現場で掘削土量や盛土量を把握した後、次に必要になるのが重機の配置計画です。土量が分かっても、必要な重機台数を適切に決められなければ、施工速度の不足や機械の待機、運搬車両の渋滞、燃料消費の増加などにつながります。工程を守るために重機を多めに配置した結果、作業場所が混雑し、かえって施工効率や安全性が低下することもあります。
重機台数は、総土量だけで決まるものではありません。施工日数、1日の実稼働時間、機械1台当たりの実作業量、土質、土量の状態、運搬距離、積込時間、搬出先の受入れ能力などを組み合わせて判断する必要があります。同じ1,000立方メートルの掘削でも、10日間で施工する場合と2日間で施工する場合では、必要な時間当たり処理能力が大きく異なります。
特に注意したいのが、地山土量、ほぐし土量、締固め後土量の混同です。掘削工程の必要量を地山土量で計算しながら、バケットや運搬車両の能力をほぐし土量のまま比較すると、必要台数を少なく算出することがあります。台数計算では、比較する土量の基準をそろえなければなりません。
そこで重要になるのが、現場で即土量を確認し、その数値を時間当たりの必要施工量へ変換する考え方です。さらに、重機の公称能力ではなく、土量換算係数や現場条件を反映した実作業量を計算することで、過剰配置を抑えながら工程を満たす台数を検討できます。
本記事では、現場で即土量を把握した実務担当者に向けて、必要施工量、重機1台の実作業量、掘削重機台数、運搬車両台数を求める4つの計算式を解説します。計算結果は施工計画の目安であり、最終的な機種・台数・配置は、現場の安全条件、メーカー資料、施工実績、法令上の積載制限などを確認して決定してください。
現場で即土量から重機台数を決める目的
重機台数を計算する目的は、単に機械不足を防ぐことではありません。施工に必要な能力を確保しつつ、重機や運搬車両の待機時間を減らし、安全に作業できる配置をつくることが本来の目的です。
土工事では、掘削、積込み、運搬、荷下ろし、敷きならし、締固めが連続して進みます。掘削機械だけを増やしても、運搬車両が不足していれば、掘削した土を運び出せません。反対に運搬車両を多く配置しても、積込み能力が不足していれば、車両が列をつくって待機することになります。
現場で即土量を把握できれば、施工対象となる総量を基準に必要な処理能力を計算できます。ただし、総土量を重機の能力で割るだけでは、台数計画として不十分です。重機が何日、何時間稼働できるのかを考え、1時間当たりに必要な処理量へ変換する必要があります。
例えば、掘削土量が1,200立方メートルであっても、4日で施工する場合と8日で施工する場合では、1日に必要な掘削量が異なります。1日の実稼働時間が同じなら、4日で施工する現場では8日で施工する現場の2倍の時間当たり能力が必要です。
また、重機台数は安全性にも関係します。機械を多く配置すると、作業員から見えにくい範囲が増え、重機同士の接近、運搬車両の交錯、後退誘導の増加などが生じます。特に狭い掘削場所では、計算上必要な台数をすべて同時に配置できるとは限りません。
過剰配置を防ぐためには、必要能力を計算したうえで、作業場所の広さや運搬動線を確認することが重要です。計算上4台必要でも、安全に同時稼働できるのが2台までなら、施工時間を延ばす、作業区画を分割する、より処理能力の高い機械を選ぶ、積込方法を変更するなどの調整が必要になります。
台数計算は、一度決定したら最後まで固定するものでもありません。施工が進めば残土量は減少し、粗掘削から床付けや法面整形へ作業内容が変わります。施工初期には複数台が必要でも、後半には台数を減らせることがあります。現場で即土量を継続的に確認し、残数量に合わせて配置を見直すことが、過剰配置の防止につながります。
重機台数の計算前に整理する条件
計算を始める前に、使用する土量と施工条件を整理します。ここで条件が曖昧だと、計算式が正しくても、実際の必要台数とは異なる結果になります。
