樹脂成形品の材料重量を体積計算から求める基本
樹脂成形品の材料重量を見積もるとき、基本になるのが体積計算です。成形品の樹脂部分が占める体積に、使用する樹脂材料の密度を掛ければ、製品一個当たりの理論重量を求められます。設計段階でまだ実物がない場合でも、形状データと材料情報がそろっていれば、おおよその製品重量や必要材料量を算出できます。
基本となる関係は、材料重量が体積と密度の積であるというものです。
材料重量=樹脂部分の体積×樹脂の密度
例えば、樹脂部分の体積が100立方センチメートルで、使用する樹脂の密度が1.05グラム毎立方センチメートルであれば、理論重量は105グラムです。
100×1.05=105グラム
式は単純ですが、実務で正しい材料重量を得るためには、何を体積として扱うのかを明確にしなければなりません。樹脂成形品には、穴、中空部、肉抜き、開口部、切り欠きなど、樹脂が存在しない部分があります。一方で、リブ、ボス、フランジ、補強部、爪、突起など、外形寸法だけでは把握しにくい追加形状もあります。
製品の最大幅、最大長さ、最大高さを掛けただけでは、製品を包む直方体の体積しか求められません。この数値には空洞や隙間まで含まれるため、樹脂そのものの体積とは大きく異なります。特に薄肉のケース、カバー、トレー、容器などは、外形体積に対して実際の樹脂体積が小さくなります。
材料重量を見積もる際は、成形品重量、ショット重量、投入材料重量の違いも理解しておく必要があります。成形品重量は、完成した製品部分だけの重量です。ショット重量は、一回の成形で射出される樹脂の重量であり、コールドランナー方式の多数個取り金型では、複数の成形品に加えてスプルー、ランナー、ゲートなどの重量が含まれます。
投入材料重量は、一定数量の良品を生産するために実際に用意する材料の総量です。成形開始時の条件調整、材料交換時の排出、不良品、検査用サンプル、設備内に残る材料なども考慮します。製品一個の仕様を確認する場合と、生産計画や材料発注を行う場合とでは、求めるべき重量が異なります。
したがって、樹脂成形品の材料重量は、単に体積へ密度を掛けて終わりではありません。最初に計算対象を決め、正味体積を求め、使用材料の密度を確認し、最後に成形工程で発生するロスを加えるという順序で整理することが重要です。
ステップ1 計算対象と形状を整理する
最初のステップでは、どの部分の材料重量を求めるのかを明確にします。樹脂成形品と呼ばれる製品の中には、樹脂以外の部品を含むものがあります。金属製の端子やねじ、補強板、磁石、ガラス、ゴム、シール材などが一体化されている場合、完成品の重量と樹脂材料の重量は一致しません。
インサート成形品では、樹脂が金属部品の周囲へ充填されます。このとき、完成品全体の体積を樹脂体積として扱うと、金属が占める部分まで樹脂であると計算してしまいます。材料使用量を求める場合は、完成品の外形体積からインサート部品が占める体積を差し引くか、三次元形状データから樹脂部分だけを抽出する必要があります。
複数の樹脂材料で構成される成形品も、材料ごとに分けて計算します。硬質樹脂と軟質樹脂を組み合わせた部品、透明部と不透明部を別材料で成形する部品、基材の上に別材料を重ねる部品などでは、それぞれの体積と密度を個別に計算し、最後に重量を合計します。
材料Aの重量=材料Aの体積×材料Aの密度
材料Bの重量=材料Bの体積×材料Bの密度
完成品の樹脂重量=材料Aの重量+材料Bの重量
次に、形状を樹脂が存在する部分と存在しない部分に分けます。樹脂が存在する部分には、外壁、底面、リブ、ボス、フランジ、爪、取付部などがあります。存在しない部分には、中空部、穴、スリット、切り欠き、開口部、肉抜き部などがあります。
手計算を行う場合は、成形品を直方体、円柱、円すい台、球、半球などの基本形状へ分解します。樹脂が追加される部分の体積を加え、空間となる部分の体積を差し引きます。複雑な曲面を含む場合でも、初期見積もりであれば基本形状に近似して概算できます。
例えば、中空の円筒部品であれば、外径を基準にした円柱体積から、内径を基準にした円柱体積を引きます。
円筒部の体積=外側の円柱体積-内側の円柱体積
円柱体積=円周率×半径×半径×高さ
箱形のケースであれば、外側の直方体から内側の空洞を差し引く方法が基本です。ただし、片側が開放されたケースでは、内側の高さを決める際に底面の肉厚だけを差し引きます。閉じた箱のように上下の両面に肉厚がある形状とは、計算方法が異なるため注意が必要です。
