LRTKレフィクシア株式会社

現場で体積計算する沈下板設置部の埋戻し材量を拾う5確認

沈下板設置部で埋戻し材量の計算が必要になる理由

盛土工事や軟弱地盤対策工事では、施工中や施工後の沈下量を確認するために沈下板を設置することがあります。沈下板は、基準となる板と測定ロッドなどを用い、基準点からの高さの変化を測って地盤や盛土の沈下状況を確認するための観測設備です。盛土の進行に合わせて測定を続けることで、沈下の推移や施工管理上の変化を把握するために使われます。

沈下板を設置する際には、原地盤や施工途中の盛土を掘削し、基面を整えたうえで板を据え付ける場合があります。その後、沈下板の周囲や上部を埋戻し材で充填し、測定ロッドや保護管の位置を保ちながら所定の高さまで復旧します。この埋戻しに必要な材料量を求める作業が、沈下板設置部の体積計算です。実際の施工では、設計図書、施工計画書、施工要領、発注者との協議内容などを優先して条件を確認します。

一見すると、掘削した長さ、幅、深さを掛ければ数量を出せるように見えます。しかし、実際の現場では、図面に示された設置寸法と実際の掘削寸法が一致するとは限りません。作業員が設置や高さ調整を行うための空間が必要になり、計画より広く掘削することがあります。地盤が崩れやすい場合は、掘削上部だけが広がることもあります。

さらに、掘削空間の中には沈下板本体、測定ロッド、保護管、板下の調整材などが残ります。掘削した空間の全体を埋戻し材量として計上すると、これらの部材が占める体積まで含めることになります。数量の管理精度によっては小さな部材を省略できる場合もありますが、どの部材を差し引いたのかを明確にしなければ、担当者ごとに計算結果が変わります。

埋戻し後の体積と搬入時の材料体積が異なる点にも注意が必要です。計算で求める埋戻し空間は、通常、締固め後の完成体積として整理します。一方、現場へ搬入される土砂や砂は、積込みや荷下ろしによって緩んだ状態になることがあります。締固め後に必要な体積と同じ見掛け体積だけを搬入すると、材料や施工条件によっては施工途中で不足する可能性があります。

沈下板設置部は、一か所当たりの数量が大きくないこともあります。しかし、設置箇所が多い工事では、小さな差が積み重なります。また、沈下板の周囲に通常の盛土材とは異なる材料を使用する場合は、材料の手配単位や運搬回数にも影響します。

現場で体積計算を安定して行うためには、一つの計算式へすべての条件を押し込むのではなく、掘削空間、占有部材、締固め後体積、搬入量、予備量を段階的に整理することが重要です。ここからは、埋戻し材量を拾う際に確認したい5つの項目を順番に解説します。

確認1 計算対象となる埋戻し範囲を明確にする

最初に確認するのは、どこからどこまでを沈下板設置部の埋戻し材量として扱うかです。計算対象の境界が決まっていない状態では、正確に寸法を測っても適切な数量にはなりません。

平面的な範囲としては、沈下板を設置するために掘削した部分が基本になります。ただし、掘削した範囲の全体を同じ材料で埋め戻すとは限りません。沈下板の周辺だけに粒度を調整した材料や砂質の材料を使用し、その外側を通常の盛土材で復旧する施工も考えられます。

例えば、掘削範囲が長さ2.0メートル、幅2.0メートルであっても、中央の長さ1.2メートル、幅1.2メートルの範囲だけに専用の埋戻し材を使用する計画であれば、専用材料の数量は中央部を対象に計算します。外側の部分は、通常盛土材の数量として別に整理します。

反対に、掘削範囲の全体へ同じ埋戻し材を使用する施工計画であれば、沈下板本体に近い範囲だけを計算してはいけません。作業空間として広げた部分も、最終的に同じ材料で満たされるのであれば計算対象に含めます。

高さ方向の境界も重要です。沈下板下面から埋戻し完了面までを対象にするのか、掘削底面から埋戻し完了面までを対象にするのかによって数量が変わります。沈下板の下に敷砂や均し材を設ける場合は、その層を周囲の埋戻し材とは分けて扱う必要があります。

計算に使用する高さは、現況地盤高、掘削底面高、沈下板下面高、沈下板上面高、埋戻し完了高などに分けて確認します。単に深さ0.5メートルと記録するだけでは、どの面からどの面までの寸法なのかが分からなくなります。

