木材丸太の体積計算で押さえたい基本
木材丸太の体積計算では、元口と末口のどちらの直径を使うかによって結果が変わります。丸太は一般に、立木の根元に近い側ほど太く、梢に近い側ほど細くなるためです。一本の丸太を完全な円柱として扱えば計算は簡単ですが、実際の先細りした形状を十分に表せないことがあります。
体積計算を行う実務担当者は、最初に何を求めたいのかを明確にする必要があります。木材そのものが占める幾何学的な体積を知りたいのか、運搬重量を推定したいのか、保管場所を検討したいのか、加工に利用できる範囲を確認したいのか、取引や検収で用いる材積を求めたいのかによって、適切な公式が異なるためです。
たとえば、細い側を基準に加工可能な寸法を確認したい場合は、末口径が重要になります。搬送設備を通過できるか判断する場合は、太い元口側の寸法を無視できません。丸太全体の実体積に近い値を求める場合は、元口と末口の両方を計算へ反映する必要があります。
この記事では、木材丸太の体積計算に使える方法として、末口径による円柱近似、元口径による円柱近似、両端の断面積を平均するスマリアン式、元口と末口の間を円すい台とみなす公式の4つを解説します。
どの公式も、丸太の形状を一定の立体に置き換えて計算する近似方法です。完全に不規則な実物の形状を、そのまま再現するものではありません。計算結果を正式な取引数量や検収数量として使用するときは、契約書、仕様書、社内基準、測定要領などに定められた方法を優先する必要があります。
元口と末口の違い
元口とは、丸太のうち立木の根元に近かった側の切断面です。末口とは、梢に近かった側の切断面です。通常は元口の直径が大きく、末口の直径が小さくなります。
元口の直径を元口径、末口の直径を末口径と呼びます。この記事では、元口径をD、末口径をd、丸太の長さをL、体積をVとして説明します。
元口と末口は、丸太の端部を見ただけでは判別しにくいことがあります。一般には、直径が大きい側が元口、直径が小さい側が末口ですが、途中の膨らみ、偏平、根張りの切除状態などにより、見た目だけでは判断できない場合もあります。伐採や搬出の段階で元口側を識別し、管理番号とともに記録しておくと確実です。
体積だけを計算する場合、スマリアン式や円すい台式ではDとdを入れ替えても結果は変わりません。しかし、先細りの程度、木取りの方向、搬送時の向き、加工順序などを判断するには、元口と末口を区別する必要があります。
元口には根張りが残っていることがあります。根張り部分の直径を元口径として丸太全長へ適用すると、体積を過大に見積もる可能性があります。反対に、元口の膨らみを完全に除外すると、実際に存在する木材量を過小に評価することがあります。
末口付近にも注意が必要です。割れ、欠け、斜め切断などがある場合、測定位置によって末口径が変わります。計算を再現できるようにするには、木口のどこを測ったか、樹皮を含めたか、どの方向の直径を使ったかを記録することが重要です。
計算前に統一する単位と測定条件
体積計算を正しく行うには、公式へ数値を代入する前に単位を統一します。メートル単位の公式を使う場合は、元口径、末口径、材長のすべてをメートルにそろえます。
たとえば、元口径が36センチメートルであれば、メートルへ換算したDは0.36メートルです。末口径が30センチメートルであれば、dは0.30メートルです。材長が4メートルの場合、Lは4メートルとなります。
直径をセンチメートルのまま、メートル単位を前提とした公式へ代入すると、結果は正しくなりません。直径は二乗して使うため、単位換算の間違いによる影響が非常に大きくなります。
測定条件では、樹皮を含めるかどうかを統一します。樹皮付きの外径を測る場合と、樹皮を除いた木部の直径を測る場合では、求められる体積の意味が異なります。運搬時の外形や占有範囲を確認するなら樹皮付き寸法が参考になります。加工できる木部の量を検討するなら、樹皮を除いた寸法のほうが目的に合う場合があります。
元口だけ樹皮付き、末口だけ樹皮なしというように測定条件が混在すると、計算結果を適切に解釈できません。同じ丸太については、原則として両端を同じ条件で測定します。