最初に確認するのは、土量の対象範囲です。施工区域全体の土量なのか、当日施工する区画の土量なのか、残工事部分だけの土量なのかを明確にします。既に掘削した部分や施工対象外の地盤が含まれていると、必要台数を過大に見積もる原因になります。
次に、土量がどの状態を示すかを確認します。掘削前の地山状態、掘削してほぐれた状態、盛土して締め固めた状態では、体積が異なります。掘削量の工程管理では地山土量、運搬車両の容量や回数ではほぐし土量、盛土の出来上がり数量では締固め後土量が基準になることが一般的です。国土交通省の積算基準でも、地山の土量を掘削すべき土量、ほぐした土量を運搬すべき土量、締固め後の土量を出来上がりの盛土量として区分しています。国土交通省+1
施工期間については、工期全体の日数ではなく、対象となる土工に実際に使える日数を設定します。測量、丁張り、仮設道路整備、排水処理、他工種との調整などが必要な場合、全日程を掘削作業に充てられるとは限りません。
雨天や地盤状態によって施工できない日が想定される場合は、予備日の扱いを明確にします。予備日まで通常の施工日として計算すると、必要能力を低く見積もり、少しの中断で工程に遅れが生じる可能性があります。一方で、予備日を一切考慮せず常に最大能力を求めると過剰配置になりやすいため、工程上の余裕と追加手配の可否を合わせて判断します。
1日当たりの作業時間についても、現場の拘束時間と重機の実稼働時間を区別します。現場に8時間滞在していても、始業前点検、朝礼、休憩、給油、移動、清掃、整備などを含めると、重機が掘削や積込みを行える時間は短くなります。
周辺環境への配慮によって、重機を稼働できる時間や運搬車両を出入りさせられる時間が制限される現場もあります。騒音や振動を伴う作業時間、学校や施設の利用時間、通勤時間帯の交通規制などを確認し、実際に使える時間を設定します。
土質も重要な条件です。掘削しやすい土、粘着性の高い土、礫を多く含む土、硬い地盤では、バケットの充填状態やサイクルタイムが異なります。地下水や降雨によって足場が悪化すると、掘削機械だけでなく運搬車両の走行速度も低下します。
さらに、掘削位置と積込位置の関係を確認します。重機の旋回角度が大きいほど、一般に1サイクルの時間は長くなります。運搬車両が適切な位置に進入できない場合や、後退誘導に時間がかかる場合は、机上で想定した処理量を確保できません。
最後に、計算へ用いる係数の根拠を記録します。バケット充填係数、土量換算係数、サイクルタイム、作業効率を経験だけで決めるのではなく、メーカー資料、積算基準、類似現場の施工日報、試験施工、当日の計測結果などから設定します。
計算式1|必要時間当たり土量を求める
最初の計算では、予定期間内に施工を終えるため、1時間当たりに処理しなければならない土量を求めます。基本式は次のとおりです。
必要時間当たり土量=施工対象土量÷実施工日数÷1日当たり実稼働時間
この式では、施工対象土量の状態を明記します。掘削工程を地山土量で管理するなら、計算結果の単位は地山立方メートル毎時です。後で比較する重機能力も、同じ地山立方メートル毎時へ換算しなければなりません。
例えば、施工対象となる地山土量が1,200立方メートル、実施工日数が4日、1日の実稼働時間が6時間の場合を考えます。
1,200÷4÷6=50
この場合、必要時間当たり土量は50地山立方メートル毎時です。掘削工程全体として、1時間に50地山立方メートルを処理できる能力が必要になります。
ここで1日の現場作業時間を8時間とし、実稼働時間も8時間で計算すると、必要時間当たり土量は37.5地山立方メートル毎時になります。しかし、実際には点検、休憩、給油、運搬車両の入替えなどで重機が停止するため、8時間すべてを掘削に使えるとは限りません。
実稼働時間を過大に設定すると、重機台数が少なく算出されます。反対に、停止時間を実稼働時間から差し引いたうえで、さらに同じ停止要因を作業効率にも重ねて反映すると、能力を過度に低く見積もることがあります。実稼働時間と作業効率の役割を分け、同じロスを二重計上しないことが重要です。
