土質の膨張・収縮を補正する必要性
出来形体積計測では、施工前後の地形面や施工面を比較し、その形状差から掘削量、盛土量、仮置き量などを算出します。点群から作成した面、三角形網、格子面、横断面など、体積を求める方法は複数ありますが、そこで得られる値は、設定した範囲と基準面に対する幾何学的な体積です。
一方、土は掘削、積込み、運搬、仮置き、敷きならし、締固めという工程を通る間に状態が変わります。地山を掘削すると土塊の配列が崩れて空隙が増え、見かけの体積が大きくなる場合があります。ほぐした土を盛土へ使用し、転圧すると空隙が減るため、締固め後の体積はほぐし状態より小さくなるのが一般的です。ただし、変化の程度は土質、粒度、含水状態、掘削方法、破砕の程度、転圧条件などによって異なります。
ここで最も重要なのは、出来形計測で得た原体積と、別の状態へ換算した管理数量を混同しないことです。形状から求めた出来形体積は、計測時点の形を表す原値です。土量変化率、乾燥密度、含水比などを使った計算は、その原値を地山、ほぐし、締固め、乾燥質量など別の基準へ換算する処理であり、原計測値そのものの精度を高める処理ではありません。
したがって、契約数量や検査数量としてどの値を採用するかは、設計図書、特記仕様書、適用する出来形管理要領、数量算出条件、受発注者間の協議結果で確認する必要があります。一般的な係数を独自に掛けた数値を、そのまま正式な出来形数量として扱えるとは限りません。
実務では、原計測体積、計測条件、換算元の状態、換算先の状態、使用係数、補正後の管理数量を別々に保存します。この分離ができていれば、係数の見直しや土質区分の変更が生じても原データから再計算でき、数量差の原因も追跡しやすくなります。
出来形体積を扱う前に区別したい3つの土量
土質の膨張・収縮を扱う際は、地山の土量、ほぐした土量、締固め後の土量を区別します。国土交通省の施工パッケージ型積算基準でも、地山の土量を掘削すべき土量、ほぐした土量を運搬すべき土量、締固め後の土量を出来上がりの盛土量として整理し、地山に対する体積比をLとCで表しています。
地山量は、掘削前に自然地盤や既設盛土内に存在する状態の体積です。施工前地形と掘削後地形を同じ範囲で比較して求めた掘削体積は、通常、地山状態を基準とする幾何学的体積として整理します。ただし、表土、軟弱土、一般土、礫質土、岩などが混在している場合は、全体を一つの材料として扱わず、補正条件が異なる範囲に分ける必要があります。
ほぐし量は、掘削によって土の構造が崩れた状態の体積です。積込み直後、運搬中、荷下ろし後、仮置き後では、振動、自重沈下、降雨、乾燥、再締固めなどの影響を受けるため、同じ材料でも体積が一定とは限りません。仮置き山を計測する場合は、計測日と状態を明記し、掘削直後のほぐし量なのか、一定期間経過後の仮置き量なのかを区別します。
締固め後の土量は、盛土材を敷きならして転圧し、出来上がった盛土の形状を表す体積です。締固め後の体積は、材料の種類だけでなく、含水状態、施工層厚、転圧機械、転圧回数、施工速度、支持地盤の沈下などにも影響されます。
補正計算では、係数の値だけでなく換算方向を明記します。地山からほぐしへ換算するのか、ほぐしから地山へ戻すのか、地山から締固めへ換算するのかで式が変わります。帳票には、換算元、換算先、係数の定義を文章で記載し、逆向きに適用するミスを防ぎます。
補正方法1 土量変化率で地山量とほぐし量を換算する
土量変化率による換算は、施工計画、運搬計画、仮置き容量、切盛土の配分計画を検討する際に使いやすい方法です。国土交通省の積算基準では、地山の土量に対するほぐした土量の比をL、地山の土量に対する締固め後の土量の比をCとしています。
地山体積をVg、ほぐし体積をVl、締固め体積をVcとすると、関係は次のように整理できます。
L=Vl÷Vg
C=Vc÷Vg
地山体積からほぐし体積を求める場合は、次の式を使います。
