造成工事や土工事で出来形の体積計測を行う際、草や低木、刈草、枝葉などが点群に含まれると、本来の地盤より高い位置に表面が生成されることがあります。その状態で施工前後の面を比較すると、植生の高さや繁茂状況まで体積差に含まれ、盛土量、切土量、掘削量、残土量などの算出結果に影響する可能性があります。
点群を取得できていることと、体積計算に適した地盤面を取得できていることは同じではありません。国土地理院の資料でも、フィルタリングは点群から地表面以外を表す点を除去する作業と整理されており、処理後の地盤データと取得直後の点群は区別されています。([国土地理院][1])
この記事では、「出来形 体積 計測」で情報を探している現場担当者に向けて、草木を地盤と誤認しないための代表的な除去方法を4つに整理します。現地での除草、点群分類、補間、追加計測までを一連の工程として捉え、処理結果を安全に確認する方法を解説します。
出来形体積計測で草木が誤差の原因になる理由
出来形体積計測では、計測時点の地表面と、設計面、施工前面、前回計測面などとの差を使って数量を算出します。そのため、比較に使う地表面へ草木が混入すると、計算式や体積算出方式が適切でも、入力面の違いによって結果が変わります。
画像から作成する点群は、基本的に写真へ写った表面を三次元化します。地盤が草木に隠れていれば、再現されるのは地盤ではなく草や葉の表面になりやすく、密生部の下にある地盤標高を点群だけから直接確認できない場合があります。国土地理院の資料でも、写真点群測量では地表面が写真に写っていることが必要とされています。([国土地理院][2])
たとえば、実際の地盤より平均5センチメートル高い植生面が1万平方メートルにわたって地盤として採用された場合、面積と平均高さの単純な積では500立方メートルに相当します。ただし、実際の誤差は草丈をそのまま面積へ掛けた値とは限りません。点の分布、欠損、面生成方法、傾斜、比較範囲、施工前後の植生状態などによって変化します。
施工前は草が繁茂し、施工後は除草されている場合、掘削していない場所でも地表面が低下したように見えることがあります。反対に、施工後だけ草が伸びていれば、盛土量が実際より大きく見える可能性があります。施工前後で植生状態が異なる現場では、同じ計測機器を使用していても比較条件がそろっているとは限りません。
法面、排水溝、小段、法肩、法尻、工区境界は特に注意が必要です。これらは地形の折れ目や計算範囲を決める場所であり、草木による遮蔽や誤分類があると、局所的な標高だけでなく面全体のつながり方まで変わることがあります。
草木を削除した後に地盤点が残らなければ、点群には穴が生じます。その穴を周辺点から自動補間すると、実際には存在する溝や段差が滑らかな面へ置き換わる場合があります。したがって、草木対策では、不要点の削除だけでなく、削除後の地盤面をどの情報から作成したかまで確認する必要があります。
草木を除去する前に決めておくべき基準
点群編集を始める前に、計測目的、対象範囲、必要な精度、採用する地盤の定義を決めます。担当者ごとに削除条件が異なると、同じ点群から異なる体積が算出されるためです。
最初に、算出結果の用途を確認します。施工計画上の概算、社内進捗管理、出来高確認、契約数量の算出、発注者へ提出する出来形管理では、求められる根拠や確認手順が異なります。公共工事等の正式な出来形管理に使用する場合は、独自の判断だけで処理方法を決めず、契約図書、適用される出来形管理要領、発注者との協議内容を優先します。国土交通省の要領は改定されるため、実施時点で適用版を確認することが必要です。([国土交通省][3])
次に、体積計算へ含める範囲を確定します。施工範囲と未施工範囲、既設構造物、仮置土、資材、排水施設、工区境界などを区分し、草木除去の対象範囲と体積計算範囲を混同しないようにします。
草木の判定を一つの高さしきい値だけで行うのは避けます。平坦地で機能する条件でも、法面や段差部では上側の地盤を植生と誤認する可能性があります。高さ差に加え、周辺面との連続性、局所勾配、鉛直方向の点の広がり、色情報、現場写真などを組み合わせます。
