大型土のう設置で中詰め量の算出が重要な理由
大型土のうは、河川、道路、造成、災害復旧、仮設締切、法面保護、仮置き土の流出防止など、さまざまな現場で利用されます。施工に必要な中詰め材の量を把握できれば、材料不足による作業中断や、過剰搬入による仮置きスペースの圧迫を防ぎやすくなります。
一方で、大型土のうの必要土量は、設置個数に公称容量を掛けるだけでは安全に決められません。袋の容量と最大充填質量は別の条件であり、中詰め材のかさ密度によっては、公称容量まで入れる前に質量上限へ達するためです。国土交通省の応急工事資料でも、1t型大型土のうについて、容量が1立方メートルであっても土を1立方メートル入れると約1.7tとなる例を示し、質量超過による危険に注意を求めています。したがって、数量計算では袋の仕様書に記載された容量、最大充填質量、使用条件を先に確認する必要があります。([国土交通省][1])
袋の形状、充填の程度、中詰め材の含水状態、締まり具合、設置後の変形、積み方によっても、実際に使用する土量は変化します。計画数量を求めるときは、袋の外形を整えるための目標体積と、質量上限から求める体積の両方を比較し、小さい方を採用する考え方が安全です。
現場で即土量を把握したい実務担当者にとって重要なのは、机上の設計数量だけで判断せず、設置前の計画値と施工中の実績値を分けて管理することです。最初に概算数量を求め、施工条件に応じた補正を加え、最後に現場計測で確認する流れをつくれば、数量の根拠を説明しやすくなります。
特に災害復旧や緊急対応では、資材や中詰め材を短時間で手配しなければならない場合があります。数量の算定に時間がかかると、運搬車両の手配、積込み場所の調整、重機配置、施工班の編成にも影響します。ただし、緊急時であっても、袋の仕様、吊り上げ条件、積層構造の安定性を省略してよいわけではありません。数量の迅速化と安全確認を同時に進める運用が必要です。
大型土のう設置における土量管理では、計画数量、搬入数量、充填数量、施工過程で消費した数量、設置後の出来形を一連の情報として扱うことが大切です。どの段階の数量を示しているのかを明確にしなければ、同じ立方メートルという単位であっても、担当者ごとに認識が異なる可能性があります。
本記事では、大型土のうの中詰め量を求める方法を4つのステップに分け、仕様上の質量上限を守りながら現場で使いやすい数量を算出する考え方として解説します。
大型土のうの個数だけでは必要土量を決められない
大型土のうの数量計算では、最初に設置個数を確認します。しかし、設置個数と必要な中詰め量は必ずしも単純な比例関係になりません。袋の公称容量、最大充填質量、現場で目標とする完成形状の間に差が生じることがあるためです。
袋は中詰め材を投入すると立体的に膨らみますが、材料の入れ方や吊り上げ時の形状変化によって、高さや幅が一定にならないことがあります。容量上限まで充填していなくても、設置時に底面が広がれば高さが低くなります。反対に、底面が十分に広がらない場所では上部が高くなり、隣接する袋との間に隙間が生じることがあります。
中詰め材の性質も数量に影響します。粒径のそろった材料と、細粒分を多く含む材料では、充填後の空隙や締まり方が異なります。含水状態が変われば、同じ体積でも質量が増減します。また、採取直後の土と、仮置き後に沈下した土では、見掛けの体積が変わることがあります。
施工計画では、袋の公称容量を基準に概算することがありますが、その数値をそのまま実使用量とみなすのは避けます。使用する袋の仕様書、施工計画、材料のかさ密度、過去の実績、試験充填の結果を確認し、現場条件に合った1袋当たりの設定値を決めます。
また、大型土のうを直線状に1段で設置する場合と、複数段に積み上げる場合では、施工中に必要となる補充量や形状確認の方法も変わります。段積みでは下段の袋が上段の荷重を受け、幅や高さが変化することがあります。積層構造として使う場合は、単なる袋数の算定だけでなく、設計条件と安定性の照査が前提です。国土交通省の資料でも、耐候性大型土のうの安定計算について、設計・施工マニュアルを参照するよう示されています。
