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地籍調査で境界に庭木が越境?確認すべき4点

地籍調査の現地調査では、境界付近の庭木や生垣をめぐって、土地所有者などの認識が食い違うことがあります。「枝が隣地へ張り出している」「根が塀を押しているように見える」「昔からこの木を境界の目印にしてきた」といった話が出ると、筆界の確認と庭木の管理問題が混在しやすくなります。

しかし、地籍調査で確認する筆界と、越境した庭木を誰がどのように処理するかという私人間の問題は、原則として分けて整理する必要があります。庭木が境界付近にあっても、その木自体が筆界を示すとは限りません。また、枝や根が越境していることだけで筆界の位置が決まるわけでもありません。

地籍調査は、新しい筆界を当事者の合意で作る手続ではなく、登記関係資料や現地の状況などを踏まえて既存の筆界を調査するものです。所有者等による確認方法には現地立会いのほか、図面等による確認が用いられる場合もあります。実際の進め方は、地籍調査の実施主体や適用される作業規程に従います。([国土交通省][1])

この記事では、地籍調査で境界付近の庭木が問題になったときに確認したい4点を中心に、現地での整理方法、記録の残し方、判断がまとまらない場合の対応を解説します。個別の切除、立入り、損害賠償、費用負担については事案ごとに判断が異なるため、必要に応じて弁護士、土地家屋調査士、自治体の担当部署、樹木管理の専門家へ確認してください。

地籍調査と庭木の越境問題を分けて考える

地籍調査は、国土調査法に基づき、一筆ごとの土地について所有者、地番、地目、境界、面積などを調査・測量し、地籍図と地籍簿を作成する事業です。成果は所定の手続を経て登記所へ送付され、登記記録や地図の更新に利用されます。([国土交通省][2])

現地では、既存の境界標、登記所地図、地積測量図などの登記関係資料、過去の測量成果、道路や水路との位置関係、土地利用の経過などを確認し、筆界に関する情報を総合的に検討します。庭木や生垣は目に見えやすいため境界の目印として語られやすいものの、それだけで筆界を判断できるとは限りません。

たとえば、「松の木までが自分の土地だと聞いている」「生垣の中心が境界だ」「柿の木の外側に杭があった」といった説明は、土地利用の経過を把握する参考情報にはなります。一方で、植栽時期、植え替え、幹の成長、刈り込み、周辺工事などにより、現在の外形が過去の位置関係を正確に示していない可能性があります。

庭木は成長します。幹が太くなれば根元の形が変わり、枝は境界線を越えて伸びることがあります。根は地中で広がるため、地表に見える幹の位置だけから地下の状態を断定することはできません。生垣も刈り込みや植え替えによって形状が変わります。

また、筆界と、当事者が利用上の便宜から認識している境目が一致しない場合もあります。境界から内側に植えた生垣が長年のうちに境界だと思われるようになったケースや、過去の所有者間で共同管理していたものの、その経緯が現在の所有者へ引き継がれていないケースも考えられます。

庭木の問題には、空中へ張り出した枝、地中へ伸びた根、境界付近の幹、落ち葉、日陰、果実、害虫、倒木への不安など、複数の論点があります。地籍調査の担当者がすべてを同時に解決しようとすると、筆界の調査まで進まなくなるおそれがあります。

現地調査の冒頭では、「本日は筆界に関する確認を行い、庭木の剪定や費用負担などは必要に応じて別途協議する」と整理しておくと、境界確認への同意と伐採への同意が混同されにくくなります。庭木に関する要望が出た場合も、筆界に関する主張、越境の事実、管理上の不満、希望する対応を分けて記録します。

確認すべき1点目は境界の位置と判断根拠

庭木が越境しているように見える場合、最初に確認したいのは筆界の位置です。筆界がどこにあるか整理できていなければ、枝や根が境界線を越えているかも正確には判断できません。

まず、現地に境界標らしき標識が残っているかを確認します。コンクリート杭、石標、金属標、鋲、構造物上の表示などがあります。ただし、標識が見つかっただけで正しい境界点と即断してはいけません。庭木の根や土圧で傾いている、造成や塀の改修時に動いている、土砂に埋まっている、別目的の杭を境界標と誤認している可能性があるためです。

