仮置場間の土砂移動で数量が混同される理由
土工を伴う建設現場では、掘削した土砂を発生場所から最終搬出先へ直接運ぶとは限りません。工程、車両動線、土質確認、再利用時期、受入条件などに応じて、現場内や現場周辺に仮置場を設け、一時的に土砂を保管することがあります。
さらに、最初の仮置場から別の仮置場へ移す作業も発生します。たとえば、掘削場所に近い仮置場Aへ集めた土砂を確認し、再利用予定の仮置場Bへ移す流れです。この場合、仮置場Aの在庫は減り、仮置場Bの在庫は増えますが、管理対象を現場内の仮置土と定義する限り、現場内に存在する管理対象土砂の総量は内部移動だけでは増減しません。
この関係を記録上で正しく表現できないと、同じ土砂を複数回計上するおそれがあります。仮置場Aからの搬出数量と仮置場Bへの搬入数量を、互いに関係のない実績として合計すると、一回の内部移動が二つの数量として扱われる可能性があります。
反対に、移動元だけを記録して移動先を記録しなければ、土砂の所在が分からなくなります。移動先だけを記録すると、仮置場Bの数量が増えているのに仮置場Aの数量が減らず、同じ土砂が二か所に存在するような集計になります。
紙の運搬票や担当者別の表計算ファイルでは、積込側と荷下ろし側が別々に記録することがあります。担当者ごとに仮置場名や土砂区分の表記が異なると、同じ移動の照合が難しくなります。「北側仮置場」「第2仮置場」「再利用土置場」が実際には同じ場所でも、別の管理先として集計されることがあります。
仮置場間移動は、現場外への搬出と作業の見た目が似ています。どちらも積込機械で車両へ積み、別の場所で荷下ろしします。車両番号、運搬回数、数量だけでは、その便が内部移動なのか最終搬出なのかを後から判断できない場合があります。
同じ土砂を複数回移す現場では、管理はさらに複雑です。発生場所から仮置場Aへ運び、仮置場Bへ移し、その後に現場外へ搬出した場合、物理的には複数回の運搬が発生しています。しかし、発生土量や最終搬出量を求めるときに、すべての運搬数量を単純合計することはできません。
このため、延べ運搬量と正味の数量を分けて扱う必要があります。延べ運搬量は車両や積込機械の稼働実績を把握するために使えます。一方、仮置場在庫や現場外搬出量を把握する場合は、移動区分に応じて内部移動を相殺する必要があります。
「運搬土量 管理 ツール」を探す際は、便数や数量を入力できるかだけでなく、土砂の移動元、移動先、区分、数量の関係を追跡できるかを確認することが重要です。
運搬土量管理ツールで移動履歴を管理する考え方
仮置場間の土砂移動を管理する基本は、移動元からの出庫と移動先への入庫を、互いに無関係な記録として独立入力しないことです。一件の移動記録として扱うか、同一の移動IDで結び付いた出庫・入庫として管理します。
仮置場Aから仮置場Bへ80立方メートルを移した場合、一件の移動データを基に、仮置場Aから80立方メートルを減算し、仮置場Bへ同じ基準の80立方メートルを加算します。二つの更新を同じ移動にひも付ければ、片側だけが登録される状態や数量基準の食い違いを見つけやすくなります。
土砂の動きは、管理上の種類を分けます。掘削場所から仮置場への搬入、仮置場同士の内部移動、仮置場から現場外への搬出、現場外からの受入、計測結果に基づく数量補正では、集計への影響が異なります。
掘削場所から仮置場への搬入は、対象仮置場の在庫を増やします。ただし、掘削前の地山まで含めた現場全体の土量が増えるわけではありません。「現場内在庫」を仮置場に保管している土砂の合計と定義する場合に限り、その管理値が増加します。集計範囲を明示せずに「現場全体」と表現すると誤解が生じるため注意が必要です。
仮置場間の内部移動では、一方を減らして他方を増やしますが、仮置場在庫の合計は原則として変えません。現場外への搬出は対象仮置場と仮置場在庫の合計を減らし、現場外からの受入は増やします。こぼれ、残留、含水状態の変化、異なる基準での換算などにより差が出る場合は、通常移動と分けて記録します。
すべてを同じ「運搬」として登録すると、集計の目的によって数値の意味が変わります。作業実績としては内部移動も含む全便を数えますが、現場外搬出量を求める場合は内部移動を除外します。