また、図面上の寸法が製品寸法なのか、金型寸法なのかも確認します。金型設計では、成形収縮を見込んで製品より大きな寸法が設定されることがあります。材料重量を求める場合は、原則として成形後の製品形状に相当する体積を使用します。ただし、金型内に実際に充填される樹脂量を厳密に評価する場合は、成形条件や収縮挙動も含めた検討が必要です。
多数個取り金型の場合は、製品一個の重量と一回の成形に必要な重量を区別します。一個当たりの正味体積に取り数を掛け、必要に応じてスプルーやランナーの体積を加えます。
一回の製品部分体積=成形品一個の体積×取り数
ショット体積=一回の製品部分体積+樹脂流路の体積
計算対象を曖昧にしたまま作業を始めると、製品一個の重量と一回のショット重量が混同されます。まず、製品単体、金型一回分、生産ロット全体のどの重量を求めるのかを決めることが、正しい体積計算の出発点です。
ステップ2 樹脂部分の正味体積を計算する
計算対象を整理したら、樹脂が実際に存在する部分の正味体積を求めます。正味体積とは、成形品の外形で囲まれた体積から、穴や空洞などを差し引き、リブやボスなどの追加形状を反映した体積です。
単純な直方体の体積は、長さ、幅、高さを掛けて求めます。
直方体の体積=長さ×幅×高さ
円柱の体積は、底面の円の面積へ高さを掛けます。
円柱の体積=円周率×半径の二乗×高さ
板状成形品では、平面面積へ厚さを掛けることで概算できます。
板状部の体積=平面面積×厚さ
ただし、樹脂成形品には抜き勾配、角部の丸み、段差、曲面、局所的な肉厚変化などがあります。初期設計では一定の平均肉厚を使って概算できますが、詳細設計や材料手配では、実際の三次元形状に基づく体積を使用する方が適切です。
中空の箱形部品を手計算する場合は、外形体積から内側空間の体積を差し引きます。外形寸法が長さ200ミリメートル、幅120ミリメートル、高さ50ミリメートルで、全周の肉厚が3ミリメートル、底面の肉厚も3ミリメートルの開放型ケースを考えます。
外形体積は、200×120×50で1200000立方ミリメートルです。内側空間の長さは194ミリメートル、幅は114ミリメートル、高さは47ミリメートルです。内側空間の体積は、194×114×47で1039452立方ミリメートルとなります。
ケース本体の概算体積は、外形体積から内側空間を差し引いて求めます。
1200000-1039452=160548立方ミリメートル
ただし、この計算には角部の丸み、抜き勾配、リブ、ボス、開口部などが含まれていません。これらを個別に加減算することで、正味体積へ近づけます。
リブを直方体として近似する場合は、長さ、厚さ、高さを掛けます。複数のリブが交差する場合は、交差部分を重複して加算しないようにします。例えば、縦方向と横方向のリブをそれぞれ別に計算すると、交差部が二重に数えられます。その場合は、交差部分の体積を一回分差し引きます。
円筒形のボスでは、外側円柱から下穴を差し引きます。ボスの外半径が8ミリメートル、内半径が3ミリメートル、高さが15ミリメートルであれば、外側円柱と内側円柱の差から体積を求められます。
ボスの体積=円周率×外半径の二乗×高さ-円周率×内半径の二乗×高さ
このような手計算は、構造が単純な部品や設計初期の比較に適しています。一方、曲面、傾斜、複雑な補強形状が多い部品では、三次元設計データから体積を取得する方が効率的です。
三次元形状から体積を求める場合は、モデルが閉じた立体として成立していることを確認します。表面だけで構成された開いたモデルや、面同士の間に隙間があるモデルでは、体積を正しく計算できないことがあります。
また、同じ位置に形状が重複していたり、設計補助用のボディが計算対象に含まれていたりすると、体積が過大になる可能性があります。反対に、リブやボスが別のボディとして作られ、体積計算の対象から外れていると、計算値が過小になります。
モデルから得られた体積の単位も確認します。寸法がミリメートルで管理されている三次元データでは、体積が立方ミリメートルで表示されることがあります。樹脂の密度をグラム毎立方センチメートルで使用する場合は、体積を立方センチメートルへ換算しなければなりません。
1立方センチメートルは1000立方ミリメートルです。
したがって、立方ミリメートルから立方センチメートルへ換算するには、1000で割ります。
例えば、設計データから得られた体積が248500立方ミリメートルであれば、248.5立方センチメートルです。