例えば、掘削深さが0.5メートルであっても、底面に厚さ0.05メートルの調整材を施工し、その上に厚さ0.01メートルの沈下板を設置する場合、周囲の埋戻し材が占める高さは単純な0.5メートルではありません。計算上は掘削空間全体を求めた後、調整材と沈下板が占める体積を差し引く方法が分かりやすくなります。

施工時期によっても計算範囲は異なります。原地盤上に沈下板を設置してから盛土を開始する場合は、板周辺の局部的な埋戻しだけを計算することがあります。一方、既に施工した盛土を掘り下げて沈下板を追加設置する場合は、掘削した既設盛土を復旧する範囲全体が対象になります。

通常盛土と沈下板周囲の埋戻しを連続して施工する場合も、数量区分を確認します。設計や施工管理上、沈下板周囲を独立した数量として管理する必要があるのか、通常盛土の一部として扱うのかによって計算書の作り方が変わります。

埋戻し材量を材料手配に使用する場合は、専用材料を使用する範囲を明確にすることが特に重要です。計算対象が曖昧なまま発注すると、現場では通常盛土材が余っているにもかかわらず、沈下板周囲に使う材料だけが不足するという状況が起こり得ます。

計算範囲を明確にするためには、平面図や断面図へ境界を書き込む方法が有効です。図面が簡略化されている場合は、現地写真へ掘削端部、材料の切替位置、埋戻し完了面を書き込んでおきます。数値だけでなく、計算対象を視覚的に示すことで、担当者間の認識差を減らせます。

現場で体積計算を始める前には、この数量が設計数量、施工計画数量、発注数量、実績数量のどれに当たるのかも整理します。同じ沈下板設置部を対象としていても、目的によって使用する寸法や加算する予備量が異なるためです。

設計数量は図面寸法を基に算出し、施工計画数量は想定する作業幅や施工方法を反映します。実績数量は埋戻し直前の実測寸法を使って算出します。材料の発注数量には、締固め換算や運搬単位を反映することがあります。これらを一つの数量として扱わず、用途ごとに分けて管理することが重要です。

確認2 実際の掘削形状と平均深さを測る

二つ目の確認は、実際に掘削した形状と寸法です。沈下板の設置図に記載されている寸法が、そのまま現地の掘削寸法になるとは限りません。材料量を正確に把握するには、埋戻し直前の形状を現場で確認する必要があります。

掘削部分が長方形で、上面と底面の寸法がほぼ同じであれば、直方体として計算できます。

掘削体積=長さ×幅×深さ

例えば、掘削長さが1.8メートル、幅が1.6メートル、深さが0.5メートルの場合、掘削体積は1.44立方メートルです。

ただし、掘削の側面が崩れたり、安全や作業性を考えて上部を広くしたりした場合は、上面と底面の寸法が異なります。この形状を底面寸法だけで計算すると数量が不足しやすくなり、上面寸法だけで計算すると過大になりやすくなります。

現場で簡易的に計算する方法として、上面寸法と底面寸法の平均を使う方法があります。

平均長さ=(上面長さ+底面長さ)÷2

平均幅=(上面幅+底面幅)÷2

概算体積=平均長さ×平均幅×深さ

この方法は、上面と底面の寸法差が小さく、側面がほぼ直線的に変化している場合の概算に使いやすい方法です。ただし、平均長さと平均幅を掛ける方法は角すい台の厳密な体積式とは一致しません。上面と底面の差が大きい場合や、片側だけが崩れている場合には誤差が大きくなる可能性があるため、分割計算や角すい台の式を使います。

上面と底面が相似に近い長方形で、側面が一定の勾配になっている場合は、角すい台に近い形状として計算できます。

角すい台に近い掘削体積=深さ×(上面積+底面積+√(上面積×底面積))÷3

この式は、上面と底面が平行で相似な形状として扱える場合に用います。実際に式を使用する際は、括弧を使って計算順序を明確にします。上面と底面が相似でない場合や、側面形状が不規則な場合は、無理に一つの角すい台へ当てはめず、単純な形状へ分割するほうが安全です。

掘削形状が左右非対称の場合は、一つの直方体や角すい台として処理するより、複数の形状に分割したほうが分かりやすくなります。例えば、基本部分を直方体として計算し、側面が崩れた部分を三角柱や小さな直方体として追加します。

