LRTKレフィクシア株式会社

出来形体積計測で植生点を除去するフィルター設定5つの基準

出来形体積計測で植生点の除去が必要な理由

出来形体積計測では、取得した点群から計算対象となる地表面をどのように作成するかによって、算出結果が変わります。草、低木、つる植物、落ち葉、刈草などが残った状態で計測すると、地盤ではなく葉や茎の表面に点が取得されることがあります。その点を地表点として面作成に使用すると、比較面との位置関係によっては盛土量を大きめに評価したり、掘削量を小さめに評価したりする可能性があります。

植生の影響は現場全体に均一に現れるとは限りません。日当たりや水分条件によって草丈や密度が変わり、車両走行部では草が倒れ、法肩や構造物際では植生が密集していることがあります。同じ現場内でも地盤と植生点の離れ方が異なるため、一つのしきい値を全範囲へ適用すると、植生が残る場所と、必要な地表点まで失われる場所が同時に生じるおそれがあります。

植生点除去の目的は、点を大量に削除して見た目を整えることではありません。体積計算に用いる地表面を、確認できる地形を損なわない範囲で抽出することです。植生らしい点を削除しても、その下の地表点が取得されていなければ、正しい地盤標高が得られるわけではありません。除去後の空白を周辺点から補間した場合、その部分は直接計測した面ではなく、推定を含む面になります。

したがって、フィルター設定では除去率だけでなく、地表候補点の残存状況、除去後の空白、法肩や法尻などの形状保存、処理前後の体積差を確認する必要があります。植生点除去は点群整理の一工程ではありますが、出来形体積計測に用いる面の品質を左右する重要な処理です。

計測方式や視線方向によっても、植生の点群形状は変わります。上方から取得した点群では草の上面が連続面のように見える場合があり、地上から斜め方向に取得した点群では葉や茎の側面が複雑な点として混在する場合があります。ただし、実際の分布はセンサー特性、対象までの距離、入射角、植生の密度、計測時の風などにも左右されます。

出来形体積計測の信頼性を高めるには、植生点をどの根拠で判定し、どの範囲にどの条件を適用したかを説明できる状態にすることが大切です。その判断軸として、高さ差、近傍点との連続性、点密度と空白、斜面形状、処理前後の体積差という5つの基準を組み合わせて確認します。なお、最終的な許容差や確認方法は、発注図書、施工計画、適用する要領や監督職員との協議内容に従って決める必要があります。

植生点除去の前に確認すべき計測条件

フィルター設定を始める前に、元の点群に体積計測へ利用できる地表情報が含まれているかを確認します。フィルターは取得済みの点から不要点を選別する処理であり、草や低木の下にある地盤を新たに計測する機能ではありません。元データに地表点がほとんど含まれていない範囲では、後処理だけで地盤面を確定することは困難です。

まず、現地写真や計測記録から、草丈、植生密度、地表の露出状況、刈払いの有無、湿潤状態などを確認します。点群だけでは、小さな地形の盛り上がりと草の塊を区別しにくい場合があります。写真と照合することで、点群上の凸部が地形、植生、刈草、資材などのどれに相当するかを判断しやすくなります。

計測範囲内に露出地盤があるかも重要です。通路、車両走行部、掘削直後の面、構造物周辺などに地盤が見えていれば、その周辺の点の高さや分布を基準として植生域を評価できます。露出地盤がない場合は、フィルター結果を実測情報と比較できる場所が少なくなり、補間面への依存が大きくなります。

座標系、標高基準、単位、計測時期も処理前に確認します。異なる時期の点群を重ねる場合は、植生の成長だけでなく、施工、沈下、降雨、車両走行などによる地形変化が含まれる可能性があります。刈払い前後、施工前後、降雨前後などのデータを一つの地表面へ無条件に混在させないことが大切です。

点群ノイズと植生点は分けて扱います。孤立した飛び点、移動物、反射条件に起因する不安定な点、位置姿勢推定の乱れなどは、植生とは異なる原因で発生します。ノイズ除去と地表抽出を同時に強く実行すると、どの処理で必要な地盤点が失われたのか追跡しにくくなります。先に明らかな孤立点や対象範囲外の点を整理し、その後に植生点を判定するほうが処理の影響を確認しやすくなります。

