LRTKレフィクシア株式会社

旋盤加工品の体積計算で削り代を求める6ステップ

旋盤加工品の体積計算が必要な理由

旋盤加工では、丸棒や円筒状の素材を回転させ、外周、端面、内径、溝、テーパーなどを切削して目的の形状に仕上げます。加工前の素材と加工後の完成品では体積が異なるため、その差を求めることで、理論上どの程度の材料を除去するのかを把握できます。

加工前後の体積差は、設定した素材境界の内側で切削によって取り除かれる材料の理論上の実体積です。この値を利用すると、材料歩留まりの確認、切りくず発生量の概算、加工時間の検討、材料重量の管理などを行いやすくなります。特に、大径の素材から細い軸を削り出す場合や、深い内径加工を行う場合は除去体積が大きくなるため、事前の体積計算が加工計画の基礎になります。

ただし、旋盤加工で使われる「削り代」という言葉には注意が必要です。一般には、仕上がり寸法に対して素材側に残しておく寸法上の余裕を指します。たとえば、完成外径が50ミリメートルで素材外径が54ミリメートルなら、直径差は4ミリメートル、片側の半径方向の削り代は2ミリメートルです。

一方、素材体積から完成品体積を差し引いて求める値は、寸法ではなく除去体積です。本記事では、この除去体積を中心に、素材からどの程度の材料を削る必要があるかを確認するための体積計算を解説します。寸法としての削り代と、体積としての除去量を分けて考えることが重要です。

旋盤加工品は、外観が複雑に見えても、円柱、円筒、円すい台などの回転体へ分解できることが少なくありません。基本的な体積公式と計算順序を理解すれば、段付き軸、フランジ、カラー、ブッシュ、ローラーなど、さまざまな形状に応用できます。

削り代を計算する前に理解したい基本

体積計算を始める前に、使用する寸法の単位と基準を統一します。図面寸法がミリメートルで記載されている場合は、すべての寸法をミリメートルにそろえると管理しやすくなります。この場合、計算結果の単位は立方ミリメートルです。

立方センチメートルへ換算するときは、立方ミリメートルの値を1,000で割ります。1センチメートルは10ミリメートルですが、体積は三方向の寸法を掛け合わせるため、1立方センチメートルは1,000立方ミリメートルです。

立方メートルへ換算するときは、立方ミリメートルの値を1,000,000,000で割ります。比較的小さな旋盤加工品では立方ミリメートルや立方センチメートルが扱いやすく、大型ローラーや長尺シャフトでは立方メートルを使う場合もあります。

円柱の体積は、次の式で求められます。

円柱の体積=円周率×半径×半径×長さ

直径を使う場合は、次の形に変換できます。

円柱の体積=円周率×直径×直径÷4×長さ

旋盤加工の図面では直径寸法が多く使われるため、直径を用いた式のほうが入力しやすいことがあります。ただし、直径をそのまま半径として式へ入れると、計算結果は正しい値の4倍になります。半径を使う式と直径を使う式を混在させないようにします。

中空円筒の体積は、外側の円柱体積から内側の穴の体積を差し引いて求めます。

中空円筒の体積=円周率×外径×外径÷4×長さ-円周率×内径×内径÷4×長さ

この式は、ブッシュ、カラー、スリーブ、パイプ状部品などの計算に使用できます。内径が途中までしか加工されていない止まり穴の場合は、対象とする円筒部分の深さを長さとして計算し、必要に応じて穴底の先端形状を別に加えます。

また、体積計算に使用する寸法は、どの加工段階を対象にするかによって変わります。素材寸法、荒加工後寸法、仕上げ前寸法、完成寸法を区別し、計算対象を明確にしておくことが重要です。

ステップ1 素材の形状と寸法を確定する

最初のステップは、加工前素材の形状と寸法を確定することです。旋盤加工では丸棒を使用するケースが多いものの、鋳造品、鍛造品、切断済みの円筒素材、中空素材などから加工を始める場合もあります。素材形状が異なれば、使用する体積公式も変わります。

