トンネル掘削ずりで現場の土量管理が重要な理由
トンネル工事では、切羽を掘削して発生したずりを積み込み、坑外へ運び出し、仮置き場や受入先へ搬出する作業が繰り返されます。掘削、ずり出し、支保工、計測といった作業は互いに関係しているため、ずり処理が滞ると、掘削そのものが予定どおり進まなくなる可能性があります。
日進量を確保するには、切羽が何m進んだかだけでなく、その掘進によって何立方メートルのずりが発生し、どこまで処理できたかを把握することが重要です。掘削が計画以上に進んでも、搬出能力が追いつかなければ、坑内や坑口付近にずりが滞留します。作業空間や車両の走行経路が狭くなれば、次の掘削サイクルへ移るまでの時間も長くなります。
反対に、実際のずり発生量に対して運搬車両を多く配置しすぎると、積込み待ちや坑内での待機が増えます。車両台数を増やしたにもかかわらず、すれ違い待ちや積込み設備の処理待ちが発生し、全体の作業効率が下がることもあります。必要なのは単純な増車ではなく、掘削量と搬出能力のバランスを数値で確認することです。
「現場で即土量」を把握できる状態とは、体積の数字をその場で表示できるだけではありません。どの切羽で、いつ、どの掘削によって発生し、どの場所へ移動したずりなのかを説明できることが大切です。日進量、発生土量、搬出台数、仮置き残量を同じ作業日や掘削サイクルに関連付けることで、土量の増減を工程上の出来事として判断できます。
トンネル掘削ずりの量は、受入先との調整にも影響します。受入可能な時間帯や一日当たりの搬入量に制約がある場合、掘削量が増えれば仮置き場に残る量も増える可能性があります。仮置き場の残容量が不足すると、切羽では掘削できても、ずりを置く場所がないために作業を止めなければならない状況が生じます。
このような停止を避けるには、当日の実績を翌日に集計するだけでは遅い場合があります。作業途中で発生見込量と搬出実績を比較し、ずりの滞留が増えていることを早めに把握する必要があります。現場で土量を確認できれば、車両配置、搬出時間、仮置き場所、受入先との調整をその日のうちに見直しやすくなります。
日進量と掘削ずり量を比較する前にそろえる基準
トンネル掘削ずりを管理するときは、最初に土量の状態を区別します。同じ材料でも、掘削前の地山状態、掘削後にほぐれた状態、運搬や仮置きによって沈下した状態では体積が異なります。この違いを整理せずに数字を比較すると、日進量と搬出量が合わない原因を正しく判断できません。
設計断面積と掘進長を掛けて求める土量は、原則として掘削前の地山を幾何学的に捉えた値です。一方、運搬車両の荷台や仮置き場で確認するずりは、掘削によって破砕され、空隙を含んだ状態です。そのため、地山体積と荷台上の体積をそのまま比較すれば、見かけ上の差が生じます。
現場で使用する数値には、地山量、ほぐし量、換算後の管理量などの区分を付けます。日報に単に「土量」とだけ記録すると、後から見た担当者がどの状態の数値なのか判断できません。計測値をそのまま記載したのか、一定の係数で換算したのかも残しておく必要があります。
換算に使う条件は、岩種、破砕の程度、含水状態、粒径、積込み方法などによって変わる可能性があります。そのため、全工期を通じて一つの値を無条件に使い続けるのではなく、地質区間や掘削方法が変わった時点で、実績との整合を確認することが大切です。
管理対象の範囲も明確にします。本坑の掘削ずりだけを対象にするのか、避難坑、連絡坑、拡幅部、坑口部、排水設備などの掘削で発生した材料も含めるのかによって、集計結果は変わります。日進量との関係を確認するときは、対象となる掘進区間とずりの発生元を一致させなければなりません。
複数の切羽や工区から同じ仮置き場へずりを搬入している場合は、発生元を分けて記録します。仮置き場全体の増加量だけでは、どの切羽の掘削量が多かったのか判断できません。運搬便ごとに積込元と移動先を記録し、必要に応じて工区別の土量を集計できる状態にします。
