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岩盤掘削の体積計算で膨張率を反映する5つの判断基準

岩盤掘削の体積計算で最初に整理すること

岩盤掘削の体積計算では、掘削する範囲の縦、横、深さを掛けるだけでは十分ではありません。岩盤は掘削によって割れ、岩塊同士の間に空隙が生じるため、掘削前と掘削後では見掛けの体積が変わるからです。設計図面から算出した掘削体積と、実際に運搬車両へ積み込まれる岩石の体積は、同じ数量にならないのが一般的です。

岩盤掘削の体積計算を始める前には、何のために数量を求めるのかを明確にします。設計上の掘削数量を確認したいのか、運搬便数を計画したいのか、仮置場の必要容量を求めたいのか、あるいは破砕した岩石を盛土材として転用するための数量を把握したいのかによって、対象とする体積の状態が異なります。

設計数量や掘削出来形を確認する場合は、原則として地山状態の体積を扱います。地山状態とは、掘削される前に岩盤が自然の位置に存在している状態です。一方、掘削後の運搬計画では、岩盤が破砕され、岩塊の間に空隙を含んだほぐし状態の体積を使用します。さらに、岩石を敷き均して転圧する場合は、締固め後の完成体積も別に考えなければなりません。

このように、岩盤掘削では一つの材料に対して複数の体積が存在します。計算結果を単に「岩盤の体積」と記載すると、地山体積なのか、ほぐし体積なのか、締固め後体積なのかが分からなくなります。数量計算書や施工計画書では、対象となる状態を名称に含めて整理することが大切です。

また、岩盤の膨張率は、すべての現場で共通する固定値ではありません。岩種、風化状態、節理の間隔、掘削方法、破砕後の粒度、積込み方法などによって変化します。計画段階で仮の係数を設定することはできますが、その値を工事完了まで無条件に使用するのではなく、施工実績を基に見直す考え方が必要です。

地山体積とほぐし体積の違い

地山体積とは、掘削前の自然な状態で岩盤が占めている体積です。設計図面の掘削線と現況地形の間にある空間や、掘削前後の測量面の差から求めます。岩盤が連続した状態で存在しているため、岩石内部の微細な隙間はあっても、掘削後の岩塊間に生じるような大きな空隙は含みません。

ほぐし体積とは、岩盤を掘削または破砕し、岩塊や岩片になった状態の見掛け体積です。岩盤を割っても岩石そのものの質量が増えるわけではありません。しかし、不規則な形状の岩塊を積み重ねると、その間に空隙が生まれるため、全体が占める体積は地山状態より大きくなります。

たとえば、地山状態で1,000立方メートルの岩盤を掘削した結果、運搬や仮置きの段階で1,300立方メートルになったとします。この場合、岩石の質量はおおむね同じでも、空隙を含む見掛け体積が300立方メートル増えています。

掘削出来形を評価する場合に用いるのは、通常、地山体積です。掘削前後の地形や設計面を比較し、取り除いた岩盤の体積を計算します。これに対して、運搬車両の必要台数や仮置場容量を検討する場合には、ほぐし体積を使います。

地山体積のまま運搬便数を計算すると、必要な車両台数や便数を少なく見積もるおそれがあります。掘削後の岩塊は荷台内でも空隙を含むため、地山体積と同じ容量の荷台ですべてを運べるとは限りません。特に大きな岩塊が多い場合は、岩塊同士や荷台側面との間に隙間ができ、荷台の容量を効率よく使えないことがあります。

反対に、ほぐし体積をそのまま設計掘削数量として扱うと、掘削量を過大に評価することになります。したがって、体積計算では、数値を比較する前に両方が同じ状態の体積であるかを確認する必要があります。

膨張率と膨張係数を混同しない

岩盤掘削の数量計算では、膨張率という言葉の定義に注意が必要です。実務では、掘削後の体積が地山体積の何倍になったかを示す倍率と、地山体積から何パーセント増えたかを示す増加割合が、どちらも膨張率と呼ばれることがあります。

