大容量点群で土量計算が止まる主な原因
点群を使った土量計算では、計測範囲が広くなるほど、また点の間隔が細かくなるほど、扱うデータ量が急激に増えます。現場を高密度で計測できたこと自体は有益ですが、取得したすべての点をそのまま土量計算へ投入すると、読み込みに長い時間がかかったり、画面操作が重くなったり、計算途中で処理が止まったりすることがあります。
このような問題は、単純にパソコンの性能が不足している場合だけに起こるものではありません。計算対象外の場所まで含まれている、同じ位置付近に必要以上の点が集中している、空や植生、重機、作業員などの不要な点が残っている、複数日の点群を一つのファイルにまとめすぎているといったデータ構成上の問題も大きく影響します。
点群の土量計算では、点を画面に表示する処理だけでなく、点の位置関係を調べ、地表面を推定し、境界内の高さを比較して体積を求めます。点数が増えれば、必要なメモリー容量だけでなく、近傍点の探索、三角形の生成、格子への変換、境界との交差判定などにかかる計算量も増加します。点数が二倍になったからといって、処理時間が必ず二倍で済むとは限りません。
特に注意したいのは、点群ファイルを開くことができても、土量計算まで完了できるとは限らない点です。表示用の処理では、画面の縮尺に応じて一部の点だけを描画する仕組みが使われることがあります。一方、地表面の作成や体積計算では、対象範囲内の点をまとめて展開する必要があり、表示時よりも多くのメモリーを消費する場合があります。
処理が止まると、機器の性能だけを疑ってしまいがちです。しかし、土量計算に必要な情報を見極め、用途に合わせて点群を軽量化すれば、同じ環境でも計算を完了できる可能性があります。重要なのは、点を無差別に削除することではありません。計算結果に必要な地形の特徴を残しながら、不要な情報や過剰な密度を整理することです。
以下では、大容量点群の土量計算が止まるときに実施したい七つの軽量化策を、精度管理の考え方とあわせて解説します。
軽量化策1 計算に必要な範囲だけを切り出す
最初に行いたい軽量化は、土量計算に使う範囲だけを点群から切り出すことです。現場全体を計測した点群には、対象となる土砂や施工箇所だけでなく、周辺道路、隣接地、資材置場、建物、遠方の斜面などが含まれていることがあります。これらの点を残したまま処理すると、計算対象外のデータにもメモリーや演算時間が使われます。
土量計算の範囲がすでに決まっている場合は、その外周線より少し広い範囲で点群を切り出します。外周線と完全に同じ位置で切断すると、境界付近の地表面を作るために必要な周辺点まで失う可能性があります。そのため、計算境界の外側に一定の余裕を持たせ、地表面の生成後に正しい外周線で体積を集計する方法が扱いやすくなります。
余裕幅は、点間隔、地形の傾斜、地表面の作成方法、計算に使う格子の大きさなどによって変わります。固定の値をすべての現場へ当てはめるのではなく、境界付近の面が不自然に途切れない範囲を確認して決める必要があります。急な法面や段差がある場所では、平坦な場所よりも広めに周辺点を残したほうが地形を再現しやすい場合があります。
平面範囲だけでなく、高さ方向の切り出しも有効です。上空に浮いている誤点、クレーンや電線、樹木の上部など、地表面から大きく離れた点が含まれている場合は、高さの上限と下限を設定することでデータ量を減らせます。ただし、深い掘削部や高い盛土を誤って除外しないよう、現場の最低標高と最高標高を事前に確認します。
複数の工区を含む点群では、現場全体を一度に処理せず、その日に土量を確認する工区だけを抽出する方法も効果的です。たとえば、施工前後の比較対象が一部の盛土区間であれば、別工区の点群まで同時に読み込む必要はありません。対象を絞ることで、読み込み、編集、地表面作成、体積計算のすべてを軽くできます。
切り出し前の原点群は上書きせず、必ず別に保管します。後から計算範囲を変更したくなった場合や、境界付近の点が不足していることが分かった場合に、原点群から再度切り出せるようにするためです。原点群、切り出し後の点群、実際の計算境界を分けて保存しておけば、再計算の経緯も追いやすくなります。
軽量化策2 点群を小区画へ分割して処理する