個数だけで判断せず、袋の仕様、最大充填質量、材料の状態、設置方法、現場計測の結果を組み合わせて判断することが、過不足と安全上の問題を減らす土量算定につながります。
算出前に確認しておきたい設計条件と現場条件
中詰め量を計算する前に、設計図面や施工計画書から設置条件を整理します。確認したいのは、設置延長、設置段数、列数、袋の配置間隔、施工範囲の高低差、端部の納まり、曲線部分の有無、基礎地盤の状態です。
設置延長だけが示されている場合は、1袋が施工後に占める幅を設定しなければ個数を求められません。このとき、袋の製造時寸法や公称直径をそのまま使うのではなく、中詰めと設置を終えた状態で想定される占有幅を使うことが重要です。吊り上げ前と設置後では形状が変わるため、同じ袋と材料を使った施工実績がある場合は、その測定値を参考にします。
段積みの場合は、各段で必要個数が同じとは限りません。法勾配を付けて積む場合や、上段を内側に控えて設置する場合は、上段ほど個数が少なくなることがあります。平面図だけでは判断せず、断面図と照合して段ごとの配置を整理します。
袋の仕様では、公称容量、最大充填質量、吊り上げ方法、使用可能な中詰め材、耐候性、設置期間、積層時の条件を確認します。大型土のうという呼び方が同じでも、想定する使用期間や耐荷重は同一ではありません。メーカーの取扱説明書、設計図書、施工計画書の条件が一致しているかを確かめます。
現場条件では、地盤の不陸や沈下の可能性を確認します。設置面に大きな凹凸があると、下段の袋が想定以上に沈み込み、計画高さを確保できない場合があります。軟弱な地盤では設置後に沈下して出来形が変化することも考えられるため、必要に応じて基礎処理や沈下確認を施工計画へ反映します。
中詰め材については、採取場所、材料区分、含水状態、異物の有無、最大粒径、かさ密度、仮置き方法を確認します。袋を損傷する可能性がある鋭利な異物や大きな塊が含まれている場合は、投入前の選別や粒度調整が必要になることがあります。選別によって使用できない材料が発生すれば、採取土量と実際の充填土量に差が生じます。
運搬条件も重要です。土量を体積で管理するのか、車両台数で管理するのか、計量記録から質量で管理するのかによって、記録方法が変わります。車両台数だけで管理すると、積載状況のばらつきによって実数量との差が大きくなる可能性があります。可能であれば、搬入記録、計量記録、仮置き土の体積計測を組み合わせて管理します。
これらの条件を事前に整理しておけば、計算途中で前提が変わるのを防ぎ、数量根拠を関係者間で共有しやすくなります。構造の安定性や吊り上げ作業の安全性は、土量計算とは別に、設計図書と施工計画に基づいて確認します。
ステップ1|大型土のうの設置範囲と必要個数を整理する
最初のステップでは、設計図面と現地条件を照合し、大型土のうの必要個数を求めます。直線区間で1段設置する場合は、設置延長を1袋当たりの施工後の占有幅で割ることで、概算個数を算出できます。
必要個数の基本的な考え方は、次の式で表せます。
必要個数=設置延長÷1袋当たりの施工後占有幅
計算結果に端数が出た場合は、原則として不足しない方向に整理します。ただし、端部の納まりによっては、袋の配置間隔を調整できることもあります。単純に端数を切り上げるだけでなく、実際の施工可能な配置を平面上で確認することが大切です。
複数列で設置する場合は、列ごとに個数を求めて合計します。二列配置であっても、内側と外側で延長が異なる曲線区間では、同じ個数にならない場合があります。河道の湾曲部、道路線形に沿った仮設防護、造成地の外周などでは、中心線の延長だけでなく、各列の実延長を確認します。
段積みの場合は、段ごとの延長と個数を分けて算定します。下段の個数に段数を掛けるだけでは、上段の控えや端部処理を反映できません。断面形状と平面形状を組み合わせ、下段、中段、上段ごとに必要数を整理します。
現地で既設構造物や障害物がある場合は、設計図面上の連続配置ができないことがあります。排水施設、仮設通路、重機の進入口などにより設置を中断する箇所があれば、その部分を除外する一方、開口部の端部処理に必要な袋が追加される可能性があります。