倍率として表す場合は、次の関係になります。

ほぐし体積=地山体積×膨張係数

たとえば、地山体積が1,000立方メートルで、膨張係数が1.30の場合、ほぐし体積は次のように計算します。

1,000×1.30=1,300立方メートル

一方、増加割合として膨張率を表す場合は、次の関係になります。

膨張率=(ほぐし体積-地山体積)÷地山体積×100

先ほどの例では、体積が300立方メートル増えているため、増加割合としての膨張率は30パーセントです。つまり、膨張係数1.30と膨張率30パーセントは、同じ体積変化を別の方法で表しています。

数量計算書に「膨張率1.30」とだけ記載されていると、それが倍率なのか増加割合なのか分かりにくくなります。倍率で管理する場合は「膨張係数1.30」、増加割合で管理する場合は「地山体積に対する増加率30パーセント」のように記載すると、計算ミスを防ぎやすくなります。

増加率が30パーセントの場合、地山体積へ加える数量は地山体積の30パーセントです。計算式は次のようになります。

ほぐし体積=地山体積×(1+0.30)

この式は、地山体積に膨張係数1.30を掛ける計算と同じです。係数の定義を確認せずに、地山体積へ30を掛けたり、1.30を加算したりしないように注意します。

判断基準1 岩種と岩盤の風化状態を確認する

岩盤の膨張率を判断する一つ目の基準は、岩種と風化状態です。岩盤は、成因や鉱物組成、硬さ、組織などによって掘削時の割れ方が異なります。同じ名称で分類される岩石でも、現場での風化状態や亀裂の発達状況によって、掘削後の粒度や空隙は変わります。

比較的硬く緻密な岩盤では、掘削後に角張った大きな岩塊が発生することがあります。大きな岩塊は互いに密着しにくいため、積み重ねたときに大きな空隙が残りやすくなります。その結果、ほぐし体積が大きくなる可能性があります。

一方、風化が進んだ岩盤では、掘削によって細かな岩片や土砂状の材料が多く発生することがあります。細粒分が大きな岩塊の隙間へ入り込むと、全体の空隙が減るため、硬質な岩盤とは異なる膨張状態になります。ただし、細かく砕ける岩盤だからといって、必ず膨張率が小さくなるとは限りません。粒度の分布や積み方によって結果が変わるためです。

地質調査資料には岩種や風化区分が記載されていることがありますが、調査地点の情報だけで施工範囲全体を決めつけないことが大切です。岩盤の状態は水平方向にも深さ方向にも変化します。掘削面が現れた段階で、実際の岩盤を観察し、計画時の想定と一致しているかを確認します。

特に表層付近では、岩盤が強く風化して土砂に近い状態になっていることがあります。掘削が進むにつれて、風化の程度が弱くなり、硬質な岩盤へ移行する場合もあります。このような現場で全区間へ同じ係数を適用すると、上部と下部のどちらかで数量差が大きくなる可能性があります。

岩盤の状態を区分できる場合は、強風化部、中程度の風化部、比較的新鮮な岩盤などに分け、それぞれの地山体積を計算します。そのうえで、区分ごとに適切と考えられる係数を設定し、ほぐし体積を合計します。

また、粘土化した部分や破砕帯が含まれる場合は、通常の岩盤とは別に扱うことを検討します。破砕帯では細粒分が多く、含水状態によって体積や重量が変化しやすいためです。現場写真や位置情報を残し、どの範囲をどの区分として計算したかを説明できるようにしておきます。

判断基準2 節理や亀裂による割れ方を確認する

二つ目の判断基準は、岩盤に発達している節理や亀裂です。岩石そのものが硬くても、節理が多く発達している岩盤では、掘削時に節理面に沿って分離しやすくなります。反対に、節理が少ない岩盤では、大きな塊のまま掘り出されることがあります。

節理の間隔が狭い場合、比較的小さな岩塊が多く発生する傾向があります。大小さまざまな岩片が混ざると、小さな岩片が大きな岩塊の隙間を埋めることがあります。節理の間隔が広い場合には、大塊が発生しやすく、仮置きや積載時に大きな空隙が残る可能性があります。

節理の方向も重要です。掘削面や自由面に対する節理の向きによって、岩盤のはがれ方や岩塊の形が変わります。平板状の岩塊が多い場合と、塊状の岩塊が多い場合では、積み重ねたときの空隙率が異なります。

