仮設排水管を施工するとき、掘削した土がそのまま全量余るわけではありません。掘削によって生じた土の一部は埋戻しに再利用され、残りは仮置き、場内流用、搬出などの対象になります。一方、管の周囲や基礎部分に購入材や選別材を使用する場合は、その分だけ発生土を戻せる完成空間が減るため、余剰となる土が増える可能性があります。
数量関係を整理せず、掘削量をそのまま搬出量として扱うと、仮置き場所や運搬車両を過大に見込むことがあります。反対に、地山状態の発生土量と締固め後の埋戻し体積を無換算で差し引くと、余剰土量や不足土量を誤るおそれがあります。管体積、管周囲材、復旧材を重複して控除することも、数量差が生じる代表的な原因です。
現場で体積計算を行う実務担当者には、設計図から数量を拾うだけでなく、土の状態と行き先をそろえて収支を確認する作業が必要です。本記事では、仮設排水管の掘削から埋戻しまでを対象に、発生土量を漏らさず計算するための6項目を解説します。
仮設排水管の発生土量で最初に区別する数量
仮設排水管の土量計算では、最初に何の数量を求めているのかを明確にします。現場では、掘削土量、発生土量、埋戻し土量、余剰土量、搬出土量などの言葉が使われますが、これらは同じ数量ではありません。
掘削土量は、施工前の地盤から掘り取る空間の体積です。基本的には掘削断面積に施工延長を掛けて求めます。数量算出では地山状態の体積として扱うことが多いものの、契約図書や数量総括表で別の定義が示されている場合は、その定義を優先します。
発生土量は、掘削によって生じる土の量を指します。ただし、書類や現場内の会話では、地山状態の体積を指す場合と、掘削後にほぐれた状態の見かけ体積を指す場合があります。どの状態の数値かを確認せずに比較すると、仮置き場容量、運搬台数、埋戻し計画の間で数量が合わなくなります。
埋戻し土量は、管を設置した後に掘削空間へ施工する材料の完成体積です。発生土、選別土、購入材などの材料区分とは別に、締固め後にどの空間を満たすかを示す幾何学的な数量として整理すると分かりやすくなります。
土量は、地山の土量、掘削後のほぐした土量、締固め後の土量で体積が変化します。国の積算資料でも、これらを別の状態として区分し、ほぐし率Lと締固め率Cを用いて換算する考え方が示されています。([国土交通省][1])
余剰土量は、発生土のうち埋戻しや場内流用に使わない数量です。搬出土量は、その余剰土や再利用できない土のうち、実際に現場外へ運ぶ数量です。後工程まで仮置きする土は、その時点では搬出していないため、最終処分量と一時保管量を分けて管理します。
現場で体積計算するときは、まず掘削空間の完成形状を求め、次に管、基礎材、管周囲材、復旧材などの占有体積を整理します。その後、発生土で埋め戻す完成体積を求め、締固め率を使って必要な地山相当量またはほぐし土量へ換算します。最後に、再利用不可土、場内流用土、仮置き土、搬出土へ振り分けます。
この順序を守れば、掘った量、戻す完成体積、戻すために必要な原土量、余る量を混同しにくくなります。
1項目目は施工延長と区間条件を正確に分ける
仮設排水管の掘削量は施工延長が長いほど大きくなりますが、平面図に示された管路延長を一つの断面積へ掛けるだけでは、実際の数量と合わない場合があります。管路の途中で掘削幅、掘削深さ、管径、縦断勾配、土留め方法、復旧断面などが変わるためです。
最初に確認するのは、数量計算に使う延長の範囲です。管の中心線延長、掘削溝の施工延長、管材の使用延長は必ずしも一致しません。継手の差し込み、曲管、立ち上がり、吐出口への接続、集水部への取り付けなどにより、管材の実長と平面的な掘削延長に差が出ることがあります。
土量計算では、掘削空間が連続する範囲を施工区間として捉えます。直線部だけでなく、曲がり部、分岐部、流入口、流末部、集水ますとの接続部も確認します。これらの部分では掘削幅が広がったり、作業空間を確保するための局部的な床掘りが必要になったりします。
施工延長を区分するときは、同じ掘削断面で施工できる範囲を一つの区間にまとめます。浅い区間、深い区間、土留めを使用する区間、掘削面に勾配を設ける区間、既設構造物に近接する区間というように分け、区間ごとに断面積と延長を掛けて合計します。
