点群を使った土量計算は、単に掘削量や盛土量を把握するための作業ではありません。計測結果を土砂運搬計画へ結び付けることで、必要な車両台数、運搬便数、仮置場の容量、搬出先ごとの配分、施工の進捗などを具体的に検討できます。
一方で、点群から算出された体積を、そのままダンプトラックなどの運搬便数へ換算すると、実際の搬出量と合わないことがあります。地山の状態で測った土量と、掘削後にほぐれた土量では体積が異なるためです。土質、含水状態、積載方法、締固めの有無、車両ごとの積載条件などによっても、計画値と実績値には差が生じます。
また、点群土量計算そのものが正しくても、計算範囲、基準面、座標系、欠測部分の補間方法が施工前後で統一されていなければ、運搬計画に使える土量にはなりません。重要なのは、点群を取得することではなく、計測条件と運搬管理の条件を最初から対応させることです。
本記事では、「土量計算 点群」で情報を探している施工管理者、測量担当者、工事担当者に向けて、点群土量計算を土砂運搬計画に活かす7つの進め方を解説します。
点群土量計算を運搬計画へつなげる基本
点群土量計算では、対象物や地表面を多数の三次元座標として取得し、基準となる面との高低差から体積を求めます。施工前後の地表面を比較すれば、掘削によって減った部分と、盛土によって増えた部分を分けて把握できます。仮置土やストックパイルでは、周囲の地盤面を基準として、その上に存在する土砂の体積を算出する方法が一般的です。
ただし、点群から得られるのは、設定した条件に基づく幾何学的な体積です。その体積が何を表しているのかを明確にしなければ、運搬計画には利用できません。施工前の自然地盤と計画掘削面との差を計算した場合は、主に地山状態の掘削対象量を表します。掘削後に仮置された土砂を計測した場合は、ほぐされた状態の体積に近い値になります。盛土後の完成形状を計測した場合は、締め固められた状態の体積として扱うことになります。
この違いを区別せず、すべて同じ土量として扱うと、運搬便数の不足や過剰手配につながります。たとえば、地山状態の掘削量を車両の荷台容積で単純に割っただけでは、掘削後の体積増加を反映できません。反対に、ほぐされた仮置土の体積をそのまま盛土完成量と比較すると、必要以上に土があるように見える場合があります。
点群土量計算を土砂運搬計画へ活かすためには、計測値を運搬管理に使える単位へ変換する工程が必要です。そのためには、計測対象、土量の状態、車両条件、搬出先、施工期間、作業時間を関連付けて考えます。
まず点群で現場の形状を把握し、次に切土量や仮置土量を計算します。その後、土質や状態に応じた体積変化を考慮し、運搬対象となる土量へ換算します。さらに、車両1台当たりの実際の積載量、往復時間、積込時間、荷下ろし時間を用いて、必要な便数と車両台数を検討します。この一連の流れを同じ管理条件で繰り返すことで、計画と実績の差を小さくしていけます。
進め方1 計測目的と管理単位を先に決める
最初の進め方は、点群を取得する前に、何のために土量を求めるのかを明確にすることです。目的が曖昧なまま計測を始めると、点群自体は取得できても、運搬計画に必要な範囲や時期がそろわないことがあります。
土砂運搬計画に使う場合は、工事全体の総土量だけでなく、工区別、施工段階別、土質別、搬出先別に管理できることが重要です。全体で掘削土が大量にあると分かっても、どの時期に、どの位置から、どの種類の土が発生するのかが分からなければ、日々の配車には反映できません。
計測範囲は、実際の施工区分と対応させます。道路工事であれば測点や施工区間、造成工事であれば街区や施工ブロック、掘削工事であれば掘削段階や深度区分など、現場で使用している管理単位にそろえると扱いやすくなります。点群処理の境界と運搬日報の工区が一致していれば、計画土量と搬出実績を比較しやすくなります。
管理する時間単位も事前に決めます。工事全体の計画だけに使うのか、月間計画、週間計画、日々の配車まで更新するのかによって、必要な計測頻度は変わります。施工前と完成後の2回だけでは、工事全体の出来高確認には利用できますが、途中の運搬計画を修正するには情報が不足します。週単位や施工段階ごとに点群を取得すれば、残土量の変化を見ながら車両配置を見直せます。
