LRTKレフィクシア株式会社

3D図面AR表示で端末の方位センサー誤差を減らす4対策

3D図面AR表示で方位センサー誤差が問題になる理由

3D図面を現場の風景に重ねるAR表示は、構造物の位置、向き、高さ、離隔、施工範囲などを直感的に確認する方法として活用できます。特に、3D図面を絶対座標に合わせて表示できれば、現場で目印を手作業登録する負担を減らし、設計位置と実際の周辺環境を比較しやすくなります。しかし、位置が正しく合っていても、端末が認識している方位に誤差があると、モデル全体が水平方向に回転して見えることがあります。

たとえば、構造物の基準点が画面上では正しい位置にあるのに、延長方向が道路や既設構造物に対して斜めにずれている場合があります。この状態では、利用者が位置座標の誤りと判断して3D図面を移動させてしまい、本来合っていた基準点まで崩すおそれがあります。方位ずれを位置ずれとして補正すると、別の地点で表示したときに不整合が拡大し、確認結果の再現性も低下します。

端末の方位センサーは、周囲の磁気、端末の持ち方、初期化時の動き、測位状態、表示処理など、複数の要因から影響を受けます。建設現場には、鉄筋、鋼材、重機、仮設材、車両、電源設備、磁石付きアクセサリーなどが存在するため、一般的な屋外空間よりも方位が乱れやすい場面があります。したがって、3D図面のAR表示では、絶対座標を設定しただけで向きまで自動的に正しくなると考えず、位置と方位を分けて確認する必要があります。

重要なのは、端末の方位表示を完全に誤差ゼロへ近づけることではありません。現場で必要な確認精度を定め、方位誤差が大きくなりやすい条件を避け、基準方向との照合によって異常を早く発見することです。本記事では、3D図面 AR 表示 絶対座標の運用を担当する実務者に向けて、端末の方位センサー誤差を減らす4つの対策を、準備、初期設定、現地確認、記録まで含めて解説します。

絶対座標と端末方位を混同しないための基礎

絶対座標付きの3D図面をAR表示するときは、少なくとも位置、方位、高さ、縮尺という異なる要素を整合させます。位置は東西方向と南北方向の座標、高さは標高や現場基準高、縮尺はモデルの単位設定、方位はモデルの基準軸と現地の方向関係です。これらは互いに関係しますが、同じ情報ではありません。

絶対座標が正しく設定されているとは、3D図面内の点が、採用した座標参照系の値に対応している状態を意味します。一方、端末の方位は、端末がどちらを向いているかをAR表示側が推定する情報です。位置座標が正しくても、端末の方位推定が数度ずれれば、端末から離れた部分ほど横方向の見かけのずれが大きくなります。観察地点の近くでは差が小さく見えても、長い構造物、道路中心線、管路、擁壁、法面のような延長物では、遠方のずれが目立ちやすくなります。

また、方位の基準には、磁北、真北、座標系の北などがあります。端末の磁気センサーが直接参照する方向と、3D図面の座標軸が示す北方向が一致するとは限りません。採用する座標参照系や現場の位置によっては、真北と座標系の北に角度差が生じます。さらに、磁北は地域や時期によって真北との関係が異なります。この違いを無視すると、センサーの動作が正常でも、モデルが一定角度ずれて見えることがあります。

実務では、3D図面の基準軸が何を北としているか、AR表示側がどの方位情報を使っているか、方位補正が自動か手動かを事前に確認します。図面作成時にローカル座標へ回転している場合や、データ変換時に軸の入れ替えが行われている場合もあります。そのため、端末の方位センサーだけを疑うのではなく、モデル側の向き、座標変換、端末側の姿勢推定という三つの層を切り分けることが重要です。

方位誤差を減らす対策は、単に端末を振って校正する作業では完結しません。磁気干渉を避けること、現場の既知方向と照合すること、測位と慣性情報が安定してから使うこと、複数地点で再確認することを組み合わせる必要があります。これらを標準手順にすると、表示がずれたときに原因を推測しやすくなり、不要なモデル修正も防げます。

方位センサー誤差が発生する主な原因

端末の方位推定には、磁気センサー、角速度を捉えるセンサー、加速度を捉えるセンサー、位置情報、カメラ映像などが組み合わされることがあります。どの情報をどの程度使うかは端末やAR表示の仕組みによって異なりますが、方位が一つのセンサーだけで決まるとは限りません。そのため、画面上の方位ずれが磁気センサーだけの問題とは限らない点に注意が必要です。