また、岩盤内部に目視しにくい亀裂が存在する場合、掘削時の衝撃によって細かく分離することがあります。施工前の調査では硬質な一枚岩のように見えても、掘削後には想定より細かな岩片が発生する可能性があります。

膨張率を設定する際には、岩石試料の強度だけでなく、岩体としての割れやすさを確認することが大切です。試料単体の強度が高くても、節理が発達していれば掘削しやすい場合があります。逆に、試料強度がそれほど高くなくても、節理が少なければ大塊が残ることがあります。

施工中は、掘削面の節理間隔や方向を記録するとともに、掘削後に発生した岩塊の代表的な大きさを確認します。岩盤区分ごとに写真を残し、スケールの分かる対象物と一緒に撮影すると、後から粒度を比較しやすくなります。

節理や亀裂の状態が区間によって変化した場合は、膨張係数の適用区間も分けます。係数を変更した位置と日付を記録し、どの掘削数量へ適用したかが分かるようにすることが、最終的な数量説明に役立ちます。

判断基準3 掘削方法と破砕後の粒度を確認する

三つ目の判断基準は、岩盤をどのような方法で掘削し、どの程度まで破砕するかです。同じ岩盤でも、掘削方法や施工条件が異なると、発生する岩塊の大きさや形状が変わります。

発破によって掘削する場合は、穿孔の配置、孔の深さ、装薬条件、起爆の順序、自由面の状態などが破砕結果に影響します。細かく破砕される条件では、小さな岩片や細粒分が増えます。粗く破砕される条件では、大きな岩塊が残り、積込み前に二次破砕が必要になることがあります。

機械による掘削では、岩盤を割りながら掘り進める方法や、節理面に沿って岩塊をはがす方法などがあります。使用する機械が同じでも、岩盤へ力を加える方向や施工者の操作によって、岩塊の大きさが変わることがあります。

掘削直後の状態と、二次破砕後の状態を区別することも重要です。掘削直後に大塊が多くても、積込み前に小割りを行えば粒度分布が変わります。掘削直後の仮置き体積を求める場合と、二次破砕後の運搬体積を求める場合では、同じ係数を使用できない可能性があります。

粒度を確認するときは、最大の岩塊だけを見るのではなく、大小の岩片がどのような割合で混在しているかを確認します。ほぼ同じ大きさの岩塊がそろっている場合は、岩塊同士の間に空隙が残りやすくなります。大塊、中塊、小片、細粒分が適度に混在している場合は、小さな材料が隙間へ入り込み、見掛け体積が締まりやすくなります。

このため、破砕が細かいほど必ず膨張率が大きくなる、あるいは小さくなるとは一概にいえません。重要なのは、実際に発生した材料がどのように積み重なるかです。

施工方法を途中で変更した場合は、変更前後の数量を分けて管理します。たとえば、当初は機械掘削を行い、硬質な区間に入ってから発破掘削へ切り替えた場合、破砕状態も変化する可能性があります。掘削方法の変更日、変更位置、対象数量を記録し、膨張率の検証に利用します。

判断基準4 運搬や仮置きの状態を区別する

四つ目の判断基準は、どの工程の状態を基準として膨張率を考えるかです。岩盤は掘削された後も、積込み、運搬、荷下ろし、仮置き、敷均しなどの工程を通じて見掛け体積が変化します。

掘削直後の岩塊は、崩れた位置に不規則に重なっているため、大きな空隙を含むことがあります。その後、積込み作業で岩塊が動かされると、配置が変わり、細かな岩片が隙間へ入ります。

運搬車両の荷台では、積込み時の落下や重機による押込みによって、掘削直後よりも締まることがあります。さらに、運搬中の振動で岩塊が移動し、搬出元と搬出先で積載高さが変わる場合があります。

仮置場へ荷下ろしした直後の状態も、積込み時とは異なります。高い位置から落として山状に積み上げると、大きな空隙を含むことがあります。重機で敷き広げたり、車両が上を走行したりすると、岩塊の配置が変わり、見掛け体積が小さくなる場合があります。

したがって、運搬便数を求めるための係数と、仮置場の占有容量を求めるための係数が必ず同じになるとは限りません。どの時点のほぐし体積を計算しているかを明確にする必要があります。