作業日の区切りも統一が必要です。夜間作業を含む現場では、午前0時をまたいでひとつの掘削サイクルが続くことがあります。積込み時刻を基準にするのか、搬出時刻を基準にするのか、作業日報の締め時刻を基準にするのかによって、日別の数値が変わります。
日進量、搬出台数、受入量、仮置き残量は、同じ締め時刻で集計することが基本です。やむを得ず異なる時刻の記録を使う場合は、未搬出分や翌日計上分があることを明記します。締め基準が統一されていない状態では、単日の収支差が記録漏れなのか、時刻差によるものなのか判断できません。
掘進長の測定基準もそろえます。切羽の最も進んだ位置を測るのか、代表位置を定めるのか、支保工の建込み位置を使うのかによって、同じ現場でも数値が変わる可能性があります。土量算出に用いる掘進長は、現場で定めた基準点と測定方法に従い、担当者が変わっても同じ考え方で記録します。
指標1:実掘進長と計画日進量の差
日進量を追うための一つ目の指標は、実掘進長と計画日進量の差です。実掘進長は、その作業日に切羽が実際にどれだけ前進したかを示す基本的な指標です。計画日進量と比較することで、工程が予定どおり進んでいるかを把握できます。
実掘進長は、作業開始時点と終了時点の切羽位置の差を基に確認します。ただし、掘削回数や発破回数だけでは、実際の進行量を正確に表せない場合があります。地山の状態、掘削機械の切込み、装薬条件、掘り残しなどにより、一回当たりの進行量が変わるためです。
たとえば、計画日進量が4mで、実掘進長が3.5mであれば、その日の差は0.5mです。しかし、この差だけを見て作業が遅れていると判断するのは早計です。前日に計画を上回っている場合や、安全確認に時間をかけた場合など、工程全体で見れば妥当なこともあります。
そのため、単日の差に加えて、週単位や月単位の累計差も確認します。毎日0.2m程度の小さな遅れでも、10日続けば2mの差になります。単日では目立たない変化を早めに捉えるには、計画累計掘進長と実績累計掘進長を並べて確認することが有効です。
実掘進長は、ずり発生量の基礎にもなります。掘進長が増えれば、通常は発生するずり量も増えます。ただし、掘削断面や地質条件が一定でなければ、単純な比例関係にはなりません。断面変更区間、拡幅部、地山の崩落があった区間では、同じ掘進長でも土量が大きくなる可能性があります。
実掘進長が計画どおりなのに、ずり量が基準より多い場合は、余掘り、崩落、断面拡大、換算条件の違いなどを確認します。反対に、掘進長に対してずり量が少ない場合は、掘り残し、未搬出ずり、台数記録の漏れ、平均積載量の過小評価などが考えられます。
切羽位置の測定結果には、作業日、測定時刻、測定者、基準とした位置をひも付けます。可能であれば、写真や座標など、後から位置関係を確認できる情報も残します。数値だけが日報に転記されていると、測定方法に疑問が生じた際に根拠を確認できません。
日進量を評価するときは、数字を伸ばすことだけを優先しない姿勢も必要です。地山状態に応じた切羽観察や支保工の設置、計測を省略すれば、安全や品質へ影響します。実掘進長は、必要な作業を実施したうえで工程を管理するための指標として使用します。
指標2:掘進1m当たりのずり発生量
二つ目の指標は、掘進1m当たりのずり発生量です。この指標を使うと、日ごとの掘進長の違いをならして、ずりの発生傾向を比較できます。総土量だけを見る場合、日進量が大きい日は当然ずり量も増えるため、異常の有無を判断しにくくなります。
基本となる地山体積は、掘削断面積と実掘進長から求めます。たとえば、管理上の掘削断面積を80平方メートルとし、実掘進長が3mであれば、幾何学的な地山体積の目安は240立方メートルです。
ただし、実際の掘削では、設計線より外側まで掘る余掘りや、地山の崩落による増加が発生する可能性があります。計画断面積だけから求めた値は基準であり、実績と完全に一致するとは限りません。現場では、設計上の値と実績値の差を継続して確認することが重要です。
