現場で即土量を地盤改良に使う前に押さえる基本
地盤改良工事では、改良対象となる土の体積を早い段階で把握できれば、改良材の手配、施工機械の配置、施工日数、搬入計画を具体化しやすくなります。施工中に現況地盤が設計時の想定と異なることが判明した場合も、現場で即土量を再計算できれば、材料数量の見直しや、改良範囲を変更する必要があるかどうかの協議を早めやすくなります。
一方で、現場で計測した土量だけを根拠に、設計上の地盤改良範囲を決定または変更することは適切ではありません。地盤改良の範囲、深さ、要求性能、改良材の種類、添加量は、地盤調査結果、設計図書、配合試験、施工計画、適用基準、発注者や設計者との協議結果などに基づいて定めます。国土交通省の技術資料でも、荷重条件や支持力などの検討から改良範囲、改良深度、設計強度を決め、その後に原地盤の土を用いた室内配合試験で固化材の種類と配合量を決める流れが示されています。国土交通省全国道路交通情報提供サービス
現場で即土量を把握する主な目的は、設計条件を現場計測だけで置き換えることではなく、設計で定められた改良範囲と現地の形状を照合し、施工対象となる体積を数量として整理することです。地盤改良範囲の外形や深さが設計図書に示されていても、現地には地盤の起伏、掘削済み部分、構造物、法面、既設埋設物などがあります。そのため、単純に平面面積へ一定の深さを掛けるだけでは、実際の施工条件と差が生じる場合があります。
特に注意したいのが、改良対象土量と掘削土量を混同しないことです。原位置で土と改良材を混合する工法では、改良対象土をすべて掘削して搬出するわけではありません。置換を伴う工法では掘削土量や置換材量が重要になりますが、原位置混合では改良する地盤の体積や改良体の配置が数量管理の中心になります。
したがって、現場で即土量を算出するときは、何の数量を求めているのかを最初に明確にします。改良対象土の体積なのか、掘削して場外へ搬出する土量なのか、埋戻しに使用する土量なのか、改良後の出来形体積なのかによって、必要な計測範囲と計算方法が変わります。
改良材不足を防ぐには、現地計測の精度だけでなく、改良範囲、改良深さ、添加量、施工による変動という四つの条件を一貫して管理することが重要です。どれか一つだけが正確でも、ほかの条件が曖昧であれば必要数量を適切に求められません。
土量だけで改良範囲を決めてはいけない理由
地盤改良範囲は、建物や構造物の荷重、地層構成、支持力、沈下、地下水位、施工条件、周辺への影響などを考慮して設計されます。表面の形状を測って土量を算出しても、地中の軟弱層の分布や必要な改良強度までは判断できません。
例えば、同じ平面面積でも、改良深さが一様な現場と、軟弱層に合わせて深さが変化する現場では改良土量が異なります。地表から見える範囲が平坦でも、改良下端の高さが傾斜していれば、改良体積は場所ごとに変わります。反対に地表面に起伏があっても、改良下端の標高が一定であれば、低い場所と高い場所で改良深さが変わります。
現場で即土量を活用する際は、平面的な施工範囲だけでなく、改良上端と改良下端の関係を確認しなければなりません。改良上端が現況地盤面なのか、掘削後の床付け面なのか、計画地盤面なのかによっても算定結果が変わります。
また、地盤改良の外周には、設計上の改良範囲と施工機械が実際に施工する範囲との差が生じることがあります。改良機械の攪拌部の形状、施工位置の間隔、改良体の重なり、施工端部の納まりによって、設計上の外形から単純に求めた体積と実際の施工数量が一致しない場合があります。
構造物の基礎直下だけを改良する計画でも、改良体を連続させるために一定の重なりを設けることがあります。円柱状、矩形状、格子状など改良体の配置方法によっても、平面面積から求めた数量と施工本数や改良体形状から求めた数量に差が出ます。
このような差を無視して、計測した面積と平均深さだけで改良材を手配すると、施工終盤で材料が不足する原因になります。反対に、根拠なく大きな余裕を加えると、余剰材の保管、返却、処理、現場内管理が必要になり、施工管理が複雑になります。