Vl=Vg×L
ほぐし体積から地山体積へ戻す場合は、次の式です。
Vg=Vl÷L
地山体積から締固め体積を求める場合は、次の式を使います。
Vc=Vg×C
ほぐし体積から締固め体積へ換算する場合は、次の式で整理できます。
Vc=Vl÷L×C
たとえば、地山体積が800立方メートルで、採用したLが1.18、Cが0.92であれば、計画上のほぐし体積は944立方メートル、締固め後の換算体積は736立方メートルです。ただし、この数値は、対象材料が途中で増減せず、設定した係数が対象土質と施工条件を適切に代表しているという前提に基づく換算値です。
公表されている標準的なLやCは、積算や配分計画で使用される基準値として有用ですが、すべての現場にそのまま適合する実測保証値ではありません。土質分類が同じでも、粒度分布、細粒分、自然含水比、地山の締まり具合、掘削時の土塊寸法、岩の破砕状態などにより実際の体積比は変わります。
そのため、計画段階では適用する積算基準や設計条件に基づく値を使い、施工開始後は仮置き体積、運搬実績、盛土出来形、密度試験などと照合します。差が継続して大きい場合は、勝手に係数を変更するのではなく、土質区分、材料の出入り、計測範囲、適用条件を確認し、必要に応じて関係者と協議します。
補正方法2 締固め後の密度から完成体積を補正する
乾燥密度を使う方法は、体積だけでなく土粒子の乾燥質量を共通の基準として、地山、仮置き、盛土の材料収支を検討する方法です。これは出来形計測値を直接修正するものではなく、計測体積と代表乾燥密度から材料量を推定し、別の状態に対応する体積へ換算する方法です。
土の乾燥質量をMd、乾燥密度をρd、体積をVとすると、基本関係は次のとおりです。
Md=V×ρd
V=Md÷ρd
地山体積をVg、地山の代表乾燥密度をρdgとすれば、対象範囲の推定乾燥質量は次の式で求めます。
Md=Vg×ρdg
その材料を締固めた後の代表乾燥密度をρdcとすると、対応する締固め体積Vcは次の式になります。
Vc=Vg×ρdg÷ρdc
この計算は、対象とする土粒子の乾燥質量が管理範囲内で保存されることを前提とします。掘削土の一部を搬出した場合、選別で礫や異物を除去した場合、泥水として流出した場合、外部材料を混合した場合、表土や植物根を除去した場合は、乾燥質量の増減を別に整理しなければなりません。
密度試験値の代表性も重要です。地山の乾燥密度は層、深度、締まり具合、地下水条件によって異なり、盛土の乾燥密度は施工層、含水状態、転圧条件によって変動します。工区全体を一つの試験値で代表させると、局所的な値を広い範囲へ外挿することになります。
実務では、土質区分、施工ブロック、施工層、施工時期などで体積を分け、対応する密度値を設定します。各ブロックについて体積と乾燥密度から乾燥質量を求め、最後に合計すると、材料や施工条件の違いを反映しやすくなります。
なお、乾燥密度による材料収支の計算は、締固め品質の合否判定を代替しません。締固め度、空気間隙率、飽和度、転圧回数など、工事で定められた品質管理方法は別に実施し、その結果と出来形体積を関連付けて確認します。
補正方法3 含水比と乾燥質量を使って土量を補正する
含水比を使う方法は、湿潤質量や湿潤密度に含まれる水分の影響を分離し、土粒子の乾燥質量を基準に比較する方法です。降雨後の掘削土、散水した盛土材、長期仮置きで乾燥した材料など、計量時点によって水分状態が異なる場合に必要となります。
土の含水比は、土中の水の質量を土粒子の乾燥質量で割った比として扱います。土の分野では通常、百分率で表示します。([地盤工学会][1])
湿潤質量をM、乾燥質量をMd、含水比を小数表示した値をwとすると、次の関係があります。
M=Md×(1+w)
Md=M÷(1+w)
湿潤密度をρt、乾燥密度をρdとすると、同じ体積を基準に次のように換算できます。
ρd=ρt÷(1+w)