248500÷1000=248.5立方センチメートル
体積計算の根拠を残す際は、計算結果だけではなく、使用した図面や三次元データの版、計算日、対象部品、単位、除外した形状も記録します。設計変更後に古い体積を使用すると、材料重量の見積もりが実際の形状と一致しなくなるためです。
ステップ3 樹脂の密度を掛けて理論重量を求める
正味体積を求めたら、使用する樹脂材料の密度を掛けて理論重量を計算します。体積が同じでも、樹脂の種類や配合が異なれば重量は変わります。
体積を立方センチメートル、密度をグラム毎立方センチメートルで扱う場合、計算結果はグラムになります。
理論重量グラム=正味体積立方センチメートル×密度グラム毎立方センチメートル
正味体積が248.5立方センチメートルで、材料密度が1.12グラム毎立方センチメートルであれば、理論重量は278.32グラムです。
248.5×1.12=278.32グラム
設計データの体積を立方ミリメートルのまま使う場合は、1000で割る換算を式に含めます。
理論重量グラム=体積立方ミリメートル×密度グラム毎立方センチメートル÷1000
248500×1.12÷1000=278.32グラム
密度は、樹脂の一般的な名称だけで決めないことが重要です。同じ樹脂系統であっても、強化繊維、無機充填材、難燃剤、耐衝撃改質剤、導電材、着色剤などの配合によって密度が異なります。
特に、強化繊維や無機充填材を含む材料は、非強化材料より密度が高くなる傾向があります。一般的な代表値で計算すると、実際の材料重量を過小に見積もる可能性があります。量産に使用する材料グレードが決まっている場合は、その材料の仕様資料に記載された密度を確認します。
密度が範囲で示されている場合は、計算目的に応じて使用値を決めます。製品の基準重量を見積もる場合は代表値を使い、設備容量や物流上限を確認する場合は重量が大きくなる側の値を使うなど、目的に合わせた判断が必要です。
密度がキログラム毎立方メートルで示されている場合は、体積側の単位も立方メートルへそろえるか、密度をグラム毎立方センチメートルへ換算します。1000キログラム毎立方メートルは、1グラム毎立方センチメートルに相当します。
例えば、密度が1150キログラム毎立方メートルの場合は、1.15グラム毎立方センチメートルです。
1150÷1000=1.15グラム毎立方センチメートル
理論重量は、設計体積と材料密度を基にした計算値です。実際に成形された製品の重量と完全に一致するとは限りません。成形条件、材料の水分、配合のばらつき、インサート部品のばらつき、計量器の精度などが影響するためです。
また、発泡成形のように内部へ空隙を形成する方法では、材料仕様上の固体密度を製品外形の体積へ掛けても、正しい重量を求められません。発泡後の見掛け密度や、実際の樹脂使用量を基準にする必要があります。
成形品の理論重量を求めた後は、実測重量と比較できるように計算条件を残します。体積、密度、材料グレード、部品の版、計算単位、丸め方法を記録しておけば、差が生じたときに原因を追いやすくなります。
ステップ4 成形ロスを加えて必要材料重量を算出する
製品一個の理論重量が分かっても、その重量へ生産数量を掛けただけでは、実際に必要な材料量を十分に見積もれません。成形工程では、製品にならない樹脂や、生産開始時の調整に使用される樹脂が発生するためです。
射出成形では、金型の方式によってスプルー、ランナー、ゲートなどに樹脂が残ります。コールドランナー方式における一回の成形に必要な材料重量は、成形品の重量へ取り数を掛け、樹脂流路部分の重量を加えて求めます。
ショット重量=成形品一個の理論重量×取り数+スプルー・ランナーなどの重量
例えば、成形品一個の理論重量が90グラム、四個取り金型で、樹脂流路の重量が40グラムであれば、一回のショット重量は400グラムです。
90×4+40=400グラム
樹脂流路の重量は、設計段階では体積と密度から計算できます。量産開始後は、実際に分離したスプルーやランナーを測定して確認できます。流路形状が変更された場合や、ゲート位置が調整された場合は、重量も更新します。
スプルーやランナーを粉砕して再利用する場合でも、その全量を新品材料から差し引けるとは限りません。粉砕時の損失、異物混入を避けるために除外する量、品質基準で定められた再利用比率、熱履歴による物性変化などを考慮します。
生産数量を決める際は、良品率も反映します。必要良品数を良品率で割ると、必要な総成形個数を概算できます。