また、粗掘削と仕上げ掘削では、処理速度が異なります。掘削初期は連続して土を処理できても、計画高に近づくと、掘り過ぎを防ぐための高さ確認や整形作業が増えます。全工程を同じ能力で計算するより、粗掘削と床付けを分けて必要時間当たり土量を求める方が現実的です。
例えば、総土量1,200立方メートルのうち、1,000立方メートルを粗掘削、残り200立方メートルを仕上げ掘削とします。粗掘削を3日間、仕上げ掘削を1日間で行う場合、それぞれに必要な時間当たり土量を計算します。
粗掘削の実稼働時間を1日6時間とすると、1,000÷3÷6で約55.6地山立方メートル毎時です。仕上げ掘削は200÷1÷6で約33.3地山立方メートル毎時になります。ただし、仕上げ段階では処理量より精度を優先するため、重機台数を減らし、測量確認や人力作業と組み合わせることもあります。
施工途中で進捗が遅れた場合は、残土量を基準に再計算します。初日の計画が300立方メートルで、実績が240立方メートルだった場合、残土量は960立方メートルです。残り3日、1日6時間で施工するなら、960÷3÷6で約53.3地山立方メートル毎時が必要になります。
当初の必要能力が50地山立方メートル毎時であれば、翌日以降は約3.3地山立方メートル毎時の能力増加が必要です。この程度の差であれば、すぐに重機を1台追加するのではなく、運搬車両の待機、旋回動作、給油時間などを改善する方が適切な場合があります。
必要時間当たり土量は、重機を何台置くかを考える前に、現場全体で達成すべき処理能力を明らかにする計算です。この値を基準に、同じ土量状態へ換算した重機1台の実作業量と比較します。
計算式2|重機1台の実作業量を求める
重機台数を求めるには、重機1台が1時間に処理できる土量を計算します。バケットを使用する掘削機械では、次の式を基本に考えます。
重機1台の時間当たり実作業量=バケット公称容量×バケット充填係数×土量換算係数×1時間当たり正味サイクル回数×作業効率
サイクルタイムを秒で扱う場合は、次の形にもできます。
重機1台の時間当たり実作業量=バケット公称容量×バケット充填係数×土量換算係数×3,600÷平均正味サイクル秒数×作業効率
この形は、バックホウの時間当たり作業量を、バケット容量、バケット係数、土量換算係数、作業効率、サイクルタイムから求める一般的な算定式と整合します。デジコン
バケット公称容量は、使用するバケットの基準容量です。山積容量と平積容量のどちらを用いるかは、機械仕様や採用する基準に合わせて統一します。実際の掘削で毎回バケットを完全に満たせるとは限らないため、土質や作業条件を反映するバケット充填係数を掛けます。
土量換算係数は、バケット内のほぐした土量を、比較したい土量状態へ換算するための係数です。必要時間当たり土量を地山土量で計算している場合、ほぐし率をLとすれば、ほぐし土量から地山土量へ換算する係数は1÷Lです。
例えば、ほぐし率を1.20と仮定する場合、土量換算係数は1÷1.20で約0.833です。ほぐし率は土質や状態によって異なるため、例の1.20を無条件で他現場へ流用せず、設計条件、積算基準、土質調査、試験施工、搬出実績などから設定します。
1時間当たり正味サイクル回数は、掘削、持ち上げ、旋回、積込み、戻りという一連の動作を1時間に何回行えるかを示します。1サイクルにかかる正味時間が分かっている場合は、3,600秒を平均サイクル秒数で割って求めます。
ここでいう正味サイクルタイムは、通常の掘削動作そのものに要する時間です。車両待ち、給油、測量待ちなどの停止を作業効率で反映するなら、正味サイクルタイムには同じ停止を重ねて含めません。反対に、現場で観測した1時間の実サイクル回数が既に通常の停止を含んでいるなら、同じ停止を作業効率でもう一度差し引かないようにします。
作業効率は、正味作業以外の短時間停止や作業のばらつきを反映する係数です。オペレーターの習熟度、重機の足場、掘削深さ、旋回角度、積込位置、周囲の安全確認などによって変わります。係数は一律ではないため、類似現場の実績や施工開始後の観測で補正します。
