複数ヤードの土量管理で起こりやすい課題
造成工事、道路工事、河川工事、災害復旧、解体工事などでは、掘削した土を一つの土場だけで管理できるとは限りません。施工範囲が広い現場では、発生場所に近い一時仮置き場、盛土への転用を待つ良質土ヤード、改良前の土を保管するヤード、搬出待ちの残土を置くヤードなど、複数の場所を使い分けることがあります。
複数ヤードを使うと、土の移動距離を短くでき、施工を進めやすくなる一方、数量管理は複雑になります。各土場の土量を別々に測定しても、その土がどこから来たものか、別の土場へ移動しただけなのか、現場外へ搬出されたのかを区別できなければ、現場全体の数量を正しく把握できません。
代表的な問題は、場内移動による二重集計です。第一土場にあった土を第二土場へ移した場合、第一土場では数量が減り、第二土場では数量が増えます。しかし、現場全体で見れば、土の総量は変わっていません。移動前の第一土場の数量と、移動後の第二土場の数量を同じ集計期間へ重ねてしまうと、同じ土を二度数える可能性があります。
反対に、移動元だけを減らし、移動先への増加を記録し忘れると、土が現場内から消えたように見えます。土場ごとの集計では、各ヤードを独立して管理しながら、現場全体では場内移動を相殺する仕組みが必要です。
土場ごとに担当者が異なることも、数量差が生じる原因になります。ある担当者は土山全体を一つの対象として測り、別の担当者は土質別に二つへ分けて測っていると、測定結果を単純に比較できません。測定範囲、基準面、ファイル名、締め時刻などが統一されていなければ、数値が増減した理由を後から確認するのが難しくなります。
さらに、土量の意味が統一されていないことにも注意が必要です。掘削前の地山状態、掘削後にほぐされた状態、締め固められた状態では、同じ土でも体積が異なる場合があります。複数の状態にある土を、すべて同じ体積として合計すると、搬出計画や盛土計画とのずれが大きくなる可能性があります。
現場で即土量を把握するには、測定を速く行うだけでは不十分です。どの土場を、どの範囲で、どの時点に、どの状態として集計するかを決めておく必要があります。共通ルールを整えたうえで測定を行えば、土場別数量を工程管理や搬出計画へ利用しやすくなります。
現場で即土量を把握するための基本設計
複数ヤードの土量管理を始めるときは、最初に現場全体の土の流れを整理します。土山の体積を測るだけでなく、掘削場所から土場へ入る流れ、土場間を移動する流れ、盛土箇所へ使用する流れ、現場外へ搬出する流れを一つの系統として捉えることが重要です。
まず、各土場を独立した在庫地点として設定します。現場で使われている名称に合わせて、第一土場、第二土場、改良土ヤード、良質土ヤード、搬出待ちヤードなどの名称を固定します。名称が似ている場合は、短い識別記号を付けると取り違えを防ぎやすくなります。
土場名は、図面、現地表示、日報、測定データ、写真、集計記録で統一します。現地では第一仮置き場、日報では北側土場、測定データでは土場Aと呼ばれている状態では、後から同じ場所だと判断できないことがあります。現地の誰が確認しても対象を特定できる名称にそろえることが基本です。
次に、土量を増減させる事象を定義します。掘削箇所から土場へ土が入る場合は搬入、土場から現場外へ出る場合は搬出、土場から盛土箇所へ使う場合は現場内使用、土場から別の土場へ移す場合は場内移動として扱います。
場内移動は、移動元の土場では減少、移動先の土場では増加となります。一方、現場全体の土量を集計するときには増減を相殺します。この考え方を統一しておけば、土場別の在庫量と現場全体の在庫量を同時に管理できます。
また、測定による実在庫と、日々の記録から計算する帳簿在庫を分けます。実在庫は、現地で測定した土山の形状から求める数量です。帳簿在庫は、前回の確定数量に搬入量を加え、搬出量や使用量を差し引いて求めます。
両者は、管理方法が適切であれば近い値になりますが、完全に一致するとは限りません。測定範囲の違い、基準面の変更、車両台数による概算誤差、場内移動の記録漏れ、土の沈下や流出などによって差が生じます。差が生じたときに原因を調べられるよう、測定条件と移動履歴を残しておくことが重要です。
ルール1 土場と土山の識別単位を固定する
複数ヤード管理の最初のルールは、何を一つの集計単位とするかを固定することです。同じ土場の中に複数の土山がある場合、土場全体を一括して測るのか、土山ごとに分けるのかを決めます。