次に、過去の測量成果や周辺の境界点との整合性を確認します。登記所地図、地積測量図、過去の境界確認資料、分筆時の図面、道路・水路に関する資料、開発や区画整理の測量成果などが手掛かりになります。ただし、図面は作成年代、縮尺、作成目的、精度が異なります。図面に線があるだけで、現地の一点へそのまま復元できるとは限りません。

庭木が古くから存在する場合は、植栽の経緯も聞き取ります。誰がいつ植えたのか、植える際に隣地所有者との確認があったのか、移植や植え替えがなかったか、当時の杭や塀がどこにあったかを確認します。古い写真、売買時の資料、工事記録、近隣住民の説明なども参考になりますが、資料の作成時期や根拠を区別して扱います。

「昔からある」という事実だけで、庭木の位置を筆界と断定することはできません。境界から離して植えた可能性や、成長によって幹の外周が境界線へ近づいた可能性もあります。長期間の占有や利用が所有権関係に影響するかどうかは、地籍調査担当者が現場だけで判断できる問題ではありません。

現地では、「木のところが境界」といった曖昧な表現を避けます。一方は幹の中心、他方は根元の外側を想定しているかもしれません。生垣でも、中心線、刈り込み面、支柱、ブロック基礎など、見ている基準が異なることがあります。

筆界を示すときは、どの点とどの点を結ぶ線かを具体的に共有します。必要に応じて仮の表示を用い、関係者が同じ位置を見ているか確認します。庭木の根元付近に境界点がある場合は、幹の一部を基準にするのではなく、測量上の点と周辺の安定した点との位置関係を記録します。

太い根などのため境界点へ直接標識を設置しにくい場合は、実施主体の作業規程や運用に従い、引照点や座標、写真など、将来復元できる方法を検討します。現場判断で標識位置を境界線からずらしたり、既存標識を動かしたりしてはいけません。

資料と現況が一致しない場合は、その場の多数決や一方の強い主張で決めず、各当事者が示す位置、その根拠、標識の状態、周辺点との整合性を記録します。追加調査が必要であれば、確認を保留し、資料を精査してから説明する方が安全です。

確認すべき2点目は庭木の所有者と越境部位

筆界の位置を整理した後は、庭木について処分権限を持つ人と、越境している部位を確認します。日常的に剪定している人が、土地や庭木について法的な処分権限を持つとは限りません。

土地所有者、共有者、借地人、建物の居住者、管理を任された親族、管理会社など、複数の関係者がいる場合があります。相続登記が未了で相続人が複数いることや、賃貸借契約上の管理分担が定められていることもあります。大幅な剪定や伐採について協議するときは、日常管理者だけでなく、対象行為を決められる権限者を確認します。

庭木の帰属は、幹の見た目だけで一律に決められるとは限りません。土地との付合、植栽した人、賃貸借契約、共有関係、個別の合意などが関係することがあります。幹が境界線上に見える、株立ちで根元が広い、斜面や石積みに沿って生えているといった場合は、現場だけで所有関係を断定せず、資料確認や専門家への相談を検討します。

越境部位は、枝、根、幹などに分けて記録します。「木が越境している」という表現だけでは、何がどこまで越えているのか分かりません。空中の枝だけか、地中の根が疑われるのか、幹の外周が境界線付近にあるのかで、必要な確認と対応が変わります。

枝の越境を確認するときは、地上の境界線を鉛直方向へ延ばした面を基準として考えます。枝は曲がり、高さによって位置も変わるため、一方向から見ただけで断定しないようにします。高所の枝は無理に近づかず、安全な位置から複数方向で確認します。

写真は、越境部位が分かる近景と、境界標、塀、建物、道路などとの位置関係が分かる全景を組み合わせます。撮影日、撮影方向、写真番号、対象となる境界点を記録し、図面と対応させると後日の説明に役立ちます。

