UAVを用いた出来形体積計測では、飛行高度や画像の重複率だけでなく、飛行速度と撮影間隔、シャッター速度の組み合わせを確認する必要があります。速度が高すぎると、時間間隔で撮影する方式では撮影地点の間隔が広がり、計画した前後方向の重複を確保できないおそれがあります。また、露光中の移動量が大きくなると、画像の細部が進行方向に流れ、写真測量で利用する特徴点を安定して抽出しにくくなる場合があります。
ただし、低速に設定すれば自動的に高精度になるわけではありません。画像品質は、対地高度、地上画素寸法、カメラの露出、レンズ特性、地表面の模様、風による機体姿勢の変化、標定点や検証点の条件などにも左右されます。距離間隔で撮影する方式では、速度を下げても撮影地点間隔が変わらないことがあります。逆に、必要以上に撮影枚数を増やすと、処理時間やデータ容量が増え、明るさや影の状態が飛行中に変化する可能性もあります。
令和7年3月の国土交通省の監督・検査要領では、空中写真測量による出来形管理について、施工計画書の撮影計画、標定点・検証点、カメラキャリブレーション、精度確認試験などを確認する枠組みが示されています。飛行速度は単独の合否基準として扱うのではなく、必要な成果精度を得るための撮影計画の一要素として管理することが重要です。
本記事では、「出来形 体積 計測」で情報を探している実務担当者に向けて、UAVの飛行速度で計測品質を落とさないための3つの設定を解説します。数値例は計算方法を理解するための例であり、実際の計測では発注図書、適用要領、使用機器の仕様、飛行アプリの制御方式、写真測量ソフトの推奨条件に従って設定してください。
出来形体積計測で飛行速度が精度に影響する理由
UAV写真測量では、異なる位置から撮影した複数の画像に写る共通の特徴を対応させ、カメラ位置と地表面の三次元形状を推定します。そのため、隣接画像に十分な共通範囲があり、地表の模様や輪郭が判別できる画質で記録されていることが基本になります。
時間間隔でシャッターを切る方式では、飛行速度が高くなるほど隣り合う撮影位置が離れます。撮影範囲が同じなら、撮影位置の間隔が広がるほど進行方向の重複率は低下します。均された盛土天端、色調の似た土砂、濡れた地盤、水たまり、強い反射がある面などは、もともと特徴点を得にくいため、重複不足の影響が現れやすい条件です。
飛行速度は画像ぶれにも関係します。露光中にも機体は地上に対して移動するため、対地速度が大きいほど露光中の地上移動量も大きくなります。画像を全体表示したときには問題がないように見えても、拡大すると砕石の輪郭、タイヤ跡、法肩、法尻、材料境界が進行方向ににじんでいることがあります。写真測量で重要なのは見栄えのよい写真ではなく、解析に使える特徴が画像内に安定して残っていることです。
出来形体積は、計測した地表面と設計面、施工前面、水平基準面などとの差を対象範囲内で積算して算出します。点群に局所的な欠損や高さのばらつきがあると、面生成の方法や境界位置によって体積値が変化しやすくなります。ただし、体積差の原因を飛行速度だけに限定することはできません。座標系、標高基準、標定点・検証点、不要物除去、点群の間引き、三角網の生成条件、計測境界なども結果に影響します。
したがって、飛行速度は「遅いほどよい」「毎秒何メートルなら安全」と一律に決めるのではなく、画像ぶれによる上限と、必要な重複率を維持する上限の両方から検討します。そのうえで、地形や風、旋回位置、機体とカメラの性能を踏まえて運用値を決めることが必要です。
設定1 画像ぶれから飛行速度の上限を決める
1つ目は、露光中の移動量を確認し、画像ぶれを抑えられる飛行速度の上限を設定する方法です。国土交通省の技術概要でも、空中写真測量の撮影計画では、ラップ率などの条件から飛行速度とシャッタースピードを求める考え方が示されています。([国土交通省][1])
