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絶対座標ARで3D図面を屋外表示する際の失敗例6つ

絶対座標ARで3D図面を屋外表示する前に知っておきたいこと

3D図面をARで屋外表示できると、完成後の形状や構造物の位置を現地の風景に重ねながら確認できます。基礎、配管、側溝、法面、造成面、設備、道路線形などを施工前や施工途中に可視化できれば、平面図や断面図だけでは把握しにくい位置関係を共有しやすくなります。現場担当者だけでなく、発注者、設計者、施工管理者、協力会社の間で完成イメージを合わせる用途にも役立ちます。

ただし、絶対座標を使ったAR表示は、3D図面を画面に表示するだけの機能ではありません。現地の測地座標、端末の位置と向き、3D図面に設定された座標、標高の基準、モデルの回転方向など、複数の条件が整って初めて現実空間と図面を対応させられます。どれか一つでも設定が食い違うと、モデル全体が数十センチずれるだけでなく、数メートル離れた位置に表示されたり、上下が逆転したり、向きが九十度回転したりすることがあります。

ここでいう絶対座標ARとは、現地で任意に決めた一点を基準にモデルを置く方法ではなく、測地座標や公共座標など、あらかじめ定義された座標値を使って3D図面を現地に重ねる考え方です。現場で目印を見ながら手作業で位置を微調整する方法と比べると、同じ座標条件を共有できる範囲では再現性を高めやすい点が特徴です。一方で、座標の定義やデータ作成方法に誤りがあると、その誤りがそのままAR表示に反映されます。

屋外では、衛星配置、建物、樹木、地形、電波反射、通信状況、端末の姿勢推定なども表示状態に影響します。そのため、画面上で3D図面が現場に重なって見えるからといって、直ちに施工位置が正しいとは限りません。絶対座標ARは、設計確認や施工支援を効率化する手段として有用ですが、測量成果や出来形確認を無条件に置き換えるものではなく、用途に応じた照合が必要です。

実務で失敗を避けるには、表示がずれた後に画面上で補正するのではなく、どの段階で誤差や設定不一致が生じたのかを切り分けることが重要です。以下では、絶対座標ARで3D図面を屋外表示するときに起こりやすい六つの失敗例を取り上げ、原因と対策を具体的に解説します。

失敗例1 座標系と測地基準を確認せずに読み込む

最も大きな位置ずれにつながりやすいのが、3D図面と現場で使用する座標系が一致していない状態です。座標値は数字だけを見ても、その値がどの測地基準、平面直角座標系、経緯度、現場独自座標に基づくものか判断できません。見た目が似た数値でも、座標の定義が異なれば同じ場所を示さないため、モデルが遠方に表示されたり、現場内で一定方向にずれたりします。

たとえば、設計データが公共座標で作成されている一方、AR表示側には現場内で便宜的に設定したローカル座標が入力されている場合、両者をそのまま重ねることはできません。ローカル座標は工事範囲を扱いやすい小さな数値に置き換えていることが多く、公共座標との対応には基準点、移動量、回転角、縮尺などの変換条件が必要です。単純に原点の差だけを足し引きしても、軸方向や回転条件が異なれば、基準点付近では合って見えても離れるほどずれが大きくなります。

座標系の系番号を取り違える失敗もあります。平面直角座標系では地域によって適用する系が異なるため、正しい系を選ばなければ現場位置と一致しません。また、経度と緯度の並び順、X座標とY座標の扱い、東西方向と南北方向の割り当ても、ソフトウェアやデータ形式によって表示方法が異なる場合があります。数値の並びだけを見て入力すると、軸が入れ替わり、全く別の位置に配置される原因になります。

測地基準の新旧や変換履歴が不明なデータにも注意が必要です。過去の測量成果、設計変更データ、協力会社が作成したモデルを組み合わせる現場では、同じ名称の座標として受け取っていても、元データの基準や変換方法が統一されていないことがあります。特に既設構造物のモデル化では、図面作成時の座標が現場の最新成果と一致しているかを確認しなければなりません。

この失敗を防ぐには、3D図面を受け取る段階で、座標系名、系番号、測地基準、単位、座標軸の定義、原点の扱い、変換の有無を整理します。データ名や口頭説明だけに頼らず、基準点の座標一覧や座標変換条件も確認することが重要です。現地では、既知点や位置を確認しやすい構造物の角など、座標が明確な複数点を使って表示を照合します。一点だけで一致を判断すると、回転や縮尺の誤りを見逃すため、現場内で離れた二点以上を確認する必要があります。