材長の測り方も統一します。直線的な丸太なら、両端間の長さを測れば大きな問題は生じにくいものの、曲がりがある場合は、端点間の直線距離と中心線に沿った長さが一致しません。幾何学的な実体積を求める場合は、中心線に沿った長さが適することがあります。一方、取引上の材長には別の測定方法が定められている場合があります。
計算書には、実測した単位、換算後の単位、樹皮の扱い、材長の測定方法、使用公式を記載します。入力値だけでなく条件も残しておけば、担当者が変わっても同じ考え方で再計算できます。
公式1 末口径を使う円柱近似
最初の公式は、末口径を直径とする円柱として丸太の体積を計算する方法です。公式は次のとおりです。
V = π × d² × L ÷ 4
Vは体積、πは円周率、dは末口径、Lは材長です。dとLをメートル単位で入力すると、Vは立方メートルで求められます。
この公式では、末口と同じ太さが丸太の全長にわたって続いていると仮定します。一般的な丸太では元口が末口より太いため、根元側に存在する太い部分は体積へ十分に反映されません。そのため、実際の丸太が滑らかに先細りしている場合、末口径による円柱近似は小さめの値になりやすいと考えられます。
たとえば、末口径が30センチメートル、材長が4メートルの丸太を考えます。末口径をメートルへ換算すると0.30メートルです。
V = π × 0.30² × 4 ÷ 4
この結果は約0.283立方メートルです。
末口径による円柱近似は、細い側を基準にした控えめな概算が必要なときに利用できます。たとえば、末口側でも確保できる径を基準に加工可能な範囲を検討するときや、丸太から取り出せる一定断面の材料量を簡易的に考えるときです。
ただし、末口径だけで丸太全体の実体積を評価すると、先細りが大きい丸太ほど過小な値になる可能性があります。末口付近だけが局所的に細くなっている丸太では、その細さを全長に適用するため、実際との差がさらに広がることがあります。
直径をセンチメートル、材長をメートルのまま計算したい場合は、次のように換算できます。
V = π × d² × L ÷ 40,000
この式ではdへセンチメートル単位の末口径を入力します。公式を計算表へ登録するときは、どの単位を前提としているかを必ず明記します。
公式2 元口径を使う円柱近似
2つ目は、元口径を直径とする円柱として丸太を計算する方法です。公式は次のとおりです。
V = π × D² × L ÷ 4
Dは元口径、Lは材長です。DとLをメートル単位で入力すると、Vは立方メートルになります。
元口は通常、丸太の太い側です。この公式では、元口と同じ太さが末口まで続いていると仮定します。そのため、滑らかに先細りする丸太では、幾何学的な実体積より大きな値になりやすい方法です。
元口径が36センチメートル、材長が4メートルの場合、Dは0.36メートルです。
V = π × 0.36² × 4 ÷ 4
計算結果は約0.407立方メートルです。
同じ丸太を末口径30センチメートルの円柱として計算した場合は約0.283立方メートルでした。元口径による結果との差は約0.124立方メートルです。この差は計算ミスではなく、丸太をどの太さの円柱に置き換えたかの違いから生じます。
元口径による円柱近似は、太い側を基準とした最大寄りの概算に利用できます。たとえば、丸太を搬送する設備、保管枠、加工機の開口などについて、太い部分を収容できるか確認する場合です。
ただし、元口径を用いた円柱体積を、そのまま丸太の実体積や木材量と判断するのは適切でない場合があります。特に根張りが残った元玉では、元口付近だけが大きく膨らんでいます。その直径を全長へ適用すると、実際には存在しない木材部分まで含めた計算になります。
直径をセンチメートル、材長をメートルで入力する場合は、次の式を使えます。
V = π × D² × L ÷ 40,000
末口径による円柱近似と元口径による円柱近似を両方計算すると、丸太の体積が入り得る範囲を把握する参考になります。ただし、途中に元口以上の膨らみや末口以下のくびれがある場合、この考え方がそのまま当てはまらないことにも注意が必要です。
公式3 両端の断面積を平均するスマリアン式
3つ目は、元口と末口の断面積を求め、その平均に材長を掛ける方法です。一般にスマリアン式と呼ばれます。