現場で多い原因の一つが磁気干渉です。鉄筋コンクリート構造物の近く、鋼矢板の周辺、鋼製手すりのそば、重機や車両の近傍、電動工具や発電設備の付近では、端末が受ける磁気環境が場所ごとに変化します。磁石を含む端末ケース、固定具、携帯用アクセサリーなどが影響する場合もあります。端末を同じ方向へ向けたまま数歩移動しただけで表示方位が変わるなら、局所的な磁気干渉を疑う必要があります。

次に、初期化時の姿勢や動きも影響します。AR表示を開始した直後に端末を急に回したり、カメラが特徴を捉えにくい地面や空だけを映したりすると、姿勢推定が安定するまで時間がかかることがあります。端末を極端に傾けた状態で開始した場合も、水平回転と傾きの影響を見分けにくくなることがあります。画面が一度合った後に徐々に回転するように見える場合は、初期方位だけでなく、姿勢推定の蓄積誤差や再補正の挙動も確認します。

測位状態も間接的に関係します。単一の位置情報だけでは、静止中の端末が向いている方向を直接決められません。移動履歴から進行方向を推定する方法もありますが、低速移動、短距離移動、蛇行、後退では安定しない場合があります。高精度な位置が得られていても、方位が同じ精度で得られるとは限りません。位置精度と方位精度を同じものとして扱わないことが大切です。

モデル側の設定も見逃せません。3D図面の縦軸と横軸が入れ替わっている、回転角の正負が逆になっている、角度単位の解釈が異なる、座標変換後に北方向が再定義されているといった状態では、端末を校正してもずれは改善しません。現場のどこでも同じ角度だけずれる場合は、センサーよりもモデル側の回転設定や北方向定義を疑う価値があります。

さらに、利用者の持ち方による差もあります。身体の近くで端末を構える、金属製の道具を同じ手で持つ、車内から確認する、端末を頻繁に縦横回転させるといった操作は、方位や姿勢の安定性に影響することがあります。現場ごとに担当者の操作が異なると、同じデータでも表示結果が変わりやすくなります。したがって、対策は機器設定だけでなく、操作方法の標準化まで含めて考える必要があります。

対策1 磁気干渉を避けて端末を再校正する

第一の対策は、方位確認を行う場所から磁気干渉要因をできるだけ遠ざけ、必要に応じて端末やAR表示が案内する方法で再校正することです。方位ずれが見つかったとき、同じ場所で校正を繰り返すだけでは改善しない場合があります。周囲の磁気環境そのものが乱れていれば、端末はその影響を受け続けるためです。

まず、鉄骨、鉄筋束、鋼製仮設材、車両、重機、発電設備、配電盤、大型工具などから距離を取れる場所へ移動します。明確な安全距離を一律に決めることは難しいため、数歩ずつ位置を変えながら方位表示の変化を確認します。端末を同じ方向に保ったまま移動し、表示方位が急に変わる場所があれば、その周辺を初期化地点として使わない判断が必要です。

端末ケースや固定具も確認します。外観から磁石の有無が分からない場合でも、ケースを外した状態と装着した状態で方位表示を比較すると、影響の有無を切り分けやすくなります。端末の背面に金属板を付ける固定方法や、磁力で保持するアクセサリーは、方位確認時には避けた方が安全です。現場用の収納具やストラップの金属部品が端末の近くに来ていないかも確認します。

再校正は、端末や使用するAR表示の案内に従って実施します。特定の動作を一律に正解とせず、画面に校正要求が出ているか、校正後に方位が安定したかを確認します。校正中は、周囲の安全を確保し、端末を落とさない範囲でゆっくり動かします。校正直後に鉄骨の近くへ戻ると再び影響を受ける可能性があるため、初期方位の照合まで同じ安定した場所で行うことが望ましいです。

磁気干渉の有無を判断するときは、一つの向きだけを見ないことも重要です。既知の方向へ端末を向けた後、反対方向へ回し、再び元の方向へ戻して表示を確認します。往復後に同じ方位へ戻らない、回転途中で急に角度が飛ぶ、一定方向だけ大きくずれる場合は、磁気環境または姿勢推定が安定していない可能性があります。