露光中の地上移動量は、概算では対地速度と露光時間の積で求められます。たとえば、対地速度が毎秒5メートル、露光時間が1000分の1秒なら、露光中の地上移動量は約5ミリメートルです。この値を地上画素寸法と比較すると、速度とシャッター速度の組み合わせが妥当かを検討しやすくなります。
ただし、この計算だけで画像品質や出来形精度を保証することはできません。実際の画像には、機体振動、ジンバルの挙動、カメラ姿勢、焦点、レンズ周辺部の画質、電子シャッターの読み出し方式、風による瞬間的な姿勢変化なども影響します。計算値は上限設定の出発点として使い、最終判断は試験撮影した画像と精度確認結果で行います。
飛行前には、本番と同程度の対地高度、カメラ角度、画像形式、露出条件で短い区間を試験撮影します。画像中央だけでなく四隅も拡大し、砕石、土塊、タイヤ跡、法肩線、構造物との取り合いなどが判別できるかを確認します。進行方向に細長く流れる箇所が連続している場合は、飛行速度を下げるか、シャッター速度を速くするか、撮影時間帯を変更する必要があります。
自動露出を使用する場合は、飛行中にシャッター速度が変化する点に注意します。開けた天端では十分に速いシャッター速度でも、法面の影、構造物の近く、曇天、夕方では露光時間が長くなる場合があります。明るい区間の代表画像だけで判断せず、最も暗い撮影範囲で得られるシャッター速度を確認します。
感度を上げればシャッター速度を確保しやすくなりますが、感度を上げすぎるとノイズが増え、細かな模様を抽出しにくくなる場合があります。絞りを変更できるカメラでは、回折やレンズ周辺部の画質、被写界深度も関係します。したがって、速度だけを下げるのではなく、シャッター速度、感度、絞り、地上画素寸法を一体で調整します。
飛行アプリに入力する設定速度と、撮影時の実際の対地速度が一致するかも確認が必要です。自動飛行では設定した速度を維持する機体が多い一方、加速区間、減速区間、急な経路修正、風の影響、機体の制御方式によって実速度が変化することがあります。「追い風なら必ず設定値を超える」とは限らないため、機種ごとの制御仕様を確認し、飛行ログや画像位置から実際の撮影地点間隔を評価します。
画像ぶれを基準にした上限速度は、最良条件ではなく、現場で想定される暗部や風の変化を含めて決めます。ただし、風が強い状況で速度を下げれば姿勢が必ず安定するわけではありません。機体の運用限界や安全条件を超える場合は、設定変更で対応しようとせず、飛行の延期や中止を判断します。
設定2 重複率と撮影間隔から飛行速度を決める
2つ目は、必要な画像重複率を確保できるように、1枚の地上撮影範囲と撮影地点間隔から速度を設定する方法です。
進行方向の撮影地点間隔は、時間間隔撮影であれば、概算で対地速度と撮影間隔の積になります。毎秒4メートルで飛行し、2秒ごとに撮影する場合、撮影地点の間隔は約8メートルです。進行方向に写る地上範囲が40メートルなら、単純な平面計算では前後重複率は約80パーセントになります。同じ撮影間隔のまま毎秒8メートルに上げると、撮影地点間隔は約16メートルとなり、計算上の重複率は約60パーセントになります。
この80パーセントや60パーセントは、計算関係を説明するための例です。公共測量、出来形管理、起工測量、出来高確認などでは、目的や適用要領によって計画値、実施値、確認方法が異なることがあります。国土地理院の公開資料でも、シャッター速度、風速、画像のぶれ、コース方向とコース間の重複度をまとめて管理する様式が示されています。旧マニュアルの内容は現在、作業規程の準則へ反映済みと案内されているため、実務では最新版の準則、発注図書、監督職員との協議内容を優先してください。
実際の地上撮影範囲は、対地高度、センサー寸法、焦点距離、画像の長辺と短辺の向き、カメラ姿勢によって変わります。海抜高度を一定にして起伏のある地形を飛ぶと、地盤が高い場所では対地高度が低くなり、1枚に写る地上範囲が狭くなります。その結果、同じ撮影地点間隔でも重複率が小さくなります。速度を計算するときは、平均的な標高ではなく、計測範囲内で地上撮影範囲が最も狭くなる条件を確認します。
