LRTKレフィクシア株式会社

十二条点検で大型店舗の避難誘導灯を確認する4項目

十二条点検と避難誘導灯の関係を正しく整理する

大型店舗の建物管理を担当していると、十二条点検の際に避難誘導灯まで確認するのか迷うことがあります。ここで最初に整理したいのは、建築基準法第12条に基づく定期報告制度と、消防法令に基づく消防用設備等点検報告制度は、根拠法令、報告先、点検項目が異なるという点です。

一般に十二条点検と呼ばれる定期報告制度では、対象となる建築物、建築設備、防火設備、昇降機などについて、損傷や劣化、不適切な改変の有無などを調査または検査し、特定行政庁へ報告します。建築設備の区分には、給排水設備、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置などが含まれます。ただし、建築物や設備が報告対象になるか、どの時期に報告するかは、用途や規模だけでなく、政令の規定や所在地を管轄する特定行政庁の指定を確認する必要があります。国土交通省も、定期報告の対象には国が一律に定めるものと、地域の実情に応じて特定行政庁が定めるものがあると案内しています。国土交通省+1

この記事のタイトルでは検索時に使われやすい避難誘導灯という表現を用いていますが、消防法令上の設備名としては誘導灯が基本です。誘導灯は、避難口の位置や避難方向を示す消防用設備等です。これに対して、非常用の照明装置は、停電時などに床面や避難経路を照らす建築設備です。どちらも避難安全に関係しますが、目的と法令上の位置付けは同一ではありません。

したがって、誘導灯の種類、設置適否、非常電源への切替機能、定格時間の非常点灯などを正式に確認する作業は、消防法令に基づく点検基準と点検要領に沿って実施する必要があります。消防庁の点検要領では、誘導方向、視認障害、外形、非常電源、光源、点検スイッチなどが誘導灯の点検項目として示されています。消防庁+3消防庁+3消防庁+3

一方、特定建築物の定期調査では、廊下、出入口、階段、避難経路、防火区画など、建物側の避難安全を確認します。その過程で、誘導灯が什器に隠れている、不点灯になっている、矢印と現況の避難方向が合っていないといった明らかな異常に気付くことがあります。これらを見過ごさず、施設管理者や消防設備の点検担当者へ引き継ぐことは、制度を混同することではなく、建物全体の避難安全を高めるための情報連携です。

この記事で扱う4項目は、消防用設備等点検の代替手順ではありません。十二条点検の現場で目視できる状態と、消防用設備等の点検記録を関連付け、専門的な確認や是正が必要な箇所を確実に引き継ぐための実務上の視点です。

大型店舗で避難誘導灯の確認が重要な理由

大型店舗では、竣工時の状態が長期間そのまま維持されるとは限りません。季節商品の入れ替え、催事場の設営、特設売場の増設、テナントの入れ替え、間仕切りの変更、棚やレジの移動などによって、利用者から見た避難経路と誘導灯の見え方が変化します。

誘導灯が正常に点灯していても、商品棚や広告物の背後に隠れていれば、避難口や進行方向を示す役割を十分に果たせません。改装で通路の曲がり方が変わった場合には、既設の矢印が現況に合わなくなることもあります。設備本体の故障だけでなく、建物の使い方の変化が誘導機能を低下させる点が、大型店舗の管理で特に注意したい部分です。

大型店舗には、初めて来店する人、子ども、高齢者、車椅子利用者、館内の言語表示に不慣れな人など、さまざまな利用者が出入りします。従業員が非常口や階段の位置を知っていても、来店者が同じ情報を持っているとは限りません。火災時には、煙、警報音、館内放送、停電、人の集中などが重なり、通常時より周囲を認識しにくくなる可能性があります。

また、大型店舗には、避難口誘導灯、通路誘導灯、階段通路誘導灯、誘導標識などが、多数の階や区画に設けられていることがあります。台数が多いと、点灯の有無だけを短時間で確認し、表示方向や視認障害を見落としやすくなります。各器具を単独で見るのではなく、売場の奥から出口まで誘導が連続しているかを確認する視点が必要です。