運搬計画では、荷台の公称容量だけでなく、一台当たりの実際の積載体積を確認します。大塊が多い場合は、荷台側面との間に隙間ができ、表示上の容量まで効率よく積めないことがあります。反対に、細かな材料が多い場合は荷台内に収まりやすいものの、重量制限によって容積いっぱいまで積載できない場合があります。

仮置場容量を計算するときは、岩盤材料を置く範囲、想定する積上げ高さ、法面の勾配、重機の作業空間、排水経路なども考慮します。単純にほぐし体積と同じ容量の空間を確保するだけでは、現実の配置が難しいことがあります。

また、降雨や湧水によって細粒分が湿ると、岩塊への付着や空隙への流入が起こる場合があります。仮置き期間が長い現場では、雨水による材料の移動や沈下も考えられるため、測定時の状態を記録しておきます。

判断基準5 実測値から膨張率を補正する

五つ目の判断基準は、施工中の実測結果を使って膨張率を補正できるかどうかです。計画段階では、地質調査資料や類似工事の実績などを参考に膨張率を設定します。しかし、掘削前に岩盤の割れ方や破砕後の粒度を完全に予測することは困難です。

そのため、施工初期の一定区間を対象に、地山体積とほぐし体積を比較し、現場に合った実測膨張係数を求める方法が有効です。

実測膨張係数は、次の式で求められます。

実測膨張係数=実測したほぐし体積÷対応する地山体積

たとえば、掘削前後の測量から地山掘削体積が250立方メートルと分かり、その範囲から発生した岩石のほぐし体積が340立方メートルだった場合、実測膨張係数は次のとおりです。

340÷250=1.36

計画時に1.25を設定していた場合、実績は計画より大きく膨張しています。この傾向が一時的なものではなく、複数の区間で確認された場合は、残りの施工数量に適用する係数を見直します。

ただし、地山体積とほぐし体積の対象範囲を一致させなければ、正しい係数は求められません。掘削体積は特定区間の数量であるのに、ほぐし体積には別区間の搬出分が含まれていると、計算結果がずれます。

対象期間もそろえる必要があります。月末までの掘削出来形と、翌月分を含む運搬記録を比較してはいけません。掘削位置、施工日、運搬日、仮置き場所を対応させ、同じ材料を比較できるようにします。

ほぐし体積を車両の便数から算出する場合は、一台当たりの積載体積を確認します。すべての便に公称荷台容量を掛けるだけでは、積載状態のばらつきを反映できません。代表的な便について積載形状や重量を確認し、実積載量の目安を設定します。

仮置き山を測量する場合は、搬入前の基準面と搬入後の表面を同じ座標基準で計測します。外周境界や法面の折れ点を適切に取得し、別の材料が混ざっていないことも確認します。

実測係数は一回の結果だけで決めず、岩盤区分や施工方法ごとに複数回確認します。結果にばらつきがある場合は、岩質、破砕状態、降雨、積載方法などの違いを調べます。

岩盤掘削の体積計算を進める手順

岩盤掘削の体積計算を進める際は、最初に計算目的を決めます。掘削出来形の確認、運搬便数の計画、仮置場容量の算出、材料転用の検討など、目的によって必要な体積が異なります。

次に、掘削対象範囲を確定します。平面上の外周だけでなく、掘削前の地形、計画掘削面、法面、小段、余掘りの扱いなどを整理します。対象範囲が曖昧なままでは、計算方法が正しくても数量は一致しません。

その後、掘削範囲を岩盤の状態に応じて区分します。岩種、風化状態、節理、破砕帯、掘削方法などに違いがある場合は、別々に地山体積を求めます。

地山体積の算出には、設計断面を使う方法、メッシュを使う方法、三角形で構成した地形面を比較する方法などがあります。単純な形状であれば、長さ、幅、平均深さを用いた概算も可能ですが、不規則な岩盤面では測量データを用いた方が実態を反映しやすくなります。

区分ごとの地山体積を求めたら、それぞれに膨張係数を掛けます。計画段階の係数を使用する場合は、その根拠を記録します。既往資料、類似工事、試験施工、現場観察など、何を基に設定したかを残します。

