深い掘削では、掘削の進行に合わせて搬出土量、残土受入先、ダンプの運行、重機配置、次工程の開始時期を調整する必要があります。そのため、設計図面上の予定数量だけでなく、現在どこまで掘れているのか、残りの掘削量がどの程度あるのかを現場で把握することが重要です。
ただし、土留め内の計測は、開けた造成地の土量計算とは条件が異なります。土留め壁、切梁、腹起し、中間杭、構台、湧水、掘削段差などが計測を妨げるため、単純に底面の高さを測るだけでは正しい数量にならないことがあります。
また、実際に掘削した土量、設計上の掘削土量、搬出時のほぐれた土量は、それぞれ意味が異なります。何のために数量を求めるのかを明確にしないまま計算すると、現場管理用の数字と出来高管理用の数字が混在し、後から説明できなくなるおそれがあります。
この記事では、「現場で即土量」と検索している施工管理者、測量担当者、土工担当者に向けて、深い掘削で土留め内を測るときの5つの注意点と、実務で使いやすい計算手順を解説します。
深い掘削で現場の土量把握が重要な理由
深い掘削では、一度に計画底面まで掘り下げるのではなく、土留めや支保工の施工手順に合わせて段階的に掘削するのが一般的です。一定の深さまで掘削した後に腹起しや切梁を設置し、支保工の安全性を確認してから次の掘削段階へ進みます。
このような現場では、掘削数量を施工開始前に一度計算するだけでは、日々の施工管理に十分対応できません。掘削の途中で地盤高が不均一になったり、作業用のスロープや重機足場が残ったりするため、計画数量と実際の進捗に差が生じることがあります。
残りの掘削量を把握できなければ、ダンプ台数を過剰に手配したり、反対に搬出能力が不足して掘削を止めたりする可能性があります。土砂の受入先にも一日の受入上限や時間帯の制約があるため、現場側の掘削能力だけで工程を決めることはできません。
さらに、掘削底面には捨てコンクリート、基礎、底版、地下構造物などの施工が続きます。掘削量と残りの施工日数を早い段階で把握できれば、床付け確認、地盤確認、排水処理、次工程の資機材搬入を具体的に調整できます。
現場で即土量を把握する目的は、単に正確な立方メートル数を出すことではありません。掘削の進捗を数量として共有し、搬出計画、重機計画、支保工施工、次工程の判断につなげることにあります。
そのため、現場管理用の土量では、必要以上に細かな数字を求めるよりも、同じ基準と方法で継続的に測ることが重要です。毎回異なる基準面や範囲で計算すると、数値そのものが細かくても進捗比較には使えません。
一方、出来高確認や契約数量の整理に用いる場合は、設計図書、数量算出条件、変更指示、施工承認図などとの整合が必要です。現場で測った実掘削量が、そのまま契約上の支払数量になるとは限らないため、用途を分けて管理する必要があります。
土留め内の土量計算を始める前に決める基準
土量計算を始める前に、まず何と何の間の体積を求めるのかを決めます。掘削前の地盤面と現在の掘削面との差を求めるのか、現在の掘削面と計画底面との差を求めるのかによって、必要なデータが変わります。
掘削済み土量を求める場合は、掘削前の地盤面を基準面として保存しておく必要があります。掘削開始後に元の地盤面を測ろうとしても、既に地形が失われているため、正確な復元は困難です。施工前測量、既存地盤の点群、横断図、設計地盤データなどを事前に整理しておくことが重要です。
残りの掘削量を求める場合は、現在の掘削面と計画掘削面を比較します。この方法であれば、掘削開始前の現況データが十分でなくても、現在から床付けまでに残っている土量を推定できます。搬出計画や工程管理では、掘削済み量よりも残量のほうが有効な場合があります。
次に、平面的な計算範囲を決めます。土留め壁の内側全体を対象にするのか、工区、ブロック、支保工段階、基礎区画などに分けるのかを明確にします。深い掘削では、一つの掘削床に見えても、高さや施工段階が異なる区画が混在しやすいため、範囲を分けたほうが管理しやすくなります。
