現場で即土量から施工日数を算定する目的
掘削、盛土、残土搬出、造成、路床整形などの工事では、対象となる土量を把握するだけでなく、その土量を何日で処理できるかを見通す必要があります。残土量や盛土量が分かっていても、重機の処理能力と結び付けられていなければ、重機の手配期間、運搬車両の台数、作業員の配置、後続工程の開始時期を具体的に判断できません。
現場で即土量を確認できれば、現在残っている土量を基準にして、その時点から必要となる施工日数を算定できます。着工前の設計数量だけに依存せず、施工途中の地形変化や実際の進捗を反映できる点が大きな利点です。
たとえば、着工前には2,000立方メートルの掘削を10日間で完了する計画だったとしても、施工開始後の地盤状態、湧水、車両待ち、土質変化などによって、実際の処理能力は計画値と異なる場合があります。施工5日目に残っている土量を計測し、直近の実効処理量で割れば、当初計画ではなく現在の状況に基づく残日数を求められます。
施工日数を早い段階で更新できれば、重機の延長手配や追加配車が必要か、後続工程を予定どおり開始できるか、搬出先との調整が必要かを事前に判断できます。逆に、計画よりも進捗が早い場合には、重機や車両の契約期間を見直し、次の作業へ移る準備を前倒しできます。
ただし、現場で即土量を把握しただけで、施工日数が自動的に確定するわけではありません。土量を何で割るか、つまり1日当たりの実効処理量をどのように設定するかが重要です。重機の公称能力をそのまま使用すると、実際より短い施工日数になる可能性があります。
現場では、始業前点検、安全確認、休憩、給油、施工位置の変更、車両の入替え、測量、待機などが発生します。そのため、重機が現場に8時間存在していても、8時間連続で土を処理しているわけではありません。施工日数を実務で使える数値にするには、土量と重機能力に加えて、現場特有の停止時間や作業条件を反映する必要があります。
施工日数を求める基本式
施工日数を算定する基本式は、対象土量を1日当たりの実効処理量で割る形です。
施工日数=対象土量÷1日当たりの実効処理量
対象土量が1,200立方メートルあり、1日当たり200立方メートルを処理できる場合、施工日数は6日です。計算結果が割り切れず、たとえば6.3日となった場合には、一般的には7日目の作業が必要になるため、工程上は切り上げて考えます。
ただし、計算結果を切り上げるだけでは十分ではありません。最終日に残る作業が土の処理だけなのか、法面整形、床付け、清掃、測量、出来形確認まで含まれるのかによって必要時間は変わります。残土量が少なくても、重機の回送や最終確認に時間が必要であれば、1日分の工程を確保することがあります。
1日当たりの実効処理量は、次の考え方で求めます。
1日当たりの実効処理量=1時間当たりの実効処理量×1日当たりの実作業時間
1時間当たりの実効処理量は、重機が1回の作業で扱える土量と、1時間に繰り返せる作業回数から考えられます。
1時間当たりの実効処理量=1回当たりの実効土量×1時間当たりの作業回数
1回当たりの実効土量は、バケットの表示容量と常に一致するものではありません。土が十分に入らない場合、粘性土が付着する場合、大きな礫が混在する場合、こぼれが生じる場合などがあるためです。
1時間当たりの作業回数も一定ではありません。掘削位置と積込み位置の距離、旋回角度、掘削深さ、車両の進入方法、オペレーターの作業手順などによって、1回の作業に必要な時間が変わります。
そのため、施工日数を求めるときは、重機の仕様から得られる理論的な能力ではなく、現場条件を反映した実効処理量を使用することが重要です。初期計画では類似現場の実績を使い、施工開始後は実際の処理土量によって能力を更新すると、より現実的な日数を求められます。
算定前に土量の基準をそろえる
施工日数を計算する前に、使用する土量の基準を確認する必要があります。土量には、掘削前の地盤を基準とする地山土量、掘削によってほぐれた状態の土量、締固め後の盛土量などがあります。
同じ土であっても、掘削前、掘削後、締固め後では体積が異なる場合があります。設計図面から算出した掘削数量が地山状態を基準としている一方、仮置きされた土山を計測した数量がほぐれた状態であれば、二つの数値をそのまま比較することはできません。
