点群を使った土量計算では、地表面をどこまで正しく再現できているかが結果の信頼性を左右します。ところが、降雨中や散水直後、掘削・積込み・走行によって粉じんが舞っている現場では、雨粒や空中の粉じんが一時的に計測され、地表面とは無関係な点として点群に混入することがあります。これらの点を処理せずに地表モデルを作成すると、実際には存在しない小さな盛り上がりやくぼみが生まれ、切土量、盛土量、残土量、出来形差分などに影響するおそれがあります。
一方で、外れ値を強く除去しすぎると、土砂山の尖った頂部、法肩、法尻、轍、転石、構造物際など、土量計算に必要な実在点まで失う可能性があります。そのため、雨粒や飛散粉じんを除く作業は、単に点を減らす処理ではなく、地表として残すべき点と一時的な浮遊物を区別する判断工程として扱うことが重要です。
本記事では、「土量計算 点群」で情報を探している現場担当者に向けて、雨粒や飛散粉じんに起因する外れ値を判断する6つの基準を解説します。点群の密度、周辺面からの距離、属性値、時間的な再現性、地形の連続性、土量への影響度を組み合わせ、除去しすぎと除去不足の両方を避ける考え方を整理します。
雨粒や飛散粉じんが点群土量計算に与える影響
雨粒や飛散粉じんによる外れ値は、地表から離れた空中に点在する場合だけでなく、地表付近に薄い層のように現れる場合があります。強い雨では、計測機器と地面の間を通過する雨粒が短時間だけ捉えられます。乾燥した造成現場や土砂置場では、車両走行や積込み作業によって舞い上がった微粒子が、地表面の手前に不規則な点として記録されることがあります。
空中に明確に浮いている点であれば比較的見つけやすいものの、地表から数センチメートルから数十センチメートル程度の位置に集中した点は注意が必要です。これらが地表モデルに採用されると、平坦な地盤が粗く見えたり、土砂山の表面が実際より膨らんだりします。基準面との差分で体積を算出する場合、広い範囲に薄く分布した外れ値は、一点ごとの高さが小さくても累積して無視できない体積差になることがあります。
たとえば、面積が広い施工区画で地表面が数センチメートル高く推定されると、その影響は面積に応じて増加します。ただし、外れ値による高さ差がそのまま土量誤差になるとは限りません。点群からどのように面を生成するか、格子間隔をいくつにするか、周辺点をどの程度平均化するかによって影響は変わります。そのため、雨粒や粉じんの有無だけでなく、最終的な地表モデルと体積計算にどのように伝わるかまで確認する必要があります。
外れ値が混入しやすい場所にも特徴があります。計測機器の近傍、逆光や低い入射角が生じる方向、重機が旋回した直後の空間、散水車の通過後、土砂の落下地点、風下側などでは、点のばらつきが増えやすくなります。現場状況と点群の異常位置が対応しているかを確認すると、地形の一部なのか浮遊物なのかを判断しやすくなります。
重要なのは、雨粒や粉じんを一つの条件だけで機械的に削除しないことです。孤立している点でも、法肩や小さな転石のように実在する場合があります。反対に、点が密集していても、粉じんが帯状に流れた結果である可能性があります。以降では、複数の判断材料を重ねるための6基準を順に説明します。
基準1 周辺点密度と孤立度で判断する
最初の基準は、対象点の周囲にどれだけ点が存在するかを見る方法です。雨粒や飛散粉じんは、安定した地表面に比べて空間的な連続性が弱く、少数の点が孤立して現れやすい傾向があります。そのため、一定半径内の近傍点数や、近傍点までの平均距離を調べると、外れ値候補を絞り込めます。
ただし、近傍点数が少ないという理由だけで削除すると、点群の端部、急斜面、構造物の陰、植生の隙間、遠距離計測部なども除去される可能性があります。点密度は計測距離、走査角度、移動速度、重複率、遮蔽の有無によって変化するため、現場全体で一律の閾値を設定するよりも、地表の代表的な場所と異常が疑われる場所を比較して決めるほうが安全です。
実務では、まず安定して取得できている平坦部、法面、土砂山表面などから、通常時の近傍点数や点間隔の範囲を確認します。そのうえで、通常範囲から大きく外れ、かつ周囲の面とつながっていない点を外れ値候補とします。点群密度が場所によって大きく異なる場合は、全体を一括処理せず、近距離部、遠距離部、斜面部、遮蔽部などに区分して評価する方法が有効です。