緊急施工で詳細な図面が整っていない場合は、現場で設置予定線を計測し、折れ点ごとの距離を合計して延長を求めます。高低差が大きい場所では、水平距離と斜面に沿った距離を混同しないよう注意します。数量算定に使う距離の定義を施工図や現場責任者と合わせ、実際の配置方向に沿った距離を基準にします。
必要個数を算定したら、設計用、施工用、予備用を区別します。予備を含める場合は、その数量と根拠を記録します。予備袋は中詰め済みとは限らないため、予備袋数をそのまま中詰め材の発注量へ加えるのではなく、使用可能性と保管方法を踏まえて別枠で管理すると過剰搬入を防ぎやすくなります。
ステップ2|1袋当たりの実質的な中詰め量を設定する
次のステップでは、1袋当たりに実際に投入する中詰め量を設定します。ここで重要なのは、公称容量、最大充填質量、施工時の目標体積を区別することです。
使用する大型土のうの仕様が確認できる場合は、仕様書に示された容量、最大充填質量、適用材料、吊り上げ条件を確認します。そのうえで、現場材料のかさ密度から、質量上限を超えない体積を計算します。
最大充填質量による上限体積は、次の式で求められます。
質量上限体積=袋の最大充填質量÷現場材料のかさ密度
単位は、最大充填質量をトン、かさ密度をトン毎立方メートルでそろえれば、答えは立方メートルになります。1袋当たりの計画中詰め量は、公称容量または完成形状から決めた目標体積と、質量上限体積を比較し、小さい方を基準にします。容量が1立方メートルと表示されていても、最大充填質量が約1tの袋へ一般的な土を1立方メートル入れてよいとは限りません。([国土交通省][1])
1袋当たりの計画中詰め量は、次の考え方で整理できます。
1袋当たりの計画中詰め量=目標体積と質量上限体積のうち小さい値
最も確実なのは、施工開始時に試験的な充填を行い、標準となる1袋をつくる方法です。標準袋について、投入前後の材料量、充填後の高さ、最大幅、設置後の形状、吊り上げ時の状態を記録します。材料の計量が可能であれば、投入質量を確認し、仕様上の最大充填質量を超えていないことを確かめます。
投入に使用する機械のバケット容量や容器容量が把握できる場合は、投入回数から概算体積を求めることもできます。ただし、バケットは毎回満杯とは限りません。山積みか平積みかによっても体積が変わり、材料のこぼれや付着も生じます。バケット回数だけで数量を確定せず、一定数を施工した時点で仮置き土の減少量や計量記録と照合します。
材料の質量記録から体積へ換算する場合は、現場材料のかさ密度を使います。土のかさ密度は、土質、含水状態、締まり具合によって変わるため、一般的な目安を固定的に使わず、試験充填や現場の計量結果から設定します。
充填量を多くすればよいとは限りません。過度に詰め込むと最大充填質量を超えるおそれがあり、吊り上げや設置時に袋へ過大な負担がかかります。反対に充填が少なすぎると、設置後の高さが不足し、隣接する袋との隙間が増える可能性があります。仕様の範囲内で標準袋を作り、施工班ごとに完成形状と投入方法を統一することが重要です。
複数の作業班が同時に充填する場合は、標準袋を基準にして完成形状と投入質量を共有します。担当者の感覚だけで充填量を判断すると、袋ごとのばらつきが大きくなります。一定間隔で高さ、外形、投入回数または投入質量を確認し、標準値から外れた場合は方法を調整します。
ステップ3|補充分と施工ロスを含めた総土量を求める
必要個数と1袋当たりの安全な計画中詰め量が決まったら、計画上の基本土量を計算します。
基本土量=施工対象袋数×1袋当たりの計画中詰め量
ここで使う施工対象袋数には、実際に中詰めする予定の袋を入れます。未使用のまま保管する予備袋まで自動的に含めると、中詰め材を過剰に手配する可能性があります。予備袋へ充填する方針の場合だけ、その分の材料を別途見込みます。
施工では、積込み時のこぼれ、運搬中の付着、仮置き場への残留、選別による除外、充填時のこぼれなどが発生します。また、設計図書に基づく基面調整や袋背面の充填に別材料が必要となる場合もあります。袋内の中詰め材と、基面調整材、裏込材、隙間処理材は用途が異なるため、同じ数量へ混在させないことが大切です。
総必要土量は、次の考え方で求めます。
総必要土量=基本土量+施工過程で消費する見込み量