体積を計算する境界も先に明確にします。対象外の法面、仮置土、資材、排水施設、構造物などが含まれている場合は、植生フィルターの調整前に計算範囲と除外範囲を区分します。対象外部分を含んだまま設定を比較すると、植生除去以外の要因が体積差へ混入します。

最も重要なのは、地表を直接表す点がどこに、どの程度残っているかを把握することです。植生が薄く地面が部分的に見えている場所では、地表点を選別できる可能性があります。一方、密な草や低木で地面が完全に隠れている場所では、点群だけから地盤標高を確定できないことがあります。そのような範囲はフィルター設定だけで解決しようとせず、刈払い後の再計測、補助測量、別方向からの追加取得などを検討します。

基準1 高さ差のしきい値を地表の起伏に合わせる

植生点除去で検討される代表的な考え方の一つが、周囲の地表候補点に対する高さ差です。草や葉に取得された点は、近くの露出地盤より高い位置に分布することがあるため、一定以上の高さ差を持つ点を植生候補として扱えます。ただし、高さ差のしきい値は、地形の起伏、点間隔、植生の高さ、計測方式に合わせて調整する必要があります。

平坦な施工面では、周辺の地盤標高が比較的そろっているため、局所的に浮いた点を見つけやすくなります。路盤、造成面、広い盛土地盤など、施工上も急な凹凸が想定されにくい範囲では、高さ差を利用した判定が有効な場合があります。ただし、わだち、締固め跡、局所沈下、砕石の粗さなどが実在する場合は、それらを植生として除去しないように確認します。

法面、段差部、排水勾配の変化点、法肩、法尻などでは、地盤そのものに大きな高さ差があります。平坦部と同じ設定を適用すると、正しい地形点が植生候補として除去されるおそれがあります。特に法肩の角や小段の端部は、周囲に対して突出して見えるため、強い平滑化によって丸められやすい部分です。

高さ差を見るときは、一点だけでなく、一定範囲内の複数の地表候補点との関係を確認します。比較範囲が小さすぎると、同じ草株の上面だけを参照して植生が残る場合があります。反対に比較範囲が広すぎると、斜面上部と下部の本来の標高差や、異なる勾配面の差まで異常と判定する可能性があります。

比較範囲は、地形変化の大きさと植生の広がりの両方を見ながら決めます。短い草がまばらな平坦地では小さな近傍でも判別しやすい一方、草株が大きい場所では、その外側にある露出地盤まで参照できる範囲が必要になることがあります。ただし、法肩や構造物際をまたぐ近傍設定は避け、必要に応じて領域を分割します。

実務では、まず露出地盤の高さのばらつきを確認し、その範囲を大きく超えない弱い設定から試します。処理後の点群、断面、空白範囲を確認しながら段階的に調整すると、地形点が失われ始める条件を把握しやすくなります。特定の数値を全現場へ固定的に適用するのではなく、現場ごと、必要に応じて範囲ごとに設定します。

倒れた草は地面に近い高さへ分布するため、大きな高さ差として検出されないことがあります。反対に、石、土塊、施工上必要な小さな盛り上がりは植生と似た高さを持つ場合があります。そのため、高さ差だけで最終判定を行わず、近傍点との連続性、点密度、現地写真、断面形状を組み合わせて確認します。

植生の上面が平らにそろっていると、点群処理上は滑らかな面に見える場合があります。周囲に露出地盤がなければ、その面が植生か地盤かを高さ差だけで判定する根拠は不足します。高さ差フィルターが機能しやすいのは、同じ近傍に地表を示す低い点が含まれている場合です。

しきい値は何センチメートルなら常に正しいというものではありません。要求精度、地表の粗さ、点間隔、植生の厚み、斜面勾配、面作成方法によって適切な値は変わります。採用値は試験処理と検証結果に基づいて決め、適用した範囲とともに記録します。

基準2 近傍点との連続性から植生を判定する

植生点と地表点を分けるには、点の高さだけでなく、周囲とのつながり方を見ることが重要です。地表は多くの場合、近接点同士が一定の傾向を持って連続します。これに対して、葉や茎に取得された点は、局所的に高さがばらついたり、複数の層として現れたりすることがあります。ただし、自然地盤や砕石面にも細かな凹凸があるため、連続性だけで植生と断定することはできません。