現場で即土量を算出する作業は、設計数量を一方的に置き換えるものではなく、設計数量と現地数量の差を早期に見つけるための作業です。差が確認された場合は、その理由を整理し、必要に応じて施工管理者、設計担当者、発注者などと確認したうえで、施工数量や変更手続きを確定します。
確認1 改良対象の平面範囲と深さを一致させる
最初の確認は、平面範囲と改良深さが同じ基準で整理されているかという点です。改良深さが一定で、全面改良のように範囲が連続し、形状が単純な場合は、概算式を次のように表せます。
改良対象体積=改良平面面積×改良深さ
ただし、この式はすべての地盤改良工法へそのまま適用できるものではありません。柱状改良、格子状改良、離散配置の改良体、重複施工を伴う工法などでは、改良体の形状、配置、本数、重なり、施工方法を踏まえた数量算定が必要です。契約図書や工法ごとの施工計画で算定方法が定められている場合は、その条件を優先します。
まず設計図上の改良範囲を確認し、外周線、除外部分、構造物位置、既設物位置を整理します。改良範囲の中に杭、基礎、地下構造物、埋設管、既設改良体などがある場合、それらを数量から控除するかどうかは設計条件によって異なります。自己判断で控除せず、数量算定上の扱いを確認する必要があります。
次に、改良上端と改良下端を確認します。改良上端が現況地盤面と一致するとは限りません。表土を撤去した後に改良する場合は、表土撤去後の地盤面が改良上端になります。先行掘削がある場合は、掘削後の床付け面を基準にすることがあります。
改良下端についても、地表からの一定深さで定められている場合と、標高や地層境界に応じて定められている場合があります。改良深さが地盤面から一定とされている場合は、地表面の起伏に応じて改良下端も変化します。一方で改良下端標高が一定の場合は、現況地盤高が高い場所ほど改良深さが大きくなります。
この違いを確認せずに平均深さを一律に使用すると、改良対象体積を過小または過大に算定する可能性があります。現場で即土量を求める際は、設計条件に合わせて、測点または区画ごとに改良上端高と改良下端高を整理し、その差から改良深さを求めます。
改良範囲に勾配や段差がある場合は、平面を複数の区画に分割します。各区画について、面積、代表的な上端高、下端高、平均改良深さを設定し、区画ごとの体積を合計します。地形変化が大きい場所ほど区画を細かくすることで、粗い平均化による数量差を抑えやすくなります。
例えば、改良面積が800平方メートル、改良深さが一律1.2メートルであれば、単純計算による改良対象体積は960立方メートルです。しかし、実際には半分の範囲が1.0メートル、残り半分が1.4メートルであれば、全体平均は同じ1.2メートルでも、区画ごとの必要材料量や施工時間は異なります。
総量が一致していても、施工初日に深い区画へ入れば、想定より早く材料を消費します。改良材不足を防ぐには、現場全体の総量だけでなく、施工順序に対応した区画別体積まで把握することが重要です。
確認2 改良土量の算定条件を統一する
二つ目の確認は、設計数量、現場計測数量、施工管理数量で算定条件が統一されているかという点です。同じ土量という言葉を使っていても、計算の基準が異なれば数値は一致しません。
改良材数量の計算に用いる基準体積は、工法、配合設計、契約図書、施工計画によって異なります。改良前の原地盤体積を基準とすることが多い場面はありますが、すべての工法へ一律に当てはめず、採用工法と配合条件で定義された体積を使用します。現場独自の判断で、掘りほぐした土の体積や改良後の盛り上がりを混在させると、添加量の基準と合わなくなる可能性があります。
土は掘削や攪拌、締固めによって体積が変化します。地山状態、ほぐした状態、締め固めた状態では、同じ土でも体積が異なることがあります。そのため、改良対象体積と搬出土量、改良後の出来形体積を同じ数値として扱うことはできません。