原点群は編集せずに保存し、処理用の複製を作成します。原点群、植生候補点、地盤分類点、補間後の面、体積計算用の最終面を分けて管理すると、後から削除範囲や数量差を追跡しやすくなります。
草木を削除した後に、地盤面を作成できるだけの地盤点が残るかも確認します。地面が部分的に見えている区域では、残った実測点を基に面を構成できる可能性があります。一方、密生した草や低木で地盤が見えない区域では、分類処理で植生を正しく除去できても、実測していない地盤標高を確定することはできません。
補間は周辺点から未計測部を推定する処理です。見えていない地盤を実測値として復元する処理ではありません。補間範囲が広い場合、数量への影響が大きい場合、地形変化点を含む場合は、追加測点や再計測を組み合わせる判断が必要です。
除去方法1 現地で除草・伐採してから計測する
計測前に草木を除去し、地盤を直接見える状態にする方法は、後処理における推定や分類の負担を減らしやすい基本策です。特に写真測量では地盤が画像に写ることが重要であり、密生した草の上面だけを撮影しても、その下の地盤形状は取得できません。([国土地理院][2])
除草では、草を刈るだけでなく、刈草、枝、落ち葉、伐採くずを計測範囲から除去します。刈り取った草が地面に厚く残ると、その堆積面を地盤として取得する可能性があります。地表の土、砕石、舗装、構造物境界などを目視できる状態が理想です。
草が倒れて地面へ密着している場合も注意が必要です。上空から見ると土と草の境界が分かりにくく、画像点群では草の表面が連続面として再現されることがあります。必要に応じて残留物を移動し、地盤の露出状況を現場写真へ残します。
全面除草が難しい場合は、重要な地形線や確認用の帯状区間を優先して露出させます。法肩、法尻、小段端部、排水溝、盛土と地山の境界、工区外周などは、面形状や体積計算範囲を決める重要箇所です。これらの位置を実測できれば、何も基準がない状態で広範囲を補間するより、面作成の根拠を増やせます。
帯状に地盤を露出させる場合は、測線間の地形が単純かどうかを確認します。測線の間に溝、局所的なくぼみ、盛り上がり、段差が存在する可能性がある場所では、帯状測線だけで全面を代表させることはできません。
法面の除草では安全を優先します。急斜面、崩落のおそれがある場所、重機稼働範囲、立入制限区域では、除草作業自体が危険になる場合があります。安全に地盤を露出できない区域は、別方向からの計測、追加測点、対象範囲の扱いに関する協議など、別の方法を検討します。
除草後は、できるだけ地形が変わる前に計測します。重機通行、降雨、排水、乾燥、資材移動などで地表が変化すると、除草時に確認した地盤と計測時の地盤が一致しなくなることがあります。除草日、計測日時、天候、施工状況、除去範囲を記録しておくと、計測面の時点を説明しやすくなります。
除去方法2 高さ差と地表面の連続性から点群を抽出する
取得済みの点群に草木が含まれている場合は、周辺点との高さ差、局所勾配、面の連続性を利用して植生候補を抽出します。この方法は、草木の隙間などから地盤点が一定量取得できている区域で利用しやすい方法です。
地盤は一般に周辺と連続した面を形成します。一方、草、葉、枝は地盤より上方に不規則な厚みを持って分布することがあります。この違いを利用し、局所的に高い点や、暫定地盤面から離れた点を植生候補として分類します。
一定の格子や近傍範囲ごとに低い点を地盤候補として選ぶ方法は、平坦で地盤起伏が小さい場所では使いやすい一方、条件設定を誤ると地形そのものを削除します。判定範囲が大きすぎれば法肩や小さな盛り上がりが消え、範囲が小さすぎれば密生した草の上面が地盤として残る場合があります。
傾斜地では、絶対標高ではなく暫定地盤面からの距離で判定します。斜面上部の地盤は斜面下部の草より標高が高いため、単純な標高しきい値では両者を分離できません。まず緩い条件で明らかな高い植生を除去し、残った点から暫定面を更新して、段階的に分類する方が地盤の過剰削除を抑えやすくなります。