集計単位は、管理目的に合わせて設定します。現場外へ搬出する残土の総量だけを把握したい場合は、土場全体を一つの対象として扱えることがあります。しかし、盛土への転用、土質改良、品質確認、受入先の振り分けまで管理する場合は、用途の異なる土山を分ける必要があります。
例えば、同じ第一土場に良質土と改良待ちの土が置かれている場合、体積をまとめてしまうと、すぐに使用できる土量が分かりません。土場名だけでなく、土山番号、土質区分、状態、用途を組み合わせて識別すると、施工判断に使いやすくなります。
識別名は、測定ファイルだけに設定するのではなく、現地の表示とも一致させます。現地に土山番号を示す表示を設け、日報や写真にも同じ番号を使用すれば、測定対象の取り違えを防げます。担当者が交代しても、同じ対象を再現して測定しやすくなります。
土山の境界も明確にします。隣り合う土山の裾が接している場合、見た目だけではどこまでを一つの山として計算するか判断できません。区画線、測点、固定物、座標、現地の目印などを使い、境界を再確認できる状態にします。
重機によって土山が押し広げられたり、複数の山が一つにまとめられたりすることもあります。その場合は、集計単位が変更された日を記録します。統合前の各数量と、統合後の数量を残しておけば、土が新たに増えたのではなく、山の形や管理単位が変わったことを説明できます。
一つの土山を二つに分割した場合も同様です。分割前の数量と、分割後の各数量を関連付けます。分割後の二つの数量を新規搬入として扱うと、同じ土を重複計上してしまいます。
測定のたびに土場名や土山名を自由に入力すると、似た名称が増え、集計時に別の対象として扱われる可能性があります。名称は事前に定めたものから選び、表記揺れを減らす運用が適しています。
現場で即土量を確認する際は、測定時間を短くすることに意識が向きがちですが、対象の識別が曖昧なまま得られた数量は、後日比較できません。土場と土山の単位を固定することが、継続的な数量管理の出発点になります。
ルール2 搬入・搬出・場内移動を分けて記録する
二つ目のルールは、土の移動を搬入、搬出、現場内使用、場内移動に分けることです。土場ごとの数量を正しく集計するには、土が増減した理由を記録しなければなりません。
掘削箇所から第一土場へ運ばれた土は、第一土場への搬入です。第一土場から現場外へ運ばれた土は搬出です。第一土場から盛土箇所へ使用した土は現場内使用として減少させます。第一土場から第二土場へ移した土は場内移動です。
場内移動では、出発元と到着先を必ず対応させます。第一土場から第二土場へ移した場合、第一土場だけに減少を記録すると、現場全体の土量が減ったように見えます。第二土場だけに増加を記録すると、現場内に新しい土が発生したように見えます。
この問題を防ぐには、一つの場内移動に共通の識別情報を付けます。移動日、出発元、到着先、土質区分、作業時間帯などを関連付けておけば、両方の土場へ正しく反映されているか確認できます。
車両台数で移動量を記録する場合は、一台当たりの体積を固定値として扱いすぎないことも重要です。車両の大きさ、積み方、土質、含水状態、荷こぼれ防止の条件などによって、実際の積載量は変わります。台数は日々の進捗確認に有効ですが、土場の実在庫を確定する測定とは役割が異なります。
台数から算出した数量を使うときは、積載状態を確認し、必要に応じて現場実績に基づく値を用います。また、搬出先で重量管理を行っている場合でも、重量と体積は同じものではありません。体積へ換算するには、土の密度や含水状態などの条件が関係します。
改良や選別を伴う作業は、単純な場内移動と分けて扱います。改良材を混合した土、異物を取り除いた土、ふるい分け後の土は、処理前と体積が変わる可能性があります。改良前の数量をそのまま改良後の数量として引き継ぐのではなく、処理工程として記録し、必要な時点で再測定します。
日報の記載も具体的にします。「残土運搬」だけでは、現場外への搬出なのか、別の土場への場内移動なのか分かりません。「第一土場から第二土場へ移動」「第二土場から盛土区間へ使用」など、出発元と行き先が分かる表現にそろえます。
土場別集計では、移動量の正確さだけでなく、移動の種類を正しく分類することが大切です。場内移動を搬入や搬出と混同しなければ、土場別の在庫変化と現場全体の土量変化を分けて確認できます。