計算例として、バケット公称容量を0.8立方メートル、バケット充填係数を0.85、ほぐし率Lを1.20、1時間当たり正味サイクル回数を35回、作業効率を0.75とします。地山土量へ換算する係数は約0.833です。
0.8×0.85×0.833×35×0.75=約14.9
この仮定では、重機1台の実作業量は約14.9地山立方メートル毎時です。土量換算係数を掛けずに計算した17.9立方メートル毎時は、地山土量と同じ基準ではなく、バケット内のほぐした土量側の値になるため、そのまま地山土量50立方メートル毎時と比較できません。
現場で実作業量を確認する場合は、通常の作業状態を一定時間観察します。正味サイクルタイムと停止時間を分けて記録する方法のほか、施工前後の地形から一定時間内の地山掘削量を求める方法もあります。後者で地山立方メートル毎時を直接得られた場合は、バケット係数や土量換算係数を重ねて掛ける必要はありません。
土質が途中で変わる現場では、区画ごとに実作業量を変える必要があります。表層は掘削しやすくても、下層に硬い地盤や礫層がある場合、後半の処理能力が低下します。全土量を表層の能力だけで計算すると、工程後半に遅れが生じる可能性があります。
計算式3|掘削重機の必要台数を求める
必要時間当たり土量と、重機1台の実作業量が同じ土量基準で分かれば、掘削重機の必要台数を求められます。基本式は次のとおりです。
掘削重機の必要台数=必要時間当たり土量÷重機1台の時間当たり実作業量
計算式1で求めた必要時間当たり土量が50地山立方メートル毎時、計算式2で求めた重機1台の実作業量が14.9地山立方メートル毎時の場合を考えます。
50÷14.9=約3.36
計算結果は約3.36台となるため、同じ能力の機械だけで予定時間内の処理能力を確保するなら、台数は原則として4台へ切り上げて検討します。小数点以下を切り捨てると、計算上の能力が必要量を下回ります。
ただし、この結果だけで4台の同時配置を決定してはいけません。作業場所に4台を安全に配置できるか、各機械に独立した掘削範囲があるか、運搬車両をそれぞれの積込位置へ誘導できるかを確認する必要があります。
狭い掘削場所に4台を配置すると、重機同士の旋回範囲が重なり、同時稼働できない場合があります。1台が作業している間に別の機械が待機する状態では、台数を増やしても処理能力は単純には増えません。安全確認や合図が複雑になり、かえってサイクルタイムが長くなることもあります。
作業場所を複数区画に分けられる場合は、各重機が独立して施工できるため、能力を合計しやすくなります。一方、掘削場所が1か所に限られる場合は、主掘削機械と積込機械を分ける、仮置きを活用する、施工時間帯を分けるなど、役割を整理して配置します。
計算結果が2.1台のように、2台をわずかに超える場合もあります。この場合、3台を終日配置する方法だけが正解ではありません。2台を基本配置とし、掘削量が多い時間帯だけ補助機械を投入する方法や、実稼働時間を延ばす方法、作業効率を改善する方法も検討できます。
例えば、必要能力が40地山立方メートル毎時で、重機1台の実作業量が19地山立方メートル毎時なら、必要台数は約2.11台です。3台を配置すると合計能力は57地山立方メートル毎時となり、必要能力を大きく上回ります。作業場所に余裕がなければ、3台目の待機時間が増え、過剰配置になりやすくなります。
この場合は、2台の能力を改善できないか確認します。旋回角度を小さくする、積込位置を近づける、運搬車両の入替えを円滑にする、給油時間をずらすなどによって、1台当たりの実作業量を20地山立方メートル毎時まで引き上げられれば、2台で必要能力を満たせます。ただし、改善後の能力は実測で確認し、希望値だけで計画しないことが大切です。
また、施工段階によって台数を変える考え方も重要です。粗掘削では複数台、深部掘削では台数を減らし、床付けと法面整形では1台というように、作業内容に応じて段階的に減らします。施工期間全体を同じ台数で計画すると、後半に待機機械が増えやすくなります。