物品販売業を営む店舗は、消防法施行令別表第一の特定防火対象物に含まれる用途です。消防用設備等点検報告制度では、設備の種類等に応じて機器点検を6月に1回、総合点検を年に1回実施し、特定防火対象物の点検結果は1年に1回、消防長または消防署長へ報告します。誘導灯については、消防庁が公表する誘導灯及び誘導標識の点検基準と点検要領に沿って、該当する機器点検項目を確認します。建物全体の用途構成、規模、管理区分などによって点検実施者等の扱いが変わる場合があるため、個別案件では所轄消防機関や点検資格者へ確認することが安全です。消防庁+2消防庁+2

法定点検が実施されていても、その直後に売場変更や催事設営が行われれば、次回点検までの間に新たな視認障害が生じることがあります。そのため、法定点検だけでなく、日常巡回、売場変更時、催事開始前、改装後の確認を組み合わせることが重要です。

十二条点検は、避難経路、出入口、防火戸、階段、非常用の照明装置などを建物全体の流れの中で確認する機会です。この機会に誘導灯周辺の明らかな異常も確認し、消防設備側の記録と照合すれば、建築側と消防側の情報をつなぎやすくなります。

確認項目1 設置位置と現在の避難経路が一致しているか

最初に確認するのは、誘導灯の設置位置や表示方向と、現在の避難経路が整合しているかです。

誘導灯は、器具が単独で点灯していれば十分という設備ではありません。利用者が売場の奥から避難口へ移動するとき、どちらへ進めばよいかを連続して判断できる状態が必要です。確認時には、誘導灯の直下だけを見るのではなく、利用者が滞在する位置から出口へ向かって歩き、表示のつながりを確認します。

大型店舗では、売場中央、壁際、レジ周辺、飲食区画、バックヤードとの境界、吹抜け周辺、エスカレーター付近など、立つ位置によって見え方が大きく変わります。特に、売場の奥まった場所や通路の交差部から、次に進む方向を判断できるかを確認します。

避難口誘導灯が直接見えない位置では、通路誘導灯の表示を追い、次の誘導灯または避難口へ進めるかを見ます。曲がり角の手前で次の表示が確認できない、矢印の先で通路が途切れている、改装で設けた壁や固定設備が進行を妨げているといった状態は、専門的な確認が必要です。

現場確認には、竣工時の平面図だけでなく、最新の売場配置図、避難経路図、消防用設備の配置図、テナント区画図を使用します。古い図面だけでは、間仕切り、棚、レジ、出入口などの現況を正確に把握できません。図面の作成日や改訂履歴を見て、現況と一致しているかを先に確認します。

図面上で通路になっていても、現場では商品、台車、段ボール、仮設什器などによって幅が狭くなっている場合があります。反対に、壁や棚を撤去したことで見通しが変わり、誘導灯の設置計画を再確認した方がよい場合もあります。

避難口誘導灯が設けられた扉については、扉前に物品がないか、開放操作に支障がないか、避難先が有効な経路へつながっているかを建物側の確認事項と合わせて見ます。施錠方式については、通常時に施錠されているという事実だけで直ちに不適合と決め付けず、火災時の解錠方法や避難上の取扱いを関係図書と専門家の判断で確認します。

十二条点検では、廊下、階段、出入口、防火区画などを個別に確認しますが、実務上は避難する人の動きを想定して連続的に見ることが重要です。誘導灯の矢印が正しくても、その先に物品が置かれていたり、防火戸の閉鎖範囲に什器があったりすれば、避難経路全体に支障が生じる可能性があります。

一般来店者が利用する売場だけでなく、従業員が利用するバックヤードも確認します。バックヤードは、在庫、台車、段ボール、清掃用具などが一時的に置かれやすく、誘導灯や避難口が隠れやすい場所です。従業員専用区画であっても、避難経路としての機能を維持する必要があります。

設置位置の適否に疑問がある場合、施設管理者の判断だけで誘導灯を移設したり、表示面を変更したりしてはいけません。誘導灯の種類、配置、距離、表示方向は、用途や避難経路などの条件に基づいて判断されます。現場では不整合の状況を記録し、消防設備士、消防設備点検資格者、設計者、所轄消防機関などへ確認します。

確認項目2 売場什器や広告物による視認障害がないか

2つ目の確認項目は、誘導灯の視認障害です。大型店舗では、設備本体の不具合だけでなく、商品棚、広告物、装飾、仮設間仕切りなどによって誘導灯が見えにくくなる問題が生じます。