縦断勾配がある場合も注意が必要です。始点と終点で掘削深さが異なる区間を始点の深さだけで計算すると、土量を過小または過大に算定します。深さが直線的に変化するとみなせる場合は、始点と終点の断面積の平均に延長を掛ける方法があります。途中に地盤の凹凸、段差、局部掘削がある場合は、変化点でさらに区間を分けます。
管路が斜めに下がる場合、平面上の延長と管軸に沿った実長にも差が生じます。掘削量には地表面上の施工区間と掘削断面を使い、管材量や管占有体積には管軸に沿った実長を使うなど、数量の目的に応じて延長を使い分けます。
ますや集水部の掘削と管路掘削が重なる部分では、二重計上に注意します。管路を全延長で計算した後、ますの掘削体積をそのまま加えると、重複範囲が含まれる場合があります。ます部分を管路区間から除いて別計算する方法か、管路標準断面に対する追加拡幅分だけを加える方法のどちらかへ統一します。
現場では、図面上の延長だけでなく、実際の始点、終点、曲がり位置、接続位置、施工済み延長を記録します。ルート変更が生じたときに、修正対象となる区間を追跡できるようにするためです。
2項目目は掘削断面を施工方法に合わせて計算する
施工延長を整理した後は、掘削断面を確認します。仮設排水管の掘削量は管径だけでは決まりません。管の両側に必要な作業幅、基礎材の厚さ、土かぶり、土留めの有無、掘削面の勾配、施工機械の条件などで断面積が変わります。
掘削側面を垂直に近い形で施工できる計画の場合、数量上の断面は長方形として扱えます。掘削幅をB、掘削深さをHとすると断面積はB×Hであり、施工延長をLとすれば掘削体積はB×H×Lです。ただし、垂直掘削を採用できるかどうかは、地山の状態、掘削深さ、作業方法、土止めの有無などで変わります。数量計算上の単純化だけで施工方法を決めず、事前調査、掘削勾配、土止め、点検などの安全条件を施工計画で確認します。([厚生労働省][2])
上幅と下幅が異なる台形断面では、上幅をB1、下幅をB2、深さをHとすると、断面積は(B1+B2)÷2×Hです。左右の掘削面勾配が異なる場合や、片側だけに余裕幅を設ける場合は、断面を長方形と三角形へ分割して求めると確認しやすくなります。
掘削幅を確認するときは、管外径へ一律の余裕幅を加えるだけで判断しません。管の接続作業、基礎材の敷きならし、締固め機械の使用、土留め材の設置、作業員の安全な動線などに必要な幅を、適用図面と施工計画で確認します。局部的に作業幅が広がる箇所は、標準断面と拡幅断面を分けます。
掘削深さは、現地盤から管底までの高さだけではありません。管下に基礎材や敷砂を設ける場合、その下面が床付け面となるため、基礎材の厚さも掘削深さへ含めます。現地盤から管底までが1.0メートルで、管下に0.1メートルの基礎材を設けるなら、数量上の掘削深さは原則として1.1メートルです。ただし、図面で管底の定義や基準高が異なる場合は図面表示を優先します。
現地盤が傾斜している場合は、左右で掘削深さが異なります。道路横断部や法面部で断面を単純な長方形として計算すると誤差が大きくなるため、左右の地盤高を確認し、三角形や台形へ分割して断面積を求めます。
既設舗装や路盤を撤去する区間では、掘削断面全体を一つの発生土量として扱わず、舗装版、路盤材、土砂などへ区分します。体積が同じでも、再利用の可否、仮置き方法、搬出区分が異なるためです。
掘削底に不陸がある場合、湧水処理のために深掘りした場合、軟弱部を追加掘削して置換した場合は、当初断面と実績断面に差が生じます。追加掘削は位置、理由、寸法を別に記録し、発生土量と置換材量の双方へ反映します。
3項目目は管体と基礎材が占める体積を整理する
掘削空間のすべてを発生土で埋め戻せるわけではありません。施工後には、排水管、管基礎、管周囲の保護材、接続部、ます、復旧材などが掘削空間内に残ります。これらが占める体積を整理しないと、発生土で埋め戻す完成体積を正しく求められません。