必要成形個数=必要良品数÷良品率
必要良品数が10000個で、良品率が98パーセントの場合、必要な成形個数は約10205個です。
10000÷0.98=約10204.1個
端数を切り上げると、少なくとも10205個分を成形する計画が必要です。二個取りや四個取りの金型では、必要成形個数を取り数に合わせ、ショット数を整数へ切り上げます。
ただし、良品率だけではすべての材料消費を表せません。成形機の立ち上げ時には、シリンダー内を新しい材料で置き換えるためのパージが必要です。金型温度や成形条件が安定するまで、複数回の試し打ちを行うこともあります。
色替えや材料替えでは、前の材料や色を排出するための材料消費が増えます。生産終了時にも、設備内や材料供給経路に樹脂が残る場合があります。検査用サンプルや破壊試験用サンプルを通常の良品数量とは別に確保することもあります。
これらのロスは、生産数量に比例するものと、立ち上げ一回ごとに発生するものに分けて考えると管理しやすくなります。不良品やランナーは生産数量に応じて増える傾向がありますが、立ち上げ時のパージ量は、一回の生産ロットに対して一定量発生することがあります。
少量生産では、固定的な立ち上げロスが一個当たりの材料使用量を大きくします。大量生産では固定ロスの比率は小さくなりますが、不良率がわずかに変化するだけでも総材料量へ大きく影響します。
材料手配量は、次の考え方で整理できます。
必要材料量=量産ショットに必要な材料量+立ち上げロス+材料交換ロス+検査用材料+予備量
予備量を設定する際は、理由のない大きな余裕率を加えるのではなく、過去の生産実績を確認します。使用量と良品重量の差を、生産ロット、材料、金型、成形機ごとに記録すれば、次回の手配精度を高められます。
吸湿性のある材料では、乾燥前後の重量変化にも注意します。購入時の材料に含まれる水分が乾燥によって減少すると、受入重量と乾燥後に成形機へ投入する材料重量との間に差が生じることがあります。材料管理では、受入時、乾燥後、成形機投入時のどの状態を基準にするかを統一します。
体積計算で間違えやすい単位換算
樹脂成形品の体積計算では、計算式よりも単位の取り違えによって大きな誤差が発生することがあります。長さの単位が10倍違うと、体積は1000倍変わります。ミリメートルとセンチメートルの違いを見落とすと、材料重量の計算結果も1000倍ずれるため注意が必要です。
主に使用する体積単位の関係は次のとおりです。
1立方センチメートル=1000立方ミリメートル
1立方メートル=1000000立方センチメートル
1リットル=1000立方センチメートル
1立方センチメートル=1ミリリットル
立方ミリメートルから立方センチメートルへ換算する場合は1000で割り、立方センチメートルから立方ミリメートルへ換算する場合は1000を掛けます。立方センチメートルからリットルへ換算する場合も1000で割ります。
例えば、体積が75600立方ミリメートルであれば、75.6立方センチメートルです。
75600÷1000=75.6立方センチメートル
この体積に密度1.08グラム毎立方センチメートルを掛けると、理論重量は81.648グラムです。
75.6×1.08=81.648グラム
体積が立方ミリメートル、密度がグラム毎立方センチメートルの場合は、次の一つの式にまとめられます。
重量グラム=体積立方ミリメートル×密度グラム毎立方センチメートル÷1000
密度の単位にも注意が必要です。グラム毎立方センチメートルとキログラム毎リットルは、数値上同じです。1.1グラム毎立方センチメートルは、1.1キログラム毎リットルに相当します。
一方、キログラム毎立方メートルからグラム毎立方センチメートルへ換算する場合は、数値を1000で割ります。密度1200キログラム毎立方メートルは、1.2グラム毎立方センチメートルです。
計算表を作成するときは、入力欄に単位を明記します。体積、密度、重量とだけ書くのではなく、体積・立方ミリメートル、密度・グラム毎立方センチメートル、重量・グラムのように示すと、入力者が変わっても単位を確認しやすくなります。
寸法から体積を計算する場合は、長さ、幅、高さをすべて同じ単位へそろえます。長さと幅がミリメートル、高さだけがセンチメートルという状態で掛け算をすると、正しい体積になりません。図面の基本単位だけでなく、拡大詳細図や注記に別単位が使われていないかも確認します。