施工過程で消費する見込み量には、選別除外量、こぼれ、付着、回収できない残留分などを含めます。設置後の高さ不足を見込んで無条件に袋へ追加充填する考え方は避け、まず袋ごとの質量上限と完成形状を確認します。高さ不足が基面沈下や配置不良による場合は、中詰め量を増やすのではなく、施工方法や設計条件の確認が必要です。
材料に大きな塊や異物が含まれている場合は、選別後の利用可能率を考慮します。採取土の一部を中詰め材として使用できないと見込む場合、必要な採取土量は完成時の充填土量より多くなります。
採取必要土量は、次のように整理できます。
採取必要土量=総必要土量÷利用可能率
利用可能率を設定する場合は、試験的に一定量を選別し、使用できた材料と除外した材料の割合を確認します。利用可能率は現場や材料ロットで変わるため、根拠のない固定率を一律に使わないことが重要です。
材料を遠方から運搬する場合は、車両台数の算定も必要です。総必要土量を1台当たりの実積載量で割ることで概算台数を求められますが、荷台の容積だけでなく、車両の積載質量制限を守らなければなりません。材料のかさ密度が高い場合は、容積上限より先に質量上限へ達することがあります。
余裕を持って材料を搬入する場合でも、余剰土の処理方法を事前に決めます。使い切れなかった材料を現場内に残すと、作業動線、排水、安全管理に影響することがあります。余裕量は不足防止だけでなく、残量の回収先や転用先まで含めて設定します。
ステップ4|現場計測で実績土量を確認して補正する
最後のステップでは、計画値と実績値を現場計測によって照合します。施工前に算出した数量は、計画条件に基づく値です。実際の材料消費量や設置形状を確認し、必要に応じて残りの手配量を補正します。
まず、施工前の仮置き土を計測し、初期体積を把握します。一定数の大型土のうを充填した後に、同じ範囲を再計測して体積の減少量を求めます。減少量を施工済み個数で割れば、現場実績に基づく1袋当たりの材料消費量を推定できます。
1袋当たりの実績材料消費量は、次のように求めます。
1袋当たりの実績材料消費量=仮置き土の体積減少量÷施工済み袋数
ここで求められるのは、袋内に収まった正味の体積ではなく、仮置き場から減った材料量です。こぼれ、地面への残留、別用途への使用、選別除外などが含まれる場合があるため、実績材料消費量と実質中詰め量を同じものとして扱わないようにします。
たとえば、20袋を充填した時点で仮置き土が21立方メートル減少していれば、1袋当たりの実績材料消費量は1.05立方メートルです。ただし、袋の計画中詰め量が0.95立方メートルであれば、差の0.10立方メートル相当には、こぼれや選別分などが含まれている可能性があります。袋の最大充填質量を超えていないことは、別途、投入質量や標準袋の確認で判断します。
仮置き土の減少量を使う場合は、計測範囲から材料が持ち出されていないか、追加搬入が行われていないか、重機による締固めや降雨で形状が大きく変わっていないかを確認します。計測範囲と時刻をそろえ、記録上の入出量と一致させます。
設置後の大型土のう列については、延長、幅、高さを計測します。設計どおりの配置になっているか、袋間に大きな隙間がないか、沈下による高さ不足がないかを確認します。ただし、外側から計測した大型土のう列の外形体積は、袋内の材料体積と一致しません。袋同士の隙間、変形、見えない面が含まれるため、外形計測は主に出来形と配置確認へ使います。
施工途中で計測を行うことには、最終数量を確認するだけでなく、残りの材料手配を調整できる利点があります。全数施工後に不足が判明すると、再搬入が必要になります。初期施工分の実績材料消費量から残数分を再計算すれば、早い段階で数量差に対応できます。
現場で即土量を求めるためには、計測から計算までを短時間で行えることが重要です。計測したデータを現場で確認し、仮置き土の体積や設置済み範囲をその場で整理できれば、事務所に戻ってから処理する時間を減らせます。
現場で即土量を把握するための具体的な計算例
ここでは、直線区間に大型土のうを2段で設置するケースを例に考えます。下段の設置延長が50メートル、上段の設置延長が45メートルで、試験設置後の1袋当たり占有幅を1.0メートルとします。