高さの基準も統一します。標高、現場基準高、任意座標系の高さなど、どの基準を使用しているかを計測記録に残します。異なる測量データを重ねる場合、高さの原点がずれていると、平面位置が一致していても大きな土量差になります。
計算結果の単位と丸め方も決めておきます。計算途中で小数を過度に丸めると、区画数が多い場合に差が積み重なります。内部計算では十分な桁数を保持し、日報や管理表へ記載するときに所定の単位で丸める方法が適しています。
また、地山状態の体積を求めるのか、搬出状態の体積を求めるのかを区別します。測量から求める体積は、基本的には地形上の体積です。ダンプに積み込んだ土砂は掘削によってほぐれるため、同じ土でも体積が変わります。両者を混同すると、測量値と搬出台数から求めた値が一致しません。
最後に、求めた数量を何に使うのかを記録します。「日々の掘削進捗確認」「残土搬出計画」「設計変更の参考資料」「出来高確認」など、用途を書き残しておけば、後から数値の意味を説明しやすくなります。
注意点1:設計範囲と実測範囲を混同しない
土留め内の土量計算で最初に注意したいのが、設計上の掘削範囲と実際に測った範囲の違いです。土留め壁の位置、施工余裕幅、基礎外周、法尻、作業通路などによって、計算対象となる平面範囲は変わります。
現場管理用の実掘削量を求める場合は、実際に土が存在していた範囲と、現在掘られている範囲を比較する必要があります。一方、設計数量や契約数量を整理する場合は、設計図書で定められた掘削線や数量算出条件を優先します。
実際の土留め内空が設計寸法と異なっていても、その差をそのまま契約数量へ反映できるとは限りません。施工誤差、土留め壁の変形、余掘り、施工上必要な拡幅などは、現場の実態として記録しつつ、数量上の扱いを別途確認する必要があります。
土留め壁の芯位置だけで掘削範囲を決めると、壁厚や施工方法によって実際の内空との差が生じます。反対に、現在見えている壁面だけを境界にすると、壁面の凹凸や付着土、吹付け面の不整形まで拾い、計算範囲が細かく揺れることがあります。
実務では、設計上の境界線、施工管理上の区画線、実際の壁面位置を別々に保持すると整理しやすくなります。設計数量には設計境界、進捗管理には管理区画、実掘削の確認には実測境界を使用するというように、目的に応じて使い分けます。
計測した点群から自動的に境界を作る場合も注意が必要です。点群の端部には、壁面の欠測、重機による遮蔽、作業員や資材の写り込みが発生します。取得できた点の外周をそのまま掘削範囲にすると、本来の土留め内空より小さな範囲になることがあります。
平面範囲を設定するときは、基準点や設計座標から土留め内の区画線を作成し、その範囲内だけで高さ差を計算する方法が安定します。現況点が不足している箇所については、周辺点から無条件に補間するのではなく、欠測範囲として確認することが必要です。
床付け面の一部だけが完成している現場では、完成区画と掘削途中区画を分けます。両者を一つの面として平均すると、どこまで床付けが完了したのか分からなくなります。土量だけでなく、床付け完了面積や未完了面積も併せて管理すると、次工程との調整に役立ちます。
注意点2:深さを一つの平均値で処理しない
深い掘削では、掘削深さが場所によって異なることが珍しくありません。既存地盤に勾配がある場合だけでなく、掘削途中の段差、作業用スロープ、重機足場、集水部、釜場、基礎の増し掘りなどによって、底面の高さが複雑になります。
このような地形を一つの平均深さで計算すると、局所的な高低差を反映できません。例えば、土留め内の半分が計画底面まで掘れていて、残り半分に大きな土塊が残っている場合、数点の平均深さだけでは残土の形状を正しく把握できないことがあります。
簡易的に計算する場合でも、土留め内を複数の区画に分け、区画ごとの平均深さを求める方法が適しています。掘削段階、切梁の配置、重機の作業範囲、基礎区画など、現場で認識しやすい境界を使って区分すると、日々の進捗管理にも利用できます。