区分別のほぐし体積を合計すると、全体の運搬対象体積や仮置き対象体積の目安を算出できます。運搬便数を求める場合は、ほぐし体積を一台当たりの実積載体積で割ります。

施工開始後は、掘削前後の測量、運搬便数、積載重量、仮置き体積を記録し、計画値と実績値を比較します。差が継続して発生する場合は、係数または積載量の設定を補正します。

計算結果を更新するときは、変更前の係数を上書きして消すのではなく、適用期間と対象区間を分けて残します。最終的な数量がどの条件から算出されたかを追跡できるようにするためです。

膨張率を反映した体積計算の具体例

ここでは、岩盤掘削の地山体積が1,800立方メートルで、計画上の膨張係数を1.30と仮定します。

ほぐし体積は次の式で求めます。

1,800×1.30=2,340立方メートル

したがって、地山状態では1,800立方メートルだった岩盤が、掘削後には2,340立方メートルの見掛け体積になると見積もられます。増加した体積は次のとおりです。

2,340-1,800=540立方メートル

この場合、増加割合としての膨張率は30パーセントです。

次に、一台当たりの実積載体積を6立方メートルとして、必要な運搬便数を求めます。

2,340÷6=390便

計画上は390便が必要です。ただし、実際の積載体積が便ごとに変わる場合は、一定の余裕を持たせるか、施工中の実績で更新します。

仮に地山体積だけで便数を計算すると、次の結果になります。

1,800÷6=300便

膨張を考慮した390便との差は90便です。地山体積をそのまま運搬体積として扱うと、運搬計画に大きな不足が生じる可能性があることが分かります。

施工初期の実績として、地山掘削体積300立方メートルに対し、対応するほぐし体積が420立方メートルだったとします。実測膨張係数は次のとおりです。

420÷300=1.40

残りの掘削対象が1,500立方メートルであり、岩盤の状態と施工方法が同等であると判断した場合、残数量のほぐし体積は次のように見直せます。

1,500×1.40=2,100立方メートル

すでに掘削した420立方メートルを加えると、全体の見込みほぐし体積は2,520立方メートルです。当初の2,340立方メートルより180立方メートル増えるため、仮置場容量や運搬便数の調整を検討します。

複数の岩盤区分がある場合の計算方法

実際の掘削現場では、掘削範囲全体が同じ岩盤状態であるとは限りません。表層の風化岩、比較的新鮮な硬質岩、破砕帯などが混在する場合は、区分ごとに地山体積と膨張係数を設定します。

たとえば、全体の地山体積が2,500立方メートルで、風化岩が800立方メートル、硬質岩が1,400立方メートル、破砕帯が300立方メートルあるとします。

風化岩の仮の膨張係数を1.20、硬質岩を1.35、破砕帯を1.15とした場合、それぞれのほぐし体積は次のようになります。

風化岩は800×1.20で960立方メートルです。

硬質岩は1,400×1.35で1,890立方メートルです。

破砕帯は300×1.15で345立方メートルです。

全体のほぐし体積は、960、1,890、345を合計して3,195立方メートルです。

全体を一つの平均係数で表すと、次のようになります。

3,195÷2,500=1.278

全体の平均的な膨張係数は約1.28ですが、この値は各区分の構成比から算出された結果です。別の施工区間で硬質岩の割合が増えれば、平均係数も変わります。

平均係数だけを残すと、どの岩盤区分が数量へ影響したのか分かりにくくなります。計算書では区分別の地山体積、係数、ほぐし体積を残し、必要に応じて全体の平均値を補助的に示します。

岩盤境界が不規則な場合は、施工中の観察結果によって区分範囲を更新します。設計段階の地質境界と実際の境界が異なる場合もあるため、掘削面の記録と測量結果を対応させることが大切です。

測量によって地山体積を求める方法

膨張率を正しく反映するためには、基礎となる地山体積を適切に求める必要があります。地山体積が誤っていれば、膨張係数が適切でも最終的なほぐし体積は合いません。

掘削前後の地形を測量し、二つの面の間にある体積を計算する方法は、岩盤掘削の数量確認に適しています。掘削前の現況面と、掘削後の出来形面を同じ座標系、高さ基準、対象範囲で比較します。