近傍点から推定した局所面に対して大きく外れる点を、植生候補として扱う方法があります。緩やかな地形では、一点だけ上方に離れた点や、小さな塊として周囲から浮いた点を見つけやすくなります。高さ差の判定と組み合わせることで、孤立した葉や茎の点を整理しやすくなる場合があります。

一方、植生が密集していると、草の上面自体が連続した面になります。この状態では植生点同士のつながりが強く、単純な連続性判定では地表として残ることがあります。周囲に低い地表点が少ないほど、草の上面を基準面として採用してしまう可能性が高くなります。

近傍範囲が小さすぎると、同じ草株の点だけを参照してしまいます。大きすぎると、法肩、側溝際、石積み際などの形状変化を外れ値として扱う危険があります。平坦面、緩斜面、急斜面、構造物周辺を同じ条件で一括処理せず、地形に応じて範囲を分けます。

連続性は断面表示で確認すると分かりやすくなります。上面表示では密集して見える点でも、断面では地表候補となる下層の点と、植生上面に形成された点が分かれて見えることがあります。斜面方向と等高線方向など、複数方向の断面を確認すると、地形の傾向と植生によるばらつきを区別しやすくなります。

出来形体積計測では、地盤の小さな凹凸をどこまで残すかも重要です。連続性を重視しすぎると、わだち、局所沈下、締固め跡、掘削跡などの実在形状が平滑化される可能性があります。これらは体積差に影響するため、単なるノイズとして一律に除去すべきとは限りません。

地表面の粗さは範囲ごとに異なります。施工直後の整形面と自然地盤では、残すべき凹凸の大きさが違います。整形面では局所的な乱れを植生候補として見つけやすい一方、自然地盤では細かな谷、尾根、石の周辺形状などを保存する必要があります。

構造物際では、地表面と構造物面が急角度で接します。擁壁、側溝、縁石、基礎、法枠などの近くで連続性だけを基準にすると、構造物際の地盤点が外れ値と判断されたり、構造物の点が地表面へ混入したりすることがあります。可能な範囲で構造物と地表を分離し、境界付近は断面と現地記録で確認します。

連続性による判定は単独で完結させるより、高さ差判定を補う処理として使うほうが安全です。高さ差で明らかに浮いた点を整理し、その後に周囲から孤立する小さな点を連続性で確認することで、地形を残しながら植生点を減らしやすくなります。

基準3 点密度と空白範囲を見ながら除去強度を決める

フィルター設定を評価するときは、除去できた点数だけでなく、除去後にどの程度の地表候補点が残ったかを確認します。植生点が減って見た目が整っても、必要な地盤点まで消えていれば、出来形体積計測に適した点群とはいえません。

点密度は地表形状を表現する情報量の目安になりますが、点数が多いこと自体が精度を保証するわけではありません。植生上面に多数の点が取得されていても、地盤点が不足していれば体積計算には利用しにくい状態です。重要なのは、計算対象となる地表を表す点が、必要な位置に適切に分布しているかどうかです。

地表候補点が十分に残る範囲では、地形の変化を細かく表現しやすくなります。点が少ない範囲では、離れた点同士を結んで面を作るため、局所的な凹凸が失われる可能性があります。点がなくなれば周辺からの補間に依存し、その部分の標高は直接計測値ではなく推定値を含みます。

植生が密な範囲でフィルターを強くすると、広い空白が生じることがあります。空白を自動補間すると連続した面は作れますが、実際の地盤に凹凸や段差があっても反映されない可能性があります。見た目が滑らかであることと、地盤を正しく表現していることは同じではありません。

体積計測では、標高差が小さくても影響する面積が広ければ体積差が大きくなる場合があります。したがって、局所的な小さな欠損だけでなく、連続した空白の面積、位置、周辺地形を確認します。特に法肩、法尻、排水溝、段差、構造物際の空白は、面形状を変えやすいため注意が必要です。

点密度は現場全体の平均値だけで判断しません。全体として点数が多くても、植生域や死角部だけ地表点が不足していることがあります。体積算出範囲を細かく確認し、局所的な疎密や空白を把握します。