段切り状になっている掘削も、上段と下段に分けて計算します。上段の長さ、幅、深さから体積を求め、下段も別に求めた後、合計します。複雑な形状を一つの平均寸法へ置き換えるより、現地で確認できる単純な形へ分けるほうが計算根拠を説明しやすくなります。

円形に近い掘削であれば、円柱として計算します。

円柱体積=円周率×半径×半径×深さ

上部と底部で直径が異なり、同心円状で側面が一定に変化している場合は、円すい台に近い形状として計算できます。沈下板本体が四角形でも、使用する掘削機械や作業方法によって掘削範囲が円形に近くなることがあるため、板の形だけで計算形状を決めないようにします。

現地で長さと幅を測る際は、一辺につき一か所だけを測るのではなく、複数箇所を測ります。掘削上面の長さでも、片側と中央では寸法が異なることがあります。代表値を決める場合は、複数の測定値を平均するか、形状を分割して計算します。

深さの測定はさらに重要です。掘削底面には凹凸が生じやすく、一か所だけを測ると実際の体積を適切に表せない場合があります。四隅と中央など複数箇所で深さを測り、平均深さを求めます。

平均深さ=各測点の深さの合計÷測点数

例えば、5か所で測定した深さが0.48メートル、0.50メートル、0.52メートル、0.49メートル、0.56メートルであれば、平均深さは0.51メートルです。ただし、中央だけが局部的に深いなど、特定の部分に大きな凹みがある場合は、全体の平均だけで処理せず、その凹み部分を追加体積として求める方法もあります。

底面が傾斜している場合は、最も高い位置と低い位置を測り、平均深さを使用する方法があります。傾斜が一方向にほぼ一定であれば、両端の深さを平均して概算できます。複数方向に傾斜している場合や凹凸が大きい場合は、測点数を増やすか、区画を分けて計算します。

雨水がたまっている掘削部では、底面位置を正確に確認できないことがあります。排水前の水面から深さを測ると、泥や軟弱化した部分を見落とす可能性があります。埋戻し前に排水や不良土の除去を行う場合は、その処理が完了した後の最終寸法を測ります。

掘削後に地盤の状態を確認した結果、軟弱部分を追加で除去することもあります。この場合、当初の掘削寸法ではなく、追加掘削後の寸法を用いて実績数量を計算します。当初計画との差は、余掘りや追加処理として別に記録すると説明しやすくなります。

設計数量と実測数量は分けて管理します。設計数量は計画時の材料手配や予算管理に使えますが、実際の使用量を確認するには現地寸法が必要です。設計寸法のみで計算を完了させず、埋戻し前に実測値へ更新することが、材料不足を防ぐための重要な手順です。

確認3 沈下板や保護管などの占有体積を差し引く

三つ目の確認は、掘削空間の内部に残る部材や別材料の体積です。掘削体積の全体が埋戻し材で満たされるわけではないため、沈下板本体や保護管などが占める部分を差し引きます。

正味埋戻し体積の基本的な考え方は次のとおりです。

正味埋戻し体積=掘削空間体積-沈下板体積-保護管占有体積-別材料体積

沈下板が正方形または長方形で厚さが一定であれば、体積は長さ、幅、厚さの積で求められます。

沈下板体積=板の長さ×板の幅×板の厚さ

沈下板は掘削範囲と比べて薄い場合が多く、板だけの体積は小さくなることがあります。しかし、正味数量を細かく管理する場合や、複数箇所を合計する場合は、差し引くかどうかを統一することが重要です。

例えば、一辺0.6メートル、厚さ0.012メートルの沈下板であれば、体積は0.00432立方メートルです。一か所では小さな数量でも、設置箇所が多くなれば合計差が大きくなります。

測定ロッドが円柱状の場合は、円柱として体積を求めます。

ロッド占有体積=円周率×(外径÷2)×(外径÷2)×埋戻し範囲内の長さ

細いロッドの場合は体積への影響が小さく、工事で使用する数量単位によっては計算上省略できることがあります。ただし、省略する場合は担当者の判断だけで処理せず、最終数量への影響が管理単位より十分に小さいことを確認します。

保護管を設ける場合は、測定ロッドより外径が大きくなるため、差し引く必要性が高くなることがあります。保護管内部へ周囲の埋戻し材が入らない構造であれば、保護管の外径で囲まれた円柱全体を占有体積として扱います。

保護管の内部へ別の充填材を入れる場合は、外側の埋戻し材と管内充填材を分けて計算します。外側の埋戻し材量では保護管外径を使用し、管内の充填材量では内径を使用します。