掘進1m当たりの発生量は、当日の発生量を実掘進長で割って確認します。地質や断面が同じ区間であれば、値は一定の範囲に収まりやすくなります。数値が急に増えた場合は、地山の変化、余掘りの増加、局所的な崩落、別作業のずり混入などを疑います。
一方、数値が急に減った場合は、当日分のずりが坑内や坑口付近に残っていないかを確認します。搬出台数だけを発生量として扱っている場合、掘削は完了していても、搬出が翌日に持ち越されれば、当日の数値は少なくなります。この場合、発生量と搬出量を同じ意味で扱わないことが大切です。
掘進1m当たりの発生量は、地質区分別に整理するとさらに使いやすくなります。硬質な岩盤と破砕帯では、掘削後の粒度や空隙の状態が異なる可能性があります。同じ換算条件を使うと、区間によって計画値とのずれが大きくなることがあります。
断面が変化する区間でも区分が必要です。標準断面、拡幅部、非常駐車帯、接続部などを同じ基準で比較すると、断面積の違いによる土量増加を異常と誤認しかねません。区間ごとの断面積と掘進長を使い、対応する発生量を算出します。
この指標は、余掘りの傾向を確認する参考にもなります。ただし、搬出量の増加だけで余掘りが発生したと断定することはできません。ほぐれ方、積込み方法、含水状態、前日残量なども影響するため、断面計測や現場記録と組み合わせて判断します。
継続的にデータを蓄積すれば、現場固有の基準範囲を設定しやすくなります。計画段階の一律な数値だけでなく、直近の実績平均や地質区間ごとの傾向を参照することで、当日の異常を早く発見できます。
指標3:搬出台数と実搬出量
三つ目の指標は、搬出台数と実搬出量です。運搬車両の台数は記録しやすく、作業中でも把握しやすいため、現場で即土量を確認する際の基本情報になります。しかし、台数に荷台の公称容量を掛けるだけでは、実際の搬出量と合わない場合があります。
同じ車両であっても、毎回同じ量を積めるとは限りません。大きな岩塊を含むずりでは、荷台内に空隙ができやすくなります。細かく破砕された材料では比較的密に積み込まれることがあります。荷姿、含水状態、荷台への付着、積込担当者の操作によっても、1台当たりの体積は変化します。
そのため、搬出台数から土量を推定する場合は、1台当たりの平均積載量を定期的に確認します。一定台数分のずりを仮置き場へ集め、その体積を計測して台数で割れば、その期間の平均積載量を推定できます。
車種や荷台寸法が異なる車両を使用する場合は、同じ1台としてまとめないことが重要です。車種別に平均積載量を設定し、どの車両が何回搬出したかを記録します。車両構成が途中で変わった場合も、変更前後を分けて集計します。
積込回数と受入先で確認された回数も照合します。積込みの記録はあるのに受入記録がない場合は、運搬途中、待機中、仮置き場への搬入、記録漏れなどの可能性があります。反対に、受入記録が多い場合は、前日積込み分や別工区からの搬出が含まれていないかを確認します。
当日の掘進長から発生見込量を求め、その量を平均積載量で割れば、必要な搬出台数の目安を算出できます。たとえば、ほぐし状態の発生見込量が300立方メートルで、1台当たりの平均積載量が6立方メートルであれば、単純計算では50台分が目安です。
ただし、必要台数分の車両を用意すれば処理できるとは限りません。実際の処理能力には、積込み設備の能力、坑内道路の幅、退避場所、すれ違い時間、坑口の交通整理、受入先までの距離などが影響します。
重要なのは、保有台数ではなく、一日の実搬出回数と1時間当たりの処理量です。車両が多くても待機が長ければ、搬出量は増えません。台数、周回時間、積載量を組み合わせて、現場の実際の搬出能力を把握する必要があります。
車両台数から求めた土量は、作業中の速報値として有効です。一方、日報の確定値には、受入記録や仮置き場の計測結果を反映する方法があります。速報値と確定値を区別して運用すれば、現場で早く判断しながら、後から精度も確認できます。
指標4:掘削サイクル当たりのずり処理時間