円形管の外形が占める体積は、管外径を基準に円柱として求めます。管外径をD、管軸に沿った延長をLとすると、占有体積はπ×(D÷2)²×Lです。控除するのは管内部の空洞ではなく、埋戻し材が入らない管外形の空間であるため、内径ではなく外径を使います。
ただし、管体積を単独で控除する方法と、管を含む占有範囲をまとめて控除する方法を混在させると二重控除になります。たとえば、掘削底から一定高さまでの長方形範囲を管周囲材の施工範囲とする場合、その範囲の完成体積には管が含まれます。実際の管周囲材量は、その完成体積から管体積を差し引いて求めます。
掘削体積から発生土以外の実材量と管体積をそれぞれ差し引く方法を採るなら、管周囲材量には管体積を含めません。反対に、管を含む占有範囲をまとめて発生土の対象外として控除するなら、管体積を別に引きません。計算表の列名を、実材量なのか占有範囲なのか分かる表現に統一します。
管基礎が掘削幅全体に敷かれる場合は、掘削幅×基礎厚×延長で完成体積を求められます。管の下だけに台形状や曲面状の基礎を設ける場合は、施工断面に合わせて面積を求めます。床付け面の不陸や施工上の余裕による使用量の増減は、設計数量と実績数量を分けて管理します。
継手部分は管本体より外径が大きい場合があります。必要な精度に応じて、継手部を別計算するか、施工図に基づく平均断面で扱います。全延長へ継手外径を適用すると過大になり、管本体の外径だけでは局部占有量を小さく見積もる可能性があります。
曲管、分岐管、立ち上がり管がある場合は、直線部だけでなく各部材の管軸延長を含めます。ますや集水槽は外形寸法を基準に占有体積を求めますが、管路掘削との重複範囲を確認します。
撤去を前提とする仮設排水管では、供用中の埋戻し数量と撤去後の復旧数量を分けます。施工中は管が占める空間へ土を戻せませんが、撤去後にはその空間を再び埋める材料が必要です。撤去後に発生土を再利用する計画なら、必要量を保管できるか、品質を維持できるかも確認します。
4項目目は発生土の再利用可否と状態変化を確認する
掘削によって生じた土が、すべて埋戻しに適しているとは限りません。粒径、含水状態、有機物や異物の混入、泥状化などによって、そのまま再利用できない場合があります。発生土量を漏らさないためには、単純な体積だけでなく、再利用できる土と再利用できない土を分けます。
掘削前の地山体積と、掘削後にほぐれた土の体積は同じではありません。掘削した土は一般に空隙が増え、山積み状態では体積が変化します。埋戻して締め固めた後も、地山状態やほぐし状態とは別の体積になります。
ここで重要なのは、異なる状態の体積を直接差し引かないことです。締固め率Cを、締固め後の土量÷地山の土量と定義するなら、完成体積Vcを満たすために必要な地山相当量VnはVc÷Cで求めます。ほぐし率Lを、ほぐした土量÷地山の土量と定義するなら、その地山相当量を運搬時のほぐし土量へ換算するとVn×Lになります。
土量変化率は、土質、含水状態、掘削方法、締固め方法などで異なります。どの現場にも共通する一つの値を無条件に使わず、契約図書、適用基準、土質区分、試験結果、施工実績などに基づいて設定します。
再利用を確保するには、掘削時の分別も重要です。表層の有機質土、路盤材、良質な地山土、泥水を含んだ土を一つの山に混ぜると、再利用可能だった土まで扱いにくくなることがあります。掘削段階で区分して仮置きし、使用予定区間を明確にします。
雨天時には、発生土が過度に湿り、直ちに締固めへ使えない場合があります。その土を後日含水調整して場内流用するなら、当日の使用可能量、仮置き量、最終余剰量を分けます。直ちに使えないことと、最終的に再利用できないことは同じではありません。
湧水や排水処理で回収した泥状土は、水切り前後で見かけ体積や質量が変化します。通常の発生土と同じ基準で混在させず、計測時点、含水状態、保管場所を記録します。
管周囲や構造物近傍では、材料の粒径や締固めやすさに制約がある場合があります。一方、管から離れた上部埋戻しには、選別した発生土を利用できる場合があります。再利用可否は見た目だけで断定せず、設計図、施工計画、材料条件に照らして確認します。