ルール3 測定日時と基準面を統一する
三つ目のルールは、比較する測定の日時と基準面を統一することです。土量は、測定した土山の表面と、その下に設定した基準面との差から算出します。そのため、土山の形状を同じように測定しても、基準面が違えば結果は変わります。
土を置く前の地表面を測定している場合は、そのデータを基準面として利用できます。ただし、長期間使用する土場では、重機の走行によって地面が掘れたり、砕石を追加したり、排水勾配を変更したりすることがあります。当初の基準面と現在の地盤が異なれば、測定結果にずれが生じます。
土をすべて撤去できる時期がある場合は、空になった状態を再測定し、基準面を更新する方法があります。完全に空にできない場合は、土山の周囲に見えている地表面や既知の高さを使って底面を推定します。ただし、見えない範囲が広いほど不確かさが大きくなるため、推定方法を記録しておきます。
複数ヤードを集計するときは、測定時刻にも注意が必要です。第一土場を午前中に測定し、その後、第一土場から第二土場へ大量の土を移し、夕方に第二土場を測定したとします。この二つの測定結果は、同じ時刻の在庫を表していません。
午前中の第一土場には移動前の土が含まれ、夕方の第二土場には移動後の同じ土が含まれます。この二つを単純に合計すると、移動した土を二重に数える可能性があります。
可能であれば、各土場の作業を一時的に止め、近い時間帯に測定します。作業を止められない場合は、各測定の時刻を記録し、その後に発生した搬入、搬出、使用、場内移動を加減して、共通の締め時刻へ数量をそろえます。
例えば、日次集計の締め時刻を17時と決め、第一土場を14時に測定した場合、14時から17時までの入出庫を測定値へ反映します。第二土場を16時に測った場合は、16時から17時までの移動を反映します。この処理により、すべての土場を17時時点の在庫として比較できます。
測定データの名称には、日付だけでなく時刻を含めると管理しやすくなります。測定範囲、採用した基準面、除外した物、測定できなかった範囲なども記録します。同じ日付のデータが複数ある場合でも、どの時点の状態か確認できます。
前回との差分を見るときは、今回数量から前回数量を引くだけで終わらせません。その間の搬入、搬出、使用、場内移動と整合するかを確認します。差分と移動記録が合わない場合は、基準面の変更、範囲の違い、土山の統合、沈下、流出、記録漏れなどを調べます。
測定日時と基準面を統一することで、数量差が実際の土の移動によるものか、測定条件の違いによるものかを判断しやすくなります。
ルール4 土質・状態・用途ごとに数量を分ける
四つ目のルールは、土量を一つの総量だけで管理せず、土質、状態、用途ごとに分けることです。土場全体に十分な量の土があっても、施工に使える土が不足していれば、工程を進められません。
複数ヤードを使う現場では、盛土へ直接使用できる土、改良が必要な土、含水状態の調整が必要な土、異物を含む土、現場外へ搬出する土などが混在することがあります。これらをすべて合計して在庫量だけを示しても、実際に利用できる数量は分かりません。
土質区分は、現場の施工計画や品質管理方法に合わせて設定します。細かく分けすぎると記録が複雑になりますが、用途や処理方法が異なる土は分ける必要があります。区分名は現地表示、日報、測定データ、集計記録で統一します。
同じ土山に異なる土質を混ぜると、後から体積を正確に分けることが難しくなります。可能な限り、搬入時点で置き場所を分けます。やむを得ず混在した場合は、境界や割合の判断方法を記録し、概算値であることが分かるようにします。
土の状態も数量に影響します。掘削直後のほぐれた土、長期間仮置きして沈下した土、重機で押し固められた土では、同じ材料でも体積が異なる場合があります。地山状態の数量と仮置き状態の数量を比較するときは、状態の違いを考慮しなければなりません。
降雨後は、土山の表面が崩れたり、裾が広がったり、水たまりができたりすることがあります。乾燥や排水によって形状が変化することもあります。測定値は測定時点の体積を表すため、異なる天候や含水状態で得た数量を比較するときは、現地状況も確認します。
用途別管理では、すぐに使える数量と、処理や確認が必要な数量を分けます。例えば、盛土へ使用可能な量、改良後に使用する予定の量、品質確認中の量、搬出予定の量を分けておけば、翌日の施工計画を立てやすくなります。