原位置混合では、土に改良材を加えて攪拌するため、施工後の地盤面に変化が生じることがあります。変化後の体積をそのまま改良対象体積へ加算すると、元の地盤体積と改良材投入後の体積が混在します。改良材の必要数量を計算するときは、配合設計で設定された基準と同じ条件の体積を使用することが重要です。
現場で地盤形状を計測するタイミングも統一します。表土撤去前の計測結果と、表土撤去後を前提とした設計改良範囲を組み合わせると、撤去する表土分が改良対象体積へ含まれる可能性があります。掘削途中の形状を使用する場合は、どの時点まで掘削が完了しているかを記録します。
数量を比較するときは、座標系、高さの基準、対象範囲の境界、計測日、計測時の施工状況をそろえます。高さの基準が異なるデータを重ねると、全体が上下にずれ、広い範囲では大きな体積差につながります。
改良範囲の境界線についても注意が必要です。設計図の線の中心までを対象とするのか、線の内側を対象とするのか、施工機械の改良中心位置を基準とするのかによって面積が変わります。外周線の扱いは小さな差に見えても、延長が長い現場では体積差へつながります。
現場で即土量を算出した結果を設計数量と比較する場合は、まず両方の算定条件を並べて確認します。数量差が出たときに、すぐ計測誤差と判断するのではなく、対象範囲、上端面、下端面、控除対象、改良体の重なり、丸め方などの違いを確認します。
また、立方メートル単位の数値を途中で大きく丸めると、区画数が多い現場では合計値に差が生じます。日々の管理では必要な桁数を保持し、最終的な帳票で指定された単位に丸める方法が適切です。
確認3 改良材の添加量を試験条件から決める
三つ目の確認は、改良材の添加量が配合試験、設計条件、工法の管理基準に基づいて設定されているかという点です。必要な改良材数量は、基準となる改良対象体積と単位体積当たりの添加量を用いて、概ね次のように整理できます。
必要改良材質量=基準となる改良対象体積×設計または承認された添加量
例えば、改良対象体積が960立方メートルで、添加量が1立方メートル当たり80キログラムであれば、計算上の必要改良材質量は76,800キログラムです。ただし、この数値は計算例であり、特定の現場に適用できる添加量を示すものではありません。実際の添加量は、対象土の性質、必要強度、含水状態、改良材の種類、施工方法、室内配合試験結果、現場と室内の強度差などを踏まえて決定します。施工中は、固化材の供給量や攪拌時間、回転数など、混合の良否に関係する項目を施工計画と適用基準に従って管理します。国土交通省全国道路交通情報提供サービス+1
改良材不足を防ぐためには、設計図や数量表に記載された添加量だけを見るのではなく、その数値がどの土質条件を前提としているかを確認します。地盤調査時と施工時で土質や含水状態が異なる場合、当初の試験結果をそのまま適用できるか、設計者や施工管理者と確認が必要になることがあります。
同じ現場内でも、粘性土、砂質土、有機質土、盛土材などが混在している場合があります。地層や区画によって添加量が異なる計画であれば、すべての改良対象体積へ同じ添加量を掛けてはいけません。
この場合は、土質区分や施工区画ごとに改良対象体積を分け、それぞれに対応する承認済みの添加量を掛けます。各区画の必要改良材質量を合計することで、現場全体の計画数量を求めます。
改良材数量を管理するときは、質量と体積を混同しないことも重要です。配合条件がキログラム毎立方メートルで示されている場合は、改良材を質量で管理します。現場で容積計量を行う場合は、設備の仕様、材料のかさ密度、供給装置の校正条件などを確認し、配合条件と対応する量へ換算できるようにします。
粉体材料は保管状態や供給状態によって見掛けの体積が変わる場合があります。そのため、容器の体積だけから残量を判断すると、実際に使用できる質量と差が生じる可能性があります。搬入伝票、使用量記録、供給装置の計量値、保管設備の残量表示などを組み合わせて確認します。
