘削で地層境界から湧水が発生し、集水ますやポンプの増設が必要になることがあります。この場合、一次掘削と二次掘削の追加量を分けて記録すると、増加原因を説明しやすくなります。

降雨による一時的な水と、地下水による継続的な湧水も区別します。雨水が施工面に流れ込んでいる場合は、上部の仮排水や法肩排水によって改善できることがあります。一方、地下から継続的に流入する場合は、掘削完了まで排水設備を維持する必要があり、設備周辺の掘削や維持管理作業が増える可能性があります。

湧水量を記録する際は、厳密な流量測定が難しい場合でも、ポンプの稼働時間、使用台数、水位の変化、排水状況などを残します。ただし、ポンプの公称能力だけから実際の湧水量を推定すると、揚程、配管抵抗、土砂詰まり、間欠運転などの影響を受けます。数量管理の根拠として用いる場合は、測定条件と推定方法を明確にします。

掘削量の変化は、日ごとまたは施工段階ごとの計測で確認します。施工前と完成後の二時点だけを比較すると、その間に仮排水溝を掘って埋め戻した部分や、集水ますを移設した履歴を把握できません。完成時には元の地盤形状に戻っている仮設掘削は、最終形状だけの比較では数量に現れないためです。

この問題を防ぐには、仮設排水施設を埋め戻す前、軟弱土を除去した直後、法面を修正した直後など、形状が変化する節目で計測します。各時点の計測結果を保存し、どの工程で何立方メートル増えたかを整理すると、施工後の数量確認が容易になります。

季節的な地下水位の変動も考慮が必要です。施工期間が長い場合、着工時は乾燥していても、降雨期や融雪期などに湧水が増えることがあります。過去の現地状況、周辺の地形、地質調査結果、施工時期を確認し、必要に応じて追加掘削の予備量や仮置き場の余裕を計画します。ただし、予備量は実績数量とは分けて管理し、想定値をそのまま出来高として扱わないようにします。

湧水処理による追加掘削量の計算方法

湧水処理による追加掘削量は、原則として当初設計の掘削形状と、湧水処理後に実際に形成された掘削形状との差から求めます。計算方法は、形状の単純さ、施工範囲の広さ、必要な精度、利用できる計測データによって選びます。

排水溝や配管溝のように断面がほぼ一定であれば、断面積に延長を掛ける方法が分かりやすいです。長方形断面なら幅×深さで断面積を求めます。台形断面なら上幅と底幅の平均に深さを掛けます。深さや幅が変化する場合は、区間を分けて計算するか、両端の断面積を平均して区間長を掛けます。

集水ますやポンプ設置部のような比較的まとまった掘削は、上面と底面の形状を確認します。側壁が垂直に近ければ、平面積×深さで概算できます。側壁に勾配がある場合は、上部と底部で面積が異なるため、複数の高さで断面を取得するか、三次元形状から計算します。

軟弱土の除去範囲のように深さが不規則な場合は、対象範囲を格子状に分け、各地点の除去深さから平均値を求める方法があります。ただし、測点間隔が広すぎると局所的な深掘れを見落とします。変化が大きい場所では測点を細かくし、ほぼ平坦な場所では間隔を広げるなど、地形に応じて設定します。

法面変更や不規則な追い掘りでは、複数断面による平均断面法が利用できます。測点ごとに変更前後の断面積の差を求め、隣接する二つの断面積の平均に測点間距離を掛けます。区間ごとの体積を合計することで、全体の追加掘削量を算出できます。

三次元計測を利用できる場合は、当初設計面、施工前地形、湧水処理後の掘削面を同じ座標系と高さ基準で重ね、表面間の差から体積を求めます。この方法は、不整形な集水部、局所的な法面修正、軟弱土の不均一な除去などに向いています。

ただし、三次元計測であっても、計測できていない範囲や、水面によって地盤が見えない範囲があると誤差が生じます。水を排除した直後に測る、死角が生じない位置から計測する、既知点で位置と高さを確認するなど、計測条件を整えることが必要です。