四つ目の指標は、掘削サイクル当たりのずり処理時間です。トンネル掘削では、掘削、ずり積込み、搬出、支保工、計測などの作業が連続して行われます。日進量が計画を下回ったとき、一日の掘進長だけでは、どの作業が遅れの原因になったのか判断できません。
そこで、掘削サイクルごとに開始時刻、掘削完了時刻、ずり出し開始時刻、ずり出し完了時刻、次工程の開始時刻を記録します。各作業に要した時間を整理することで、ずり処理が日進量を制約しているかを確認できます。
たとえば、掘削時間が計画どおりでも、ずり出し時間が毎サイクル長くなっていれば、日進量は低下します。原因として、積込み設備の能力不足、車両の到着遅れ、坑内交通の混雑、受入先での待機などが考えられます。
ずり処理時間は、発生量と組み合わせて評価することが重要です。処理時間が長くなっていても、1サイクル当たりの発生量が増えているなら、単位土量当たりの処理能力は維持されている可能性があります。反対に、発生量が同じなのに処理時間だけが延びている場合は、運搬工程の効率低下を確認する必要があります。
1時間当たりの搬出量を把握すると、必要な処理時間を予測しやすくなります。直近の実績で1時間当たり60立方メートルを搬出しており、次のサイクルで180立方メートルのずりが発生すると見込まれる場合、単純には3時間程度の処理時間が必要です。
ただし、実際の処理時間は一定ではありません。交代時間、坑内の設備移動、道路補修、換気条件、受入先の混雑などによって変化します。そのため、単一の最短実績だけを基準にせず、通常時の平均値と変動幅を確認します。
サイクル間の空白時間も見逃せません。ずり出しが完了していても、次の作業の準備、機材移動、作業員の引継ぎ、測定待ちによって時間が空く場合があります。一回当たりは短時間でも、繰り返されることで一日の掘進量へ大きく影響します。
改善を検討するときは、作業を単に急がせるのではなく、待機の発生位置を特定します。積込設備が車両を待っているのか、車両が積込みを待っているのか、受入先で待っているのかによって対策は異なります。
また、地山の確認、浮石処理、支保工、換気など、安全に必要な時間を短縮対象にしてはいけません。サイクル時間の指標は、安全や品質を維持したうえで、不要な待ち時間や手戻りを減らすために使用します。
指標5:発生量・搬出量・仮置き残量の収支差
五つ目の指標は、発生量、搬出量、仮置き残量の収支差です。ずりの収支を確認することで、掘削によって発生した材料がどこにあるのかを把握できます。
基本的な考え方では、作業開始時点の仮置き残量に当日の搬入量を加え、当日の搬出量を差し引いた値が、作業終了時点の仮置き残量になります。実際に計測した残量と計算上の残量に大きな差があれば、記録や換算条件を確認します。
ここで注意したいのは、切羽での発生量と仮置き場への搬入量が必ず同じ日付になるとは限らないことです。切羽から搬出されず坑内に残ったずりがあれば、発生量には含まれても、仮置き場への搬入量には含まれません。
また、仮置き場から場外へ搬出したずりを、当日の切羽からの搬出量と混在させると、日進量との関係が分かりにくくなります。切羽から仮置き場への場内移動と、仮置き場から受入先への場外搬出を分けて記録します。
収支差は単日だけでなく、累計でも確認します。単日の差は、締め時刻のずれや運搬途中の車両によって発生することがあります。しかし、差が数日間にわたって拡大し続ける場合は、平均積載量、換算方法、記録漏れなどに継続的な問題がある可能性があります。
仮置き残量は、作業継続に直結する情報です。現在の残量だけでなく、仮置き場の上限容量との差を確認します。残容量と一日当たりの純増量が分かれば、何日程度で上限へ近づくかを予測できます。
たとえば、管理上の残容量が1,200立方メートルで、一日当たりの仮置き純増量が平均200立方メートルであれば、条件が変わらない場合は約6日で上限に近づきます。実際には掘削量や搬出量が変動するため、余裕を持って対応することが必要です。