長い掘削区間では、一定間隔の断面を設定し、隣接する断面積の平均に区間長を掛けて体積を求めます。体積は「区間始点の断面積と区間終点の断面積の平均×区間長」で概算できます。ただし、断面間で形状が急変する場合は、断面間隔を短くする必要があります。
平面的に広がる掘削では、メッシュごとの高さ差を使う方法が有効です。各メッシュ内の代表高さと計画面との差に、メッシュ面積を掛けて合計します。土量は「各メッシュの高さ差×各メッシュの面積」の総和として求められます。
メッシュを細かくすれば形状を詳しく表現できますが、取得点が少ない場所では補間による推定が増えます。細かなメッシュを設定しただけで精度が高くなるわけではありません。計測点の密度、地形の変化、必要な管理精度のバランスを考えて設定します。
土留め内に大きな段差がある場合は、段差の上面と下面を別の面として扱います。段差の境界付近を連続した斜面として補間すると、実際には存在しない土の体積が計算される可能性があります。段差線を境界として入力し、それぞれの領域で面を作ることが重要です。
計画底面にも複数の高さがある場合は、一枚の水平面を基準にしてはいけません。底版の段差、設備ピット、基礎梁下、釜場、部分的な増し掘りなどを反映した計画面を用意します。現況面が正確でも、比較する計画面が単純化されすぎていれば、残り土量は正しく求められません。
注意点3:土留め壁や支保工による欠測を確認する
深い土留め内では、周囲の構造物によって空が見えにくくなり、測位や三次元計測の条件が悪化しやすくなります。地上では問題なく取得できる位置情報でも、土留め壁の近くや切梁の下では安定しないことがあります。
特に衛星測位を利用する場合、深い掘削部では上空の見通しが狭くなります。壁面や鋼材による反射の影響も受ける可能性があるため、取得した座標が安定しているかを確認しなければなりません。測位状態が不安定なまま計測を続けると、点群全体が平行移動したり、高さに段差が生じたりすることがあります。
土留め内で座標を安定させるには、地上で確認した基準点、掘削内へ移設した管理点、既知座標を持つ標識などを活用します。毎回同じ点を計測し、前回との差を確認することで、計測データのずれを早期に発見できます。
三次元計測では、切梁、腹起し、構台、重機、資材、配管などが掘削面を遮ります。計測機器から見えない部分には点が取得されないため、一方向からの計測だけでは底面に大きな欠測が生じることがあります。
欠測を減らすには、立ち位置や計測方向を変えて複数回取得し、遮蔽物の反対側を補います。ただし、安全通路以外へ無理に移動したり、吊り荷の下や重機の旋回範囲へ入ったりしてはいけません。計測精度よりも、施工計画と現場の安全ルールを優先します。
湿った土面、水たまり、暗い壁面、光沢のある鋼材などは、計測方式や周囲の条件によって点が抜けたり、ノイズが増えたりすることがあります。取得後は表示範囲を拡大し、底面が連続して取得できているかを確認します。
点群処理で自動的に地面を抽出する場合、切梁や構台の下面が地面として誤分類されることがあります。反対に、急な段差や掘削壁面がノイズとして除去されることもあります。自動処理の結果をそのまま使用せず、断面表示や高さ別表示で確認することが必要です。
欠測部分を周囲の点から補間する場合は、補間範囲を記録します。小さな欠測で周囲の地形が連続している場合は補間できますが、大きな土塊や段差の裏側を推定だけで埋めると、土量差が大きくなる可能性があります。
計測結果には、取得できた範囲、取得できなかった範囲、補間した範囲を残しておくと、後日の検証が容易になります。計算値だけを記録するのではなく、元の点群、使用範囲、断面図、計測時の現場写真なども一緒に保存することが重要です。
注意点4:構造物や仮設材を一律に控除しない
土留め内には、土以外の構造物や仮設材が多数存在します。切梁、腹起し、中間杭、構台杭、既存杭、地中梁、埋設構造物、基礎躯体などです。これらを土量から控除するかどうかは、計算の目的と施工順序によって変わります。