現在数量だけでなく、その数量に至った履歴へたどれることも重要です。ある仮置場の在庫が前日から減少している場合、別の仮置場へ移したのか、現場外へ搬出したのか、数量補正を行ったのかを確認できるようにします。
集計値から明細へたどれる設計であれば、日報と在庫量が合わない場合でも、対象日、仮置場、土砂区分、車両、作業状態などで絞り込み、原因となった記録を探しやすくなります。
管理項目1 移動元の仮置場
一つ目の管理項目は、土砂を積み出した移動元の仮置場です。移動元が正しく登録されていなければ、どの在庫から数量を減らすべきか判断できません。
移動元には、現場内で重複しない管理番号と名称を付けます。「仮置場1」「仮置場2」だけでも区別できますが、工程の進行に伴って場所や用途が変わると混同しやすくなります。工区、位置、用途を組み合わせ、現地表示とツール上の名称を一致させることが重要です。
同じ敷地内に複数の土砂山がある場合は、仮置場全体を一つの管理単位にするか、区画ごとに分けるかを決めます。再利用予定土、改良対象土、搬出待ち土などを分けている場合は、現地でもデータ上でも区画を区別します。
移動元は自由入力ではなく、登録済み候補から選択する方法が適しています。自由入力では表記揺れや誤字が起きやすく、同じ場所の在庫が複数の名称へ分散する可能性があります。
位置情報を利用し、積込地点に近い仮置場を候補表示する方法も考えられます。ただし、近接する区画を位置だけで確定すると取り違えるおそれがあります。候補を絞り込んだ後、作業者が名称や区画表示を確認して確定する運用が安全です。
作業開始時点の記録上の在庫量を表示し、登録数量が在庫量を大きく上回る場合に確認を促すことも有効です。ただし、記録上の在庫と現地計測値には、測定方法、土砂状態、基準面などによる差が生じ得ます。在庫超過を一律に禁止せず、理由を記録して例外処理できるようにします。
積込位置や現場写真を移動データへ関連付けておけば、後から移動元を確認する補助資料になります。ただし、位置や写真は数量の正確さを直接保証するものではなく、名称、区画、数量根拠と組み合わせて使用します。
管理項目2 移動先の仮置場
二つ目の管理項目は、土砂を荷下ろしした移動先の仮置場です。仮置場間移動では、移動元と移動先を必ず同じ移動IDに関連付けます。
移動元だけが登録されると、土砂の所在が不明になります。移動先だけが登録されると、移動元の数量が残り、同じ土砂が二つの仮置場に存在するように見えます。
移動先にも移動元と同じ命名ルールを適用し、登録済み候補から選択します。名称を変更するときは、管理番号を維持するなどして過去履歴との関係を切らないようにします。使用を終了した仮置場は履歴を削除せず、新規入力の候補から外します。
移動先に受入可能な土砂区分を設定しておけば、用途に合わない土砂が選択された場合に確認を促せます。ただし、警告条件は現場ルールに合わせ、必要な例外まで機械的に禁止しないようにします。
仮置場の容量を管理する場合は、移動後の推定在庫も確認します。現在量と今回数量の合計が目安容量を超える場合に警告すれば、荷下ろし前の再確認に役立ちます。一方、実際の受入可能量は地形、積み方、法面、安全上の離隔などで変わるため、登録容量だけで可否を決定してはいけません。
移動元と移動先に同じ管理単位が選択された場合は、入力間違いの可能性を表示します。同一仮置場内の区画間移動を管理する必要がある場合は、区画を別の管理単位として登録します。
予定移動先と実績移動先も区別します。容量不足や進入路の状態などで行き先が変わった場合は、実際の荷下ろし場所を確定し、変更前後の場所と理由を履歴に残します。
管理項目3 土砂の区分と識別情報
三つ目の管理項目は、移動する土砂の区分と識別情報です。数量が一致していても、用途や取扱条件の異なる土砂を同一扱いすると、再利用計画や搬出計画に支障が生じます。
土砂区分は、現場の管理目的に応じて設定します。発生工区、掘削箇所、土質、再利用予定、改良の要否、搬出先条件などから、後工程で必要な項目を選びます。