消防庁の点検基準と点検要領では、誘導灯が所定の位置にあり、間仕切り、衝立、ロッカー、広告物、掲示物、装飾などによる視認障害がないこと、改装によって設置位置や個数が不適正になっていないことを確認するよう示されています。消防庁+2消防庁+2

背の高い商品棚は、代表的な視認障害です。棚本体が誘導灯より低くても、棚上の商品、販促パネル、案内板が表示面と重なり、離れた位置から矢印を判別できなくなることがあります。

天井からつり下げる広告物や季節装飾にも注意します。正面からは誘導灯が見えていても、斜め方向や通路の端から近づくと広告物に隠れる場合があります。利用者が常に通路中央を歩くとは限らないため、複数の方向から見え方を確認します。

催事場やイベント区画では、短期間だけ設置する展示台、パネル、仮設壁、のぼり、案内看板などが視認障害になりやすくなります。設置期間が短いことは、避難安全上の確認を省略する理由にはなりません。催事を開始する前に、予定するレイアウトの状態で誘導表示が確認できるかを見ます。

レジ待ちや入場待ちの列ができる場所では、人の集まりによって誘導灯が見えにくくなる場合があります。固定物だけでなく、営業中の混雑状態も想定します。開店前の点検で問題がなくても、営業中には行列、商品補充用の台車、仮置き在庫が視界を遮ることがあります。

誘導灯の近くに、色や明るさが紛らわしい発光表示や案内サインがある場合も確認が必要です。消防庁の点検要領でも、誘導灯と紛らわしいものや、誘導灯を遮る灯火、広告物、掲示物がないことが確認事項とされています。表示面の一部だけが見える状態ではなく、避難口であることや進行方向を短時間で判別できるかという視点で確認します。

確認位置は、成人の立った目線だけに限定しません。来店者の利用実態に応じて、低い目線からも見え方を確認すると、商品棚や人の列による影響に気付きやすくなります。これは法定点検項目を独自に変更するものではなく、店舗運用上の補足確認です。

視認障害を発見した場合は、見えにくいという表現だけで終わらせず、どの位置から、どの方向を見たときに、何が遮っているかを記録します。障害物が常設か仮設か、移動可能か、別の設備や避難経路へ影響しない範囲で解消できるかも確認します。

移動可能な広告物や商品であれば、その場で安全な位置へ移せる場合があります。ただし、移動先で消火器、屋内消火栓、防火戸、非常口などをふさがないようにします。誘導灯の移設、増設、表示方向の変更が必要と考えられる場合は、消防設備の専門家と所轄消防機関への確認を経て対応します。

確認項目3 表示面、外箱、点灯状態に異常がないか

3つ目の確認項目は、誘導灯の表示面、外箱、取付状態、点灯状態です。大型店舗では確認台数が多いため、遠目に点灯していることだけを見て回ると、破損や方向表示の誤りを見落とす可能性があります。

まず、不点灯、ちらつき、著しい暗さ、部分的な影などがないかを確認します。点灯が一時的に戻った場合でも、異常が解消したと決め付けず、確認した時刻、症状、場所を記録して点検担当者へ引き継ぎます。

表示面については、割れ、変形、変色、脱落、著しい汚損、図柄や矢印の判別しにくさを確認します。消防庁の点検要領では、外箱や表示面に変形、損傷、変色、脱落、著しい汚損などがなく、取付状態が適正であることが判定事項とされています。光源についても、汚損、著しい劣化、ちらつき、異常表示などがなく正常に点灯していることが求められています。消防庁+1

店舗内では、ほこり、油分、清掃時の水分などが器具へ付着する場合があります。表面清掃で改善する汚れもありますが、繰り返し汚れる場合や、器具周辺に漏水跡、結露跡、天井材の変色がある場合は、汚れの原因まで確認します。器具だけを交換しても、漏水などの原因が残れば再発するおそれがあります。

外箱については、ひび割れ、変形、隙間、ぐらつき、著しい腐食などを確認します。つり下げ型では、支持材、取付金物、天井側の固定状態も目視します。落下のおそれがあるように見える場合は、周囲への立入りや通行を管理した上で、早急に専門業者へ確認を依頼します。