計算対象が広く、一つの点群として扱うと処理が止まる場合は、点群を複数の小区画に分割します。空間的に区切る方法は、点数を減らさずに一回当たりの処理量を抑えられるため、密度を維持したい現場にも向いています。
分割方法としては、一定の大きさの格子で区切る方法、工区や測点区間に合わせて区切る方法、道路の測線方向に沿って区切る方法などがあります。どの方法が適するかは、地形と計算目的によって異なります。道路や河川のように細長い現場では、施工管理の区間に合わせて分割すると、土量の集計単位ともそろえやすくなります。造成地や仮置土場のように面的な現場では、平面格子で分けるとデータ管理がしやすくなります。
ただし、区画の境界で点群を単純に切断すると、地表面の端部に穴や不自然な三角形が生じることがあります。これを防ぐには、隣接区画との重なりを持たせて分割します。各区画の計算用点群には外側の点も少し含め、土量を集計するときだけ本来の区画境界で切り取ります。こうすることで、地表面の生成に必要な周辺情報を確保しながら、区画ごとの体積を重複なく集計できます。
区画ごとの土量を合算する場合は、境界の定義を統一することが重要です。区画同士に隙間があると未計上が発生し、重なりがあると二重計上が発生します。点群の重なりは地表面作成のために残しても、体積の集計範囲は重ならないように管理します。
また、すべての区画を同時に開いたまま処理すると、分割した意味が薄れてしまいます。一つの区画を読み込み、地表面を作成し、計算結果と中間データを保存したら、その区画を閉じて次へ進む流れが基本です。表示中のレイヤーを非表示にするだけでは、データがメモリー上に残る場合があります。処理環境の仕様を確認し、不要なデータを確実に閉じることが大切です。
分割後のファイル名には、現場名、工区名、区画番号、計測日、処理段階などを含めます。「分割1」「最新版」のような名前だけでは、後から対象範囲を判断しにくくなります。区画の外周座標や分割図も一緒に残しておけば、合算時の抜けや重複を確認しやすくなります。
小区画化は、土量計算が途中で止まるリスクを減らすだけでなく、異常が発生した区画を特定しやすくする利点もあります。全体計算では原因が分からない場合でも、区画単位で処理すれば、極端に点が密集している場所や、異常な高さを持つ点が多い場所を絞り込めます。
軽量化策3 点密度を均一化して重複点を減らす
点群のデータ量を減らす代表的な方法が、間引きによる点密度の調整です。ただし、一定の割合で無作為に点を削除するだけでは、重要な地形の折れや端部まで失う可能性があります。土量計算では、必要な地形情報を残しながら、近接した重複点を整理することが重要です。
現場の点群は、必ずしも均一な密度ではありません。計測機器に近い場所、複数回通過した場所、異なる方向から重ねて計測した場所などでは、同じ範囲に多くの点が集まります。一方、遠方や遮蔽物の裏側では点が少なくなります。全体を同じ割合で削減すると、もともと点が少ない場所までさらに粗くなるため、地形の欠落につながることがあります。
実務では、平面上または三次元空間上に一定の大きさの格子を設け、各格子内から代表点を残す方法が使いやすいです。代表点には、中心に近い点、平均的な高さを持つ点、最低点、地表面らしい点などを選びます。どの代表値が適切かは、計測対象と土量計算の目的によって異なります。
土砂表面や造成面の体積を求める場合、格子内の平均的な高さを使うと細かな計測ノイズを抑えやすくなります。一方、植生や重機が混在する場所で最低点だけを選ぶと、地表面に近い点を抽出できることがありますが、くぼみや誤点を拾う可能性もあります。代表点の選び方を一律に決めず、処理前後の断面を比較して判断します。
間引き間隔は、元の点密度だけでなく、再現したい最小の地形形状を基準に決めます。広く滑らかな盛土表面では、非常に細かな点間隔を維持しなくても体積差が小さい場合があります。しかし、排水溝、狭い段差、法肩、法尻、複雑な掘削面などを計算範囲に含める場合は、粗くしすぎると形状が丸められます。
そのため、最初から大きく間引くのではなく、複数の密度で試験計算する方法が安全です。原点群に近い密度の結果を基準とし、間引き間隔を段階的に広げたときの土量差、表面形状、処理時間を比較します。計算結果の差が管理上許容でき、地形の重要部分も維持されている範囲で軽量化します。
