地層ごとの体積計算が必要になる場面
造成、道路、基礎、地下構造物、管路、擁壁などの施工では、掘削する範囲のすべてが同じ土質とは限りません。地表付近は盛土、その下は粘性土、さらに深い位置には砂質土や礫質土が分布していることがあります。岩盤が途中から現れる現場や、軟弱層が局所的に入り込んでいる現場もあります。
このような場所で掘削全体の体積だけを計算しても、施工計画に必要な情報は十分に得られません。土質によって掘削方法、使用する機械、掘削速度、仮置き方法、運搬先、再利用の可否などが変わるためです。掘削土を現場内で流用する場合も、すべての土を同じ材料として扱えるとは限りません。
そこで必要になるのが、地層ごとの体積計算です。計画掘削範囲を地層境界で分割し、粘性土、砂質土、礫質土、盛土、岩盤などの区分ごとに数量を求めます。土質別数量を把握できれば、施工方法の検討、土運搬計画、仮置き場の配置、工程調整、施工中の数量管理などへ活用できます。
ただし、地層の体積は単純な直方体の公式だけでは求められません。地層境界は通常、平らでも一定の傾きでもなく、場所によって深さや厚さが変化します。限られたボーリング地点や露頭の情報から、地点間の境界形状を推定しなければならない場合もあります。
地層ごとの体積計算では、計算式そのものよりも、どの資料から境界を判断し、どの範囲へ補間し、どの基準で土質を分類したかが重要です。計算結果だけでなく、境界設定の根拠と不確実性を残すことが、実務で利用できる数量集計につながります。
土質別数量を集計する前に整理したい基本事項
地層ごとの体積計算を始める前に、何のための数量なのかを確認します。同じ現場でも、設計段階の概算、施工計画、発生土管理、出来形確認では、必要な区分や精度が異なるためです。
設計初期の概算であれば、限られた調査結果から大きな土質区分を設定し、数量の傾向を把握する方法が考えられます。一方、施工方法や搬出計画へ直接反映する場合は、地層境界の変化、計測範囲、調査地点の密度をより慎重に確認する必要があります。
次に、地層と土質区分の違いを整理します。地層は、堆積時期や成因、地質的な連続性などを基準として区分されることがあります。一方、施工数量の集計では、掘削性、粒度、含水状態、再利用条件などを踏まえた土質区分が必要になることがあります。
そのため、地質調査資料に記載された地層名を、そのまま施工数量の分類名として使えるとは限りません。複数の地層を同じ施工区分へまとめる場合もあれば、同じ地層を状態によって分ける場合もあります。数量を計算する前に、地層区分と集計区分の対応関係を決めておくことが大切です。
また、体積をどの状態で表すかも決めます。地中に存在する状態の体積と、掘削後にほぐれた状態の体積、運搬後に締め固めた状態の体積は同じではありません。地層モデルから直接求められるのは、一般に地中に存在する形状を基にした幾何学的な体積です。
掘削後の運搬量や仮置き量へ換算するときは、土質や含水状態、掘削方法などを踏まえた別の検討が必要です。体積計算の段階で安易に一定の倍率を掛けるのではなく、元の体積と換算後の数量を区別して管理します。
計算に使用する座標系、標高基準、単位も最初に統一します。平面座標が異なるデータや、標高の基準が一致していない資料を重ねると、地層境界の位置がずれます。長さをメートル、面積を平方メートル、体積を立方メートルで扱うなど、単位の統一も欠かせません。
ステップ1 計算目的と対象範囲を明確にする
最初のステップは、体積計算の対象範囲を明確にすることです。地層モデルを広い範囲で作成しても、実際に掘削しない部分まで土質別数量へ含めてしまうと、施工数量として利用できません。
まず、平面的な計算範囲を決めます。道路工事であれば施工延長と施工幅、造成工事であれば工区境界、基礎工事であれば掘削外周などを確認します。仮設掘削や法面部分を含める場合は、設計上の構造物外形だけでなく、実際の掘削範囲を反映させます。
次に、鉛直方向の範囲を決めます。地表面から計画掘削面までを対象とするのか、一定の標高までを対象とするのか、構造物の底面形状に沿って計算するのかによって結果が変わります。段差のある掘削底面や勾配のある計画面では、単一の深さを使わず、三次元の計画面として扱う必要があります。