丸棒素材であれば、素材外径と素材長さを確認します。ここで使用する長さは、完成品の全長ではなく、実際に一個分として切り出して加工する素材の長さです。端面加工のための余長、切断面の傾きや粗さを除去するための余長、突切りや切断の扱いなどを計算目的に応じて整理します。

たとえば、完成品の全長が100ミリメートルでも、両端面を仕上げるために合計5ミリメートルの余長を設けるなら、素材長さは105ミリメートルとして計算します。ただし、どちらの端面に何ミリメートル残すかは、把握方法や加工工程によって異なります。両端へ均等に振り分けるとは限らないため、工程図や作業指示と照合します。

丸棒の呼び径と実際の素材外径が一致しない場合もあります。素材の製造公差、表面状態、黒皮、曲がり、真円度などを考慮し、必要に応じて実測値を使用します。概算では呼び径を用いることもできますが、材料重量や切削量を細かく管理するなら、受入時の実測値を反映したほうが実態に近い結果になります。

中空素材を使用する場合は、外径、内径、長さを確認します。完成品に大きな穴がある場合、丸棒から穴をすべて削り出すよりも、中空素材を使用したほうが除去体積を減らせる可能性があります。素材選定を比較する際にも体積計算が役立ちます。

素材が鋳造品や鍛造品で、単純な円柱ではない場合は、図面や測定結果を基に複数の区間へ分割します。各区間を円柱や円すい台として近似し、それぞれの体積を合計します。複雑な素材を無理に一つの公式へ当てはめるよりも、長さ方向に分割したほうが計算しやすくなります。

この段階では、素材体積の対象範囲も決めておきます。一本の長尺棒材全体を対象とするのか、一個分として切り出した素材だけを対象とするのかによって値が変わります。加工品一個当たりの除去量を求める場合は、一個分の素材境界を明確にします。

ステップ2 完成品を単純形状に分解する

次のステップでは、完成品の形状を体積計算しやすい単純な形へ分解します。旋盤加工品は回転対称形状が中心であるため、長さ方向に区切ると複数の円柱として扱える場合が多くあります。

段付き軸であれば、外径が変化する位置ごとに区間を分けます。たとえば、外径50ミリメートルで長さ40ミリメートルの区間、外径40ミリメートルで長さ50ミリメートルの区間、外径58ミリメートルで長さ10ミリメートルのフランジ部というように整理します。各区間の体積を個別に計算し、最後に合計すれば外形体積を求められます。

完成品に貫通穴や止まり穴がある場合は、外形体積から穴の体積を差し引きます。穴の直径が途中で変わる段付き穴であれば、内径が変化する位置ごとに円柱へ分割します。座ぐり、内径段差、深穴なども同じ考え方で整理できます。

テーパー部は円すい台として扱います。円すい台とは、円すいを底面と平行な平面で切ったときに得られる形状です。旋盤加工では、一端の直径と他端の直径が異なる直線テーパーが該当します。

溝は、溝底径と溝幅から体積差を求めます。まず溝加工前の外径による円柱体積を計算し、次に溝底径による円柱体積を計算して、その差を溝の除去体積とします。複数の溝がある場合は、一つずつ計算して合計します。

面取りや小さな丸みは、概算段階では省略することもあります。ただし、部品が小さく面取り量が相対的に大きい場合や、生産数量が多く累積差が問題になる場合は、面取り部分も計算に含めます。面取りは円すい台の差や、三角形断面を回転させた立体として扱えますが、計算目的に応じて必要な精度を設定します。

ねじ部は、ねじ山とねじ谷が連続するため、単純な円柱だけでは厳密に表しにくい形状です。材料重量や切削量の概算では、ねじ部の実体積が外径円柱と谷径円柱の間にあることを踏まえ、目的に合う近似径を設定する方法があります。精密な算定が必要な場合は、ねじ形状を含む三次元モデルから体積を取得する方法が適しています。