除去強度を比較するときは、弱い設定、中間の設定、強い設定など複数の結果を保存し、残存点と空白範囲を見比べます。弱い設定では植生点が残り、強い設定では地盤点まで失われるため、その間で地表候補点をできるだけ残しながら植生の影響を抑えられる条件を探します。

点密度の偏りは計測方向や遮蔽によっても発生します。地上からの計測では植生の手前側に点が集中し、奥側や根元付近に点が届きにくい場合があります。上方からの計測では草の上面へ点が集中し、地表点が少なくなる場合があります。これらは一般的な傾向であり、実際にはセンサー特性や現場条件によって異なります。

空白が小さく周囲の地形が単純な場合は、限定的な補間が許容されることがあります。ただし、許容範囲は要求精度や適用基準によって異なります。重要な形状部や広い空白では、追加計測や補助測量を優先し、補間だけで地盤を確定したように扱わないことが大切です。

広い計測範囲では、地表点が十分な範囲、限定的な補間を含む範囲、地盤を確認できず再計測が必要な範囲を分けて管理する方法があります。すべての範囲を同じ確からしさで取得できたように扱わないことが、体積値の説明性を高めます。

基準4 斜面勾配と曲率に応じて設定を分ける

植生点除去で地形を損ないやすいのが、急斜面、法肩、法尻、小段、複雑な自然地盤です。これらの場所では周辺点との高さ差や局所面からの距離が本来大きくなりやすいため、平坦部向けのフィルターを適用すると、正しい地表点が植生として除去される可能性があります。

斜面では、水平方向の距離がわずかでも標高が大きく変わります。近傍内の最低標高だけを基準にすると、斜面上側の正しい点が高すぎる点として判定されることがあります。勾配方向を考慮せずに鉛直方向の高さ差だけを見る設定は、過剰除去につながりやすいため注意します。

急斜面では、水平面を基準にするのではなく、斜面に沿った局所面からの離れ方を見る方法が考えられます。斜面上で連続する点を残し、その局所面から外側に浮く点を植生候補として確認します。ただし、斜面自体に凹凸や浸食溝がある場合は、基準面を滑らかにしすぎないようにします。

法肩や法尻では勾配が急に変わります。この変化部は曲率が大きく、平滑化処理によって丸められやすい場所です。法肩が内側へ削られたり、法尻が外側へ広がったりすると、面形状の変化が体積算出へ直接影響します。

勾配変化部は、平坦部や斜面部と分けて処理することが望まれます。法肩線や法尻線を確認できる場合は、その形状を保護しながら植生点を整理します。点群だけで線の位置が不明確な場合は、現地写真、設計形状、補助計測、施工記録などを照合します。ただし、設計形状を現況面へ無条件に置き換えないように注意します。

自然地盤には、小さな谷、尾根、浸食溝、石の周辺など、複雑な曲率を持つ形状があります。これらを植生による乱れと誤認して平滑化すると、現況地盤の体積が変わります。施工前後の地形差から体積を求める場合は、元の地形を過度に整形しないことが重要です。

斜面の植生は、重力、風、刈払い方向などによって一定方向へ倒れることがあります。倒れた草の点群が斜面と平行に並ぶと、局所面からの距離だけでは区別しにくくなります。この場合は、高さ方向の層構造、点密度、露出地盤との関係、現地写真を組み合わせて判断します。

範囲ごとに異なる設定を使う場合は、処理境界で不自然な段差を作らないようにします。条件の異なる点群を接続すると、境界付近で点密度や高さが急に変わることがあります。境界周辺を重ねて比較し、断面と面の連続性を確認してから統合します。

斜面全体を一方向の断面だけで確認すると、局所的な変形を見落とす可能性があります。斜面方向の断面では勾配の連続性を確認し、等高線方向の断面では植生による局所的な膨らみや凹みを確認します。複数方向から見ることで、フィルターが地形へ与えた影響を把握しやすくなります。

基準5 体積差と断面形状でフィルター結果を検証する

植生点除去の設定は、点群の見た目だけで決めるべきではありません。最終的な目的は出来形体積を適切な条件で算出することなので、処理前後の体積差、断面形状、点密度、補間範囲を確認します。

比較するときは、フィルター適用前後の面を、同じ計算範囲、同じ基準面、同じ面作成方法、同じ除外条件で評価します。計算境界や補間条件が異なると、フィルター以外の要因で体積差が生じます。設定の影響を確認するためには、比較条件をそろえる必要があります。