地形追従飛行を使用する場合も、計画上の対地高度が常に完全に維持されるとは限りません。地形モデルの解像度、急な段差、飛行経路の補間、測位状態などによって、高度変化に差が生じる可能性があります。地形追従を設定したことだけで重複率を保証せず、撮影後に画像位置と実施重複を確認します。
進行方向の重複だけでなく、隣接コース間の重複も重要です。横方向の重複は主に飛行高度、カメラの撮影幅、コース間隔で決まりますが、横風による経路偏差やカメラ姿勢の変化があると、実際の共通範囲が計画より狭くなる場合があります。速度を落とすだけでは横方向重複を直接確保できないため、コース間隔と飛行経路の実績を別に確認します。
距離間隔撮影では、速度が変化しても撮影地点間隔を一定に保ちやすくなります。ただし、カメラの最短撮影間隔、画像保存時間、記録媒体、飛行アプリとカメラの通信遅延などにより、要求した地点で必ず撮影できるとは限りません。速度を上げるほど必要な連写速度も高くなるため、機器の実性能を超えないか試験します。
速度の上限は、許容する撮影地点間隔を実際の撮影間隔で割って求められます。たとえば、進行方向の地上撮影範囲が50メートルで、計画上80パーセントの重複を確保する場合、許容する撮影地点間隔は10メートルです。実際の撮影間隔が2秒なら、単純計算上の速度は毎秒5メートルです。ただし、これは平坦地、鉛直撮影、一定高度、一定撮影間隔を仮定した計算例です。実務では、地形、風、加減速、撮影間隔のばらつきを見込み、計算上の限界値をそのまま運用値にしないことが重要です。
設定3 地形・風・旋回区間ごとに速度を切り替える
3つ目は、現場全体を一つの速度で飛行するのではなく、撮影条件が変わる区間を分けて速度と経路を設定する方法です。
平坦で障害物が少なく、対地高度を保ちやすい直線区間では、設定1と設定2で求めた上限の範囲内で効率を重視した速度を選びやすくなります。一方、法肩、法尻、掘削端部、構造物際、土砂山の斜面などは、地形が急変し、境界形状の再現が体積算出に影響しやすい場所です。こうした範囲では、撮影地点間隔に余裕を持たせるため、必要に応じて直線区間より低い速度を設定します。
ただし、低速化だけで急斜面の欠測を解決できるとは限りません。鉛直写真では、急勾配面や段差の側面が十分に写らない場合があります。対象形状、成果要件、使用ソフトの処理条件を確認したうえで、必要に応じて撮影方向やコース配置を見直します。斜め画像を追加する場合も、出来形管理に使用する画像群との整合、標定方法、不要物の写り込み、処理手順を事前に整理します。
風の影響は、現場内で一様とは限りません。建物、法面、仮囲い、樹木の近くでは局所的な乱れが発生することがあります。機体姿勢が大きく変化する状況では、速度を下げても画像品質が改善しない場合があります。試験飛行で姿勢、経路偏差、実対地速度を確認し、安全な運用が難しい場合は飛行を中止します。
旋回区間は、直線撮影区間と分けて計画します。飛行線の端部では減速、旋回、再加速が行われ、画像間隔やカメラ姿勢が不均一になりやすいためです。計測対象の境界直上で旋回せず、対象外側に余裕を設け、所定速度と姿勢が安定した状態で対象範囲へ入る計画にします。
速度変更位置も、計測対象の境界と一致させないことが大切です。法肩や構造物端部に到達してから減速を始めると、重要区間の最初の画像が広い間隔で撮影される可能性があります。減速距離を見込み、対象範囲へ入る前に運用速度へ移行します。終端側も、対象範囲を通過する前に減速や旋回を始めないようにします。
現場全体を一律の低速で飛行する方法は単純ですが、常に最適とは限りません。必要以上に画像枚数が増えれば、保存容量と処理時間が増加します。長時間の飛行により照明条件や影の位置が変化する場合もあります。平坦な直線区間、地形変化区間、外周区間、旋回区間を分け、品質上の理由がある場所だけ速度を抑えるほうが、計測と処理のバランスを取りやすくなります。