元口断面積をA1、末口断面積をA2とすると、公式は次のとおりです。
V = L ×(A1 + A2)÷ 2
元口と末口の断面を円形と仮定する場合、それぞれの断面積は次のように求めます。
A1 = π × D² ÷ 4
A2 = π × d² ÷ 4
これを最初の式へ代入すると、直径を使った公式は次の形になります。
V = π × L ×(D² + d²)÷ 8
スマリアン式の特徴は、元口と末口の両方を計算へ反映できることです。末口径だけを使う円柱近似では根元側の太さが反映されず、元口径だけを使う円柱近似では先端側の細さが反映されません。スマリアン式では、両端の断面積を平均することで、その中間的な状態を表します。
元口径36センチメートル、末口径30センチメートル、材長4メートルの例では、次のように計算します。
V = π × 4 ×(0.36² + 0.30²)÷ 8
計算結果は約0.345立方メートルです。末口径による円柱近似の約0.283立方メートルより大きく、元口径による円柱近似の約0.407立方メートルより小さい値です。
スマリアン式は、丸太の途中で断面積が比較的滑らかに変化している場合に使いやすい公式です。必要な測定値は、元口径、末口径、材長であり、現場で取得しやすい点も利点です。
一方、元口と末口の間を完全な円すい台とみなした体積に比べると、スマリアン式は一般に少し大きい結果になります。元口径と末口径の差が小さければ両者の差も小さくなりますが、径差が大きい丸太では差が広がります。
直径をセンチメートル、材長をメートルで扱う場合は、次のように計算できます。
V = π × L ×(D² + d²)÷ 80,000
スマリアン式は、断面積を直接利用できることも特徴です。丸太の断面が円形ではなく楕円形に近い場合、それぞれの木口について楕円の断面積を求めれば、単純な平均直径より偏平を反映した計算が可能です。
公式4 元口径と末口径を使う円すい台式
4つ目は、丸太を円すい台として計算する方法です。円すい台とは、円すいを底面と平行に切り、先端側を取り除いた形状です。元口から末口へ直径が一定の割合で細くなる丸太を表す近似形状として利用できます。
公式は次のとおりです。
V = π × L ×(D² + D × d + d²)÷ 12
Dは元口径、dは末口径、Lは材長です。各寸法をメートル単位で入力すると、体積は立方メートルで求められます。
元口径36センチメートル、末口径30センチメートル、材長4メートルの場合は、次のようになります。
V = π × 4 ×(0.36² + 0.36 × 0.30 + 0.30²)÷ 12
計算結果は約0.343立方メートルです。
円すい台式は、元口から末口まで直径が直線的に変化し、各断面が円形である場合に、その立体の正確な幾何学的体積を求める公式です。実物の丸太は完全な円すい台ではありませんが、曲がりや局所的な膨らみが少ない丸太の実体積を概算する方法として利用できます。
元口径と末口径が同じ場合は、円すい台ではなく円柱になります。Dとdが等しい値であれば、かっこ内は同じ直径の二乗を3つ加えた形になり、円すい台式は円柱の公式と一致します。
直径をセンチメートル、材長をメートルで入力する場合は、次の式に換算できます。
V = π × L ×(D² + D × d + d²)÷ 120,000
円すい台式は、幾何学的な実体積を求めたいときに適しています。たとえば、丸太の密度から重量を概算するとき、乾燥前後の体積を比較するとき、保有している木材量を形状に沿って見積もるときなどです。
ただし、根張りが大きい丸太や途中に膨らみがある丸太へ、一本の円すい台式を適用すると誤差が大きくなることがあります。そのような丸太は区間を分割し、それぞれの区間について両端径を測定して計算します。
4つの公式による計算結果の比較
ここまでの4つの公式を、同じ寸法の丸太で比較します。対象は、元口径36センチメートル、末口径30センチメートル、材長4メートルの丸太です。
末口径を使う円柱近似では、約0.283立方メートルになります。
元口径を使う円柱近似では、約0.407立方メートルになります。
スマリアン式では、約0.345立方メートルになります。
円すい台式では、約0.343立方メートルになります。