処理前後で体積が大きく変わった場合は、その差が植生除去による妥当な変化なのか、地盤点の過剰除去や補間による変化なのかを確認します。植生が広く繁茂していた現場では一定の変化が生じる可能性がありますが、変化量の妥当性は草丈だけで決められません。植生の面積、地表点の残存状況、面作成条件を合わせて確認します。

体積差は全体値だけでなく、領域を分けて確認します。全体差が小さくても、ある範囲では大きめ、別の範囲では小さめとなり、差が相殺されていることがあります。植生密度、平坦部、斜面部、構造物際などに区分し、どこで体積差が発生したかを把握します。

断面では、処理前の点群、残った地表候補点、処理後の面を重ねて確認します。植生点だけが減り、地盤の勾配や必要な起伏が保たれていれば、設定は妥当と判断しやすくなります。法肩が丸くなる、凹部が埋まる、露出地盤より面が浮く、空白をまたいで大きな三角形が作られるといった状態があれば再調整します。

標高差を色分けして確認する方法も有効ですが、色だけで判断しません。表示範囲や色の割り当てによって差が大きく見えたり、小さく見えたりするためです。標高差の数値、影響面積、位置を確認し、断面と組み合わせて評価します。

地盤上の確認点や補助測量点がある場合は、処理後の面との標高差を確認します。複数の確認点に対して一方向へ偏っていないかを見ることで、面全体が高めまたは低めに作られていないかを把握できます。ただし、確認点の精度、標高基準、取得時期が点群と整合していることが前提です。

検証断面は植生が多い場所だけでなく、地表が露出している場所にも設定します。処理する必要が少なかった露出地盤で面が変形していれば、フィルターが地形点へ影響している可能性があります。植生域の改善だけでなく、正常な範囲を壊していないかも確認します。

設定を変えた複数の結果は、同じ名称で上書きせず、条件が分かる名称で保存します。どの条件で体積がどの程度変わったか、どの範囲に空白が生じたかを記録すれば、採用理由を後から説明できます。最終値だけでなく、その値に至る処理の再現性を確保することが重要です。

植生の種類ごとに設定を調整する考え方

植生点は一種類ではありません。短い草、背の高い草、低木、つる植物、落ち葉、刈草では、地表との高さ差や点の連続性、空白の生じ方が異なります。同じフィルター設定を適用しても、除去結果は一定になりません。

短い草がまばらに生えている場合は、草の間から地表点が取得されることがあります。周囲の低い点を基準として高さ差や局所的なばらつきを確認すれば、地表を抽出しやすい場合があります。ただし、小石、わだち、砕石の凹凸などが多い地盤では、草と地形の区別が難しくなります。

短い草が密に生えている場合は、草の上面が薄い連続面として取得されることがあります。地表点が部分的に含まれていれば判別できる可能性がありますが、地面が完全に覆われている場所では、草丈分だけ高い面しか取得されていないことがあります。この状態では、フィルターで点を消しても地盤標高を直接確定できません。

背の高い草では、上部の葉、途中の茎、根元付近の点が混在し、高さ方向に複数の層が現れる場合があります。低い点を地表候補として扱う方法もありますが、最低点が必ず地盤とは限りません。倒れた茎、低い葉、飛び点などが最低位置に現れることもあるため、周辺地形や写真との照合が必要です。

低木や枝の多い植生では、点群が立体的な塊になり、地盤まで点が届かない範囲が広くなることがあります。低木の点を除去した後に大きな空白が残る場合は、周辺からの補間だけで地盤を確定せず、刈払い後の追加計測や補助測量を検討します。

つる植物は法面や構造物表面に沿って広がることがあります。対象面とほぼ平行に点が形成されるため、連続性や局所面からの距離だけでは区別しにくい植生です。露出部分との高さ関係、植生の厚み、現地写真を確認し、必要に応じて範囲を分けて処理します。

落ち葉や刈草は地表に近い位置で不規則な厚みを持ちます。背の高い草ほど明確な高さ差がなく、地盤の小さな凹凸と似た形状になります。広い範囲に堆積している場合、点群処理だけで地盤を選別することは難しくなります。可能であれば計測前に除去し、地表が見える状態で取得するほうが不確実性を減らせます。