切梁や腹起しは、掘削後の空間に設置されるのが一般的です。そのため、支保工が現在の計測空間を占めているからといって、その体積を掘削土量から自動的に差し引くとは限りません。掘削前にその場所を占めていたのは土であり、支保工は掘削後に設置されたものだからです。
一方、掘削開始前から存在している地下構造物や、掘削範囲内に残置される既存杭などは、その部分に土が存在していなかった、または掘削しない可能性があります。この場合は、実際の掘削対象から除外する考え方があります。
ただし、契約数量や出来高数量で控除するかどうかは、設計図書や数量算出条件によって異なります。小さな部材まで控除するのか、一定規模以上だけを控除するのか、そもそも控除しないのかを現場独自の判断で決めてはいけません。
点群から体積を求める際にも注意が必要です。支保工や重機が写り込んだまま地表面を生成すると、部材の上面が地盤面として扱われ、実際よりも土が多く残っているように計算されることがあります。
反対に、すべての構造物を機械的に削除すると、構造物の背後にある地盤まで消してしまうことがあります。地面抽出では、対象物を種類ごとに確認し、土面として採用する点と除外する点を分ける必要があります。
構台下や切梁下のように底面が見えない場所では、支保工の点を除去した後に大きな空白が残ります。この空白を単純な平面で埋めると、実際の掘削面にある凹凸や残土を見落とす可能性があります。別方向から追加計測するか、施工記録や局所的な高さ測定で補います。
掘削底に既に捨てコンクリートが施工されている場合も、求めたい数量によって扱いが変わります。掘削完了時の地盤面を確認したいのであれば、コンクリート施工前の計測データが必要です。施工後の上面を使って掘削面を推定すると、厚さ分だけ高さが変わります。
実務では、構造物ごとに「掘削前から存在」「掘削後に設置」「掘削対象外」「数量上の控除対象」「点群処理上のみ除外」といった区分を整理すると混乱を防げます。計算結果には、何を除外し、何を控除していないかを明記します。
注意点5:計測時期と掘削段階をそろえる
深い掘削の土量は、計測した時刻によって変わります。掘削、積込み、搬出、床付け、排水、支保工設置が同時進行している現場では、午前と午後で地形が大きく変化することがあります。
計測中に掘削を続けると、開始地点と終了地点で地形の時点が異なります。広い現場を長時間かけて計測した場合、一つの点群の中に異なる施工段階が混在することになります。
進捗比較を行う場合は、できるだけ同じ工程区切りで計測します。例えば、一日の掘削終了後、支保工設置前、床付け確認前など、現場で再現しやすいタイミングを決めます。
計測日時だけでなく、その時点の作業状況も記録します。「東側掘削完了、西側掘削中」「作業用スロープ残置」「釜場掘削前」「底面の一部に仮置土あり」といった情報があれば、後から点群形状を解釈しやすくなります。
仮置土や崩落土がある場合、その土を残土として数えるのか、既に掘削済みの土として扱うのかを決めます。底面から掘り出した土を土留め内に仮置きしている場合、地形差だけで計算すると、掘削済み量の一部が未掘削土として再計上される可能性があります。
搬出量と比較する際は、計測時点までに場外搬出した土だけでなく、場内仮置き、埋戻し転用、泥土処理、付着土なども確認します。測量から求めた地山体積と、搬出台数から求めたほぐれ土量は、同じ条件ではありません。
雨天後や湧水の多い現場では、水面の高さを地盤面として取得することがあります。水たまりの下に土がある場合、水面だけでは掘削底面を確認できません。排水後に再計測するか、別の方法で底面高を確認します。
土留め壁の変位や周辺地盤の沈下が生じると、計測範囲や基準点の位置も変化する可能性があります。深い掘削では計測用の基準点が施工の影響を受けていないかを確認し、変位管理用の点と土量計測用の点を混同しないようにします。