たとえば、設計上の掘削量が1,000立方メートルであっても、掘削後に仮置きした土の体積が同じ1,000立方メートルになるとは限りません。土質や含水状態によっては、掘削によって体積が増えたように見えることがあります。
施工日数の算定では、対象土量と重機能力の基準をそろえる必要があります。重機の実績能力が地山状態で1日150立方メートルとして記録されているなら、対象土量も地山状態へそろえて計算します。仮置き土の搬出日数を求めるのであれば、仮置き状態の体積と、同じ状態で把握した積込みや運搬の実績を組み合わせます。
現場で即土量を計測するときは、計測範囲も統一します。朝は土山全体を計測し、夕方は一部だけを計測した場合、差分は当日の処理量を表しません。毎回同じ境界、同じ基準面、同じ除外条件を使用することが必要です。
土量計算から除外する対象も明確にします。重機、車両、仮設材、資材、既設構造物、草木などが計測範囲に含まれていると、土量に影響する可能性があります。水面がある場所や死角になる場所では、地形を十分に取得できないこともあります。
計測した土量を施工日数に使う際は、計測日時、計測範囲、使用した基準面、土の状態、除外した対象などを記録します。数値だけを保存するのではなく、算定条件を残すことで、後から計画値と実績値を正しく比較できます。
重機能力を実効処理量へ置き換える
重機能力を施工日数へ反映するには、機械の大きさだけで判断せず、現場で実際に処理できる量へ置き換える必要があります。バケット容量が大きな重機でも、作業空間が狭い場合や運搬車両の到着を待つ時間が長い場合には、本来の能力を発揮できません。
実効処理量に影響する主な要素は、1回当たりの掘削量、サイクル時間、旋回角度、掘削深さ、積込み位置、土質、足場条件、オペレーターの作業方法、運搬車両との連携です。
掘削位置と積込み位置が近く、旋回角度が小さい場合は、1回の作業時間を短縮しやすくなります。反対に、重機が掘削するたびに移動する必要がある場合や、車両へ積み込むために大きく旋回する場合は、時間当たりの処理量が低下します。
1日当たりの実作業時間も重要です。現場の拘束時間が8時間であっても、始業点検、安全確認、朝礼、休憩、給油、作業打ち合わせ、施工位置の確認などがあるため、実際に掘削や積込みを行う時間は短くなります。
計画時には、たとえば拘束時間8時間に対して実作業時間を6時間として計算する方法があります。ただし、すべての現場で6時間になるわけではありません。運搬車両の回転が安定している現場では実作業時間が長くなり、待機が多い現場では短くなります。
施工開始後は、当日の処理土量を実作業時間で割ることで、その現場における時間当たりの実効処理量を確認できます。朝の土量が1,000立方メートル、夕方の土量が820立方メートルで、実作業時間が6時間だった場合、当日の処理量は180立方メートル、時間当たりの実効処理量は30立方メートルです。
この実績を複数日記録すれば、特定の重機と現場条件を組み合わせた実効能力が分かります。仕様上の能力ではなく実績値を使うことで、残りの施工日数を現場の状況に合わせて更新しやすくなります。
重機能力別4パターンの試算条件
ここでは、重機能力によって施工日数がどのように変わるかを比較するため、対象土量を1,200立方メートルと仮定します。数値は算定方法を示すための例であり、実際の現場にそのまま適用できるものではありません。
1日の拘束時間は8時間としますが、始業点検、安全確認、休憩、給油、作業位置の変更、車両待ちなどを考慮し、実作業時間は6時間と仮定します。
小型重機の1時間当たりの実効処理量は18立方メートル、標準クラスの重機は35立方メートル、大型重機は55立方メートルとします。複数台施工では、標準クラスの重機を2台配置する想定です。
複数台施工については、単純に1台分の能力を2倍にはしません。重機同士の作業干渉、運搬車両の待機、進入路の共有、安全確認などを考慮し、2台合計の能力に対して85パーセントの補正を行います。
施工日数は、対象土量を1日当たりの実効処理量で割り、小数点以下を切り上げます。なお、試算では掘削または積込みを中心に比較します。場外運搬を伴う場合は、後の章で説明する運搬能力も含めて判断する必要があります。