5項目目は埋戻し材の区分と必要量を積み上げる
埋戻し土量を求めるときは、掘削体積から管体積を引くだけでは不十分です。仮設排水管の周囲では、管の支持や保護、締固め作業、復旧条件に応じて複数の材料区分を設けることがあります。
一般には、管下の基礎部分、管側部、管上部、上部埋戻し、路盤や舗装などの復旧部へ分けます。ただし、必要な材料と施工範囲は、管の種類、設計図、施工計画、現場条件で異なります。名称だけで判断せず、断面図に示された幅と高さを確認します。
管下の基礎材量は、基礎断面積に施工延長を掛けて求めます。掘削幅全体へ一定厚さで敷く場合は、幅×厚さ×延長で計算できます。管の一部が基礎材の範囲へ入り込む断面では、管と重なる体積をどの区分に含めるかを統一します。
管側部と管上部に発生土以外の材料を使用する場合は、その完成範囲の体積を求めます。掘削底から一定高さまでを選別材で施工するなら、幅×高さ×延長で占有範囲を算出し、管が含まれる場合は管体積を差し引いて実際の材料体積を求めます。
発生土で埋め戻す完成体積は、原則として掘削体積から、管体積、発生土以外の実材量、残置構造物体積、復旧材体積、完成後に残す開放空間などを差し引いて求めます。この式で得られるのは締固め後の完成空間であり、投入前の発生土量ではありません。
発生土で埋め戻すために必要な原土量は、完成体積を締固め率で換算して求めます。完成体積が27立方メートルで、適用する締固め率Cが0.90なら、必要な地山相当量は27÷0.90で30立方メートルです。ここを27立方メートルのまま地山状態の発生土量から差し引くと、余剰土を多く算定することになります。
材料の手配量は、完成体積と一致しない場合があります。敷きならし、締固め、床付け面の不陸、材料の含水状態、運搬や施工時の損失などが影響するためです。設計数量、施工計画数量、搬入実績、完成数量を分けると、差の原因を確認しやすくなります。
既設道路や作業ヤードを復旧する場合は、埋戻し上部に路盤材や舗装を施工する空間を確保します。掘削上端まで発生土を戻す計算にすると、復旧材の空間を重複して見込むことになります。
施工前より高く整形する場合は、掘削空間外にも盛土量が必要です。この数量は埋戻しとは別に計算し、発生土を使う場合は場内流用量として収支へ入れます。施工前より低い仕上がりとする場合は、全量を埋め戻さないため余剰土が増えます。
6項目目は余剰土量と搬出土量を同じ状態へ換算する
余剰土量は、発生土から埋戻しや場内流用に必要な土を差し引いて求めます。ただし、差し引く前に数量の状態をそろえます。地山状態の発生土量から差し引くなら、埋戻し完成体積を締固め率で地山相当量へ換算します。ほぐし状態で管理するなら、発生土と必要土の双方をほぐし土量へ換算します。
地山状態を基準にする場合の基本的な収支は、再利用可能な地山相当量から、埋戻しに必要な地山相当量と場内流用に必要な地山相当量を差し引く形です。これに再利用不可土の地山相当量を加えると、場外搬出候補となる地山相当量を整理できます。
仮置き場容量や運搬計画では、地山相当量をほぐし土量へ換算します。ただし、再利用不可土と良質土で土質や含水状態が異なる場合は、同じほぐし率を一律に使わず、区分ごとに扱います。
運搬車両の台数は体積だけでは決められません。土の単位体積質量、含水状態、積み方、荷台形状、車両の積載条件などで、一台当たりの実積載量が変わります。体積による概算だけでなく、質量制限と実績の双方を確認します。
計画段階では図面数量と換算係数で概算し、施工開始後は掘削実績、積込実績、運搬回数、仮置き量、材料使用量で補正します。施工初期の短い区間で収支を確認すれば、後半区間の仮置き場や車両手配を見直しやすくなります。
実測方法には、掘削前後の地盤高から差分体積を求める方法、施工延長と出来形断面から計算する方法、仮置き土の表面形状を測定する方法などがあります。どの方法でも、測定範囲、基準面、測定時点、土の状態を記録します。
仮置き土を測定する場合、地盤との境界や山裾が不明確だと誤差が大きくなります。仮置き前の基盤面を記録し、再利用予定土と搬出予定土を可能な範囲で分けて置くと、区分別数量を確認しやすくなります。