自動処理の条件は、現場全体へ一律に適用するのではなく、平坦部、法面、段差部、構造物周辺などで分けることを検討します。地形の特徴が異なる区域へ同じ近傍半径や高さ差を適用すると、一方では植生が残り、他方では地盤が消えることがあります。
処理結果は平面表示だけでなく断面で確認します。縦断面や横断面では、地盤付近の連続点と、その上方に散らばる植生候補を確認しやすくなります。草が一方向へ倒れている場合は、一方向の断面だけでは斜面のように見えることがあるため、直交方向の断面も確認します。
法肩、法尻、小段、排水溝、構造物境界、盛土端部は個別に確認します。これらは本来の高さ変化が大きく、自動フィルタで植生と誤認されやすい場所です。重要な地形線が消えた場合は、原点群から必要な点を戻す、ブレークラインを追加する、現地で補測するなどの対応を行います。
見た目を滑らかにすることを目的に、わだち、洗掘、局所的なくぼみ、施工時の凹凸まで除去してはいけません。出来形体積計測では、ノイズや植生を除くことと、実際の施工形状を平滑化することを分けて考える必要があります。
除去方法3 色・点密度・反射強度を補助情報として使う
高さと形状だけで草木を判定しにくい場合は、色情報、鉛直方向の点分布、点密度、レーザー計測で得られる反射強度などを補助情報として利用します。ただし、これらの値だけで植生を確定できるとは限りません。
点群にRGB情報が付いている場合、緑色の草と褐色の土のように色差が明確な区域では、植生候補を絞り込みやすくなります。色で候補区域を抽出した後、高さ、断面形状、現場写真を確認して最終判断します。
色だけで自動削除すると、枯草と土、湿った地面と落ち葉、緑色の養生材や資材などを誤分類する可能性があります。日陰、逆光、露出差、ホワイトバランス、撮影時刻によっても色は変化します。色しきい値は地盤分類の決定条件ではなく、確認範囲を絞るための条件として使う方が安全です。
鉛直方向の点分布も手掛かりになります。同じ平面位置の近くに複数の高さの点があり、下層に連続した点、上層に不規則な点がある場合は、上側が枝葉で下側が地盤である可能性があります。ただし、構造物、石、資材、法面の重なりでも複数層が生じるため、断面と周辺形状の確認が必要です。
点密度が高いことは、地盤点が十分に取得できていることを意味しません。画像点群では草の上面だけが高密度に再現され、地盤点が一つもない場合があります。密度は品質の一要素ですが、どの表面を計測しているかを確認しなければ、地盤面の妥当性は判断できません。
レーザー点群の反射強度は、材質の違いを判別する補助になる場合がありますが、値は機器、距離、入射角、表面水分、計測設定、強度補正の有無などにも影響されます。異なる機器や計測日をまたいで固定値をそのまま使うのではなく、同一データ内の既知地盤と既知植生を比較し、形状情報と組み合わせます。
レーザーは植生の隙間を通って地盤付近の点を取得できる場合がありますが、密生した草では地盤へ到達しにくくなります。国土地理院の資料も、植生域で地表面を取得できるのは、レーザーが通り反射光を得られる隙間がある場合であり、草は密生度が高くレーザーを通しにくいことがあると説明しています。([国土地理院][2])
複数の情報が一致する点を優先して除去し、判断が分かれる点は確認対象として残します。自動分類率を高めることより、地盤点の過剰削除を防ぎ、処理根拠を説明できることが重要です。
除去方法4 地盤面を補間し必要箇所を再計測する
草木を除去した後に地盤点が存在しない範囲は、周辺点から補間するか、追加計測で地盤情報を取得します。どちらを選ぶかは、欠損範囲の大きさ、地形の複雑さ、数量への影響、再計測の可否で判断します。
補間を検討しやすいのは、欠損範囲が小さく、周辺地盤が平坦または一定勾配で連続し、内部に地形変化点がないと確認できる場合です。平坦な造成面の小さな欠損などは、周辺の実測点を拘束条件として面を推定できることがあります。