対象範囲には、除外部分も設定します。既設構造物、埋設物、残置する地山、掘削しない島状部分などがあれば、計算範囲から控除します。地層モデルが正しくても、掘削範囲の切り出しが誤っていれば、土質別数量は正しくなりません。
計算境界を設定するときは、図面上の線だけでなく、どの面積を数量に含めるかを確認します。中心線から一定幅とするのか、法肩や法尻を境界とするのか、施工区画線を使うのかを統一します。隣接工区を別々に計算する場合は、重複や隙間が生じないように境界を共有させます。
目的に応じた集計単位も決めておきます。現場全体の土質別数量だけでよい場合もあれば、工区別、測点区間別、施工日別、搬出先別などに分ける場合もあります。後から細分化しようとすると再計算が必要になるため、必要な集計単位を計算前に整理します。
この段階では、対象範囲を示した平面図、計画地表面、計画掘削面、除外部分、集計区画を一つの基準で管理できる状態をつくります。範囲設定を曖昧にしたまま地層の体積計算へ進まないことが、数量の重複や欠落を防ぐ基本です。
ステップ2 地層境界を判断する資料を集める
次のステップでは、地層の上面と下面を判断するための資料を集めます。地層境界は地表から直接見えないことが多いため、複数の調査結果を組み合わせて推定します。
代表的な資料には、ボーリング柱状図、土質試験結果、試掘記録、露頭観察、掘削時の写真、既往の地質断面図などがあります。地表面の形状を把握するためには、測量成果や点群データも利用できます。施工中であれば、掘削面に現れた地層境界の位置を追加情報として記録できます。
ボーリング柱状図を使うときは、孔口標高と各地層境界の深度を確認します。地層境界の標高は、孔口標高から境界深度を差し引いて求めます。深度だけを平面図へ記載すると、地表面に高低差がある場所では境界面を正しく表せません。
たとえば、地表から三メートルの位置に同じ地層境界が記録されていても、孔口標高が異なれば境界標高も異なります。地層面を三次元化するときは、平面位置と境界標高を一組の点として扱います。
地層名の表記も統一します。資料ごとに「砂」「砂質土」「細砂」「砂混じり土」などの表現が使われている場合、どの区分へまとめるかを決めます。表記だけで機械的に分類せず、粒度、混入物、硬さ、含水状態、試験結果なども確認することが重要です。
地層境界が明確でない記録もあります。境界が徐々に変化している場合や、観察者によって判断が異なる場合は、一つの深度を絶対的な境界として扱わない方が安全です。推定値を採用した地点には、その根拠や判断方法を記録します。
また、調査地点の位置精度も確認します。ボーリング位置が概略図から読み取られたものなのか、測量された座標を持つものなのかで信頼性が異なります。孔口標高の測定方法や基準も確認し、異なる基準のデータをそのまま混在させないようにします。
資料の年代にも注意が必要です。過去の調査後に盛土、切土、埋戻し、地盤改良などが行われている場合、現在の地表面や地層状態が変わっている可能性があります。古い資料は有効な手掛かりになりますが、現況との対応を確認して使用します。
収集した資料は、地点名、座標、孔口標高、地層境界標高、土質区分、調査日、資料名、判断上の注意点を関連付けて整理します。この一覧が地層面作成の基礎データとなり、後の検証にも使われます。
ステップ3 地層の上面と下面を三次元化する
地層ごとの体積を計算するには、各地層の上面と下面を三次元の面として表現します。粘性土層の体積を求める場合、粘性土層の上端面と下端面を作り、その間に挟まれた空間を計算する考え方です。
最上部の地層では、現況地表面が上面になることがあります。施工数量を求める場合は、現況地表面だけでなく、掘削計画面との関係も必要です。対象地層が計画掘削面より深い位置にある場合、その部分は掘削数量に含まれません。
地層境界面は、ボーリング地点などで得られた境界標高を基に作成します。ただし、調査地点間の境界形状は直接確認できないため、何らかの補間が必要です。補間とは、既知の点から未知の位置の標高を推定する処理です。
地層面を作る際は、地質的な連続性を考慮します。単に近い点を直線で結ぶだけでは、実際には存在しない急な隆起やくぼみが生じることがあります。反対に、地層の急変部を過度になだらかにすると、局所的な厚さを見落とします。