丸め方も事前に決めます。途中計算で体積や密度を早く丸めると、最終重量の誤差が大きくなる場合があります。途中では十分な桁数を維持し、最終結果を表示するときに必要な桁へ丸める方法が適しています。
製品重量の表示では四捨五入を使い、材料発注量では不足を避けるために切り上げるなど、用途によって丸め方を変えることもあります。どの段階でどの方法を使用したかを記録しておけば、計算者による結果の違いを減らせます。
樹脂成形品の材料重量を求める計算例
ここでは、樹脂成形品一個の体積から、量産に必要な材料重量まで順番に計算します。
三次元形状から取得した成形品一個の正味体積を96500立方ミリメートル、使用する樹脂の密度を1.12グラム毎立方センチメートルとします。金型は二個取りで、スプルーとランナーの合計体積は22000立方ミリメートルとします。
最初に、成形品一個の体積を立方センチメートルへ換算します。
96500÷1000=96.5立方センチメートル
次に、密度を掛けて成形品一個の理論重量を求めます。
96.5×1.12=108.08グラム
成形品一個の理論重量は108.08グラムです。二個取りなので、一回のショットに含まれる製品部分の重量は216.16グラムです。
108.08×2=216.16グラム
次に、スプルーとランナーの体積を立方センチメートルへ換算します。
22000÷1000=22立方センチメートル
樹脂流路部分の重量は、22立方センチメートルへ密度1.12を掛けて24.64グラムです。
22×1.12=24.64グラム
したがって、一回のショット重量は240.8グラムです。
216.16+24.64=240.8グラム
必要良品数を20000個、良品率を98パーセントとします。良品20000個を確保するために必要な総成形個数は、20000を0.98で割って求めます。
20000÷0.98=約20408.2個
二個取り金型なので、必要ショット数は約10204.1回です。端数のショットは実行できないため、10205回へ切り上げます。
一回のショット重量が240.8グラムであるため、量産ショットに必要な理論材料量は次のとおりです。
240.8×10205=2457364グラム
キログラムへ換算すると、2457.364キログラムです。
ただし、この値には立ち上げ時のパージ、条件調整、色替え、材料供給経路への残留、検査用サンプルなどが含まれていません。実際の発注量は、これらの量を追加して決定します。
仮に、立ち上げと条件調整に25キログラム、検査用と予備分に20キログラムを見込む場合、総必要量は2502.364キログラムです。
2457.364+25+20=2502.364キログラム
材料の梱包単位に合わせて発注する場合は、この数値を必要な単位へ切り上げます。ただし、過剰な在庫を避けるため、未使用材料の保管条件、次回生産での使用予定、材料ごとの保管期限や品質管理条件なども考慮します。
このように、製品一個の体積から計算を始め、製品重量、ショット重量、必要ショット数、量産材料量、固定ロスの順に積み上げると、材料重量の根拠が明確になります。
体積計算と実測重量が一致しない原因
設計体積と密度から求めた理論重量が、実際の成形品重量と一致しないことがあります。小さな差は計算条件や測定ばらつきによって生じますが、大きな差がある場合は原因を確認する必要があります。
最初に確認するのは、使用した設計データの版です。肉厚変更、リブ追加、穴径変更などが行われた後も古い体積を使用していると、理論重量と実測重量が一致しません。金型製作中に形状が調整され、製品設計データへ反映されていない場合もあります。
三次元モデルの体積計算対象も確認します。非表示の補助形状や別部品が含まれていると、体積が過大になります。リブやボスが別ボディのまま計算対象から外れている場合は、体積が過小になります。
インサート成形品では、完成品をそのまま計量すると金属や他材料の重量も含まれます。樹脂部分の理論重量と比較する際は、インサート部品の重量を差し引きます。インサート自体に重量ばらつきがある場合は、その範囲も考慮します。
密度の選択ミスも代表的な原因です。樹脂系統が同じでも、充填材の種類や割合、難燃仕様、耐衝撃仕様などによって密度が異なります。設計初期の代表密度を量産計算へ使い続けていないか確認します。
材料に含まれる水分も重量に影響します。吸湿した成形品や、成形直後と一定時間経過後の製品では、測定重量が変化する場合があります。比較条件をそろえるため、測定時期、保管環境、温度、湿度をできるだけ統一します。