入力項目を増やしすぎると、未入力や誤選択が増える可能性があります。数量管理、再利用判断、搬出先確認など、実際に利用する情報へ絞ることが重要です。
同じ仮置場へ複数の発生場所から土砂を集める場合は、発生元別の識別を維持するのか、混合後は新しい一つの管理単位にするのかを決めます。現地で混ざり、分離できない状態になった後も元の土砂を厳密に追跡することはできません。
用途や受入条件の異なる土砂を隣接して保管する場合は、データ上だけでなく現地でも区画表示や仕切りなどによって識別できる状態にします。データが分かれていても現物が混ざれば、必要な数量を区分別に取り出せません。
追跡が必要な土砂には識別番号を付け、仮置場A、仮置場B、現場外搬出まで同じ識別情報を引き継ぐ方法があります。複数の土砂を混合した場合は新しい識別単位を作り、元の識別情報との関係を残します。一つの土砂を選別して複数に分けた場合も、分割前後の関係を記録します。
すべてを細粒度で追跡すると現場負担が増えます。追跡が必要な土砂と、仮置場単位の総量管理で足りる土砂を分けることが現実的です。
数量の単位も統一します。体積、質量、車両回数を併用する場合は、数値だけでなく単位、基準状態、算出方法を記録します。同じ100でも、100立方メートル、100トン、換算後の100立方メートルでは意味と誤差要因が異なります。
土砂は掘削前、掘削後、運搬時、締固め後などで見かけ体積が変わることがあります。異なる状態の数量を比較する場合は、換算条件を定め、条件なしに同一の体積として扱わないようにします。
管理項目4 車両・運搬便・作業時刻
四つ目の管理項目は、車両、運搬便、作業時刻です。どの車両が、いつ、どの移動を行ったかを識別できれば、未登録や重複登録を確認しやすくなります。
車両は車両番号や現場管理番号で登録し、所属や車種などの補助情報を表示します。自由入力では表記違いや数字の打ち間違いが起きやすいため、登録済み候補から選択します。
一台の車両が一日に複数回往復する場合、車両番号だけでは個々の移動を区別できません。運搬記録ごとに一意の便番号または移動IDを付けます。複数端末で登録する場合も重複しない仕組みが必要です。
積込担当者と荷下ろし担当者が同じ便を扱う場合は、積込時に作成した記録を荷下ろし側が完了させます。別々に新規登録するより、二重計上を抑えやすくなります。
時刻は、積込完了、移動開始、荷下ろし完了など、管理目的に必要な段階を記録します。操作時刻を自動記録し、修正が必要な場合は変更履歴を残す方法が考えられます。
在庫量へ反映する時点も決めます。積込完了時に移動元を減らし、荷下ろし完了時に移動先を増やす方法では、運搬中数量を把握できます。荷下ろし完了時に両方を同時更新する方法は単純ですが、運搬中は移動元に残っているように見えます。どちらを採用する場合も、集計ルールを統一します。
通信が不安定な現場では、作業時刻と送信時刻を分けます。数時間後に同期された記録を送信時刻で集計すると、日別実績がずれる可能性があります。端末内で記録した実際の作業時刻を保持し、同期遅延の有無を確認できるようにします。
時刻を修正した場合は、修正前後の値、修正者、修正日時、理由を残します。日付をまたぐ修正は日報や月報の対象を変えるため、締め処理との関係も確認します。
管理項目5 移動数量と算出根拠
五つ目の管理項目は、移動数量と算出根拠です。数量だけでは、その数値が車両換算、計量、形状計測のどれで求められたか分からず、後から検証できません。
算出方法には、車両ごとの設定数量と回数から換算する方法、計量結果を使う方法、仮置場の形状を計測して体積差を求める方法などがあります。必要な精度、設備、現場条件に応じて選び、数量と算出区分を関連付けます。
車両換算を使う場合は、車両ごとの基準数量を登録します。ただし、車両の荷台容積や最大積載量と、実際の土砂量は一致するとは限りません。土砂状態、積み方、安全上の制約などで一便当たりの量は変化します。基準数量は推定条件として扱い、変更日と適用範囲を記録します。
設定値を変更した際に過去の記録まで自動再計算すると、確定済み帳票と差が生じる可能性があります。過去記録には当時の換算値を保持し、変更後の値は原則として新しい記録から適用します。