液体状またはスラリー状にして使用する場合は、改良材そのものの質量と、水を含む混合液の量を区別します。水と改良材を合わせたスラリー全体の量を、そのまま改良材質量として扱うことはできません。水と材料の配合条件、練り混ぜ量、固形分、実際の吐出量を関連付けて記録します。
セメントやセメント系固化材を用いる場合は、強度だけでなく環境面の確認も必要です。適用される契約図書、試験要領、発注者の指示に従い、配合設計段階や必要な施工後段階で六価クロム溶出試験の要否と実施条件を確認します。国土交通省の試験要領案では、原位置で土と混合する地盤改良について、配合設計段階の試験と、条件に応じた施工後試験が整理されています。国土交通省
施工途中で添加量が変更された場合は、変更権限と承認手続きを確認したうえで、変更前と変更後の施工範囲を明確に分けます。現場全体の平均添加量だけで管理すると、どの区画にどの配合を適用したか追跡できなくなります。区画番号、施工日、施工深さ、添加量、使用材料量を関連付けて管理することが大切です。
確認4 損失と施工変動を見込んで不足を防ぐ
四つ目の確認は、計算上の必要数量と実際の使用数量の差を把握し、施工条件に応じた補正を行っているかという点です。改良対象体積と添加量を掛けただけの数量は計画上の基礎値であり、現場で準備する数量と完全に一致するとは限りません。
施工では、材料の搬送経路、供給装置、混合設備、配管、保管設備などに材料が残ることがあります。粉体が飛散したり、設備の清掃時に回収できない材料が発生したりする場合もあります。スラリーを使用する場合は、練り混ぜ槽や配管内の残留分も考慮が必要です。
また、改良体を重ねて施工する場合、重複部分にも材料が投入されます。平面面積から算出した体積が重複を考慮していなければ、実際の使用量が計算値を上回る場合があります。一方、施工本数や改良体の外形を単純に合計すると、重複部分を二重に計上することがあります。計画数量、契約数量、材料手配数量のどれを求めているかを分け、算定方法を明確にします。
施工深さのばらつきも材料消費量に影響します。承認なく設計深さを下回る施工は避け、深度の許容差や判定方法は適用基準、施工計画、発注者の指示に従います。支持層の確認方法や施工管理条件によって実際の到達深さが計画値より深くなる場合は、品質上の扱いと材料数量への影響を関係者間で確認します。一本当たりの増加量が小さくても、施工本数が多ければ総量への影響は大きくなります。
地盤面の凹凸や施工機械の据付高さの違いも改良深さへ影響します。施工管理上の深度が機械の基準位置から管理されている場合は、計測した地盤高と施工記録の深度基準を対応させます。
改良材の手配数量へ加える予備量は、一律の割合で決めるのではなく、施工方法、設備構成、材料の供給単位、追加搬入に必要な時間、保管可能量、材料の使用期限や保管条件、過去の施工実績などを考慮して設定します。過剰な余裕を持たせればよいというものではなく、施工停止を避けながら余剰材も抑えられる数量にすることが重要です。
例えば、理論必要量が76.8トンであり、施工条件から一定の補正を行う計画であれば、その補正理由を記録します。端部施工の増加分、配管残留分、深度変動分、供給単位による端数など、何を見込んだ補正なのかが分かれば、施工後に実績との差を検証できます。
施工開始後は、計画使用量と実績使用量を定期的に比較します。総使用量だけでなく、当日の施工数量、当日の使用材料量、区画条件、設備の計量記録を確認します。
実績使用量を当日改良対象体積で割った値は、実績の単位使用量を確認する一つの指標になります。ただし、この値だけで品質を判定することはできません。深度増加、重複施工、スラリー濃度、設備内残留、計量装置の誤差、土量算定の不足などが影響するため、施工履歴や設備記録と合わせて判断します。
実績の単位使用量が計画値より大きい場合は、施工深度、重複範囲、設備の計量状態、体積算定条件を確認します。反対に小さい場合は、供給量不足、材料詰まり、記録漏れ、施工範囲や深度の不足がないか確認します。