ただし、形状測定だけで土の品質や使用可否を判断することはできません。必要な確認や試験は、現場の管理基準や施工条件に従って行います。土量測定は、区分された土がどれだけあるかを把握する手段として利用します。
土質区分や用途が変わった場合は、変更前後を関連付けます。改良待ちの土を処理し、使用可能な土へ変更した場合、改良待ち在庫を減らし、使用可能在庫を増やします。この区分変更を新たな搬入として扱うと、総量が重複します。
現場で即土量を把握する目的は、土山の大きさを知るだけではありません。どの土が、どこに、どの状態で、どの程度あるかを把握することで、施工や搬出の判断に使える情報になります。
ルール5 帳簿在庫と実測土量の差異を管理する
五つ目のルールは、日々の入出庫記録から計算した帳簿在庫と、現地測定による実測土量を定期的に照合することです。どちらか一方だけに頼ると、記録漏れや測定条件の違いに気付きにくくなります。
帳簿在庫は、前回確定した在庫量へ期間中の搬入量を加え、搬出量、現場内使用量を差し引いて求めます。土場ごとに計算する場合は、他の土場からの移入を加え、他の土場への移出を差し引きます。
一方、実測土量は、現在の土山の形状と基準面から算出した数量です。帳簿在庫が記録上の数量であるのに対し、実測土量は現地に存在する形状上の数量です。
両者に差があった場合、すぐにどちらかの数値へ合わせるのではなく、原因を確認します。第一土場の実測値が帳簿より少なく、第二土場の実測値が同程度多い場合は、場内移動の記録漏れが考えられます。
すべての土場で実測値が帳簿より少ない場合は、現場内使用の未記録、搬出の記録漏れ、土の沈下、雨水による流出、体積状態の違いなどを確認します。実測値が帳簿より多い場合は、搬入の未記録、測定範囲の重複、基準面の設定差、隣接する土山の取り込みなどを調べます。
差異が生じたときは、差の数量だけでなく、確認した内容も残します。測定範囲を見直したのか、場内移動の記録が見つかったのか、基準面を変更したのかを記録すれば、次回の照合に役立ちます。
原因を特定できない差異を、確認せずに調整値として消してしまうと、同じ問題が繰り返されます。原因が不明な場合は、未確定差異として残し、次回の測定で傾向を確認します。
月末だけでなく、土量が大きく変化する節目にも照合すると効果的です。大量搬出の前後、土場の切替時、土質改良の前後、盛土工程の区切りなどで測定すれば、差異が小さいうちに原因を確認できます。
月次の確定数量には、測定日、締め時刻、基準面、測定範囲、対象外とした物、場内移動の補正方法などを関連付けます。数量だけを保存しても、後から同じ条件を再現できません。
実測土量と帳簿在庫を継続的に照合すれば、運搬記録の精度、場内移動の管理、測定方法の問題を見つけやすくなります。差異を単なる誤差として処理せず、管理改善のための情報として扱うことが重要です。
複数ヤードを効率よく測定する実務手順
複数ヤードの測定では、当日に順番を決めるのではなく、事前に対象と時間帯を整理します。最初に、測定する土場、土山番号、土質区分、予定時刻を確定します。重機作業や運搬車両との干渉を避けられるよう、施工担当者や運搬担当者と共有します。
測定順序は、土の移動計画を考慮して決めます。第一土場から第二土場への移動が予定されている場合は、移動前に両方を測るか、移動後に両方を測る方が集計しやすくなります。移動の途中に一方だけ測定すると、締め時刻への補正が必要になります。
現地では、安全な測定動線を確認します。土山の法面、崩れやすい箇所、重機の旋回範囲、車両通路、ぬかるみには不用意に近づきません。測定のために危険な場所へ立ち入ることは避け、測れない範囲がある場合は記録します。
測定前に、土山以外の物が含まれていないか確認します。重機、車両、仮設資材、シート、草木、水たまりなどが測定対象に含まれると、土量が過大になる可能性があります。移動できる物は測定前に移し、移動できない場合は計算範囲から除外するか、影響を記録します。
土山の裾も確認します。裾が泥や草で隠れている場合、境界を誤りやすくなります。隣接する山と接している場合は、どこで分けるかを現地で確認します。以前の測定範囲を参照できる場合は、同じ範囲で測るようにします。