根の越境は地上から見えないことが多いため、推測で断定しない姿勢が必要です。舗装の隆起、塀のひび、排水不良が見つかっても、原因が特定の庭木の根とは限りません。地盤変動、経年劣化、施工上の問題、別の樹木など、他の要因も考えられます。

根の調査で掘削が必要な場合は、所有者等との調整、埋設物、安全管理、樹木への影響を確認します。地籍調査に必要な軽微な探索と、損害原因を特定するための調査や除去工事は分けて扱います。

幹の傾き、枯れ枝、腐朽、空洞など、安全上気になる状態が見える場合は、確認できた外観を記録します。ただし、地籍調査担当者が倒木の危険性を専門的に断定することは避け、必要に応じて樹木医、造園業者、自治体の道路・公園等の管理部署などへ確認を促します。

道路、水路、公園、公共施設用地へ枝が張り出している場合は、民有地同士とは異なる管理上の問題が生じます。通行や排水、施設保全に関わるため、地籍調査部門だけで判断せず、施設管理者と情報を共有します。

確認すべき3点目は枝や根を切除できる条件

境界と越境状況が整理されると、「越えている部分を切ってよいか」が問題になります。ここでは、枝と根で民法上の扱いが異なる点を押さえる必要があります。

民法233条では、隣地の竹木の枝が境界線を越えるとき、土地所有者は竹木の所有者に枝を切除させることができるとされています。そのうえで、竹木の所有者へ催告したにもかかわらず相当の期間内に切除されないとき、所有者または所在を知ることができないとき、急迫の事情があるときは、越境された土地の所有者が枝を切り取れると定められています。根については、隣地の竹木の根が境界線を越えるとき、越境された土地の所有者が切り取れるとされています。([八千代市公式サイト][3])

ただし、条文上切取りが可能な場面でも、どの範囲・方法でも許されるとは限りません。必要性を超えた切除、木全体の枯死や倒木を招く作業、相手方へ不相当な損害を与える方法は、権利濫用や損害賠償など別の問題につながる可能性があります。太い枝や根、高木、腐朽した木は、専門業者へ相談した方が安全です。

「相当の期間」は一律の日数ではなく、越境の程度、危険性、作業の難易度、季節、業者の手配など、具体的事情に応じて判断されます。通知を行う場合は、対象の木、越境している枝、希望する対応、期限、連絡方法を写真や位置図で明確にし、送付記録を残します。

急迫の事情があるかどうかも、単に不便であるというだけで決まるものではありません。折れかかった枝が建物や通行人へ落下する具体的危険があるなど、迅速な対応が必要な事情を客観的に記録します。安全確保が必要な場合でも、可能な範囲で所有者や管理者、道路管理者、消防・警察等の関係機関へ連絡します。

根を切る場合も慎重さが必要です。根の切断で樹木の支持力が低下し、倒木や枯死につながることがあります。境界線を越えた部分であっても、作業前に樹木の状態、切断する根の太さ、周辺構造物、作業後の安全性を確認します。

地籍調査で枝葉が視界を遮り、境界標を確認できない場合でも、担当者が所有者等の了解や必要な手続を確認せずに剪定するのは避けます。別方向からの観測、機器位置の変更、周辺点からの復元など、切除を伴わない方法を先に検討します。

どうしても枝払いが必要な場合は、対象、範囲、作業者、日時、切った枝の処分、境界標の保護を確認します。軽微に見える作業でも、樹木の形状や価値に影響する可能性があるため、同意内容を記録します。

枝の切取りや境界標の調査・測量のために隣地を使用する場合、民法209条による隣地使用が問題になることがあります。同条は、必要な範囲での使用、損害が最も少ない日時・場所・方法の選択、原則として事前通知を求めています。また、住家へは居住者の承諾なく立ち入れません。したがって、「必要だから自由に入れる」「常に相手の承諾がなければ一歩も入れない」と一律に扱わず、具体的な作業内容に応じて確認する必要があります。([e-Gov 法令検索][4])