仮置き場の体積は、時間経過による沈下や車両走行による締まり、降雨、排水状態によって見かけが変化することがあります。そのため、帳簿上の収支と計測値が完全に一致するとは限りません。
重要なのは、差を無理にゼロへ合わせることではなく、その理由を説明できる状態にすることです。計測条件による差、換算条件による差、日付のずれ、未搬出分などを記録すれば、累計値の信頼性を維持しやすくなります。
5指標を使って日進量の遅れを見つける方法
5つの指標は、それぞれを別々に見るのではなく、同じ作業日や掘削サイクルに関連付けて確認します。日進量が計画を下回った場合、最初に実掘進長と計画値の差を確認し、その後にずり発生量と処理時間を見ます。
実掘進長が少なく、ずり処理時間が通常より長い場合は、運搬工程が日進量へ影響した可能性があります。さらに、搬出台数が計画を下回っていれば、車両不足や周回遅延が考えられます。
搬出台数は確保されているのに処理時間が長い場合は、積込み待ち、坑内交通、受入先待機などを確認します。車両を増やしたことにより坑内でのすれ違い待ちが増え、かえって処理能力が下がっている可能性もあります。
実掘進長が少なく、1m当たりのずり発生量が多い場合は、余掘りや崩落、断面変化などによって、少ない進行量でも多くのずりが発生した可能性があります。この場合、運搬工程だけでなく、地山状況や掘削断面の記録を確認します。
実掘進長が計画どおりで、搬出量も見込みどおりなのに、仮置き残量が増えている場合は、場外搬出が追いついていない可能性があります。切羽から坑外へ出す工程は順調でも、仮置き場から受入先への搬出能力が不足していれば、将来的に掘削工程へ影響します。
反対に、搬出量が当日の発生見込量より多い場合は、前日までの仮置き分や坑内残置分を搬出した可能性があります。この差を異常とみなすのではなく、移動元を確認し、在庫の減少として収支へ反映します。
日進量の遅れを分析するときは、数値が変化した最初の日を確認することも有効です。遅れが顕在化した日だけでなく、その前日から車両の周回時間が伸びていなかったか、仮置き残量が増えていなかったかを見ます。
土量の変化は、工程の遅れに先行して現れることがあります。たとえば、仮置き場への純増量が数日続いた後に、置場不足で掘削が止まることがあります。5指標を日々確認すれば、停止に至る前の兆候を捉えやすくなります。
トンネル掘削ずりを現場で即計測する方法
トンネル掘削ずりの土量は、設計断面と掘進長から算出する方法、搬出台数から推定する方法、仮置き場の形状を計測する方法などを組み合わせて管理します。ひとつの方法だけに依存するより、複数の結果を照合した方が異常を見つけやすくなります。
設計断面と掘進長による算出は、掘削前や作業途中に発生量を予測するのに適しています。掘進長が更新されるたびに発生見込量も更新できるため、必要な搬出台数を早めに判断できます。
ただし、設計断面から求める量には余掘りや崩落が直接反映されません。そのため、当日の搬出量や仮置き増加量と比較し、差が継続している場合は基準を見直します。
搬出台数による推定は、作業中の速報値を得やすい方法です。車両が積込場所を出た時点で便数を記録し、車種別の平均積載量を掛ければ、累計搬出量を概算できます。
精度を保つには、平均積載量を固定したままにしないことが重要です。地質や破砕状態、車両構成が変わった場合は、一定期間の仮置き量と台数を照合し、平均値を更新します。
仮置き場の土量は、ずり山の表面形状と基準面との差から求められます。仮置き前の地盤形状を計測しておけば、その後のずり山との差分を使って体積を算出しやすくなります。
初期の地盤形状がない場合は、周囲の地形や計画面を使って基準面を設定する方法があります。ただし、見えない部分を推定する範囲が増えるため、計測条件と推定を含むことを記録します。
点群を利用してずり山を計測する際は、周囲を複数方向から計測し、形状の欠けを減らします。片側だけから計測すると、反対側の斜面やくぼみが取得できず、実際より小さな体積になる可能性があります。