計測時期を統一することは、単に作業を定例化するためではありません。前回との差分を同じ条件で比較し、掘削進捗と搬出実績の関係を説明できるようにするためです。
現場で即土量を算出する実務手順
最初に、計算の目的を決めます。掘削済み量、残り掘削量、一日の進捗量、特定工区の出来高など、求める数量を一つに定めます。複数の目的がある場合は、同じ計測データから別々に計算しても構いませんが、結果の名称を分けます。
次に、比較する二つの面を準備します。掘削済み量であれば掘削前地盤面と現在面、残量であれば現在面と計画掘削面、一日の進捗であれば前回計測面と今回計測面を使用します。
続いて、平面範囲を設定します。土留め内全体を一度に計算するより、施工ブロックや掘削段階に分けたほうが異常値を発見しやすくなります。区画境界は毎回変更せず、同じ線を使用します。
現場計測では、基準点を確認してから地盤面を取得します。点群計測を使用する場合でも、既知点や確認点を複数設け、位置と高さの整合を確認します。確認点の差が大きい場合は、そのまま土量計算へ進まず、原因を確認します。
取得後は、土留め壁、切梁、腹起し、重機、作業員、資材、仮設配管など、地盤ではない点を分離します。自動処理だけで完結させず、平面表示、断面表示、高さ別表示を切り替えて確認します。
次に、欠測箇所を確認します。底面の中央が抜けているのか、壁際だけが抜けているのか、構台下全体が見えていないのかによって対応が変わります。欠測範囲が大きい場合は、追加計測または局所的な高さ測定を行います。
現況面を作成したら、計画面または前回面と重ねます。座標系、単位、高さ基準、範囲が一致しているかを確認します。見た目が重なっていても、数センチメートルから数十センチメートルの高さ差が全域にあると、広い面積では大きな体積差になります。
体積計算後は、区画別の数量を確認します。全体数量だけを見るのではなく、各区画の面積、平均高さ差、最大高さ差、切土量、盛土量を確認すると、異常値を発見しやすくなります。
切土と盛土が同じ区画に発生している場合は、相殺前の数量も確認します。掘削管理で知りたいのは残っている土量であることが多いため、局所的な低掘りを盛土量として相殺すると、必要な埋戻し量や調整量が見えなくなることがあります。
最後に、計測日、計測者、使用基準点、計算範囲、比較面、除外物、補間箇所、計算方法、結果を保存します。スクリーン上の数値を日報へ転記するだけでは、後から計算条件を再現できません。
断面法・メッシュ法・点群法の使い分け
断面法は、細長い掘削や形状が延長方向に変化する現場に向いています。一定間隔で横断面を作成し、隣接する断面積から区間体積を求めます。地下通路、管路、連続する基礎、細長い土留めなどで扱いやすい方法です。
断面法の利点は、断面ごとの掘削形状を確認できることです。壁際の余掘り、中央部の残土、段差、床付け高などを視覚的に確認できます。支保工の位置と断面を重ねれば、計測できていない範囲も把握しやすくなります。
一方、断面間隔が広すぎると、その間にある大きな凹凸を見落とします。掘削形状が急変する場所、スロープの始点と終点、底面高が変わる場所には追加断面を設定します。
メッシュ法は、平面的に広がる土留め内を区画ごとに管理する場合に向いています。一定の格子で面を分割し、各格子の高さ差から体積を求めます。施工ブロック別の進捗や残量を比較しやすい方法です。
メッシュ法では、格子の大きさを統一することで定期計測の比較がしやすくなります。ただし、土留め際や不整形な区画では、格子の一部だけが計算範囲に含まれることがあります。この場合は、実際に含まれる面積を使用します。
点群法は、複雑な掘削面を面的に取得し、二つの三次元面の差から体積を求める方法です。掘削段差、スロープ、土塊、釜場などが混在する場合でも、取得状態が良ければ形状を詳細に反映できます。
点群法の強みは、土量計算だけでなく、計測時点の現場形状を三次元記録として残せることです。後から別の区画を設定して再計算したり、断面を追加したりできます。