形状分解では、同じ領域を二重に加算しないことが重要です。隣り合う円柱の長さを合計したときに完成品の全長と一致するか確認すると、重複や抜けを見つけやすくなります。

ステップ3 加工前の素材体積を計算する

素材形状と寸法が確定したら、加工前の素材体積を求めます。丸棒素材であれば、素材外径と素材長さを円柱の体積公式へ代入します。

素材体積=円周率×素材外径×素材外径÷4×素材長さ

たとえば、外径60ミリメートル、長さ105ミリメートルの丸棒であれば、素材体積は次のように計算します。

素材体積=円周率×60×60÷4×105

円周率を約3.1416として計算すると、素材体積は約296,881立方ミリメートルです。立方センチメートルへ換算すると約296.9立方センチメートルになります。

素材が中空円筒の場合は、外径による体積から内径による体積を差し引きます。

素材体積=円周率×外径×外径÷4×長さ-円周率×内径×内径÷4×長さ

実際の素材に穴があるにもかかわらず、外径だけで円柱体積を計算すると、素材量を過大に見積もることになります。丸棒と中空材を取り違えないように、素材仕様を確認します。

鋳造品や鍛造品から加工する場合は、素材を複数区間へ分けて計算します。各区間の体積を合計し、素材にすでに存在する穴やくぼみがあれば差し引きます。寸法が一定ではない場合は、断面変化を円すい台として近似すると、単純な円柱だけで計算するよりも実形状に近づけられます。

素材体積を計算するときは、切断によって失われる部分の扱いも決めます。一本の棒材から複数個を切り出す場合、突切りや切断で生じる幅は完成品体積には含まれませんが、材料消費量には含まれます。材料歩留まりを確認する目的なら、切断幅や端材を含めて計算します。

一方、旋盤の切削工程だけで除去する体積を求めたい場合は、切断工程を別に扱ったほうが分かりやすくなります。何を素材体積に含めるかは、材料管理、加工時間予測、切りくず量予測など、計算目的に合わせて統一します。

ステップ4 加工後の完成品体積を計算する

完成品体積は、ステップ2で分解した単純形状の体積を順番に計算し、合計または差し引きによって求めます。段付き軸の外形は、それぞれの外径区間の円柱体積を合計します。

区間ごとの体積=円周率×区間外径×区間外径÷4×区間長さ

外形体積=各区間の体積の合計

完成品に穴がある場合は、外形体積から穴体積を差し引きます。

完成品体積=外形体積-穴体積

貫通穴であれば、基本的に完成品全長を穴の長さとして計算します。ただし、穴径が区間によって異なる場合は、それぞれの内径区間を分けて計算します。止まり穴の場合は、図面上の穴深さが円筒部分の深さを示しているのか、先端形状を含む全深さを示しているのかを確認します。

穴あけ工具で加工した止まり穴の底部には、円すい状の先端形状が残る場合があります。概算では円柱として扱うこともできますが、精密な除去体積を求める場合は、円筒部分と先端部分を分けて計算します。仕上げ加工で底面を平らにする場合は、完成形状に合わせます。

テーパー部分の体積は、次の式で求められます。

円すい台の体積=円周率×長さ÷12×(大径の二乗+大径×小径+小径の二乗)

ここで使用する長さは、テーパーの軸方向長さです。斜面に沿った長さではありません。図面に角度と直径差だけが示されている場合は、軸方向長さを確認または計算してから体積式へ代入します。直径を使ったこの式は、半径を使う標準的な円すい台の体積式と一致します。OpenStax

溝による除去体積は、溝加工前の外径と溝底径の差から求めます。

溝除去体積=円周率×溝加工前外径の二乗÷4×溝幅-円周率×溝底径の二乗÷4×溝幅

完成品体積を直接求める場合は、溝部分を溝底径の円柱として計算し、他の区間と合計しても構いません。どちらの方法でも、溝幅の範囲を他区間と重複させないことが重要です。

ステップ5 素材体積と完成品体積の差を求める

素材体積と完成品体積が求められたら、両者の差を計算します。

理論除去体積=素材体積-完成品体積

この値は、設定した素材境界から完成形状まで加工するときに取り除かれる材料の理論上の実体積です。計算結果が負の値になった場合は、素材寸法、完成品寸法、区間長さ、穴体積の符号などに誤りがある可能性があります。

