LRTKレフィクシア株式会社

重機の死角でも地下埋設物ARを確認できる6つの端末配置

地下埋設物ARは重機の死角対策を補助する情報共有手段

地下埋設物が存在する場所で掘削作業を行う場合、重機オペレーターから直接見えない範囲をどのように管理するかが重要です。油圧ショベルなどでは、車体後方、上部旋回体の周辺、ブームやアームの陰、掘削溝の内部などに見えにくい範囲が生じます。地下埋設物の位置が図面上で把握されていても、オペレーター、誘導者、施工管理者の間で位置関係の認識が一致していなければ、掘削位置や停止位置の判断に差が生じる可能性があります。

地下埋設物ARは、埋設管やケーブルなどの計画位置または記録位置を現地映像に重ね、地上から位置関係を確認するための補助的な情報共有手段です。図面だけでは把握しにくい曲がり、分岐、深さ方向、隣接設備との関係を、現場空間に対応させて説明しやすくなります。ただし、ここでいう端末配置は、重機の死角や接触のおそれがある場所へ人や端末を置くことではありません。立入禁止範囲の外に設けた安全な確認地点からAR表示を確認し、定めた誘導方法でオペレーターへ伝える運用を指します。

車両系建設機械の運転中に接触のおそれがある箇所では、原則として作業者の立入りを禁止し、立入禁止が困難な場合は誘導者を配置して、その誘導に従わせることが求められます。したがって、AR画面を見やすくする目的で確認者を旋回範囲、後退経路、作業装置の到達範囲へ近づける運用は認められません。端末配置は既存の立入禁止措置や誘導体制に従属するものであり、それらを置き換えるものではありません。([厚生労働省][1])

また、AR表示は地下埋設物そのものを直接検知しているとは限りません。表示の基礎となる台帳、竣工図、設計データ、測量成果、現地記録に誤差や更新漏れがあれば、実際の埋設位置と表示位置が一致しない場合があります。端末の測位状態、姿勢推定、データ変換、周囲の衛星受信環境によっても見え方が変化します。そのため、ARだけを根拠に掘削位置や埋設深さを確定せず、埋設物管理者への確認、台帳と設計図面の照合、探査、試掘、目視確認、現地マーキングなどを組み合わせます。国土交通省の事故防止資料でも、施工前に台帳と設計図面を照合し、必要な試掘等によって種類、平面位置、深さ、規格、構造を原則として目視確認する考え方が示されています。([cbr.mlit.go.jp][2])

端末配置を決める前に確認したい基本条件

地下埋設物AR用の端末を配置する前に、重機がどのように動くかを作業計画で確認します。掘削時には、走行、旋回、ブームの上下、アームの伸縮、バケットの移動、排土、積込み車両との連携など、複数の動作が連続します。停止時には安全に見える場所でも、上部旋回体の後端が張り出したり、作業装置が想定より広い範囲を通過したりすることがあります。

作業計画には、使用する機械の種類と能力、運行経路、作業方法を反映し、関係者へ周知します。端末配置もこの計画の一部として扱い、重機の運行経路、旋回範囲、排土先、運搬車両の経路、立入禁止範囲、誘導者の位置、退避経路と矛盾しないように定めます。旋回範囲をバリケード等で明確にし、範囲内への立入りを禁止することや、誘導者と合図を明確にすることは、公的な安全資料でも基本事項として示されています。([厚生労働省][1])

端末を置く候補地点は、最大旋回範囲の線だけで判断しません。不意の走行、車体姿勢の変化、地盤沈下、資材や掘削土による通路の狭まり、作業装置からの落下物、飛来物なども考慮し、現場のリスクアセスメントで定めた余裕を確保します。旋回範囲の境界ぎりぎりに確認地点を設けるのではなく、作業の進行後も退避できる位置を選びます。

確認者が立つ場所と端末の設置場所を分ける運用は、使用する機器に遠隔表示や遠隔操作の機能があり、現場で動作確認できている場合に限ります。その機能が確認できない端末を三脚へ置き、離れた場所から操作できることを前提にしてはいけません。通常は、確認者が安全区域内で端末を携行して停止確認するか、安全区域内の固定地点で画面を確認します。

太陽光の反射、降雨、粉じん、振動、周囲の照明も確認します。画面が読めない場合は、危険区域へ近づいて角度を変えるのではなく、作業を停止した上で安全区域内の別地点へ移動します。画面の見やすさよりも、確認者が周囲を見渡せ、直ちに退避できることを優先します。