最も小さいのは末口径を使った円柱近似で、最も大きいのは元口径を使った円柱近似です。スマリアン式と円すい台式は、両者の間に位置します。
スマリアン式と円すい台式の差は、この例では約0.002立方メートルです。割合としては大きくありませんが、丸太の径差が大きくなるほど、また材長が長くなるほど、両者の差も増えます。
スマリアン式と円すい台式の差は、円形断面を仮定した場合、次の式で表せます。
差 = π × L ×(D - d)² ÷ 24
この式から、元口径と末口径が同じ場合は差がゼロになることが分かります。また、径差が2倍になると、差は単純な2倍ではなく、径差の二乗に応じて大きくなります。
4つの結果を比較すると、どの公式が正しく、どの公式が間違っているという関係ではないことが分かります。それぞれが異なる立体を仮定しているため、目的に応じて使い分ける必要があります。
末口径による円柱は、全長を細い径とした場合の体積です。元口径による円柱は、全長を太い径とした場合の体積です。スマリアン式は両端の断面積を平均した体積です。円すい台式は元口から末口まで径が連続的に変化すると仮定した体積です。
目的に応じた公式の使い分け
公式を選ぶときは、丸太の形状だけでなく、計算結果を何に使うかを確認します。
末口径による円柱近似は、丸太の細い側を基準にしたい場合に向いています。丸太から一定断面の材料を取り出すとき、全長で確保できる最小側の径を検討するとき、元口側の余分な膨らみを含めずに概算したいときなどです。
元口径による円柱近似は、太い側を基準とした外形や空間を検討するときに利用できます。搬送設備の通過幅、保管枠の寸法、加工設備の受け入れ径などでは、元口側の最大寸法が重要です。
スマリアン式は、元口と末口の測定値があり、両端を反映した体積を比較的簡単に求めたいときに適しています。断面積を基礎とするため、偏平な木口を楕円として計算する場合にも応用しやすい方法です。
円すい台式は、丸太が滑らかに先細りし、幾何学的な実体積に近い値を求めたいときに向いています。密度を用いた重量推定や、乾燥・加工による体積変化の比較などでは、元口と末口の両方を反映できる円すい台式が役立ちます。
丸太の途中で直径が大きく変わる場合は、どの公式を使うかだけでなく、区間を分けることが重要です。たとえば、全長6メートルの丸太を2メートルずつの3区間に分けます。各区間の両端径を測り、スマリアン式または円すい台式で体積を求め、最後に合計します。
区間分割を細かくすると、途中の形状変化を反映しやすくなります。ただし、測定回数と計算量も増えます。必要な精度、対象となる丸太の本数、作業時間を考慮し、過不足のない測定間隔を設定します。
正式な材積を求める場合は、独自に公式を選ばず、指定された測定基準を確認します。取引や検収では、径の測定位置、端数処理、材長の取り方などが定められている場合があるためです。
偏平な丸太の直径を測る方法
丸太の木口は完全な円とは限りません。長い方向と短い方向がある楕円形や、不規則な形になることがあります。このような断面で一方向だけを測ると、方向によって計算結果が変わります。
簡易的な方法では、木口の最も長い直径と、それに直交する短い直径を測定します。その2つを平均し、代表径として円柱式や円すい台式へ使用します。
長径をa、短径をbとすると、平均径は次のようになります。
平均径 =(a + b)÷ 2
ただし、平均径を直径とする円の面積は、元の楕円の面積と完全には一致しません。偏平が大きい丸太で断面積をより適切に求めたい場合は、楕円の面積公式を利用します。
A = π × a × b ÷ 4
ここでaとbは、楕円の半径ではなく、それぞれの全径です。
元口の長径をD1、短径をD2、末口の長径をd1、短径をd2とすると、元口と末口の断面積は次のように求められます。
A1 = π × D1 × D2 ÷ 4
A2 = π × d1 × d2 ÷ 4
このA1とA2をスマリアン式へ代入します。
V = L ×(A1 + A2)÷ 2
この方法であれば、元口と末口の偏平をそれぞれ断面積へ反映できます。
測定方向は記録しておくことが大切です。長径と短径の区別がなく、担当者ごとに異なる方向を測ると、再測定時の比較が難しくなります。木口へ測定方向を示す印を付けたり、測定時の状態を記録したりすると、数値の再現性を高められます。