ただし、点群の点数が多いことと、土量が正しいことは同じではありません。座標のずれ、地面以外の点、欠測、誤補間、比較面の不整合があれば、詳細な点群でも結果は誤ります。
実務では、一つの方法だけに限定する必要はありません。点群から面を作成して体積を求め、主要位置では断面図を作って確認し、管理表では区画別のメッシュ数量に整理するという組み合わせが有効です。
LRTK Phoneで土留め内を計測するときのポイント
LRTK Phoneを利用して深い掘削部を計測する場合は、土量計算を開始する前に、土留め内の測位環境を確認します。上空の見通しが限られる場所では、地上と同じ条件で位置を取得できるとは限りません。
最初に、土留め外または上部の安定した場所で基準となる座標を確認します。その後、土留め内で使用する確認点や標識を設け、計測開始時と終了時に同じ点を測ります。両者に大きな差がある場合は、計測中に座標が不安定になった可能性があります。
現場座標へ合わせる機能を使用する場合は、使用した基準点の位置関係にも注意します。基準点が狭い範囲に集中していると、離れた場所で位置や方向の誤差が拡大することがあります。可能な範囲で計測対象を囲むように配置し、高さの異なる点も確認します。
点群計測では、底面を一方向からなぞるだけではなく、遮蔽物の位置を見ながら複数方向から取得します。切梁や構台の下を無理に通過するのではなく、安全な通路と作業可能範囲から取得できる計測経路を事前に決めます。
移動速度が速すぎたり、同じ場所で急に向きを変えたりすると、取得状態を確認しにくくなります。一定の速度で移動し、壁際、段差部、スロープ端部、土塊の周囲など、形状が変わる場所を丁寧に取得します。
深い掘削部では、底面だけでなく、土留め壁の一部や既知位置の標識も同時に取得しておくと、データの位置関係を確認しやすくなります。ただし、壁面全体を土量計算用の地盤面へ含めないように処理します。
計測中は、画面上で取得範囲を確認し、底面に空白がないかを見ます。現場を離れてから欠測に気付くと、同じ施工状態を再計測できない可能性があります。取得直後に簡易確認し、必要であれば安全を確保したうえで追加計測します。
点群データをクラウド上で処理する場合も、計算範囲と基準面を明確に設定します。表示されている全点をそのまま計算対象にせず、土留め内の対象区画だけを切り出し、地盤以外の点を確認します。
LRTK Phoneによる計測結果は、現場で進捗を素早く共有する用途に活用できますが、契約数量や検査資料として使用する場合は、現場の管理基準、設計図書、要求精度、承認手順との整合を確認する必要があります。
深い掘削の土量計算で行う検算
土量計算が完了したら、最初に面積と平均深さから概算します。例えば、対象面積におおよその平均掘削深さを掛け、計算結果の桁が妥当かを確認します。詳細計算と概算が大きく異なる場合は、範囲や高さ基準を確認します。
次に、代表点の高さを照合します。土留め内の四隅、中央、段差部、スロープ部などを選び、点群面の高さと現場で確認した高さが一致しているかを見ます。
前回計測との差分も重要です。一日の掘削量として現実的でない大きな値が出た場合は、急激に施工が進んだと判断する前に、座標ずれや範囲違いを疑います。全域にほぼ同じ高さ差が発生している場合は、高さ基準の不整合が考えられます。
搬出台数との比較では、積載量を一律に仮定しすぎないことが重要です。土質、含水状態、積込み状況、ほぐれ方によって、一台当たりの土量は変動します。搬出台数は土量計算の代替ではなく、異常値を発見するための参考値として使います。
施工能力からの検算も行えます。使用した重機、稼働時間、掘削範囲、搬出状況から見て、算出された進捗量が極端でないかを確認します。ただし、作業条件による変動が大きいため、能力値だけで正誤を決めることはできません。
断面表示による確認も有効です。平面図では気付きにくい高さの飛び、壁面の混入、構台下面の誤認、欠測部分の不自然な補間などを発見できます。少なくとも掘削形状が変化する位置では断面を確認します。