地下埋設物ARの基準となるデータも事前に確認します。使用するデータの版、対象区間、座標系、標高基準、単位、作成日、承認状態、更新責任者が不明な場合は、端末配置を決めても安全な判断にはつながりません。設計データと現場測量で座標系が異なる場合や、地盤高の変更が反映されていない場合は、表示の平面位置や深さ方向に差が生じるため、作業開始前に整合を確認します。

配置1 重機前方の安全確認位置に配置する

重機前方側の安全確認位置は、掘削予定線と地下埋設物の交差関係を説明しやすい候補です。ただし、重機の真正面やバケットの進行方向へ確認者や端末を置く配置ではありません。作業装置の到達範囲、掘削土の落下範囲、溝の崩壊影響範囲、重機の走行予定線から外れた位置を選びます。

地下埋設物が掘削方向と交差する現場では、前方側からAR表示を見ることで、埋設物の延長方向と掘削中心線の関係を共有しやすくなります。ただし、画面上で接近して見えることだけを理由に停止距離を決めたり、離れて見えることを理由に通常速度で掘削を続けたりしてはいけません。停止位置や慎重施工への切替条件は、試掘結果、探査結果、施工計画、埋設物管理者との協議内容に基づいて設定します。

前方側の確認地点は、オペレーターから誘導者の存在と合図を確認できることが基本です。誘導者が見えない場所、ブームや資材の陰に入る場所、オペレーターの視線を作業装置から大きく外させる場所は使用しません。端末画面をオペレーターへ直接見せるのではなく、安全区域にいる確認者が画面を確認し、決めた合図または無線で情報を伝えます。

端末のカメラが掘削予定線に対して斜めになりすぎると、画面上の奥行きや離隔を直感的に判断しにくくなることがあります。安全区域内で複数方向から表示を確認し、一つの視点だけで位置を確定したと考えないことが大切です。視点を変えたときに表示と現地基準の関係が大きく変わる場合は、作業を停止して測位状態やデータを確認します。

固定端末を用いる場合も、排土先、資材搬入経路、運搬車両の通行範囲と重ならない安全区域内に限定します。作業の進行で土砂や資材が増え、配置地点が安全でなくなった場合は、その地点の使用を中止します。端末を残したまま重機や車両の動線を変更しないよう、移設と回収の担当者を決めます。

配置2 重機側方の旋回範囲外に配置する

重機側方の安全確認位置は、ブームやアームの動きと、掘削面に対する地下埋設物の位置関係を説明しやすい候補です。地下埋設物が重機の進行方向に沿って延びている場合や、掘削溝の側面近くを通る場合は、側方からの表示が情報共有に役立つことがあります。

側方配置で最優先するのは、確認者と端末の両方を接触のおそれがある範囲へ入れないことです。上部旋回体の後端、ブーム、アーム、バケット、アタッチメントの全動作範囲を確認し、さらに不意の走行や地盤変化を考慮した安全上の余裕を設けます。旋回範囲を明確に区画し、その内側へ画面確認のために立ち入る運用は行いません。([厚生労働省][1])

掘削溝の側方に確認地点を設ける場合は、溝の縁からも距離を取ります。必要な離隔は一律の数値で決めず、掘削深さ、土質、法面または山留め、地表荷重、降雨、振動などを考慮した施工計画に従います。砕石や軟弱地盤に三脚を設置すると、脚部の沈下や転倒が起こり得るため、安定した場所を選びます。

側方からAR表示を見ると深さ方向の関係を確認しやすい場合がありますが、画面上の見え方を実際の土被りや標高の確定値として扱ってはいけません。舗装更新、盛土、切土、仮設路盤などで現況地盤高が変わっている場合、設計時の地盤面から算出された深さと現況地盤からの深さは一致しません。現在の地盤高、埋設物の標高、データの高さ基準を照合します。

掘削が想定位置へ近づいた段階で機械掘削から慎重な方法へ切り替える場合も、ARは補助情報の一つです。地下埋設物の位置が不確実な箇所や近接すると判断した箇所では、試掘や人力施工を含む確認方法を施工計画と管理者の指示に従って実施します。([cbr.mlit.go.jp][2])