除去割合を求めると、素材体積のうち何パーセントが取り除かれるかを確認できます。

除去割合=理論除去体積÷素材体積×100

除去割合が高い加工品は、材料歩留まりが低くなりやすく、切削時間や切りくず処理の負担も増える傾向があります。ただし、除去体積が同じでも加工時間が同じになるとは限りません。外径荒削り、深穴加工、細溝加工、仕上げ加工では、使用できる切込み量、送り量、切削速度が異なるためです。

加工時間の概算に使う材料除去率は、一般に単位時間当たりの除去体積として扱います。体積の単位を立方ミリメートル、材料除去率の単位を立方ミリメートル毎分にそろえれば、理論除去体積を材料除去率で割ることで、切削に要する正味時間の概算ができます。ただし、段取り、工具交換、接近と退避、測定、切りくず処理、仕上げ切削などの時間は別に加味します。材料除去率が体積を時間で微分した量として扱われることや、旋削で体積毎分の指標が使われることは、加工公式でも確認できます。Sandvik Coromant+1

また、切りくずの見かけ体積と理論除去体積は一致しません。理論除去体積は切削前の材料が占めていた実体積ですが、切りくずは巻き形状や細片となり、間に空隙を含みます。そのため、回収容器にたまる切りくずのかさは、計算した除去体積より大きくなることがあります。

切りくず回収箱の容量を検討する場合は、理論除去体積をそのまま容器容量と比較するのではなく、切りくず形状、圧縮状態、材質、回収方法などを考慮した実績値を使うことが現実的です。

ステップ6 計算結果を重量や加工計画へ展開する

理論除去体積が分かれば、材料の密度を掛けることで理論除去重量を求められます。

理論除去重量=理論除去体積×材料密度

体積を立方センチメートル、密度を1立方センチメートル当たりのグラムで扱えば、重量はグラムで求められます。体積を立方ミリメートルで扱う場合は、密度の単位も整合させるか、先に立方センチメートルへ換算します。材質によって密度は異なるため、材料規格、材料証明書、社内の材料データなどに記載された値を使用します。

同じ寸法の部品でも、鋼系材料、アルミニウム系材料、銅系材料、樹脂材料では重量が大きく異なります。密度を一律に扱うと重量計算にずれが生じるため、材質ごとに値を管理します。

理論除去重量を生産数量分だけ合計すれば、一つの製造単位で発生する切削材料量を概算できます。切りくず回収、運搬、分別、再資源化の計画を立てる際にも参考になります。

理論除去体積は、素材選定の比較にも使えます。丸棒から削り出す場合と、完成形状に近い中空材や鍛造素材から加工する場合で、それぞれの素材体積と完成品体積を計算すれば、材料使用量の違いを数値で確認できます。

ただし、除去体積が少ない素材が常に最適とは限りません。素材の入手性、寸法公差、つかみやすさ、変形の可能性、加工基準の確保、必要な前処理なども判断材料になります。体積計算は、複数の加工案を比較するための一つの指標として使用します。

加工時間を概算するときは、除去体積だけでなく、工程ごとの材料除去率を考慮します。荒加工では一度に多くの材料を除去できますが、仕上げ加工では寸法精度や表面状態を確保するため、切込みや送りを小さくすることがあります。

穴加工では、穴径、穴深さ、下穴の有無、切りくず排出性なども時間へ影響します。深穴になるほど切りくず排出や冷却の条件が厳しくなるため、同じ除去体積の外径加工よりも長い時間を要する場合があります。

体積計算の結果は、単独で加工時間を決定する数値ではありません。工程設計を行う際に、切削条件、工具経路、加工回数、機械の能力などと組み合わせて利用します。

段付き軸の体積計算を行う具体例

ここでは、丸棒素材から段付き軸を加工する例で、削り取る体積を計算します。素材は外径60ミリメートル、長さ105ミリメートルの丸棒とします。

完成品の全長は100ミリメートルで、外形は三つの区間に分かれているものとします。第一区間は外径50ミリメートル、長さ40ミリメートルです。第二区間は外径40ミリメートル、長さ50ミリメートルです。第三区間は外径58ミリメートル、長さ10ミリメートルです。