地形の変化に応じて密度を変える方法もあります。平坦で変化の少ない場所は粗くし、法肩や段差など曲率の大きい場所は多くの点を残します。この方法は一律の間引きよりも効率的ですが、処理条件が複雑になるため、再計算できるよう設定値を記録しておく必要があります。
点密度を調整した後は、点数だけを確認して終わらせてはいけません。平面図、鳥瞰表示、縦断面、横断面を確認し、法面が直線的につながっているか、端部が削られていないか、局所的な穴が生じていないかを確認します。
軽量化策4 外れ値と不要物を計算前に除去する
大容量点群には、土量計算に不要な点が含まれていることがあります。代表的なものは、空中に浮いた誤点、地表面より極端に低い誤点、植生、重機、車両、資材、仮設物、作業員、飛散した土砂の点などです。これらを残したまま地表面を作ると、データ量が増えるだけでなく、異常な面が生成され、土量そのものが大きくずれる可能性があります。
外れ値の除去では、近隣の点から大きく離れている孤立点を探す方法が一般的です。一定範囲内に周囲の点がほとんどない点や、周辺の高さ傾向から極端に外れている点を候補として抽出します。ただし、法肩、法尻、岩塊、鋭い段差なども周囲と異なる形状を持つため、条件を強くしすぎると正しい地形まで削除されます。
自動処理を使う場合でも、除去前後の点群を比較できる状態にしておくことが重要です。削除候補を別の分類へ移し、元の点群から直ちに消去しない方法であれば、誤って除外した点を戻しやすくなります。処理後に点数だけを見るのではなく、削除された点がどこに集中しているかを確認します。
重機や車両は、点数が多く、まとまった立体形状として記録されるため、単純な孤立点除去では消えません。計測時に対象範囲から移動させることが理想ですが、残っている場合は、平面範囲、高さ、形状、色などを参考にして除外します。施工面の一部を重機が覆っていて地表面が取得できていない場合は、重機の点を消すだけでは十分ではありません。欠測部をどのように扱うかを別途判断する必要があります。
植生がある現場では、葉や枝の点を除去した後、地表面の点が十分に残っているかを確認します。地面がほとんど見えていない場所では、点群処理だけで正しい地盤高を復元することは困難です。周辺点から補間する場合は、その範囲と方法を明確にし、重要な土量算出範囲では追加計測や別の確認手段も検討します。
不要物の除去を軽量化策として考える際は、分類精度と作業時間のバランスも重要です。計算対象外の遠方にある構造物を細かく分類する必要はありません。まず対象範囲を切り出し、その中で体積に影響する不要物を優先して除去すると効率的です。
外れ値除去の設定は、計測条件が異なる点群へそのまま流用しないようにします。点間隔、表面の粗さ、測距方向、対象物の材質などが変われば、適切な近傍範囲や判定基準も変わります。少量の区画で試してから全体へ適用し、処理条件を記録しておくことが大切です。
軽量化策5 必要な属性だけを残してデータを簡素化する
点群データには、三次元座標以外にもさまざまな属性が含まれることがあります。色、反射の強さ、計測時刻、点の分類、走査方向、点番号、計測経路に関する情報などです。これらの属性は点群の確認や分類に役立ちますが、土量計算にすべて必要とは限りません。
一つ一つの属性が占める容量は小さく見えても、点数が数千万点、数億点と増えれば、全体のファイル容量や読み込み時のメモリー使用量に影響します。土量計算の工程では、位置座標と地表面の分類だけを使い、色や計測時刻を参照しない場合もあります。その場合は、原点群を保管したうえで、計算用の複製データから不要な属性を省くことで軽量化できます。
ただし、属性を削除する前に、その後の工程で本当に使わないかを確認します。たとえば、重機や植生を色で識別する予定がある場合は、分類作業が終わる前に色情報を削除してはいけません。複数回の計測を時刻で分離する場合も、計測時刻の属性が必要です。軽量化は作業順序と合わせて考える必要があります。
座標の数値表現もデータ量に関係します。必要以上に細かな小数桁を保持していると、用途に対して過剰な精度を持つデータになる場合があります。ただし、座標値を不用意に丸めると、点の位置が変化し、地表面や体積に影響します。桁数の変更は、要求精度、座標系、使用するデータ形式、処理環境の内部精度を確認したうえで行います。