重機を選定する際は、能力だけでなく、現場への進入可否、作業半径、地盤支持力、埋設物、架空線、周辺構造物、施工範囲の広さも確認します。大型重機の能力が高くても、安全に配置できなければ使用できません。
反対に、小型重機は処理能力が低くても、狭い現場や構造物周辺では効率的に作業できる場合があります。能力別の比較は、単純な優劣を決めるものではなく、土量と現場条件に合った構成を検討するために行います。
パターン1 小型重機で施工する場合
小型重機は、進入路が狭い現場、住宅や既設構造物に近い場所、埋設物が多い場所、部分的な掘削などで使いやすい重機です。旋回範囲を小さくしやすく、細かな掘削や整形にも対応しやすい特徴があります。
一方で、1回に扱える土量が少ないため、対象土量が大きい場合には施工日数が長くなりやすくなります。大量の土を短期間で搬出する現場では、重機が施工日数の制約になる可能性があります。
試算では、小型重機の1時間当たりの実効処理量を18立方メートル、1日当たりの実作業時間を6時間とします。
1日当たりの実効処理量=18立方メートル×6時間=108立方メートル
対象土量が1,200立方メートルの場合、施工日数は次のように求めます。
施工日数=1,200立方メートル÷108立方メートル=約11.1日
小数点以下を切り上げると、施工日数の目安は12日です。
この計算は、小型重機が1時間当たり18立方メートルの処理能力を維持できることを前提としています。施工範囲が狭く、重機の切り返しや移動が多い場合には、実際の処理量が少なくなる可能性があります。
掘削した土を直接運搬車両へ積み込む場合は、荷台の高さや車両の配置が重機に合っているかも重要です。積込み姿勢が取りにくい場合や、車両が所定位置へ入るまでに時間がかかる場合は、サイクル時間が延びます。
小型重機を使う現場では、施工範囲を複数の区画に分け、区画ごとの土量と進捗を確認すると管理しやすくなります。現場全体で1,200立方メートルとだけ把握するのではなく、区画ごとに200立方メートルや300立方メートルへ分けることで、どこまで施工が進んだかを確認できます。
朝夕に現場で即土量を計測し、1日の処理量が計画値の108立方メートルを下回った場合は、その原因を確認します。土質が硬いのか、重機の移動が多いのか、車両待ちが発生したのかによって、翌日以降の対策が異なります。
パターン2 標準クラスの重機で施工する場合
標準クラスの重機は、造成、道路、外構、基礎掘削、残土積込みなど、幅広い工事で使用されます。処理能力と取り回しのバランスを取りやすく、一定の作業空間を確保できる現場では中心的な役割を担います。
試算では、1時間当たりの実効処理量を35立方メートル、1日当たりの実作業時間を6時間とします。
1日当たりの実効処理量=35立方メートル×6時間=210立方メートル
対象土量が1,200立方メートルの場合、施工日数は次のようになります。
施工日数=1,200立方メートル÷210立方メートル=約5.7日
小数点以下を切り上げると、施工日数の目安は6日です。
小型重機の試算では12日だったため、同じ対象土量であれば約半分の日数になります。ただし、標準クラスの重機を配置すれば常に6日で終わるという意味ではありません。現場内に掘削土を置く空間が不足している場合や、運搬車両の台数が不足している場合には、処理能力を十分に発揮できません。
掘削と積込みを同じ重機で行う場合は、作業の進め方によって能力が変わります。掘削した土を一度仮置きし、後から車両へ積み込む方法では、土を二度扱うため作業量が増えます。掘削と同時に車両へ直接積み込めれば作業回数を減らせますが、車両の到着が遅れると重機が待機します。
標準クラスの重機では、重機単体の能力よりも、運搬車両との組合せが施工日数を左右することがあります。車両1台への積込み時間と、次の車両が所定位置へ入るまでの時間を記録すると、積込み工程の実効能力を確認できます。
日々の土量変化と運搬記録を照合し、計画より処理量が少ない場合には、重機能力だけでなく配車や搬出先の受入れ状況も確認します。重機が頻繁に停止しているなら、重機を大型化するよりも運搬体制を改善する方が効果的な場合があります。