成形条件によっても重量は変わります。保圧、保圧時間、樹脂温度、金型温度、射出速度などが変わると、金型内へ充填される樹脂量や収縮状態に差が生じることがあります。条件設定が安定する前の製品と、量産安定後の製品を同じ基準として扱わないことが重要です。
成形収縮によって寸法が小さくなっても、収縮そのものによって樹脂の質量が失われるわけではありません。しかし、保圧や充填量が異なれば、最終的な重量は変わります。理論重量との差を単に収縮率だけで説明せず、充填状態や材料密度も含めて確認します。
発泡成形品では、内部に空隙が形成されるため、外形体積へ材料の固体密度を掛けても実測重量とは一致しません。中空部を形成する成形方法でも同様に、外形で囲まれた体積と実際の樹脂体積を区別する必要があります。
測定側では、計量器のゼロ点、校正状態、分解能を確認します。小さな成形品を測定する場合、計量器の表示単位が粗いと、実際のばらつきを正しく評価できません。成形品に油、離型剤、水滴、切削粉などが付着している場合も、その重量が加算されます。
比較では一個だけを測るのではなく、複数個を測定します。多数個取り金型では、キャビティごとに重量を記録すると、特定の位置だけ充填状態が異なっていないか確認できます。平均値だけでなく、最大値、最小値、ばらつきも確認することが重要です。
成形方法によって変わる材料重量の考え方
樹脂成形品の体積と材料重量の関係は、採用する成形方法によって異なります。中実の射出成形品であれば、正味体積と密度から比較的分かりやすく重量を求められます。一方、内部空間や発泡構造を形成する方法では、外形体積をそのまま使用できません。
射出成形では、金型内に形成された製品形状へ樹脂が充填されます。製品部分の体積に加えて、コールドランナー方式ではスプルーやランナーも一回当たりの材料消費へ含まれます。多数個取りでは、各キャビティの製品体積と、成形のたびに取り出される流路体積を合計します。
押出成形では、一定断面の形状が連続して作られます。この場合は、断面積へ長さを掛けて体積を求めます。
押出成形品の体積=断面積×長さ
中空パイプであれば、外側断面積から内側断面積を差し引きます。長さ当たりの重量を求めておけば、生産長さや切断数量から必要材料量を計算できます。
シートやフィルムでは、幅、長さ、厚さを掛けて体積を求めます。ただし、厚さのばらつきが材料重量に影響するため、公称厚さだけでなく実測値を確認することがあります。
ブロー成形や回転成形などの中空成形では、製品の外形体積に内部空間が含まれます。材料重量を求める場合は、外側形状から内側形状を差し引くか、表面積と平均肉厚から樹脂体積を推定します。肉厚が均一でない製品では、複数箇所の測定結果を用いる必要があります。
発泡成形では、発泡倍率や成形後の見掛け密度を考慮します。材料本来の固体密度を製品外形の体積へ掛けると、重量を大きく見積もる可能性があります。発泡前の材料投入量、成形後の実測重量、見掛け密度のいずれを基準にするかを明確にします。
熱硬化性材料や反応によって硬化する材料では、混合比や反応時の揮発、充填材の沈降なども重量へ影響することがあります。単純な体積と代表密度だけで判断せず、採用する材料と工程に合わせて補正します。
どの成形方法であっても、製品外形の体積、樹脂が占める正味体積、投入材料量を区別する考え方は共通しています。外形だけを測って材料重量を求めるのではなく、内部構造と工程上の材料消費を確認することが重要です。
設計段階で材料重量を減らす際の注意点
体積計算は、材料重量の見積もりだけでなく、軽量化案を比較するためにも利用できます。設計変更前後の体積差へ密度を掛ければ、一個当たりの重量削減量を求められます。
例えば、形状変更によって樹脂体積を8立方センチメートル削減し、材料密度が1.1グラム毎立方センチメートルであれば、理論上の重量削減量は8.8グラムです。
8×1.1=8.8グラム
大量生産では、一個当たり数グラムの削減でも、全体の材料使用量に大きな差が生じます。しかし、重量を減らすために一律に肉厚を薄くすると、強度不足、変形、反り、充填不良などの問題が発生する可能性があります。
樹脂成形品では、できるだけ均一な肉厚に近づけることが一般的な基本です。局所的な厚肉部は、冷却時間の増加やヒケの原因になる場合があります。一方、薄肉部が長く続くと、樹脂が末端まで充填されにくくなる可能性があります。
軽量化では、荷重を受ける位置と変形しやすい方向を確認し、必要な部分へリブや曲面を配置します。単純に材料を削るのではなく、形状によって剛性を確保する考え方が必要です。