さらに、完成品の中心には内径20ミリメートル、長さ100ミリメートルの貫通穴があるものとします。面取り、溝、表面の微細な凹凸は、この概算では含めません。

まず、素材体積を計算します。

素材体積=円周率×60×60÷4×105

素材体積は約296,881立方ミリメートルです。

次に、第一区間の外形体積を計算します。

第一区間体積=円周率×50×50÷4×40

計算結果は約78,540立方ミリメートルです。

第二区間の外形体積は次のとおりです。

第二区間体積=円周率×40×40÷4×50

計算結果は約62,832立方ミリメートルです。

第三区間の外形体積は次のとおりです。

第三区間体積=円周率×58×58÷4×10

計算結果は約26,421立方ミリメートルです。

三つの区間を合計すると、穴を差し引く前の外形体積は約167,793立方ミリメートルになります。

続いて、貫通穴の体積を計算します。

穴体積=円周率×20×20÷4×100

穴体積は約31,416立方ミリメートルです。

完成品体積は、外形体積から穴体積を差し引いて求めます。

完成品体積=167,793-31,416

完成品体積は約136,377立方ミリメートルです。

最後に、素材体積から完成品体積を差し引きます。

理論除去体積=296,881-136,377

理論除去体積は約160,504立方ミリメートルです。立方センチメートルへ換算すると、約160.5立方センチメートルになります。

除去割合は次のように求められます。

除去割合=160,504÷296,881×100

計算結果は約54.1パーセントです。この加工例では、設定した一個分の素材体積の半分を超える部分が除去される計算になります。

仮に材料密度を1立方センチメートル当たり7.85グラムとして計算すると、理論除去重量は約1,260グラムです。ただし、実際の重量計算では対象材料の密度を確認して使用します。

寸法としての削り代を見ると、素材外径60ミリメートルから外径50ミリメートルへ仕上げる区間では、直径差が10ミリメートル、片側の半径方向では5ミリメートルです。外径40ミリメートルへ仕上げる区間では、直径差が20ミリメートル、片側では10ミリメートルです。

外径58ミリメートルの区間では、直径差が2ミリメートル、片側では1ミリメートルです。このように、部品全体の理論除去体積と、各加工面に残された寸法上の削り代は別々に確認します。

テーパーや穴を含む形状の計算方法

旋盤加工品には、一定外径の円柱だけでなく、テーパー、段付き穴、止まり穴、溝、面取りなどが含まれることがあります。これらを計算するときも、基本は形状を分けて足し引きすることです。

直線テーパーは円すい台として計算します。大径をD1、小径をD2、軸方向長さをLとすると、体積は次の式で求められます。

テーパー体積=円周率×L÷12×(D1の二乗+D1×D2+D2の二乗)

素材側が一定外径で、完成品に外径テーパーを加工する場合は、加工前の円柱体積からテーパー体積を差し引けば、テーパー加工による理論除去体積を求められます。

内径テーパーの場合は、テーパー状の空間体積を完成品の外形体積から差し引きます。外径テーパーと内径テーパーでは、実体積へ加えるのか、空洞として差し引くのかが異なるため、完成品の実体部分と空洞部分を分けて整理します。

段付き穴は、各内径区間を円柱として計算します。たとえば、入口側に大径の座ぐりがあり、その奥に小径穴が続く場合は、座ぐり部分と小径穴部分を別々に求めます。このとき、座ぐり部分の長さと小径部分の長さが重複しないようにします。

止まり穴では、穴底の形状を確認します。平底であれば円柱として扱えますが、先端が円すい状であれば円柱部分と円すい部分を合計します。概算で先端形状を無視する場合は、その扱いを計算条件として記録します。

外周溝では、溝幅の範囲にある加工前外径の体積と溝底径の体積の差を求めます。内径溝では、溝によって内径が大きくなるため、溝部分の空洞体積が増加します。外周溝と内径溝では体積差の向きが異なります。

面取りは、円柱の角部から小さな回転体を除去した形状です。面取り寸法が小さい場合は、全体体積への影響も小さい傾向があります。ただし、薄肉部品や小径部品では無視できないことがあります。