座標系や単位の統一も重要です。異なる座標系の点群や、メートルとミリメートルなど異なる単位のデータを混在させると、点群が遠く離れた位置へ配置され、表示範囲や空間索引が過大になる場合があります。この状態では、見た目の問題だけでなく、処理負荷が増えたり、地表面の作成に失敗したりします。
複数の点群を統合する前には、水平位置、高さ、軸方向、単位、基準となる座標系を確認します。同じ現場を計測したデータでも、ローカル座標と公共座標が混在している場合や、高さの基準が異なる場合があります。位置が合っていない点群を一つに結合してから修正しようとすると、巨大な中間ファイルが生まれ、処理がさらに重くなります。
データ形式を変換する場合は、点群の圧縮、空間索引の有無、属性の保持状況、読み込み方式を確認します。ファイル容量が小さくなっても、処理時にすべて展開される形式であれば、計算中のメモリー使用量が大きいことがあります。逆に、区画ごとに必要な部分を読み込める構造であれば、大容量のファイルでも扱いやすくなる場合があります。
計算用データは、原点群とは別に作成し、どの属性を残したかを記録します。後日、色を使った判定や計測時刻の確認が必要になったときは、原点群へ戻れる状態を維持します。
軽量化策6 点群から計算用の地表面モデルを作成する
土量計算では、すべての原点を最後まで保持し続ける必要がない場合があります。不要物の除去と密度調整が終わったら、点群から計算用の地表面モデルを作成し、そのモデル同士を比較することで処理を軽くできます。
地表面モデルには、点を三角形で結んだ面や、一定間隔の格子に高さを持たせた面などがあります。どちらが適しているかは、地形、点の分布、計算方法によって異なります。三角形の面は、点の配置に応じて地形の折れや境界を表現しやすい一方、点のない場所を長い三角形で結んでしまうことがあります。格子面は、同じ間隔で高さを管理しやすい一方、格子より小さな形状は平均化されやすくなります。
大容量点群から地表面を作る際は、最初から現場全体を最高密度で面にしないことが重要です。計算対象範囲を切り出し、不要点を除去し、適切な密度へ調整した後に面を作ります。処理順序を逆にすると、不要な点まで含めた巨大な面が生成され、軽量化の効果が得られません。
地表面モデルを作る前には、法肩、法尻、道路端、掘削境界など、形状を維持したい折れ線を確認します。自動的な面生成だけに任せると、本来は不連続な場所を滑らかにつないだり、急斜面を横切る三角形が作られたりする場合があります。必要に応じて境界線や分断線を設定し、計算範囲外へ面が広がらないようにします。
欠測部の扱いも結果を左右します。点がない場所を自動補間すると、見た目には連続した面になりますが、実際には計測されていない地形が推定されています。小さな欠測で、周囲の地形が連続していることを確認できる場合は補間が有効なこともあります。しかし、重機の下、構造物の裏、深いくぼみ、急な法面の陰などは、単純な補間で正しい形状を再現できない可能性があります。
地表面モデルを軽量化する場合も、三角形や格子を粗くしすぎないようにします。平坦部では粗くしても体積への影響が小さい一方、段差や複雑な法面では差が出やすくなります。地形全体に同じ条件を適用するだけでなく、重要部分の形状を残す方法を検討します。
施工前と施工後の土量差を求める場合は、二つの地表面モデルの範囲、座標系、高さの基準、境界条件を一致させます。一方だけ異なる格子間隔や補間条件を使うと、施工による変化ではなく、モデル作成方法の違いが体積差として表れることがあります。
点群から地表面モデルへ変換した後も、原点群を削除する必要はありません。計算用の軽量なモデルと、確認用の原点群を分けて管理することで、通常の計算は軽くしながら、異常箇所だけ原点群へ戻って確認できます。
軽量化策7 処理工程を分けて中間データを保存する
大容量点群を読み込み、結合し、分類し、間引きし、地表面を作成し、体積を計算する工程を一度に実行すると、処理負荷が集中します。途中で止まった場合は最初からやり直すことになり、原因の切り分けも難しくなります。そのため、作業を複数の工程へ分け、それぞれの中間データを保存する方法が有効です。
最初の工程では、原点群を確認し、座標系、単位、点数、範囲、標高の最小値と最大値などを把握します。次に、土量計算の対象範囲を切り出し、区画ごとの点群を作ります。その後、外れ値と不要物を除去し、点密度を調整します。最後に地表面モデルを作成して土量を計算します。