植生状態が混在する現場では、平坦な短草部、密生部、斜面部、低木部などに範囲を分け、それぞれの点群構造に合わせて設定します。全範囲を一括処理するより作業は増えますが、地形を保存しながら植生の影響を抑えやすくなります。

過剰除去と除去不足を防ぐ実務手順

植生点除去では、弱すぎる設定による除去不足と、強すぎる設定による過剰除去の両方を防ぐ必要があります。除去不足では植生の高さが地表面へ混入し、過剰除去では実際の地盤形状が失われます。どちらか一方だけを避ければよいわけではありません。

元の点群は必ず保存し、複製した作業用データに対して処理します。処理結果が不適切だった場合に元へ戻れる状態を保ちます。上書きを繰り返すと、どの段階で必要な点が消えたのか追跡できなくなります。

最初に計算範囲外の点、明らかな移動物、孤立した飛び点などを整理します。その後、地表が露出している範囲と植生がある範囲を確認し、試験処理を行う区域を選びます。試験区域には平坦部、斜面部、植生が薄い場所、密な場所を含めると、設定の適用限界を把握しやすくなります。

フィルターは弱い条件から適用します。処理後に残った植生点、地表候補点、空白範囲を確認し、必要に応じて段階的に強くします。一度に大きく設定を変えると、どの条件から地盤点が失われ始めたのか分かりにくくなります。

処理結果は上面表示だけでなく、断面表示、点密度、処理前後の差分で確認します。上面表示では草の点が消えて整って見えても、断面では地盤面が浮いている場合があります。反対に、植生点が一部残っていても、面作成や体積計算に使用されていないことがあります。

植生点が局所的に残る場合は、全体設定を強くするのではなく、その範囲だけ追加処理します。局所的な問題を解決するために全域へ強い条件を適用すると、地表が正常に取得できていた場所まで変形する可能性があります。

自動判定が難しい場所は、現地写真、設計形状、施工記録、補助測量と照合しながら確認します。ただし、計算結果を都合のよい値へ近づける目的で点を選別してはいけません。削除根拠を説明できる範囲に限定し、判断できない場所は未確認範囲として扱います。

フィルター処理後は、面を作成する前に残存点を確認します。点群段階では影響が小さく見えても、少数の誤点が大きな三角形や不自然な面を形成し、体積へ影響することがあります。特に計算境界付近や空白の端部では、誤った接続が発生しやすくなります。

最終的には、処理前後の体積、主要断面、地表点の分布、補間範囲を確認して採用データを決めます。体積値が想定に近いという理由だけで採用せず、面形状と処理根拠が妥当であることを確認します。

フィルター処理後に地表面を補間するときの注意点

植生点を除去すると、地表点が不足している場所に空白が生じます。体積計算には連続面が必要になるため、周囲の点から補間することがあります。しかし、補間で作られた面は直接計測した地表ではなく、周辺情報に基づく推定を含むため、その範囲と影響を明確にする必要があります。

小さな空白で周囲の地形が単純な場合は、補間による影響が限定的なことがあります。一方、広い空白、急斜面、法肩、法尻、構造物際、排水地形などでは、周囲の点を単純につなぐと実際とは異なる面が作られる可能性があります。

法肩付近の点が植生とともに失われると、斜面上部と下部が滑らかに接続され、本来の角が消えることがあります。凹部の点がなくなると、周囲を結んだ面で凹みが埋まる場合があります。反対に、周囲に低い点が多ければ、実際より低い補間面が作られる可能性もあります。

補間範囲は空白の最大幅だけで判断しません。同じ幅でも、平坦面と複雑な斜面では不確実性が異なります。地形変化が大きい場所ほど、短い距離の補間でも面形状への影響が大きくなることがあります。

補間前には、空白周辺に植生点や誤点が残っていないか確認します。周囲の基準となる点に誤った高さが含まれていると、その値をもとに空白全体が補間され、局所的な誤差が広い面積へ拡大します。

計算境界外の点を使って補間する場合も注意が必要です。対象外の法面、仮置土、構造物、未施工部などの点が面形成に使われると、体積計算範囲内へ影響することがあります。面作成に使用する境界と、体積を集計する境界を分けて管理します。

