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斜面崩落後の出来形体積計測で流出量を求める4ステップ

斜面崩落後に流出量を把握する目的

斜面崩落が発生した現場では、崩落した土砂や岩塊がどの程度移動し、どこに堆積したのかを早期に把握する必要があります。数量は、応急復旧に必要な掘削や排土、運搬計画、仮置き場の確保、排水施設の復旧、恒久対策の検討などに用いられます。

従来の横断測量と平均断面法は、適切な測線配置と断面間隔を設定すれば有効な数量算定方法です。一方、崩落地には急な崩落壁、不規則な窪み、転石、倒木、流下溝、偏った堆積などが生じやすく、少数の代表断面だけでは局所的な変化を捉えにくい場合があります。

三次元計測では、崩落前後の地表面を同一の座標系と高さ基準で重ね、対象範囲内の面間差を積算します。崩落後に低くなった範囲は欠損側、高くなった範囲は堆積側として整理できます。国土交通省の出来形管理要領でも、三次元計測結果を面的な施工管理へ利用する際は、計測精度、計測密度、座標、面の作成条件などを管理する考え方が示されています。([国土交通省][1])

ただし、本記事でいう出来形体積計測は、三次元地形差分による災害後の数量算定を便宜上表したものです。公共工事の監督・検査で用いる出来形管理と常に同義ではありません。契約数量、災害査定、設計変更、出来形検査などへ利用する場合は、発注者の基準、適用要領、協議内容に従う必要があります。

三次元計測で直接得られるのは、設定した二つの面の間にある幾何学的な体積差です。土砂の重量、ダンプトラックの積載容積、仮置き場での見かけ体積と必ず一致するわけではありません。地山から崩れた土砂はほぐれ、空隙や含水状態が変わり、運搬や転圧によって再び体積が変化します。土工数量の基準でも、地山、ほぐした状態、締め固めた状態を区別して土量変化を扱います。([CBRシステム][2])

したがって、成果では単に流出量と書くのではなく、崩落源の欠損体積、調査範囲内の堆積体積、道路上の撤去対象体積、調査範囲外への推定流出体積など、数量の意味を明確にします。本記事では、安全確認から結果の検証までを4ステップに分け、実務で生じやすい誤解や二重計上を防ぐ考え方を解説します。

出来形体積計測を始める前の安全確認

斜面崩落後の現場では、計測精度よりも作業員の安全を優先します。崩落が停止しているように見えても、法肩の亀裂、浮石、倒木、不安定な土塊、湧水、流路の変化などが残っている可能性があります。降雨、融雪、余震、重機振動などをきっかけに二次的な崩落や落石が発生することもあります。

立入りの可否を計測担当者だけで判断してはいけません。現場責任者、安全管理担当者、発注者、必要に応じて地質や斜面の専門技術者と協議し、危険区域、監視方法、退避経路、連絡手段、作業中止条件、再開条件を決めます。国土交通省の安全施工技術指針でも、災害の発生が予想される場合は作業を中止し、作業員を退避させ、必要な連絡と安全対策を行うことが示されています。([国土交通省][3])

崩落壁の直下、亀裂の下方、落石経路、流水が集中する谷部などには、安全確認がないまま近づかないようにします。対象へ接近できない場合は、安全な離隔を確保した地上計測、遠隔撮影、上空からの写真測量などを検討します。危険区域へ基準点や標定点を置くために立ち入ることは避け、安定した場所から成立する計測計画へ変更します。

無人航空機を使用する場合は、斜面から離れて操作できることが利点になる一方、航空法令、飛行区域、許可や承認の要否、第三者立入り管理、気象条件、通信状況、緊急時対応を確認する必要があります。国土地理院も、公共測量で無人航空機を使用するときは、航空法令や飛行ルールを守り、計画機関と作業機関が協議して安全を確保するよう求めています。([地理院地図][4])

応急排土、通行確保、排水処理などが並行する現場では、計測範囲と重機作業範囲を分けます。計測中に地形が変えられると、どの時点の地形を表すデータか分からなくなります。施工担当者と時間帯を調整し、作業前、排土中、排土後などの時点を明確にします。