土質区分も運搬計画に影響します。再利用できる土、場外へ搬出する土、改良が必要な土、仮置きする土などでは、行き先と扱いが異なります。点群のみでは土質を自動的に確定できないため、現場での土質確認や施工記録と組み合わせて管理します。点群上の範囲に土質区分や施工区分の情報を対応させておくと、土量を用途別に集計しやすくなります。
この段階では、必要以上に細かな区分を作らないことも大切です。細分化しすぎると、境界の作成や日報入力が複雑になり、計画と実績の対応が取れなくなります。運搬先や施工手順が変わる単位を基準として、現場で継続的に管理できる区分を設定します。
計測目的と管理単位を先に決めておけば、必要な点群密度、計測範囲、取得時期、現場記録が明確になります。結果として、土量計算のためだけの点群ではなく、配車や工程調整に利用できる点群を作成できます。
進め方2 現況点群と基準面の条件をそろえる
2つ目の進め方は、土量計算に使う現況点群と基準面の条件をそろえることです。点群土量計算では、比較対象となる2つの面の差から体積を求めるため、どの面を基準とするかによって結果が変わります。
掘削予定量を求める場合は、施工前の現況地盤と計画掘削面を比較します。施工によって実際に搬出された量を確認する場合は、施工前点群と施工後点群を比較します。仮置土の量を求める場合は、土砂の下面となる地盤面と仮置土表面を比較します。目的に合わない基準面を選ぶと、計算上は体積が得られても、運搬対象量とは一致しません。
特に注意したいのが、仮置土の下にある地盤面です。土砂を置いた後に表面だけを計測しても、下面の形状は直接確認できません。仮置き前の地盤点群があれば、その面を基準として使用できます。事前計測がない場合は、周囲の地盤高から下面を推定する方法もありますが、地盤に傾斜や凹凸があると誤差が大きくなる可能性があります。運搬計画に仮置土量を利用する予定があるなら、仮置き前の状態を計測しておくことが有効です。
施工前後の点群は、同じ座標系と高さ基準で扱います。平面位置や高さの基準が異なると、実際には変化していない場所にも高低差が生じます。広い範囲では小さな高さのずれが大きな体積差になることがあるため、既知点や変化していない構造物などを利用して位置関係を確認します。
計算範囲の境界も統一します。施工前点群では広い範囲を含み、施工後点群では狭い範囲だけを使うと、比較範囲が一致しません。工区境界、掘削境界、搬出対象範囲を面として設定し、各時点で同じ境界を使うことが重要です。
境界付近には、重機の走行跡、法肩、法尻、仮設道路、側溝、構造物などが含まれることがあります。どこまでを土量計算に含めるかを計算前に決めます。境界線が斜面の途中を横切る場合は、わずかな位置の違いでも体積が変化しやすいため、施工図や現地状況を確認しながら設定します。
欠測部分の扱いもそろえる必要があります。重機、資材、草木、水たまり、急斜面などによって地表面が取得できないと、点群処理では周囲の点から面が補間されることがあります。補間範囲が大きいほど、実際の地形と異なる面が作られる可能性があります。施工前だけ欠測している場所と施工後だけ欠測している場所がある場合は、単純な差分では正確な変化を判断しにくくなります。
点群を取得した後は、平面図だけでなく、断面表示や三次元表示でも確認します。極端に盛り上がった点、地表面より下に入り込んだ点、構造物や車両の点が残っていないかを確認し、必要に応じて除去します。計算に使った基準面、境界、除去条件、補間条件を記録しておけば、次回も同じ条件で比較できます。
進め方3 切土・盛土・仮置土を区分して土量を求める
3つ目の進め方は、切土、盛土、仮置土を区分して計算することです。工事区域全体を一括で差分計算すると、切土による減少量と盛土による増加量が相殺され、実際に運搬すべき土量が見えにくくなることがあります。
たとえば、同じ工区内で掘削と盛土を同時に行う場合、全体の差分体積が小さくても、多くの土砂が場内を移動している可能性があります。切土が1つの範囲で発生し、別の範囲へ盛土しているなら、切土量と盛土量を別々に算出する必要があります。