材料が不足してから原因を調べるのではなく、施工の初期段階で実績傾向を確認し、残りの改良対象体積と施工区画へ反映させます。これにより、施工終盤で材料が不足する事態を防ぎやすくなります。
現場で即土量を算出する実務手順
現場で即土量を算出するには、計測前に対象範囲と基準面を決めます。先に現場全体を計測してから範囲を考える方法では、不要なデータが増え、必要な場所が十分に計測されていない可能性があります。
最初に設計図書から改良範囲の外周、改良上端、改良下端、除外部分、施工区画、採用工法を確認します。現地では、設計図上の境界と実際の施工可能範囲が一致しているかを確認します。
次に、改良前の地盤面を計測します。地盤の起伏が小さい現場でも、改良範囲の外周、区画境界、段差、法肩、法尻、掘削部分などは確実に記録します。地形が複雑な場所では計測点や点群の取得範囲を増やし、急な変化を取りこぼさないようにします。
計測後は、設計条件に対応する改良上端面を整理します。表土撤去後の面を使用する場合は、表土撤去が完了している範囲と未完了の範囲を混在させないようにします。施工途中で計測する場合は、計測範囲ごとの施工状態を記録します。
改良下端が一定標高であれば、上端面と下端の基準面との差から体積を求められる場合があります。改良下端が場所ごとに変化する場合は、設計された下端高や改良深さを反映した面を作り、上端面との差を算出します。ただし、地表面の点群計測だけで地中の軟弱層境界や支持層位置を直接把握することはできないため、下端条件には設計図書や地盤調査、施工管理記録を使用します。
改良深さが一定で範囲が単純な場合は、平面面積へ深さを掛ける方法でも概算できます。ただし、現況地盤に起伏がある場合、除外部分がある場合、改良体が離散配置される場合は、工法に合った三次元形状または改良体数量による算定と照合します。
数量を算出した後は、区画別の体積を集計します。施工順序に合わせて区画を分けると、日ごとの材料消費量を予測しやすくなります。施工機械の一日の能力や材料搬入の単位に合わせて区画を分ければ、翌日以降の必要材料量も把握しやすくなります。
現場で即土量を求める際は、結果だけでなく計算条件を保存します。計測日、対象範囲、使用した上端面と下端面、除外範囲、座標と高さの基準、採用した算定方法、計算担当者を記録しておくと、後から数量が変わった理由を確認できます。
計測結果と設計数量に大きな差がある場合は、直ちにどちらかを誤りと決めつけず、範囲や高さの条件を確認します。外周線の位置、改良深さの基準、表土の扱い、構造物控除、改良体の重なり、施工済み範囲の混在などを一つずつ照合します。
区画分けで改良材数量の精度を上げる
地盤改良範囲を一つの大きな数量として管理すると、総量は分かっても、どの場所で材料が多く使われているかが分かりません。改良材不足を防ぐには、施工範囲を実務上管理しやすい区画に分けることが有効です。
区画は、施工日、改良深さ、土質、添加量、施工機械の移動範囲、改良体の配置などに合わせて設定します。深さや添加量が異なる場所を同じ区画に含めると、平均値でしか管理できなくなるため、条件が変わる位置で分割します。
例えば、改良範囲の東側と西側で地盤高が異なる場合は、それぞれの区画で改良対象体積を求めます。土質区分が異なる場合は、平面上の境界と深度方向の境界を確認し、必要に応じて立体的に区分します。
施工区画ごとに、計画改良対象体積、承認された添加量、計画材料量、施工済み数量、実績使用量、残数量を整理します。毎日の施工終了時に更新すれば、翌日の搬入数量や現場在庫を判断しやすくなります。
区画分けは細かければよいわけではありません。区画が細かすぎると記録作業が増え、施工履歴との対応が難しくなります。施工機械の一日当たりの進捗、材料搬入の単位、品質管理のロットなどに合わせて設定すると運用しやすくなります。