パターン3 大型重機で施工する場合
大型重機は、大規模造成、広い掘削区域、大量の残土積込みなど、まとまった土量を短期間で処理する現場に適しています。1回当たりの処理量が多く、十分な作業空間と運搬体制を確保できれば、施工日数を短縮しやすくなります。
試算では、1時間当たりの実効処理量を55立方メートル、1日当たりの実作業時間を6時間とします。
1日当たりの実効処理量=55立方メートル×6時間=330立方メートル
対象土量が1,200立方メートルの場合、施工日数は次のようになります。
施工日数=1,200立方メートル÷330立方メートル=約3.6日
小数点以下を切り上げると、施工日数の目安は4日です。
計算上は標準クラスの重機より2日短く、小型重機より8日短い結果です。ただし、大型重機を使用すれば必ず施工日数を短縮できるわけではありません。能力に見合う台数の運搬車両を用意できなければ、積込み後に待機が発生します。
大型重機を配置するには、十分な旋回範囲と安定した作業床が必要です。地盤が軟弱な場合には、作業床の補強や場内道路の整備が必要になることがあります。その準備に日数を要する場合は、掘削日数だけでなく準備期間も工程へ反映します。
また、掘削対象に転石、コンクリート片、埋設物などが含まれる場合は、通常の土砂と同じ速度で処理できないことがあります。分別、積替え、破砕などの作業が必要になれば、大型重機の能力を前提とした日数から延びる可能性があります。
大型重機の導入効果を確認するときは、重機の1日当たり能力だけでなく、現場全体がその能力を受け止められるかを確認します。運搬、搬出先、誘導員、場内動線などが対応できなければ、重機の能力が余るためです。
現場で即土量を確認し、計画上の330立方メートルに対して実績が220立方メートル程度にとどまっている場合は、重機能力の不足ではなく、周辺工程の制約を疑う必要があります。
パターン4 複数台の重機で施工する場合
対象範囲を分割できる現場では、複数台の重機を配置して並行施工する方法があります。異なる工区を同時に掘削したり、1台が掘削、もう1台が積込みや整形を担当したりすることで、施工日数を短縮できる可能性があります。
ただし、重機の台数を2倍にしても、処理能力が必ず2倍になるわけではありません。作業半径の重なり、進入路の共有、車両待機場所の不足、重機同士の待機、安全確認などによって効率が低下するためです。
ここでは、標準クラスの重機を2台使用し、1台当たりの1時間の実効処理量を35立方メートルとします。実作業時間は1台当たり6時間です。さらに、作業干渉を考慮して85パーセントの補正を行います。
1日当たりの実効処理量=35立方メートル×2台×6時間×0.85=357立方メートル
対象土量が1,200立方メートルの場合、施工日数は次のようになります。
施工日数=1,200立方メートル÷357立方メートル=約3.4日
小数点以下を切り上げると、施工日数の目安は4日です。
今回の試算では、大型重機1台の場合と同じ4日になりました。複数台施工には、1台が停止しても別の重機で作業を継続しやすいことや、工区を分けて同時施工できる利点があります。
一方で、オペレーター、誘導員、給油、点検、運搬車両などの管理対象が増えます。重機の作業範囲が重なると、安全確保のために一方を停止させることもあり、配置方法によっては1台施工より効率が下がる場合があります。
複数台を有効に使うには、担当工区と作業内容を明確にします。1台目が掘削、2台目が積込みを担当する場合は、掘削量と積込み量のバランスを確認します。掘削が速すぎれば仮置き土が増え、積込みが速すぎれば2台目が待機します。
現場で即土量を管理するときは、現場全体だけでなく、重機ごとの担当区域に分けて土量を計測すると効果的です。区画ごとの土量差を確認すれば、どの重機や工区で遅れが発生しているかを判断しやすくなります。
掘削と運搬を組み合わせた施工日数の考え方
掘削した土を場外へ搬出する現場では、施工日数を重機能力だけで決めることはできません。掘削、積込み、運搬、搬出先での受付、荷下ろし、帰路までを一つの流れとして確認する必要があります。
工程全体の処理量は、原則として最も能力が低い工程によって制約されます。