斜面状態が変化しやすい場合は、一度で全域を取得しようとせず、初動の全景記録と安全対策後の詳細計測を分けます。複数時点のデータを統合するときは、その間に再崩落、侵食、排土、盛替えがなかったかを確認し、異なる状態を一つの地形面へ混在させないことが重要です。

流出量と崩落量と堆積量の違い

斜面崩落後の数量計算では、最初に用語を定義します。流出量という言葉は、崩落源から移動した総量を指す場合と、設定した調査範囲の外へ出た量を指す場合があり、現場によって意味が異なります。

崩落量は、一般に崩落源から失われた量を表します。崩落前面と崩落後面を比較し、崩落後面が低い部分の体積を積算した値は、幾何学的には欠損体積です。侵食や追加崩落が同じ期間に生じている場合、それらも欠損側へ含まれるため、発生過程を分けて評価したいときは計測時点を細かく区切ります。

堆積量は、移動した土砂や岩塊が道路、平場、水路、斜面途中、法尻などにたまった範囲の体積です。堆積前面と堆積後面を比較し、地表面が高くなった部分を積算します。撤去工事の計画では堆積体積が有用ですが、樹木、流木、大型岩塊、水分を含むかどうかで数量の意味が変わります。

崩落源から移動した総量を把握したい場合は、欠損体積を主な指標にします。調査範囲外へ出た量を検討する場合は、欠損側と範囲内堆積側の関係を確認します。しかし、欠損体積から堆積体積を単純に差し引いた値を、確定した範囲外流出量と断定することはできません。

欠損側は地山状態、堆積側はほぐれた状態であることが多く、体積状態が異なります。さらに、細粒分の流亡、流水中への混入、計測範囲内の未確認堆積、倒木や岩塊の混在、基準面の誤差、欠測補間なども差に影響します。差し引き値を示す場合は、同一状態へ換算していない参考値なのか、変化率などを別途設定した推定値なのかを明記します。

重量へ換算するときは、密度や含水状態の根拠が必要です。一般値を掛けただけで確定重量とはせず、土質試験、搬出伝票、積載管理、仮置き場計測などの別資料と照合します。

ステップ1 崩落前の地形と計測範囲を確定する

第1ステップは、比較基準となる崩落前地形と体積計算範囲を確定することです。崩落後面を高密度で取得しても、崩落前面が実態と合っていなければ、算出量は正しく解釈できません。

崩落前の資料として、過去の三次元点群、施工完了時の出来形データ、現況測量、設計地形、横断図、等高線、定期点検記録、災害前写真などを収集します。取得日が古い資料は、その後の切土、盛土、補修、伐採、侵食、道路拡幅、排水工事などの履歴を確認します。

過去の実測面がある場合も、座標参照系、平面直角座標系の系番号、高さの種類、使用単位、原点、ジオイドや標高補正の扱いを確認します。崩落前後のデータで高さ基準が異なると、対象範囲全体に一定の段差が生じます。

急斜面では、わずかな水平ずれが大きな面間差として現れます。崩落の影響を受けていない道路、構造物、岩盤露頭、安定地盤などを複数箇所選び、前後データの平面位置と高さが整合するかを確認します。位置合わせを行う場合も、崩落部を一致させるのではなく、変化していない範囲を使います。

設計面を基準にする場合は、実際の崩落前地形ではなく計画上の形状であることを明記します。施工誤差、経年変化、侵食、植生、補修履歴は設計面に含まれません。成果名も、崩落前実測面との差ではなく、設計面と崩落後面との差であることが分かる表現にします。

次に、目的に合わせて計算範囲を分けます。崩落源の欠損範囲、流下経路、斜面途中の堆積範囲、道路上の撤去対象範囲、水路内の堆積範囲、仮置き場などを同じ図面上に整理します。