追加掘削、ルート変更、掘削幅の拡大、掘削深さの変更が生じた場合は、変更後の実績断面で再計算します。当初数量を最後まで使い続けると、実際の仮置き量や搬出量との差が拡大します。
現場で体積計算する目的は、当初数量を一度求めて終わることではありません。計画値と実績値を比較し、差の原因を次の区間へ反映することで、管路全体の数量精度を高めます。
現場で体積計算するときの基本手順
仮設排水管の発生土量を計算するときは、最初に平面図、縦断図、標準断面図、施工計画、復旧図を確認します。管路の始点と終点、管径、延長、勾配、掘削幅、掘削深さ、基礎材厚、管周囲材の範囲、完成地盤高を読み取ります。
次に、同じ断面条件で施工できる区間ごとに分割します。深さが変化する区間は、始点と終点の断面積を求めて平均するか、変化点で区切ります。ます、分岐、曲がり、吐出口などの拡幅部は別区間として整理します。
区間ごとの掘削体積を求めたら、管体、基礎材、管周囲材、残置構造物、復旧材などが占める体積を計算します。管を含む占有範囲と実際の材料量を混同しないよう、どちらを控除に使うかを決めます。
その後、発生土で埋め戻す締固め後の完成体積を求めます。この完成体積を締固め率で地山相当量へ換算し、再利用可能な発生土量と比較します。
再利用できない土、選別が必要な土、含水調整が必要な土を区分し、場内流用、仮置き、搬出の内訳を決めます。仮置き場や運搬台数を計画するときは、地山相当量をほぐし土量へ換算します。
最後に、実際の掘削断面、使用材料、仮置き量、運搬回数を記録し、計画数量を補正します。この手順を区間ごとに繰り返せば、管路全体の数量だけでなく、日ごとの施工量も管理しやすくなります。
仮設排水管の発生土量を求める計算例
ここでは、考え方を整理するために条件を単純化して計算します。実際の現場では、契約図書、土質、施工条件、適用する土量変化率に合わせて数値を設定してください。
掘削幅を0.9メートル、掘削深さを1.2メートル、施工延長を40メートルとします。掘削側面は、施工計画上必要な安全対策を講じたうえで数量計算では垂直断面として扱い、全区間が同じ断面と仮定します。
掘削断面積は0.9×1.2で1.08平方メートルです。掘削体積は1.08×40で43.2立方メートルになります。これは地山状態を基準とした掘削空間の体積です。
管外径を0.3メートルとします。管の半径は0.15メートルなので、管外形の占有体積はπ×0.15²×40で約2.83立方メートルです。
掘削底から0.45メートルの高さまで、管を含む範囲を発生土以外の材料で施工すると仮定します。この占有範囲は0.9×0.45×40で16.2立方メートルです。この中には管体積が含まれるため、実際に必要な管周囲材の完成体積は16.2-2.83で約13.37立方メートルです。
掘削空間43.2立方メートルのうち、管が約2.83立方メートル、管周囲材が約13.37立方メートルを占めます。したがって、発生土で埋め戻す上部の完成体積は43.2-2.83-13.37で27.0立方メートルです。
ここで、説明用の仮定として、発生土による埋戻しに適用する締固め率Cを0.90とします。27.0立方メートルの完成体積を確保するために必要な地山相当量は、27.0÷0.90で30.0立方メートルです。
掘削発生土43.2立方メートルのうち、再利用できない土が地山相当量で4.32立方メートルあると仮定します。再利用可能な発生土は43.2-4.32で38.88立方メートルです。
再利用可能土38.88立方メートルから、埋戻しに必要な地山相当量30.0立方メートルを差し引くと、再利用可能土の余剰は8.88立方メートルです。場内の別工区へ流用しない場合、これに再利用不可土4.32立方メートルを加え、搬出候補の地山相当量は13.20立方メートルになります。
さらに、説明用の仮定として、搬出候補土に適用するほぐし率Lを1.20とすれば、運搬時の見かけ体積は13.20×1.20で15.84立方メートルです。ただし、再利用不可土の含水状態や土質が他の土と異なる場合は、区分ごとに換算率を設定します。