飛行速度を決める前に固定する計測条件
飛行速度を計算する前に、成果に必要な条件を整理します。地上画素寸法、対地高度、カメラ角度、画像の向き、前後方向と横方向の重複、撮影方式、計測範囲、座標系、標高基準が決まっていなければ、適切な速度を求めることはできません。
最初に、体積計測の目的を明確にします。施工前後の土量差を把握するのか、設計面との差を確認するのか、仮置き土の概略数量を管理するのかによって、必要な精度、点密度、境界の扱いが異なります。出来形管理として使用する場合は、任意の社内基準だけで判断せず、契約図書や適用要領に示された要求精度と管理方法を確認します。
次に、必要な地上画素寸法から対地高度を検討します。高度を下げると一般に地上画素寸法は小さくなりますが、1枚の撮影範囲も狭くなります。同じ重複率を確保するには、撮影地点間隔を短くする必要があるため、時間間隔撮影では速度を下げるか、撮影間隔を短くする必要があります。高度、解像度、速度は独立した設定ではありません。
施工前後の差分を求める場合は、可能な範囲で撮影条件と処理条件をそろえます。高度、撮影方向、カメラ設定、重複率、標定方法、点群の間引き、面生成条件が大きく異なると、表面の粗さや欠測傾向の違いが差分に混ざる場合があります。ただし、天候や地形が変わったのに前回値を固定的に流用するのも適切ではありません。共通条件を保ちながら、変更した項目と理由を記録します。
位置と高さの基準も先に決めます。標定点を使用する場合は、計測範囲と高低差を踏まえて配置し、検証点は標定計算から独立して精度を確認できるようにします。カメラ位置を高精度に直接計測する方式でも、使用条件を満たしているかを確認し、必要な検証点を省略しないようにします。座標系や標高基準の取り違えは、飛行速度を適切にしても補えません。
体積の対象境界より外側にも、安定して面を作るための撮影余裕が必要です。境界ぎりぎりで飛行線や画像が終わると、外周部の重複が不足し、点群や三角網が不安定になることがあります。計測対象の外側まで直線飛行を延ばし、境界部を画像群の中央寄りで捉えられる計画にします。
これらを固定した後、画像ぶれから求めた上限速度と、重複率から求めた上限速度を比較します。運用速度は原則として低い方を超えないようにし、さらに加減速、地形、撮影間隔のばらつきを考慮します。ただし、必要以上の安全率を一律に加えるのではなく、試験撮影と精度確認の結果を使って現場に合う値を決めます。
現場で実施したい飛行前確認
飛行計画が完成していても、現地条件が計画時と異なれば設定を見直します。飛行前には、天候、風、明るさ、地表面、障害物、作業車両、人の立入り、測位状態を確認します。
風は地上の体感だけで判断せず、可能な範囲で飛行高度付近の状況を試験飛行や予報情報から確認します。地上では穏やかでも、盛土天端や開けた場所では風が強い場合があります。機体メーカーが定める運用条件、現場の飛行計画、安全管理基準を優先し、画像品質のために無理な飛行を行わないことが前提です。公共測量でUAVを使用する場合も、国土地理院は航空法令や関連ガイドライン、国土交通省航空局の飛行ルールを遵守し、安全確保に努めるよう案内しています。([国土地理院][2])
明るさは、現場内で最も条件の悪い範囲を確認します。盛土の反対側法面、構造物の影、樹木の近くでは、天端よりシャッター速度が遅くなる場合があります。自動露出を使う場合は試験画像の撮影情報を確認し、必要なシャッター速度を維持できないときは、速度の見直しだけでなく撮影時間帯の変更も検討します。
地表面の状態も確認します。水たまり、濡れた土、均一な砂、反射の強い材料、移動する草木などは、画像間の対応付けが不安定になりやすい条件です。低速化で撮影枚数を増やしても、反射や移動体の問題が解決しない場合があります。撮影時期、撮影方向、対象範囲、不要物除去の方針を含めて判断します。