雨粒は短時間に通過するため、一つの小さな塊として捉えられることがあります。粉じんは風や車両の動きに沿って、薄い雲や筋のように分布することがあります。この場合、完全な孤立点ではなくても、地表に比べて点密度が低く、局所的な点間隔が不均一になります。したがって、単純な点数だけでなく、点の分布方向や密度のむらも確認します。
周辺点密度を利用する際は、検索半径の設定が重要です。半径が小さすぎると、正常な地表面でも近傍点が不足しやすくなります。反対に、半径が大きすぎると、離れた地表面の点まで含まれ、空中の外れ値が正常と判定される場合があります。点群の平均点間隔、求める地表モデルの解像度、対象物の最小寸法を考慮し、目的に合う範囲を設定します。
土量計算を目的とする場合は、細かな表面粗さをすべて保持する必要があるとは限りません。しかし、法肩、法尻、掘削底、土砂山の裾など、体積の境界を決める形状は残す必要があります。孤立度による除去を行った後は、境界線が丸くなっていないか、急変部が欠けていないか、断面表示で確認することが欠かせません。
基準2 近傍地表面からの距離と高さ差で判断する
二つ目の基準は、推定される地表面から対象点がどれだけ離れているかを見る方法です。雨粒や飛散粉じんの点は、周囲の地表面より上方に浮いていることが多いため、近傍点から仮の面を作り、その面からの鉛直距離または最短距離を調べることで外れ値候補を抽出できます。
この基準を使う前に、比較対象となる仮地表面を適切に作る必要があります。仮地表面そのものに外れ値が多く含まれていると、面が上方へ引っ張られ、異常点との距離が小さく見えてしまいます。最初は比較的安定した点だけを使い、粗い格子や低い側の代表値などから暫定面を作り、その後に外れ値候補を評価する段階的な処理が適しています。
高さ差の閾値は、現場の地形と要求精度に合わせて決めます。平坦な整地面では、小さな高さ差でも異常と判断しやすい一方、砕石面、岩盤、粗い土砂山、轍が多い走行路では、正常な表面にも大きな凹凸があります。地表の粗さを無視して閾値を狭くすると、実在する凹凸が消え、表面が不自然に平滑化されます。
また、上方にある点だけを外れ値として扱うのも危険です。雨や粉じんによる影響は主に上方の浮遊点として現れますが、反射不足や遮蔽によって地表点が欠け、その周囲を補間した結果、見かけ上のくぼみが生じる場合があります。土量計算では、上側の異常点を除去した後に、穴埋めや補間が過剰になっていないかも確認する必要があります。
法面では鉛直方向の高さ差より、地表面に対する最短距離のほうが実態を捉えやすい場合があります。急斜面に対して鉛直差だけを見ると、斜面上の正常点でも大きな差として評価されることがあります。平坦部、緩斜面、急斜面を同じ尺度で処理せず、面の向きに応じた距離を用いることが重要です。
土砂山の頂部や法肩は、近傍面を平滑化すると突出点のように見えます。ここで自動除去を強くすると、土砂山の最高部が低くなり、体積が過小に算出されるおそれがあります。高さ差による処理では、曲率が大きい場所や地形境界を保護領域として扱い、平坦部より慎重な閾値を使うと安全です。
判断の精度を上げるには、対象点が周辺面から離れていることに加えて、その点が局所的に孤立しているか、別時刻でも存在するかを併せて確認します。距離だけで外れ値と断定せず、複数基準の一致を条件にすることで、実在地形の誤削除を抑えられます。
基準3 反射強度や計測属性の異常で判断する
三つ目の基準は、点の位置情報だけでなく、反射強度、取得時刻、視線方向、距離、色、品質指標などの計測属性を利用する方法です。計測方式によって保持される属性は異なりますが、雨粒や粉じんに由来する点は、安定した地表点とは異なる値を示すことがあります。
反射強度は有力な手掛かりですが、単独での判定には向きません。反射強度は対象物の材質、色、含水状態、入射角、距離、機器設定などに左右されます。濡れた土、砕石、黒い舗装面、金属部、植物などでも値が変化するため、一定値を下回る点や上回る点をすべて削除すると、必要な地表情報まで失う可能性があります。
有効な使い方は、同じ距離帯、似た角度、同じ地表種類の点と比較し、局所的に不自然な属性を持つ点を探すことです。たとえば、位置的には地表の少し上にあり、周囲より点密度が低く、反射強度も不安定で、取得時刻が短い範囲に集中している場合は、雨粒や粉じんの可能性が高まります。