計量結果を使う場合は、総重量、車両重量、差引重量を区別します。質量を体積へ換算する場合は、使用した密度や換算条件、適用した土砂区分を残します。含水状態などで条件が変わり得るため、固定係数を無条件に適用しないようにします。
形状計測は、一定期間ごとの在庫確認に利用できます。運搬記録から算出した在庫と現地計測値を比較すれば、未登録、重複、換算差を見つける手掛かりになります。ただし、計測範囲、基準面、表面状態、不要物の除外方法が異なると結果も変わります。
一件の移動に計画数量、積込時数量、荷下ろし時数量、確定数量がある場合は、それぞれを区別します。在庫計算にどの値を使うかを決めなければ、担当者によって結果が変わります。
積込側と荷下ろし側の数量が異なる場合は、自動的に平均せず、入力間違い、算出方法の違い、残留、分割荷下ろしなどを確認します。差が許容される場合も、理由と採用値を記録します。
小数点以下の扱いと丸め方法も統一します。一便ごとに丸めてから合計する方法と、元の値を合計後に丸める方法では差が生じることがあります。入力桁、保存桁、表示桁、帳票の丸め規則を定めます。
管理項目6 作業状態・確認者・修正履歴
六つ目の管理項目は、作業状態、確認者、修正履歴です。登録があっても、予定、運搬中、荷下ろし済み、確定のどの段階か分からなければ、在庫へ反映すべきか判断できません。
作業状態は、現場で必要な段階へ絞ります。積込時に記録を作成し、荷下ろし時に同じ記録を完了させる運用では、運搬中のまま残る記録を一覧表示することで完了漏れを確認できます。
荷下ろし後に別担当者が確認して確定する方法もあります。ただし、すべての便に複数人承認を求めると処理が滞る場合があります。一定数量を超える移動、区分変更、締め後修正など、リスクの高い記録だけ管理者確認とする方法も考えられます。
確認者と確認日時を記録すれば、誰がどの時点で内容を確認したかを追跡できます。口頭確認だけでは、後から数量差が判明した際に経緯をたどれません。
誤入力を修正する場合は、元の値を消去せず、修正前後、修正者、修正日時、理由を残します。移動数量、移動先、土砂区分、作業時刻の変更は、在庫や帳票へ影響するため履歴管理が必要です。
削除は、記録を完全に消すのではなく取消状態として保存する方法が適しています。通常集計から除外しつつ、いつ、誰が、なぜ取り消したかを確認できるようにします。
締め後の修正には権限を設け、修正理由、影響する帳票、再出力の要否を確認します。帳票を再出力した場合は、版番号や出力日時などで最新の版を識別できるようにします。
仮置場ごとの在庫量を正しく集計する方法
仮置場ごとの在庫量は、基準となる初期数量に、その後の搬入、搬出、内部移動、補正を加減して求めます。重要なのは、何を「在庫」と呼ぶか、どの単位と基準状態で集計するかを先に定義することです。
掘削場所から仮置場へ運んだ場合は対象仮置場の在庫を増やします。仮置場から現場外へ搬出した場合は対象仮置場と、仮置場在庫の合計を減らします。
仮置場Aから仮置場Bへの内部移動では、Aを減らしBを増やします。同じ単位と基準で記録され、流出や残留などの補正要因がなければ、仮置場在庫の合計は変わりません。
ここでいう仮置場在庫の合計は、管理対象として登録した仮置場に存在する土砂の合計です。掘削前の地山、埋戻し済み土、施工済み盛土などまで含む現場全体の土量収支とは別の指標です。集計範囲を混同しないようにします。
ツール導入時にすでに土砂がある場合は初期在庫を登録します。初期値には確認日、確認方法、対象範囲、確認者を関連付けます。現地計測、既存台帳、推定値では信頼性が異なるため、根拠を残します。
運用開始後は定期的に現地数量と記録上の在庫を比較します。差が見つかった場合は、すぐに現在量を上書きせず、未登録、重複、仮置場の選択間違い、換算条件、計測範囲、土砂状態を確認します。
補正が必要な場合は通常運搬と分けて補正記録を作成します。補正前、現地確認値、差分、確認方法、理由を残せば、在庫が変化した経緯を説明できます。
日別の在庫推移を確認できれば、計画にない急増や急減も見つけやすくなります。ただし、異なる測定基準の値を同じ推移として並べないよう、算出方法も確認します。