車両や重機、仮設物がずり山を遮っている場合も、表面形状を正しく取得できません。安全を確保したうえで、計測対象の周囲にある遮蔽物を減らし、対象範囲を確認してから計測します。
LRTK Phoneの点群計測を活用する場合は、坑口外や仮置き場など、安全な動線と必要な測位条件を確保できる場所で使用します。ずり山の周囲を計測し、基準面との差から体積を確認することで、事務所での集計を待たずに、現場で土量の概算を確認しやすくなります。
一方、トンネル坑内では衛星測位の信号を受信しにくいため、測位を前提とする方法をそのまま使えない場合があります。坑内で位置基準が必要な計測を行う際は、現場で定めた測量方法や既設基準点との整合を優先します。
仮置き場を繰り返し計測する場合は、毎回の外周範囲と基準面を統一します。前回と今回で計測範囲が異なると、体積の増減が実際の搬入出によるものか、範囲変更によるものか分からなくなります。
計測結果には、作業日、時刻、計測者、対象範囲、基準面、体積の状態をひも付けます。点群データだけを保存するのではなく、その数値がどの日報や工区に対応するのかを明確にします。
計画土量と実績土量が合わない主な原因
計画土量と実績土量が合わない代表的な原因は、設計断面と実掘削断面の違いです。余掘りや局所的な崩落が発生すれば、実際のずり量は計画より多くなります。
断面変更を集計へ反映していない場合も差が生じます。拡幅部や接続部を標準断面のまま計算していると、計画上の発生量が過小になる可能性があります。施工区間ごとの断面条件を確認し、実掘進長に対応させます。
地山量とほぐし量の混在も大きな原因です。設計断面から求めた地山体積と、荷台や仮置き場で確認した体積は、同じ状態ではありません。数値を比較する前に、どの状態へそろえるかを決めます。
平均積載量が実態と合っていない場合、車両台数の記録が正しくても土量はずれます。大きな岩塊が多い時期に、それ以前の細粒なずりと同じ平均値を使えば、搬出量を過大評価することがあります。
記録漏れや重複計上も確認が必要です。積込み時と受入時の両方で同じ便を別の搬出として数えたり、仮置き場を経由するずりを二重に計上したりすると、実際以上の量になります。
作業日の区切りが異なることもあります。積込み側は午後8時を締め時刻とし、受入側は午前0時で集計している場合、日別の数値は一致しにくくなります。双方の記録を照合するときは、時刻を基に同じ期間へ組み替えます。
複数工区の混在も差の原因です。同じ車両が複数の切羽を担当している場合、積込元を記録しなければ、どの工区の土量なのか分からなくなります。仮置き場でも工区別の区画を設けるか、便単位で発生元を記録します。
仮置き場の点群計測では、欠測や外周設定の違いが影響します。ずり山の裏側が取得されていない、基準面が前回と異なる、重機をずりとして含めているといった状態では、体積差を正しく求められません。
降雨や排水、沈下による体積変化もあります。仮置き後に材料が締まれば、搬入出がなくても計測体積が減る可能性があります。帳簿上の土量と現地の見かけの体積が一致しない場合は、保管条件も確認します。
差が見つかったときは、一つの原因へすぐに決めつけず、締め時刻、工区、体積状態、台数、平均積載量、計測範囲の順に確認します。原因と対応結果を残すことで、同じ問題が繰り返されたときに早く判断できます。
現場で即土量を確認する標準的な運用手順
現場で即土量を確認するには、計測方法だけでなく、日々の運用手順を決めることが重要です。担当者によって記録の時刻や範囲が異なると、継続的な比較ができません。
作業開始前には、当日の計画日進量、掘削断面、地質区分、発生見込量を確認します。発生見込量から必要搬出台数と仮置き場への純増量を予測し、受入先の予定と照合します。
仮置き場については、前日終了時点の残量と残容量を確認します。当日の発生見込量を受け入れられない可能性がある場合は、掘削開始前に場外搬出や置場変更を調整します。