点群の差分結果では、基準面より下がった部分を切土側、上がった部分を盛土側として把握できます。ただし、施工中の地表面には重機の走行による沈下、仮設盛土、掘削底の水たまり、資材の仮置きなども含まれます。すべてを土砂移動として扱うのではなく、現場記録と照合しながら対象範囲を区分します。
切土量を運搬計画に使う場合は、場外搬出量だけでなく、場内利用量も分けて考えます。掘削した土砂の一部を盛土に再利用するのであれば、切土量の全量を場外搬出する必要はありません。切土量から場内利用可能量、改良後の利用量、仮置量などを差し引いた残りが、主な場外搬出対象になります。
ただし、切土量と盛土量が同じ数値でも、そのまま全量を転用できるとは限りません。土質、含水状態、粒度、必要な品質、施工時期、運搬距離などによって利用可能量は変わります。利用の可否は、設計条件や現場の確認結果に基づいて判断します。
仮置土は、現在量だけでなく入出庫の流れを把握すると運搬計画に使いやすくなります。前回計測時から仮置土量が増えていれば、その期間に搬入された量が搬出量を上回った可能性があります。反対に減っていれば、場内利用や場外搬出が進んだと考えられます。ただし、降雨、乾燥、転圧、重機走行などによる形状変化もあるため、体積差だけで搬入量や搬出量を確定せず、運搬記録と照合します。
複数の仮置場がある現場では、仮置場ごとに境界を設定します。土質や用途が異なる土砂を同じ範囲として計算すると、残量は分かっても、どの搬出先へ運べる土なのか判断できません。再利用土、搬出予定土、改良待ちの土などを位置ごとに区分し、それぞれの体積を管理します。
切土、盛土、仮置土を分けて計算すると、土量収支を整理できます。施工前の計画段階では、切土発生量、場内利用予定量、仮置予定量、場外搬出予定量を整理します。施工中は、点群から求めた実測量と運搬実績を比較し、残量や不足量を更新します。この区分が、後の車両台数や搬出先配分の基礎になります。
進め方4 地山量・ほぐし量・締固め量を混同しない
4つ目の進め方は、地山量、ほぐし量、締固め量を区別することです。点群土量計算を運搬計画へ利用する際に、特に誤差が生じやすい部分です。
地山量は、掘削前の自然な状態にある土の体積です。ほぐし量は、掘削によって土の構造が崩れ、空隙が増えた状態の体積です。締固め量は、盛土後に転圧などを行った状態の体積です。同じ土砂でも状態によって占める体積が変わるため、どの状態の土量を扱っているかを明確にします。
施工前の現況地盤と計画掘削面の差から求めた値は、基本的には地山状態の幾何学的な体積として扱います。一方、掘削後に荷台へ積み込む土砂はほぐれた状態です。そのため、地山量を荷台容積で割るだけでは、必要便数を少なく見積もる可能性があります。
体積変化の割合は、土質や施工方法によって異なります。砂質土、粘性土、礫を多く含む土、岩塊を含む材料では、掘削後の状態が同じではありません。含水状態や掘削機械、積込方法によっても変わります。そのため、すべての現場で同じ換算値を用いるのではなく、施工計画上の設定、試験結果、過去の実績、現場での積載実績などを基に決めます。
盛土側でも同様です。完成後の締め固められた体積と、運搬時のほぐされた体積は一致しません。完成盛土量を車両の荷台容積で割っただけでは、必要な搬入量を正しく求められないことがあります。盛土材の種類や締固め条件を踏まえ、ほぐし状態から締固め状態への変化を考慮します。
点群で仮置土を計測した場合は、計測時点の状態を確認します。掘削直後で大きく盛られた土砂と、長期間置かれて重機走行や自重によって沈んだ土砂では、同じ重量でも体積が異なることがあります。降雨後は含水状態が変化し、表面形状も変わる可能性があります。仮置土量を運搬便数に換算する際は、過去の車両積載実績と比較し、現場に合った換算条件を調整します。
体積だけでなく、重量による管理が必要な場合もあります。車両の積載条件は、荷台に入る体積だけではなく、許容される重量にも左右されます。密度の高い土砂では、荷台が満杯になる前に重量上の上限へ達することがあります。反対に、軽い材料では、重量に余裕があっても荷台容積が先に限界となる場合があります。
したがって、運搬計画では、点群から得た体積、想定する土の状態、単位体積当たりの重量、車両ごとの積載条件を組み合わせて検討します。密度や体積変化率は一度決めて終わりにせず、実際の積載量や計量結果が得られた段階で見直します。