重機台数の妥当性は、施工開始後の稼働率でも確認できます。重機が頻繁に待機している場合は、重機の過剰配置、運搬車両の不足、搬出先の混雑、測量待ちなどの原因が考えられます。待機時間の原因を確認してから、台数を減らすか、他工程を改善するかを判断します。
計算式4|運搬車両の必要台数を求める
掘削土を運搬する場合は、掘削重機と運搬車両の能力を同じ土量基準で合わせる必要があります。運搬車両が不足すると、掘削重機が積込相手を待つことになり、計算した実作業量を発揮できません。運搬車両が多すぎる場合は、積込場所や搬出路に待機列が発生します。
積込機械を原則として止めずに稼働させるための簡易式は次のとおりです。
運搬車両の必要台数=総サイクル時間÷1台当たり積込時間
算出結果に小数が出た場合は切り上げます。この式は、1か所の積込場所へ同程度の車両が一定間隔で戻り、積込機械が連続して作業できる条件を想定した目安です。交通変動が大きい現場、複数の積込場所を使う現場、車種が混在する現場では、時間帯別の配車計画やシミュレーションが必要になることがあります。
総サイクル時間には、積込時間、往路走行時間、荷下ろし時間、復路走行時間、通常発生する待機時間などを含めます。公道を使用する場合は、信号待ち、交通混雑、搬出先での受付、計量、タイヤ洗浄なども確認します。
例えば、積込時間が7分、往路走行が12分、荷下ろしが5分、復路走行が10分、その他の待機が3分の場合、総サイクル時間は37分です。
37÷7=約5.29
この条件で積込みを連続させるには、切り上げて6台が目安になります。ただし、6台目は積込機械を止めないための余裕として働く一方、運搬先や現場内で車両待ちを増やす可能性があります。
運搬車両の時間当たり運搬量から確認する方法もあります。基本式は次のとおりです。
運搬車両1台の時間当たり運搬量=1台当たり実積載量×60÷総サイクル時間
必要車両台数=必要時間当たり運搬量÷運搬車両1台の時間当たり運搬量
ここでも、必要運搬量と実積載量の土量状態をそろえます。掘削工程の必要量が50地山立方メートル毎時で、ほぐし率Lを1.20と仮定するなら、必要なほぐし土量は50×1.20で60ほぐし立方メートル毎時です。
1台当たりの実積載量が8ほぐし立方メートル、総サイクル時間が37分の場合は、次のようになります。
8×60÷37=約13
運搬車両1台の時間当たり運搬量は約13ほぐし立方メートル毎時です。必要な運搬量が60ほぐし立方メートル毎時であれば、60÷13で約4.62台となり、運搬量を満たすには切り上げて5台が必要です。
積込時間から計算した場合は6台、運搬量から計算した場合は5台という違いが生じます。これは、積込機械を止めずに連続稼働させる条件と、必要量を予定時間内に運ぶ条件が異なるためです。
5台でも平均的には必要運搬量を満たせる計算ですが、車両が1台遅れると積込機械に待ち時間が生じやすくなります。6台なら積込機械の待機を減らしやすい一方、車両側の待機時間が増える可能性があります。最終的には、積込機械の停止損失、車両待機場所、搬出先の受入れ能力、交通時間のばらつきを比較して決めます。
また、実積載量は荷台の公称容積だけで決めません。土の密度や含水状態によっては、容積を満たす前に車両の最大積載量へ達する場合があります。実積載量は、適用される積載制限、車両仕様、計量結果などを確認して設定し、過積載を前提としない計画にします。
地山土量とほぐし土量を区別する
現場で即土量を算出した際には、その数値がどの状態の土量なのかを明確にします。土量には、掘削前の地山土量、掘削後のほぐし土量、締固め後の土量があります。
掘削前の地盤を計測して得た体積は、通常は地山状態の土量として扱います。掘削すると土粒子の間に空隙が増えるため、運搬時の体積は地山状態より大きくなることがあります。盛土として締め固めると、施工後の体積は再び変化します。
掘削工程の出来高や残量を計算する場合は、地山土量を基準にすることが多くなります。一方、運搬車両の荷台容量や往復回数は、掘削してほぐれた状態の土量を基準に検討します。