配置3 重機後方を確認できる退避位置に配置する

重機後方は、運転席から直接見えにくく、後退や旋回による接触事故が起こり得る方向です。そのため、後方配置は重機の真後ろや後退経路上に人や端末を置くことではありません。後退予定線、旋回範囲、作業装置の到達範囲から外れ、立入禁止区画の外側に設けた斜め後方などの退避地点から確認する配置を指します。

後方側から確認する利点があるのは、重機が埋設物に沿って移動し、前方側から線形を見通しにくい場合です。安全な退避地点から重機の進行方向と埋設物データの延長方向を重ねて見ることで、左右方向の関係を説明しやすくなることがあります。ただし、AR画面に集中して重機の接近や周囲の車両に気づかない状態を避けるため、確認は立ち止まって行い、周囲監視を優先します。

後方の確認地点は、作業計画上の走行経路から外し、誰が見ても分かるように区画します。確認者は重機に背を向けず、資材や掘削土に妨げられない退避経路を確保します。重機が移動または後退する前には、固定端末を回収し、誘導者が周囲の安全を確認してから合図を出します。

後方の固定端末を置きっぱなしにすると、作業位置の変更時に後退経路へ残されるおそれがあります。そのため、重機の移動前に端末と固定具の回収を確認項目へ入れます。回収確認ができない場合や、誘導者との連絡が途切れた場合は、重機を動かしません。

重機や鋼製仮設物の近くでは、衛星信号の遮蔽や反射などにより測位状態が変化する場合があります。表示が不安定なときは、単に画面が落ち着くのを待つだけでなく、測位品質の表示、既知点との一致、データの版、端末姿勢を確認します。必要な品質が得られない場合は、ARによる位置判断を中断します。

配置4 掘削溝の反対側に確認用端末を配置する

掘削溝を挟んだ反対側の安全区域から確認すると、重機側から見えにくい掘削面や地下埋設物の位置関係を別の角度で共有できる場合があります。管路が掘削溝と平行に延びる場合や、反対側の法面付近に埋設物が想定される場合は、一方向だけでは分かりにくい関係を補足できます。

この配置を選ぶ条件は、確認者が掘削溝を不用意に横断せず、安全な通路だけで設置地点へ到達できることです。作業開始後に端末を移すため、仮設通路ではない場所をまたいだり、溝の縁へ近づいたりする運用は行いません。設置と回収の時点、使用する通路、重機を停止する条件を事前に決めます。

反対側からは、バケットや掘削土が画面内に入り、AR表示の一部が見えなくなる場合があります。表示が遮られたことを、地下埋設物が存在しないことと解釈してはいけません。端末姿勢、カメラ視野、表示設定によっても見え方が変わるため、安全区域内の別角度や図面、現地マーキングで再確認します。

端末と重機の間に掘削溝がある場合は、直接の声が届きにくくなることがあります。無線または定めた手合図を使用し、停止、徐行、接近、再確認、作業再開の意味を事前に共有します。立入禁止が困難なため誘導者を配置する場合は、担当者を明確にし、オペレーターがその合図に従う体制が必要です。([厚生労働省][1])

三脚などを使う場合も、掘削溝の縁へ近づけすぎません。必要な視野が得られないときは、端末を前へ出すのではなく、安全区域内で高さ、角度、配置地点を見直します。地盤が不安定な場合や退避経路を確保できない場合は、この配置を採用しません。

配置5 オペレーターから見える固定確認地点に配置する

固定確認地点とは、重機の作業範囲と立入禁止範囲の外に設け、誘導者またはAR確認者が立ち止まって情報を確認する拠点です。重要なのは、オペレーターが端末画面を直接読めることではなく、誘導者の位置と合図を確認できることです。

オペレーターが離れた端末画面を注視すると、作業装置、周囲の作業者、運搬車両への注意が低下する可能性があります。AR画面は確認者が読み取り、オペレーターは通常の安全確認と定めた合図に従う役割分担とします。誘導者を置く場合は担当者と合図を明確にし、複数の人が同時に異なる指示を出さないようにします。

固定確認地点では、AR表示、管理図面、現地マーキング、施工手順を停止状態で照合できます。表示に違和感がある場合は、重機を止めたままデータの版、測位品質、座標系、高さ基準、試掘結果などを確認します。都合のよい情報だけを採用して作業を再開しないことが重要です。

重機が掘削区間を進むと、当初は見えていた誘導者がブーム、資材、掘削土、仮囲いの陰に入る場合があります。オペレーターから合図を確認できなくなった場合は作業を停止し、新しい安全地点へ移ります。無線を併用する場合も、現場で定めた誘導方法と停止条件に従います。