たとえば、同じ土粒子量でも降雨によって水分が増えれば湿潤質量は増加し、乾燥が進めば湿潤質量は減少します。運搬車両の計量記録をそのまま土量へ換算すると、土粒子量の変化と水分量の変化を区別できません。各時点の含水比を用いて乾燥質量へ換算し、同じ基準で比較する必要があります。
含水比20パーセントを式へ入力する場合、wは0.20です。20をそのまま代入すると結果が大きく誤ります。帳票では、百分率と小数のどちらを入力するかを固定し、セルの表示形式だけでなく計算式の内部単位も確認します。
試料の代表性にも注意します。仮置き山は表面と内部で含水状態が異なりやすく、降雨直後、散水直後、長期乾燥後では水分分布も変わります。一か所の表層試料だけを全量へ適用せず、土質、深さ、位置、採取時刻を考慮して試料を採取します。
含水比を補正しても、乾燥収縮、吸水による構造変化、自重圧密、泥濘化、粒子流出などによる体積変化をすべて説明できるわけではありません。含水比補正は水分質量を分離する手続きとして使い、体積変化については実測形状、密度、施工履歴と合わせて評価します。
補正方法4 試験施工と実測結果から現場係数を設定する
試験施工や施工初期の実測から現場係数を求める方法は、一般的な土量変化率だけでは現場条件を十分に表せない場合に有効です。対象材料を限定し、地山、ほぐし、締固めの各状態を計測して、実際の体積比を確認します。
まず、試験対象範囲の施工前地形を計測します。掘削後も同じ座標系、標高基準、境界線、除外条件で計測し、施工前後の差から地山体積Vgを求めます。次に、その掘削土を他材料と混ぜずに管理した仮置き場所へ移し、仮置き前の底面と仮置き後の表面からほぐし体積Vlを求めます。
現場のほぐし倍率は次の式です。
L現場=Vl÷Vg
同じ材料を試験盛土に使用し、締固め後の対象体積Vcを同じ境界条件で計測できれば、地山から締固め状態への現場係数は次の式で求められます。
C現場=Vc÷Vg
この方法で最も重要なのは、対象材料の追跡です。途中で一部を別工区へ搬出したり、外部材料を混合したり、選別によって材料を除去したりすると、単純な体積比では係数を求められません。材料の出入りがある場合は、搬出入記録、計量記録、乾燥質量換算を使って収支を整理します。
仮置き底面を推定すると、底面誤差が広い面積に累積します。可能な限り仮置き前に地面を計測し、仮置き後も同一の範囲線で体積を算出します。締固め側では、材料、含水比、敷きならし厚、転圧機械、転圧回数、施工速度、施工時期を記録します。
一回の試験値を工事全体へ固定的に適用することも避けます。掘削深度、土質、含水状態、破砕方法、転圧条件が変わった場合は、係数の適用範囲を見直します。複数の試験区画で係数を求め、ばらつきと再現性を確認したうえで、適用する工区や期間を定めます。
現場係数の採用が契約数量や検査数量に影響する場合は、算出方法と適用範囲について事前に協議します。実測から求めた係数であっても、受発注者間の合意や設計条件を経ずに公式数量へ置き換えられるとは限りません。
4つの補正方法を使い分ける判断基準
4つの方法は、目的と取得できるデータに応じて使い分けます。どれか一つを選べばすべての数量問題が解決するわけではありません。
施工計画の初期段階で、運搬量や仮置き容量、切盛配分を概算する場合は、土量変化率が使いやすい方法です。適用する積算基準や設計条件に基づいてLとCを設定し、施工実績が得られた段階で妥当性を確認します。
盛土への転用量や材料収支を、土粒子量の観点から検討する場合は、乾燥密度による換算が適しています。ただし、地山側と盛土側の密度試験が対象範囲を代表していること、材料の搬出入や選別が記録されていることが前提です。
重量記録を利用し、時期によって含水状態が大きく変わる場合は、含水比を使って乾燥質量へ換算します。含水比補正は水分の増減を分離するための方法であり、形状計測や品質管理の代わりにはなりません。