下段の必要個数は50袋、上段の必要個数は45袋となり、施工対象は合計95袋です。端部調整や破損への備えとして予備を5袋用意する場合、現場へ準備する袋の総数は100袋ですが、予備袋を事前充填しない計画であれば、基本土量は施工対象の95袋で計算します。
使用する袋は、仮の条件として、公称容量1.0立方メートル、最大充填質量2.0tが仕様書に示されているものとします。現場材料のかさ密度を試験充填と計量から1.65t毎立方メートルと確認した場合、質量上限体積は次のようになります。
2.0t÷1.65t毎立方メートル=約1.21立方メートル
この例では、公称容量1.0立方メートルの方が小さいため、質量上限より容量条件が先に効きます。ただし、形状を安定させ、過充填を避けるため、試験充填で1袋当たりの計画中詰め量を0.95立方メートルと設定したとします。0.95立方メートルを入れたときの想定質量は約1.57tで、仮定した最大充填質量2.0tを下回ります。
施工対象95袋の基本土量は、次のように求められます。
95袋×0.95立方メートル=90.25立方メートル
ここに、試験選別と初期施工の記録から、選別除外、こぼれ、付着などの施工過程で消費する見込み量を4.5立方メートルと設定した場合、当初の総必要土量は94.75立方メートルです。
ただし、この数量を最終確定値とせず、施工途中で実績を確認します。30袋を施工した時点で、仮置き土の体積が30立方メートル減少していた場合、1袋当たりの実績材料消費量は1.0立方メートルです。
残り65袋について、同じ材料消費量が続くと仮定すると、残りの見込み量は次のようになります。
65袋×1.0立方メートル=65立方メートル
すでに30立方メートルを消費しているため、施工完了までの予測材料消費量は95立方メートルです。当初の94.75立方メートルとの差は0.25立方メートルであり、計測誤差、材料の入出量、残りの施工条件を確認したうえで追加搬入の要否を判断します。
この例で1袋当たりの材料消費量が1.0立方メートルであっても、袋内へ1.0立方メートルを充填したことを意味しません。計画中詰め量0.95立方メートルとの差は、こぼれ、付着、選別分などを含む可能性があります。袋の安全確認は、外形や仮置き土量だけでなく、標準袋の投入質量と仕様書の上限を照合して行います。
なお、この計算例の容量、最大充填質量、かさ密度は説明用の仮定です。実施工では、使用する袋の仕様書、現場材料の実測値、設計図書、施工計画を優先します。
中詰め材の状態によって土量が変わる理由
中詰め材は、同じ土質であっても状態によって体積と質量の関係が変わります。掘削直後にほぐれた状態、運搬後に荷台内で締まった状態、仮置き後に沈下した状態、袋内へ投入された状態では、空隙の割合が異なるためです。
この違いを考慮せず、掘削地山の体積と充填に必要な体積を同じものとして扱うと、数量差が生じる可能性があります。設計数量が地山状態で示されているのか、ほぐした状態で示されているのかを確認し、現場で管理している体積との関係を整理します。
含水状態は体積だけでなく質量上限にも影響します。水分が多い材料は、同じ見掛け体積でも質量が増える場合があり、袋の最大充填質量へ早く達する可能性があります。また、バケットや荷台に付着しやすく、仮置き場から減った量と袋へ入った量の差が大きくなることがあります。
乾燥した細粒材は、投入時に飛散しやすく、周辺へこぼれる量が増える場合があります。粒径が不均一な材料では、大きな粒子の間を細かな粒子が埋めることで、投入後に見掛け体積が減少することがあります。大きな塊が多い場合は袋内に空隙が残りやすく、袋の外形が不均一になることもあります。
材料状態の影響を小さくするには、充填前に材料をできるだけ均一化し、標準的な投入方法を決めます。仮置き場所を分け、含水状態や材料区分が大きく異なる土を混在させない方法も有効です。
施工途中で材料の採取場所が変わる場合は、1袋当たりの計画中詰め量と質量上限体積を再確認します。前半と後半で材料のかさ密度が異なるにもかかわらず、同じ体積を入れ続けると、最大充填質量を超えるおそれがあります。材料ロットや採取場所の変更時点を記録し、必要に応じて標準袋を作り直します。