測定データは、現場名、土場コード、土山番号、測定日時が分かる形式で保存します。過去データを上書きせず、時系列で比較できるようにします。同じ土山を一日に複数回測る場合は、時刻まで含めて区別します。
測定直後には、対象範囲と結果の妥当性を現地で確認します。土山の一部が欠けていないか、別の山が含まれていないか、重機や資材が混入していないかを見ます。現場を離れてから不備に気付くと、再測定の負担が大きくなります。
各土場の測定が終わったら、締め時刻へ数量をそろえます。測定時刻から締め時刻までに発生した搬入、搬出、現場内使用、場内移動を反映し、すべての土場を同じ時点の在庫として整理します。
その後、前回数量との差分を確認し、期間中の移動記録と照合します。差が大きい土場から優先して確認すれば、すべての記録を無作為に見直すより効率的です。
土場別集計で二重計上を防ぐ確認方法
土場別集計で最も注意したいのは、同じ土を複数回数えることです。二重計上は、場内移動だけでなく、測定時点、土山の統合や分割、用途区分の変更でも起こります。
場内移動については、移動元の減少と移動先の増加が一対になっているかを確認します。現場全体を集計するときは、場内移動分を新規搬入として加えません。土場別の増減と、現場全体の増減を分けて考える必要があります。
測定時点が異なる場合も、同じ土を重複して数える可能性があります。午前に移動元を測り、午後に移動先を測った場合は、両方に同じ土が含まれていないか確認します。共通の締め時刻へ補正してから合計します。
土山を統合した場合は、統合前の二つの数量と、統合後の一つの数量を同じ時点の総量として加えないようにします。統合前の数量は過去時点の記録、統合後の数量は現在時点の記録として扱います。
分割した場合も同様です。分割前の一つの数量と、分割後の二つの数量を同時に在庫へ含めると重複します。管理単位が変わった日時を記録し、どちらを現在数量として採用するか明確にします。
土質区分を変更したときも注意が必要です。改良待ち土から改良済み土へ分類を変更した場合、改良済み土量を新規に追加するだけでは総量が増えてしまいます。変更前の区分を減らし、変更後の区分を増やします。
日報、運搬記録、測定データを照合するときは、土場名、土山番号、日時、移動元、移動先を確認します。数量だけを見ていると、同じ作業が別の記録に重複していることに気付きにくくなります。
現場総量を確認するときは、前回総量に現場外からの搬入を加え、現場外への搬出と現場内で施工済みとなった数量を差し引く考え方が基本です。土場間の移動は、現場総量を変化させません。
この関係が崩れている場合は、どこかで場内移動を外部搬入や外部搬出として扱っていないか、記録が片側だけになっていないかを確認します。二重計上を防ぐには、単に合計結果を見るのではなく、土の移動経路を追える状態にしておくことが必要です。
集計した土量を工程・配車・原価管理に生かす
土場別の土量を整理すると、在庫確認だけでなく、翌日の工程や配車計画にも利用できます。例えば、盛土へ使用できる土がどの土場にどれだけあるか分かれば、重機や運搬車両の配置を決めやすくなります。
現場全体では十分な土量があっても、使用場所から遠い土場に偏っている場合は、場内運搬の時間が必要です。土場別数量と施工場所の位置関係を確認すれば、運搬距離を考慮した工程計画を立てられます。
搬出待ちの土量が把握できれば、必要な車両台数や搬出日数の目安を検討できます。ただし、土量を車両の理論上の積載量で割るだけでは、実際の台数と一致しないことがあります。土質、含水状態、積み方、運行条件によって、一台当たりの運搬量が変わるためです。
計画を作るときは、過去の運搬実績と照合しながら、一台当たりの見込み量を調整します。予定台数と実績台数の差を確認すれば、配車計画の精度も改善できます。
受入土がある現場では、各土場の空き容量を判断する材料になります。ただし、現在の土量と土場の最大容量との差を、そのまま受入可能量としないことが重要です。重機の作業スペース、車両通路、排水経路、安全な積上げ形状、周辺施設への影響を考慮する必要があります。
原価管理では、場内移動の回数や距離を把握することが役立ちます。同じ土を何度も移動している場合、重機の稼働時間や車両運行が増えます。土場の配置や施工順序を見直し、最終使用場所に近い場所へ保管できれば、不要な場内運搬を減らせる可能性があります。