外径と内径を混同すると、管の厚み部分を二重に計上したり、管内部の材料を計上し忘れたりします。計算書には、使用した寸法が外径なのか内径なのかを明記します。

沈下板の下に施工する敷砂や均し材も、周囲の埋戻し材とは分けて確認します。例えば、沈下板の下へ長さ0.8メートル、幅0.8メートル、厚さ0.05メートルの調整材を施工する場合、その体積は0.032立方メートルです。

この調整材を別材料として管理する場合は、掘削空間から調整材体積を差し引いたうえで、周囲の埋戻し材量を求めます。調整材を埋戻し材量に含めて手配する場合でも、材料区分が異なるなら数量を別に表示します。

沈下板を固定するための支持台や大きな固定部材がある場合も、占有体積を確認します。小さな金具や接続部品まで一つずつ計算する必要はない場合がありますが、コンクリート製の固定台や大きな支持材を使用する場合は無視できない体積になります。

埋戻し材が複数の範囲に分かれる場合は、材料別に体積を計算します。例えば、保護管の周囲だけを砂で包み、その外側を通常の盛土材で埋める場合、まず砂を施工する範囲の体積を求めます。

砂施工範囲を円柱として設定する場合は、円柱全体の体積から保護管の占有体積を差し引きます。その結果が保護管周囲に必要な砂の正味体積です。

次に、掘削空間全体から、砂施工範囲、沈下板、調整材などの体積を差し引きます。その結果が外側に使用する通常盛土材の体積になります。このように材料区分ごとに分けることで、発注漏れや二重計上を防げます。

体積計算では、寸法単位をメートルへ統一することも重要です。掘削長さや幅はメートル、板厚や管径はミリメートルで記載されていることがあります。

例えば、板厚12ミリメートルは0.012メートルです。管の外径80ミリメートルは0.08メートル、半径は0.04メートルです。ミリメートル表記の数値をそのままメートルの式へ代入すると、計算結果が大きくずれます。

差し引く部材を細かくしすぎると計算が複雑になり、かえって入力ミスが増えることもあります。実務では、沈下板本体、保護管、板下調整材、大きな固定部材、材料切替部分など、数量へ影響しやすい要素から優先的に整理します。

重要なのは、すべての小部材を計算することではなく、どの部材を計算に含め、どの部材を省略したのかを再確認できる状態にすることです。

確認4 締固め後の体積と搬入量を区別する

四つ目の確認は、正味埋戻し体積と実際に現場へ搬入する材料量の違いです。掘削空間から部材体積などを差し引いて求めた数量は、通常、埋戻し完了後の空間体積として整理します。

一方、現場へ運搬される土砂や砂は、締固め前の緩んだ状態です。材料は積込み、運搬、荷下ろし、敷きならし、締固めの各段階で体積が変化します。そのため、正味埋戻し体積と同じ数量だけを搬入すれば必ず足りるとは限りません。

必要搬入体積を求める基本的な考え方は次のとおりです。

必要搬入体積=締固め後の正味埋戻し体積×確認済みの換算係数

ただし、換算係数には一律の値を使用できません。材料の種類、粒度、含水状態、締固め方法、施工層厚、運搬時の状態などによって変わるためです。

同じ砂質材料でも、乾燥している状態と水分を多く含んだ状態では見掛けの体積や密度が異なることがあります。粒径のそろった材料と細粒分を含む材料でも締まり方が変わります。

換算係数を使用する場合は、その係数が何を基準にしているかを確認します。資料によっては、締固め後の体積から緩んだ体積を求めるための係数として示されます。別の資料では、緩んだ体積から締固め後の体積を求める比率として示されることがあります。

係数の数値だけを見て掛け算すると、計算方向を逆にする可能性があります。計算書には、係数の名称だけでなく、どの状態からどの状態へ換算するものかを記録します。

材料を重量で管理する場合は、密度を利用して必要量を求める方法があります。

必要乾燥質量=締固め後体積×目標とする乾燥密度

実際の搬入重量へ換算するときは、材料の含水状態などを確認します。重量管理は材料の受入量を把握しやすい方法ですが、使用する密度や含水状態が現場条件と合っていなければ、体積への換算結果がずれます。

沈下板周辺では、通常の盛土部と同じ大型締固め機械を使用できないことがあります。測定ロッドや保護管へ接触しないように、小型の締固め機械や人力施工を併用することがあります。