取得時刻も重要です。粉じんが重機の通過直後に発生した場合、異常点が特定の短時間に集中することがあります。時系列で点群を分けて表示すると、ある瞬間だけ現れ、その前後では消えている点を見つけやすくなります。地表や構造物であれば、視認可能な範囲では複数時刻にわたって似た位置に残るため、時間的な一過性は外れ値判断の強い材料になります。
視線方向や計測距離を確認できる場合は、特定方向からのみ現れる点にも注目します。雨粒や粉じんは、計測機器と地表の間に偶然入ったときだけ捉えられるため、別方向から見た点群では再現しないことがあります。逆に、地形の角や薄い構造物は方向によって見え方が変わるため、再現しないからといって直ちに削除するのではなく、現場写真や他方向のデータと照合します。
色付き点群では、雨滴の光り方や粉じんの淡い色が周辺と異なることがあります。ただし、照明条件、露出、影、濡れによる色変化の影響も大きいため、色だけでの判定は避けます。色は、位置、密度、時刻、反射属性と組み合わせる補助情報として扱うのが適切です。
属性値を利用した判定で大切なのは、計測方式ごとの特性を理解することです。同じ現場でも、使用するセンサーや取得条件によって属性の意味や安定性は異なります。処理前に正常な地表点の属性分布を確認し、異常点との違いが実際に見られるかを確かめてから閾値を設定します。
基準4 複数時刻と複数方向での再現性を確認する
四つ目の基準は、同じ場所を別の時刻や別の方向から計測したときに、対象点が再現するかを確認することです。雨粒や粉じんは一時的に空中を移動するため、位置が固定されません。これに対し、地表、石、法肩、構造物などは、施工による変化がなければ同じ位置に繰り返し現れます。
再現性の確認は、外れ値除去の確度を高めるうえで非常に有効です。一回の点群だけを見ると、小さな土塊と粉じんの塊を区別しにくいことがあります。しかし、数秒後や別方向から取得した点群に同じ形状が存在しなければ、一時的な浮遊物である可能性が高くなります。
移動しながら点群を取得する場合は、走査の重複部分を活用できます。同じ地表を複数の位置から見ている範囲では、各通過時の点群を分けて比較します。安定した地表は一定の厚みの範囲にまとまりやすい一方、雨粒や粉じんは一部の通過にだけ現れ、位置がばらつきます。
ただし、再現しない点がすべて外れ値とは限りません。遮蔽の裏側、鋭い縁、細い杭、草、重機の部材などは、観測方向によって見えたり消えたりします。また、計測中に土砂が移動した場合は、実在する地表でも時刻によって形状が変わります。そのため、再現性を評価するときは、施工が止まっている時間帯か、重機や車両が移動していないか、対象範囲が変化していないかを確認します。
雨天時には、短い時間差でも雨量や風向が変わります。連続した複数区間に同じ高さの異常帯が現れる場合は、機器側の設定や反射条件の影響も疑う必要があります。反対に、異常点が風下方向へ移動しているように見える場合は、粉じんの可能性が高まります。点群を時間順に確認すると、静止物と移動物の違いが明確になります。
複数時刻の照合では、点群同士の位置合わせ精度が十分であることが前提です。位置合わせがずれていると、正常な地表でも再現しないように見えます。基準点、安定した構造物、動いていない地盤などを使って位置関係を確認し、比較可能な状態にしてから判断します。
現場で再計測が可能な場合は、雨や粉じんが落ち着いた後に確認用の短い計測を行う方法も有効です。全面をやり直す必要がなくても、異常が疑われる範囲だけを追加取得すれば、地表の正しい位置を確認できます。土量への影響が大きい場所ほど、推測で補正するより、追加計測で裏付けを得るほうが安全です。
基準5 地形の連続性と勾配変化から判断する
五つ目の基準は、周辺地形との連続性を見る方法です。自然な地表や施工された面は、一定の範囲で高さ、勾配、曲率が連続します。雨粒や粉じんの外れ値は、この連続した面から局所的に外れ、不自然な突起、薄い膜、筋状の乱れとして現れることがあります。
平坦部では、周囲の地表面から急に突出する小さな点群を見つけやすくなります。法面では、設計勾配や周辺の平均勾配に対して、局所的に向きが乱れている部分を確認します。土砂山では、全体の形状に沿わない空中の点や、表面から離れた帯状の点を探します。