例えば、地山土量が1,000立方メートルで、ほぐし率Lを1.20と仮定する条件なら、運搬対象となるほぐし土量は1,200立方メートルです。地山土量1,000立方メートルのまま荷台容積で運搬回数を計算すると、必要な車両回数を少なく見積もることになります。
体積変化の割合は、土質、粒度、含水状態、掘削方法、積込方法などによって変わります。一律の係数を無条件で使うのではなく、設計条件、土質調査、適用する積算基準、試験施工、過去の搬出実績などを参考に設定します。
盛土へ転用する場合は、搬入したほぐし土量と、締固め後に必要な仕上がり土量の関係も確認します。締固め後に必要な体積だけを見て運搬量を決めると、材料が不足する可能性があります。
また、土量の基準が異なる数値を同じまま比較しないことも重要です。掘削能力が地山立方メートル毎時、運搬能力がほぐし立方メートル毎時、締固め能力が締固め後立方メートル毎時で表示されている場合、そのままでは各工程の能力を比較できません。同じ基準へ換算してから、工程間のバランスを確認します。
掘削から締固めまでの能力をそろえる
土工事では、最も処理能力が低い工程が全体の施工速度を制約します。掘削能力だけを高めても、積込み、運搬、荷下ろし、敷きならし、締固めのいずれかが遅ければ、全体の処理量は増えません。
例えば、掘削と積込みで1時間当たり50地山立方メートルを処理できても、運搬能力が地山換算で45立方メートル毎時なら、差の5立方メートル分が現場内へ残る計算です。仮置き場所がなければ、掘削を停止しなければなりません。
反対に運搬能力が大きすぎる場合は、車両が積込みを待つことになります。待機車両が搬出路をふさぐと、他の重機や作業員の動線にも影響します。
場内で盛土に転用する場合は、敷きならしと締固めの能力を確認します。盛土は施工計画で定めた層厚ごとに敷きならし、土質や品質管理条件に応じて締め固めて進めます。掘削側から土が大量に供給されても、盛土側が処理できなければ、未施工の土がたまり、施工場所が狭くなります。
締固め機械の能力は、施工幅、走行速度、重複幅、施工回数、転回時間などによって変わります。土質や含水状態によって施工条件が変わることもあるため、単純な走行速度だけで判断しません。
各工程の能力を比較する際は、時間当たりの処理量を同じ土量状態へ換算します。掘削、運搬、盛土、締固めの能力を並べ、能力が最も小さい工程を確認します。
能力不足がある場合は、すぐに機械台数を増やすのではなく、施工方法を改善できないか検討します。積込位置を変更する、運搬経路を一方通行にする、荷下ろし場所を増やす、施工区画を分けるといった改善によって、追加配置をせずに能力を上げられることがあります。
過剰配置を防ぐ現場条件の補正方法
計算上の必要台数を求めた後は、現場条件に合わせて補正します。重機台数の計算は配置判断の出発点であり、計算結果をそのまま採用するものではありません。
最初に確認するのは、同時作業できる範囲です。複数台の重機を配置しても、それぞれに独立した作業区画がなければ能力を発揮できません。掘削面が狭く、積込位置も1か所しかない場合は、重機を追加しても順番待ちになります。
旋回角度も実作業量に影響します。掘削位置と積込位置の関係が悪く、大きく旋回する必要がある場合は、1サイクルが長くなります。積込位置を変更し、旋回角度を小さくできれば、重機を増やさずに処理能力を上げられる可能性があります。
運搬動線では、往路と復路の交錯を確認します。狭い通路で交互通行が必要な場合、車両台数を増やすほど待機が増えることがあります。一方通行化、待避場所の設置、出入口の分離、配車間隔の調整などを検討します。
地盤状態が悪い場合は、重機や車両を追加する前に、排水や仮設道路の整備を行う方が効果的なことがあります。ぬかるみによって走行速度が低下している状態で車両を増やすと、通路の損傷や渋滞が悪化する可能性があります。
オペレーターの配置も確認します。機械を増やしても、必要な技能を持つ人員を確保できなければ稼働できません。休憩や交代、他作業との兼務を含め、実際に操作できる時間を計画へ反映します。