施工方法が異なれば、材料の敷きならし方や締固め後の状態も変わる可能性があります。通常盛土部で使用している換算結果を、確認せずに沈下板周辺へ適用しないようにします。

また、沈下板周囲は測定設備を動かさないことが重要です。材料を多く投入して強く押し込めばよいわけではありません。片側から材料を投入したり、保護管付近だけを過度に締め固めたりすると、測定ロッドの傾きや位置ずれにつながる可能性があります。

埋戻しは周囲から偏りが生じないように進め、施工要領や設計図書に定められた層厚、締固め方法、機械の使用条件に従って仕上げます。材料量の計算と施工方法は別の作業ではなく、互いに関連しています。

材料を容器や小型運搬車で運ぶ場合は、容器の容量だけで管理しないようにします。容器一杯の見掛け体積と、埋戻し後の完成体積は一致しない場合があります。

現場で簡易的な確認を行う場合は、同じ容器で一定量の材料を取り、実際の施工方法で締め固めた後の体積を確認する方法があります。こうした実績を残しておけば、一か所当たりに必要な容器数の目安を作れます。

計算書には、少なくとも正味埋戻し体積と搬入予定量を分けて記載します。正味埋戻し体積が1.5立方メートルであっても、搬入予定量が同じ1.5立方メートルになるとは限りません。

施工後に材料が余った場合も、正味体積と搬入量を分けていれば原因を確認できます。換算係数が大きかったのか、掘削寸法が計画より小さかったのか、材料の締まり方が想定と違ったのかを整理できます。

複数の沈下板を設置する場合は、すべての箇所へ同じ換算を適用できるか確認します。同じ材料と施工方法であっても、掘削深さや施工時の含水状態が異なる場合があります。

条件がほぼ同じ箇所はまとめて管理できますが、異なる材料を使用する箇所や施工方法が変わる箇所は別に計算します。一か所当たりの標準数量を作る場合も、適用できる条件を明記しておきます。

確認5 余掘りや施工ロスを根拠付きで加える

五つ目の確認は、余掘りと施工ロスの扱いです。現場で実際に必要となる材料量は、理論上の正味埋戻し体積だけでは決まらない場合があります。

余掘りとは、計画した範囲より広く、または深く掘削することです。作業空間を確保した場合、掘削面が崩れた場合、軟弱部分を追加で除去した場合などに発生します。

余掘り部分も同じ材料で埋め戻すのであれば、その体積を計算へ加えます。余掘り量を単なる割増率として処理するのではなく、可能な限り現地寸法から求めます。

余掘り体積=実測掘削体積-計画掘削体積

例えば、計画では長さ1.5メートル、幅1.5メートル、深さ0.5メートルの掘削であったものが、実際には長さ1.7メートル、幅1.6メートル、平均深さ0.55メートルになった場合、実測形状による体積を計算します。その後、計画体積との差を余掘り分として整理します。

掘削面の一部だけが崩れた場合は、崩れた部分を小さな直方体や三角柱に分けて追加計算できます。全体へ一律の割増率を掛けるより、現場状況を反映しやすくなります。

施工ロスは、余掘りとは異なります。余掘りは完成後に材料で満たされる空間が増えることです。施工ロスは、完成体積には残らないものの、運搬や施工の過程で必要になる材料です。

施工ロスには、荷下ろし場所や運搬容器に残る材料、敷きならし中に範囲外へ広がる材料、機械に付着する材料、移動中にこぼれる材料などがあります。

施工ロスの量は、材料や施工条件によって異なります。そのため、どの現場にも共通する一定割合を根拠なく加えることは避けます。

ロスを見込む場合は、同じ材料を使用した過去の実績、試験施工の結果、搬入量と使用量の記録、容器数と仕上がり体積の関係などを根拠にします。

過去実績を使う場合も、今回の施工条件と近いかを確認します。材料の種類が同じでも、含水状態、運搬距離、荷下ろし方法、施工機械が異なればロスの発生状況は変わります。

材料を多めに手配する必要がある場合は、理論数量の中へ含めず、予備数量として分けて表示する方法が有効です。

手配数量=換算後の必要搬入量+根拠を確認した予備数量

正味埋戻し体積、換算後搬入量、予備数量を分けておけば、施工完了後に実績を検証できます。予備数量をすべて使用したのか、一部が残ったのかも確認しやすくなります。

残った材料を別の施工箇所で使用できる場合は、必ずしも施工ロスにはなりません。通常盛土材として転用できるのか、品質や材料区分の違いによって転用できないのかを確認します。