地山量、ほぐし量、締固め量を区別して記録すれば、計画値の意味が明確になります。資料や日報には、単に土量と記載するのではなく、どの状態の体積なのかを併記することが重要です。
進め方5 車両台数と運搬サイクルへ変換する
5つ目の進め方は、運搬対象となる土量を、必要便数、車両台数、運搬日数へ変換することです。点群土量計算の結果を工程管理へ反映するための中心となる工程です。
まず、運搬対象土量を1台1便当たりの実積載量で割り、必要便数の目安を求めます。このとき、車両の公称上の荷台容積だけを使うのではなく、現場で実際に積載できる量を確認します。積込時の山積み状態、こぼれ防止、土質、含水状態、重量条件などによって、実積載量は変わります。
車種が複数ある場合は、すべてを同じ1便として扱わず、車両ごとの積載量を分けて計算します。大型車両と小型車両が混在する現場で、便数だけを合計すると、実際に運んだ土量を把握しにくくなります。車両番号や車種と積載量を対応させて記録すれば、点群で求めた減少土量との比較がしやすくなります。
次に、1台が1便を終えるまでの運搬サイクルを整理します。運搬サイクルには、積込待ち、積込、場内移動、搬出先までの走行、受付や計量、荷下ろし、帰路、現場への再入場などが含まれます。走行時間だけで計算すると、積込待ちや搬出先での待機が反映されず、1日当たりの便数を多く見積もる可能性があります。
1日の作業可能時間を1サイクルの所要時間で割ると、1台当たりの便数の目安を求められます。ただし、休憩、朝礼、車両点検、交通状況、現場内の混雑、天候などによって実際の便数は変わります。計算値を上限として扱うのではなく、余裕を持った計画にします。
必要車両台数は、1日に運びたい土量と、1台が1日に運べる量から検討します。掘削機械の能力より車両の搬出能力が低ければ、掘削土が現場内に滞留します。反対に、車両を増やしすぎると、積込待ちが発生し、場内動線が混雑します。車両台数だけを増減するのではなく、積込能力、運搬距離、搬出先の受入能力との均衡を確認します。
点群土量計算から得た総土量を工期の日数で単純に割るだけでは、実態に合わない場合があります。施工の初期は表土や障害物の処理が必要で、搬出量が少ないことがあります。掘削が進むと搬出量が増え、深くなると場内走行や積込効率が低下することもあります。施工段階ごとの掘削量を点群や計画面から区分し、時期別に運搬量を配分します。
搬出先に日ごとの受入上限や時間帯の制約がある場合は、現場側の搬出能力だけで計画を作れません。複数の搬出先を利用するなら、受入条件、運搬距離、土質条件を踏まえて便数を振り分けます。点群から工区別、土質別に土量を集計しておけば、どの土をどこへ何便運ぶかを整理しやすくなります。
計画便数と実績便数は、定期的に比較します。実績便数が計画どおりでも、1便当たりの積載量が想定より少なければ、残土量は予定どおり減りません。便数だけで進捗を判断せず、点群による残量、車両別の積載量、搬出記録を組み合わせて確認します。
進め方6 搬出先・場内動線・仮置場を計画する
6つ目の進め方は、点群から得た形状と土量を使い、搬出先、場内動線、仮置場を一体的に計画することです。運搬計画は車両台数の計算だけでは完結しません。土砂をどこから積み、どの経路を通り、どこへ運ぶかを現場の空間条件に合わせて考える必要があります。
点群は、現場内の高低差、法面、狭い通路、段差、構造物、仮設道路などを三次元で確認するために利用できます。平面図では分かりにくい勾配や見通しも確認しやすくなります。現況地形を基に、車両が安全に通行できる経路、待機場所、方向転換場所、積込位置などを検討します。
掘削が進むと、場内の地形と走行経路は変化します。施工前の動線が工事期間中ずっと使えるとは限りません。掘削深さが増すことで進入路の勾配が変わったり、盛土によって通路が狭くなったりする場合があります。施工段階ごとの点群や計画形状を利用し、動線がどのように変わるかを確認します。
積込位置と待機位置が近すぎると、車両同士や重機との動線が交差しやすくなります。反対に離れすぎると、場内移動時間が長くなり、運搬サイクルが低下します。点群上で作業範囲や道路幅を確認しながら、車両の流れが一方向になる配置や、後退を減らせる配置を検討します。