断面法では、一定の間隔で横断面を作成し、隣り合う断面積と区間長から体積を求めます。道路や水路のように線状に延びる掘削では整理しやすい方法です。ただし、岩盤面の変化が大きい場所で断面間隔が広すぎると、凹凸や急な変化を十分に反映できません。

メッシュ法では、対象範囲を格子状に分割し、各格子内の高低差と面積から体積を計算します。格子を細かくすると地形の変化を反映しやすくなりますが、測点の密度や計算量も増えます。

三角網を用いる方法では、測量点から三角形の面を形成し、掘削前後の面の差から体積を求めます。不規則な形状の岩盤面を表現しやすい一方で、外周境界や点の配置が不適切だと、対象外の範囲を結ぶ面が形成されることがあります。

いずれの方法でも、外周境界を明確にすることが重要です。掘削対象外の地形を含めると体積は過大になります。掘削端部、小段、法面、既存のくぼみなどを除外すると、体積は過小になる可能性があります。

掘削前後で同じ基準点を使用し、既知点や検証点で位置と標高の整合を確認します。座標系や高さ基準が異なるデータをそのまま重ねると、実際には存在しない高低差が体積として計上されるおそれがあります。

掘削後の岩盤面は凹凸が大きいため、折れ点や急変部を意識して測点を配置します。均等な点間隔だけにこだわるのではなく、地形の形を表すために必要な位置を取得することが重要です。

運搬便数や重量から体積を検算する方法

測量で算出した体積は、運搬便数や重量の記録を使って検算できます。異なる方法で求めた数量を比較することで、測量範囲の漏れ、係数の不適合、積載量の設定ミスなどを見つけやすくなります。

運搬便数からほぐし体積を求める基本的な考え方は、次のとおりです。

ほぐし体積=運搬便数×一台当たりの実積載体積

たとえば、実積載体積が6.2立方メートルの車両で350便運搬した場合、推定ほぐし体積は次のようになります。

350×6.2=2,170立方メートル

ただし、公称荷台容量と実積載体積は必ずしも一致しません。大塊が多い岩盤では荷台内に空隙ができ、容量を十分に使えない場合があります。細かな材料では容積を使いやすくても、積載重量の制限によって満載にできないことがあります。

複数の車種を使用する場合は、すべてを一便として同じ容量で換算しないようにします。車種別に便数と実積載量を集計し、最後に合計します。

重量記録を利用できる場合は、見掛け密度から体積を求められます。

ほぐし体積=運搬重量÷ほぐし状態の見掛け密度

たとえば、運搬した岩盤材料の総重量が1,950トンで、ほぐし状態の見掛け密度を1立方メートル当たり1.95トンとした場合、体積は次のようになります。

1,950÷1.95=1,000立方メートル

ここで注意したいのは、岩石そのものの密度と、空隙を含む見掛け密度が異なることです。岩石試料の密度をそのままほぐし体積の換算へ使用すると、空隙を反映できず、体積を過小に計算する可能性があります。

また、雨水や泥分が付着している場合は、同じ体積でも重量が増えます。重量による検算では、材料の含水状態や土砂の混入も確認します。

測量体積、運搬便数から求めた体積、重量から求めた体積が完全に一致するとは限りません。それぞれに測定誤差や換算条件があるためです。重要なのは、差の大きさと傾向を確認し、説明できない差が続く場合に原因を調べることです。

仮置場の必要容量を計算する方法

岩盤掘削材を一時的に保管する場合は、地山体積ではなく、原則としてほぐし体積を基に仮置場の容量を検討します。地山体積と同じ容量しか確保していないと、掘削途中で置場が不足する可能性があります。

仮置場の必要容量を求める基本的な考え方は、次のとおりです。

必要容量=仮置き対象の地山体積×膨張係数

ただし、計算で求めたほぐし体積と同じ容積の区画を確保すればよいとは限りません。材料を山状に積む場合は、法面が形成されるため、敷地の端まで一定の高さで積み上げることはできません。

たとえば、仮置場の平面積に平均積上げ高さを掛ければ概算容量を求められますが、実際には周囲の法面、進入路、重機の旋回範囲、排水設備、材料区分のための間隔などが必要です。

仮置き期間中に岩盤材料を再搬出する場合は、最大貯留量を工程表から確認します。工事全体の発生量を一度に置く必要がなければ、搬入量と搬出量の推移から最大時点の数量を求めます。