バックヤードや搬入口に近い誘導灯は、台車、脚立、搬入物などが接触して損傷することがあります。外箱のへこみ、表示面の傷、器具の傾き、固定部の変形がないかを重点的に確認します。

点灯状態を見るときは、表示面全体が均一に見えるかも確認します。図柄の一部が暗い、配線などの影が表示面に出ている、矢印だけが判別しにくいといった状態は、近くでは気付きにくくても、離れると認識しにくくなります。

表示方向も重要です。清掃、修繕、内装工事の後に表示面が誤って取り付けられると、点灯自体は正常でも、矢印が現況の避難方向と一致しない場合があります。確認項目1の避難経路との整合と合わせて見ます。

同じ区画で複数の誘導灯に、変色、暗さ、ちらつきなどが見られる場合は、個別の偶発的な故障だけでなく、設置時期や使用環境に共通する要因も考えられます。消防用設備等点検の過去記録と照合し、修繕や交換の履歴を確認します。

現場担当者が器具を分解したり、配線や内部部品に触れたりすることは避けます。目視で確認できる異常を記録し、必要な資格と知識を持つ担当者へ引き継ぎます。

確認項目4 非常電源と点検記録が適切に管理されているか

4つ目の確認項目は、非常電源に関する点検結果と、記録の管理状況です。誘導灯は、常用電源が失われた場合にも必要な機能を維持できるよう、非常電源を備えています。

通常時に点灯していても、停電時の切替や非常点灯の継続が正常とは限りません。消防庁の点検要領では、内蔵型非常電源について、非常電源へ切り替えた際に不点灯やちらつきがなく、定格時間の非常点灯を確認すること、自動点検機能を備える場合は異常表示などがないことが示されています。消防庁+2消防庁+2

ただし、十二条点検の担当者が、施設運営や他設備への影響を確認せず、独自に電源を遮断して試験することは適切ではありません。非常電源の機能確認は、消防用設備等の点検計画に基づき、関係者の調整、安全措置、所定の方法を整えた上で実施します。

十二条点検時には、消防用設備等点検結果報告書、誘導灯の点検票、不具合一覧、修繕記録、再確認記録を確認します。最新の点検で非常電源や光源に不具合が指摘されていないか、指摘事項が修繕済みか、修繕後の確認が記録されているかを照合します。

大型店舗では、建物所有者、施設管理者、テナント、設備管理会社など、複数の関係者が設備管理に関わります。共用部とテナント区画で管理担当が分かれている場合、点検記録も分散しやすくなります。建物全体として確認が抜けている区画がないか、管理範囲と連絡経路を明確にします。

消防法上、消防用設備等の点検と報告は、防火対象物の関係者に求められるものです。実務上の役割分担は所有関係、賃貸借契約、管理委託契約などによって異なるため、共用部か専有部かだけで責任を単純に決め付けず、契約書、管理規程、届出関係書類を確認します。

点検記録では、点検日だけでなく、指摘内容、対応責任者、修繕予定日、完了日、再確認者を確認します。不良の記載があるのに、修繕日や再確認結果がない場合は、現況を確認し、是正管理を継続します。

修繕を依頼しただけでは完了とはいえません。部材手配中、工事日程調整中、テナントとの入室調整中などの理由で未完了になっていることがあります。依頼日と完了確認日を分けて記録し、未完了案件が一覧で分かる状態にします。

誘導灯を交換、移設、増設した場合は、場所、実施日、理由、作業者、確認結果を記録します。改装に伴う変更では、消防用設備の配置図や届出関係書類との整合も確認します。

十二条点検の報告書と消防用設備等の点検結果を別々に保管するだけでは、同じ場所で繰り返される問題に気付きにくくなります。階数、区画名、柱番号、出入口番号など、共通の場所識別を設定すると、避難口前の物品放置、誘導灯の視認障害、防火戸周辺の障害物などを横断的に追跡できます。

写真を記録するときは、誘導灯の近接写真だけでなく、利用者が近づく方向から見た写真、撮影方向、周辺の目印も残します。写真だけでは場所や視認条件を特定できないことがあるためです。

十二条点検前に準備しておきたい資料と現場情報

大型店舗の誘導灯を効率よく確認するには、現場を歩き始める前の資料整理が重要です。資料が不足すると、点灯の有無は確認できても、現況の避難計画や過去の指摘との整合を判断しにくくなります。