この計算例では、掘削量43.2立方メートルをそのまま搬出量としていません。また、締固め後の埋戻し完成体積27.0立方メートルを、地山状態の発生土から直接差し引いていません。締固め率を用いて30.0立方メートルの地山相当量へ換算してから収支を取っています。
管周囲材の占有範囲16.2立方メートルと、実際の材料体積13.37立方メートルも区別しています。占有範囲をそのまま発生土対象外として控除する方法なら、管体積をさらに控除しません。実材量を控除する方法なら、管体積を別に控除します。
仮設管を後日撤去する場合は、撤去後に管外形に相当する空間が生じます。その空間を埋め戻す材料量を別に計算し、保管しておく発生土を使うのか、新たな材料を使用するのかを施工計画で決めます。
数量の漏れと二重計上を防ぐ記録方法
土量計算では、計算式の誤りだけでなく、区間の漏れ、変更数量の未反映、材料体積の二重控除、状態の異なる体積の混在が問題になります。これを防ぐには、区間、断面、材料、土の状態、行き先を対応させて記録します。
区間番号には始点と終点が分かる情報を付けます。平面図上の測点、現場の位置表示、ます番号などと対応させると、施工後にも計算範囲を確認できます。
各区間には、施工延長、始点深さ、終点深さ、掘削幅、断面形状、管外径、基礎材厚、管周囲材の高さ、復旧材厚を記録します。条件が変わる地点で区間を分け、一つの式へ複数条件を無理に入れないようにします。
掘削体積、管占有体積、発生土以外の埋戻し材量、発生土による埋戻し完成体積、埋戻しに必要な地山相当量、再利用不可土量、場内流用量、余剰土量、搬出土量は別項目で管理します。
数量収支を確認するときは、土の状態をそろえます。地山体積、ほぐし体積、締固め後体積を同じ欄で直接差し引かず、基準状態を明記します。地山状態で収支を取り、仮置き場や運搬計画に使う段階でほぐし状態へ換算する方法は、比較的整理しやすい方法です。
写真記録では、掘削幅と深さ、基礎材の施工状況、管周囲材の施工高さ、発生土の分別状況、追加掘削箇所などを残します。写真だけで正確な体積を求めるのではなく、数量変更の位置と理由を裏付ける資料として使います。
施工日報には、その日の施工区間、掘削延長、発生土の仮置き先、埋戻しに使用した土、搬出回数、追加掘削の有無を記録します。計算数量と日々の実績を結び付けることで、差が生じた時点を特定しやすくなります。
管路ルートや断面が変更された場合は、元の数量を消さず、当初数量と変更後数量を残します。変更前後の差を示せば、発生土、埋戻し材、搬出量の増減を説明できます。
複数の担当者が数量を扱う場合は、数値ごとに地山、ほぐし、締固め後のいずれかを明記します。同じ発生土量という名称でも基準状態が違えば数値は一致しないため、単位と状態をセットで共有します。
まとめ
仮設排水管の埋戻し発生土量を漏らさず計算するには、掘削量だけでなく、土の発生から再利用、仮置き、場内流用、搬出までを一つの収支として整理する必要があります。
最初に、掘削幅、深さ、断面形状、施工方法が同じ区間へ分けます。次に、現地盤、床付け面、掘削勾配、土止め条件を確認し、実際の施工計画に合った掘削断面を求めます。
掘削体積を算出した後は、管体、基礎材、管周囲材、ます、復旧材などが占める体積を整理します。管を含む占有範囲と実際の材料量を区別しなければ、管体積を二重に控除するおそれがあります。
発生土については、再利用可能土と再利用不可土を分けます。さらに、地山状態、ほぐし状態、締固め後の状態を混同せず、同じ状態へ換算してから収支を確認します。
埋戻し完成体積を求めたら、締固め率で必要な地山相当量へ換算します。その数量を再利用可能な発生土量と比較すれば、余剰土量または不足土量を把握できます。仮置き場や運搬計画では、必要に応じてほぐし率を使って見かけ体積へ換算します。
最後に、追加掘削、ルート変更、含水状態、材料使用量、運搬実績を記録し、計画値を補正します。計算結果を位置情報や施工記録と結び付けて共有すれば、数量の漏れと二重計上を防ぎやすくなります。