工程ごとにデータを保存しておけば、地表面作成で問題が起きても、外れ値除去や範囲切り出しからやり直す必要はありません。また、どの工程で点数や容量が大きく変化したかを確認できるため、軽量化の効果も把握しやすくなります。
中間データの名称には、処理内容を明確に含めます。原点群、範囲切り出し後、不要点除去後、密度調整後、地表面作成後など、段階が分かる名称にします。処理日だけでなく、使用した範囲、間引き条件、格子間隔、外れ値除去の条件も記録しておくと、同じ条件で再計算しやすくなります。
計算処理を実行する前には、不要な点群や他の大容量データを閉じます。複数の現場や計測日を同じ作業画面に残していると、表示していないデータもメモリーを使用する場合があります。土量計算に必要な区画と地表面だけを開いた状態にし、他の処理を同時に動かさないようにします。
一時ファイルやキャッシュの保存先にも十分な空き容量が必要です。元の点群ファイルが保存できていても、地表面生成や並べ替えの途中で、元データより大きな一時ファイルが作成される場合があります。保存先の空き容量が不足すると、計算が進んでいるように見えて途中で止まることがあります。
処理環境にメモリー使用量や進行状況を確認する機能がある場合は、停止する直前の状態を記録します。読み込み時に止まるのか、点群結合時に止まるのか、地表面生成時に止まるのか、体積集計時に止まるのかによって、優先すべき対策が変わります。
読み込み時に止まる場合は、範囲切り出し、ファイル分割、属性整理が有効です。地表面生成時に止まる場合は、点密度の調整、不要点除去、区画分割を優先します。体積集計時に止まる場合は、面の複雑さ、計算境界、区画数、重複面などを確認します。
工程を分けることは、単なる作業上の工夫ではありません。どのデータを使って、どの条件で土量を算出したかを説明するための記録にもなります。計算結果だけでなく、軽量化前後の点数、処理条件、中間モデルを残すことで、結果の再現性を高められます。
軽量化しても土量計算の精度を落とさない確認方法
点群を軽量化するときに最も気になるのは、土量計算の精度が低下しないかという点です。軽量化の目的は処理を完了させることですが、計算値が大きく変わってしまっては意味がありません。そこで、点数やファイル容量だけでなく、形状と体積の変化を確認しながら条件を決めます。
まず、小さな代表区画を選びます。平坦部だけではなく、法面、段差、土砂の頂部、裾部など、その現場で形状が複雑な場所を含めることが重要です。この区画について、できる限り原点群に近い条件で算出した結果を比較の基準にします。
次に、点密度や格子間隔を段階的に変更し、それぞれの条件で土量を計算します。処理時間が短くなっても、土量差が急激に増える条件は避けます。どこまでの差を許容するかは、計算目的、対象土量の規模、契約条件、社内基準、発注者の要領などによって異なるため、現場ごとに判断します。
体積差だけでなく、断面形状も確認します。全体の土量が近くても、ある場所の盛り上がりと別の場所のくぼみが相殺されている場合があります。縦断面と横断面を作り、法肩、法尻、頂部、底部、境界付近の高さが軽量化前後でどのように変化したかを確認します。
点群を格子化した場合は、格子の大きさと地形の特徴との関係を確認します。格子より狭い溝や小さな段差は表現されにくくなります。これらが土量に影響する場合は、格子を細かくするか、重要部分だけ別の条件で処理します。
地表面を三角形で作成した場合は、長く細い三角形や、谷や法面を横切る不自然な三角形がないかを確認します。点数を減らすと点同士の距離が広がり、意図しない場所が結ばれやすくなることがあります。計算境界や分断線を適切に設定し、点が存在しない場所まで面を広げないようにします。
基準面の条件も固定します。軽量化前後で比較対象となる地表面や基準高が変わると、点密度による差なのか、基準面による差なのか判断できません。計算範囲、基準面、施工前後の組み合わせ、切土と盛土の符号を統一した状態で比較します。
軽量化後の点群や地表面だけで結果を確定せず、現場の既知点や検証点とも照合します。座標と標高が分かっている点を複数箇所で確認し、全体がずれていないか、傾いていないかを調べます。特に複数日の点群を使う場合は、軽量化以前に位置合わせが正しくできていることが前提です。