月次出来高に土量を利用する場合は、契約上の数量算定方法や確認手順に従います。現場管理用に測定した土場在庫と、出来高として扱われる数量が同じとは限りません。必要な測定方法、資料、立会い条件を確認し、管理用数量と提出用数量を区別します。
土量の差分は、施工進捗の確認にも使えます。盛土用ヤードの数量が予定より減っていない場合は、盛土工程が計画どおり進んでいない可能性があります。搬出待ちヤードの数量が増え続けている場合は、搬出能力が発生量に追い付いていないことが考えられます。
このように、現場で即土量を把握する価値は、早く数値を得ることだけではありません。土場別、用途別、時点別に整理された数量を、工程、配車、搬出、受入、原価の判断につなげることで、測定結果を現場管理に生かせます。
LRTK Phoneを活用した複数ヤード管理
複数ヤードを継続して管理するには、現場で測定し、その場で対象範囲を確認し、過去のデータと比較できる環境が役立ちます。LRTK Phoneを利用する場合も、測定を始める前に土場コード、土山番号、測定日時、基準面、土質区分などの運用ルールを統一することが重要です。
LRTK Phoneで土量測定に必要な現場データを取得するときは、対象となる土山の周囲を確認し、土山の裾や上面を含む形状を記録します。ただし、重機の稼働範囲や不安定な法面へ立ち入らず、安全に取得できる経路を選びます。
位置情報を伴う測定記録を残すことで、どの土場のどの土山を測ったのかを整理しやすくなります。複数の担当者が測定する現場では、同じ名称と保存方法を使い、担当者が変わっても過去データを追える状態にします。
測定データを比較するときは、座標系、高さの基準、測定範囲、基準面が一致しているかを確認します。異なる条件で作成したデータを差分計算すると、実際の土の増減ではない差が体積として表れる可能性があります。
周囲に構造物、樹木、法面、大型機械などがある場合は、測位状態が安定しているか確認します。測定開始前や終了後に、移動しない場所や既知の点を確認しておくと、異なる日のデータを比較するときの判断材料になります。
測定後は、算出された数量だけを見るのではなく、現場状況と照合します。前回より増えた数量が搬入記録と合っているか、減った数量が搬出や使用記録と合っているかを確認します。重機や資材、隣接する土山が含まれていないかも確認します。
複数ヤードでは、一度だけ詳細に測るより、同じルールで繰り返し測れる仕組みを作ることが重要です。大量搬入や大量搬出の前後、土場の切替時、改良作業の前後など、数量が大きく変化する時点で測定すれば、変化の理由を追いやすくなります。
LRTK Phoneを使った測定結果も、日報や運搬記録から切り離さずに管理します。測定による実在庫と、移動履歴から求めた帳簿在庫を照合することで、場内移動の記録漏れや測定範囲の違いを見つけやすくなります。
まとめ
現場で即土量を土場ごとに集計するには、単に各ヤードの体積を測って合計するだけでは不十分です。土場と土山の識別単位を固定し、搬入、搬出、現場内使用、場内移動を分けて記録する必要があります。
特に複数ヤード管理では、場内移動による二重計上に注意が必要です。第一土場から第二土場へ土を移した場合、第一土場の数量は減り、第二土場の数量は増えますが、現場全体の土量は変わりません。移動元と移動先を一つの記録として関連付けることが重要です。
測定日時と基準面も統一します。異なる時間に測った土場を合計すると、移動前後の同じ土が重複する可能性があります。すべての数量を共通の締め時刻へそろえ、測定後に発生した移動を補正します。
土量は総量だけでなく、土質、状態、用途ごとに分けます。盛土へすぐ使える土、改良が必要な土、搬出予定の土を区別すれば、工程や配車の判断に利用できます。
日々の記録から求めた帳簿在庫と、現地測定による実測土量は、定期的に照合します。差異が生じた場合は、場内移動の記録漏れ、測定範囲、基準面、土の状態などを確認し、理由を履歴として残します。
この5つのルールを統一すれば、複数の土場がある現場でも、在庫量の重複や計上漏れを抑えられます。さらに、土場別数量を工程、搬出、受入、配車、原価の判断へつなげることで、土量測定を現場運営に役立つ情報として活用できます。
複数ヤードの形状を現場で記録し、土場ごとの数量を継続的に比較できる運用を整えたい場合は、LRTK Phoneを活用した測定と管理を検討してみてください。