谷地形、旧河道、盛土地盤、切盛境界などでは、地層面の変化が大きくなることがあります。地形や土地利用履歴と整合しない補間結果が出た場合は、入力点、境界区分、補間範囲を見直します。
地層の消滅にも対応が必要です。ある地点では粘性土層が確認され、別の地点では存在しない場合、途中で層厚がゼロになる境界を設定する必要があります。存在しない地層を計算範囲全体へ延長すると、実際より大きな体積が算出されます。
反対に、レンズ状の地層や局所的な挟み層は、少数の調査地点だけでは分布範囲を確定できないことがあります。この場合は、確定している範囲と推定している範囲を分けて扱います。数量を一つの値だけで示すのではなく、地層モデルの前提を記録することが重要です。
上面と下面が交差していないかも確認します。本来、下面にあるはずの境界が上面より高くなると、層厚が負になる領域が発生します。これは地層区分の対応違い、入力標高の誤り、補間の不整合などが原因です。
負の層厚を自動的にゼロへ置き換えるだけでは、誤りを見逃す可能性があります。まず交差箇所を抽出し、入力点や境界面のつながりを確認します。地層が実際に消滅する位置であれば、層厚が自然にゼロへ近づくようにモデルを修正します。
作成した面は、平面表示だけでなく縦断面や横断面でも確認します。断面にすると、地層の急な折れ、異常な隆起、調査地点とのずれを把握しやすくなります。複数方向の断面を確認し、元資料と地層モデルの整合を確かめます。
ステップ4 地層ごとの体積を計算する
地層の上面と下面が作成できたら、その間の空間を体積として計算します。基本的な考え方は、対象範囲を小さな区画に分け、各区画の面積と地層厚を掛け合わせて合計する方法です。
小区画の面積をA、地層厚をtとすると、その区画の体積はおおむねA×tで表せます。地層厚は上面標高から下面標高を差し引いて求めます。区画を細かくするほど地層面の変化を反映しやすくなりますが、入力データの精度以上に細かくしても、実際の地層形状が明らかになるわけではありません。
三角形で構成された面を使う方法では、上面と下面の間を立体として閉じ、体積を求めます。格子状の面を使う方法では、各セルの地層厚を計算して合計します。一定間隔の断面がある場合は、隣接断面の面積と区間長から体積を近似する方法もあります。
どの方法を使う場合でも、計算範囲を一致させることが重要です。上面、下面、掘削範囲の外周が異なると、端部に隙間や余分な体積が生じます。地層面が対象範囲より広い場合は、掘削外周で切り取ってから計算します。
施工数量を求める場合は、地層全体の体積ではなく、計画掘削範囲と重なる部分だけを抽出します。地表面、計画掘削面、地層上面、地層下面の位置関係を判定し、実際に掘削される厚さを求めます。
たとえば、ある地層が地表から深い位置にあり、計画掘削面がその上で止まる場合、その地層の掘削体積はゼロです。計画掘削面が地層の途中を横切る場合は、地層の上面から計画面までの部分だけが対象になります。計画面が地層下面より深い場合は、その区画に存在する地層全体が対象です。
既設構造物や残置部分がある場合は、その立体を地層体積から控除します。単純な平面面積の控除では、構造物が複数地層を横断している状態を正確に反映できないことがあります。構造物の底面標高や立体形状を使い、各地層と重なる部分を個別に控除します。
工区別に計算する場合は、最初に全体数量を計算し、その後で工区へ分配する方法と、工区ごとに立体を切り分けて計算する方法があります。境界付近の重複を防ぐには、共通の区画線で地層モデルを分割してから計算する方が確認しやすい場合があります。
計算後は、すべての地層体積を合計します。その合計が掘削範囲全体の体積とおおむね一致するかを確認します。差が大きい場合は、地層間の隙間、重複、未分類領域、対象範囲の不一致などが考えられます。
ステップ5 土質区分ごとに数量を集計する
地層ごとの体積が求められたら、施工や土量管理に使う土質区分へ集計します。地質モデル上の地層名と、施工数量として必要な分類を対応させる工程です。
たとえば、複数の砂質系地層を一つの砂質土区分へまとめる場合があります。一方、同じ地層名であっても、地盤改良部分、転石の多い部分、含水状態が著しく異なる部分などを分けることがあります。