この対策の目的は、方位センサーの数値を無条件に信頼できる状態にすることではなく、明らかな外乱を減らすことです。磁気干渉を避けても、座標系の北とセンサーが参照する北の違い、モデル側の回転設定、AR姿勢推定の誤差は残る可能性があります。そのため、再校正後は必ず現場の基準方向と照合し、表示が実際の線形と一致しているかを確認します。

対策2 現場の基準方向で初期方位を照合する

第二の対策は、端末が示す方位だけで初期方向を決めず、現場で確認できる既知の基準方向と3D図面の方向を照合することです。方位センサーの誤差は、画面上の数値だけでは判断しにくいことがあります。そこで、座標が分かっている二点、既設構造物の通り芯、道路中心線、基準杭間の方向などを使い、モデルの線形が現地と一致するかを確認します。

最も分かりやすい方法は、座標が既知の二点を選び、その二点を結ぶ方向を基準にすることです。一点だけでは位置は確認できても、回転方向は確定できません。二点の離隔が短すぎると、小さな位置誤差でも計算上の方位が大きく変わりやすいため、現場条件の許す範囲で十分な距離を持つ点を選びます。二点が一直線上に見通せること、施工で移動していないこと、点の取り違えがないことも確認します。

3D図面側では、その二点に対応するモデル上の点または線を特定します。現地の点とモデルの点を一対一で対応させ、端末を基準方向へ向けたときに、モデルの通りが現地の通りと平行になるかを確認します。基準点の位置が合っているのに延長方向がずれていれば、方位設定またはモデル回転を確認します。反対に、方向は合うのに全体が平行移動していれば、位置座標や座標変換の確認が優先です。

基準方向を選ぶときは、見た目だけで判断しないことが重要です。道路縁、建物外壁、仮囲いなどは、3D図面上の基準線と厳密に平行とは限りません。施工途中の構造物は、完成形の設計位置と異なる場合もあります。できるだけ測量成果や確定済みの基準点を使い、見た目の直線は補助確認にとどめます。

座標系の北方向も事前に整理します。モデルが真北基準なのか、採用座標系の軸基準なのか、任意の現場座標へ回転されているのかを確認します。磁北との差を補正する設定がある場合は、補正が二重に適用されていないかも確認します。現場のどの地点でも一定角度だけずれる場合、こうした北方向の定義差や回転角設定が原因になっている可能性があります。

初期方位の照合は、AR表示を開始するたびに実施できる簡潔な手順へ落とし込むことが大切です。たとえば、開始地点、向ける基準方向、確認するモデル線、許容する見かけのずれ、再初期化の条件を作業手順書に記載します。担当者が変わっても同じ場所と同じ方向で確認できれば、方位誤差の再現性を比較しやすくなります。

LRTK Phoneを用いて絶対座標付き3D図面を確認する場合も、位置が合ったことだけで完了とせず、現場の既知方向との一致を確認する運用が有効です。位置と方位を別々に合否判定することで、センサー誤差と座標設定誤りを混同しにくくなります。

対策3 測位と慣性情報を安定させてから表示する

第三の対策は、AR表示を起動してすぐに判定を始めず、測位、カメラ追跡、端末姿勢が安定してから3D図面の向きを確認することです。端末の方位は、磁気情報だけでなく、端末の回転や移動、カメラ映像から得られる周辺特徴などを使って更新される場合があります。起動直後は各情報の整合が十分でないことがあるため、短時間の準備動作を標準化すると誤判定を減らせます。

開始地点は、空が比較的開け、周囲の特徴をカメラで捉えやすく、足元が安定した場所を選びます。空だけ、単調な壁面だけ、反射の強い面だけを長く映すと、カメラによる姿勢追跡が安定しにくい場合があります。地面、構造物、周辺物を含むように端末をゆっくり動かし、画面の表示が急に跳ばなくなってから基準方向へ向けます。

端末を持って移動する際は、急旋回や急な上下動を避けます。方位を確認する前に、短い距離を直線的に歩き、立ち止まって表示の落ち着きを見る方法もあります。ただし、移動方向と端末の向きが一致しているとは限らず、進行方向だけで真の方位を決められるわけではありません。歩行は姿勢推定を安定させる補助として使い、最終的な照合は既知の基準方向で行います。