剪定・伐採費用を誰が負担するかも、地籍調査担当者が一律に決められるものではありません。催告の経過、作業の必要性、契約や合意、損害の有無などで結論が変わり得ます。費用請求を予定する場合は、作業前に弁護士等へ相談し、見積書、通知、写真、領収書などを保存します。

確認すべき4点目は合意内容と記録の残し方

庭木の越境を伴う地籍調査では、何について誰が確認・合意したのかを分けて記録することが重要です。筆界の確認、越境状態の確認、剪定の承諾、伐採の承諾、費用負担、敷地への立入りは、それぞれ別の事項です。

まず、地籍調査に関する記録を整理します。確認した筆界点、確認方法、立会者または図面等を確認した者、参照した資料、既存標識の状態、設置・確認した標識、保留事項などを残します。「庭木付近を境界とした」という記載ではなく、測点番号や周辺の固定点との位置関係が分かるようにします。

次に、庭木について確認できた事実を記録します。「枝が筆界を越えていることを現地で確認した」「根の状態は地上から確認できなかった」「幹の外周が筆界付近にあるが、庭木の帰属については未確認」といった形で、確認済みの事実と推測を区別します。

今後の対応に合意した場合は、誰が、どの範囲を、いつまでに、どの方法で処理するかを具体化します。「後日切る」だけでは、越境枝のみか、枯れ枝だけか、木全体かが分かりません。作業範囲を写真や図面に示し、立入り、養生、処分方法も確認します。

伐採や抜根を行う場合は、境界標をどう保護するかも重要です。根株の除去で地盤が動いたり、杭が抜けたりする可能性があります。必要に応じて作業前に境界点の位置を記録し、作業後に再確認できるようにします。

写真は、境界標と庭木の位置関係、越境部分、周辺全景を残します。撮影日、方向、対象点を対応させます。木は成長や剪定で形が変わるため、撮影時期が分からない写真だけでは経過を説明しにくくなります。

口頭での発言を記録するときは、「双方了承」だけで終わらせず、何への了承かを明示します。筆界位置への確認か、枝の越境への認識か、剪定方法への承諾かを分けます。

代理人が対応する場合は、権限の範囲を確認します。地籍調査の確認を委任されていても、庭木の伐採や費用負担まで決める権限があるとは限りません。共有地や相続関係がある場合も、筆界確認の手続と庭木処分の権限を混同しないようにします。

合意に至らなかった事項も記録します。筆界は確認できたが剪定時期は未定、庭木の帰属は未確認、根による損傷かは未調査、費用負担は保留など、未解決事項を具体的に残します。

記録は、担当者が交代しても経過を把握できる内容にします。図面、写真、調査記録、通知、連絡履歴を相互に対応させ、実施主体の文書管理ルールに従って保存します。

地籍調査の現地立会いを円滑に進める方法

庭木の越境が想定される土地では、事前準備が重要です。対象地と隣接地の登記情報、地図、地積測量図、過去の測量成果、境界確認資料を確認し、現地で確認すべき点を整理します。

案内時には、地籍調査が庭木の処分を決める場ではなく、筆界等を調査する手続であることを伝えます。所有者等による確認は、現地立会いだけでなく、実施主体の判断により図面等を用いる方法が採られる場合もあります。通知に無反応な所有者等については、要件を満たす場合に筆界案の確認があったものとみなす制度もありますが、積極的に拒否している人へ無条件に適用される制度ではありません。([地籍ポータル][5])

現地では、いきなり越境枝を指摘するのではなく、周辺の境界標や測量上の基準点を確認します。関係者が想定する位置をそれぞれ聞き、相違があれば資料と現地表示を用いて整理します。

「木の右側」「生垣の内側」といった表現は、見る方向や刈り込みによって意味が変わります。測点番号、固定構造物、座標、図面など、後から再確認できる表現を使います。

感情的な対立がある場合は、一方の発言を事実として採用せず、主張と根拠を分けて記録します。落ち葉、日照、過去の剪定トラブルなどが出たときは、筆界との関係を確認し、別の協議事項として整理します。