施工途中で土質や改良深さが想定と異なることが分かった場合は、設計者や発注者との確認を経て、該当範囲を新しい区画として切り分けます。既存区画の平均値を書き換えるのではなく、変更前と変更後を分けることで、数量と品質記録を追跡できます。
区画別の実績を蓄積すると、同じ施工条件における材料消費傾向が見えてきます。施工初期の区画で実績の単位使用量が計画を上回っていれば、原因を確認したうえで、残区画の必要数量を早期に見直せます。
改良材不足が起きやすい場面と対策
改良材不足は、単純な計算間違いだけで起きるものではありません。現場条件の変化や情報共有の遅れが重なることで発生します。
よくある原因の一つが、改良範囲の変更です。掘削後に想定と異なる地盤が確認され、協議のうえで改良範囲を広げる場合があります。範囲変更が施工担当者へ伝わっても、材料担当者へ新しい数量が共有されなければ、当初数量のまま施工が進みます。
この場合は、承認された変更範囲を計測し、追加改良対象体積を算出したうえで、追加材料量を計算します。口頭で少し広がったと伝えるだけでなく、変更範囲、変更深さ、追加体積、追加材料量、承認記録を関連付けます。
次に、改良深さの増加があります。施工時の確認によって、当初想定より深い位置まで施工する必要が生じた場合、一本当たりまたは区画当たりの材料使用量が増えます。施工本数が多い現場では、わずかな深度差でも総量へ大きく影響します。
また、土量の二重計上や計上漏れにも注意が必要です。複数の担当者が別々に数量を計算し、一部の区画が重複したり、区画境界の細長い部分が除外されたりすることがあります。改良範囲には共通の区画番号を付け、図面、計測データ、施工履歴、材料管理記録で同じ名称を使用します。
材料の在庫量を袋数や容器数だけで確認することも不足の原因になります。開封済み材料、設備内残留分、使用不能となった材料があると、帳簿上の数量と実際に使用できる数量が一致しません。現場在庫は、未使用量、使用中の量、設備内の量、使用できない量を区別して管理します。
搬入計画の余裕不足も施工停止につながります。残量が一定量を下回ってから手配する方法では、交通状況、搬入車両、受入時間、供給者の出荷条件などの影響を受けます。残りの施工数量と実績傾向から、材料が何日分残っているかを確認し、必要な時期に手配します。
施工初日の使用量だけを基準に全期間を予測する場合も注意が必要です。初日は機械調整や配管充填によって使用量が増えることがあります。反対に浅い区画から施工を始めた場合は、後半の深い区画で使用量が増えます。複数日の実績と今後の区画条件を合わせて予測することが重要です。
数量管理と品質管理を分けずに進める
地盤改良では、改良材を必要量だけ確保することと、所定の品質を確保することを同時に進める必要があります。材料が不足しないように使用量を抑えることはできません。承認された添加量や施工管理基準を守りながら、適切な数量算定に基づいて必要材料を準備します。
施工中は、施工位置、改良深さ、材料供給量、攪拌状況、施工時間などを記録します。これらの記録と区画別体積を対応させることで、どの範囲にどれだけの材料を使用したか確認できます。
材料使用量が計画より多い場合は、単純に施工ロスとして処理せず、改良深さや施工範囲が増えていないかを確認します。供給量の計測誤差、スラリー条件、重複施工、計測した体積の不足も考えられます。
使用量が計画より少ない場合は、材料を節約できたと判断するのではなく、供給装置の設定、材料の詰まり、施工深度、施工速度、記録漏れなどを確認します。数量差は、品質上の問題を早期に発見する手掛かりになる場合があります。
施工後は、計画改良対象体積、実績施工数量、計画材料量、実績材料量を比較します。差が生じた理由を区画ごとに整理し、次の施工区画や今後の現場へ反映します。
現場で即土量を把握する仕組みがあれば、数量管理と品質管理を同じ区画単位で進めやすくなります。施工位置と数量記録を結び付けることで、変更範囲や追加施工の履歴も追いやすくなります。