分類するときは、名称だけでなく、施工上の扱いを基準にします。掘削方法、積込み方法、運搬、仮置き、改良、再利用などの条件が同じであれば、同じ集計区分へまとめやすくなります。条件が異なる場合は、数量表でも分けて管理した方が施工計画へ反映しやすくなります。
未判定の領域を無理に既存区分へ割り当てないことも重要です。調査地点が少なく、土質を判断できない範囲は「推定区分」や「未確認範囲」として区別します。確定数量と推定数量を混在させると、利用者が数量の信頼度を判断できません。
数量の集計単位には、土質区分のほか、工区、測点、施工段階、掘削深度などがあります。全体数量だけでなく、施工順序に沿った区分で集計すると、機械配置や搬出計画へつなげやすくなります。
たとえば、同じ粘性土でも、第一工区と第二工区で施工時期が異なる場合は別々に数量を示します。深度によって掘削方法が変わる現場では、標高帯や掘削段階ごとに分ける方法もあります。
集計時には、元の地層体積を保持します。土質区分へまとめた後も、どの地層から何立方メートルが加算されたかを追跡できる状態にします。元データとの対応が残っていれば、分類基準が変わったときも再集計しやすくなります。
また、計算値の丸め方を統一します。各小区画や各地層で丸めてから合計すると、全体数量との間に差が生じることがあります。内部計算では十分な桁を保持し、最終的な表示段階で所定の単位へ丸める方法が基本です。
土質別数量を示す際は、対象範囲、基準日、使用した地表面、計画面、地層モデルの版、体積の状態を合わせて記載します。数字だけを切り離すと、設計変更や追加調査後の数量と区別できなくなるためです。
ステップ6 計算結果を検証して記録する
最後のステップは、計算結果の検証と記録です。地層モデルから体積が算出できても、その値が妥当であるとは限りません。入力資料、地層面、掘削範囲、集計方法の各段階を確認します。
まず、地層ごとの体積合計と、掘削範囲全体の体積を比較します。すべての掘削部分がいずれかの土質区分へ割り当てられていれば、両者はおおむね一致します。合計が小さい場合は未分類の隙間、合計が大きい場合は地層の重複が疑われます。
次に、代表断面で面積を確認します。地層モデルから作成した断面と、ボーリング柱状図や既往断面図を重ね、境界位置に不自然なずれがないかを見ます。体積の数値だけでは見つけにくい異常も、断面表示では発見しやすくなります。
調査地点での再現性も確認します。作成した地層面が、入力した境界標高を適切に通過しているかを確認します。補間条件によっては、入力点を厳密に通らない面が作成されることもあるため、採用した方法の性質を把握しておきます。
隣接する地層の厚さも確認します。極端に薄い領域、急激に厚くなる領域、島状に残る領域を抽出し、地質的に説明できる形状かを検討します。計算上は成立していても、入力ミスによる異常形状である可能性があります。
数量の感度を確認する方法も有効です。地層境界の標高を一定範囲で上下させた場合に、土質別数量がどの程度変化するかを比較します。調査地点が少ない場所では、単一の計算値だけでなく、境界推定による変動の大きさを把握することが重要です。
計算記録には、使用資料、座標系、標高基準、対象範囲、除外範囲、地層区分、補間方法、計算方法、集計単位、丸め条件を残します。入力データと結果ファイルの版も関連付けます。
設計変更や追加調査がある場合は、以前の結果を上書きせず、変更前後を比較できるようにします。どの資料が追加され、どの地層境界が変わり、土質別数量がどの程度増減したかを記録します。
数量の確認者が同じ結果を再現できることも重要です。操作担当者しか分からない手順では、引継ぎや検証が困難になります。計算条件を文章で残し、対象範囲や地層区分を図面上でも確認できるようにしておきます。
地層境界の補間方法で体積が変わる理由
地層ごとの体積計算では、同じ調査点を使っても、補間方法によって計算結果が変わることがあります。これは、調査地点の間にある地層境界を直接観測できないためです。
二つの調査地点の境界標高を直線的につなぐ方法は、考え方が分かりやすく、急な振動を抑えやすい特徴があります。ただし、実際の地層面が曲線的に変化している場合や、谷状の地形を持つ場合は、その特徴を十分に表現できないことがあります。
周囲の複数点を使って滑らかな面を作る方法では、連続した地層面を表現しやすくなります。一方、入力点の配置が偏っていると、調査地点の外側で不自然な隆起や沈み込みが生じることがあります。