また、表示位置が合わないときに、すぐAR画面上でモデルを移動させるのは避けた方が安全です。手動補正によって一時的に重なって見えても、本来の絶対座標との関係が失われ、別の場所で再表示したときに再現できなくなる可能性があります。まず座標系の不一致、軸の入れ替え、変換条件の不足を確認し、その後に必要な補正方法を選ぶことが、失敗を拡大させない基本です。

失敗例2 高さの種類を混同して上下方向にずれる

平面位置が合っているのに3D図面が地面から浮く、地中に沈む、構造物の高さだけが一致しない場合は、高さの基準が食い違っている可能性があります。絶対座標ARでは水平方向のX、Yだけでなく、Z方向の扱いも重要です。しかし、高さには複数の考え方があり、同じ数値を入力しても同じ高さを示すとは限りません。

実務で混同しやすいのが、楕円体高、標高、現場で設定した仮の高さです。衛星測位で直接得られる高さと、一般的な工事図面で扱う標高は、そのまま一致しない場合があります。両者の関係を整理せずに3D図面へ適用すると、水平方向は合っているのに、モデル全体が一定量だけ上下にずれて表示されます。このずれを端末の持ち方やARの不安定さだと誤解すると、原因を特定できません。

造成や道路工事では、設計面の高さが標高で管理されていても、3Dモデルを書き出す際にモデル原点からの相対高さへ変換されていることがあります。反対に、モデル内に大きな絶対標高が保持されているにもかかわらず、読み込み側でさらに基準高を加算すると、二重に高さが反映されます。見た目では地面から大きく浮くため原因に気付きやすい場合もありますが、数十センチ程度の差では、現地地盤の起伏や施工途中の状態と混同しやすくなります。

高さの単位違いも見逃せません。モデル作成時の単位とAR表示側の単位が異なると、構造物の寸法だけでなくZ座標も誤って解釈される可能性があります。また、小数点以下の丸め、基準高の手入力、縦断計画からモデルへの変換、地形データと構造物モデルの結合など、複数の処理を経るほど高さ情報の出所が分かりにくくなります。

対策として、3D図面を作成する段階で、Z値が何を表しているのかを明確にします。標高なのか、楕円体高なのか、任意基準からの相対高なのかを記録し、AR表示側の設定と一致させます。高さ変換を行っている場合は、使用した補正情報や適用時点も確認します。特に広い現場では、場所によって補正値を一律に扱えない場合があるため、対象範囲と必要精度に応じた確認が必要です。

現地確認では、地盤面だけでなく、高さが明確な複数の点を使います。既知標高の基準点、構造物天端、舗装面、基礎上端などを選び、モデルの対応箇所が上下方向に合っているかを確認します。一点で高さが合っていても、モデル自体の傾きや縦断勾配の設定が誤っていることがあるため、距離を離した位置でも照合します。

画面上でモデルが浮いて見えるとき、安易に高さだけを手動調整すると、原因が高さ基準なのか、測位状態なのか、地盤の現況差なのか分からなくなります。まず既知点で差を測り、現場全体でほぼ一定の上下差があるのか、場所によって差が変わるのかを確認してください。一定差なら基準高や高さ種類の不一致、位置によって変化するならモデル形状、傾き、地形更新、測位状態などを疑うことで、切り分けやすくなります。

失敗例3 測位状態が不安定な場所で位置合わせを確定する

絶対座標を使うAR表示では、端末自身の位置を安定して求められることが前提になります。ところが屋外であっても、どこでも同じ測位状態が得られるわけではありません。高層建物の近く、橋梁の下、擁壁際、樹木の下、法面の谷側、金属構造物の周辺、重機や車両が密集する場所では、衛星からの信号が遮られたり、反射した信号の影響を受けたりすることがあります。

測位が不安定な状態でAR表示を開始すると、モデルがゆっくり移動する、一定方向へ飛ぶ、向きが落ち着かない、同じ地点に戻っても位置が再現しないといった現象が起こります。表示開始直後に一度だけ現物と重なったため、その状態を正しいと判断して作業を続けると、時間の経過とともにずれが大きくなる場合があります。