固定地点で長時間使用する場合は、電源残量、端末温度、降雨や粉じんへの対応、固定具の緩みを確認します。直射日光下や密閉ケース内では端末の動作が不安定になる場合があるため、機器の使用条件に従います。作業中に充電ケーブルを通路へ引き回す運用は避けます。

配置6 誘導員が携行する移動端末として配置する

作業範囲が短時間で変化する現場では、誘導者またはAR確認者が端末を携行し、安全区域内の確認地点を移る方法が適しています。固定端末を危険区域の近くへ残すより、重機の停止中に確認地点を選び直せることが利点です。

携行端末を使用する場合でも、歩きながら画面を見続けません。段差、掘削溝、資材、ぬかるみ、重機や車両の動きへの注意が不足するためです。安全な場所まで移動してから立ち止まり、周囲と退避経路を確認した上でAR画面を操作します。移動中は画面から視線を外します。

携行端末では、正面、側面、斜め方向など複数の視点から表示を確認できます。ある地点では現地マーキングと一致していても、移動後に差が拡大する場合は、測位品質、方位や姿勢の推定、データ変換、現地基準を再確認します。複数視点の確認は誤差を自動的に解消するものではなく、異常に気づくための照合方法です。

落下防止具を使用する場合は、端末の落下を防げる一方、長いストラップやケーブルが機械、資材、仮設物に引っ掛からないようにします。保持具は保護具や作業着と干渉せず、緊急時の退避を妨げない形状を選びます。落下した端末を拾うために立入禁止範囲へ入ることはせず、重機を停止してから回収します。

AR確認と重機誘導を一人が同時に行うと、画面操作と周囲監視が競合する可能性があります。地下埋設物への接近段階や交通量の多い現場では、AR確認者と誘導者を分けることを検討します。一人で担当する場合は、重機を停止させてからARを確認し、画面操作を終えて周囲を確認した後に合図を出す手順を定めます。

複数端末を使う場合の表示とデータを統一する

重機の前方側、側方、固定確認地点などで複数端末を使用すると、異なる方向から地下埋設物データを確認できます。一方、端末ごとにデータや設定が異なると、同じ埋設物が別の位置や状態で表示され、判断を混乱させる原因になります。

複数端末では、読み込む地下埋設物データの版を統一します。修正前のデータが一台に残り、別の端末では更新後のデータを表示している状態を避けます。ファイル名だけでなく、作成日、更新番号、対象区間、承認状態、更新者を確認できる管理方法を設けます。

座標系、標高基準、表示単位、対象レイヤー、地盤面の扱いもそろえます。一方の端末だけ撤去予定管を表示している、別の端末だけ不確かな埋設物を非表示にしていると、確認者同士の会話が成立しにくくなります。その日の作業で表示する設備と、位置精度が不明な設備の表現方法を事前に決めます。

端末間で表示差が生じた場合は、都合のよい表示を採用して作業を続けません。重機を停止し、測位品質、端末姿勢、既知点、基準点、読み込みデータ、座標変換、現地マーキングとの関係を確認します。表示差が解消しない場合はARによる位置判断を中断し、測量、探査、試掘など別の確認方法へ切り替えます。

複数端末の役割も明確にします。前方側は掘削方向、側方は断面的な関係、携行端末は局所的な再確認というように目的を分けると、結果を整理しやすくなります。ただし、端末ごとに独立した作業指示を出すのではなく、最終的な停止、再開、施工方法の判断を行う責任者を定めます。

AR表示のずれを前提に現地確認を組み合わせる

地下埋設物ARを施工で使用する際は、表示位置にずれが生じる可能性を前提にします。GNSSを利用する方式では、建物、仮囲い、重機、樹木、法面などによる衛星信号の遮蔽や反射で測位品質が変化する場合があります。方位や姿勢の推定方法も端末やシステムによって異なるため、画面の見え方だけで精度を判断しません。

端末を移動した直後や向きを大きく変えた直後に表示が変化した場合は、測位品質の表示、既知点との一致、現地基準物との関係を確認します。表示が時間とともに落ち着いたという理由だけで正常と判断せず、作業で必要な品質条件を満たしているかを確認します。