境界線は、可能な限り地形変化が及んでいない場所へ置きます。法肩、未崩落部、道路縁、既設構造物、尾根、谷、排水施設など、前後データで位置を確認できる要素を利用します。変化域の途中に境界を置く必要がある場合は、境界を動かした感度分析を行い、数量がどの程度変わるかを確認します。

崩落後に重機作業が始まっている場合は、数量の基準時点を決めます。崩落直後、初回排土後、通行確保後、仮置き後では地形が異なります。計測日時と施工履歴を対応させ、何を表す数量なのかを明確にします。

ステップ2 崩落後の地形を三次元計測する

第2ステップでは、崩落後の地形を三次元計測します。目的は見栄えのよい三次元表示を作ることではなく、体積計算に必要な連続性と精度を持つ地表面を取得することです。

崩落地には、急な崩落壁、深い溝、張り出した岩、転石、倒木、流木、流水跡などがあり、一方向からの計測では死角が生じます。地上計測では、正面だけでなく左右や異なる高さから取得し、観測データ間の重複を確保します。

安全な距離を優先し、崩落壁の直下へ近づいて細部を取得しようとしないことが重要です。遠距離になるほど点間隔や測距精度が変わるため、使用機器の性能、対象までの距離、必要な解像度を確認して観測位置を決めます。

写真から三次元化する場合は、真上からの画像だけでは急斜面や垂直面を十分に再現できないことがあります。斜面を斜めから捉えた画像を組み合わせ、同じ部分が複数方向から写るようにします。光量不足、強い影、反射、水面、単調な地肌は形状復元を不安定にすることがあるため、現地で再現状況を確認します。

計測範囲は、体積計算境界より外側まで広げます。未変化部を含めることで、座標の整合、位置ずれ、面の傾き、標高差を検証しやすくなります。崩落部だけを切り取って取得すると、基準となる安定領域が不足します。

基準に使用する点は、堆積土砂、亀裂付近、仮設材、移動する車両や構造物を避け、安定した場所へ配置します。計測方法に応じて、位置決定に使う点とは別に独立した検証点を確保し、処理後のデータを確認します。

点密度は、崩落規模と利用目的に合わせます。広域崩落の初動概算と、道路上の薄い堆積を算定する場合では必要条件が異なります。点密度を高くすれば自動的に正確になるわけではなく、崩落前面の品質、死角、表面の粗さ、点群処理が結果を左右します。

現地では、欠測、極端に粗い範囲、位置が不安定な範囲を確認します。崩落壁、法肩、法尻、構造物際、堆積先端、水路など、体積へ影響しやすい場所を重点的に点検し、安全に追加できる範囲だけ再計測します。

計測日時、天候、降雨履歴、地表の乾湿、流水、水面、植生、重機の稼働状況を記録します。複数日にわたる場合は、その間の再崩落、排土、押土、洗掘の有無を確認し、異なる時点の地形を不用意に統合しないようにします。

ステップ3 点群を処理して流出部と堆積部を分ける

第3ステップでは、生の点群を体積計算に適した状態へ整えます。点群には孤立点、反射異常、作業員、車両、重機、仮設材、植生、飛散物などが含まれることがあります。

最初に、明らかな孤立点や空中の誤点を除去します。次に、計測時だけ存在した作業員や車両などを除きます。ただし、対象を消した後に地表点が残っていなければ、その範囲は実測された地表ではありません。大きな穴を自動補間で埋める前に、欠測範囲として把握します。

樹木、草、倒木、枝葉の処理は前後データで条件をそろえます。崩落前データが植生表面を含み、崩落後だけ裸地へ分類されていると、植生高が欠損体積へ混入します。過去データの処理状態が分からない場合は、影響範囲を示して不確かさとして扱います。

急斜面では、平坦地向けの自動地表分類が崩落壁や急勾配面を除去することがあります。分類結果を平面表示だけでなく、複数方向の断面や三次元表示で確認し、必要な地形が失われていないかを点検します。

転石や岩塊を含めるかは目的で決めます。現況の堆積体積を求める場合は地表面の一部として扱うことがあります。土砂だけの処分量を求める場合は、岩塊を別区分にするか、含む数量と除く数量を分けます。