搬出先については、受入れ時間、1時間当たりの受入れ台数、荷下ろし場所、計量や受付の所要時間を確認します。現場側だけで車両を増やしても、搬出先で待機するなら、総サイクル時間は短縮されません。
故障や天候への備えも必要ですが、すべてを常時配置台数へ加える必要はありません。代替機を手配できる体制、他工区から一時的に機械を移す計画、施工時間を調整できる余地なども予備能力になります。
通常時に必要以上の重機を置くのではなく、変動が生じたときに追加や入替えを行える計画を整えることが、過剰配置を防ぐ現実的な方法です。
施工途中で重機台数を見直す方法
重機台数は、施工開始時に決めた数量を最後まで維持する必要はありません。施工が進むにつれて残土量が減り、作業内容も変化するため、定期的な見直しが必要です。
見直しの基本は、残土量を残り日数と実稼働時間で割り、改めて必要時間当たり土量を求めることです。
再計算後の必要時間当たり土量=残土量÷残り実施工日数÷1日当たり実稼働時間
例えば、当初1,200立方メートルを4日で施工する計画で、2日終了時点の地山残土量が480立方メートルだったとします。残り2日、1日6時間で施工する場合は、480÷2÷6で40地山立方メートル毎時です。
当初の必要能力が50地山立方メートル毎時だったなら、残り工程では必要能力が低下しています。重機4台を配置していた場合、3台または2台で必要能力を満たせるかを、直近の実作業量と作業区画を使って確認できます。
反対に、2日終了時点の地山残土量が720立方メートルであれば、720÷2÷6で60地山立方メートル毎時が必要です。当初より必要能力が増えているため、遅れの原因を確認します。
このとき、直ちに重機を追加するのではなく、実績処理量が低かった理由を調べます。運搬車両の不足、搬出先の待機、地中障害物、測量確認、給油、土質変化など、原因によって対策が異なります。
施工後半では、粗掘削から床付けや整形へ移行します。この段階では大量処理より施工精度が重要になるため、重機台数を減らし、確認作業を増やすことがあります。
日ごとの実績は、運搬車両の台数だけで判断しないことが大切です。1台当たりの積載量にばらつきがある場合や、場内仮置きがある場合は、搬出台数と実際の掘削量が一致しません。現況地形の変化から施工済み土量と残土量を確認すると、進捗を数量で捉えやすくなります。
現場で即土量を重機配置へ反映する手順
現場で即土量を重機配置へ反映するには、計測から再計算までを一連の流れとして管理します。
まず、施工前の現況地形と計画面を確認し、土量算出の対象範囲を設定します。施工済み部分、対象外の構造物、残置する地盤、法面などが混在する場合は、区画を分けて計算します。
次に、算出した土量が地山土量、ほぐし土量、締固め後土量のどれに該当するかを記録します。掘削重機、運搬車両、盛土機械で使用する土量の基準を統一し、必要に応じて土量変化率で換算します。
工程表から実施工日数と実稼働時間を設定し、計算式1で必要時間当たり土量を求めます。予備日や他工種との調整時間をどのように扱ったかも記録し、後から計算条件を確認できるようにします。
使用予定の重機について、バケット容量、充填係数、土量換算係数、サイクル回数、作業効率を設定し、計算式2で1台当たりの実作業量を求めます。類似現場の実績がある場合は、その適用条件を確認したうえで活用します。
計算式3で掘削重機台数を算出し、作業場所に安全に配置できるかを確認します。同時配置が難しい場合は、施工区画、施工時間、機械能力、積込方法を見直して再計算します。
運搬が必要な場合は、積込時間、往路、荷下ろし、復路、通常の待機を計測し、計算式4で車両台数を求めます。必要地山量をほぐし土量へ換算し、搬出先の受入れ能力と現場内の待機場所も確認します。
施工開始後は、時間当たり掘削量、運搬回数、実積載量、積込待ち時間、重機の待機時間を記録します。初期計画との差が大きい場合は、係数やサイクル時間を更新します。
さらに、施工途中で現況を再計測し、同じ座標系、基準面、対象範囲で残土量を確認します。残り日数と実稼働時間から必要能力を再計算し、台数を増減します。