現地マーキングがある場合はAR表示との一致状況を確認します。ただし、マーキング自体が古い図面や推定位置に基づく場合もあるため、唯一の基準にはしません。埋設物管理者の情報、台帳、設計図面、探査結果、試掘結果、竣工図、測量成果を組み合わせます。施工前の照合と試掘等による確認を優先し、ARはその結果を現場で共有する補助手段として使います。([cbr.mlit.go.jp][2])

位置精度が不明な区間は、一本の細い線として確定的に扱うのではなく、注意範囲として管理します。データの作成方法、測量時期、精度、更新履歴が不明な場合は、その不確かさが確認者へ伝わる表示や運用にします。高精度に見える画面表現が、元データの正確さを保証するわけではありません。

埋設物へ接近する段階では、ARの表示結果にかかわらず、施工計画と埋設物管理者との協議に従って慎重な掘削へ移行します。試掘等で実物を確認した場合は、位置、深さ、規格、周辺地質などを記録し、必要な関係者へ報告します。深さの記録は、地表からの距離だけでなく、標高で管理する方法も公的資料で示されています。([cbr.mlit.go.jp][2])

端末の落下や巻き込みを防ぐ設置方法

端末配置を安全に運用するには、AR表示の品質だけでなく、端末と固定具が新たな障害物や飛来物にならないように管理します。重機の振動、地盤の揺れ、風、接触、ケーブルの引っ掛かりにより、端末や三脚が転倒する可能性があります。

三脚や固定台を使用する場合は、立入禁止範囲、旋回範囲、走行経路、排土範囲、掘削溝の崩壊影響範囲の外に設置します。脚部を十分に開き、安定した地面を選びます。砕石、軟弱地盤、傾斜地、覆工板の継ぎ目などでは、脚が滑ったり沈んだりしないかを確認します。

端末の高さは、画面の見やすさだけで決めません。高くすると風や振動で転倒しやすくなり、低すぎると資材や土砂に隠れて接触されやすくなります。周囲から存在を確認でき、転倒しても作業区域へ入り込まない地点と高さを選びます。

充電用または通信用のケーブルを通路へ横断させません。つまずきや巻き込みを防ぐため、作業開始前に必要な電源を確保し、途中で充電が必要になった場合は重機を停止して安全な場所で行います。ケーブルを重機や仮設物へ沿わせる場合も、機械の可動部や乗降経路へ近づけません。

原則として、重機本体への後付け固定を端末配置の標準案には含めません。機械の所有者、管理責任者、メーカー等の確認を得ずに吸着具や簡易固定具で端末を取り付けると、視界、操作、乗降、非常時の脱出を妨げたり、振動で脱落したりするおそれがあります。車内で端末を使用する場合も、オペレーターが運転または作業装置の操作中にAR画面を操作せず、機械を安全に停止した状態で確認します。

使用後は、端末と固定具を決められた場所へ回収します。作業終了時の確認項目に、端末数、固定具数、回収状態、データ保存状態を含めます。重機の移動前にも固定端末が動線へ残っていないことを確認します。

作業開始前に実施したい配置確認の流れ

作業開始前には、地下埋設物データと端末配置を実際の現場で確認します。事務所内で図面や施工計画を確認しただけでは、重機の死角、資材位置、仮設物、地盤状態、照明、騒音、画面反射を十分に把握できません。重機を停止した状態で、オペレーター、誘導者、AR確認者、施工管理者が配置候補を確認します。

最初に、その日の掘削範囲と地下埋設物の情報を共有します。使用する台帳、図面、ARデータが最新か、対象区間に変更がないか、撤去済み設備や新設設備が反映されているかを確認します。位置が不明確な埋設物は、確定した設備と同じ精度で扱わず、不確かな範囲として共有します。

次に、重機の種類と能力、運行経路、旋回範囲、作業方法、排土方向、運搬車両の動線を確認します。端末配置がこれらと重ならないかを現地で確認し、立入禁止範囲、誘導者の位置、退避経路を明確にします。作業計画に運行経路と作業方法を定め、関係者へ周知することは、車両系建設機械の安全管理の基本です。([厚生労働省][1])

端末を設置または携行した後は、既知点や現地の基準物を使ってAR表示を確認します。掘削区間の複数地点と複数方向で、表示と基準の関係、測位品質、データの版を確認します。一地点だけで一致していても、別の地点で大きくずれる場合は作業を開始しません。

その後、オペレーターから誘導者の位置と合図が確認できるか、誘導者から重機と周囲の動線を確認できるかを確かめます。無線や手合図を使用する場合は、停止、徐行、接近、後退、再確認、作業再開の意味を統一します。合図が見えない、聞こえない、担当者が曖昧な状態では作業を開始しません。