障害物や稼働中の重機がある場合は、計測範囲内で急な回避や高度変更が起こらない経路を計画します。安全上必要な離隔を確保できない場合は、計測範囲を分割する、作業時間を調整する、別の計測方法を併用するなどの対応が必要です。
試験撮影では、数枚の鮮明さだけでなく、連続画像の撮影位置、画像枚数、撮影間隔、飛行線のずれも確認します。速度を変更した場合は、前後重複率を再計算します。高度を変更した場合は、地上画素寸法と地上撮影範囲を再計算します。撮影間隔を短くした場合は、カメラの連続撮影能力と保存状況を確認します。
飛行速度の設定で起こりやすい失敗
よくある失敗は、飛行時間を短縮するために速度だけを上げることです。時間間隔撮影では、速度を上げるほど撮影地点間隔が広がります。飛行計画画面にコースが表示されていても、実画像の重複が確保されているとは限りません。
次に、設定速度をそのまま実対地速度として扱う失敗があります。自動飛行中は、加速、減速、経路修正、風、機体制御によって実速度が変化する場合があります。風向だけから実速度を推測せず、飛行ログや画像位置を確認します。
高度を上げれば速度も上げられると単純に判断することにも注意が必要です。高度を上げると撮影範囲が広がり、重複率の面では撮影地点間隔を広げられる場合がありますが、地上画素寸法も大きくなります。必要な細部を表現できない高度まで上げては、体積計測の目的を満たせません。
日中だからシャッター速度は十分だと決めつけるのも危険です。雲、影、撮影方向、カメラの自動露出により、同じ飛行内でも露光時間は変化します。代表画像の平均値だけではなく、最も遅いシャッター速度と画像のぶれを確認します。
距離間隔撮影を設定したため、どの速度でも問題ないと考えるのも誤りです。カメラの最短撮影間隔を超える速度では、撮影要求に追従できず、画像が欠落したり、予定位置より遅れて記録されたりする可能性があります。撮影位置の実績で確認します。
対象境界の直上で旋回する計画も避ける必要があります。外周部は体積範囲を切り出すうえで重要ですが、旋回時の姿勢変化や不均一な画像間隔が集中すると、点群端部が不安定になりやすくなります。対象外側に余裕を設けます。
低速にしたことで品質確認を省略することも失敗です。低速でも、基準点の誤り、撮影漏れ、ピント不良、強い反射、移動体、植生、処理設定によって精度は低下します。速度は品質を構成する一条件であり、最終的な判定は精度確認と成果データの点検で行います。
撮影後に確認する点群と体積の品質
撮影後は、体積値だけを見るのではなく、元画像、撮影位置、写真測量の品質指標、点群、面、境界、体積の順に確認します。
最初に、画像のぶれ、ピント、露出、反射、影を確認します。平坦部の代表画像だけでなく、暗部、法面、外周、加減速区間、旋回前後を選び、拡大表示します。進行方向の流れが特定区間に集中している場合は、その区間の実対地速度とシャッター速度を照合します。
次に、画像位置と撮影間隔を確認します。飛行線上に欠けた画像がないか、速度変更区間で間隔が広がっていないか、隣接コースが想定位置から外れていないかを見ます。計画値だけでなく、実際に採用する画像で重複を確認することが大切です。
写真測量処理では、画像の位置推定、再投影誤差、標定点と検証点の残差、除外画像の位置などを確認します。ソフトが処理を完了したことと、要求精度を満たしたことは同じではありません。異常値を除外した場合は、理由と処理前後の結果を記録します。
点群では、密度だけでなく高さのばらつきと欠損を確認します。平坦な天端や舗装面が波打っていないか、法肩が不自然に丸くなっていないか、法尻や構造物際に空白がないかを見ます。断面表示を使うと、局所的な突起、くぼみ、面の揺らぎを把握しやすくなります。
検証点がある場合は、水平と高さの較差を確認し、計測範囲内の位置による偏りを見ます。平均値だけが良好でも、外周部や高低差のある場所で較差が大きい場合があります。出来形体積では高さ方向の偏りが積算結果に影響しやすいため、場所ごとの傾向を確認します。