また、補正情報を利用する測位では、通信状態や補正データの受信状況も確認が必要です。表示画面が開いていることと、高精度な測位状態が確立していることは同じではありません。接続直後、再接続直後、障害物の陰から開けた場所へ移動した直後などは、状態が安定するまで変動することがあります。測位品質を示す表示や推定精度を確認せず、すぐに位置合わせを確定するのは危険です。

さらに、端末の位置が高精度でも、ARで使う向きの推定が不安定なら、モデルは回転して見えます。端末内部の姿勢推定は、カメラ映像、慣性センサー、周囲の特徴などを利用して行われます。単調な路面、暗い場所、強い逆光、反射の多い面、急激な端末移動などでは、空間認識が安定しにくいことがあります。位置と向きは別々に確認しなければなりません。

対策は、表示を始める場所を選ぶことです。できるだけ上空が開け、周囲の遮蔽物が少なく、足元が安定した場所で測位状態を確認します。必要に応じて現場内の基準点近くで表示を開始し、既知点との一致を確認してから目的箇所へ移動します。目的箇所が構造物の陰にある場合でも、最初から陰で確定するのではなく、開けた場所で状態を整えてから近づく方が安定しやすくなります。

現場で複数人が確認する場合は、各担当者が別々の場所で独自に表示を開始すると、結果の比較が難しくなります。開始位置、確認する基準点、測位状態の判定条件、再確認のタイミングをそろえると、表示差の原因を見つけやすくなります。表示中にモデルが動いたと感じた場合は、画面上で無理に追い込まず、一度開けた場所へ戻って既知点を再確認します。

絶対座標ARは、測位状態が良好であればモデル配置の再現性を高めやすい一方、測位条件が悪い場所では表示結果が変動します。現場では「表示できたか」ではなく、「どの品質状態で表示したか」を記録することが重要です。確認時刻、場所、周囲の遮蔽物、測位状態、基準点との差を残しておけば、後で表示結果を検証しやすくなります。

失敗例4 3D図面の原点・軸方向・単位がそろっていない

座標系が正しくても、3D図面内部の原点、軸方向、単位が適切でなければ現地に正しく配置できません。設計用の3Dデータは、作成者や使用目的によってモデル原点の置き方が異なります。公共座標をそのまま保持するモデルもあれば、演算しやすいように現場付近へ原点を移動したモデル、構造物の角を原点にしたモデル、部品ごとに異なるローカル原点を持つモデルもあります。

原点移動の情報が引き継がれていないと、3D図面の形状は正しくても位置だけがずれます。たとえば、元の設計データでは絶対座標を持っていたものの、軽量化やデータ変換の段階で座標値を小さくするためにオフセットを設定し、その移動量がAR表示側へ渡っていないケースです。この場合、モデルは原点付近や全く別の場所に現れます。

軸方向の違いも典型的な失敗です。3Dデータでは、どの軸を上方向とするか、正方向をどちらへ取るかが作成環境によって異なる場合があります。上方向の軸が一致していないと、構造物が横倒しになったり、上下が逆になったりします。水平方向の軸が入れ替わると、モデルが九十度回転して表示されます。さらに、北方向の定義とモデル上の正面方向が一致していなければ、基準点では位置が合っても、延長方向が現場とずれていきます。

単位の不一致では、モデルが極端に大きくなったり小さくなったりします。寸法単位が異なるデータを変換するとき、書き出し側と読み込み側の両方で倍率変換が行われたり、どちらでも変換されなかったりすることがあります。極端な倍率差なら気付きやすいものの、縮尺補正や変換処理が重なると、現場内で少しずつ差が広がる状態になることもあります。

複数の3D図面を統合する場合は、さらに注意が必要です。地形、構造物、配管、設備などを別々の担当者が作成すると、それぞれのモデルが異なる原点や軸定義を持つことがあります。統合画面では見た目を合わせられていても、書き出したデータに変換行列が正しく反映されなければ、AR表示時に部材ごとに位置がずれます。統合前の元データと、AR表示用に書き出したデータの両方で確認することが大切です。