LRTK Phoneを使った現場数量把握
地盤改良範囲の数量を現場で迅速に確認するには、設計図だけでなく、現況地盤の三次元形状を把握することが有効です。地盤面に起伏がある場合や、掘削の進行によって形状が変化している場合は、代表点だけの測定よりも面的な計測が役立つことがあります。
LRTK Phoneは、点群の取得や現場での土量計算に対応する機能を備えています。取得した点群などから対象範囲の形状を確認すれば、改良上端面の把握や、設計で定めた下端面との間の概算体積を整理する用途に活用できます。Lefixea
ただし、表面の点群から地中の軟弱層分布や支持層位置、改良下端を直接決めることはできません。改良下端や設計深さには、地盤調査結果、設計図書、施工管理記録を使用し、LRTK Phoneによる計測は現況地盤面や施工範囲を把握する資料として位置付けます。
改良前、掘削後、施工途中などを同じ座標と高さの基準で計測することで、施工段階ごとの形状変化を比較しやすくなります。比較時には、計測時点の施工状態、仮置き土、資材、重機の有無も記録します。
現場計測では、改良範囲の外周だけでなく、段差、法面、構造物周辺、除外部分など、体積へ影響する形状を確実に取得します。地盤面が土砂や資材で一時的に覆われている場合は、それらを改良対象地盤として計算しないよう注意が必要です。
計測時には、衛星測位の受信環境、周囲の構造物、樹木、地形条件などを確認します。必要な精度が得られているかを既知点などで確認し、計測結果に不自然な段差、欠測、ずれがないかを点検します。
取得した数量は、設計条件や施工計画と照合して使用します。LRTK Phoneで算出した土量だけで改良範囲や添加量を変更するのではなく、現況数量を確認する資料として活用し、変更が必要な場合は所定の協議と承認を行います。
従来、現場計測後に事務所へ戻って数量を整理していた場合でも、現地で概算体積を確認できれば、改良材の残量、当日の施工可能範囲、翌日の搬入数量を早い段階で検討しやすくなります。ただし、契約数量や品質判定に使用する場合は、適用基準、要求精度、計測手順、成果の確認方法を事前にそろえる必要があります。
まとめ
現場で即土量を把握することは、設計された地盤改良範囲と現況地盤を照合し、改良材不足を防ぐための数量管理に役立ちます。ただし、計測した体積だけで設計上の改良範囲を決定または変更するのではなく、地盤調査、設計図書、配合試験、施工計画、適用基準などの条件と照合する必要があります。
最初に確認するのは、改良対象の平面範囲と改良深さです。改良上端と改良下端の基準をそろえ、深さが変わる場所は区画に分けて数量を求めます。工法によっては、平面面積と深さの単純な掛け算ではなく、改良体の形状、配置、本数、重なりを反映します。
次に、設計数量と現場計測数量の算定条件を統一します。地山状態の体積、掘削後の体積、改良後の体積を混同せず、同じ時点、同じ範囲、同じ高さ基準で比較します。
三つ目は、配合試験や設計条件に基づく添加量の確認です。土質や区画によって添加量が異なる場合は、改良対象体積を分けて計算します。セメントやセメント系固化材を使用する場合は、適用される試験要領に従い、六価クロム溶出試験など環境面の確認も行います。
四つ目は、設備内の残留、改良体の重なり、施工深度の変動、供給単位などを考慮した数量管理です。施工開始後は計画値と実績値を比較し、差の原因を確認して残りの施工範囲へ反映します。
総量だけでなく区画別数量を管理すれば、施工順序に応じた材料消費量を予測できます。改良範囲や深さが承認手続きにより変更された場合も、追加体積と追加材料量を速やかに整理できます。
LRTK Phoneを活用して現況地盤を計測し、現場で改良対象体積を確認する体制を整えれば、材料残量と施工進捗を結び付けた管理がしやすくなります。地盤改良前の数量確認から施工途中の変更把握まで、現場で即土量を確認する運用を始める際は、採用工法、要求精度、設計条件に合う使い方を事前に整理してください。