測位品質については、位置の状態が安定したかを確認します。表示上の座標が大きく変動している段階では、基準点との位置比較も方位比較も不安定になります。必要な測位状態が得られていない場合は、先に測位環境を見直し、遮蔽物の少ない場所へ移動します。ただし、高精度な位置が得られたことをもって、方位も同じ精度になったとは判断しません。

端末の傾きも一定に保ちます。垂直に近い持ち方と水平に近い持ち方を頻繁に切り替えると、利用者が画面上の水平回転と傾きによる見え方を混同することがあります。現場手順では、胸の前で画面を見やすい角度に保つなど、基本姿勢を決めておくと比較しやすくなります。方位を照合するときは、同じ担当者が同じ姿勢で複数回確認するだけでなく、別の担当者でも同様の結果になるかを見ると、持ち方の影響を判断できます。

表示が安定した後も、長時間の連続使用では再確認が必要です。端末を大きく回転させた後、階段や傾斜地を移動した後、屋外から建物際へ移った後、画面の向きが急に変化した後は、基準方向へ戻って再照合します。初期化時だけ正しくても、移動中に方位が変化する場合があるためです。

この対策では、待ち時間を長く取ることよりも、安定したかどうかを判断する観察項目を決めることが重要です。座標表示の変動、モデルの急な回転、基準線の揺れ、再現性の有無を見ながら、確認開始の条件を統一します。これにより、起動直後の一時的な不安定を設計データの誤りと判断するリスクを下げられます。

対策4 複数地点で再確認し運用記録を残す

第四の対策は、一地点、一方向、一回の表示だけで合否を決めず、複数地点で再確認し、その条件と結果を記録することです。方位誤差は、観察地点と対象物の距離、周囲の磁気環境、端末の姿勢、モデルの形状によって見え方が変わります。一地点だけで正しく見えても、別の地点では回転ずれが明確になる場合があります。

再確認地点は、基準方向に沿った位置、基準方向から離れた位置、対象物の反対側など、見え方が異なる場所を選びます。長い構造物であれば、始点付近だけでなく中間点や終点付近でも確認します。モデルの回転誤差は距離が増えるほど横ずれとして現れやすいため、遠方の対応関係を見ることが有効です。ただし、遠方ではカメラ映像上の対象識別が難しくなることがあるため、確認可能な距離を選びます。

複数地点で同じ角度のずれが見える場合は、モデルの回転設定、北方向定義、座標変換条件を確認します。特定地点だけで方位が乱れる場合は、局所的な磁気干渉や遮蔽環境を疑います。移動するにつれて徐々にずれが増える場合は、姿勢追跡の蓄積誤差、初期化条件、表示処理を確認します。このように、ずれ方のパターンを記録すると、原因の切り分けが進みます。

記録には、使用した3D図面の版、座標参照系、表示日時、開始地点、基準方向、測位状態、端末の装着状態、周囲の主な金属物、再校正の有無、確認地点、見かけのずれを残します。画面記録や位置付き写真を保存できる場合は、同じ基準点と同じ方向で取得します。ただし、画像だけでは端末の持ち方や周囲条件が分からないことがあるため、簡単なメモを併記します。

合否基準も事前に決めます。AR表示は視覚確認を支援する手段であり、画面上の見え方だけで施工可否や出来形を確定してよいとは限りません。対象物までの距離、要求精度、モデル精度、測位状態を考慮し、詳細測量が必要な場面を区別します。方位誤差が許容範囲を超えた場合は、モデルを手動で動かして合わせ込む前に、再校正、基準方向照合、別地点確認を行います。

運用記録を残す利点は、問題が起きた日の状況を後から比較できることです。同じ場所で同じずれが繰り返されるなら環境要因、特定データだけで発生するならモデル要因、特定の操作後に発生するなら手順要因を疑えます。担当者の感覚だけに頼らず、条件と結果を蓄積することで、現場ごとの安定した開始地点や確認方向も見つけやすくなります。

4対策を組み込んだ現場手順

実際の現場では、四つの対策を個別に実施するより、開始前から終了後までの一連の手順に組み込む方が確実です。まず事務所または現場入り前に、使用する3D図面の座標参照系、単位、基準高、北方向、回転角、データ版を確認します。モデル内で基準にする二点と、その二点を結ぶ方向も決めます。現場で点の名称を取り違えないよう、位置図や簡潔な説明を準備します。