対策として、AR表示用の3D図面にはデータ作成仕様を設けます。絶対座標を保持するのか、オフセットを使うのか、上方向の軸はどれか、北方向をどの軸に合わせるか、長さの単位は何か、回転角をどこで適用するかを統一します。オフセットを使用する場合は、X、Y、Zそれぞれの移動量と適用方向を記録し、読み込み側で再現できるようにします。

書き出し後には、モデルの代表点を数値で確認します。構造物の角、中心点、路線始点、標高が明確な天端など、複数点の座標を元データと比較します。見た目だけでなく数値を照合することで、原点移動、軸入れ替え、回転、単位変換の誤りを発見しやすくなります。AR表示前の机上確認で問題を除けば、現地で原因不明のずれに時間を取られる可能性を減らせます。

失敗例5 AR表示の見た目だけで精度を判断する

AR表示は直感的で分かりやすい反面、画面上の重なり方だけで精度を判断しやすい点に注意が必要です。遠くから見ると数十センチのずれが目立たないことがありますし、端末を少し傾けるだけで重なって見える場合もあります。構造物の輪郭、地面の起伏、カメラの画角、透視投影の影響によって、実際には位置が違っていても一致しているように感じることがあります。

特に、一本の線や一つの角だけを基準にすると判断を誤りやすくなります。たとえば、配管中心線が一か所で既設目印と重なっていても、向きがわずかに違えば、先へ進むほど横方向の差が拡大します。法面モデルも、法肩付近だけが合って見えても、法尻や勾配が一致しているとは限りません。立体物では、手前側の面が合っていても奥行き方向がずれていることがあります。

カメラ映像上の表示には、端末の姿勢推定や空間認識の状態も関係します。モデル自体は絶対座標に配置されていても、画面内の見え方が一時的に揺れることがあります。逆に、画面内で安定して見えていても、基準となる座標が誤っていれば、安定したまま間違った位置に表示されます。「動かないから正しい」「現物に重なるから正しい」という単一の判断基準では不十分です。

失敗を防ぐには、AR表示を数値確認と組み合わせます。既知点に対する水平差と高さ差を確認し、許容する差の範囲を用途ごとに決めます。施工前のイメージ共有、掘削位置の概略確認、設備干渉の事前確認、出来形の確認補助では、必要な精度や責任範囲が異なります。用途を明確にせず同じ基準で使うと、概略確認用の表示を施工位置決定に流用するなど、過大な期待につながります。

また、近距離と遠距離の両方から確認します。近距離では細部のずれを見つけやすい一方、モデル全体の回転や傾きを把握しにくいことがあります。遠距離では全体形状を見やすいものの、細かな位置差を判断しにくくなります。複数方向から歩いて確認し、基準点、端部、中間点、高さの異なる箇所を見比べることで、偶然重なって見える状態を避けられます。

表示画面の記録を残す場合は、撮影位置や確認対象も合わせて記録します。画像だけでは、どこから見たのか、測位状態がどうだったのか、どの版の3D図面を使ったのかが分かりません。日時、現場名、使用モデル、確認点、座標差、測位状態を残すことで、後日の説明や再確認に使いやすくなります。

絶対座標ARは、現地で位置関係を理解するための強力な可視化手段ですが、見た目の説得力が高いからこそ、確認方法を標準化する必要があります。画面に重ねる作業と、座標値を照合する作業を分けずに運用し、両方の結果が一致したときに初めて次の判断へ進むことが重要です。

失敗例6 現場変更後も古い3D図面を表示し続ける

絶対座標や測位状態が正しくても、表示している3D図面が古ければ、現場との不一致は解消できません。施工現場では、設計変更、納まり変更、施工順序の見直し、現地条件による位置調整、協議結果の反映などが発生します。変更前のモデルをAR表示すると、正しい座標に古い形状が配置されるため、表示自体は安定していても判断内容が誤ります。

この失敗が起こりやすいのは、モデルのファイル名が似ている場合です。日付や版番号が付いていない、担当者ごとに別名で保存している、端末内に複数のコピーがある、共有先の更新と端末側の更新が連動していないといった状況では、どれが最新か分からなくなります。現地で急いでいると、前回使用したデータをそのまま開き、更新確認を省略しがちです。

3D図面だけでなく、座標変換条件や基準点成果が更新される場合もあります。モデル形状は同じでも、測量成果の再計算、基準点の変更、原点オフセットの修正によって配置条件が変わることがあります。ファイル更新日だけを確認しても、付随する設定が古ければ正しく表示できません。