仮置き山の高さを過度に高く設定すると、岩塊の転落、法面の崩れ、重機作業の困難などにつながる可能性があります。現場条件や安全管理上の制約を確認し、体積だけで配置を決めないことが重要です。

材料区分ごとに再利用先や処理方法が異なる場合は、仮置場でも分けて管理します。風化岩、硬質岩、土砂混じりの材料などを混在させると、後から区分別の数量を確認しにくくなります。

仮置き山を測量して実績体積を確認する場合は、搬入前の地盤面を取得しておきます。搬入後の表面だけを測定しても、元地盤の高さが分からなければ正確な体積は求められません。

岩盤を盛土材へ転用する場合の注意点

掘削した岩盤を盛土材や路体材料などへ転用する場合は、地山からほぐし状態への膨張だけでなく、ほぐし状態から締固め後への体積変化を考える必要があります。

破砕した岩盤材料を敷き均して転圧すると、岩塊同士の間にある空隙が減り、見掛け体積は小さくなります。そのため、ほぐし体積と締固め後の完成体積は一致しません。

数量の関係は、次のように整理できます。

ほぐし体積=地山体積×地山からほぐし状態への係数

締固め後体積=ほぐし体積×ほぐし状態から締固め後への体積係数

ただし、締固めに関する係数は、資料によって定義が異なる場合があります。体積比で示すものと、密度比で示すものを混同しないようにします。

また、掘削した岩盤がすべて転用できるとは限りません。大きすぎる岩塊の除去、細粒分の流出、不適材の選別、異物の除去などによって、使用可能量が減ることがあります。

必要な完成体積から投入量を逆算する場合は、施工試験や過去の実績を基に換算条件を設定します。材料の粒度、敷均し厚、転圧方法、含水状態などが変われば、締固め後の密度や体積も変化します。

地山体積、ほぐし体積、投入体積、完成体積を工程ごとに分けて記録すると、材料収支を把握しやすくなります。単に掘削量と盛土完成量だけを比較すると、膨張、締固め、材料損失の影響を区別できません。

岩盤掘削の体積計算で起こりやすい誤り

岩盤掘削の体積計算で最も起こりやすい誤りは、地山体積とほぐし体積の混同です。設計図面から算出した地山数量をそのまま運搬数量として使うと、膨張分が不足します。

膨張率と膨張係数の定義を確認しないことも、計算ミスの原因になります。30パーセントの増加と、1.30倍という倍率は同じ変化を示しますが、計算書での表し方が異なります。

岩盤の種類だけを見て係数を決めることにも注意が必要です。同じ岩種でも、風化状態、節理、掘削方法によって破砕後の状態は変わります。地質資料に記載された代表値を使用する場合も、施工開始後に現場の状態を確認します。

掘削範囲全体へ一つの係数を適用すると、岩盤区分ごとの差を反映できない場合があります。風化岩と硬質岩が混在する現場では、区分別に計算した方が数量差の原因を把握しやすくなります。

車両の公称容量を実積載量として扱うことも誤りにつながります。大塊の配置、積載高さ、重量制限によって、一台当たりの運搬量は変化します。

測量前後の座標系や高さ基準が一致していない場合は、存在しない高低差が体積へ含まれる可能性があります。掘削前後のデータを重ねる前に、基準点や検証点で整合を確認します。

外周境界の設定ミスも数量へ大きく影響します。掘削対象外の法面や既存掘削部を含めると過大になり、掘削端部や小段を除外すると過小になります。

掘削数量と運搬記録の期間が一致していない場合も、正しい膨張率は求められません。測量日、施工日、搬出日を対応させます。

単位の間違いにも注意します。長さをセンチメートルのまま入力して立方メートルとして扱ったり、重量のキログラムとトンを混同したりすると、結果が大きくずれます。

数量計算書に残しておきたい情報

岩盤掘削の数量計算書には、計算結果だけでなく、その数値がどの条件から求められたかを残すことが重要です。

まず、対象範囲を明確にします。工区、測点、掘削区間、施工日などを記載し、図面や測量データと対応できるようにします。

次に、体積の状態を明記します。地山体積、掘削直後のほぐし体積、運搬時の体積、仮置き体積、締固め後体積など、どの状態を示す数値なのかを記載します。

使用した膨張係数については、数値だけでなく定義も示します。たとえば「地山体積に対する倍率1.30」のように記載すると、増加率との混同を防げます。

係数の根拠も残します。計画資料を参照したのか、類似施工の実績を使用したのか、現場で実測したのかを整理します。実測値を使用した場合は、対象区間、測定日、地山体積、ほぐし体積、算出式を記録します。