排水溝、法肩、法尻、小段、盛土と地山の境界、局所的なくぼみ、埋設物周辺などを含む欠損は、単純な補間に適さない場合があります。外周だけを滑らかにつなぐと、地形の折れ目や溝が消え、体積が変わるためです。
地形変化線を把握できる場合は、法肩線、法尻線、小段端部などをブレークラインとして面作成へ反映します。国土地理院の資料でも、TINはブレークラインを三角形の辺として取り込み、傾斜変換点を表現できる一方、グリッド化や内挿では変化点が滑らかになる場合があると整理されています。([国土地理院][2])
ただし、設計面をそのまま実測面の代わりに使用することは避けます。設計面は形状確認や異常検出の参考になりますが、実測面を設計面へ置き換えると、施工誤差が数量へ反映されなくなります。補間面は周辺実測点、追加測点、確認できた地形線を基に作成し、どこが推定範囲かを記録します。
補間前後で体積を計算し、処理による変化量を確認します。全体体積だけでなく、補間区域の面積と平均高さ差を確認すると、処理の影響を把握しやすくなります。条件を少し変えただけで数量が大きく変わる場合は、補間結果が不安定である可能性があります。
再計測は対象区域全体ではなく、地盤点が不足する場所や地形変化点に限定して行うこともできます。除草後の写真測量、地上型レーザースキャナー、トータルステーション、GNSSによる補測など、現場条件と要求精度に適した方法を選びます。
追加データを既存点群へ統合する場合は、座標参照系、標高基準、基準点、単位、計測時点をそろえます。見た目だけを合わせたデータ統合では、位置ずれが体積差へ混入する可能性があります。
最初の計測から追加計測までに施工、降雨、重機通行、土砂移動があった場合は、異なる時点の地形を一つの面へ混在させないようにします。追加計測日時、対象範囲、基準点、施工状況を記録し、最終面のうち実測部と補間部を区別します。
4つの除去方法を使い分ける判断基準
4つの方法は排他的ではなく、現場条件に応じて組み合わせます。計測前に準備できる場合は現地除草を基本とし、取得済み点群では形状分類を中心に、色や反射強度を補助として利用します。地盤点が不足する場所だけを補間または再計測します。
草木がまばらで地面が見えている平坦地では、高さ差と面の連続性による分類が適用しやすい傾向があります。処理後は断面と原点群を比較し、地盤の凹凸が残っているか確認します。
短い草、倒れた草、落ち葉のように地盤との高さ差が小さい場合は、色、点の厚み、現場写真を併用します。色が似ている場合や日照条件が不均一な場合は、自動判定に依存せず、区域単位で確認します。
低木や密生した草で地盤点がほとんどない場合は、分類だけで完了させません。草木を削除した後に根拠となる地盤点がなければ、正しい地盤面を確定できないためです。欠損が小さく地形が単純なら補間を検討し、広い、複雑、数量影響が大きい場合は再計測を優先します。
施工前後の比較では、両時点の植生処理条件をそろえます。両方を除草して計測する、同等の分類方針を適用する、補間範囲と処理根拠を記録するなど、比較条件を統一することで、施工以外の差を減らせます。
同じ草木が残っていれば誤差が相殺されるとは限りません。草丈、密度、水分、風、撮影方向、点群生成条件が異なれば、取得される表面も異なります。施工前後で植生が残る場合は、相殺を前提にせず、それぞれの地盤面を確認します。
数量への影響が大きい区域ほど、推定より実測を重視します。体積計算範囲の中央に広い植生欠損がある場合と、外周付近に小さな欠損がある場合では、同じ補間方針を採用する必要はありません。
点群取得時に草木の誤認を減らす計測条件
後処理を減らすには、計測前の現地確認と取得計画が重要です。草丈、密度、地盤の露出状況、法面の向き、立入可能範囲、日照、風、重機動線を確認し、地盤を捉えられる計測方法を選びます。
写真測量では、草木で地盤が見えない場所を撮影角度だけで解決できるとは限りません。斜め写真や地上写真を追加すると遮蔽が減る場合がありますが、密生部の下がどの画像にも写らなければ、地盤点は生成されません。撮影前に地盤露出の有無を確認することが先決です。