補間方法を選ぶ際は、数値的に滑らかであることだけを基準にしません。地形、堆積環境、地層の連続性、過去の施工履歴などと照らし合わせ、説明可能な形状になっているかを確認します。
調査地点が密な区域と疎な区域を同じ信頼度で扱わないことも大切です。近くに複数の調査点がある場所は境界を比較的判断しやすい一方、調査点から離れた場所は推定の影響が大きくなります。
体積計算の精度を細かな小数で表示しても、地層境界の推定精度が高くなるわけではありません。計算処理上の桁数と、地層モデルそのものの確かさは別の問題です。結果を利用するときは、境界の推定条件を合わせて確認します。
補間結果に大きな影響を与える地点がある場合は、その地点の位置、孔口標高、境界深度を再確認します。一つの入力ミスが広い範囲の地層面を変形させ、土質別数量へ大きく影響することがあります。
地山量と掘削後の土量を混同しない
地層モデルから計算される体積は、基本的には地中で占めている幾何学的な空間の体積です。しかし、施工現場で扱う数量には、掘削後の土量、運搬量、仮置き量、締固め後の体積などがあります。
土は掘削されると粒子の配置が変わり、空隙が増えることがあります。そのため、地中で百立方メートルだった土が、掘削後も同じ百立方メートルになるとは限りません。反対に、締固めると体積が小さくなる場合があります。
こうした体積変化は、土質、粒度、含水状態、掘削方法、積込み方法、締固め条件などに左右されます。すべての土質へ一律の換算値を適用すると、実際の運搬回数や仮置き面積とのずれが大きくなる可能性があります。
数量管理では、地層モデルから得た地山状態の体積と、換算した施工上の数量を別項目として扱います。元の体積、採用した換算条件、換算後の数量を追跡できる形にします。
質量を求める場合も、体積へ単純に一定の密度を掛ければよいとは限りません。湿潤状態と乾燥状態で密度が異なり、同じ土質名でも現場条件によって差があります。土質試験や施工条件に基づいて検討し、推定値である場合はその旨を明確にします。
掘削土の再利用を検討する場合は、体積だけで適否を判断しません。粒度、含水状態、混入物、強度、施工条件などの確認が必要です。土質別体積は重要な基礎情報ですが、材料としての適合性を直接保証するものではありません。
現場計測データを体積計算へ活用するポイント
地層ごとの体積計算では、地表面や掘削面の形状を正確に把握することが重要です。現場計測データを活用すれば、設計図だけでは分からない起伏や施工後の形状を三次元で反映できます。
計測前には、目的と必要範囲を明確にします。現況地表面を取得するのか、掘削途中の地層境界を記録するのか、完成した掘削面を確認するのかによって、計測位置や密度が変わります。
地表面の計測では、草木、資材、車両、仮設物などを地盤として取り込まないように注意します。点群データを使う場合は、地表面以外の点を除去し、欠測部分の有無を確認してから面を作成します。
掘削中に地層境界が露出した場合は、その位置と標高を記録すると、地層モデルの更新に役立ちます。境界が見える範囲だけを記録し、見えていない部分を確定情報として延長しないようにします。写真、位置情報、観察内容を関連付けて残すと、後から判断根拠を確認しやすくなります。
施工の進行に合わせて計測すると、計画段階の推定地層モデルと実際の地層分布を比較できます。差が大きい場合は、残りの掘削範囲について地層境界を見直し、土質別数量を更新します。
計測データを使うときも、座標系と標高基準の統一が必要です。現場計測データ、設計図、ボーリング位置、地層面が同じ基準で重なることを確認します。位置合わせを目視だけで済ませると、小さなずれが広い範囲の体積差につながることがあります。
計測精度は、機器の性能だけで決まるものではありません。観測環境、基準点、計測距離、遮蔽物、作業方法、データ処理などの影響を受けます。必要な数量精度に応じて計測計画を立て、確認点を設けます。
地層ごとの体積計算で起こりやすい失敗
よくある失敗の一つは、ボーリング深度をそのまま地層面の高さとして使うことです。深度は地表からの距離であり、標高ではありません。地表面に高低差がある場所では、孔口標高を使って境界標高へ変換する必要があります。