追加掘削量の計算では、設計数量、実施工数量、搬出数量を同じものとして扱わないことも重要です。設計数量は図面上の形状から算出した地山状態の体積です。実施工数量は現場で実際に掘削した形状の体積です。搬出数量は、掘削後にほぐれた土を車両などで運んだ量であり、積込み状態や空隙によって変わります。

例えば、運搬車両の台数と積載容積から求めた体積が、掘削前後の測量で求めた地山体積より大きくても、直ちに計算ミスとは限りません。状態の異なる体積を比較している可能性があります。切土・盛土の体積計算では、数量の状態と算定方法を必ず併記し、必要な換算は工事で定められた条件に基づいて行います。

切土・盛土の体積計算で二重計上を防ぐ方法

湧水処理による追加掘削量を管理するときに起こりやすいのが、同じ掘削範囲の二重計上です。排水溝、集水ます、軟弱土除去、法面修正などを原因別に計算して合計すると、それぞれの範囲が重なっていることがあります。

例えば、軟弱土を除去した範囲の中に集水ますを設けた場合、軟弱土除去量と集水ます掘削量をそのまま合計すると、集水ます部分が重複します。先に軟弱土を除去し、その後さらに深く集水ますを掘ったのであれば、集水ますの追加量は軟弱土除去後の地盤面から下の部分だけです。

法面を緩く掘り直した範囲に排水溝を設けた場合も同様です。法面変更後の三次元形状に排水溝の掘削が含まれているなら、全体差分の体積に排水溝体積を追加してはいけません。全体形状から一括で計算する方法と、原因別に個別計算する方法を混在させると、重複が起こりやすくなります。

二重計上を防ぐには、基準となる面を統一します。当初設計面に対して最終的な実施工面との差を一括で計算する場合は、それが追加掘削量の全体値です。原因別の数量は、その全体値を説明する内訳として扱い、内訳の合計が全体値と整合するかを確認します。

施工段階ごとに数量を積み上げる場合は、各段階の開始面と終了面を明確にします。最初の追加掘削は当初設計面から一次処理後の面まで、次の追加掘削は一次処理後の面から二次処理後の面までというように、連続する面同士の差を計算します。同じ基準面から複数回差分を取って合計すると、前段階の掘削が繰り返し含まれてしまいます。

盛土側でも重複に注意が必要です。湧水処理で掘削した部分を置換材で埋め戻す場合、置換材の体積を通常の盛土量と別に計上することがあります。しかし、完成形状全体の盛土量に置換部分が含まれているなら、別途加算すると二重計上になります。

一方、設計地盤より深く掘削した部分を原位置まで戻す置換は、完成後の計画盛土面より下に位置することがあります。通常の盛土設計数量に含まれていない場合は、追加の埋戻し量として管理する必要があります。どの面からどの面までを盛土量としているかを図面上で整理し、掘削数量と埋戻し数量を対応させます。

掘削量と搬出量を照合するときも、同じ土が仮置き、積替え、再搬出されることで、運搬記録上は複数回扱われる場合があります。運搬回数を単純に合計して掘削土量とすると、同じ土を重複して数える可能性があります。体積計算は地形変化を基本とし、運搬記録は数量を検証する補助資料として利用することが有効です。

現場計測と記録で追加掘削量の根拠を残す

湧水処理による追加掘削は、施工後に埋め戻されたり、排水設備が撤去されたりすると、完成時の現場から確認できなくなります。そのため、作業の節目ごとに計測と写真記録を行い、追加掘削の理由と範囲を残すことが重要です。

記録するタイミングは、湧水を確認した時点、追加掘削を始める前、掘削が完了した時点、置換材や埋戻し材を投入する前が基本です。法面を掘り直す場合は、変更前の法面と変更後の法面をそれぞれ記録します。集水ますを拡張する場合は、拡張前後の形状が分かるようにします。

写真には、全景だけでなく、湧水点、地盤の軟弱化状況、掘削深さ、排水溝の断面、集水ますの寸法、ポンプの設置状況などを残します。寸法を示す標尺や既知寸法の目印を写し込むと、後から状況を確認しやすくなります。ただし、写真だけで複雑な体積を正確に算出することは難しいため、座標、標高、断面寸法などの計測記録と組み合わせます。