最初に、建物が定期報告の対象となる根拠と報告時期を確認します。物品販売店舗であるという用途名だけで、すべての建物や設備の報告範囲が同じになるわけではありません。特定行政庁からの案内、前回の定期報告書、建築物の用途、階数、床面積、増改築履歴などが分かる資料を準備します。

次に、最新の平面図、避難経路図、消防用設備配置図、テナント配置図を用意します。図面の日付と改訂履歴を確認し、現在の売場と一致しているかを整理します。各テナントが独自に内装工事を行っている場合は、建物全体図だけでなく、区画内の最新図面も確認します。

直近の消防用設備等点検結果報告書と誘導灯の点検票も重要です。誘導灯だけでなく、避難器具、非常警報設備、自動火災報知設備など、避難行動に関係する指摘の有無も確認します。

前回の十二条点検報告書では、廊下、階段、出入口、防火戸、非常用の照明装置などの指摘を確認します。誘導灯周辺で物品放置や通行障害が繰り返されている場合は、重点確認箇所として点検ルートに組み込みます。

改装工事、売場変更、テナント入れ替え、催事設営の履歴も準備します。前回の消防用設備等点検後に間仕切りや什器を変更していれば、その変更範囲で新たな視認障害や表示方向の不整合が生じていないかを確認します。

点検ルートは、管理担当者が普段通る動線だけでなく、来店者が売場の奥から避難口へ向かう動線を基準に設定します。各階の主要な売場、通路交差部、直通階段、屋外出口、バックヤードを一続きで確認できるようにします。

開店前や閉店後は器具の確認を行いやすい一方、営業中にだけ発生する行列、台車、仮置き商品、催事運用などは把握しにくくなります。必要に応じて、営業時間外の詳細確認と、営業中の運用確認を組み合わせます。

施設管理担当者、売場責任者、テナント担当者、警備担当者、消防設備の点検担当者の連絡先を整理しておきます。異常を発見したとき、管理範囲と連絡先が分かれば、応急対応と専門点検への引継ぎを速やかに進められます。

不具合を発見したときの記録と是正対応

誘導灯の不具合を発見したときは、報告書へ記載するだけで終わらせず、避難への影響と器具の安全性を踏まえて対応の優先順位を決めます。

避難口誘導灯が不点灯である、主要な避難方向の表示が完全に隠れている、矢印が現況と明らかに合っていない、器具が脱落しそうであるといった状態は、速やかな対応が必要です。周囲の安全確保、施設管理者への連絡、消防設備の専門家への点検依頼を進めます。

軽微に見える汚れや傷でも、原因によっては放置できません。漏水、結露、油分の付着、台車の接触などが繰り返されている場合は、表面だけを清掃しても再発します。器具の状態と周辺環境を合わせて記録します。

記録には、階数、区画名、位置識別、誘導灯の種類、確認方向、症状、発見日、写真を含めます。視認障害の場合は、器具の近接写真だけでなく、実際に近づく方向から撮影し、障害物との位置関係が分かるようにします。

その場で移動できる商品、広告物、台車などは、施設の運用ルールと安全を確認した上で移動します。移動後には、別の避難経路、防火設備、消防用設備をふさいでいないかを再確認し、是正後の写真も残します。

不点灯、ちらつき、外箱の破損、取付不良、非常電源の異常表示などは、消防設備の点検担当者へ引き継ぎます。売場担当者が器具を分解したり、内部配線を修理したりすることは避けます。

一時的な案内表示や従業員による誘導は、状況に応じた応急措置として検討される場合がありますが、法令上必要な誘導灯の修繕や適正な設置の代わりにはなりません。恒久的な是正が完了するまで、未完了案件として管理します。

是正管理では、対応責任者、対応期限、作業予定日、完了日、再確認者を明確にします。設備担当へ連絡済みという記録だけでは、実際に修繕が完了したか確認できません。

改装によって誘導灯の移設や増設が必要になる可能性がある場合は、内装工事だけを先行させず、避難経路、防火区画、消防用設備への影響を一体で検討します。必要な届出や事前相談については、設計者、消防設備の専門家、所轄消防機関へ確認します。