二重計上と未計上を防ぐ照合ルール
二重計上と未計上を防ぐには、入力機能だけでなく、日次や締め時の照合ルールが必要です。
二重計上は、積込担当者と荷下ろし担当者が同じ便を別々に新規登録した場合に起こりやすくなります。積込時の便番号や移動IDを共有し、荷下ろし側は既存記録を完了させます。
同じ車両、近い時刻、同じ移動元、同じ移動先、同じ数量の記録が複数ある場合は、重複候補として表示します。ただし、短距離運搬では同条件の便が連続することがあるため、自動削除せず担当者が確認します。
未計上には、移動自体が未登録の場合と、積込記録はあるが荷下ろし完了がない場合があります。運搬中の状態で一定時間を超えた記録を一覧にすれば、完了漏れを確認できます。
日次終了時には、未完了、取消、同期遅延、締め後送信の記録を確認します。通信回復後に送信されたデータは、送信日時ではなく作業日時を基準に集計します。
車両別の報告回数と完了便数を比べる方法も有効です。報告が六便で記録が五便なら、未登録または未完了を探します。ただし、積戻しや分割荷下ろしなど、便数の数え方が異なる例外も区分して確認します。
内部移動では、同一の移動IDにひも付く移動元減少量と移動先増加量が、同じ単位・基準で一致するかを確認します。差がある場合は、入力間違い、基準の違い、残留、こぼれ、分割処理などを確認し、必要な補正を別記録で残します。
土砂区分も照合します。通常の内部移動では区分を引き継ぎ、選別、改良、混合などで区分が変わる場合は、単純移動ではなく区分変更を伴う処理として根拠を記録します。
締め時には、運搬明細の合計、仮置場別増減、仮置場在庫の合計、現場外搬出量を分けて確認します。内部移動が現場外搬出量へ加算されていないか、現場外搬出が内部移動として除外されていないかを確認します。
例外的な土砂移動を管理する方法
現場では、計画どおりの仮置場間移動だけでなく、積戻し、行き先変更、分割荷下ろし、選別、混合、自然要因による増減などが発生します。すべてを通常運搬として処理すると、数量と便数の意味が分かりにくくなります。
車両へ積んだ後に作業を中止して元の仮置場へ戻す場合、在庫量の正味増減はありませんが、車両や積込機械の作業は発生しています。積戻しなどの区分を設け、在庫と稼働実績を分けます。
運搬途中で行き先を変更した場合は、予定移動先と実績移動先を残します。変更理由を記録すれば、容量不足、動線混雑、進入路状態など、計画改善にも利用できます。
一台の車両が複数の仮置場へ分割して荷下ろしする場合は、一便に複数明細を関連付けます。車両全体の数量と各移動先数量の合計が同じ基準で一致するか確認します。
分割数量を正確に把握できない場合は推定値であることを示し、後から確定値が分かった際に変更履歴を残します。
土砂を選別して複数区分へ分ける場合は、分割前後の数量関係を記録します。複数の土砂を混合する場合は、元の識別情報と数量を新しい管理単位へ関連付けます。選別や混合によって体積が変わって見える場合は、測定基準の違いも記録します。
降雨、崩落、流出、他工区からの流入など、車両運搬を伴わずに数量が変化する場合があります。架空の運搬便として登録すると車両実績が不正確になるため、自然要因、現地確認、数量補正などの区分で管理します。
繰り返し発生する例外は選択式区分にし、個別事情だけをコメントへ記録します。自由記述だけでは集計や検索が難しくなります。
運搬土量管理ツールを選ぶときの確認事項
仮置場間移動を管理するツールは、運搬回数や数量を入力できるかだけで判断しません。
まず、移動元と移動先を一件の移動として扱えるか、または同一IDで出庫・入庫を確実に関連付けられるかを確認します。別々に独立入力するだけの仕組みでは、片側の漏れや数量不一致が起きやすくなります。
仮置場、区画、土砂区分を現場に合わせて設定できることも重要です。一方、項目を増やしすぎると入力が複雑になります。管理者が必要項目を設定し、作業者には必要な候補だけを表示できるかを確認します。
現在量から移動履歴へたどれること、未完了記録を確認できること、重複候補を表示できること、取消や修正の履歴を残せることも確認します。