丸み形状は、円弧を回転させた立体となるため、手計算が複雑になる場合があります。高い精度が必要であれば、三次元形状データの体積計算機能を用いて確認し、手計算結果と照合します。

三次元形状データを利用する場合でも、入力寸法や形状モデルが正しいことが前提です。穴が閉じられている、形状が重複している、単位設定が異なるといった状態では、体積値も誤ります。自動計算の結果だけでなく、単純形状による概算値と比較することが有効です。

体積計算と寸法上の削り代を混同しない

旋盤加工の計画では、体積による除去量と、寸法による削り代の両方を使用します。しかし、体積差だけから各加工面の削り代を一意に決めることはできません。

同じ除去体積であっても、短い区間を深く削る場合と、長い区間を浅く削る場合では、必要な直径方向の削り代が異なります。どの面からどれだけ削るかを決めるには、素材寸法と完成寸法を面ごとに比較します。

外径加工の片側の半径方向削り代は、次の式で求めます。

半径方向削り代=(素材外径-完成外径)÷2

括弧を省いて「素材外径-完成外径÷2」と書くと、通常の計算順序では完成外径だけを2で割る式として解釈されるため、誤りになります。直径差全体を2で割ることが分かるように、括弧を明示します。

端面の軸方向削り代は、素材端面から完成端面まで除去する長さです。両端を加工する場合は、素材全長と完成全長の差をどちらの端面へ割り当てるかを加工工程に応じて決めます。

たとえば、素材全長が105ミリメートル、完成全長が100ミリメートルであっても、両端を2.5ミリメートルずつ削るとは限りません。最初の端面で基準を作り、反対側から残りを仕上げる工程であれば、端面ごとの削り量は異なります。

荒加工後に仕上げ代を残す場合は、素材寸法、荒加工寸法、完成寸法の三段階で管理します。素材から荒加工寸法までの差が荒取り量であり、荒加工寸法から完成寸法までの差が仕上げ代です。

仕上げ代は、必要精度、表面状態、熱変形、加工後のひずみ、工具摩耗などを考慮して設定します。体積計算で得られる総除去量だけでは、適切な仕上げ代を決定できません。図面要求と加工条件に基づいて設定します。

したがって、体積計算は材料全体の除去量を把握するために使用し、寸法上の削り代は各加工面の工程設計に使用するという分担が適切です。

計算ミスを防ぐための確認ポイント

旋盤加工品の体積計算では、公式そのものよりも、寸法の読み違いや形状分解の不整合によって誤差が生じることがあります。計算後は、複数の観点から確認します。

最初に確認したいのは、直径と半径の使い分けです。円柱体積を半径で計算する式に直径を代入すると、正しい値の4倍になります。図面寸法が直径表示である場合は、直径を用いる式へ統一すると間違いを減らせます。

次に、区間長さの合計を確認します。段付き軸の各区間長さを合計した値が完成品全長と一致しなければ、区間の重複または不足が考えられます。穴についても、各深さの合計が図面形状と一致するか確認します。

単位の統一も欠かせません。ミリメートルとセンチメートルが混在すると、体積では大きな差になります。入力寸法を一つの単位にそろえてから計算し、最後に必要な単位へ換算します。

単純な切削加工だけを対象にする場合、素材体積は完成品体積以上になるのが基本です。素材体積より完成品体積が大きくなった場合は、素材寸法、区間寸法、穴体積の差し引き、テーパー式などを見直します。肉盛り、溶接、圧入、別部品の接合を伴う工程では、切削だけの体積収支とは分けて扱います。

穴や溝などの空間は、完成品の実体積から差し引きます。外形区間を合計しただけでは、中空部品の体積を過大に算定します。特に、外径形状が単純で内径形状が複雑な部品では、内径区間の計算漏れに注意します。

円周率や小数点の丸め方法も統一します。途中計算で桁を早く丸めると、区間数が多い部品では差が積み重なります。途中では十分な桁数を保持し、最終結果で必要な桁へ丸めます。