大型店舗では、内装担当、売場運営担当、防災担当、テナント管理担当が分かれていることがあります。売場変更の承認手続きに防災確認を組み込み、什器や広告物の設置前に誘導灯への影響を確認できる仕組みにすると、同じ問題の再発を防ぎやすくなります。

大型店舗の避難誘導灯で起こりやすい見落とし

代表的な見落としは、誘導灯を直下から確認することです。真下から見上げれば表示面が見えても、売場の奥や通路の端からは棚や広告物に隠れている場合があります。確認は利用者が近づく方向から行います。

次に、非常用の照明装置と誘導灯を同じ設備として扱う見落としがあります。非常用の照明装置は避難経路を照らし、誘導灯は避難口や方向を示します。役割も点検制度も異なるため、一方の確認をもって他方の点検を省略することはできません。

前回の点検で異常がなかったことを理由に、現場確認を省略することも避けます。什器、広告物、商品、催事設備は日々変化するため、前回見えていた誘導灯が現在も同じように見えるとは限りません。

仮設の展示物を確認対象から外すことも見落としにつながります。催事期間中であっても、避難方向を確認できる状態を維持する必要があります。

従業員が避難口を知っているため問題ないと判断することも適切ではありません。誘導灯は、避難経路を知らない来店者を含めて避難方向を示す設備です。従業員の知識だけで誘導灯の機能を補うことはできません。

売場だけを確認し、バックヤードを見ないケースもあります。バックヤードは物品が置かれやすく、誘導灯、避難口、防火戸が隠れやすい区画です。従業員の避難経路も確認範囲に含めます。

点灯していることだけを見て、矢印の方向を確認しないこともあります。改装、清掃、表示面の交換後には、表示方向が現況の避難経路と一致しているかを確認します。

汚れを拭き取って完了とすることにも注意が必要です。繰り返す汚れの背後に、漏水、結露、油煙、搬入物の接触などが隠れている場合があります。原因を記録し、必要な是正につなげます。

消防用設備等点検で誘導灯を確認しているため、十二条点検時には周辺を見なくてよいと考えるのも適切ではありません。消防設備側では設備の機能や設置状態を所定の方法で確認し、建築側では避難経路や建物の使用状態を確認します。両者の情報を照合することで、運用によって生じた問題を把握しやすくなります。

反対に、十二条点検で目視したことを理由に、消防用設備等点検を省略することもできません。非常電源の切替や非常点灯、法令上の設置適否などは、消防法令の点検基準と点検要領に沿って確認する必要があります。

まとめ

十二条点検で大型店舗の避難誘導灯を見るときは、建築基準法第12条に基づく定期報告と、消防法令に基づく消防用設備等点検の役割を区別することが出発点です。十二条点検の中で誘導灯の法定点検を代替するのではなく、避難経路を確認する過程で明らかな異常を把握し、消防設備の点検担当者へつなぎます。

1つ目は、設置位置や表示方向と、現在の避難経路が一致しているかを確認することです。売場の奥から避難口まで歩き、方向表示が途切れず、矢印の先に有効な経路が続くかを見ます。

2つ目は、商品棚、間仕切り、広告物、催事設備などによる視認障害がないかを確認することです。誘導灯の直下ではなく、来店者が近づく方向や複数の目線から確認します。

3つ目は、表示面、外箱、取付状態、点灯状態の確認です。不点灯やちらつきだけでなく、変色、汚損、破損、傾き、表示方向の誤りにも注意します。

4つ目は、非常電源に関する点検記録と是正履歴の管理です。非常電源の正式な機能確認は消防用設備等点検で行い、十二条点検時には最新の点検結果、指摘事項、修繕記録、再確認状況を照合します。

大型店舗では、売場変更や催事によって、法定点検後にも避難環境が変化します。改装時、売場変更時、催事開始前、日常巡回時にも誘導灯と避難経路の状態を確認し、異常を位置、写真、確認方向、対応期限とともに記録することが重要です。

制度の対象、設置適否、点検方法、届出の要否は、建物の用途、規模、構成、所在地、改装内容によって異なります。個別の判断が必要な場合は、特定行政庁、所轄消防機関、定期報告の資格者、消防設備の専門家へ確認し、建築側と消防側の記録をつないで是正を進めてください。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る