たとえば、掘削能力が1日330立方メートル、積込み能力が1日300立方メートル、運搬能力が1日200立方メートル、搬出先の受入れ能力が1日250立方メートルの場合、現場全体の実効処理量は1日200立方メートル程度になります。
掘削重機が330立方メートルを処理できても、場外へ運搬できる量が200立方メートルであれば、残りの130立方メートルは現場内に仮置きされます。仮置き場所が不足すれば、掘削そのものを停止しなければなりません。
運搬能力は、車両1台当たりの実積載量、車両台数、1日当たりの往復回数から考えます。
1日当たりの運搬量=車両1台当たりの実積載量×車両台数×1日当たりの往復回数
仮に1台当たりの実積載量が5立方メートル、車両が6台、1日当たりの往復回数が7回であれば、運搬量は1日210立方メートルです。
車両の荷台容量をそのまま実積載量として使うと、実態と合わない場合があります。土の種類や含水状態によって重量が変わり、容積よりも積載可能な重量が先に上限となることがあるためです。実際の運搬記録や現場の管理基準を確認して設定します。
往復回数は、搬出先までの走行時間だけでは決まりません。積込み、場内移動、道路混雑、搬出先での受付、待機、荷下ろし、帰路、休憩などを含めて算定します。
朝は道路が空いていても、日中の混雑で回転数が低下する場合があります。搬出先での待機時間が長くなれば、車両台数を増やしても運搬量が増えないことがあります。
施工日数を求めるときは、掘削能力、積込み能力、運搬能力、受入れ能力をそれぞれ算定し、最も小さい能力で対象土量を割ります。重機の能力だけを使うより、工程全体に近い日数を求められます。
土質と現場条件による能力補正
同じ重機で同じ土量を扱う場合でも、土質や現場条件によって施工日数は変わります。乾燥した砂質土、粘性土、礫を含む土、転石が混在する土、湧水を含む泥土では、掘削や積込みのしやすさが異なります。
粘性の高い土では、バケット内部に土が付着し、排土に時間がかかる場合があります。1回当たりの土量が多く見えても、バケットから土を落とすための動作が増えれば、時間当たりのサイクル数が減少します。
雨天後に含水量が増えた場合には、重機や運搬車両の走行性が低下します。作業床が軟弱になると、移動速度を落としたり、走行路を補修したりする必要があります。掘削そのものはできても、運搬車両が進入できず、搬出工程が停止することもあります。
礫や転石が混在する地盤では、バケットへの充填量が安定しません。大きな塊を避けながら掘削する作業や、分別して仮置きする作業が加わることで、処理能力が下がります。
狭い現場では、旋回角度、重機の切り返し、車両の入替えに時間がかかります。既設構造物や埋設物の近くでは、慎重な掘削が必要となるため、広い造成現場と同じ能力を適用することはできません。
現場条件による補正は、初期段階では類似工事の実績や試験施工を参考にします。施工開始後は、朝夕の土量差や運搬実績から、計画能力を修正します。
計画では1日210立方メートルとしていたものの、3日間の処理量がそれぞれ170立方メートル、180立方メートル、175立方メートルだった場合、平均処理量は175立方メートルです。
一時的な降雨や機械点検が原因であれば、今後は計画能力へ戻る可能性があります。しかし、土質や作業空間が原因で継続的に能力が低下している場合は、残りの施工日数を175立方メートル程度の実績で再計算する方が現実的です。
朝夕の土量差から残り日数を更新する方法
着工前に算定した施工日数は、工事開始時点の計画値です。施工開始後は、現場で即土量を確認し、実績を使って残り日数を更新する必要があります。
朝の時点で土量が1,200立方メートル、夕方の時点で1,020立方メートルになっていれば、当日の処理量は180立方メートルです。
当日の処理量=朝の土量-夕方の土量
翌日の施工開始時点で残土量が1,020立方メートルあり、今後も1日180立方メートルの処理量が続くと仮定すると、残日数は次のようになります。
残日数=1,020立方メートル÷180立方メートル=約5.7日
小数点以下を切り上げると、残日数の目安は6日です。