点群から格子面や三角網を作成するときは、面の細かさと補間条件を記録します。大きな死角、張り出しの裏側、倒木下、水面下、構造物際を自動的に閉じると、観測していない形状を作ることになります。再計測できない場合は推定面の根拠と範囲を示します。

前後面を重ねたら、未変化部の差を確認します。全体に一定の段差がある場合は高さ基準、斜面方向に帯状の差がある場合は平面ずれや面の作り方、局所的な差がある場合は植生や一時物を疑います。

位置調整は、変化した崩落部を基準に行いません。道路、構造物、安定地盤などの未変化部で確認し、本来の崩落差まで消していないかを検証します。座標を持つデータを任意に変形して合わせる場合は、補正方法と補正量を記録し、独立した点で妥当性を確認します。

面間差を計算し、崩落後面が低い範囲を欠損側、高い範囲を堆積側として分けます。正負の符号は使用ソフトによって異なるため、色分け表示と代表断面で方向を確認します。

微小な差を全て崩落や堆積として集計すると、計測誤差、表面粗さ、植生差が含まれます。未変化部の差の分布を確認し、しきい値を設定する場合は根拠を記録します。しきい値を大きくすると薄い堆積を除外し、小さくするとノイズを取り込みやすくなります。

崩落源、流下経路、堆積域の境界は、差分表示だけで決めず、現地写真、植生の切れ目、土砂の色、流下痕、付着痕、構造物との位置関係も照合します。

ステップ4 体積差を計算して結果を検証する

第4ステップでは、処理した崩落前面と崩落後面から体積差を計算します。格子ごとの高さ差を積算する方法、三角網同士を比較する方法、基準面に対する体積を求める方法などがあります。

どの方法でも、計算範囲、格子や三角網の細かさ、穴埋め、外挿、しきい値、面の端部処理によって結果が変わります。成果には使用した面、計算方法、面の設定、除外範囲を残します。

崩落源では欠損体積を、斜面途中や道路では堆積体積を別々に集計します。同じ区画内に欠損と堆積が混在する場合、正負を相殺した純差だけを示すと、実際の変化量が小さく見えることがあります。欠損総量、堆積総量、純差を区別します。

崩落源から移動した量を把握する目的では欠損体積を主値とし、道路上の撤去計画では堆積体積を主値とします。調査範囲外への流出を検討するときは、欠損側と範囲内堆積側を比較しますが、体積状態の違いと未計測範囲を考慮します。

差し引き結果が負になる場合、直ちに土砂が増えたと結論づけることはできません。堆積側のほぐれ、外部からの流入、基準面誤差、植生や倒木、計測時点の違いなどを確認します。差し引き値は条件付きの推定値として示し、確定値のような表現を避けます。

結果の妥当性は、複数の方法で検証します。まず未変化部の面間差を確認します。次に、計算境界を少し動かした場合、面の細かさを変えた場合、しきい値を変えた場合の数量差を比較します。

代表横断面を作り、断面法の概算と照合することも有効です。三次元法と断面法は地形の表現方法が異なるため完全一致は求めませんが、大きく異なる場合は、断面位置、境界、基準面、単位、符号、補間条件を再確認します。

搬出記録や仮置き場計測も参考になります。ただし、積載状態、荷こぼれ、含水状態、仮置き時の締まり、残土混入などで見かけ体積は変わります。数量が一致しないときは、同じ時点、同じ材料、同じ体積状態を比較しているかを確認します。

表示桁は、計測条件と不確かさに合わせます。基準面が推定であるのに過度に細かな小数まで示すと、実際以上の確度を与えます。必要に応じて代表値だけでなく、条件変更による変動幅も併記します。

崩落前の計測データがない場合の対応

崩落前の三次元データがない場合は、設計資料、残存地形、過去写真などから基準面を推定します。この方法で得られる数量は、崩落前実測面との差ではなく、仮定した復元面との差です。