切断面が丸太の軸に対して斜めになっている場合も注意が必要です。円形の丸太を斜めに切ると、切断面は楕円形になります。その長径を丸太本来の直径として用いると、断面積を過大に見積もる可能性があります。可能であれば、丸太の軸に対して直角となる方向の径を測定します。
曲がりや根張りがある丸太の計算方法
実際の丸太には曲がり、根張り、節による膨らみ、途中のくびれなどがあります。形状変化が大きい丸太を一つの円柱や円すい台へ置き換えると、実体積との差が大きくなる可能性があります。
曲がった丸太では、材長の測り方によって結果が変わります。元口中心と末口中心を結ぶ直線距離は、丸太の曲線に沿った長さより短くなります。木材そのものの形状に沿った実体積を求める場合は、中心線に沿った長さを使うほうが実態に近くなることがあります。
一方、取引上の材長は別の方法で定められる場合があります。幾何学的体積の計算と、規定に基づく材積計算を混同しないようにします。
根張りが残っている元玉では、元口だけが大きく膨らみます。この元口径を使って全長を円柱とみなすと、過大な体積になります。円すい台式を使った場合でも、元口の局所的な膨らみが全長へ連続すると仮定するため、実形状との差が生じます。
このような場合は、根張り部分と通常の幹部分を分けます。根張りが残る短い区間について両端径を測り、その先の区間とは別に計算します。それぞれの体積を合計することで、一本の公式を全長へ適用するより形状を反映しやすくなります。
節による膨らみや途中のくびれについても同様です。形状が変化し始める位置と終わる位置で断面を測り、区間ごとにスマリアン式または円すい台式を適用します。
空洞や腐朽がある丸太では、外形から求めた体積と、健全な木材部分の体積が一致しません。木材として存在する部分だけを求める場合は、空洞の体積を推定し、外形体積から差し引く必要があります。
空洞がほぼ円柱状であれば、空洞径と長さから概算できます。不規則な空洞では、複数の断面を確認して区間ごとに計算する方法が適しています。内部形状を確認できない場合は、計算結果が外形体積であることを明記します。
体積計算の誤差を減らす実務手順
丸太の体積計算では、公式の違いだけでなく、測定誤差が結果へ大きく影響します。多くの公式で直径を二乗するため、直径の誤差は体積でより大きく現れます。
円柱の場合、直径の相対誤差が小さければ、体積の相対誤差は概ね直径誤差の約2倍になります。直径30センチメートルの丸太を31センチメートルと測った場合、直径の差は約3.3パーセントですが、断面積の差はそれより大きくなります。
最初に、測定位置を統一します。元口と末口のどの位置を直径として採用するのかを決めます。切断面に欠けや割れがある場合は、その部分を含めるか、健全な外周を推定するかを記録します。
次に、測定方向を統一します。偏平がある場合は、互いに直交する2方向を測ります。一方向だけでは、測定者が異なると大きく違う値になる可能性があります。
樹皮の扱いも統一します。樹皮付き外径を使った計算と、樹皮なし径を使った計算を同じ一覧へ混在させないようにします。やむを得ず条件が異なる場合は、各丸太の記録へ明示します。
測定器具が木口の中心を通っているかも確認します。中心から外れた弦の長さを測ると、本来の直径より短くなります。木口の最大幅を探し、中心付近を通るように測定します。
材長は、始点と終点を明確にします。斜めに切断された木口では、長い側と短い側で材長が異なります。どの位置を基準に測ったのか記録しておけば、後から数値を検証できます。
計算途中で数値を丸め過ぎないことも重要です。直径をメートルへ換算した後、少ない桁数へ早い段階で丸めると、その誤差が断面積や体積へ影響します。入力値と途中計算では必要な桁を保持し、最終結果を表示するときに指定された桁へ丸めます。
計算後は、末口径円柱と元口径円柱の値も参考として求めます。滑らかに先細りする丸太について、スマリアン式や円すい台式の結果がこの範囲を大きく外れている場合は、入力値、単位、公式の設定を確認します。
材積と幾何学的な体積の違い