作業中は、掘削サイクルごとに実掘進長、掘削完了時刻、ずり出し開始時刻、搬出台数を記録します。詳細な計測が難しい場合でも、最低限、サイクル番号と便数を関連付けます。
午前と午後など、決めた中間時点で累計値を確認します。実掘進長から計算した発生見込量と、搬出台数から求めた搬出速報値を比較し、差が拡大していないかを見ます。
搬出量が発生見込量より少ない場合は、坑内残置、仮置き場への未集計搬入、車両待機を確認します。差が大きく、仮置き場の余裕も少ない場合は、車両の配置や受入先との調整を見直します。
作業終了時には、切羽位置を測定し、実掘進長を確定します。搬出台数、受入記録、仮置き場への搬入量、場外搬出量を締め時刻に合わせて集計します。
仮置き残量を重要な管理指標にしている場合は、決めた頻度で現地計測を行います。毎日計測するのか、一定量が増減したときに計測するのかを、現場の規模や必要精度に応じて定めます。
速報値と計測値に差がある場合は、速報値を無理に残さず、確定値へ更新します。ただし、元の値を削除するのではなく、修正前の値、修正後の値、理由、修正者を記録します。
日報確定後は、単日の土量だけでなく、直近数日間の平均を確認します。掘進1m当たりの発生量、1台当たりの積載量、1時間当たりの搬出量に変化があれば、翌日の計画値へ反映します。
地質や掘削方法が変わった場合は、それまでの平均値をそのまま使わないことが重要です。新しい区間の実績が蓄積されるまでは、計画値に余裕を持たせ、計測頻度を上げて傾向を確認します。
土量データを運搬計画と工程調整に生かす方法
土量データは、作業後の日報を作成するためだけでなく、翌日以降の工程と運搬計画を調整する材料として活用できます。日進量と土量の関係を継続して記録すれば、発生量の予測精度を高められます。
直近の掘進1m当たり発生量が計画値より多い場合、同じ日進量でも必要な搬出能力は増えます。翌日の計画日進量に最新の実績値を掛けることで、現場条件に近い発生量を予測できます。
必要搬出台数は、予測発生量と1台当たりの平均積載量から求めます。ただし、車両の周回時間も考慮しなければなりません。必要な搬出便数を確保できても、一台が一日に走行できる回数が少なければ、必要な車両数は増えます。
周回時間には、坑内の走行、積込み、坑外への移動、荷下ろし、戻り時間が含まれます。受入先での待機が増えている場合は、車両を追加しても処理量が伸びない可能性があります。
この場合は、受入時間の分散、運搬先の調整、仮置き場の利用など、待機を減らす方法を検討します。土量だけでなく、便ごとの時刻を記録することで、周回時間のどこに滞留があるかを把握できます。
仮置き場の残容量と純増量からは、上限へ達する時期を予測できます。残容量が少なくなってから対応するのではなく、数日前の時点で搬出量を増やす計画を立てることが重要です。
日進量が計画を上回った場合も注意が必要です。掘削の進捗だけを見れば好ましい結果でも、受入先の能力や仮置き場の残容量を超える量が発生すれば、翌日以降にずり処理が制約となる可能性があります。
反対に、日進量が計画を下回り、仮置き場に余裕がある場合は、車両を過剰に配置していないかを確認できます。掘削量の減少に合わせて車両配置を調整すれば、不要な待機を減らせます。
5指標を使えば、日進量の遅れが掘削側にあるのか、ずり処理側にあるのかを判断しやすくなります。発生量は通常なのに搬出時間が長い場合は、運搬工程を重点的に改善します。1m当たりの発生量が増えている場合は、地山や断面の変化を確認します。
このように、土量、距離、時間を同じ記録単位で管理することで、現場の状況を具体的に説明できます。経験だけに頼らず、数値の変化を基に翌日の配置や工程を調整することが、安定した日進量につながります。
計測時に守りたい安全と品質の管理ルール
現場で即土量を確認する場合も、安全を優先する必要があります。切羽付近、坑内道路、積込み場所、仮置き場では、重機や運搬車両が稼働しています。計測者が機器の画面に集中すると、接近する車両や足元の段差に気付きにくくなります。