また、一部だけ変更されたモデルを統合する際、変更対象以外の部材が旧版へ戻ることがあります。構造物モデルは最新でも地形が古い、配管は更新済みでも基礎が旧版、施工範囲ごとに異なる更新時点のデータが混在するといった状態です。AR画面では一つの完成モデルに見えるため、版の混在に気付きにくくなります。

対策として、AR表示用データにも図面と同じ版管理を適用します。ファイル名だけに依存せず、モデル内または管理情報に作成日、承認日、版番号、対象工区、座標条件、作成者、変更内容を持たせます。現場へ配布する前に使用可否を明確にし、廃止したデータは開けない場所へ移すか、旧版であることが分かる状態にします。

現地で表示を開始する前には、使用するモデルの版番号を施工図、変更指示、最新の承認資料と照合します。毎回の確認を負担にしないため、作業開始時の手順に組み込み、確認者と記録方法を決めておくことが有効です。モデル更新後は、変更箇所だけでなく、座標原点、軸方向、単位、統合状態が維持されているかも確認します。

表示結果が現場と合わないとき、測位や座標設定だけを疑うと、古いモデルに気付くまで時間がかかります。まず使用データの版を確認し、そのうえで座標、測位、AR表示の順に原因を切り分けると効率的です。設計変更が頻繁な現場ほど、絶対座標ARの技術設定より、データ配布と承認の運用が成否を左右します。

失敗を減らすための事前準備と現地確認

六つの失敗例に共通するのは、現地で画面を見ながら調整すれば解決できると考えてしまうことです。絶対座標ARの精度と再現性は、現地作業より前のデータ準備で大きく左右されます。3D図面の作成者、測量担当者、施工管理者、AR表示を行う担当者が別々の場合は、必要な情報が途中で欠けないように受け渡し項目を決める必要があります。

最初に確認したいのは、表示目的です。完成イメージの共有、施工位置の概略確認、丁張や墨出しの補助、埋設物位置の把握、出来形との比較など、目的によって求める確認精度と記録内容が変わります。目的が曖昧なままでは、表示が合っているかを判断する基準も決められません。許容差を一律に設定するのではなく、工種、施工段階、対象寸法、リスクに応じて決めることが重要です。

次に、3D図面の座標仕様を確認します。座標系、測地基準、系番号、XとYの定義、高さの種類、単位、原点オフセット、北方向、上方向の軸、回転角を整理します。複数モデルを統合している場合は、各モデルの仕様がそろっているかも確認します。書き出し後の代表点座標を元データと比較し、データ変換で値が変わっていないことを確かめます。

現地側では、確認に使う既知点を選びます。一点だけでは平行移動の差しか分からないため、現場内で離れた複数点を設定します。水平方向だけでなく、高さが分かる点も含めます。構造物の角や基礎中心など、画面上で対応箇所を特定しやすい点を選ぶと照合が容易です。確認点の座標と現場写真を事前にまとめておけば、表示開始後に探し回る時間を減らせます。

AR表示を始めるときは、上空が開けた場所で測位状態を安定させ、端末を急に動かさず周囲を認識させます。状態が安定したら既知点で平面位置と高さを確認し、次に離れた点で回転や傾きを確認します。モデルが一度合っただけで確定せず、少し移動した後や別方向からも再確認します。表示が変動する場合は、その場で補正を重ねず、開始条件に戻って原因を切り分けます。

作業中は、重機の移動、仮設物の設置、天候変化、通信状態の変化などによって環境が変わります。長時間連続して使用する場合は、一定時間ごと、作業場所を大きく移動したとき、遮蔽物の多い場所へ入ったときに既知点を再確認します。表示開始時に正しくても、途中で状態が変わる可能性を前提に運用することが大切です。

確認結果は、合っていたかどうかだけでなく、どの条件で確認したかを残します。使用モデルの版、座標系、確認点、水平差、高さ差、測位状態、確認時刻、担当者、周辺環境を記録します。問題が発生した際に、データの誤りなのか、測位環境なのか、端末操作なのかを振り返れるためです。