木材の実務では、材積という言葉が使われます。材積も立方メートルで表示されることがありますが、必ずしも円柱式や円すい台式で求めた幾何学的体積と同じではありません。
幾何学的体積は、対象を円柱、円すい台、楕円柱などの立体として扱い、円周率を含む面積公式から求めます。形状に基づいた実体積の近似値として、重量推定や保管量の検討などに利用できます。
一方、取引や検収で使われる材積は、一定の測定規則と計算方法によって定められることがあります。末口径を基礎とする方法であっても、円の面積をそのまま計算するとは限りません。また、直径の端数処理、材長の採用単位、長さによる補正などが含まれる場合があります。
そのため、末口径と材長が同じでも、幾何学的な円柱体積と、規定に基づく材積が一致しないことがあります。どちらかが誤りなのではなく、計算の目的と定義が異なります。
重量を推定したいのに、取引用の材積を実体積として使用すると、想定と異なる結果になる可能性があります。反対に、正式な検収で円すい台式による実体積を提出しても、指定された材積計算方法と異なれば採用されないことがあります。
計算結果には、単に体積と書くだけでなく、円柱近似体積、円すい台近似体積、指定基準による材積など、計算方法が分かる名称を付けることが重要です。
計算書には、元口径、末口径、材長、樹皮の扱い、測定方向、使用した公式、端数処理の位置を記録します。これにより、同じ立方メートル表示でも数値が異なる理由を説明しやすくなります。
複数本の丸太を集計するときの注意点
複数本の丸太を集計する場合は、全体で計算条件を統一します。一本は末口径による円柱式、別の一本は円すい台式というように、理由なく公式を混在させると、合計値の意味が不明確になります。
形状に応じて公式を変える必要がある場合は、適用条件をあらかじめ決めます。たとえば、先細りが小さい丸太は円柱近似、元口と末口の差が大きい丸太は円すい台式、途中に膨らみがある丸太は区間分割というように分類します。
各丸太には管理番号を付けます。管理番号に対して、元口径、末口径、材長、長径、短径、樹皮の有無、測定日、測定担当者、使用公式、計算結果をひも付けます。
合計体積だけを保存するのではなく、一本ごとの入力値を残すことが重要です。合計値に差が生じたとき、個別データがなければ原因を追跡できません。単位換算の誤り、元口と末口の入力欄の違い、材長の転記ミスなどを確認できる状態にします。
同じ丸太を複数回測る場合は、測定位置をそろえます。前回は樹皮の上から測り、今回は樹皮が剥がれた状態で測ると、実際の体積変化ではない差が生じます。乾燥前後の比較を行う場合も、同じ位置と条件で測定します。
丸太の体積から重量を計算する場合は、樹種と含水状態に注意します。同じ体積でも、樹種や水分量によって重量は異なります。腐朽や空洞の有無も影響するため、体積へ一律の密度を掛けた値は概算として扱います。
集計結果を共有するときは、合計値だけでなく計算条件も添えます。円すい台式による外形体積なのか、末口径を用いた材積なのかが分からなければ、受け取った側が正しく利用できません。
点群データを利用した丸太の体積計算
丸太の曲がりや膨らみが大きい場合、元口径、末口径、材長だけでは形状を十分に表せません。そのような対象では、丸太表面を多数の三次元座標として取得し、点群データから体積を計算する方法があります。
点群を利用すると、元口と末口だけでなく、途中の直径変化、曲がり、節の膨らみ、偏平、根張りなどを三次元的に記録できます。一定間隔で断面を作成し、隣り合う断面間の体積を積み上げることで、一本の円柱や円すい台より実形状に近い計算が可能になります。
ただし、点群データを作成すれば自動的に正確な体積が得られるわけではありません。地面に接している丸太の下面や、別の丸太と接触している部分は計測できず、点群が欠損することがあります。
欠損部分を補間して閉じた立体を作成すると、補間方法によって計算結果が変わります。下面を平面として補うのか、周囲の曲率から丸みを推定するのかによって体積に差が生じます。
計測前には、できるだけ丸太の全周を確認できる状態にします。必要に応じて丸太を回転させ、複数方向から取得したデータを統合します。複数本が密着した状態では境界を分離しにくいため、一本ずつ間隔を空ける方法が有効です。