計測を行う前に、作業責任者、重機運転者、交通誘導担当者と計測範囲を共有します。必要に応じて重機を停止し、計測者が立ち入る時間帯を設定します。車両が走行している状態で計測者が通路へ入らない運用が必要です。
ずり山の斜面には、不安定な岩塊や崩れやすい部分がある可能性があります。形状を取得するために斜面へ近づきすぎず、安全な距離と動線を確保します。計測できない部分がある場合は、無理に接近せず、欠測や推定を含む結果として扱います。
仮置き場では、ずり山の周囲を歩く際に、車両の進入経路と交差しないようにします。計測中であることを関係者へ知らせ、重機が突然動き出さないように作業区分を明確にします。
計測品質をそろえるには、担当者ごとの差を減らす必要があります。計測開始位置、移動経路、対象との距離、外周範囲、基準面の選び方を標準化します。同じ対象を別の担当者が測った場合でも、大きく異なる結果にならない手順を整えます。
計測結果に細かな小数が表示されても、その桁まで実際の土量を正確に表しているとは限りません。対象形状、欠測、基準面、換算条件などを考慮し、利用目的に適した単位で管理します。
作業途中の判断に使う概算値と、正式な数量確認に使う値は区別します。概算値は、車両配置や仮置き場の容量判断には有効ですが、そのまま契約数量や出来形数量として扱えるとは限りません。
正式な数量管理へ利用する場合は、現場の管理基準、発注者との協議内容、使用する測量方法に従います。現場で即土量を確認できることと、正式な数量として確定できることは、同じ意味ではありません。
データの保存方法も決めておきます。計測結果だけでなく、対象範囲、計測日時、担当者、基準面、換算条件を保存します。後から数値の根拠を確認できるようにすることで、日報や収支差の説明がしやすくなります。
まとめ
トンネル掘削ずりを管理しながら日進量を追うには、切羽が何m進んだかだけを見るのではなく、掘進によって発生した土量と、その処理状況を一体で確認することが重要です。
実務で確認したい指標は、実掘進長と計画日進量の差、掘進1m当たりのずり発生量、搬出台数と実搬出量、掘削サイクル当たりのずり処理時間、発生量・搬出量・仮置き残量の収支差という5つです。
実掘進長を確認すれば、当日の工程達成状況を把握できます。掘進1m当たりの発生量を見れば、余掘りや地質変化などの兆候を見つけやすくなります。搬出台数と実搬出量を比較すれば、平均積載量や運搬能力の妥当性を確認できます。
掘削サイクル当たりの処理時間を記録すると、日進量の遅れがずり処理に起因しているかを判断しやすくなります。さらに、仮置き残量を含む収支を確認すれば、掘削したずりがどこに残っているのかを追跡できます。
現場で即土量を確認するためには、設計断面による計算、車両台数による速報、仮置き場の体積計測を組み合わせることが有効です。異なる方法の結果を照合することで、記録漏れや換算条件のずれを早期に発見できます。
仮置き場では、基準面と計測範囲を統一し、同じ条件で繰り返し計測することが大切です。体積の数字だけでなく、地山量なのか、ほぐし量なのか、換算後の管理量なのかを明確にします。
土量の差が発生した場合は、数字を無理に合わせず、締め時刻、工区、移動元、移動先、平均積載量、基準面などを順に確認します。差の理由を記録しておけば、次回の計画や換算条件の改善に生かせます。
土量データを日進量やサイクル時間と結び付ければ、仮置き場が上限へ達する前に搬出計画を変更し、掘削量に応じて車両配置を見直せます。現場で数値を確認し、その日のうちに次の行動へつなげることが、安定した工程管理のポイントです。
坑口外や仮置き場で、点群を利用してずり量をその場で確認する運用を検討している場合は、LRTK Phoneの活用が選択肢になります。現場計測から体積確認、記録共有までの流れを整え、日進量とずり収支を継続的に追える管理体制づくりにつなげてください。