リブやボスを追加すると、その分だけ体積と重量は増えます。しかし、全体肉厚を薄くしながら必要な剛性を確保できる場合は、製品全体として軽量化できる可能性があります。変更前後の正味体積を計算し、実際に重量が減っているかを確認します。
材料を密度の低い種類へ変更する方法もあります。同じ体積であれば、密度が低い材料ほど製品重量は軽くなります。ただし、強度、耐熱性、耐候性、耐薬品性、難燃性、寸法安定性、成形性などの要求を満たさなければなりません。
重量削減だけで材料を選ぶと、製品寿命や品質に影響する可能性があります。材料変更では、密度だけでなく、設計条件、使用環境、成形条件を含めて評価します。
また、成形品本体を軽くしても、スプルーやランナーの重量が変わらなければ、投入材料全体に占める製品外材料の割合が高くなります。製品体積だけでなく、金型の流路構成や取り数も含めて改善すると、総材料使用量を減らしやすくなります。
軽量化によって成形不良率が上昇すれば、良品一個を得るための材料使用量が増えることもあります。設計上の理論重量だけで判断せず、試作後の歩留まりや工程安定性まで確認することが重要です。
量産時の材料手配に体積計算を活用する方法
体積計算から求めた理論重量は、量産時の材料発注、在庫管理、原価管理に活用できます。材料手配の精度を高めるには、理論値と実績値を継続的に比較することが重要です。
設計段階では、成形品体積と密度から一個当たりの重量を求めます。金型設計が進んだら、取り数と樹脂流路を含めてショット重量を更新します。試作後は、成形品とランナーを実測し、計算値との差を確認します。
量産時には、一回のショット重量へ計画ショット数を掛け、立ち上げロスや材料交換ロスを加えます。過去に同じ金型や材料を使用した実績があれば、理論値に実績を加味して補正できます。
例えば、理論上の総材料量が1000キログラムであっても、過去の生産で平均3パーセントの追加使用が発生している場合、その原因を確認します。不良、パージ、粉砕ロスなどの内訳が妥当であれば、次回の手配へ反映します。
ただし、実績に余裕を上乗せし続けるだけでは、過剰在庫が増える可能性があります。計算値と払出量の差を毎回確認し、ロスの削減可能性も検討します。
材料使用量の記録では、良品重量、ランナー重量、不良品重量、パージ重量、設備内残留、未使用返却量を分けると、差の原因を把握しやすくなります。
材料の粉砕再利用を行う場合は、新品材料と再生材料の使用量を分けて管理します。再生材の使用率を一定に保つためには、発生量、保管量、投入量を記録します。
在庫管理では、帳簿上の重量と実在庫の差も確認します。材料の移し替え、乾燥、こぼれ、集じん設備への回収などによって差が生じることがあります。理論材料量を基準として持つことで、異常な差を早期に発見しやすくなります。
材料原価を計算する際は、製品一個の正味重量だけでなく、良品一個を得るために実際に消費した材料重量を使用することが重要です。ランナーを再利用できるか、不良率がどの程度かによって、実質的な材料使用量は変わります。
体積計算は設計部門だけの作業ではありません。設計、金型、製造、調達、品質管理が同じ計算条件を共有することで、重量や材料量に関する認識の違いを減らせます。
現物から体積と材料重量を推定する方法
設計データがない既存の樹脂成形品では、現物から体積や材料重量を推定することがあります。最も簡単な方法は、成形品の重量を測定し、使用樹脂の密度で割って樹脂体積を逆算する方法です。
樹脂体積=樹脂重量÷樹脂密度
成形品の樹脂部分が132グラムで、材料密度が1.1グラム毎立方センチメートルであれば、樹脂体積は120立方センチメートルです。
132÷1.1=120立方センチメートル
ただし、完成品に金属部品、塗装、接着剤、シール材などが含まれる場合は、それらの重量を差し引かなければなりません。使用材料が不明な場合は、密度も確定できないため、逆算結果は推定値として扱います。
液体置換によって体積を測る方法もあります。液体へ物体を沈めたときに増加した液体体積や排除した液体量から、物体が液中で占める体積を求めます。ただし、この方法で得られる値が樹脂材料そのものの体積になるとは限りません。
密閉された中空成形品では、内部空間を含む見掛けの外形体積が測定されます。そのため、樹脂材料の体積とは一致しません。開放された中空部品でも、気泡が残ったり、液体が内部へ十分に入らなかったりすると誤差が生じます。