大容量点群を安定して処理する実務フロー
大容量点群の土量計算を安定させるには、問題が起きてから無作為に点を削除するのではなく、一定の手順で処理することが重要です。
最初に、原点群を変更しない状態で保管します。計測日、計測範囲、座標系、高さの基準、単位、点数、ファイル容量を記録し、使用する点群が正しいかを確認します。複数の計測データがある場合は、施工前、施工中、施工後などの区分を明確にします。
次に、土量計算の目的と対象範囲を確定します。現場全体の総土量を求めるのか、特定工区の出来高を確認するのか、仮置土の日次増減を求めるのかによって、必要な点群の範囲や密度は変わります。目的が曖昧なまま現場全体の点群を処理すると、不要な情報まで抱え込むことになります。
対象範囲が決まったら、計算境界より少し広い範囲で点群を切り出します。広域の場合は工区や格子で分割し、隣接区画との重なりを残します。ここで一度保存し、切り出した点群だけで正常に読み込めるかを確認します。
続いて、空中の誤点、極端に低い点、重機、車両、構造物、植生など、土量計算に不要な点を除去します。自動抽出の結果を確認し、法肩や段差など正しい地形が消えていないかを断面で確認します。
不要点を整理した後に、点密度を調整します。小さな区画で複数の間引き条件を試し、土量差と処理時間を比較します。重要な地形が残り、管理上必要な結果が得られる条件を選びます。
その後、計算に使わない属性を整理し、必要に応じて計算用のデータ形式へ変換します。変換後は、座標、単位、標高範囲、点数を再確認します。変換前後で点群の位置が変わっていないことも確認します。
軽量化した点群から地表面モデルを作り、穴、不自然な三角形、境界外への面の広がりを確認します。施工前後を比較する場合は、両方に同じ考え方で面を作成します。ただし、点の分布が異なる場合に無理に同じ点数へそろえるのではなく、同程度の地形表現ができているかを重視します。
体積計算は区画単位で実行し、各区画の切土、盛土、差引土量を保存します。区画の集計範囲に隙間や重複がないことを確認してから合算します。異常な値が出た区画は、原点群、軽量化後の点群、地表面を順に確認して原因を探します。
最後に、計算結果だけでなく、使用した点群、境界、軽量化条件、地表面モデル、計算日、担当者、確認結果を保存します。大容量点群では同じ処理を完全に再現することが難しくなりやすいため、設定や中間データを残すことが重要です。
この流れを標準化すれば、処理が止まったときにも、どの工程を見直せばよいか判断しやすくなります。毎回異なる方法で点を削減するよりも、範囲切り出し、分割、不要点除去、密度調整、地表面作成、検証という順序を決めておくほうが、計算結果の比較や引き継ぎも容易になります。
まとめ
大容量点群の土量計算が止まる場合、必ずしも計測データの品質が低いとは限りません。高密度で広い範囲を取得した結果、土量計算に必要な情報を超える点や属性が含まれ、処理負荷が大きくなっている可能性があります。
有効な対策は、計算範囲だけを切り出すこと、点群を小区画へ分割すること、点密度を均一化すること、外れ値と不要物を除去すること、不要な属性を整理すること、点群から計算用の地表面モデルを作ること、処理工程を分けて中間データを保存することです。
ただし、軽量化は点数を少なくすること自体が目的ではありません。法肩、法尻、段差、土砂の頂部や裾部など、土量に影響する形状を残しながら、重複点や計算対象外の情報を減らす必要があります。小さな代表区画で条件を比較し、体積差と断面形状を確認してから全体へ適用することが重要です。
土量計算に使う点群は、計測段階で範囲や密度を意識すると、後処理の負担を抑えやすくなります。必要以上に周辺を広く取得しないこと、重機や資材による遮蔽を減らすこと、工区や計測日を明確に分けることも、大容量化を防ぐ基本です。
現場で必要な範囲をこまめに計測し、計測結果を早い段階で確認できれば、巨大な点群をまとめて処理する前に欠測や不要範囲へ気づけます。現場計測から点群の確認、土量算出までの流れを効率化したい場合は、LRTK Phoneを活用し、計算目的に合った範囲と密度でデータを取得する方法を検討してみてください。