ただし、地形の連続性を強く求めすぎると、施工上重要な不連続部を消してしまいます。法肩、法尻、段差、掘削境界、側溝際、土留め際、土砂山の裾などは、本来勾配が急変する場所です。これらを外れ値として平滑化すると、境界位置がずれ、土量計算の対象範囲が変わることがあります。
そのため、地形連続性の判定は、場所の役割を理解して行います。面の途中に突然現れる小さな突起は外れ値候補になりやすい一方、線状に連続する勾配変化は地形境界である可能性があります。単独の点や小さな塊なのか、一定方向に続く形状なのかを確認することで、誤除去を減らせます。
断面表示は、この基準を確認するうえで有効です。平面表示だけでは、雨粒や粉じんの点が地表に重なって見えることがあります。縦断面や横断面で見ると、地表面から浮いた点、厚みのある異常層、局所的な盛り上がりを把握しやすくなります。複数方向の断面を切り、異常が一方向だけに見えるのか、立体的に存在するのかを確認します。
曲率や局所勾配を使って自動抽出する場合も、対象地形に応じた閾値が必要です。均された施工面と粗い土砂山では、正常な曲率の範囲が異なります。現場全体に一つの値を適用するのではなく、平坦部、法面、土砂山、構造物際などの区分ごとに設定を変えると、実用的な結果を得やすくなります。
地形の連続性は、最終的な地表モデルを確認する段階でも重要です。外れ値除去後に面を生成し、等高線、陰影、断面、差分表示などで不自然な穴や丸まりがないかを確認します。処理前より滑らかになっていても、実際の地形特徴が失われていれば適切な処理とはいえません。
基準6 土量結果への影響度で除去範囲を決める
六つ目の基準は、外れ値候補を除去した場合と残した場合で、土量計算結果がどの程度変わるかを確認することです。点群処理の目的は見た目をきれいにすることではなく、体積を妥当な範囲で算出することです。そのため、外れ値の存在が最終結果に与える影響を数値で比較する必要があります。
実務では、処理前の点群、弱い除去条件の点群、標準的な除去条件の点群などを用意し、同じ境界、同じ基準面、同じ格子間隔、同じ計算方法で土量を算出します。結果の差が小さければ、外れ値が土量に与える影響は限定的と判断できます。差が大きい場合は、どの範囲の点が結果を変えているかを追跡します。
特に注意したいのは、広い面積に薄く分布する外れ値です。目視では目立たなくても、地表面が全体的にわずかに上がると、体積差が大きくなる場合があります。反対に、高い位置に少数の点が存在していても、面生成時に採用されなければ土量への影響は小さいことがあります。外れ値の高さだけでなく、面生成への寄与を確認することが重要です。
土量差を比較するときは、切土と盛土を分けて見ると原因を把握しやすくなります。雨粒や粉じんによって地表が上方に推定された場合、基準面との関係によって盛土側が増えたり、切土側が減ったりします。総差分だけを見ると相殺されることがあるため、正負の体積を別々に確認します。
外れ値除去条件を決める際は、要求される精度、対象面積、土量の規模、用途を考慮します。日々の進捗管理に使う点群と、出来形確認や数量根拠に使う点群では、必要な検証の深さが異なります。重要な数量に使う場合は、処理条件、除去前後の点数、対象範囲、土量差、判断理由を記録し、再現できるようにします。
影響度の確認では、全体土量だけでなく、区画別や高さ帯別に比較することも有効です。全体差が小さくても、特定の掘削底や法面付近だけ大きく変化している可能性があります。外れ値が集中した場所を小区画に分け、局所的な差を確認すると、過剰除去や見落としを発見しやすくなります。
最終的な除去範囲は、見た目の異常、複数基準による判定、土量への影響を総合して決めます。外れ値らしい点をすべて削除するのではなく、土量に影響する点を優先して処理し、影響が小さい曖昧な点は必要に応じて保留する考え方もあります。判断が難しい場所は、追加計測や現場写真による確認を行い、推測だけで面を作らないことが重要です。
外れ値除去を実務で進める手順
雨粒や飛散粉じんの外れ値を安定して処理するには、いきなり強い自動除去を実行するのではなく、確認と比較を繰り返す手順が適しています。最初に、元の点群を必ず複製し、未処理データを保存します。処理条件を変えて結果を比較できるよう、元データ、作業用データ、確定データを分けて管理します。