液体に浮く材料では、完全に沈めるための治具が必要です。治具が排除する体積を別に測定して差し引きます。材料が液体を吸収したり、膨潤したりする場合は、この方法が適さないことがあります。
外形寸法を測り、基本形状へ分割して体積を求める方法もあります。ノギスや高さ測定器などで主要寸法を取得し、直方体や円柱として近似します。中空部品では肉厚も測ります。
複雑な大型成形品では、表面形状を点群として取得し、外形体積を算出する方法があります。ただし、外側から取得した点群だけでは内面形状や肉厚を把握できません。材料重量を求めるには、内面の測定、設計図、切断サンプル、肉厚測定などを組み合わせます。
現場に設置された大型カバーや容器などの外形を記録する場合は、LRTK Phoneを利用して位置情報付きの点群や測定記録を取得する方法も考えられます。ただし、取得した外表面だけで樹脂材料重量を断定せず、内部構造や肉厚情報を確認して体積計算へ反映することが重要です。
体積計算の精度を高める管理方法
樹脂成形品の体積計算を継続的に活用するには、計算式だけでなく、数値の管理方法を整える必要があります。同じ部品でも、設計変更、材料変更、金型修正によって体積や重量が変わります。
まず、計算に使用した部品番号と改訂番号を記録します。三次元データや図面のファイル名だけでは、どの版を使ったのか分からなくなる場合があります。計算日と担当者も残しておくと、後から確認しやすくなります。
体積の数値には、必ず単位を付けます。立方ミリメートルなのか立方センチメートルなのかを省略しないことが重要です。密度にも単位と材料グレードを記載します。
計算結果は、成形品一個の正味重量、金型一回分の製品重量、流路を含むショット重量、ロット全体の必要材料量に分けて管理します。単に材料重量とだけ記録すると、どの段階の重量か分からなくなるためです。
試作後は、理論重量と実測重量を並べて記録します。差がある場合は、差の割合だけでなく、考えられる理由も記載します。金型修正による形状変更や材料グレード変更があれば、体積と密度を更新します。
多数個取り金型では、キャビティ別の重量を測定します。全体平均が基準内でも、特定のキャビティだけ重量が異なる可能性があります。キャビティ番号と重量を対応させることで、流動バランスやゲート状態の変化を確認できます。
量産中は、一定間隔で成形品重量を測定すると、工程変化の参考になります。ただし、重量が基準内であることだけで、寸法や強度が保証されるわけではありません。重量管理は、外観検査や寸法測定などと組み合わせて使用します。
理論材料量と実使用量の差も定期的に集計します。差が大きい場合は、不良率、パージ回数、色替え回数、粉砕損失、在庫計量などを確認します。この記録を蓄積することで、次回の材料手配量をより正確に見積もれます。
体積計算の精度は、複雑な式を使うことだけでは高まりません。対象範囲、データの版、単位、材料密度、工程ロスを同じ基準で管理することが、実務上の精度向上につながります。
まとめ
樹脂成形品の材料重量は、樹脂部分の正味体積へ使用材料の密度を掛けることで求められます。ただし、外形寸法を単純に掛けた体積には、穴、中空部、開口部なども含まれるため、そのまま材料重量の計算には使用できません。
ステップ1では、製品一個、金型一回分、生産ロット全体のどの重量を求めるのかを決め、樹脂以外の部品や複数材料を区別します。ステップ2では、外形体積から空洞や穴を差し引き、リブやボスを加えて正味体積を求めます。ステップ3では、実際に使用する材料グレードの密度を掛け、理論重量を算出します。ステップ4では、スプルー、ランナー、不良品、パージ、条件調整などの成形ロスを加え、実際に必要な材料重量へ展開します。
計算時は、立方ミリメートルと立方センチメートルの換算に注意が必要です。立方ミリメートルから立方センチメートルへ換算するときは1000で割ります。体積の単位と密度の単位をそろえなければ、計算結果が大きくずれます。
設計段階では理論重量を使って材料使用量や軽量化案を比較し、試作後は実測重量との差を確認します。量産では、理論ショット重量と実際の材料払出量を比較し、歩留まりやパージ量を次回の計画へ反映します。
複雑な大型成形品や現場に設置された対象物の外形を把握する場合は、点群計測などを利用して形状を記録する方法もあります。現場で位置情報付きの形状や寸法を取得し、設計資料や肉厚情報と組み合わせて体積を検討する用途では、LRTK Phoneの活用を検討できます。