さらに、現場で使用する担当者への説明も欠かせません。絶対座標ARは直感的に使える一方、表示の仕組みを知らないままでは、画面の見た目を過信しやすくなります。座標不一致の典型例、測位が不安定になりやすい場所、再確認が必要な状況、手動補正を行う条件を事前に共有しておくと、誤った判断を防ぎやすくなります。

絶対座標ARを施工確認に生かす運用の考え方

絶対座標ARを現場で定着させるには、特定の担当者だけが使える状態ではなく、誰が使っても同じ確認手順を再現できる状態を目指す必要があります。端末の操作方法だけを標準化しても、3D図面の作り方や版管理が統一されていなければ、表示結果は安定しません。データ作成から現地確認までを一つの流れとして設計することが重要です。

まず、3D図面の作成段階でAR利用を想定します。施工用モデルを後から無理に変換するのではなく、座標系、原点、軸、単位、高さ基準を初期段階で決めます。設計変更時も同じ仕様を維持し、書き出すたびに代表点の座標を検査します。データ容量を小さくするために形状を簡略化する場合でも、座標情報や必要な基準点を失わないようにします。

次に、現場での確認項目を簡潔にします。確認すべき内容が多すぎると、忙しい時間帯に省略されます。表示前にモデル版、測位状態、基準点一致を確認し、表示中に変動を感じたら再確認するという流れを基本にすると運用しやすくなります。詳細な検査はデータ準備担当者が行い、現場担当者は重要な判定に集中できる役割分担が適しています。

用途ごとに利用範囲を定めることも大切です。たとえば、施工前説明では広い範囲の完成形を見せることを重視し、位置確認では基準点との差を重視します。埋設物確認では深さ方向の基準と施工時点の現況を確認し、出来形比較では計測データとの照合方法を決めます。すべてを同じ操作と同じ判定基準で扱わないことが、過信を防ぐポイントです。

絶対座標ARで見つかった違和感は、すぐ施工ミスと決めつけず、原因を順番に確認します。モデル版、座標系、高さ基準、原点と軸、測位状態、AR表示の安定性、現況の順に確認すると、無駄な手戻りを減らせます。反対に、表示が合っている場合も、それだけで施工位置を確定せず、必要に応じて測量値や施工管理記録と照合します。

現場での活用を広げるには、成功例だけでなく失敗例を共有することが有効です。どの場所で測位が不安定だったか、どのデータ変換で軸が入れ替わったか、どの版管理方法で旧モデルを防げたかを記録すると、次の現場で同じ問題を繰り返しにくくなります。絶対座標ARは、機器やアプリだけで完結する技術ではなく、座標とデータを扱う運用全体の成熟度が表示品質に表れます。

導入初期は、比較的見通しが良く、基準点が確認しやすい範囲から始めると安全です。短い区間や単純な構造物で手順を整え、表示差の傾向と確認方法を把握してから、複雑な地形、構造物周辺、広い造成範囲へ展開します。最初から全工程をAR表示へ置き換えるのではなく、従来の確認方法と併用しながら役割を明確にすることで、現場に合った使い方を見つけやすくなります。

まとめ

絶対座標ARで3D図面を屋外表示する際の代表的な失敗は、座標系と測地基準の不一致、高さ基準の混同、不安定な測位状態での確定、モデル原点・軸・単位の不統一、見た目だけによる精度判断、古い3D図面の使用です。これらは別々の問題に見えますが、いずれもデータの前提条件を確認せず、画面上の表示結果だけで判断することで起こりやすくなります。

正しく活用するには、3D図面の座標仕様を整理し、代表点の数値を事前に照合し、現地では測位状態と複数の既知点を確認することが重要です。また、表示目的に応じて許容する差と確認方法を決め、モデルの版管理や記録方法まで含めて運用を標準化する必要があります。

絶対座標ARは、設計情報を現場の風景に重ね、平面図だけでは伝わりにくい位置関係を共有するための有効な手段です。一方で、正しい座標、安定した測位、適切な3Dデータ、現地での照合がそろってこそ、その効果を発揮します。まずは基準点を確認しやすい範囲で手順を固め、失敗原因を切り分けられる体制を整えることが、実務での活用を広げる近道です。

屋外で3D図面を絶対座標に合わせて表示し、現地確認から記録、共有までを一つの流れにしたい場合は、LRTK Phoneを使った運用も検討できます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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