数量管理では、体積だけでなく、材料の採取場所、含水状態、かさ密度、計量結果を記録することが重要です。計測値に差が生じたとき、降雨、乾燥、選別、締まりなどの状況が分かれば、原因を説明しやすくなります。
段積みや曲線配置で数量差が生じるポイント
大型土のうを複数段に積む場合、各段の配置と袋の変形によって数量差が生じます。下段は地盤の凹凸や上段の荷重を受けるため、施工直後より幅が広がったり、高さが低くなったりすることがあります。
下段の高さや通りが計画と異なる場合は、上段を追加して帳尻を合わせるのではなく、原因を確認します。基面の不陸、袋の充填不足、配置のずれ、地盤沈下などによって対応が異なるためです。袋数や段数の変更は構造の安定性へ影響する可能性があるので、設計者または工事責任者の確認を経て判断します。
法勾配を付けて積む場合は、各段の控え量を確認します。控え量が計画より大きいと、上段の設置線が内側へ移動し、延長や端部の納まりが変わります。逆に控えが不足すると、安定性や施工範囲に影響する可能性があります。
曲線配置では、内側と外側で必要な袋数が異なります。曲線の半径が小さいほど、外側の延長が長くなり、袋間の隙間も生じやすくなります。中心線の延長だけで一律に個数を求めるのではなく、設置列ごとの延長を計測します。
折れ点では、袋の向きを変えるために通常区間より広いスペースが必要になることがあります。角部を無理に詰めると袋同士が干渉し、計画した幅や高さを確保できない可能性があります。角部の納まりを別途検討し、必要に応じて計画袋数を調整します。
端部も数量差が発生しやすい場所です。端部を斜めに処理するのか、構造物へ接続するのか、閉じた形で積むのかによって必要個数が変わります。端部1か所当たりの差は小さくても、区画が多い現場では合計数量への影響が大きくなります。
段積みや曲線配置では、平面図上の延長だけでなく、施工後の立体形状を確認することが重要です。ただし、出来形計測によって安定性が自動的に証明されるわけではありません。設計上の安定性、袋の結束、基礎処理、洗掘対策などは、適用する基準と施工計画に基づいて確認します。
発注量と施工実績を一致させる管理方法
中詰め材の発注量と実際の使用量を近づけるには、数量を段階ごとに分けて管理します。計画時の必要量、発注量、搬入量、仮置き量、袋内への計画中詰め量、施工過程での消費量、残量を混在させないことが基本です。
計画必要量は、施工対象袋数と1袋当たりの計画中詰め量から算定した数量です。発注量は、選別除外やこぼれなどを加えて実際に手配した数量です。搬入量は現場へ到着した材料の数量であり、発注量と同じとは限りません。実績材料消費量は仮置き場から減った数量で、袋内の正味充填量と一致しない場合があります。残量は施工後に仮置き場へ残った数量です。
これらの数量を同じ記録上で区別すると、差異の発生場所を追跡できます。たとえば、発注量と搬入量の差が大きければ運搬記録を確認し、搬入量と実績材料消費量の差が大きければ仮置き残量や他用途への使用を確認します。
施工班ごとに充填実績を記録する場合は、袋番号や設置区間、材料ロットと関連付けます。どの区間で何袋を施工し、どの材料を使用したかが分かれば、完成後に数量差が見つかった際も原因を特定しやすくなります。
大型土のうの設置個数は目視でも数えられますが、段積みや広範囲の現場では数え間違いが起こる可能性があります。施工区画を分け、区画ごとの計画数と実績数を照合する方法が有効です。予備袋、破損袋、再利用袋を施工済み袋へ混在させないことも重要です。
残量管理では、仮置き土を目測だけで判断しないようにします。山状に積まれた土は高さや裾の広がりによって体積が大きく変わり、見る方向によって印象も異なります。定期的に形状を計測し、残りの施工個数に対して十分な量があるかを確認します。
追加発注の判断は、残量が少なくなってからではなく、実績材料消費量と残り個数から予測して行います。施工速度、運搬時間、積込み場所の稼働状況を考慮し、材料切れが起こる前に調整します。同時に、袋の仕様上限を超える追加充填が行われていないかを確認します。