広い範囲で地表点が取得できていない場合は、補間だけで処理を完結させず、再計測を優先します。刈払い後に計測する、地盤が見える位置を補助的に測る、別方向から取得するなど、実測情報を追加するほうが不確実性を下げられます。

補間を使用した場合は、その範囲、使用した周辺点、補間方法、検証方法を記録します。直接計測した範囲と推定を含む範囲を区別し、全面が同じ条件で取得されたように扱わないことが大切です。補間の可否や許容範囲は、適用する仕様書や協議条件に従って判断します。

出来形体積計測の信頼性を高める記録方法

植生点除去の結果を後から説明できるようにするには、設定値だけでなく判断過程を記録します。同じ設定値でも、元の点密度、植生状態、地形、計測方向が異なれば結果は変わります。数値だけを残しても、別の担当者が同じ処理を再現できるとは限りません。

記録には、計測日、計測範囲、植生状態、刈払いの有無、地表露出の程度、使用した点群、処理範囲を含めます。降雨、風、草の倒伏など、点群状態へ影響したと考えられる条件も残しておくと、後から判断しやすくなります。

処理前後の点群は別データとして保存します。処理前、一次ノイズ除去後、植生フィルター後、手動確認後、面作成後など、工程ごとに区別します。採用した最終データだけを残すのではなく、変更履歴を追える状態にします。

フィルター条件として、高さ差、近傍範囲、連続性、除去強度などを保存します。範囲ごとに条件を分けた場合は、対象区域も記録します。平坦部と斜面部で異なる設定を使用したことが分かれば、処理結果を説明しやすくなります。

検証記録として、代表断面、点の分布、処理前後の標高差、体積差を残します。植生が密な場所、法肩、法尻、構造物際など、判断が難しかった場所を優先して記録します。

補間を使用した場合は、補間範囲、補間方法、参照した周辺点、地形の確認方法を記録します。補間面を直接計測面と同じように扱わず、推定を含む範囲として管理します。

体積計算条件も固定します。比較面、計算境界、除外範囲、面作成条件が変わると、フィルター設定とは関係なく体積値が変化します。処理前後の比較では、植生点除去以外の条件を同じにします。

担当者による判断差を減らすには、代表的な植生状態ごとに試験結果を蓄積する方法があります。ただし、過去の設定を新しい現場へそのまま流用するのではなく、初期値として利用し、現場の点群と要求精度に合わせて再調整します。

記録の目的は書類を増やすことではありません。体積値に疑問が生じたとき、どの点群を使い、どの範囲を除去し、どこを補間し、どの条件で計算したかを追跡できるようにすることです。処理の透明性を高めることで、社内確認や関係者への説明を行いやすくなります。

まとめ

出来形体積計測で植生点を除去する際は、草らしい点を消すことよりも、地表をどこまで直接確認できているかを重視します。フィルターを強くすると見た目は整いますが、必要な地盤点まで失えば、体積計測の確からしさは低下します。

第一の基準は、地表候補点に対する高さ差です。ただし、平坦部と斜面部では適切な条件が異なり、固定値を全範囲へ適用する方法は安全ではありません。第二の基準は近傍点との連続性であり、周囲から浮いた点を植生候補として確認します。一方で、法肩や自然地盤の凹凸を消さない配慮が必要です。

第三の基準は点密度と空白範囲です。点数が多いかどうかではなく、地表を表す点が必要な位置に残っているかを確認します。第四の基準は斜面勾配と曲率であり、平坦部、斜面部、勾配変化部を分けて処理します。第五の基準は、処理前後の体積差と断面形状による検証です。点群の見た目だけでなく、最終的な面と体積への影響を確認します。

植生の下に地表点が取得されていない場合、フィルター処理だけで地盤を復元することはできません。広い空白や重要な形状部では、補間に頼りすぎず、刈払い後の再計測や補助測量を検討する必要があります。

安定した出来形体積計測を行うには、計測時点から植生の影響を減らすことが有効です。刈払い直後や施工直後など、地表が確認しやすい時期に追加計測できる運用を整え、必要な範囲を現場で確認しながら取得することで、植生除去や広範囲の補間に依存しすぎない体積管理へつなげられます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る