現場到着後は、安全を確保した上で開始地点を選びます。鉄骨、車両、重機、電源設備などから可能な範囲で距離を取り、端末ケースや固定具の磁気影響を確認します。LRTK Phoneを装着する場合も、周辺アクセサリーや工具が端末の近くにない状態を整えます。その後、必要な測位状態を待ち、カメラが周辺の特徴を捉えられるようにゆっくり端末を動かします。

AR表示を開始したら、最初に一点の位置を確認します。位置が大きくずれている場合は、方位の前に座標参照系、基準点、測位状態、高さ設定を確認します。位置がおおむね整合している場合は、二点を結ぶ既知方向へ端末を向け、モデルの線形が現地と平行になるかを見ます。このとき、端末の方位数値だけでなく、実際の構造線との重なりを確認します。

方位がずれている場合は、その場でモデルを回転して合わせる前に、周囲の磁気環境を確認します。数歩移動して同じ方向を向き、表示が変わるかを見ます。端末やAR表示が再校正を求めている場合は、干渉の少ない場所で案内に従って再校正します。再校正後に基準方向へ戻り、同じ点と同じ線で再確認します。

初期方位が合ったら、対象範囲内の複数地点へ移動します。始点、中間点、終点などで、位置と方向を分けて確認します。移動後に方位だけが変わった場合は、再び基準方向へ戻して再照合します。どの地点でも同じ角度差が残るなら、モデル側の回転や北方向定義を確認します。特定地点のみで乱れるなら、その地点での磁気干渉を記録し、確認場所を変更します。

作業終了時には、使用データの版、開始地点、基準方向、再校正の有無、確認した地点、異常の有無を記録します。異常があった場合は、どの操作で改善したかも残します。次回の担当者が同じ条件で再現できる記録にすることで、現場ごとの方位確認手順が蓄積されます。

この流れを標準化すると、方位センサーの一時的な乱れ、モデルの回転設定、座標参照系の不一致を順番に切り分けられます。また、AR表示を見た担当者が独自判断でモデルを移動や回転させることを防ぎ、元データとの整合性を保ちやすくなります。

誤差を見分けるチェックポイント

方位誤差を効率よく見分けるには、ずれの方向と再現性を観察します。基準点を中心にモデル全体が回転しているように見える場合は、方位やモデル回転の問題が考えられます。モデル全体が同じ方向へ平行移動している場合は、位置座標、座標変換、基準点選択の問題を優先して確認します。近くでは合うが遠くで横に外れる場合は、わずかな方位差が拡大して見えている可能性があります。

端末を同じ方向へ向けたまま数歩移動し、モデルの向きが急に変わる場合は、局所的な磁気干渉が疑われます。特に鋼材や重機へ近づいたときだけ変化するなら、確認地点を移すことが有効です。一方、現場のどこでも一定角度だけずれる場合は、磁気干渉よりも、磁北と座標系の北の違い、モデル回転、変換設定を確認します。

端末を一周回して元の方向へ戻したとき、モデルが元の位置関係へ戻らない場合は、姿勢推定の安定性を確認します。急な回転を避け、周囲の特徴をカメラに映し、再初期化後に同じ操作を試します。再現性がない場合は、その場の表示だけで合否を決めず、別地点や別の開始条件で比較します。

高さ方向のずれを方位誤差と混同しないことも大切です。端末が傾いていると、画面上では対象が斜めに移動したように見える場合があります。まず水平回転のずれなのか、上下方向の基準高のずれなのか、端末傾きによる見え方なのかを分けて観察します。構造物の鉛直線、地表面、基準高を使うと切り分けやすくなります。

縮尺や単位の誤りも別の症状を示します。基準点付近では一部が合っても、離れるほど全方向へずれが拡大する場合は、方位だけでなく縮尺を確認します。長さ単位の変換、モデル書き出し時の倍率、座標値の扱いが適切かを見直します。方位を何度調整しても複数方向で合わないときは、回転以外の要因を疑うべきです。