最後に、端末の測位品質、電源残量、固定状態、画面の視認性、データの版、座標系、標高基準を確認します。表示異常、現地マーキングとの不一致、端末間の表示差、連絡途絶などの停止条件と、再確認を行う責任者も決めます。

地下埋設物ARを安全施工につなげる運用ルール

地下埋設物ARを安全施工へつなげるには、端末を配置するだけでなく、誰が表示を確認し、誰が重機を誘導し、誰が掘削の停止と再開を判断するかを定めます。表示を確認する人、誘導する人、施工方法を判断する人が曖昧では、情報があっても安全な行動につながりません。

AR確認者は、表示されたデータと重機、掘削範囲、現地基準の関係を確認し、必要な情報を誘導者または施工管理者へ伝えます。誘導者は重機の動きと周囲の安全を監視し、定めた合図でオペレーターを誘導します。施工管理者や埋設物責任者は、図面、台帳、探査、試掘、現場条件、埋設物管理者との協議を踏まえて施工方法を判断します。

表示が不安定になった場合、現地マーキングや既知点と一致しない場合、複数端末で結果が異なる場合、誘導者との連絡が途切れた場合は、重機を停止します。原因を確認しないまま、経験や感覚だけで掘削を継続しません。誰でも停止を伝えられ、確認が終わるまで再開しない運用を定めます。

端末配置は、朝礼時に決めたまま固定するものではありません。掘削土の増加、重機の移動、車両の入替え、天候、地盤状態の変化によって、安全な確認地点は変わります。作業区間や重機の向きが変わるたびに、確認者の位置、端末配置、立入禁止範囲、退避経路、オペレーターからの視認性を見直します。

作業後には、AR表示と試掘または露出確認した埋設物の実位置に差がなかったかを記録します。差があった場合は、方向と程度、使用データ、測位品質、確認地点、考えられる原因を整理します。実位置を測量して承認済みデータへ反映すれば、以後の施工や維持管理で利用する情報の信頼性を高めやすくなります。

地下埋設物ARは、重機作業の安全を単独で保証するものではありません。立入禁止、誘導者と合図、作業計画、埋設物の事前確認、探査、試掘、目視確認を優先し、その上で位置関係を共有する補助手段として活用します。([厚生労働省][1])

まとめ

重機の死角でも地下埋設物ARを確認するためには、端末の性能だけでなく、どこから確認し、誰が判断し、どのようにオペレーターへ伝えるかを設計することが重要です。重機前方側の安全確認位置、側方の旋回範囲外、後退経路から外れた後方側の退避位置、掘削溝の反対側、オペレーターから誘導者が見える固定確認地点、誘導者または確認者が携行する移動端末という6つの配置を、現場条件に応じて使い分けます。

どの配置でも、確認者と端末を旋回範囲、後退経路、作業装置の到達範囲、排土範囲、掘削溝の崩壊影響範囲へ入れないことが基本です。端末を見やすくするために安全距離を縮めたり、画面を見ながら危険区域を歩いたりしてはいけません。立入禁止が困難で誘導者を配置する場合は、担当者と合図を明確にし、オペレーターがその誘導に従う体制を整えます。([厚生労働省][1])

AR表示には、元データ、座標系、標高基準、測位環境、端末姿勢などに起因する差が生じる可能性があります。台帳、設計図面、埋設物管理者の情報、現地マーキング、探査、試掘、測量、目視確認と組み合わせ、ARだけを根拠に地下埋設物の位置や深さを断定しません。表示に違和感がある場合は重機を停止し、原因を確認してから再開します。

複数端末を使用する場合は、データの版、座標系、標高基準、表示対象、役割を統一します。確認結果を誰がまとめ、誰が掘削の継続を判断するかも明確にします。作業後には実際に確認した埋設物の位置を記録し、承認手続きを経て次の施工に使用するデータへ反映します。

現場で地下埋設物データをAR表示し、安全区域から位置関係を共有する運用を検討する場合は、RTK測位とAR表示に対応するLRTK Phoneの機能、対応端末、使用条件を公式情報で確認した上で、現場の施工計画と安全管理体制に組み込むことが重要です。LRTK Phoneは、スマートフォンと組み合わせてRTK測位やAR施工支援に利用する製品として案内されています。([Lefixea Irtk][3])

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る