沈下板周囲に専用材料を使用する場合は、少量手配による端数にも注意が必要です。計算上必要な数量が1.2立方メートルであっても、運搬車両や容器の単位により、同じ数量だけを手配できるとは限りません。

この場合は、理論上必要な数量と実際の手配単位を分けて記録します。手配単位の都合で増えた分を、埋戻し体積そのものへ加えないようにします。

通常盛土の施工と同時に材料を供給できる場合は、沈下板設置部だけの端数を手配する必要がないこともあります。反対に、沈下板周囲だけ別材料を使う場合は、少量であっても独立した搬入が必要になることがあります。

材料の供給方法まで確認したうえで予備量を設定すると、過剰な手配を抑えながら不足にも備えられます。

現場で体積計算を行う際は、計画数量、実測掘削体積、正味埋戻し体積、搬入換算量、予備数量、実使用量を分けて残します。段階ごとの数値を残すことで、最終的な使用量が計画と異なった理由を説明できます。

沈下板設置部の埋戻し材量を計算する具体例

ここでは、上面と底面の寸法が異なる沈下板設置部を例に、埋戻し材量を求める流れを確認します。使用する数値は計算方法を説明するための例であり、実際の工事では施工図、施工要領、現地実測値を使用します。

掘削上面は長さ1.8メートル、幅1.8メートル、掘削底面は長さ1.5メートル、幅1.5メートル、平均深さは0.6メートルとします。上面と底面がほぼ相似で、側面が一定の勾配になっている形状を想定します。

上面積は次のとおりです。

上面積=1.8×1.8=3.24平方メートル

底面積は次のとおりです。

底面積=1.5×1.5=2.25平方メートル

上面積と底面積の積は7.29です。その平方根は2.7平方メートルです。

掘削体積は、角すい台に近い形状として次のように計算します。

掘削体積=0.6×(3.24+2.25+2.7)÷3

括弧内の合計は8.19平方メートルです。

掘削体積=0.6×8.19÷3

計算結果は1.638立方メートルです。

次に、沈下板本体の体積を求めます。沈下板を一辺0.6メートルの正方形、厚さ0.012メートルとします。

沈下板体積=0.6×0.6×0.012

計算結果は0.00432立方メートルです。

保護管は外径0.08メートルで、今回の埋戻し範囲内に0.6メートル存在するとします。半径は0.04メートルです。

保護管占有体積=円周率×0.04×0.04×0.6

円周率を概算値として計算すると、保護管占有体積は約0.00302立方メートルです。

さらに、沈下板の下へ長さ0.8メートル、幅0.8メートル、厚さ0.05メートルの調整材を施工するとします。この調整材は、周囲の埋戻し材とは異なる材料として管理します。

調整材体積=0.8×0.8×0.05

計算結果は0.032立方メートルです。

周囲の正味埋戻し体積は、掘削体積から沈下板体積、保護管占有体積、調整材体積を差し引いて求めます。

正味埋戻し体積=1.638-0.00432-0.00302-0.032

計算結果は約1.599立方メートルです。

この約1.599立方メートルは、締固め後に周囲の埋戻し材が占める正味体積です。実際に手配する材料体積を求める場合は、使用材料と施工条件に応じた換算を行います。

ここでは説明のため、現場条件に基づいて確認された換算係数を1.08と仮定します。この値は計算例のための仮定であり、他の現場へそのまま適用するものではありません。

搬入予定体積=1.599×1.08

計算結果は約1.727立方メートルです。

さらに、過去の施工記録や運搬単位を踏まえ、予備数量として0.1立方メートルを確保するとします。

手配数量=1.727+0.1

手配数量は約1.827立方メートルです。

計算書では、最終的な1.827立方メートルだけを残すのではなく、途中の数量も記録します。掘削体積は1.638立方メートル、部材などを差し引いた正味体積は約1.599立方メートル、換算後の搬入予定体積は約1.727立方メートル、予備を含めた手配数量は約1.827立方メートルです。

段階ごとに数値を残しておけば、施工後に材料が余った場合や不足した場合の原因を確認できます。

例えば、実際の掘削深さが0.6メートルではなく0.65メートルになった場合は、掘削体積と埋戻し範囲内にある保護管の占有体積を更新します。調整材の寸法が変わらなければ、その体積は同じです。