判断に迷う場合は、二点間距離と方向を数値で確認します。現地の基準点間距離とモデル上の距離が一致し、位置も合っているのに方向だけがずれるなら、方位関連の可能性が高くなります。距離自体が一致しなければ、モデル単位、座標変換、点の対応関係を先に確認します。このような切り分けを行うと、端末の校正を繰り返すだけの対応から脱しやすくなります。

3D図面AR表示を安全に活用するための注意点

3D図面のAR表示は、設計内容を現場で理解し、関係者間の認識をそろえる上で有効です。しかし、画面に表示されたモデルは、測位、方位、姿勢推定、モデル精度、座標変換、カメラ表示などの影響を受けます。したがって、AR表示だけを根拠に、施工位置、出来形、離隔、埋設物との干渉を確定しない運用が必要です。

特に、方位誤差は対象物までの距離が長いほど見かけの横ずれを大きくします。長い管路、道路、擁壁、橋梁部材、法面境界などを確認する場合は、始点付近の一致だけで判断せず、複数地点で方向を確認します。施工に直接関わる判断では、必要に応じて測量成果、基準杭、設計図書、現地計測と照合します。

周囲の安全にも注意します。AR画面を見ながら移動すると、段差、開口部、車両、重機、資材への注意が不足するおそれがあります。確認者と誘導者の役割を分ける、立ち止まって画面を見る、立入範囲を事前に決めるなど、現場の安全ルールを優先します。方位校正のために端末を動かす際も、周囲の作業員や設備に接触しない場所で行います。

データ管理では、現場で使う3D図面が最新版かを確認します。古い設計版と現行施工版が混在すると、方位が正しくても位置関係が合わない場合があります。ファイル名だけでなく、更新日、承認状態、座標参照系、変換履歴を確認し、現場端末へ配布するデータを統一します。手動で回転や移動を加えた場合は、その変更を元データへ無断で反映せず、検証用調整として区別して記録します。

また、現場で方位補正を行う権限と手順を決めます。誰でも自由にモデルを回転できる状態では、センサー誤差を補正したのか、モデル設定を変更したのかが分からなくなります。原則として、表示確認担当者は再校正と再初期化を行い、モデルの恒久的な回転変更はデータ管理担当者が基準点情報を確認した上で実施する、といった役割分担が有効です。

方位誤差の許容値は、用途ごとに考えます。完成イメージの共有と、施工位置の詳細確認では必要精度が異なります。対象までの距離が長いほど同じ角度誤差でも横ずれが大きくなるため、角度だけでなく対象地点での見かけのずれとして評価します。許容範囲を超える場合は、AR表示による判断を中止し、基準点や測量機器を使った確認へ切り替えます。

まとめ

3D図面AR表示で端末の方位センサー誤差を減らすには、絶対座標を設定するだけでは不十分です。位置座標と端末方位は別の要素であり、位置が合っていても方位がずれれば、モデル全体が回転して見えます。とくに延長の長い構造物では、わずかな角度差が遠方で大きな横ずれとして現れるため、方位確認を独立した工程として扱う必要があります。

有効な対策は、磁気干渉を避けて必要な再校正を行うこと、現場の既知方向で初期方位を照合すること、測位と慣性情報が安定してから表示を判定すること、複数地点で再確認して記録を残すことの四つです。これらを組み合わせると、局所的な磁気干渉、起動直後の不安定、モデル側の回転設定、座標系の北方向の違いを切り分けやすくなります。

実務では、二点以上の基準点を使い、位置と方向を別々に確認します。ずれが見つかったときは、すぐにモデルを手動回転せず、開始地点、周囲の金属物、測位状態、端末姿勢、北方向定義、モデルの変換履歴を順番に見直します。また、AR表示は現場確認を支援する手段として使い、施工可否や出来形の確定には必要な測量や設計図書との照合を行います。

3D図面 AR 表示 絶対座標の運用を安定させる鍵は、高性能な端末だけに頼ることではなく、再現できる確認手順を整えることです。開始地点と基準方向を決め、複数地点で同じ結果になるかを確かめ、異常時の対応を記録しておけば、担当者が変わっても判断のばらつきを抑えられます。現場で絶対座標付き3D図面の確認をさらに具体化したい場合は、LRTK Phoneの機能と活用手順を案内するLRTK Phoneの製品ページへ進み、導入から現場運用までの流れを確認してください。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る