一般値と実績の差が大きい現場や、材料と施工条件を限定して追跡できる現場では、試験施工や初期実績から現場係数を求める方法が有効です。ただし、係数の適用範囲を明確にし、条件が変化したときは再確認します。
実務では、土量変化率で初期計画を作り、施工中に体積計測、密度、含水比、運搬実績を使って検証する組合せが現実的です。一つの数値へ無理に合わせるのではなく、異なる方法の差がどこから生じたかを説明できる状態を目指します。
出来形体積計測へ補正を組み込む実務手順
補正を組み込む際は、最初に原体積の計測条件を確定します。座標系、標高基準、距離単位、対象範囲、控除範囲、基準面、施工前後の計測日を確認します。施工前後で範囲線が異なる、片方だけ構造物を控除している、異なる標高基準を使っているといった状態では、土質補正以前に体積差が生じます。
点群から面を作成する場合は、外れ値除去、不要物除去、欠測部の扱い、三角形生成、格子間隔、平滑化、境界処理を統一します。適用する3次元出来形管理要領は改定されるため、工事の適用時期と対象工種に対応する最新版、設計図書、監督職員との協議内容を確認します。国土交通省は令和8年3月改定の3次元計測技術を用いた出来形管理要領を掲載しています。([国土交通省][2])
原体積を確定した後、対象範囲を土質と材料の取扱い単位で区分します。表土、粘性土、砂質土、礫質土、岩、改良土など、係数や密度条件が異なる範囲を分けます。区分を細かくしすぎると管理できなくなるため、施工記録と対応付けられる単位にします。
次に、必要な管理数量を決めます。運搬計画ならほぐし体積、盛土の出来上がり量なら締固め後体積、材料収支なら乾燥質量というように、換算先の状態を明確にします。換算の目的が決まっていないまま係数を掛けると、異なる状態の数量を同じ土量として比較することになります。
計算帳票には、工区、土質、原体積、換算元、換算先、L、C、密度、含水比、材料の増減、補正後数量を分けて記録します。数値の出典、試験日、適用期間、単位、丸め規則も残します。
計算後は、運搬記録、仮置き体積、盛土出来形、施工面積、施工層厚、密度試験、材料搬出入記録と照合します。差が大きい場合は、最初に計測範囲と基準面、次に材料の出入り、その後に土質区分、密度、含水比、係数の順で確認します。収支を合わせるためだけに係数を動かすと、計測や施工記録の問題を見逃します。
土量収支は、同じ基準日で整理します。掘削量、仮置き量、運搬量、盛土量の計測時点が異なる場合は、施工途中の土、運搬中の土、未転圧の土を別項目にし、時点差を調整します。
土質が混在する現場での補正方法
実際の現場では、一種類の土質が均一に分布しているとは限りません。表層に有機物を含む土があり、その下に粘性土、砂質土、礫質土、風化岩が続く場合があります。同じ工区でも、掘削深度や位置によって材料の性質が変わります。
複数土質が混在する場合は、可能な範囲で土質区分ごとに原体積を算出し、それぞれの係数や代表密度を適用してから合計します。工区全体へ一つの係数を掛けると、土質構成比の変化が結果へ直接影響します。
たとえば、地山体積が合計1,000立方メートルで、砂質土600立方メートル、粘性土300立方メートル、礫質土100立方メートルに区分できる場合は、それぞれを個別に換算します。平均係数を使う場合は、各土質の地山体積を重みとする加重平均として算出し、構成比が変わった工区にはそのまま流用しません。
土質境界が明確でない場合は、施工前の地質調査だけで確定せず、掘削面の観察、施工写真、試料採取、日報、搬出先、仮置き場所、転用先を組み合わせて区分します。推定境界と確認済み境界を分けて記録すると、後の見直しがしやすくなります。
仮置き段階で異なる材料を混合すると、地山時の区分と対応させにくくなります。補正精度を確保するには、掘削時から土質別に仮置き場所を分け、区画境界と底面を計測できるようにします。