完成図、設計図、横断図、等高線、点検記録、工事写真を確認し、現地に残る法肩、法尻、小段、排水溝、擁壁、道路縁などを手掛かりに位置を合わせます。

造成法面で計画勾配が明確な場合は、残存する法肩と法尻から計画面を復元できます。ただし、施工後の形状が設計と一致していた保証はなく、経年侵食や補修もあります。成果では設計復元面を用いた参考体積と表現します。

左右に未崩落部が残る場合は、その形状を崩落範囲へ延長する方法があります。左右の勾配、小段、地質、排水形状が連続しているかを確認します。自然斜面では単純な直線や平面で結ぶと、元の谷地形や尾根地形を失うことがあります。

災害前写真は輪郭や構造物との関係を確認する補助資料になりますが、一枚の写真だけから精密な三次元地形を復元できるとは限りません。撮影位置、画角、レンズ歪み、対象までの距離が不明な写真は、定量復元よりも境界確認に使います。

複数の復元方法が考えられる場合は、計画勾配面、左右残存地形の補間面、横断図からの復元面などで体積を比較します。結果の幅を確認し、採用面の根拠、使用資料、推定範囲を関係者と共有します。

流出量の二重計上を防ぐ考え方

崩落源で失われた土砂は欠損体積として現れ、同じ土砂が斜面下部では堆積体積として現れます。欠損体積と堆積体積を単純に合計して総流出量とすると、同じ移動土砂を二度数える可能性があります。

崩落源から移動した総量を示す場合は欠損体積を主値にし、堆積場所ごとの体積は所在別の内訳または撤去対象量として別に管理します。範囲外流出量を推定する場合は、同じ体積状態へ換算しているかを確認したうえで収支を検討します。

道路上の土砂を撤去して仮置き場へ移した場合、道路上の初期堆積体積と仮置き後の体積を合計してはいけません。両者は異なる時点にある同じ材料かもしれません。崩落直後、排土中、排土後、仮置き後という時点を分け、移動履歴を記録します。

計算区画の重なりにも注意します。隣接区画の境界が重なると二重計上になり、隙間があると集計漏れになります。共通境界で分割し、区画別体積の合計と全体体積が整合するかを確認します。

外部から搬入した土砂、応急復旧材、砕石、土のうなどが堆積域に混在する場合は、崩落土砂と分けます。土砂収支図を作り、発生場所、途中堆積、撤去場所、仮置き場所、範囲外への流出方向を時系列で整理すると、二重計上を防ぎやすくなります。

出来形体積計測の誤差を抑えるポイント

大きな誤差要因の一つは前後データの位置ずれです。急斜面では小さな水平ずれが大きな高さ差に変わるため、未変化部で平面と高さを確認します。

点密度不足や死角は、深い溝や崩落壁を平滑化し、欠損体積を過小にすることがあります。一方、過度に細かな面は、草、小石、表面粗さ、計測ノイズまで拾う可能性があります。目的に合う面の細かさを選び、設定を変えた数量差を確認します。

前後の植生条件が異なる場合は、地表面ではなく葉や枝の高さ差を計算してしまうことがあります。植生下の地表を取得できていない範囲は、無理に確定面へせず、不確かさを示します。

水面下や濁水下の地表が取得できない計測方法では、水面を地盤面として扱わないようにします。水が引いた後の追加計測、別方式の測深、既存断面などを検討し、未計測範囲を表示します。

単位や縮尺の設定ミスは体積に大きく影響します。座標と高さが同じ単位か、変換時に倍率が入っていないか、既知距離や構造物寸法がデータ上で一致するかを確認します。

穴埋めや平滑化を強くすると、深い窪みや急な崩落壁が失われます。処理前後の断面を比較し、補間面が現地の地形として妥当かを確認します。

誤差を完全にゼロにすることは困難です。重要なのは、位置、基準面、点密度、植生、水面、補間、境界などの影響を分け、条件変更による数量の変動を把握することです。

再計測できる記録と成果の残し方

体積値だけでは、第三者が結果を再現できません。元データ、基準面、処理条件、計算範囲、検証結果を一体で保存します。

現場記録には、計測目的、日時、天候、降雨履歴、地表状態、立入制限、監視体制、作業中止条件、重機作業、計測範囲、基準点、検証点を残します。

崩落前面については、資料名、取得日、座標系、高さ基準、単位、加工内容、実測面か設計面か推定面かを記録します。推定面の場合は、使用した残存地形、断面、写真、補間方法を残します。