反対に、掘削形状は変わらず、調整材の厚さだけが0.05メートルから0.08メートルへ変わった場合は、調整材体積と正味埋戻し体積を修正します。

このように計算要素を分けることで、現場条件の変更へ対応しやすくなります。

小数点以下の扱いも決めておきます。途中計算の段階で小数点以下を大きく丸めると、複数箇所を合計したときに差が拡大することがあります。

途中計算では必要な桁数を保持し、最終的な数量表や手配数量へ整理する段階で、工事の管理単位に合わせて丸めます。切上げ、切捨て、四捨五入のどれを使用したかも明記すると、計算を再現しやすくなります。

複数箇所の数量を集計するときの注意点

沈下板を複数設置する工事では、一か所当たりの数量を設置箇所数で掛ければ全体数量を求められるように見えます。しかし、すべての設置条件が同じとは限りません。

設置位置ごとに現況地盤高、掘削深さ、地盤状態、沈下板寸法、保護管長さ、使用材料が異なる場合があります。この違いを無視して一律の数量を使うと、材料不足や過剰手配につながります。

まず、沈下板を条件ごとに分類します。掘削寸法と使用材料が同じ箇所、掘削深さだけが異なる箇所、保護管の仕様が異なる箇所、追加掘削が必要な箇所などに分けます。

条件が同じと確認できる箇所については、一か所当たりの標準数量を設定できます。標準数量に箇所数を掛けることで、全体数量を効率的に計算できます。

ただし、標準数量を使う場合は、その適用条件を記録します。例えば、掘削長さ1.5メートル、幅1.5メートル、深さ0.5メートル、使用材料が同一であることを条件とします。

現地で掘削寸法が標準条件を超えた箇所は、個別計算へ切り替えます。標準数量を使い続けるのではなく、差分を追加数量として記録します。

複数箇所を合計する際は、各箇所の最終数量を先に丸めないことも重要です。一か所ごとの計算結果を粗い単位で丸めてから合計すると、設置箇所数が多いほど誤差が大きくなります。

各箇所の計算では一定の桁数を保持し、全箇所を合計した後に管理単位へ丸めます。ただし、材料を箇所ごとに独立して運搬する場合は、各箇所の手配単位を考慮する必要があります。

一括搬入できる材料と、箇所ごとに小分けして運ぶ材料でも数量管理が異なります。一括搬入の場合は全体の理論数量に対して予備量を設定できます。箇所ごとに運搬する場合は、一か所ごとの容器数や小型運搬車の積載量を確認します。

同じ材料を通常盛土にも使用する場合は、沈下板設置部だけの使用量をどのように把握するかを決めます。通常盛土の搬入量から沈下板設置部の使用量を完全に分離することが難しい場合があります。

その場合は、沈下板設置前後の搬入記録、運搬回数、施工範囲、容器数などを使って実績を整理します。数量の目的が材料の発注なのか、出来高管理なのか、施工記録なのかによって必要な精度を調整します。

設置番号ごとの計算書を作り、最後に集計資料へまとめる方法が分かりやすくなります。現場記録では、管理番号、計算条件、正味体積、搬入予定量、実使用量を関連付けて残すことが重要です。

計算結果に大きな差がある箇所は、原因を確認します。掘削深さが違うのか、地盤崩壊による余掘りがあるのか、材料区分が違うのかを記録します。

単に平均数量へ合わせて修正するのではなく、差が生じた理由を現場条件と結び付けることで、次の設置箇所の計画精度を高められます。

計算根拠を写真と位置情報で残す方法

沈下板設置部の埋戻し材量は、埋戻しが完了すると掘削形状や板の配置を直接確認できなくなります。そのため、埋戻し前に計算根拠を記録しておくことが重要です。

記録には、沈下板の管理番号、設置位置、設置日、現況地盤高、掘削底面高、沈下板上面高、埋戻し完了高などを含めます。位置は測点、左右位置、座標など、現場で使用している管理方法に合わせます。

寸法は、計算に採用した代表値だけでなく、現地で測った元の値も残します。上面長さを3か所で測った場合は、それぞれの数値と採用した平均値を記録します。

深さを四隅と中央で測った場合も、各測点の値と平均深さを残します。計算結果だけでは、どのように平均値を求めたのか後から確認できません。

写真は、掘削完了時、底面整正後、調整材施工後、沈下板設置後、保護管設置後、埋戻し途中、埋戻し完了後など、施工段階ごとに撮影します。

全景写真だけでは寸法や部材の位置関係が分かりにくいため、測定器具を当てた状態や、管理番号を示した状態でも撮影します。

掘削上面と底面の寸法が異なる場合は、どこを測ったのかが分かる写真を残します。側面崩壊や追加掘削があった場合も、その範囲を写真で確認できるようにします。

沈下板本体は埋戻し後に見えなくなります。板の向き、測定ロッドとの接続状態、保護管との位置関係、板下調整材の施工範囲を記録しておけば、観測値に異常が生じたときの確認資料になります。