仮置場の計画では、必要面積だけでなく、受け入れられる体積を確認します。平らな敷地であっても、周辺の構造物、排水、走行路、法面の安定、作業スペースを考慮すると、全面を土砂置場として使えるとは限りません。使用可能な範囲と想定する積上げ形状から、仮置可能量を算出します。
仮置場へ搬入する量が増えると、山の高さや裾野が広がります。計画時の境界を超えると、通路や排水経路をふさぐ可能性があります。定期的に点群を取得して現在の仮置量と形状を確認すれば、上限に近づく前に搬出先や場内転用先を調整できます。
複数の土質を扱う場合は、混在しないように仮置範囲を分けます。点群上で区画境界を設定し、各区画の土量を個別に管理すると、必要な土砂を取り出す際の判断がしやすくなります。再利用できる土と搬出予定土が混ざると、土量収支だけでなく施工品質にも影響するため、位置情報と現場表示を対応させます。
搬出先の選定では、距離だけでなく、受入可能な土質、時間帯、日量、車両条件などを確認します。近い搬出先でも受入待ちが長ければ、運搬サイクルは低下します。遠い搬出先でも待機が少なく、安定して受け入れられる場合は、全体の運搬量が確保しやすいことがあります。
点群による残土量と搬出先ごとの残り受入量を対応させることで、途中で搬出先を変更する必要があるかを早めに判断できます。変更が必要になった場合は、運搬距離だけでなく、1日当たりの便数、必要車両台数、燃料使用、周辺交通への影響なども再計算します。
点群を場内動線や仮置場の管理に使うと、土量計算が数量確認だけで終わらず、施工手順と配車の検討に直接つながります。
進め方7 実測更新で運搬計画を修正する
7つ目の進め方は、点群を定期的に取得し、残土量や施工進捗に応じて運搬計画を修正することです。施工前に作成した計画は、実際の地形、土質、天候、重機能力、搬出先の状況などによって変化します。初期計画を固定したまま進めるのではなく、実測値を使って更新します。
更新時には、前回点群と今回点群を比較し、期間内にどの範囲がどれだけ変化したかを確認します。掘削範囲の減少量、盛土範囲の増加量、仮置土の増減を区分して集計します。運搬記録と同じ期間で比較すれば、点群による体積変化と車両による搬出入実績を照合できます。
両者が一致しない場合は、すぐにどちらかを誤りと判断せず、条件の違いを確認します。点群は地山状態、運搬記録はほぐし状態で集計されている可能性があります。場内転用した土砂が運搬記録に含まれていなかったり、別工区の土砂が同じ搬出実績へ計上されていたりする場合もあります。計測範囲外への移動、仮置土の沈下、含水状態の変化なども差の要因になります。
点群による残土量を確認すると、完了までに必要な便数を再計算できます。計画より掘削が進んでいなければ、車両を増やしても積込待ちが発生するだけかもしれません。掘削は進んでいるのに搬出が遅れているなら、車両台数、運搬距離、受入先、積込方法を見直す必要があります。
日々の便数だけでは、掘削面のどこまで施工が進んだかを把握できません。点群を使えば、掘削深さや残存部分を位置ごとに確認できます。特定の範囲だけ掘削が遅れている場合は、その後の構造物施工や盛土工程に影響する可能性があります。残土量と位置を同時に把握することで、優先して施工する場所を判断しやすくなります。
更新頻度は、現場の規模や変化の速さに合わせます。土量の変化が大きい現場では、計測間隔が長いと計画修正が遅れます。一方、変化が小さいのに高頻度で計測すると、処理や確認の負担が大きくなります。週間工程の見直しに使うなら週次、施工段階の完了判定に使うなら段階ごとなど、判断のタイミングに合わせて設定します。
同じ条件で継続比較するため、点群の取得方法や処理条件を記録します。計測範囲、座標基準、除去対象、点群密度、境界、基準面などが毎回変わると、時系列の比較が難しくなります。担当者が変わっても同じ方法で更新できるように、手順を標準化します。
実測更新による効果は、残土量の把握だけではありません。計画した1便当たり積載量と実績、想定した運搬サイクルと実績、仮置場の増減などを比較することで、次の施工段階に使う条件を改善できます。点群と運搬記録を繰り返し照合すれば、現場固有の換算率や車両能力が明らかになり、後半の計画精度を高められます。