ただし、1日だけの実績をそのまま今後の能力として使うと、偶然の影響を受けやすくなります。車両故障や一時的な待機によって処理量が少なかった日もあれば、施工条件のよい区画を扱ったため処理量が多かった日もあります。
そのため、施工条件が大きく変わっていない場合は、複数日の平均処理量を使用します。3日間の処理量が180立方メートル、210立方メートル、150立方メートルであれば、平均は180立方メートルです。
一方で、翌日から地盤が硬い区画へ移る場合や、運搬距離が変わる場合には、過去の平均をそのまま使用できない可能性があります。残りの施工区域の条件を確認し、必要に応じて能力を補正します。
朝夕で土量を比較する際は、同じ範囲と基準面を使用します。計測範囲が異なると、施工による土量変化ではなく、範囲の違いが差分として表れます。
計測時に重機や車両が土山の一部を隠している場合も、形状を正しく取得できない可能性があります。可能な範囲で計測対象の周囲を確認し、取得できていない部分がないかを確認します。
毎日の計測条件を統一すれば、土量の減少傾向を継続して追跡できます。予定処理量と実績処理量を比較し、残日数を更新することで、遅れや前倒しを早い段階で把握できます。
施工日数の算定で起こりやすい誤差
施工日数の算定では、計算式よりも入力値の設定によって大きな誤差が生じます。対象土量と実効処理量のどちらかが実態と合っていなければ、計算結果も現場に合いません。
起こりやすい誤差の一つが、地山土量とほぐれた土量の混在です。設計数量と仮置き土量を同じ基準で扱うと、残量や運搬日数が合わなくなる可能性があります。
二つ目は、公称能力をそのまま1日の能力として使うことです。重機が理想的な条件で連続作業した場合の能力と、車両待ちや移動を含む現場の実効能力には差があります。
三つ目は、重機の稼働時間と実作業時間を混同することです。重機が稼働状態であっても、待機や移動をしている時間は土量処理に直接つながりません。
四つ目は、運搬能力を考慮しないことです。掘削能力が高くても、運搬車両や搬出先の能力が低ければ、現場全体の処理量は増えません。
五つ目は、計測範囲の不一致です。朝夕で計測範囲や基準面が変わると、土量差を正しく求められません。計測対象に資材や重機が含まれた場合も、結果へ影響することがあります。
六つ目は、単日の実績だけで残日数を判断することです。一時的な雨、待機、機械点検などがあった場合、その日の能力は通常の施工能力を表していない可能性があります。
七つ目は、最終作業を考慮しないことです。土量がゼロに近づいても、床付け、法面整形、清掃、測量、出来形確認などが残る場合があります。
これらの誤差を減らすには、土量の基準、計測範囲、実作業時間、運搬実績、施工条件を記録し、計画値と実績値を同じ条件で比較することが重要です。
算定結果を工程管理に活用する方法
算定した施工日数は、完了日を予測するだけでなく、重機、人員、運搬車両、搬出先、後続工程を調整するために使用します。
たとえば、当初は残土搬出を6日で完了し、7日目から構造物の施工を始める計画だったとします。施工途中の実績から残土搬出に8日必要と判明すれば、後続工程の人員や資材の搬入日を調整できます。
遅れを完了予定日の直前に把握すると、作業員や資材が現場で待機する可能性があります。現場で即土量を確認し、数日前の段階で残日数を更新できれば、関係者への連絡や工程変更を早めに行えます。
計画より進捗が早い場合にも活用できます。重機や運搬車両の手配期間を短縮できる可能性があるほか、後続工程の開始を前倒しできる場合があります。ただし、進捗が一時的に早いだけの可能性もあるため、残り区画の条件を確認して判断します。
工程管理では、一つの施工日数だけでなく、標準的なケースと条件が悪化したケースを想定すると管理しやすくなります。たとえば、1日当たりの処理量が210立方メートルの場合、180立方メートルまで低下した場合、240立方メートルまで上昇した場合の三つを比較します。
残土量が1,200立方メートルであれば、210立方メートルでは約6日、180立方メートルでは約7日、240立方メートルでは5日です。処理能力の変動によって、完了予定日にどの程度の幅があるかを把握できます。
施工日数を工程へ反映するときは、どの作業の完了を示すのかも明確にします。掘削完了、積込み完了、場外搬出完了、整形完了では、それぞれ日付が異なることがあります。