点群から体積を求める際は、不要な地面、周囲の資材、枝、切りくずなどを除外します。対象範囲の切り分けが不正確だと、丸太以外の部分を体積に含めたり、必要な木材部分を削除したりする可能性があります。
元口径と末口径を用いた4つの公式は、点群計算の検算にも利用できます。点群による体積が末口径円柱より大幅に小さい場合や、元口径円柱より大幅に大きい場合は、欠損補間、対象範囲、単位設定などを確認するきっかけになります。
木材丸太の体積計算でよくある疑問
元口径と末口径の平均を使えばよいのかという疑問があります。元口径と末口径の算術平均を代表径として円柱の公式へ代入する方法は、簡易的な近似として使用できます。
平均径 =(D + d)÷ 2
V = π × 平均径² × L ÷ 4
ただし、この平均径円柱式は、スマリアン式や円すい台式と同じ結果にはなりません。元口径と末口径の差が小さい場合は近い値になりますが、径差が大きいほど違いが現れます。両端の情報をより明確に反映したい場合は、スマリアン式または円すい台式を使用します。
円周率を3.14としてよいかという疑問もあります。概算であれば3.14を使用しても大きな差にならない場合があります。ただし、計算機や表計算機能を利用できる場合は、内部計算ではより多くの桁を使用し、最後に必要な桁数へ丸める方法が適切です。
元口と末口のどちらを優先すべきかは、用途によって異なります。細い側で確保できる寸法を知りたい場合は末口、最大側の外形を知りたい場合は元口、丸太全体の実体積に近い値を求めたい場合は両端を使います。
樹皮を含めるべきかどうかも、目的次第です。樹皮を含む丸太全体の外形体積が必要なら外径を測ります。木部だけの量を求めるなら、樹皮を除いた径を使います。どちらの場合も、測定条件を計算結果に明記します。
元口と末口の直径が同じなら、4つの公式の結果はどうなるかという疑問もあります。末口径円柱と元口径円柱は同じになります。スマリアン式と円すい台式も同じ円柱体積になります。つまり、先細りがない完全な円柱では、4つの考え方が一致します。
計算結果をリットルに換算する場合は、1立方メートルが1,000リットルに相当します。たとえば0.343立方メートルは343リットルに相当する体積です。ただし、木材の数量管理では立方メートル表示のほうが一般的に扱いやすいため、用途に応じて単位を選びます。
体積から重量を計算するには、体積へ密度を掛けます。ただし、木材の密度は樹種、含水率、部位、乾燥状態などによって変化します。固定した密度だけで正確な重量を求めることは難しいため、計算値は概算として使用します。
まとめ
木材丸太の体積計算では、元口と末口のどちらを使用するかによって、計算結果の意味が変わります。
末口径を使う円柱近似は、丸太全体を細い側の直径で一定と考える方法です。一般的な先細りの丸太では、小さめの体積になりやすく、細い側を基準とした加工可能範囲などの確認に利用できます。
元口径を使う円柱近似は、丸太全体を太い側の直径で一定と考える方法です。大きめの体積になりやすく、搬送設備や保管場所など、最大側の外形を基準に検討するときに役立ちます。
スマリアン式は、元口と末口の断面積を平均して材長を掛ける方法です。両端の測定値を簡単に反映でき、楕円形に近い断面にも応用できます。
円すい台式は、元口から末口へ直径が連続的に変化すると仮定する方法です。滑らかに先細りする丸太の幾何学的な実体積を概算したい場合に適しています。
正確な計算には、公式の選択だけでなく、測定条件の統一が欠かせません。樹皮を含めるか、どの方向の直径を使うか、材長をどこからどこまで測るか、どの単位へ換算するかを決め、計算書へ記録します。
曲がり、偏平、根張り、節の膨らみなどがある場合は、一本の単純な立体として計算せず、複数の区間に分けることで実形状を反映しやすくなります。正式な取引や検収では、独自の近似公式ではなく、指定された材積計算方法を優先します。
多数の丸太や複雑な形状を効率的に記録したい場合は、三次元点群を利用する方法もあります。LRTK Phoneで現場の形状を三次元データとして取得すれば、元口と末口だけでは捉えにくい曲がりや膨らみを確認し、区間ごとの断面や体積計算へつなげることができます。