複数材料を混合して盛土に使用する場合は、混合前の係数を単純に適用するのではなく、混合後材料として代表密度、含水状態、締固め特性を確認します。必要に応じて試験施工を行い、混合割合と施工条件に対応する管理値を設定します。
補正計算で起こりやすい失敗
最も多い失敗は、係数の向きを逆に使うことです。地山からほぐしへのLを、ほぐしから地山へ戻す際にも掛けると数量が過大になります。換算元と換算先を式の前に文章で記載し、掛け算か割り算かを確認します。
次に多いのが、原計測体積と補正後数量の上書きです。補正後の値だけを残すと、係数や区分を変更したときに再計算できません。原体積は固定し、補正後数量は別列、別ファイル、別バージョンで管理します。
含水比の百分率と小数の混同にも注意します。20パーセントは0.20として計算します。密度についても、キログラム毎立方メートル、トン毎立方メートル、メガグラム毎立方メートルなどを混在させないよう、単位を含めて保存します。
土質名だけで係数を決めることも危険です。同じ砂質土や粘性土でも、細粒分、含水状態、締まり具合、粒径、掘削方法で体積変化は異なります。係数の出典と適用条件を確認し、土質分類の根拠を残します。
仮置き山の底面を推定だけで作ると、広い面積にわたる小さな高さ誤差が大きな体積差になります。仮置き前の底面計測を施工計画へ組み込み、やむを得ず推定する場合は推定方法と不確かさを明記します。
施工前後で異なる面生成条件を使うことも失敗につながります。片方だけ強く平滑化したり、欠測部を広く補間したりすると、土質の膨張や収縮とは無関係な差が生じます。
計算途中で数値を丸めすぎると、工区数が多い場合に合計差が増えます。途中計算は必要な桁を保持し、最終帳票で規定の丸めを行います。丸め方法と表示桁を統一します。
補正結果の妥当性を確認する方法
補正後数量は、数式が正しいだけでは妥当と判断できません。別の計測方法や施工記録と比較し、差の方向と大きさを確認します。
掘削地山量は、施工前後の面差だけでなく、横断面、設計断面、施工日報、掘削範囲の写真と照合します。局所的な差が大きい場合は、施工前地形の欠測、植生や重機の残存点、境界線、基準面を確認します。
ほぐし量は、仮置き山の実測体積、運搬回数、積載状況、計量記録と比較します。ただし、荷台の公称容量に回数を掛けた数量は、山積みの形状、空隙、付着土、運搬中の沈下によって変動するため、単独で確定値にはせず、傾向確認に使います。
締固め後体積は、盛土の出来形体積、施工面積、仕上がり層厚、材料搬入量、密度試験、沈下記録と照合します。施工面積と層厚から求めた値との差が大きい場合は、法面、余盛り、沈下、層境界、施工範囲を確認します。
乾燥質量による収支では、掘削、仮置き、盛土の各体積へ対応する代表乾燥密度を掛けます。外部搬出、外部搬入、選別除去、流出などを加減しても差が大きい場合は、密度と含水比の代表性、材料の追跡、計測時点を見直します。
全体合計だけでなく、工区、施工日、土質、施工層、仮置き区画ごとに比較します。全体では差が小さくても、別々の工区の過大と過小が相殺されている場合があります。
時間経過も考慮します。仮置き土は自重沈下、降雨、乾燥、再取扱いによって形状が変わり、盛土は支持地盤の沈下や施工継続によって計測面が変わる場合があります。比較するデータには、計測日時と施工状態を付けます。
検査や協議に備えて保存する記録
検査や数量協議では、補正後の数値だけでなく、原計測から計算までの経路を説明できることが重要です。
施工前後の原計測データとして、点群、横断面、地表面、範囲線、基準面を保存します。座標系、標高基準、計測日、使用機器、計測方法、対象範囲、除外範囲、単位も記録します。
体積計算の処理条件として、外れ値除去、不要物除去、欠測部の取扱い、三角形生成、格子間隔、平滑化、境界編集、底面設定を保存します。同じ点群でも処理条件が変われば体積は変わります。