精度と安全性を保つための確認事項
点群土量計算を運搬計画に利用する場合は、数値だけでなく、計算結果の信頼性も確認する必要があります。体積が細かな桁まで表示されていても、その桁まで正確であるとは限りません。計測方法、対象面の状態、点群密度、位置精度、補間範囲などを踏まえて扱います。
最初に確認したいのは、点群が土の表面を正しく表しているかです。草木、資材、重機、車両、人、水面などが含まれると、地表面より高い位置に点が残り、土量を過大に計算する可能性があります。反射が不安定な場所や影になった場所では、点が欠けたり、誤った位置に取得されたりすることもあります。
急斜面や掘削壁では、上方からの計測だけでは側面が十分に取得できません。点群が取得できていない部分を自動的に面でつなぐと、実際とは異なる形状になる場合があります。安全な位置から複数方向で計測し、断面で欠測範囲を確認します。立入や接近が危険な場所では、計測のために無理な移動をせず、現場の安全管理を優先します。
点群の密度は、高ければ必ず土量が正確になるわけではありません。不要な点やノイズが多いと、表面が細かく乱れ、計算結果が不安定になることがあります。対象とする地形の細かさに合った点間隔へ整理し、局所的な異常点を除去します。異なる時期の点群を比較する場合は、密度や処理方法の差が結果へ影響しないようにします。
境界の設定も結果を左右します。仮置土の裾野が周囲の地盤となだらかにつながっている場合、どこまでを土砂として含めるかによって体積が変わります。施工前の地盤点群や現場写真、区画表示などを使い、境界の根拠を残します。毎回境界を描き直すと比較条件が変わるため、基本となる境界を保存して使用します。
検算として、代表的な断面や既知の寸法から概算土量を求め、点群計算の値と大きく離れていないかを確認する方法があります。車両の搬出実績や計量結果がある場合は、それらとの比較も有効です。ただし、地山量とほぐし量のように状態が異なる数値を直接比較しないよう注意します。
点群土量計算の結果は、単独で確定値として扱うのではなく、施工記録、運搬記録、現地確認と組み合わせて利用します。特に契約数量や出来高などに利用する場合は、工事ごとの基準、発注条件、計測要領、確認方法に従う必要があります。
土砂運搬では、計画数量を達成することより安全な運行が優先されます。点群から残土量が多いと分かっても、車両への過大な積載や無理な運搬サイクルを前提としてはいけません。積込場所の安全、場内誘導、道路状況、天候、搬出先の受入状況などを確認し、必要に応じて運搬量や工程を調整します。
計算条件と安全条件を同じ計画書の中で管理しておくと、数量だけが独り歩きすることを防げます。点群は現場判断を支援する情報であり、現地の安全確認や施工管理を置き換えるものではありません。
まとめ 点群土量計算を現場の判断に生かす
点群土量計算を土砂運搬計画に活かすには、計測した体積をそのまま便数へ換算するのではなく、計測目的、基準面、土の状態、車両条件、運搬サイクル、搬出先、仮置場を一連の情報として整理する必要があります。
最初に、工区、施工段階、土質、搬出先などの管理単位を決めます。次に、施工前後で座標、境界、基準面をそろえ、切土、盛土、仮置土を区分して計算します。そのうえで、地山量、ほぐし量、締固め量の違いを考慮し、実際の運搬対象量へ換算します。
運搬対象量が分かれば、車両ごとの実積載量と運搬サイクルから、必要便数や車両台数を検討できます。さらに、点群で確認した現場形状を利用し、積込位置、走行経路、待機場所、仮置場の容量を計画します。
施工開始後は、点群を定期的に更新し、残土量と運搬実績を比較します。計画値との差が確認された場合は、積載量、体積変化、施工進捗、搬出先の受入状況などを確認し、残りの運搬計画を修正します。この更新を繰り返すことで、点群土量計算は施工後の数量確認だけでなく、工事中の配車と工程調整に利用できる情報になります。
現場で点群を継続的に取得し、その場で土量や形状を確認できる環境を整えると、計測から計画修正までの流れを短くできます。日々変化する掘削面や仮置土を記録し、運搬計画へ反映する方法を検討する際は、LRTK Phoneの活用も有効な選択肢となります。