区画別数量の合計と全体数量が一致するかも確認します。区画が重複していれば二重計上になり、隙間があれば未計上になります。境界線を共有する区画では、重複や空白がないように設定します。
最後に、前回までの累計値との関係を確認します。掘削前数量、累計掘削量、現在の残量が同じ基準で計算されていれば、「累計掘削量と残量の合計」が当初数量に近い関係になります。差が拡大する場合は、計測範囲、仮置土、追加掘削、設計変更などを確認します。
深い掘削で起こりやすい土量計算の失敗
よくある失敗の一つは、計測するたびに範囲が変わることです。土留め壁際の取得状況に合わせて外周線を作ると、前回と今回で面積が変化します。その結果、実際の掘削進捗とは関係のない土量差が発生します。
二つ目は、掘削前地盤面を保存していないことです。着工後に設計地盤や周辺高さから元地盤を推定すると、造成前の凹凸や既存構造物の影響を反映できません。掘削済み量を継続管理する予定がある場合は、施工前計測が重要です。
三つ目は、点群に写った重機や支保工を地面として計算することです。特に構台下面や切梁上面は、水平に近いため地盤面として誤認されることがあります。自動分類後も断面で確認します。
四つ目は、欠測箇所を確認せずに面を作ることです。点がない場所に自動生成された面は、実測結果ではなく補間結果です。欠測が大きいほど、実際の地形と異なる可能性が高くなります。
五つ目は、地山土量と搬出土量を同じものとして比較することです。掘削によるほぐれ、含水状態、積込み状態、場内仮置きなどにより体積は変わります。換算条件を定めず、台数だけで測量結果の正誤を判断することはできません。
六つ目は、余掘りを無条件に設計数量へ加えることです。現場で実際に掘った量と、契約上認められる数量は必ずしも一致しません。実掘削量として記録しつつ、設計変更や数量計上の可否は別に整理します。
七つ目は、計測日だけを記録し、施工状態を残さないことです。仮置土、スロープ、釜場、湧水、床付け済み区画などが分からないと、後から数値の意味を説明できません。
八つ目は、細かな数値を示すことで精度が高いと考えることです。計算結果を小数点以下まで表示しても、基準点、範囲、比較面、欠測処理が不適切であれば信頼性は高まりません。表示桁数より、計算条件の再現性を重視します。
九つ目は、計測を優先して危険区域へ入ることです。深い掘削では、支保工、重機、昇降設備、湧水、地盤状態などの安全条件を確認しなければなりません。土量計測は施工責任者との調整後に行い、立入禁止範囲や重機作業範囲へ進入しないことが前提です。
まとめ
深い掘削で現場の土量を把握するには、単に土留め内の深さを測るだけでは不十分です。設計範囲と実測範囲、掘削前面と現在面、地山土量と搬出土量など、異なる数量を明確に分ける必要があります。
特に重要なのは、計算目的を最初に決めることです。掘削済み量、残り掘削量、一日の進捗量、出来高数量では、比較する面と使用する範囲が異なります。
土留め内では、壁面、切梁、腹起し、構台、重機などによって欠測が生じます。取得できた点の多さだけで判断せず、底面が連続して計測できているか、地面以外の点が混入していないかを断面でも確認します。
また、切梁や腹起しが計測空間を占めているからといって、その体積を掘削土量から自動的に控除するわけではありません。掘削前から存在する構造物なのか、掘削後に設置された仮設材なのかを区別し、数量算出条件に従って扱います。
現場で即土量を継続的に把握するには、毎回同じ基準点、同じ区画、同じ計算方法、同じ工程区切りで計測することが大切です。計算結果と併せて、計測日時、施工状態、欠測範囲、除外物、補間箇所も保存すれば、後から数値を説明できます。
深い掘削の複雑な底面を面的に記録し、現場で残り土量や進捗量を確認したい場合は、LRTK Phoneを活用する方法もあります。安全な位置から計測できる経路と基準点を準備し、土留め内の測位状態や欠測を確認しながら、日々の掘削管理へつなげてください。