崩落後データについては、観測位置、機器、取得範囲、欠測範囲、追加計測、複数時点の統合有無を記録します。無人航空機を使った場合は、飛行日、飛行範囲、画像条件、標定や検証の情報も整理します。

点群処理では、孤立点除去、植生処理、地表分類、車両や重機の除去、欠測補間、平滑化、格子幅や三角網設定を記録します。処理条件を変えた場合は、変更前後の数量も保存します。

体積計算では、使用面、境界線、除外範囲、しきい値、欠損体積、堆積体積、純差、表示桁を記録します。正負符号の定義も明記します。

元の観測データは上書きせず、位置合わせ後、不要点除去後、地表面作成後、差分作成後、正式成果という段階で分けます。ファイル名には現場名、区画、日付、処理段階、版番号を含めます。

成果図には、崩落源、堆積域、計算境界、未計測部、推定面、除外範囲を表示します。数量名は、崩落前実測面との差による欠損体積、設計面との差による参考体積、道路上の堆積体積など、比較対象が分かる名称にします。

斜面崩落後の計測を効率化する方法

効率化には、現地計測と内業処理を一つの流れとして計画することが重要です。現場へ入る前に、求める数量、基準面、対象範囲、安定領域、必要な検証点を整理します。

現場では、全体形状を取得した後に欠測を確認します。崩落壁、法肩、法尻、構造物際、堆積先端、水路など、数量へ影響しやすい場所を重点的に確認します。

初動記録と正式計測を分ける方法もあります。初動時は安全な位置から全景と概算に必要な形状を保存し、安全対策後に詳細を追加します。両者は用途、時点、範囲、精度が異なる可能性があるため、同じ名称で管理しません。

平常時から重要斜面の三次元データを同じ座標系で保存しておけば、災害後に崩落前面を推定する負担を減らせます。法肩、法尻、小段、排水施設、構造物を含めて記録すると、災害数量だけでなく経年変化の確認にも利用できます。

記録様式を統一し、計測日時、施工前後の地形変化、基準点、欠測、写真番号、処理版を関連付けると、内業での確認が容易になります。

携帯しやすい計測機器や遠隔計測を使う場合も、手軽さと数量の信頼性は別に判断します。安全性、位置基準、計測距離、死角、点密度、基準面、処理条件が目的に合うかを確認し、必要に応じて正式測量や別方式で補完します。

まとめ

斜面崩落後の出来形体積計測で流出量を求めるには、崩落後の地形を測るだけでは不十分です。崩落前面と崩落後面を共通の座標と高さ基準で比較し、欠損側と堆積側を分けて計算します。

第1ステップでは、崩落前地形、計算範囲、基準時点を確定します。第2ステップでは、安全を最優先に、死角と未変化部を含めて崩落後地形を三次元計測します。

第3ステップでは、不要点、植生、車両、重機、欠測を確認し、前後で整合した地表面を作ります。第4ステップでは、欠損体積と堆積体積を別々に算出し、未変化部、境界変更、面設定、断面法、搬出記録などで妥当性を検証します。

流出量、崩落量、堆積量は同じ意味ではありません。欠損体積と堆積体積を単純に合計すると二重計上になり、単純に差し引くと体積状態の違いを無視するおそれがあります。

崩落前データがない場合は基準面を推定できますが、推定条件による数量差を確認し、採用根拠を残します。成果には体積値だけでなく、基準面、計算範囲、計測時点、点群処理、補間、しきい値、検証結果を保存します。

安全な作業計画と再現可能な記録を前提に三次元地形差分を利用することで、応急復旧、撤去計画、数量協議、災害記録に使いやすい体積情報を整理できます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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