風で草や葉が動くと、写真間で同じ特徴を対応付けにくくなり、点のばらつきや欠損が増える可能性があります。可能な範囲で風が弱く、被写体ぶれが少ない条件を選びます。露出やシャッター速度を調整する場合も、画像間の明るさが極端に変わらないようにします。
レーザー計測では、植生の隙間から地盤点を取得できる可能性がありますが、密生度、走査方向、入射角、距離、機器特性によって結果が変わります。最も低い点を無条件に地盤とせず、孤立点、外れ点、構造物下面などが混入していないか確認します。([国土地理院][2])
法面は一方向だけでなく、遮蔽が減る位置から複数方向で計測できるか検討します。ただし、対象面へ近づけば必ず精度が上がるわけではなく、計測距離、入射角、安全な設置位置、機器の有効範囲を総合して決めます。
基準点、標定点、検証点は、草の上や動きやすい地面を避け、安定して再確認できる場所へ設置します。公共工事等では、適用要領に定められた計測性能、精度確認、配置条件、成果品の作成方法に従います。([国土交通省][3])
計測中は、全景写真だけでなく、代表的な植生区域の近接写真も残します。草の下に地面が見えるか、刈草が堆積しているか、落ち葉が張り付いているか、地形の折れ目がどこにあるかを記録すると、後処理時の判断材料になります。
現場を離れる前に簡易点群やプレビューを確認し、地盤点が不足する区域を把握します。その場で追加計測できれば、後日の再訪や広範囲の推定を減らせる可能性があります。
除去後の地盤面を確認する方法
草木除去後は、点群が整って見えるかではなく、体積計算へ使用できる地盤面になっているかを確認します。過度に滑らかな面は見栄えが良くても、施工時の凹凸や地形変化を失っている可能性があります。
最初に原点群、植生候補点、処理後の地盤点を重ねて表示します。削除した点が草木区域に集中しているか、法肩、法尻、排水溝、構造物境界、わだちまで消えていないかを確認します。
次に縦断面と横断面を確認します。草木が残る場所では、地盤面の上に点の厚みや不自然な突起が見えることがあります。地盤点を削除しすぎた場所では、長い三角形や直線的な補間面が生成されることがあります。
等高線や陰影表示も有効ですが、それだけで合否を決めません。草木が残れば細かな閉曲線が増える場合がありますが、石、掘削跡、わだちでも同様の形状になります。原点群、写真、断面と合わせて判断します。
既知点や補測点がある場合は、最終面との標高差を確認します。検証点は処理対象から離れた安定部だけでなく、植生除去部や補間部の近くにも配置します。処理対象外だけで精度を確認しても、補間区域の妥当性は評価できません。
草木除去前、除去後、補間後の各段階で体積を算出し、変化量を記録します。たとえば3000平方メートルの区域で体積が300立方メートル減少した場合、平均高さ差は10センチメートルです。現場の草丈、点群断面、除去面積と照合し、変化量が説明可能か確認します。
分類しきい値や補間条件をわずかに変えただけで数量が大きく変わる場合は、結果が条件へ過度に依存しています。その場合は、地盤点の追加、区域分割、再計測、計算範囲の再確認を行います。
最終成果には、原点群の保存場所、使用した分類方法、主要なしきい値、手動編集範囲、補間区域、追加測点、確認結果、体積変化量を記録します。処理担当者以外が見ても、どこを実測し、どこを推定したか分かる状態にします。
草木除去で起こりやすい失敗
よくある失敗は、一定高さ以上の点を一括削除し、地盤の起伏や法面の上側まで消してしまうことです。標高しきい値は平坦地と傾斜地で意味が異なるため、暫定地盤面からの距離や局所形状を併用します。
反対に、地盤点を残そうとして条件を緩くしすぎると、短い草や倒れた草が地表面へ残ります。小さな高さ差でも対象面積が広ければ、体積への影響が大きくなる場合があります。
草木を削除した時点で処理を完了し、欠損後の面を確認しないことも問題です。点表示では穴が目立たなくても、TINやグリッド作成時に長距離の補間が行われ、実際と異なる面になることがあります。