通信が不安定な現場では、オフラインまたは一時保存への対応、通信回復後の同期方法、作業時刻の保持、重複送信の防止を確認します。これらは製品や契約構成によって異なるため、導入前に実機や仕様で確認する必要があります。
権限管理では、通常登録、確認、締め、締め後修正を役割ごとに分けられるかを確認します。すべての利用者が確定済み数量を自由に変更できる運用は避けます。
集計と出力では、期間、仮置場、土砂区分、車両、作業状態、算出方法で絞り込めることが重要です。合計値だけでなく、照合に必要な明細と修正履歴を確認できるようにします。
位置情報や写真を記録へ関連付けられる場合は、移動元や移動先を確認する補助資料として利用できます。ただし、位置や写真だけで数量、土砂区分、在庫更新が正しくなるわけではありません。運搬土量管理の機能と現場ルールを組み合わせる必要があります。
現場へ定着させるための導入手順
ツールを導入しても、管理単位、名称、入力時点、数量基準が曖昧であれば正しい履歴は残りません。導入前に運用ルールを整理します。
まず、使用する仮置場と区画を洗い出します。現在の場所だけでなく、工程に伴って追加する場所や短期間だけ使う場所も確認します。重複しない管理番号と名称を付け、現地表示と一致させます。
次に、土砂区分、数量単位、基準状態を決めます。体積、質量、車両換算を併用する場合は、それぞれの適用条件と換算条件を定めます。
搬入、内部移動、現場外搬出、現場外受入、積戻し、分割荷下ろし、数量補正など、作業区分ごとの入力方法と在庫への影響を明確にします。
入力担当者と確認担当者の役割も決めます。積込担当者が作成し荷下ろし担当者が完了するのか、一人が一連の作業を登録するのかによって必要な操作が異なります。
導入初期は対象経路や車両を限定して試行し、入力時間、誤選択、同期状況、確認負担を調べます。従来記録と照合し、差が出た場合は操作ミスだけでなく、名称、選択肢、入力時点、換算条件の問題も見直します。
現場教育では、操作方法だけでなく、内部移動を現場外搬出と分ける理由、移動元と移動先を同じ移動として扱う理由を説明します。目的を理解していないと、忙しい時間帯に項目を省略したり後からまとめて入力したりする可能性があります。
本格運用後は、未完了、在庫超過、重複候補、移動先変更、区分変更、締め後修正など、注意が必要な記録を重点的に確認します。
定期的に現地数量と記録上の在庫を照合し、差の原因を調べます。補正で済ませ続けるのではなく、未登録が多いのか、換算条件が合わないのか、管理単位が現場に適していないのかを見直します。
まとめ
仮置場間の土砂移動を追跡するには、移動元、移動先、土砂区分と識別情報、車両・便・作業時刻、移動数量と算出根拠、作業状態・確認者・修正履歴という六つの管理項目を関連付けます。
重要なのは、出庫と入庫を互いに無関係な記録として扱わないことです。一件の移動記録または同一IDで関連付いた記録から両方の仮置場を更新すれば、片側の入力漏れや数量の不一致を確認しやすくなります。
仮置場別在庫と仮置場在庫の合計では、内部移動の扱いが異なります。仮置場別では移動元を減らして移動先を増やし、合計では原則として相殺します。現場外搬出、現場外受入、補正などは別区分として反映します。
ここでいう在庫は、管理対象として登録した仮置場の土砂です。掘削前の地山や施工済み盛土まで含む現場全体の土量収支とは区別しなければなりません。
数量差が見つかった場合は、現在量を単純に上書きせず、未登録、重複、移動先、土砂区分、換算条件、計測範囲、基準状態を確認します。補正が必要な場合も、理由と確認方法を履歴に残します。
運搬土量管理ツールを選ぶ際は、入力項目の多さだけでなく、移動履歴、作業状態、重複候補、同期遅延、修正履歴、権限管理、明細出力を確認します。
位置情報付き写真などを補助資料として残す用途では、LRTK Phoneで取得した現場記録を利用する方法も考えられます。ただし、LRTK Phoneが仮置場間の運搬履歴や在庫を単独で管理するとは限りません。採用時は、運搬土量管理ツールや既存台帳との連携方法、必要なデータ項目、運用手順を事前に確認してください。