計測結果を品質管理と出来形記録に活用する
土量計測の結果は、材料管理だけでなく、大型土のう設置の品質管理にも活用できます。施工後の外形を記録すれば、計画した設置範囲、高さ、幅、段数が確保されているかを確認できます。
大型土のうは柔軟な構造であるため、設置後の形状が一袋ごとに異なります。代表点だけを測ると、局所的な沈下や膨らみを見落とす可能性があります。設置列全体を立体的に記録すれば、高さ不足や通りの乱れを面的に確認しやすくなります。
施工前の地盤形状と施工後の形状を比較することで、設置範囲や盛り上がりの状況を把握できます。また、施工途中と完成時のデータを比較すれば、上段設置後の下段の変形や沈下の有無を確認する材料になります。
ただし、点群などで取得した外側表面から求めた体積を、そのまま中詰め材の正味体積として扱うことはできません。袋同士の隙間、袋の変形、計測できない接地面や背面があるためです。外形計測は出来形確認へ使い、中詰め材の数量は仮置き土の差分、計量記録、投入記録と組み合わせて判断します。
出来形記録では、計測日、施工区画、袋数、使用材料、天候、計測範囲、計測方法を関連付けて保存します。計測データだけが残っていても、どの施工段階の情報か分からなければ、後から活用しにくくなります。
緊急復旧工事では、施工前の詳細な地形データがない場合もあります。そのような場合でも、作業開始前に現況を記録しておけば、施工後との比較資料として利用できます。復旧範囲や仮置き土の変化を説明する際の根拠にもなります。
長期間設置する場合は、完成直後だけでなく、必要に応じて一定期間後に再計測する方法も考えられます。地盤沈下、袋の変形、流出、周辺地形の変化などを把握し、点検や補修の判断材料にできます。
土量計測と出来形計測を別々の作業として扱わず、同じ現場データを複数の管理目的に活用すれば、計測作業の重複を減らせます。ただし、数量確認、出来形確認、構造安定性の照査は目的が異なるため、計測結果の適用範囲を明確にしておくことが大切です。
LRTK Phoneで大型土のうの土量管理を効率化する
大型土のうの中詰め量を過不足なく算出するには、設置個数の整理、1袋当たりの安全な計画中詰め量の設定、施工過程で消費する量を含めた総量計算、現場実績による補正という4つのステップが重要です。
最初から完全に正確な数量を求めようとするのではなく、計画値を設定したうえで、施工途中の実測結果を反映する方法が現実的です。袋の形状や材料の状態は現場ごとに異なるため、公称容量だけに頼らず、最大充填質量、材料のかさ密度、試験充填、仮置き土の体積変化を確認します。
特に袋数が多い現場では、1袋当たりの小さな数量差が、全体では大きな差になります。施工初期の段階で実績材料消費量を把握し、残りの数量を補正すれば、材料不足や過剰搬入を防ぎやすくなります。
これまで仮置き土の残量を目測で判断していた現場でも、立体的な計測を取り入れることで、数量の根拠を明確にできます。施工前後の仮置き土や大型土のう列の外形を記録しておけば、発注管理、施工実績、出来形確認、関係者への説明に同じデータを活用できます。
LRTK Phoneは、絶対座標付き点群の取得や、クラウド上での距離、面積、体積の計測に対応しています。そのため、仮置き土の形状を施工前後で記録し、体積差から材料消費量を確認する運用や、大型土のう列の外形を出来形記録として残す運用に活用できます。([Lefixea Irtk][2])
ただし、LRTK Phoneで取得した外側表面だけから、袋内部の中詰め材量を直接確定することはできません。仮置き土の差分計測、計量記録、投入記録、袋の仕様書を組み合わせることが必要です。また、点群計測の精度は、計測距離、死角、周辺環境、基準点や標定の方法などの影響を受けるため、求める管理精度に応じて確認方法を決めます。
大型土のうの数量管理を経験や目測だけに頼らず、計画値と実測値を照合する運用へ移行することが、施工の安定化と省力化につながります。大型土のうの設置個数、中詰め材の材料消費量、仮置き残量、完成後の外形を一連のデータとして管理し、現場で即土量を把握する仕組みづくりには、LRTK Phoneの活用が有効です。