次に、現場状況を整理します。計測時の天候、雨の強さ、散水の有無、風向、重機の稼働位置、車両通過、土砂の落下位置、計測ルート、取得時刻などを確認します。異常点が現場状況と一致していれば、外れ値の原因を推定しやすくなります。写真や作業記録があれば、点群と同じ位置を照合します。
その後、全体表示で明らかな空中点を確認し、断面表示で地表付近の異常を探します。上面からの表示だけでは判断しにくいため、縦断、横断、斜め断面を使い分けます。点の色を高さ、密度、時刻、反射属性などで切り替えると、異常の分布を把握しやすくなります。
外れ値候補の抽出は、弱い条件から始めます。周辺点密度、近傍面からの距離、属性値などを使い、削除ではなく候補選択として表示します。選択された点に、法肩、法尻、土砂山頂部、構造物際などの必要点が混ざっていないかを確認します。問題があれば、閾値や検索範囲を調整します。
自動抽出だけで処理しにくい場所は、範囲を限定して手動確認します。特に境界部、急斜面、遮蔽部、植生付近、重機周辺は、正常点と外れ値が混在しやすい場所です。全体を同じ条件で削除するより、異常が集中する範囲だけに処理を適用したほうが、地形を保ちやすくなります。
除去後は、地表モデルを作り直し、処理前と同じ条件で土量を再計算します。体積差、切盛の内訳、区画別差分、断面形状を比較します。差が想定より大きい場合は、除去された点の位置を再確認し、実在点を消していないかを調べます。
処理を確定するときは、使用した条件と判断内容を記録します。検索半径、近傍点数、距離閾値、対象範囲、手動編集箇所、除去前後の点数、土量差などを残しておけば、後から結果を説明しやすくなります。点群土量計算では、計算結果だけでなく、その結果に至る処理の再現性が重要です。
雨天や粉じん環境で計測品質を保つ方法
外れ値除去は必要な作業ですが、可能であれば計測段階で雨粒や粉じんの混入を減らすことが最も効果的です。降雨が強い時間帯を避けられる場合は、雨が弱まってから計測します。小雨でもレンズやセンサー面に水滴が付くと、空中点とは別の歪みや欠測が生じることがあるため、計測前後に状態を確認します。
粉じんが多い現場では、重機の掘削、積込み、ダンプ走行、土砂投入と同時に計測しないよう工程を調整します。作業を完全に止められない場合でも、風上側から計測する、粉じんが落ち着く短い時間を選ぶ、異常が出やすい場所を最後に再計測するなどの工夫ができます。
計測経路も品質に影響します。同じ場所を一方向だけから取得すると、雨粒や粉じんの点が地表と区別しにくいことがあります。可能な範囲で複数方向から重複して取得すると、再現性の確認がしやすくなり、外れ値を判断する材料が増えます。ただし、無理に複雑な経路を取って位置合わせを不安定にしないよう、安定した移動と十分な重複を優先します。
計測距離が長くなるほど点密度が低下し、地表点と外れ値の区別が難しくなる場合があります。重要な境界や土量への影響が大きい範囲は、適切な距離から追加取得します。土砂山の裏側、法尻、掘削底の端部など、遮蔽されやすい場所は、別位置から補うと地表面の推定が安定します。
計測中に異常を確認できる仕組みがある場合は、その場で点群の厚みや空中点を確認します。粉じんが多い瞬間だけ異常が増えていると分かれば、落ち着いた後に同じ範囲を取り直せます。現場を離れてから異常に気付くより、短時間の追加計測で対応できる可能性が高まります。
基準点や安定した構造物を確保しておくことも大切です。複数時刻の点群を比較するには、位置関係が安定している必要があります。外れ値除去の判断以前に、点群全体の位置ずれがあると、地表の厚みや差分が大きく見えるため、計測条件と位置合わせを分けて確認します。
雨天や粉じん環境では、完全に異常点を防ぐことは難しい場合があります。そのため、計測前に「どの場所の土量が重要か」「どの程度の再計測が可能か」「どの範囲を追加確認するか」を決めておくと、取得後の処理が効率的になります。
外れ値を除きすぎないための確認事項
外れ値除去で最も避けたいのは、見た目を滑らかにすることを優先し、実際の地形を削ってしまうことです。特に、点群土量計算では小さな形状でも境界や最高点に関わる場合があり、体積へ影響する可能性があります。
土砂山の頂部は、周囲より点が少なく、曲率が大きく、近傍面から突出して見えます。これは雨粒の特徴と一部が重なるため、自動処理で消えやすい場所です。除去後に最高標高が大きく低下していないか、頂部の形が平らになっていないかを確認します。