次に多いのが、地層名の不統一です。資料ごとに異なる名称を別の土質として集計すると、実際には同じ区分が細かく分かれます。反対に、名称が似ているだけで性質の異なる土を同じ区分へまとめる失敗もあります。
地層面を調査範囲の外まで無制限に延長することも問題です。調査地点から離れるほど推定の影響が大きくなります。計算対象範囲が調査範囲を超える場合は、追加情報の必要性や推定範囲を明示します。
上面と下面の取り違えも発生します。地層の上端面と下端面を逆に設定すると、負の厚さや異常な体積が生じます。地層の並び順を整理し、断面で上下関係を確認します。
計画掘削面を考慮せず、地層全体の体積を施工数量として扱う失敗もあります。地層が計画面より深い位置に存在する場合、その部分は掘削されません。地層モデルと掘削立体の重なる部分だけを計算する必要があります。
地層間の重複や隙間を確認しないまま集計することも避けます。各地層の数量だけを見ると気付きにくいため、土質別数量の合計と掘削全体の体積を比較します。
丸め処理の違いも集計差の原因になります。地層ごと、工区ごと、小区画ごとに早い段階で丸めると、最終合計が一致しない場合があります。計算途中では桁を保持し、出力時の丸め規則を統一します。
追加調査後に古い地層モデルを使い続ける失敗もあります。どの資料を使った計算結果なのか分からなくなると、数量変更の理由を説明できません。地層モデル、計算範囲、数量表の版をそろえて管理します。
土質別数量を継続的に管理する方法
地層ごとの体積計算は、一度実施して終わりとは限りません。施工中に地層境界が確認されたり、追加調査が行われたり、掘削範囲が変更されたりすると、数量を更新する必要があります。
継続管理では、基準となる初期モデルを保存します。その後、追加情報を反映した更新モデルを作り、初期値との差を確認します。過去のモデルを上書きすると、数量が変わった理由を追跡できなくなります。
地層境界を更新した場合は、変更した区域だけでなく、周辺の補間結果も確認します。一つの調査点を追加すると、広い範囲の地層面が変わる場合があります。変更前後の差分を表示し、影響範囲を把握します。
施工実績と比較することも有効です。掘削した土の搬出記録、仮置き量、地層観察、施工写真などと計算数量を照合します。ただし、地山体積と運搬量は状態が異なるため、数値を直接一致させるのではなく、換算条件を踏まえて比較します。
日々の施工管理では、掘削済み範囲を更新し、残存する土質別数量を求める方法があります。全体数量から単純に搬出量を差し引くのではなく、掘削済みの立体範囲と地層モデルを重ねることで、どの土質がどれだけ残っているかを把握しやすくなります。
現場で地層境界を記録する際は、位置、標高、観察日、観察者、写真、土質の特徴を一緒に残します。「この付近で粘土が出た」といった記録だけでは、地層モデルへ反映する位置を特定できません。
データの更新担当と承認方法も決めておきます。現場から得られた情報を誰が確認し、どの段階で地層モデルを更新し、数量表へ反映するかを明確にします。未確認の観察情報がそのまま確定数量へ入らないようにします。
まとめ
地層ごとの体積計算では、掘削全体の体積を求めるだけでなく、地層境界によって空間を分割し、施工上必要な土質区分へ集計します。基本となる流れは、計算目的と対象範囲を決め、地質調査資料を整理し、地層の上面と下面を三次元化し、掘削範囲と重なる体積を計算し、土質区分ごとに集計し、結果を検証するという六つのステップです。
計算精度を左右するのは、計算式の細かさだけではありません。調査地点の位置と標高、地層区分の統一、境界面の補間、掘削範囲の設定、地層間の重複や隙間の確認が重要です。
また、地層モデルから求めた地山体積と、掘削後の運搬量や仮置き量は区別して扱います。換算が必要な場合は、土質や含水状態、施工条件を踏まえ、元の体積と換算後の数量を追跡できる形で管理します。
施工中に得られた地層境界の情報や現場計測データを追加すれば、計画段階の推定数量を更新できます。現況地表面、掘削面、地層境界を同じ座標と標高基準で管理することが、土質別数量の信頼性を高めるポイントです。
現場で位置情報や地形を記録し、地層境界の確認地点を三次元データとして残したい場合は、計測条件や必要精度を確認したうえでLRTK Phoneの活用を検討すると、体積計算に使う現場情報の整理を進めやすくなります。