この流れを繰り返すことで、施工開始前の概算だけに依存せず、実際の進捗に合った重機配置を維持できます。
LRTK Phoneで土量と進捗を確認する
重機台数を適切に管理するには、施工前の総土量だけでなく、施工途中の残土量を把握することが重要です。設計数量や運搬車両の回数だけでは、現場の地形変化や場内仮置きを十分に反映できない場合があります。
LRTK Phoneでは、対応するスマートフォンとアプリの機能を用いて、位置情報を伴う点群などの計測データを取得し、施工範囲の形状や高さを確認しながら土量算出へ活用できます。施工前後の状態を同じ条件で計測することで、施工済み範囲や残る土量を比較しやすくなります。公式情報でも、点群取得、位置座標の付与、施工前後の点群比較、体積算出への活用が案内されています。Lefixea Irtk
ただし、計測結果は使用環境や計測方法に左右されます。衛星測位が不安定な場所、植生や重機で地表面が隠れている場所、水面や反射の強い対象、急斜面などでは、欠測や不要点が生じることがあります。土量比較では、座標系、標高基準、基準面、対象範囲、点群処理条件をそろえ、必要に応じて既知点や別の測量成果で確認します。
施工前に初期土量を把握し、施工途中にも同じ範囲を計測すれば、残土量を基準に必要時間当たり土量を再計算できます。当初の想定より施工が進んでいる場合は、重機や運搬車両を早めに減らせる可能性があります。
反対に、追加掘削や地形条件の違いによって残土量が多い場合は、残り工程への影響を早い段階で確認できます。重機を追加する前に、必要能力の増加量を計算し、作業方法の改善で対応できるかを判断できます。
日ごとの計測結果と稼働記録を組み合わせれば、現場条件に合った重機1台当たりの実作業量も把握しやすくなります。同じ土質や施工条件の実績を蓄積することで、次の工区や類似現場の配置計画にも活用できます。
現場で即土量を確認する仕組みは、数量管理だけでなく、重機配置、運搬計画、工程管理、安全な動線計画を支える基礎情報になります。土量計測と台数計算を別々に扱わず、計測条件を記録しながら配置を更新する運用を整えることが重要です。
まとめ
現場で即土量から重機台数を決定するには、総土量を機械の公称能力で単純に割るのではなく、工程、土量の状態、現場条件を段階的に反映する必要があります。
最初に、施工対象土量、実施工日数、1日当たり実稼働時間から必要時間当たり土量を求めます。このとき、地山土量、ほぐし土量、締固め後土量のどれを基準にした数値かを明記します。
次に、バケット容量、充填係数、土量換算係数、サイクル回数、作業効率から重機1台の実作業量を算出します。正味サイクルタイムと作業効率へ同じ停止時間を重ねて反映すると、能力を過度に低く見積もるため、係数の役割を分けることが重要です。
必要時間当たり土量を、同じ土量状態へ換算した1台当たりの実作業量で割れば、掘削重機の必要台数を求められます。運搬がある場合は、積込時間と総サイクル時間から運搬車両台数を計算し、必要地山量をほぐし土量へ換算して運搬能力と比較します。
計算上の台数が求められても、作業場所の広さ、旋回範囲、運搬動線、土質、足場、搬出先の受入れ能力を確認しなければなりません。重機を増やすことで機械同士の干渉や待機が増える場合は、配置追加ではなく、施工区画や動線の改善を検討します。
また、実積載量は荷台容積だけでなく、土の密度、含水状態、車両の最大積載量を確認して決めます。過積載を前提とせず、計量実績や車両条件を配車計画へ反映します。
施工開始後は、重機台数を固定せず、残土量と実績処理量から見直します。粗掘削が完了し、床付けや整形へ移行した段階で台数を減らせば、不要な待機や作業場所の混雑を防ぎやすくなります。
LRTK Phoneで施工前後や施工途中の地形を同じ条件で計測し、現場で即土量と残土量を確認すれば、重機台数を実際の進捗に合わせて調整しやすくなります。計測、計算、配置、再計測を一連の管理として運用し、過剰配置を抑えながら必要な施工能力を確保していきましょう。