資料不足、標識移動の疑い、権限者不明などがある場合は、その場で無理に結論を出しません。保留理由と追加確認事項を明確にし、必要な資料や次の手続を案内します。

終了時には、その日に確認できた事項を読み合わせます。筆界の確認状況、庭木について確認した事実、今後の作業予定、未解決事項を分けます。署名等を求める場合は、書面がどの事項を対象としているか説明します。

庭木が境界標を覆っている場合の対応

大きくなった庭木や生垣が境界標を覆い、目視できないケースがあります。落ち葉や土に埋もれているだけでなく、根が杭を押している、幹や根元に標識が取り込まれたように見える場合もあります。

最初に行うべきことは、標識の位置を推測して無理に掘ることではありません。過去の測量成果や周辺点から、おおよその位置と探索範囲を整理します。根を切ったり杭を引き抜いたりすると、樹木と標識の双方を損なうおそれがあります。

土や落ち葉を除く場合も、必要な権限と安全を確認し、範囲を限定します。金属棒を無造作に差し込むと、根、配管、電線などを傷つける可能性があります。埋設物情報を確認し、必要以上に掘削しません。

境界標が傾いていても、その場で垂直に戻してはいけません。現在位置、傾き、周辺点との関係を測量・記録したうえで、実施主体の手続に従って復元や再設置を検討します。

庭木を伐採しなければ確認できないように見える場合も、代替方法を検討します。周辺点、座標、引照点、別方向からの観測などで位置を確認できる可能性があります。伐採が必要なときは、権限者、作業範囲、境界標の保護、作業後の再確認方法を事前に整理します。

生垣の中に境界標がある場合は、視認に必要な範囲だけ剪定する方法も考えられます。景観や目隠し機能に配慮しつつ、対象範囲を明確にし、所有者等の確認を得ます。

境界標を再設置する場合、見やすい場所へ勝手に移すことはできません。正しい境界点を保持したまま、引照点、写真、表示などで将来の確認をしやすくする方法を検討します。

庭木の越境をめぐる実務上の注意点

庭木の越境問題は、長年の近隣関係、相続、売買、建替え、塀の設置などが重なり、現在の関係者が過去の経緯を把握していないことがあります。

よくある誤解は、庭木が植えられている位置までが植えた人の土地だという考えです。庭木の位置は土地利用を示す資料の一つですが、単独で筆界を決めるものではありません。

枝が越境していれば木全体を自由に切れるという理解も適切ではありません。越境枝の切取りと、木全体の伐採は別です。民法233条の要件を満たしても、必要な範囲を超える作業は避けなければなりません。

「昔からこの木が境界だった」という説明も、植え替えや成長の有無、当時の標識や図面を確認して評価します。古いことと、現在の筆界位置を正確に示すことは同じではありません。

落ち葉、果実、日陰などの不満から、筆界や木の帰属を判断することはできません。生活上の問題と越境部位の確認を分けます。

空き地や空き家では所有者等への連絡が難しいことがあります。地籍調査で取得した個人情報は、法令、実施主体の規程、利用目的に従って扱い、庭木トラブルのために安易に目的外利用しないよう注意します。

保存樹木、景観条例、文化財、管理規約などの対象になっている木では、所有者間の合意だけで伐採できない可能性があります。地域ごとの制度や必要な許可・届出を確認します。

境界確認がまとまらない場合の整理方法

庭木をきっかけに話がまとまらない場合は、対立する論点を分解します。筆界位置、庭木の帰属、越境の有無、剪定方法、費用負担、安全対策のどこで意見が異なるかを整理します。

「木を切るなら境界を認める」「境界を認めない限り切らない」といった条件付きのやり取りでは、筆界調査と庭木管理が取引材料になりやすくなります。担当者は、筆界の判断根拠と庭木の協議を別々に扱う必要があることを説明します。

筆界について主張が異なる場合は、それぞれの位置と根拠を記録します。既存標識、登記関係資料、過去の図面、周辺点、道路・水路、土地利用の経過などを総合的に検討します。一方が長く利用しているという事実だけで、地籍調査の現場において直ちに筆界が変更されるわけではありません。