土質区分については、適用範囲と判断根拠を残します。地質調査、現場観察、施工写真、試料採取位置、日報、搬出入記録を、体積区分と対応付けます。推定した境界は、実測や観察で確認した境界と区別します。
補正係数は、数値だけでなく、換算元、換算先、適用土質、適用工区、適用期間、出典、採用理由を保存します。標準値、試験施工値、実績から更新した値を区別し、変更履歴を残します。
密度と含水比は、試験位置、深さ、施工層、土質、採取日、採取時刻、試験方法、結果を記録します。複数値から代表値を設定した場合は、平均方法、除外値、除外理由を残します。
計算帳票には、原体積、係数、密度、含水比、材料増減、補正後数量、使用式、単位、丸め方法を並べます。修正時は旧版を上書きせず、版番号と修正理由を付けて保存します。
契約数量や検査数量としてどの値を使うかも記録します。完成形状の幾何学的体積を検査対象とし、換算値を施工計画や材料収支の資料として扱う場合もあれば、設計図書で定められた換算条件を数量算出に使用する場合もあります。工事ごとの条件を優先します。
モバイル端末を活用して計測と補正を効率化する考え方
土質補正の精度を高めるには、補正式だけでなく、土が移動したり混合したりする前に必要な形状を記録する運用が重要です。施工前、掘削後、仮置き前、仮置き後、盛土施工前、締固め後という節目をあらかじめ計測計画へ組み込みます。
現場で使用できるモバイル型の3次元計測機器や測量機器を活用すると、計測時期を逃しにくくなります。ただし、端末を使用しただけで出来形管理要領への適合が保証されるわけではありません。対象工種に必要な計測精度、精度確認、標定方法、座標系、計測密度、成果品形式などを確認し、工事条件に適合する方法で使用します。
計測データには、日時、工区、土質区分、施工状態、計測者を関連付けます。ファイル名だけに依存せず、共通の台帳やフォルダ規則を使い、どのデータが地山、ほぐし、締固めのどの状態を表すのかを明確にします。
同じ座標系と標高基準で計測を蓄積すれば、施工段階ごとの面を重ねて比較しやすくなります。仮置き前の底面、土質境界、材料区画も記録しておくと、係数の見直しや再計算に対応できます。
現場で算出した体積は原計測値として保存し、土量変化率、密度、含水比による換算は別の帳票で行います。計測機器内の体積表示だけを正式数量として転記せず、対象範囲、基準面、処理条件を確認します。
小まめな計測によって、月末に過去の地形を推定する場面を減らせます。土が移動する前、他材料と混ざる前、降雨や沈下で形状が変わる前に記録できれば、土量収支の根拠を残しやすくなります。
まとめ
土質の膨張・収縮を出来形体積へ反映する際は、地山、ほぐし、締固めの三つの状態を区別し、換算元と換算先を明確にします。
土量変化率による方法では、地山に対するほぐし体積の比Lと、地山に対する締固め後体積の比Cを使います。乾燥密度による方法では、体積と密度から乾燥質量を求め、別の状態に対応する体積へ換算します。含水比による方法では、湿潤質量や湿潤密度から水分の影響を分離します。試験施工による方法では、対象材料を追跡し、地山、仮置き、締固めの実測値から現場係数を求めます。
いずれの方法も、出来形計測で得た幾何学的体積を自動的に正しい正式数量へ変えるものではありません。契約数量や検査数量への適用は、設計図書、適用要領、数量算出条件、協議結果を確認します。
原計測体積は上書きせず、補正係数、密度、含水比、材料の増減、補正後数量と分けて保存します。施工前後の範囲、座標系、標高基準、基準面、面生成条件を揃えることが、土質補正より先に確認すべき基本です。
施工の節目ごとに形状を計測し、土質区分と材料の移動を記録すれば、補正結果の妥当性を複数の資料から確認できます。出来形体積計測と土質管理を分けて記録しながら関連付けることが、説明可能な数量管理につながります。