埋戻し材料については、材料区分、搬入量、使用量、残量、施工層数、施工時の状態を記録します。品質確認や締固め管理を行った場合は、その結果を設置位置と関連付けます。

計算値と実使用量に差が生じた場合は、差の理由も残します。実測掘削範囲の拡大、軟弱部の追加除去、材料の換算差、施工ロス、残材などに分類すると、次回の数量計画へ反映しやすくなります。

現地計測を行った日に、計算と写真整理まで進めることが望まれます。埋戻し後に掘削寸法を再確認することは困難です。後日、記憶を頼りに計算すると、追加掘削や材料変更を見落としやすくなります。

計算書には数式だけでなく、各数値の意味を記載します。単に1.8×1.6×0.5と記録するのではなく、上面長さ、上面幅、平均深さなど、寸法がどの部分を示しているかを明記します。

担当者が変わっても同じ結果を再計算できる状態にすることが、施工記録としての基本です。

写真、位置情報、計測値、計算結果を別々に保存すると、後から対応関係を確認する作業が増えます。沈下板の管理番号を共通の識別情報として使用し、すべての記録を関連付けます。

管理番号を現場写真へ写し込み、計算書や測定記録にも同じ番号を記載すれば、設置箇所の取り違えを防ぎやすくなります。

現場で体積計算を安定させるためのまとめ

沈下板設置部の埋戻し材量を正確に拾うためには、長さ、幅、深さを掛けるだけでなく、計算対象、現地形状、占有部材、材料の状態、施工上の増加分を順番に確認する必要があります。

最初の確認は、埋戻し材を施工する範囲です。掘削範囲の全体を同じ材料で埋めるのか、沈下板周囲だけを専用材料とするのかを明確にします。高さ方向についても、掘削底面、沈下板下面、沈下板上面、埋戻し完了面を区別します。

二つ目の確認は、実際の掘削形状です。上面と底面が同じ寸法であれば直方体として計算できます。上部が広がっている場合は、平均寸法による概算、角すい台に近い形状、分割計算などを条件に応じて使い分けます。

深さは一か所だけで判断せず、四隅や中央など複数点を測ります。局部的な凹みや余掘りがある場合は、全体の平均だけで処理せず、追加部分を別に計算します。

三つ目の確認は、沈下板本体、保護管、調整材などが占める体積です。掘削体積からこれらを差し引くことで、周囲の正味埋戻し体積を求めます。

材料が複数に分かれる場合は、それぞれの施工範囲を別に計算します。保護管の外径と内径、板厚や管径の単位にも注意します。

四つ目の確認は、締固め後体積と搬入量の違いです。正味埋戻し体積は完成後の空間体積として整理する数量であり、緩んだ状態の搬入量とは一致しないことがあります。

換算係数を使用する場合は、材料、含水状態、締固め方法、係数の定義を確認します。正味埋戻し体積と搬入予定量は分けて記録します。

五つ目の確認は、余掘りと施工ロスです。余掘りは実測寸法から体積を求め、施工ロスや予備量は過去実績や運搬条件などの根拠を持って設定します。

理論数量へ理由の分からない割合を加えるのではなく、正味体積、搬入換算量、予備数量を段階的に表示することが大切です。

沈下板設置部は埋戻し後に内部を確認できなくなります。計算精度を高めるだけでなく、埋戻し前の寸法、写真、部材配置、材料区分、設置位置を記録することが必要です。

現場で体積計算を安定させるには、計測から計算、写真整理、数量集計までを一つの流れとして管理します。沈下板の管理番号を共通の識別情報として使用すれば、複数箇所の取り違えも防ぎやすくなります。

現場で取得した寸法と位置をその場で記録し、写真や計算根拠と結び付けることで、埋戻し後にも数量を再確認できる状態を作れます。記録には、現場で使用している承認済みの端末や管理方法を用い、施工条件、計算式、写真、位置情報を沈下板ごとに整理しておくことが有効です。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る