法肩と法尻も注意が必要です。勾配が急変するため、局所面からの距離や曲率を基準にすると異常点として選ばれることがあります。境界が後退すると、法面の体積や施工範囲が変わります。断面で線形を確認し、処理前後の境界位置を比較します。
轍、掘削痕、岩、土塊などは、目的によって残すべきか平滑化してよいかが変わります。出来形や現況の正確な再現が必要であれば残すべきですが、平均的な地表面を求める目的では、一定の平滑化が適する場合もあります。外れ値と地表粗さを混同せず、土量計算の目的に合わせて判断します。
構造物際や遮蔽部では、点密度が低く、点が孤立しやすくなります。ここを自動除去すると、地表面に穴が生じ、補間面が構造物の下へ入り込むことがあります。境界ポリゴンや除外範囲を設定し、計算対象を明確にすることが重要です。
除去後の点群だけを見て判断するのではなく、元点群と切り替えて比較します。削除した点を別の色で表示できる場合は、どの地形が失われたかを確認します。除去点が地表に沿って連続している場合は、外れ値ではなく実在面を消している可能性があります。
さらに、除去前後で地表モデルの格子間隔や補間条件を変えないことも重要です。点群処理と面生成条件を同時に変えると、土量差の原因が分からなくなります。比較時は一つの条件だけを変え、外れ値除去の影響を切り分けます。
最終確認では、全体体積、区画別体積、最高標高、最低標高、断面形状、境界位置を確認します。数値差が小さくても、局所的な形状が崩れていないかを見ます。数値と形状の両面で妥当性を確認することで、除去しすぎを防げます。
点群土量計算を現場で効率化する考え方
雨粒や飛散粉じんの外れ値処理は、点群編集だけで完結する作業ではありません。計測時の状況記録、現場写真、位置情報、点群の断面確認、土量差分の比較までを一つの流れとして管理すると、判断の精度と作業効率が向上します。
現場で点群を取得した担当者と、事務所で土量を計算する担当者が異なる場合は、計測時の状況を共有することが重要です。雨が強かった区間、粉じんが発生した場所、重機が通過した時刻、再計測した範囲などが分かれば、処理担当者は異常点の原因を判断しやすくなります。
また、外れ値除去の基準を社内で標準化すると、担当者ごとの差を減らせます。ただし、固定した閾値をすべての現場へ適用するのではなく、通常点密度の確認、地表粗さの分類、重要境界の保護、除去前後の土量比較といった判断手順を共通化することが有効です。
点群土量計算では、計測から結果確認までの時間が短いほど、異常が見つかった際に現場で追加確認しやすくなります。現場で取得結果を確認し、必要な範囲を再計測できれば、後から推測で補間する作業を減らせます。雨や粉じんが避けにくい現場ほど、その場で確認できる運用が役立ちます。
LRTK Phoneを活用すれば、現場で点群を取得し、対象範囲の形状や体積を確認する流れをまとめやすくなります。重要なのは、機器や処理機能に任せきりにするのではなく、本記事で紹介した6基準を使って、地表として残す点と一時的な外れ値を区別することです。
まとめ
点群土量計算に雨粒や飛散粉じんが混入すると、地表面に存在しない突起や薄い層が作られ、切土量、盛土量、残土量などの算出結果へ影響することがあります。外れ値を適切に除くには、周辺点密度と孤立度、近傍地表面からの距離、反射強度や取得時刻などの属性、複数時刻と複数方向での再現性、地形の連続性、土量結果への影響度という6つの基準を組み合わせることが重要です。
一つの閾値だけで自動削除すると、土砂山の頂部、法肩、法尻、轍、構造物際など、土量計算に必要な点まで失う可能性があります。外れ値候補はまず選択状態で確認し、断面表示や元点群との比較を行い、除去前後で同じ条件の土量計算を実施します。全体体積だけでなく、切盛の内訳、区画別差分、境界位置、最高標高も確認すると、過剰除去を見つけやすくなります。
外れ値処理の負担を減らすには、降雨や粉じんが強い時間を避け、複数方向から重複して取得し、異常が疑われる場所を現場で追加計測する運用が有効です。処理条件と判断理由を記録しておけば、結果の説明と再現もしやすくなります。
点群による土量計算を現場で素早く確認し、計測から体積把握までの流れを効率化したい場合は、LRTK Phoneを活用した運用を検討してみてください。