計測記録には、測定日、測定者、使用した基準点、計測範囲、計測時の地盤状態を残します。湧水や雨水が残っていると、地表面を正しく計測できないことがあります。水面を地盤面として扱ってしまうと掘削深さを過小評価するため、可能な範囲で排水してから測ります。

また、泥や崩落土が掘削底に堆積している場合は、その表面が本来の掘削面とは限りません。掘削直後の面を測ったのか、土砂が堆積した後の面を測ったのかを明確にします。計測条件が異なるデータを比較すると、実際には掘削していない体積差が生じることがあります。

三次元計測を行う場合は、すべてのデータで同じ座標系、標高基準、単位を使用します。位置や高さの基準がずれると、広い施工範囲では小さなずれでも大きな体積差になります。複数日にわたって計測するときは、施工中に移動しにくい基準点を設け、毎回確認してから計測します。

点群や地形面から体積を求める際は、対象範囲の境界設定も重要です。湧水処理と無関係な通常掘削を含めると、追加量が過大になります。反対に、法面上部や配管溝の一部が範囲外になると過小になります。平面図、施工記録、写真を照合し、追加処理を実施した境界を確定します。

現場での計測を効率化する方法として、LRTK Phoneを利用し、湧水箇所や追加掘削範囲を位置情報とともに記録する方法があります。掘削前後の現場を三次元で計測しておけば、不整形な法面や軟弱土除去範囲について、表面差分による体積確認に活用できます。

ただし、計測機器を使用すれば自動的に正確な数量が得られるわけではありません。基準点の確認、計測範囲の設定、水面や重機による死角の回避、不要物の除外、データ間の位置合わせなどが必要です。施工記録と計測データを組み合わせ、第三者が数量の算定過程を追える状態にすることが大切です。

追加掘削量の記録は、日報の文章だけで終わらせず、原因、場所、施工期間、処理方法、掘削範囲、算定方法、数量を関連付けて整理します。例えば、「湧水処理のため追加掘削」とだけ記録しても、どこをどの程度掘ったのか判断できません。測点や座標、断面図、計測データを対応させることで、出来高確認や設計変更の協議に利用しやすくなります。

まとめ

切土部で湧水が発生すると、排水溝、集水ます、軟弱土除去、設備設置スペース、法面変更などによって、当初計画より掘削量が増えることがあります。増加量を正確に把握するには、湧水が見つかった後に全体をまとめて測るだけでなく、施工段階ごとに形状と原因を記録することが重要です。

最初に湧水の発生位置と影響範囲を確認し、次に排水溝や集水ますの形状を測ります。床付け面が軟弱化した場合は、除去した平面範囲と深さを記録します。ポンプや配管のために拡幅した部分、法面の安定確保のために掘り直した部分も、当初設計との差として整理します。

湧水量は降雨、掘削深さ、地層、季節によって変化します。一度の計測だけで追加掘削量を確定せず、仮設設備を埋め戻す前や、軟弱土を置換する前など、形状が見える時点で計測することが必要です。

体積計算では、単純な排水溝には断面積と延長による方法を使い、不整形な掘削には平均断面法や三次元計測による差分計算を用います。どの方法を採用する場合でも、当初設計面、処理前の地盤面、処理後の掘削面の関係を明確にし、同じ範囲を二重計上しないようにします。

また、地山状態の切土量、ほぐした状態の搬出量、締め固めた状態の盛土量は、それぞれ異なる数量です。運搬車両の記録だけで掘削量を判断せず、現場の地形変化を基本として照合することが大切です。

湧水処理に伴う追加掘削量を正しく見込めれば、搬出計画、仮置き場、置換材の手配、切盛バランス、工程管理の精度を高められます。現場形状が変わる前に計測し、写真や施工記録と関連付けて保存することが、説明可能な土量管理につながります。

不整形な掘削範囲を現場で記録し、切土・盛土の体積計算を効率化する次の一歩として、LRTK Phoneの活用を検討してみてください。

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