計算表を作成する場合は、素材、外形区間、穴区間、溝、テーパー、面取りなどを区別し、加算する体積と減算する体積を明確にします。過去の部品計算を流用するときは、寸法だけでなく、区間数や数式の参照範囲も確認します。

概算値による確認も有効です。完成品が素材の半分程度の直径で、長さがほぼ同じなら、外形体積は素材の約4分の1になります。計算結果が直感的な大きさから大きく外れている場合は、入力や式を再確認します。

実測重量との照合もできます。素材重量と完成品重量を測定し、その差を材料密度で割れば、実際の質量差に対応する体積の参考値が得られます。ただし、切削油の付着、表面処理、測定器の精度、材料密度のばらつき、切断片の扱いなどが影響するため、理論値と完全に一致するとは限りません。

体積計算を加工現場で活用する方法

体積計算は、図面確認だけでなく、見積もり、工程設計、生産管理、材料管理など幅広い業務に利用できます。

加工前に理論除去体積を把握しておけば、荒加工の負荷が大きい部品を見分けやすくなります。除去体積が大きい部品では、加工時間、工具寿命、切りくず排出、冷却条件などを重点的に検討できます。

複数の素材候補がある場合は、それぞれの素材体積と完成品体積の差を計算します。丸棒、中空材、完成形状に近い素材などを比較することで、材料歩留まりの違いを数値化できます。

ただし、材料歩留まりだけで素材を選定するのではなく、加工基準の確保、素材公差、調達条件、変形の可能性などを含めて判断します。体積差が小さくても、素材のばらつきが大きければ安定した加工が難しくなる場合があります。

生産数量が多い場合は、一個当たりの理論除去体積を数量倍することで、製造単位全体の除去量を計算できます。材料別に集計すれば、切りくずの分別計画や保管方法の検討にも役立ちます。

加工実績との比較も重要です。計算上の理論除去体積、実際の加工時間、使用した工具、切削条件、発生した不具合などを記録すると、類似部品の計画精度を高められます。

体積計算を標準化する場合は、素材寸法、完成品区間、穴形状、理論除去体積、除去割合、材料密度、重量換算値などの入力項目を統一します。担当者ごとに計算方法が異なる状態を避ければ、確認や再計算がしやすくなります。

複雑な部品では、三次元形状データから得た体積と手計算による概算値を比較します。両者に大きな差がある場合は、穴、溝、面取り、ねじ部などの扱いを確認します。自動計算と手計算を併用することで、入力ミスやモデル不備を発見しやすくなります。

また、体積計算の結果だけでなく、どの寸法を使用したかを残すことが重要です。素材の呼び寸法を使ったのか、実測寸法を使ったのか、面取りを含めたのか、穴底をどの形状として扱ったのかを記録すれば、後から計算結果を検証できます。

まとめ

旋盤加工品の削り量を体積から求める基本は、加工前の素材体積と加工後の完成品体積をそれぞれ計算し、その差を理論除去体積として求めることです。

最初に素材の外径、内径、長さ、加工余長を確定します。次に、完成品を円柱、円筒、円すい台などの単純形状へ分解します。その後、素材体積と完成品体積を計算し、両者の差から理論除去体積を求めます。最後に、密度を使った重量換算や、材料歩留まり、切りくず量、加工時間の検討へ展開します。

体積としての除去量と、半径方向や軸方向の寸法上の削り代は同じものではありません。総除去体積は部品全体の材料除去量を示しますが、各加工面に必要な削り代は、素材寸法と完成寸法を個別に比較して求めます。

計算時には、直径と半径、単位、区間長さ、穴の差し引き、テーパーの軸方向長さなどを確認します。途中計算では十分な桁数を保持し、最終段階で丸めることで計算誤差を抑えられます。

体積計算の手順を標準化し、実際の加工時間や重量と照合すれば、見積もりや工程設計の精度向上につながります。また、屋外で素材や完成品の位置付き写真を残す必要がある業務では、LRTK Phoneの位置付き写真機能を記録手段の一例として検討できます。ただし、これは旋盤加工品の体積計算を自動化したり、計算結果と自動連携したりする機能を意味するものではありません。Lefixea Inc.+1

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る