資料が不足している場合は、古い測量成果、売買資料、工事記録、過去の調査記録などを追加確認します。提出資料は、原本・写し、作成年月日、作成者、作成目的を区別します。

所有者等が現地立会いに参加しない場合は、実施主体が作業規程に従って通知、図面等による確認、筆界案の作成などを検討します。欠席、無反応、所在不明、積極的な拒否は同じ扱いではないため、連絡経過と意思表示を正確に記録します。([地籍ポータル][5])

当事者間の対立が強く、地籍調査の範囲を超える場合は、土地家屋調査士、弁護士、法務局の筆界特定制度に関する窓口など、論点に応じた相談先を案内します。地籍調査担当者が私人間の所有権や損害賠償について最終判断を示すことは避けます。

庭木に落枝や倒木の具体的危険がある場合は、境界争いと安全対策を分けます。応急措置は必要最小限とし、日時、危険の状態、連絡経過、作業内容、作業前後の写真を残します。

筆界の確認を保留する場合は、「合意できず」だけで終わらせず、主張位置の違い、未確認資料、連絡不能の関係者、再調査事項を記録します。

地籍調査後のトラブルを防ぐための管理

地籍調査で筆界が明らかになっても、庭木の越境問題が自動的に解消するわけではありません。むしろ、筆界が具体化したことで、これまで意識されていなかった越境が認識されることがあります。

剪定や伐採を行う場合は、作業員へ境界標の位置を伝えます。重機、脚立、枝の搬出、抜根などで標識を破損させないよう、必要に応じて目印や養生を行います。

抜根では周囲の土が緩み、境界標、塀、舗装へ影響する可能性があります。境界点付近で大きな作業を行う場合は、作業前後の位置や状態を確認できる写真・測量記録を残します。

庭木を残す場合は、定期剪定を誰が行うか、作業時の連絡方法、敷地使用の調整、危険が生じた場合の連絡先などを話し合います。口頭だけでなく、簡単な書面やメールで残すと認識違いを減らせます。

新たに庭木や生垣を植えるときは、成長後の樹冠と根の広がりを想定し、境界、建物、塀、排水設備から適切な距離を確保します。樹種ごとの成長特性や管理頻度について、造園の専門家へ相談する方法もあります。

境界標付近では、将来の確認を妨げる植栽や掘削を避けます。景観上標識を見せにくい場合でも、写真、座標、引照点などで位置を確認できるようにします。

売買や相続の際は、地籍調査の資料と庭木管理の合意を引き継ぎます。図面、写真、通知、剪定記録、未解決事項を整理しておくと、新しい所有者とのトラブルを減らせます。

実施主体や受託事業者側も、筆界確認、越境状況、権限者、処理合意、未解決事項を分けて記録する様式を整えると、担当者による対応差を抑えやすくなります。

まとめ

地籍調査で境界付近の庭木が越境しているように見えた場合は、庭木の処理を急ぐ前に、筆界の位置と判断根拠を確認します。庭木や生垣は現地状況を把握する資料にはなりますが、それ自体が筆界を確定するものではありません。

次に、庭木について処分権限を持つ人と、越境している部位を整理します。枝、根、幹を区別し、地上から見えない根や損傷原因を推測で断定しないことが大切です。

枝と根の切取りは民法233条の規定が異なります。枝は所有者への切除請求が原則で、一定の場合に越境された土地の所有者が切り取れます。根は境界線を越えると切り取れるとされていますが、樹木の枯死や倒木、周辺への損害を防ぐため、必要性と方法を慎重に検討します。

また、筆界の確認と庭木処理の合意は分けて記録します。確認した事実、未確認事項、作業範囲、権限者、期限、立入り、費用負担を明確にし、写真や図面と対応させます。

判断に迷う場合は、地籍調査の手続については実施主体である市区町村等の担当窓口へ、筆界や測量については土地家屋調査士や法務局の関係窓口へ、切除・費用・損害などの法的問題については弁護士へ、樹木の安全性については樹木管理の専門家へ相談してください。

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