体積値は、境界や面生成条件に対する安定性も確認します。境界をわずかに変更しただけで結果が大きく変わる場合は、境界付近の点群欠損、不要物、急斜面、基準面の不整合を疑います。点群の間引きや三角網の生成条件を変更した場合も、結果がどの程度変わるかを記録します。
施工前後の差分では、施工していない範囲に大きな変化が出ていないかを確認します。差がある場合は、座標系、標高基準、標定条件、植生、車両、資材、表面の湿潤状態、点群処理条件などを確認します。疑わしい体積値を数値補正だけで合わせず、元画像まで戻って原因を追跡します。
再計測を減らすための運用ルール
再計測を減らすには、速度の数値だけでなく、設定根拠と結果を一緒に記録します。飛行高度、地上画素寸法、設定速度、実対地速度、撮影方式、撮影間隔、シャッター速度、感度、カメラ角度、計画重複率、実施重複、風、天候、地表面の状態を残します。
点群処理後は、画像の除外数、標定点と検証点の較差、欠損範囲、高さのばらつき、体積値、境界条件、再撮影の有無を追記します。設定と結果を対にして残すことで、次回の速度設定を経験則だけに頼らず見直せます。
同じ現場を複数回計測する場合は、前回条件を基準にしつつ、同じ数値を無条件に流用しません。施工の進行で地形や障害物が変われば、対地高度や重複条件も変化します。季節や時間帯が変われば露出条件も変わります。共通化する項目と変更する項目を分け、変更理由を記録します。
運用上は、平坦な直線区間用と、法面・境界・構造物周辺用の速度を事前に設定しておく方法があります。ただし、二段階の固定値だけで全現場に対応できるわけではありません。各速度が、画像ぶれと重複率の両方の上限を満たすか確認し、速度変更位置も飛行計画に記録します。
撮影終了直後の現場確認も重要です。画像枚数、撮影位置、代表画像のぶれ、対象範囲の網羅、検証点の写り込みを確認してから撤収します。帰社後に不足が判明すると、地形や土量が変化して同じ条件で再撮影できない場合があります。
飛行計画、操縦、写真測量処理、体積算出の担当者が異なる場合は、速度設定の理由を共有します。毎秒何メートルという数値だけでは、現場条件が変わったときに適切な変更ができません。画像ぶれによる上限、重複率による上限、地形区間ごとの運用値という考え方を共通化することが、設定の属人化を減らします。
まとめ
UAVの飛行速度は、出来形体積計測の作業時間だけでなく、露光中の移動量、撮影地点間隔、画像重複、点群の欠損や表面品質に関係します。ただし、速度だけで出来形精度を決めることはできません。対地高度、地上画素寸法、カメラ設定、地形、風、標定点・検証点、処理条件、境界設定を含めて管理する必要があります。
1つ目の設定は、シャッター速度と対地速度から露光中の移動量を概算し、試験画像で確認して上限速度を決めることです。自動露出を使用する場合は、明るい天端だけでなく、暗部でのシャッター速度を確認します。
2つ目の設定は、必要な前後重複率と実際の撮影間隔から速度を求めることです。時間間隔撮影と距離間隔撮影では速度の影響が異なります。地形の高低差で対地高度が変わる現場では、地上撮影範囲が最も狭くなる場所を基準に確認します。
3つ目の設定は、平坦な直線区間、法面や境界、外周、旋回区間を分けて速度と経路を設定することです。ただし、低速化だけで風や急斜面の問題を解決しようとせず、撮影方向、コース配置、飛行可否を含めて判断します。
最終的な品質判定は、設定値ではなく成果で行います。元画像のぶれ、実施重複、標定点・検証点の較差、点群断面、境界付近の欠損、体積値の安定性を確認し、疑問がある場合は元画像まで戻って原因を追跡します。
現場では、スマートフォンで取得した補足位置情報や写真、クラウド上の記録、UAV点群、点群処理ソフトの結果を関連付けて管理すると、撮影条件と体積結果を追跡しやすくなります。飛行速度の数値だけでなく、設定根拠、現場条件、精度確認結果を一体で残すことが、再計測を減らし、出来形体積計測の信頼性を高める基本です。