土量処理が終わった後に、重機の回送、清掃、最終測量、出来形確認などが必要であれば、それらの作業も工程へ含めます。計算上の施工日数と、現場を次の工程へ引き渡せる日数を分けて考えることが重要です。
LRTK Phoneで現場の土量を把握する流れ
施工日数を継続的に更新するには、現場の土量を必要なタイミングで計測し、前回の結果と比較できる状態を整える必要があります。
LRTK Phoneを活用すると、対応する端末と受信機を使用し、位置情報を持つ点群データを現場で取得して、土量計算に利用できます。仮置き土、掘削面、盛土面などの形状を取得し、基準面との差から土量を確認する運用が考えられます。
施工前に対象区域を計測すれば、初期土量を確認できます。施工後に同じ区域を再計測すれば、施工によって変化した土量を比較できます。朝夕の計測結果から当日の処理量を求め、重機の実効能力や残りの施工日数を更新できます。
継続して比較する場合は、毎回の計測範囲と基準面を統一することが重要です。朝は仮置場全体、夕方は土山の一部だけを計測した場合、正しい差分を求められません。
現場内の重機、車両、仮設材、資材などが計測範囲に入った場合は、土量へ影響する可能性があります。計測時の状況を写真や記録とともに残しておけば、数値に変化が出たときに原因を確認しやすくなります。
取得した土量を重機の稼働記録や運搬記録と組み合わせれば、処理能力低下の原因を分析できます。土量の減少量が少なく、重機の実作業時間も短い場合は、重機の待機や作業段取りに原因がある可能性があります。
重機の実作業時間が十分であるにもかかわらず、処理土量が少ない場合は、土質、掘削深さ、積込み姿勢などの影響を確認します。土量の減少量は計画どおりでも、運搬台数が少ない場合には、現場内の仮置き土が増えている可能性があります。
計測結果を関係者が確認できる形で共有すれば、現場にいない担当者も残土量や進捗を把握しやすくなります。残土量、1日の処理量、残り日数を同じ情報から確認することで、重機の延長手配、配車、搬出先との調整、後続工程の判断を進めやすくなります。
ただし、計測結果だけで施工日数を断定するのではなく、天候、土質、安全条件、運搬能力、搬出先の受入れ状況などを含めて判断する必要があります。土量は施工日数を算定するための重要な基礎情報であり、現場条件と組み合わせることで実務に活用できます。
まとめ
現場で即土量を把握できれば、残っている施工量を1日当たりの実効処理量で割り、必要な施工日数を算定できます。基本式は単純ですが、実務で使用するには、土量の状態、計測範囲、重機の実作業時間、運搬能力、土質、作業空間などを確認することが重要です。
今回の試算では、対象土量を1,200立方メートルとした場合、小型重機1台では約12日、標準クラスの重機1台では約6日、大型重機1台では約4日、標準クラスの重機2台では約4日となりました。
ただし、これらは仮定した処理能力に基づく例です。実際の施工日数は、重機の能力だけでなく、旋回条件、掘削深さ、土質、運搬車両、搬出先、場内動線などによって変わります。
特に場外搬出を伴う現場では、掘削、積込み、運搬、受入れのうち、最も能力が低い工程が施工日数を左右します。重機だけを大型化しても、運搬能力が不足していれば、現場全体の処理量は増えません。
施工開始後は、朝夕の土量差から実際の処理量を把握し、残り日数を更新します。単日の数値だけで判断せず、複数日の平均や残り区画の条件も確認することが大切です。
計画値と実績値に差がある場合は、重機能力、待機時間、運搬回数、土質、計測条件を確認し、どの工程が遅れの原因になっているかを分析します。原因を早期に把握できれば、追加配車、重機配置の変更、施工順序の見直しなどを検討できます。
施工日数の算定は、将来を確定するものではなく、現場の判断を支援するための管理値です。現場で即土量を継続して確認し、実績に応じて日数を更新することで、重機、人員、車両、搬出先、後続工程を調整しやすくなります。
日々の地形変化を把握し、土量と施工日数を一体で管理する方法を検討する際は、現場での点群取得や土量計算に活用できるLRTK Phoneへ進んでください。