岩盤区分ごとに異なる係数を使用した場合は、区分境界と適用数量を明確にします。施工途中で係数を変更した場合は、変更日と適用開始位置も残します。

測量による体積計算では、座標系、高さ基準、使用した測量面、測点密度、外周境界、計算方法を記録します。掘削前後のデータ名称や取得日も整理しておきます。

運搬実績を利用した場合は、車種、便数、一台当たりの実積載体積、重量記録、見掛け密度などを残します。複数の方法で検算した場合は、それぞれの結果と差を示し、採用値を決めた理由を記載します。

LRTK Phoneを活用した体積管理

岩盤掘削の体積計算では、掘削前後の形状を同じ位置と高さの基準で記録し、岩盤区分や施工時期と結び付けることが重要です。測量データと現場写真、施工記録、運搬記録が別々に管理されていると、どの範囲の数量を比較しているのか分かりにくくなります。

LRTK Phoneを活用すると、現場で位置情報を持つ記録を取得し、掘削範囲や確認地点と関連付けて整理できます。掘削前、施工途中、掘削完了後の地形を段階的に記録すれば、体積計算に使用するデータの時系列を確認しやすくなります。

風化岩から硬質岩へ変化した位置、破砕帯が現れた位置、節理の状態が変わった地点などを座標とともに記録すると、岩盤区分ごとの体積を整理する際の参考になります。掘削方法を変更した場所や二次破砕を行った範囲も記録しておけば、膨張率に差が生じた原因を確認しやすくなります。

仮置き山の体積を求める場合は、材料を置く前の地盤面と、仮置き後の表面を同じ基準で計測します。外周境界、山頂部、法面の折れ点など、形状を表すために必要な位置を取得することが大切です。

掘削前後の計測結果から地山体積を算出し、運搬便数や仮置き体積と比較すれば、計画した膨張係数と実績との差を確認できます。差が継続する場合は、岩盤区分や施工方法ごとに係数を見直し、残りの運搬計画や仮置場計画へ反映できます。

岩盤掘削の体積管理では、計算式だけでなく、いつ、どこを、どの状態で計測したかを残すことが重要です。LRTK Phoneによる位置情報付きの現場記録を数量計算と結び付けることで、膨張率の根拠を説明しやすくなり、施工中の計画変更にも対応しやすくなります。

まとめ

岩盤掘削の体積計算では、掘削前の地山体積と、掘削後のほぐし体積を区別する必要があります。岩盤を掘削すると岩塊同士の間に空隙が生じるため、運搬や仮置きに必要な見掛け体積は、地山体積より大きくなるのが一般的です。

膨張率を反映する際は、岩種と風化状態、節理や亀裂による割れ方、掘削方法と破砕後の粒度、運搬や仮置きの状態、施工中の実測結果という5つの判断基準を確認します。

膨張率は、すべての現場に共通する固定値ではありません。同じ岩種でも、風化、節理、発破条件、二次破砕、積込み方法などによって掘削後の状態は変化します。計画段階では根拠を明確にした係数を設定し、施工開始後は地山体積、運搬量、重量、仮置き体積などを比較して補正することが大切です。

計算書では、膨張係数1.30のような倍率と、増加率30パーセントのような割合を混同しないようにします。また、地山体積、ほぐし体積、締固め後体積のどれを示しているかを明記し、対象区間や適用期間も残します。

掘削前後の形状を同じ座標基準で計測し、岩盤区分や施工方法の変化を位置情報とともに記録すれば、数量差の原因を追跡しやすくなります。岩盤掘削の体積計算を現場の実測結果に合わせて更新するためには、LRTK Phoneを活用し、測量データと施工記録を一体的に管理する方法が役立ちます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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