設計面へ補間面を合わせすぎると、施工結果ではなく設計形状を数量化することになります。設計面は比較対象として使用し、実測面の欠損を無条件に置き換えるために使用しません。
色情報だけで分類すると、枯草、土、落ち葉、養生材、資材を誤認する可能性があります。反射強度だけでの分類も、距離や入射角などの影響を受けるため、現場内の既知箇所と形状情報を併用します。
施工前点群と施工後点群で異なる分類方針を使うと、体積差へ処理方法の違いが混入します。自動処理ソフトや設定値が異なる場合は、条件差を記録し、比較結果への影響を確認します。
異なる日時の追加点群を無条件に統合することも避けます。再計測までに地形が変わっていれば、座標を正しく合わせても同一時点の地盤面にはなりません。
編集後のデータだけを残し、原点群や作業記録を失うと、後から数量根拠を説明できません。処理の再現性と追跡性を確保するため、編集前後のデータと判断記録を保存します。
出来形体積計測の実務フロー
草木がある現場では、現地確認、計測計画、現地処理、点群取得、分類、地盤面作成、数量算出、検証、記録の順で進めます。途中で問題が見つかったときに前工程へ戻れるよう、各段階のデータを保存します。
現地確認では、体積計算範囲、植生分布、地盤露出、地形変化点、立入条件を確認します。全面除草、重要箇所のみの除草、追加測点、別方式での計測のどれが必要かを判断します。
計測前に除草する場合は、刈草や枝葉を移動し、法肩、法尻、小段、排水溝、工区境界を優先して露出させます。除草できない区域は、点群処理だけで対応できるか、補測が必要かを事前に整理します。
点群取得では、適用する計測方法の要求精度と現場条件を確認し、遮蔽を減らせる方向からデータを取得します。写真、基準点、検証点、計測日時、施工状況も記録します。
点群作成後は原点群を保存し、明らかな植生から段階的に除去します。高さ差と面の連続性を基本とし、色、点密度、鉛直分布、反射強度は補助情報として使用します。
草木除去後に地盤点が残る区域は、実測点を基に地表面を作成します。地盤点が不足する区域は、欠損の大きさ、地形の複雑さ、数量影響を確認し、補間、追加測点、再計測から選びます。
地表面作成後は、原点群との重ね合わせ、断面、等高線、陰影、既知点との差、処理前後の体積差を確認します。草木の残存と地盤点の過剰削除を両方確認します。
体積計算では、比較する面の座標参照系、標高基準、境界線、計算範囲、面作成方法をそろえます。施工前後で処理条件を完全に同一にできない場合は、違いと数量への影響を記録します。
公共工事等の出来形管理では、一般的な点群処理の考え方だけでなく、契約図書と適用要領に従って計測性能、精度確認、成果品、監督・検査方法を確認します。([国土交通省][3])
最後に、除去範囲、分類条件、補間範囲、追加計測範囲、検証結果、体積変化量を整理します。数量だけでなく、その数量を導いた地盤面の作成過程を残すことで、社内確認や発注者への説明に対応しやすくなります。
まとめ
出来形体積計測で草木を地盤と誤認しないためには、点群編集だけでなく、計測前の現地確認から最終面の検証までを一つの工程として管理する必要があります。
計測前に地盤を露出できる場合は、除草と残留物の撤去によって、直接計測できる範囲を増やします。取得済み点群を処理する場合は、高さ差と地表面の連続性を基本とし、色、点密度、鉛直方向の分布、反射強度は補助情報として使用します。
草木を除去した後に地盤点が不足する場合は、補間できる条件かを確認します。欠損が広い、地形が複雑、重要な変化点を含む、数量への影響が大きい場合は、推定だけで完了させず、追加測点や再計測を検討します。
原点群、処理条件、補間範囲、追加計測、体積変化量を保存し、実測部と推定部を区別することで、出来形体積計測の説明性と再現性を高められます。重要なのは点群を滑らかに見せることではなく、計測時点の地盤形状を、根拠を示せる方法で表現することです。